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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】気液分散装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/22 20230101AFI20240418BHJP
   C02F 3/12 20230101ALI20240418BHJP
【FI】
C02F3/22 D
C02F3/12 J
C02F3/12 S
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020025173
(22)【出願日】2020-02-18
(65)【公開番号】P2021130068
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000101042
【氏名又は名称】アクアス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000171919
【氏名又は名称】佐竹マルチミクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102749
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 紀一
(74)【代理人】
【識別番号】100081787
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 輝晃
(72)【発明者】
【氏名】加藤 好一
(72)【発明者】
【氏名】上野 浩史
(72)【発明者】
【氏名】市川 真治
(72)【発明者】
【氏名】藪崎 裕昭
(72)【発明者】
【氏名】今村 憲史
(72)【発明者】
【氏名】片渕 雄次
【審査官】横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-046166(JP,A)
【文献】米国特許第04337152(US,A)
【文献】国際公開第2004/043866(WO,A1)
【文献】特開昭58-112091(JP,A)
【文献】特開2003-053371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F3/12-3/26,C02F7/00
B01F21/00-25/90
B01F27/00-27/96
B01D19/00-19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
曝気槽と、
該曝気槽内に設けた、上方に向かうに従って径が拡大したコーン状に形成されたコーン状部からなる気液分離用の手段を有しない、上下方向において同一径の円筒状に形成されたドラフトチューブと、
該ドラフトチューブ内に設けた、前記曝気槽内に容れられた液体内に純酸素を供給する散気手段と、
該散気手段から放出された気泡を、前記ドラフトチューブ内において下降させる、前記ドラフトチューブ内の上部に設けると共に、前記散気手段より上方に設けられた撹拌手段と、
前記液体内の溶存酸素量に応じて、前記散気手段から前記液体内への純酸素の供給を制御する純酸素供給制御手段とよりなることを特徴とするドラフトチューブの下端から放出され、上昇した気泡の撹拌手段への絡み付きを防ぐようにした気液分散装置。
【請求項2】
前記純酸素供給制御手段は、前記液体内の溶存酸素量が所望値以下となったと判断した時に、前記液体内に所望量の純酸素を供給する制御手段であることを特徴とする請求項1に記載のドラフトチューブの下端から放出され、上昇した気泡の撹拌手段への絡み付きを防ぐようにした気液分散装置。
【請求項3】
前記純酸素供給制御手段は、予め記憶された、前記液体内の溶存酸素量が所望値以下となる時間を経過した時に、前記液体内に所望量の純酸素を供給する制御手段であることを特徴とする請求項1に記載のドラフトチューブの下端から放出され、上昇した気泡の撹拌手段への絡み付きを防ぐようにした気液分散装置。
【請求項4】
前記所望値は、3mg/Lであることを特徴とする請求項2または3に記載のドラフトチューブの下端から放出され、上昇した気泡の撹拌手段への絡み付きを防ぐようにした気液分散装置。
【請求項5】
前記純酸素供給制御手段は、前記液体内の溶存酸素量が、常時、所望の範囲内となるように、前記液体内に所望量の純酸素を供給する制御手段であることを特徴とする請求項1に記載のドラフトチューブの下端から放出され、上昇した気泡の撹拌手段への絡み付きを防ぐようにした気液分散装置。
【請求項6】
曝気槽と、
