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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】気液分散装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/22 20230101AFI20240418BHJP
   B01F 23/23 20220101ALI20240418BHJP
   B01F 27/80 20220101ALI20240418BHJP
   B01D 19/00 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
C02F3/22 Z
B01F23/23
B01F27/80
B01D19/00 G
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020025174
(22)【出願日】2020-02-18
(65)【公開番号】P2021130069
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000101042
【氏名又は名称】アクアス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000171919
【氏名又は名称】佐竹マルチミクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102749
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 紀一
(74)【代理人】
【識別番号】100081787
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 輝晃
(72)【発明者】
【氏名】加藤 好一
(72)【発明者】
【氏名】根本 孝宏
(72)【発明者】
【氏名】吾郷 健一
(72)【発明者】
【氏名】上野 浩史
(72)【発明者】
【氏名】市川 真治
(72)【発明者】
【氏名】藪崎 裕昭
(72)【発明者】
【氏名】今村 憲史
(72)【発明者】
【氏名】片渕 雄次
【審査官】横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-305290(JP,A)
【文献】特開2000-167367(JP,A)
【文献】特開2001-038377(JP,A)
【文献】特開2000-288568(JP,A)
【文献】特開2012-239977(JP,A)
【文献】米国特許第04337152(US,A)
【文献】特開昭54-103253(JP,A)
【文献】特開2000-317482(JP,A)
【文献】特開2001-029975(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 3/12-3/26,C02F7/00
B01F21/00-25/90
B01F27/00-27/96
B01D19/00-19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
曝気槽と、
該曝気槽内に設けたドラフトチューブと、
該ドラフトチューブ内に設けた散気手段と、
該散気手段から放出された気泡を、前記ドラフトチューブ内において下降させる下降手段と、
前記ドラフトチューブの上端開口を囲うように形成した、気液分離用の開口を有する筒状体とよりなり、
前記気液分離用の開口を有する筒状体は、少なくとも一部がメッシュ状の筒状体であり、
該筒状体は、上方に向かうに従って、径が徐々に小さくなるように形成されていることを特徴とする気液分散装置。
【請求項2】
曝気槽と、
該曝気槽内に設けた、筒状に形成された本体部と、該本体部の上端に連なる、上方に向かうに従って径が拡大したコーン状に形成されたコーン状部とよりなるドラフトチューブと、
該ドラフトチューブ内に設けた散気手段と、
該散気手段から放出された気泡を、前記ドラフトチューブ内において下降させる下降手段と、
前記ドラフトチューブの上端開口を囲うように形成した、気液分離用の開口を有する筒状体とよりなり、
前記気液分離用の開口を有する筒状体は、少なくとも一部がメッシュ状の筒状体であることを特徴とする気液分散装置。
【請求項3】
曝気槽と、
該曝気槽内に設けたドラフトチューブと、
該ドラフトチューブ内に設けた散気手段と、
該散気手段から放出された気泡を、前記ドラフトチューブ内において下降させる下降手段と、
前記ドラフトチューブの上端開口を囲うように形成した、気液分離用の開口を有する筒状体とよりなり、