該曝気槽内に設けた、上方に向かうに従って径が拡大したコーン状に形成されたコーン状部からなる気液分離用の手段を有しない、上下方向において同一径の円筒状に形成されたドラフトチューブと、
該ドラフトチューブ内に設けた、前記曝気槽内に容れられた液体内に純酸素を供給する散気手段と、
該散気手段から放出された気泡を、前記ドラフトチューブ内において下降させる、前記ドラフトチューブ内の上部に設けると共に、前記散気手段より上方に設けられた撹拌手段と、
前記液体内の溶存酸素量に応じて、前記散気手段から前記液体内への純酸素の供給を制御する純酸素供給制御手段とよりなり、
前記ドラフトチューブの上方に、前記ドラフトチューブと槽との間を上昇する純酸素が、前記ドラフトチューブの上端開口から該ドラフトチューブ内に再循環されるのを導く純酸素再循環促進手段を設け、前記純酸素再循環促進手段は、下端から上端に向かって徐々に径が縮小するコーン状の筒体よりなり、該筒体の下端は、前記ドラフトチューブの上部の外径よりも大きく、上端は、該ドラフトチューブの上部の内径よりも小さく形成され、該筒体の下部が、前記ドラフトチューブの上部に重なるように配置されることを特徴とする気液分散装置。
【請求項7】
曝気槽と、
該曝気槽内に設けた、上方に向かうに従って径が広がるコーン状部に形成された気液分離用の手段を有しない、上下方向において同一径の円筒状に形成されたドラフトチューブと、
該ドラフトチューブ内に設けた、前記曝気槽内に容れられた液体内に純酸素を供給する散気手段と、
前記液体内の溶存酸素量に応じて、前記散気手段から前記液体内への純酸素の供給を制御する純酸素供給制御手段とよりなり、
前記散気手段は、下方に高圧エアーを吐出させる高圧ノズルであることを特徴とする気液分散装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気液分散装置、特に、ドラフトチューブを用いた気液分散装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下水処理等のために、活性汚泥法における生物処理を行う場合がある。該処理においては、槽内に容れられた下水等の液体(原水)に空気を供給し、好気性微生物により有機物を分解させる。このような曝気槽(好気槽)としては、供給した空気を効率的に消費させるために、ドラフトチューブを用いた気液分散装置がある。
【0003】
(1.1.従来の気液分散装置の構成の説明)
【0004】
図7及び図8は、従来のドラフトチューブを用いた気液分散装置を示し、1は、例えば、有底の円筒状よりなる曝気槽、2は、前記曝気槽1内中央の液面より下方に垂設した、上下端が開口した筒状のドラフトチューブを示す。
【0005】
該ドラフトチューブ2は、例えば、上下方向において同一径の円筒状に形成された本体部2aと、該本体部2aの上端に連なる、上方に向かうに従って径が拡大したコーン状に形成されたコーン状部2bとにより構成される。
【0006】
また、3は、前記ドラフトチューブ2内の上部に設けられた、下降流を形成させる撹拌インペラ(撹拌翼)を示す。該インペラ3は、例えば、前記曝気槽1の天井板1aを貫通して垂設された回転軸3aの下端に固定される。また、前記回転軸3aは、例えば、前記ドラフトチューブ2の軸と一致し、前記インペラ3の翼端は、例えば、前記曝気槽1の内周面に近接するように形成する。
【0007】
また、4は、前記ドラフトチューブ2内にAir(空気)を供給するための散気手段を示す。該散気手段4の散気ノズル(スパージャー)4aは、前記インペラ3より下方に設けられ、ブロワー4bによりAirが供給される。
【0008】
なお、前記散気ノズル4aは、例えば、メンブレンやセラミック多孔質体よりなり、該多孔質体の表面から微細な気泡が放出される。
【0009】
また、5は、前記曝気槽1の上部に設けられたオーバーフロー管(排出管)を示し、該オーバーフロー管5から、オーバーフローした液体や、液面から上方(気中)に放出されたAirが槽外に排出されるようになる。
【0010】
また、6は、例えば、前記曝気槽1の上方に設けられ、前記ドラフトチューブ2内に原水が供給されるように配置された原水供給管を示す。
【0011】
また、7は、前記ドラフトチューブ2の上部内周面に固定された板状のバッフルを示す。該バッフル7は、例えば、半径方向中心に向かって延びると共に、前記ドラフトチューブ2の上端よりも上方に突出して延びて形成され、例えば、前記曝気槽1内に容れられた液体の液面を超える高さまで延びて形成される。また、該バッフル7は、例えば、周方向に、所望の距離離間して、4つ固定される。
【0012】
なお、前記バッフル7は、設けられない場合もある。
【0013】