前記気液分離用の開口を有する筒状体は、水平方向に形成された、ドーナツ状の円板状からなる筒体素子の複数を、上下方向に、所望の距離離間して、並べて形成した多段ルーバー体であることを特徴とする気液分散装置
【請求項4】
曝気槽と、
該曝気槽内に設けたドラフトチューブと、
該ドラフトチューブ内に設けた散気手段と、
該散気手段から放出された気泡を、前記ドラフトチューブ内において下降させる下降手段と、
前記ドラフトチューブの上端開口を囲うように形成した、気液分離用の開口を有する筒状体とよりなり、
前記気液分離用の開口を有する筒状体は、上下方向において径が同じである、上部の径の大きい上部円筒部と、上下方向において径が同じである、下部の径の小さい下部円筒部と、前記上部円筒部の下端と下部円筒部の上端とを連結する円板体部とにより形成した、段差部のある筒体素子の複数を、上下方向に、所望の距離離間して、並べて形成した多段ルーバー体であることを特徴とする気液分散装置。
【請求項5】
前記下降手段は、前記ドラフトチューブ内に、前記散気手段より上方に設けた撹拌手段であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載の気液分散装置。
【請求項6】
曝気槽と、
該曝気槽内に設けたドラフトチューブと、
該ドラフトチューブ内に設けた散気手段と、
前記ドラフトチューブの上端開口を囲うように形成した、気液分離用の開口を有する筒状体とよりなり、
前記気液分離用の開口を有する筒状体は、少なくとも一部がメッシュ状の筒状体であり、
該筒状体は、上方に向かうに従って、径が徐々に小さくなるように形成され、
上記散気手段は、下方に高圧エアーを吐出させる高圧ノズルであることを特徴とする気液分散装置。
【請求項7】
曝気槽と、
該曝気槽内に設けた、筒状に形成された本体部と、該本体部の上端に連なる、上方に向かうに従って径が拡大したコーン状に形成されたコーン状部とよりなるドラフトチューブと、
該ドラフトチューブ内に設けた散気手段と、
前記ドラフトチューブの上端開口を囲うように形成した、気液分離用の開口を有する筒状体とよりなり、
前記気液分離用の開口を有する筒状体は、少なくとも一部がメッシュ状の筒状体であり、
上記散気手段は、下方に高圧エアーを吐出させる高圧ノズルであることを特徴とする気液分散装置。
【請求項8】
曝気槽と、
該曝気槽内に設けたドラフトチューブと、
該ドラフトチューブ内に設けた散気手段と、
前記ドラフトチューブの上端開口を囲うように形成した、気液分離用の開口を有する筒状体とよりなり、
前記気液分離用の開口を有する筒状体は、水平方向に形成された、ドーナツ状の円板状からなる筒体素子の複数を、上下方向に、所望の距離離間して、並べて形成した多段ルーバー体であり、
上記散気手段は、下方に高圧エアーを吐出させる高圧ノズルであることを特徴とする気液分散装置。
【請求項9】
曝気槽と、
該曝気槽内に設けたドラフトチューブと、
該ドラフトチューブ内に設けた散気手段と、
前記ドラフトチューブの上端開口を囲うように形成した、気液分離用の開口を有する筒状体とよりなり、
前記気液分離用の開口を有する筒状体は、上下方向において径が同じである、上部の径の大きい上部円筒部と、上下方向において径が同じである、下部の径の小さい下部円筒部と、前記上部円筒部の下端と下部円筒部の上端とを連結する円板体部とにより形成した、段差部のある筒体素子の複数を、上下方向に、所望の距離離間して、並べて形成した多段ルーバー体であり、
上記散気手段は、下方に高圧エアーを吐出させる高圧ノズルであることを特徴とする気液分散装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気液分散装置、特に、ドラフトチューブを用いた気液分散装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下水処理等のために、活性汚泥法における生物処理を行う場合がある。該処理においては、槽内に容れられた下水等の液体(原水)に空気を供給し、好気性微生物により有機物を分解させる。このような曝気槽(好気槽)としては、供給した空気を効率的に消費させるために、ドラフトチューブを用いた気液分散装置がある。
【0003】
(1.1.従来の気液分散装置の構成の説明)
【0004】
図7及び図8は、従来のドラフトチューブを用いた気液分散装置を示し、1は、例えば、有底の円筒状よりなる曝気槽、2は、前記曝気槽1内中央の液面より下方に垂設した、上下端が開口した筒状のドラフトチューブを示す。
【0005】
該ドラフトチューブ2は、例えば、上下方向において同一径の円筒状に形成された本体部2aと、該本体部2aの上端に連なる、上方に向かうに従って径が拡大したコーン状に形成されたコーン状部2bとにより構成される。