(1.2.前記従来の気液分散装置の作用の説明)
【0014】
前記従来のドラフトチューブ式の分散装置においては、図9に示すように、前記曝気槽1内に、前記ドラフトチューブ2の上端よりも高い所望量の液体が容れられる。そして、前記撹拌インペラ3を回転させることによりドラフトチューブ2内に、下降流が発生する。
【0015】
また、同時に、前記散気ノズル4aからAir(空気)を、前記液体内に通気し、該Airは、前記インペラ3による下降流により、下方に押し込まれ(下降し)、前記ドラフトチューブ2の下端開口から、前記曝気槽1の底部に放出される。そして、該Airを含む液体は、前記槽1底部を半径方向外方に流れ、該槽1内周面に当接し、前記ドラフトチューブ2と前記槽1との間を上昇する上昇流を形成するようになる。
【0016】
このように、前記ドラフトチューブ式の分散装置においては、通気したAirを、インペラにより槽底部まで押し込むことにより、前記曝気槽1内の容積負荷(ガス吸収効率)を向上させることができるようになる。
【0017】
また、容れられた液体の上部まで上昇した、Airを含む液体は、上方に向かうに従って径が広がるコーン状部2bの気液分離機能により、消費されなかったAirは、液面から気中に放出され、また、前記液体は、前記ドラフトチューブ2(コーン状部2b)の上端開口から、前記ドラフトチューブ2内に入り込み、下方に流れ、槽1内を循環するようになる。
【0018】
なお、図10は、撹拌インペラを用いない気液分散装置の例を示す。該気液分散装置においては、前記ドラフトチューブ2内の上部に、下方に高圧エアーを吐出(放出)させて通気する、高圧ノズル13aなどの散気手段13を設け、該散気手段13の吐出作用により、前記ドラフトチューブ2内において下降流を形成させて、液体を前記槽1内で循環させるようにする。
【0019】
例えば、ドラフトチューブを用いた気液分散装置としては、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【文献】特開平08-33895号公開公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、前記従来の気液分散装置においては、前記ドラフトチューブ2の下端開口から槽底部に放出され、ドラフトチューブ2と曝気槽1間を上昇したAirの一部が、図7に示すように、液面から上方に放出されずに、再度、前記ドラフトチューブ2の上端開口から内部に入り込んでしまう。
【0022】
そして、該再循環されたAirは、図11に示すように、前記インペラ3に絡み付き(フラッディング)、前記インペラ3の吐出能力を低下させ、これにより、前記通気ノズル4aから放出したAirが、下方に押し込まれず、ドラフトチューブ2内の上部へ噴き出してしまうので、これを抑制するため、インペラの回転数を増加させる必要があり、消費動力が増加してしまう問題があった。
【0023】
そのため従来においては、Airのドラフトチューブ内への再循環を抑制する各種方法が提案されているが、完全でなかった。
【0024】
そこで、本発明においては、動力の低減を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
前記の目的を達成すべく、本発明の撹拌手段への気泡の巻き込みを防ぐようにした気液分散装置は、曝気槽と、該曝気槽内に設けた、上方に向かうに従って径が拡大したコーン状に形成されたコーン状部からなる気液分離用の手段を有しない、上下方向において同一径の円筒状に形成されたドラフトチューブと、該ドラフトチューブ内に設けた、前記曝気槽内に容れられた液体内に純酸素を供給する散気手段と、該散気手段から放出された気泡を、前記ドラフトチューブ内において下降させる、前記ドラフトチューブ内の上部に設けると共に、前記散気手段より上方に設けられた撹拌手段と、前記液体内の溶存酸素量に応じて、前記散気手段から前記液体内への純酸素の供給を制御する純酸素供給制御手段とよりなることを特徴とする。
【0026】
また、前記純酸素供給制御手段は、前記液体内の溶存酸素量が所望値以下となったと判断した時に、前記液体内に所望量の純酸素を供給する制御手段であることを特徴とする。
【0027】
また、前記純酸素供給制御手段は、予め記憶された、前記液体内の溶存酸素量が所望値以下となる時間を経過した時に、前記液体内に所望量の純酸素を供給する制御手段であることを特徴とする。
【0028】
また、前記所望値は、3mg/Lであることを特徴とする。
【0029】
また、前記純酸素供給制御手段は、前記液体内の溶存酸素量が、常時、所望の範囲内となるように、前記液体内に所望量の純酸素を供給する制御手段であることを特徴とする。
【0030】