【0006】
なお、前記コーン状部2bは、設けられない場合もある。
【0007】
また、3は、前記ドラフトチューブ2内の上部に設けられた、下降流を形成させる撹拌インペラ(撹拌翼)を示す。該インペラ3は、例えば、前記曝気槽1の天井板1aを貫通して垂設された回転軸3aの下端に固定される。また、前記回転軸3aは、例えば、前記ドラフトチューブ2の軸と一致し、前記インペラ3の翼端は、例えば、前記曝気槽1の内周面に近接するように形成する。
【0008】
また、4は、前記ドラフトチューブ2内にAir(空気)を供給するための散気手段を示す。該散気手段4の散気ノズル(スパージャー)4aは、前記インペラ3より下方に設けられ、ブロワー4bによりAirが供給される。
【0009】
なお、前記散気ノズル4aは、例えば、メンブレンやセラミック多孔質体よりなり、該多孔質体の表面から微細な気泡が放出される。
【0010】
また、5は、前記曝気槽1の上部に設けられたオーバーフロー管(排出管)を示し、該オーバーフロー管5から、オーバーフローした液体や、液面から上方(気中)に放出されたAirが槽外に排出されるようになる。
【0011】
また、6は、例えば、前記曝気槽1の上方に設けられ、前記ドラフトチューブ2内に原水が供給されるように配置された原水供給管を示す。
【0012】
また、7は、前記ドラフトチューブ2の上部内周面に固定された板状のバッフルを示す。該バッフル7は、例えば、半径方向中心に向かって延びると共に、前記ドラフトチューブ2の上端よりも上方に突出して延びて形成され、例えば、前記曝気槽1内に容れられた液体の液面を超える高さまで延びて形成される。また、該バッフル7は、例えば、周方向に、所望の距離離間して、4つ固定される。
【0013】
なお、前記バッフル7は、設けられない場合もある。
【0014】
(1.2.従来の気液分散装置の作用の説明)
【0015】
前記従来のドラフトチューブ式の分散装置においては、図9に示すように、前記曝気槽1内に、前記ドラフトチューブ2の上端よりも高い所望量の液体が容れられる。そして、前記撹拌インペラ3を回転させることによりドラフトチューブ2内に、下降流が発生する。
【0016】
また、同時に、前記散気ノズル4aからAir(空気)を、前記液体内に通気し、該Airは、前記インペラ3による下降流により、下方に押し込まれ(下降し)、前記ドラフトチューブ2の下端開口から、前記曝気槽1の底部に放出される。そして、該Airを含む液体は、前記槽1底部を半径方向外方に流れ、該槽1内周面に当接し、前記ドラフトチューブ2と前記槽1との間を上昇する上昇流を形成するようになる。
【0017】
このように、前記ドラフトチューブ式の分散装置においては、通気したAirを、インペラにより槽底部まで押し込む(下降させる)ことにより、前記曝気槽1内の容積負荷(ガス吸収効率)を向上させることができるようになる。
【0018】
また、容れられた液体の上部まで上昇した、Airを含む液体は、上方に向かうに従って径が広がるコーン状部2bの気液分離機能により、消費されなかったAirは、液面から気中に放出され、また、前記液体は、前記ドラフトチューブ2(コーン状部2b)の上端開口から、前記ドラフトチューブ2内に入り込み、下方に流れ、槽1内を循環するようになる。
【0019】
なお、図10は、撹拌インペラを用いない気液分散装置の例を示す。該気液分散装置においては、前記ドラフトチューブ2内の上部に、下方に高圧エアーを吐出(放出)させて通気する、高圧ノズル11aなどの散気手段11を設け、該散気手段11の吐出作用により、前記ドラフトチューブ2内において下降流を形成させて、液体を前記槽1内で循環させるようにする。
【0020】
例えば、ドラフトチューブを用いた気液分散装置としては、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【文献】特開平08-33895号公開公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
しかしながら、前記従来の気液分散装置においては、前記ドラフトチューブ2の下端開口から槽底部に放出され、ドラフトチューブ2と曝気槽1間を上昇したAirの一部が、図8に示すように、液面から上方に放出されずに、再度、前記ドラフトチューブ2の上端開口から内部に入り込んでしまう。
【0023】
そして、該再循環されたAirは、図11に示すように、前記インペラ3に絡み付き(フラッディング)、前記インペラ3の吐出能力を低下させ、これにより、前記通気ノズル4aから放出したAirが、下方に押し込まれず、ドラフトチューブ2内の上端から上方に噴き出してしまうので、これを抑制するため、インペラ3の回転数を増加させる必要があり、消費動力が増加してしまう問題があった。
【0024】
また、撹拌インペラを用いない気液分散装置においては、ブロワー消費動力が膨大となる欠点があった。
【0025】
本発明においては、動力の増加を防ぐために、通気したAirの再循環を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
前記の目的を達成すべく、本発明の気液分散装置は、曝気槽と、該曝気槽内に設けたドラフトチューブと、該ドラフトチューブ内に設けた散気手段と、
該散気手段から放出された気泡を、前記ドラフトチューブ内において下降させる下降手段と、前記ドラフトチューブの上端開口を囲うように形成した、気液分離用の開口を有する筒状体とよりなり、前記気液分離用の開口を有する筒状体は、少なくとも一部がメッシュ状の筒状体であり、 該筒状体は、上方に向かうに従って、径が徐々に小さくなるように形成されていることを特徴とする。
【0027】
また、本発明の気液分散装置は、曝気槽と、該曝気槽内に設けた、筒状に形成された本体部と、該本体部の上端に連なる、上方に向かうに従って径が拡大したコーン状に形成されたコーン状部とよりなるドラフトチューブと、該ドラフトチューブ内に設けた散気手段と、該散気手段から放出された気泡を、前記ドラフトチューブ内において下降させる下降手段と、前記ドラフトチューブの上端開口を囲うように形成した、気液分離用の開口を有する筒状体とよりなり、前記気液分離用の開口を有する筒状体は、少なくとも一部がメッシュ状の筒状体であることを特徴とする。
【0028】
また、本発明の気液分散装置は、曝気槽と、該曝気槽内に設けたドラフトチューブと、該ドラフトチューブ内に設けた散気手段と、該散気手段から放出された気泡を、前記ドラフトチューブ内において下降させる下降手段と、前記ドラフトチューブの上端開口を囲うように形成した、気液分離用の開口を有する筒状体とよりなり、前記気液分離用の開口を有する筒状体は、水平方向に形成された、ドーナツ状の円板状からなる筒体素子の複数を、上下方向に、所望の距離離間して、並べて形成した多段ルーバー体であることを特徴とする。また、本発明の気液分散装置は、曝気槽と、該曝気槽内に設けたドラフトチューブと、該ドラフトチューブ内に設けた散気手段と、該散気手段から放出された気泡を、前記ドラフトチューブ内において下降させる下降手段と、前記ドラフトチューブの上端開口を囲うように形成した、気液分離用の開口を有する筒状体とよりなり、前記気液分離用の開口を有する筒状体は、上下方向において径が同じである、上部の径の大きい上部円筒部と、上下方向において径が同じである、下部の径の小さい下部円筒部と、前記上部円筒部の下端と下部円筒部の上端とを連結する円板体部とにより形成した、段差部のある筒体素子の複数を、上下方向に、所望の距離離間して、並べて形成した多段ルーバー体であることを特徴とする。
【0029】
また、前記下降手段は、前記ドラフトチューブ内に、前記散気手段より上方に設けた撹拌手段であることを特徴とする。
【0030】
また、本発明の気液分散装置は、曝気槽と、該曝気槽内に設けたドラフトチューブと、該ドラフトチューブ内に設けた散気手段と、前記ドラフトチューブの上端開口を囲うように形成した、気液分離用の開口を有する筒状体とよりなり、前記気液分離用の開口を有する筒状体は、少なくとも一部がメッシュ状の筒状体であり、該筒状体は、上方に向かうに従って、径が徐々に小さくなるように形成され、上記散気手段は、下方に高圧エアーを吐出させる高圧ノズルであることを特徴とする。
また、本発明の気液分散装置は、曝気槽と、該曝気槽内に設けた、筒状に形成された本体部と、該本体部の上端に連なる、上方に向かうに従って径が拡大したコーン状に形成されたコーン状部とよりなるドラフトチューブと、該ドラフトチューブ内に設けた散気手段と、前記ドラフトチューブの上端開口を囲うように形成した、気液分離用の開口を有する筒状体とよりなり、前記気液分離用の開口を有する筒状体は、少なくとも一部がメッシュ状の筒状体であり、上記散気手段は、下方に高圧エアーを吐出させる高圧ノズルであることを特徴とする。
また、本発明の気液分散装置は、曝気槽と、該曝気槽内に設けたドラフトチューブと、該ドラフトチューブ内に設けた散気手段と、前記ドラフトチューブの上端開口を囲うように形成した、気液分離用の開口を有する筒状体とよりなり、前記気液分離用の開口を有する筒状体は、水平方向に形成された、ドーナツ状の円板状からなる筒体素子の複数を、上下方向に、所望の距離離間して、並べて形成した多段ルーバー体であり、上記散気手段は、下方に高圧エアーを吐出させる高圧ノズルであることを特徴とする。