また、本発明の気液分散装置は、曝気槽と、該曝気槽内に設けた、上方に向かうに従って径が拡大したコーン状に形成されたコーン状部からなる気液分離用の手段を有しない、上下方向において同一径の円筒状に形成されたドラフトチューブと、該ドラフトチューブ内に設けた、前記曝気槽内に容れられた液体内に純酸素を供給する散気手段と、該散気手段から放出された気泡を、前記ドラフトチューブ内において下降させる、前記ドラフトチューブ内の上部に設けると共に、前記散気手段より上方に設けられた撹拌手段と、前記液体内の溶存酸素量に応じて、前記散気手段から前記液体内への純酸素の供給を制御する純酸素供給制御手段とよりなり、前記ドラフトチューブの上方に、前記ドラフトチューブと槽との間を上昇する純酸素が、前記ドラフトチューブの上端開口から該ドラフトチューブ内に再循環されるのを導く純酸素再循環促進手段を設け、前記純酸素再循環促進手段は、下端から上端に向かって徐々に径が縮小するコーン状の筒体よりなり、該筒体の下端は、前記ドラフトチューブの上部の外径よりも大きく、上端は、該ドラフトチューブの上部の内径よりも小さく形成され、該筒体の下部が、前記ドラフトチューブの上部に重なるように配置されることを特徴とする。
【0033】
また、本発明の気液分散装置は、曝気槽と、該曝気槽内に設けた、上方に向かうに従って径が広がるコーン状部に形成された気液分離用の手段を有しない、上下方向において同一径の円筒状に形成されたドラフトチューブと、該ドラフトチューブ内に設けた、前記曝気槽内に容れられた液体内に純酸素を供給する散気手段と、前記液体内の溶存酸素量に応じて、前記散気手段から前記液体内への純酸素の供給を制御する純酸素供給制御手段とよりなり、前記散気手段は、下方に高圧エアーを吐出させる高圧ノズルであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、空気とは異なり、純酸素(Oガス)は、供給堆積が1/5となるため、通気量を減らすことができ、動力を低減することができるようになる。
【0035】
また、純酸素の供給を制御することにより、動力の低減を図ると共に、純酸素の無駄を防止することができる。
【0036】
また、純酸素の循環を強化することにより、通気量を減らし動力の低減を図ると共に、酸素の無駄を防止することができるようになる。
【0037】
また、空気利用時のようなN主体のガスが残らず、フラッディングが生じにくい。
【0038】
また、空気利用時より多くのOガスを通気できるため、排水設備では、高BOD負荷を実現できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の気液分散装置の実施例1の説明用縦断側面図である。
図2】本発明の気液分散装置の実施例1の槽内の流れを説明する説明図である。
図3】本発明の気液分散装置の実施例2の説明用縦断側面図である。
図4】本発明の気液分散装置の実施例2の槽内の流れを説明する説明図である。
図5】本発明の気液分散装置の実施例2の他の例の説明用縦断側面図である。
図6】従来の排水設備の概略図である。
図7】従来の気液分散装置の説明用縦断側面図である。
図8図7のA-A線断面図である。
図9】従来の気液分散装置の槽内の流れを説明する説明図である。
図10】従来の他の気液分散装置の槽内の流れを説明する説明図である。
図11】従来の気液分散装置の槽内の気泡の流れを説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明を実施するための形態の実施例を以下に示す。
【実施例1】
【0041】
本発明の実施例1を図1図2によって説明する。
【0042】
(2.1.本発明の実施例1の説明)
【0043】
本発明においては、前記従来のドラフトチューブを有する気液分散装置において、散気ノズルからAir(空気)を供給する代わりに、図1に示すように、純酸素を供給し、通気量を抑制できるようにする。
【0044】
また、前記ドラフトチューブ2の上部に、前記コーン状部2aのような気液分離用の手段を有しないドラフトチューブ2を用い、該ドラフトチューブ2内に純酸素を再循環させるようにする。
【0045】
即ち、前記ドラフトチューブ2は、例えば、上下方向において同一径の円筒状に形成された本体部2aのみから構成される。
【0046】
また、槽内の液体内の溶存酸素量に応じて、該液体内への純酸素の供給を制御する純酸素供給制御手段8を設け、供給する純酸素量を抑制し、前記ブロワー4bの動力を低減するようにする。
【0047】
該純酸素供給制御手段8は、例えば、図1に示すように、前記槽1内の液体の溶存酸素量を検知する、溶存酸素センサー9などの溶存酸素検知手段と、該溶存酸素検知手段から得られた溶存酸素量に応じて、前記ブロワー4bを駆動させる駆動制御部10とよりなる。
【0048】
また、該駆動制御部10は、例えば、前記溶存酸素検知手段により得られた、前記槽内の液体内の溶存酸素量が、所望値以下と判断した時、例えば、0mg/Lとなったと判断した時や、又は、例えば、3mg/L以下となったと判断した時に、前記ブロワー4bを所望の時間、駆動させて、前記通気ノズル4aから、前記液体内の溶存酸素量が所望値以上となるのに必要な所望量の純酸素を供給し、そして、再度、前記液体内の溶存酸素量が、前記所望値以下となった時に、前記ブロワー4bを所望の時間、駆動させて、前記通気ノズル4aから、前記所望量の純酸素を供給し、これを繰り返し、間欠的にブロワー4bを駆動する制御手段を有するように構成される。
【0049】
なお、前記駆動制御10の他の例として、前記溶存酸素検知手段により得られた、前記槽内の液体内の溶存酸素量が、常時、所望値の範囲内となるように、又は、所望の時間経過後に所望値以下となるように、前記ブロワー4bを連続的に、又は、間欠的に駆動して、槽内の液体内に純酸素を供給するように制御する制御手段を有するように構成してもよい。
【0050】
また、前記純酸素供給制御手段8は、前記溶存酸素検知手段を設ける代わりに、前記槽1内の液体内に所望の酸素供給量を供給してから、該槽1内の液体内の溶存酸素が所望値以下、例えば、0mg/Lとなる時間や、又は、例えば、3mg/L以下となる時間を予め記憶させた記憶部(図示せず)を設け、前記駆動制御部10により、前記所望量の純酸素を、前記ブロワーを駆動して、液体内に供給した後、前記記憶部に予め記憶した時間を経過したと判断した時に、再度、前記所望量の純酸素を、前記ブロワーを駆動して、液体内に供給し、これを繰り返し、間欠的にブロワー4bを駆動する制御手段を有するように構成するようにしてもよい。
【0051】
また、前記記憶部には、前記槽内の液体内の溶存酸素量が、常時、所望値の範囲内となるように、又は、所望の時間経過後に所望値以下となるように、前記ブロワー4bを連続的に、又は、間欠的に駆動できる情報を記憶させるようにしてもよい。
【0052】
本発明においては、図2に示すように、純酸素を供給することにより液体内への通気量を減らし、ブロワーの動力の低減を図ることができる。
【0053】
また、通気量が減るため、フラディングを防ぎ、インペラの回転数を低減させるので、インペラの回転動力を減らすことができる。
【0054】
また、純酸素の供給を制御することにより、通気量を減らし、動力を低減させることができる。また、純酸素の無駄を防止することができる。
【0055】
また、純酸素の循環を強化させることにより、通気量を抑制することができ、
純酸素の無駄を防止できるようになる。
【実施例2】
【0056】
(2.2.本発明の実施例2の説明)
【0057】
本発明の第2の実施例は、前記第1の実施例において、図3に示すように、前記ドラフトチューブ2の上方に、前記ドラフトチューブ2と槽1との間を上昇する純酸素を液面から上方に放出するのを抑制し、前記ドラフトチューブ2の上端開口から該ドラフトチューブ2内に再循環されるのを導く純酸素再循環促進手段11を設け、供給された純酸素がより多く再循環されるようにする。
【0058】
前記純酸素再循環促進手段11は、例えば、下端開口縁が、前記ドラフトチューブ2の外壁よりも外側になるように形成されると共に、上端開口縁が、前記ドラフトチューブの内壁よりも内側になるように形成された筒体よりなる。
【0059】
前記純酸素再循環促進手段11は、例えば、下端から上端に向かって徐々に径が縮小するコーン状(円錐状)の筒体12よりなり、該筒体12の下端は、前記ドラフトチューブ2の上部の径(外径)よりも大きく、上端は、該ドラフトチューブ2の上部の径(内径)よりも小さく形成され、例えば、該筒体12の下部が、前記ドラフトチューブ2の上部に重なるように配置される。そして、図4に示すように、該筒体12により、純酸素の上昇が阻止され、ドラフトチューブ2の上端開口に吸い込まれ、再循環されるようになる。
【0060】
なお、前記筒体12の上端は、開放されていることが望ましいが、閉鎖するようにしてもよい。
【0061】
なお、ドラフトチューブ2の下端開口から、放出された純酸素は、浮力により、ドラフトチューブ2の壁面外側付近を上昇する。従って、前記筒体12の下端の径は、前記槽1の内周面まで到達するまでの径でなくても、殆どの純酸素を補足できるようになる。
【0062】