また、本発明の気液分散装置は、曝気槽と、該曝気槽内に設けたドラフトチューブと、該ドラフトチューブ内に設けた散気手段と、前記ドラフトチューブの上端開口を囲うように形成した、気液分離用の開口を有する筒状体とよりなり、前記気液分離用の開口を有する筒状体は、上下方向において径が同じである、上部の径の大きい上部円筒部と、上下方向において径が同じである、下部の径の小さい下部円筒部と、前記上部円筒部の下端と下部円筒部の上端とを連結する円板体部とにより形成した、段差部のある筒体素子の複数を、上下方向に、所望の距離離間して、並べて形成した多段ルーバー体であり、上記散気手段は、下方に高圧エアーを吐出させる高圧ノズルであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、通気したAirの再循環を抑制し、動力の低減を図ることができるようになる。
【0032】
更に、排水処理では、より多くのAirを吹き込めるため、10kg-BOD/m・d以上の高いBOD容積負荷を実現することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の気液分散装置の実施例1の説明用縦断側面図である。
図2】本発明の気液分散装置の実施例2の説明用縦断側面図である。
図3】本発明の気液分散装置の実施例2の気泡の流れを説明する説明図である。
図4】本発明の気液分散装置の実施例2の多段ルーバーの傾斜角度が0度の場合の説明図である。
図5】本発明の気液分散装置の実施例2の多段ルーバーの傾斜角度が90度の場合の説明図である。
図6】本発明の実施例3の排水設備の概略図である。
図7】従来の気液分散装置の説明用縦断側面図である。
図8図7のA-A線断面図である。
図9】従来の気液分散装置の槽内の流れを説明する説明図である。
図10】従来の他の気液分散装置の槽内の流れを説明する説明図である。
図11】従来の気液分散装置の槽内の気泡の流れを説明する説明図である
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明を実施するための形態の実施例を以下に示す。
【実施例1】
【0035】
本発明の実施例1を図によって説明する。
【0036】
(2.1.本発明の実施例1の説明)
【0037】
本発明においては、前記従来のドラフトチューブを有する気液分散装置において、前記ドラフトチューブ2と前記曝気槽1間を上昇する、消費されなかったAirと液体とを分離するために、図1に示すように、前記ドラフトチューブ2の上端開口縁に、下端を連設して、前記ドラフトチューブ2の上端開口の吸い込み口を囲うように形成した、気液分離(液体を通過させ、上昇するAirの通過を抑制)用の開口を有する筒状体8を設ける。
【0038】
該気液分離用の開口を有する筒状体8は、例えば、図1に示すように、前記ドラフトチューブ2の上端開口縁に、下端を連設して固定したメッシュ状(網状)の円筒状の筒状体よりなる。
【0039】
なお、上昇する気泡が、前記ドラフトチューブ2の上端開口から吸い込まれるのを抑制するために、前記筒状体8の上端は、槽1内に入れられた液体よりも上方に突出して設けられることが好ましい。
【0040】
また、該メッシュ状の筒状体8の上端が、前記液体よりも上方に突出しない場合には、前記筒状体8の上端を閉鎖するようにしてもよい。
【0041】
また、前記メッシュ状が形成される部分は、前記筒状体8の全体としても良く、または、一部をメッシュ状にし、他は開口を有しないようにしてもよい。
【0042】
また、前記筒状体8に一部、切り欠きを設けてもよい。
【0043】
なお、メッシュ状のメッシュの大きさは、前記ドラフトチューブ2と槽1間を上昇する気泡が、通過しない大きさが好まく、各種条件に基づき実験や計算等により設定される。
【0044】
また、メッシュ状のメッシュの大きさは、目開きをあまり細かくするとバイオフィルムによる詰りが生ずるおそれがあるため、各種条件に基づき実験や計算等により設定されるが、例えば、前記メッシュ状の筒状体8のメッシュ形状に限定はないが、縦横の目開きは、例えば、1mm以上(例えば、メッシュサイズ16より粗い)が好ましい。そして、前記メッシュ状の筒状体8として、例えば、目開きが3~7mmのメッシュが使用されるのが好ましい。
【0045】
なお、自然と液面に向かって上昇する気泡に対して、再循環されないようにするために、前記筒状体8の横断面形状は、例えば、前記ドラフトチューブの上端形状と同一か、或いは、上方に向かうに従って、径が徐々に小さくなるように形成されることが好ましい。
【0046】
本発明の実施例1によれば、上昇するAirは、メッシュ状の筒状体8の通過が抑制されて、そのまま上昇し、前記筒状体8と曝気槽1間の液面から気中に排出され、Airの再循環が抑制されるようになる。また、上昇した液体は、前記メッシュ状の筒状体8を通過して、前記ドラフトチューブ2の上端開口に吸い込まれるようになる。