また、図5は、前記純酸素再循環促進手段11の他の例を示し、該純酸素再循環促進手段11は、上下方向において同一径の筒状に形成された筒体14と、該筒体14の上端を塞ぐ天井部15と、該天井部15に形成された開口部16とよりなり、前記筒体14の内径は、前記ドラフトチューブ2の外径よりも大きく形成され、また、前記開口部16は、前記ドラフトチューブ2の上端開口よりも、内側になるように形成され、例えば、前記筒体14の下部は、前記ドラフトチューブ2の上部に重なるように配置されている。
【0063】
なお、前記開口部16を設けずに、前記筒体14の上端を前記天井部16により閉鎖するようにしてもよい。
【0064】
本発明によれば、純酸素の循環を強化させることにより、通気量を抑制することができ、動力の低減を図ることができる。
【0065】
また、殆どの純酸素を再循環させることができるようになり、供給した純酸素のほぼ100%を消費させることができ、純酸素の無駄を防止することができるようになる。
【0066】
なお、前記純酸素供給制御手段8は、例えば、手動で純酸素の供給量を調整するようなものであってもよい。
【実施例3】
【0067】
(2.3.本発明の実施例3の説明)
【0068】
図6は、本発明の気液分散装置を排水設備17に適用した場合の例を示す。該排水設備17は、例えば、供給された原水を処理する高効率高負荷塔18と、該高効率高負荷塔18からの処理水を更に処理し、該処理された処理水を外部に排出すると共に、処理水と分離・濃縮した汚泥を、再度、前記高効率負荷塔18に返送する再処理槽19とよりなる。
【0069】
そして、前記排水設備17において、前記高効率高負荷塔18は、前記本発明の気液分散装置により構成され、また、前記再処理槽19は、例えば、活性汚泥槽部19aと、膜分離槽部19bとより構成され、該活性汚泥槽部19aの部屋と前記膜分離槽部19bの部屋とは、前記再処理槽19内に垂設した仕切壁20により仕切られる。そして、該仕切壁20の高さは、前記再処理槽19の上端開口より低く形成され、前記活性汚泥槽部19a内から、前記仕切壁20を超えてオーバーフローした処理水が、前記膜分離槽部19b内に流入するように構成される。
【0070】
また、前記活性汚泥槽部19aは、前記気液分散装置からの汚泥を含む処理水が、前記オーバーフロー管5から供給され、また、該供給された処理水を更に処理する為に、該活性汚泥槽部19a内底部に、曝気のための曝気ブロワー部21が設けられている。
【0071】
また、前記膜分離槽部19bは、前記活性汚泥槽部19a内の処理水が、前記仕切板20をオーバーフローして供給され、また、該膜分離槽19bは、活性汚泥と処理水とを分離膜22aにより分離し、該分離膜22aにより分離した処理水を外部に排出する処理水排出部22と、前記膜分離槽部19b内の濃縮した汚泥を、前記気液分散装置内において再度生物処理させるために、該汚泥を、前記気液分散装置のドラフトチューブ2内に返送する、返送ポンプ部23とよりなる。
【0072】
前記排水設備17においては、供給された原水が前記気液分散装置で処理され、そして、前記オーバーフロー管5からオーバーフローした汚泥を含む処理水が、前記活性汚泥槽部14a内に供給され、前記曝気ブロワー部21により曝気されて、再度処理されるようになる。
【0073】
そして、該活性汚泥槽部19a内で処理された処理水は、前記仕切壁20をオーバーフローすることにより、前記膜分離槽部19b内に供給され、そして、前記分離膜22aにより汚泥と処理水に分離され、該分離された処理水は、前記処理水排出部17により前記膜分離槽部19外に排出される。
【0074】
また、濃縮した汚泥は、前記返送ポンプ部23により、前記気液分散装置のドラフトチューブ2内に返送され、該汚泥は、さらに供給された原水と共に、再度処理されるようになり、これが繰り返されて、原水が処理されるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の気液分散装置は、下水処理施設、汚水処理施設以外に、液体内に散気を必要とするあらゆる分野に利用される。
【符号の説明】
【0076】
1 曝気槽
1a 天井板
2 ドラフトチューブ
2a 本体部
2b コーン状部
3 インペラ
3a 回転軸
4 散気手段
4a 散気ノズル
4b ブロワー
5 オーバーフロー管
6 原水供給管
7 バッフル
8 純酸素供給制御手段
9 溶存酸素センサー
10 駆動制御部
11 純酸素再循環促進手段
12 筒体
13 散気手段
13a 高圧ノズル
14 筒体
15 天井部
16 開口部
17 排水設備
18 高効率高負荷塔
19 再処理槽
19a 活性汚泥槽部
19b 膜分離槽部
20 仕切壁
21 曝気ブロワー部
22 処理水排出部
22a 分離膜
23 返送ポンプ部



図1
図2
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