【0047】
これにより、液体(原水)のみが、ドラフトチューブ2内に再循環されるようになり、インペラにAirの絡み付きを防ぐ事ができる。そして、従来に比べ、インペラの吐出能力を向上させると共に、よりガス吸収効率を向上させることができるようになる。
【実施例2】
【0048】
(2.2.本発明の実施例2の説明)
【0049】
前記気液分離用の開口を有する筒状体としては、メッシュ状の筒状体8の他に、多段ルーバー体9としてもよい。
【0050】
なお、該多段ルーバー体9は、前記ドラフトチューブ2の上端開口縁に連設、或いは、近接して設けるようにしてもよい。
【0051】
前記多段ルーバー体9は、例えば、図2及び図3に示すように、上方に向かって径が拡大する、上下端が開口した筒状の筒体素子9aを、同軸に、上下方向に、所望の距離離間して、複数、並べて形成される。
【0052】
また、各上下に隣接する筒体素子9a、9aは、上方の筒体素子9aの外周面と、下方の筒体素子9aの内周面とが、所望の距離離間して、例えば、平行に、対向するように設けられる。
【0053】
なお、前記各筒状素子9aの面は、例えば、気体が通過する孔を有しない板状よりなる。
【0054】
なお、前記互いに対向する所望の距離α(クリアランス)は、各種条件に基づき実験や計算等により設定されるが、バイオフォルムによる詰りを防ぐために、例えば、1mm以上となるように形成されるのが好ましい。そして、前記クリアランスが、例えば、3~40mmであるのが好ましい。
【0055】
なお、前記各筒体素子9aは、例えば、それぞれ同一形状に形成されたものが好ましい。
【0056】
また、前記各筒体素子9aの外周壁の水平面に対する傾斜は、例えば直線状に形成され、それぞれ所望の傾斜角度に形成される。
【0057】
また、前記所望の傾斜は、例えば、0度以上、90度以下がある。
【0058】
なお、前記傾斜が0度の場合は、図4に示すように、各筒体素子9aは、水平方向に形成された、ドーナツ状の円板状に形成される。
【0059】
また、前記傾斜角度が90度、または、90度近辺においては、たとえば、図5に示すように、各筒体素子9aの上下方向における中間部に段差部10を設け、該筒状素子9を、上下方向において径が同じである、上部の径の大きい上部円筒部と、上下方向において径が同じである、下部の径の小さい下部円筒部と、前記上部円筒部と下部円筒部とを連結する円板体部とにより形成し、複数の前記筒体素子9aを上下方向に配置できるようにすると共に、互いに隣接する筒体素子9a、9a間に、所望のクリアランスを確保できるようにする。
【0060】
本発明の第2の実施例においては、図3に示すように、上下に互いに隣接する筒体素子9a、9a間の開口部の、下方の筒体素子9aの内周面上部付近において、負圧部が形成され、該負圧部に気泡がキャッチされ、所望の形状まで成長した気泡は、浮力により上方に浮上し、液面から上方に排出されるようになる。
【0061】
そして、液体(原水)のみが、ドラフトチューブ2内に再循環されるようになる。
【0062】
本発明においても、Airの再循環が抑制され、動力の低減を図ることができる。
【0063】
なお、メッシュ状の開口に比べて、円周状に開口が形成されるため、バイオフィルム形成によるつまり等も防ぐことができるようになる。
【実施例3】
【0064】
(2.3.本発明の実施例3の説明)
【0065】
図6は、本発明の気液分散装置を排水設備12に適用した場合の例を示す。該排水設備12は、例えば、供給された原水を処理する高効率高負荷塔13と、該高効率高負荷塔13からの処理水を更に処理し、該処理された処理水を外部に排出すると共に、処理水と分離・濃縮した汚泥を、再度、前記高効率負荷塔13に返送する再処理槽14とよりなる。
【0066】
そして、前記排水設備12において、前記高効率高負荷塔13は、前記本発明の気液分散装置により構成され、また、前記再処理槽14は、例えば、活性汚泥槽部14aと、膜分離槽部14bとより構成され、該活性汚泥槽部14aの部屋と前記膜分離槽部14bの部屋とは、前記再処理槽14内に垂設した仕切壁15により仕切られる。そして、該仕切壁15の高さは、前記再処理槽14の上端開口より低く形成され、前記活性汚泥槽部14a内から、前記仕切壁15を超えてオーバーフローした処理水が、前記膜分離槽部14b内に流入するように構成される。
【0067】
また、前記活性汚泥槽部14aは、前記気液分散装置からの汚泥を含む処理水が、前記オーバーフロー管5から供給され、また、該供給された処理水を更に処理する為に、該活性汚泥槽部14a内底部に、曝気のための曝気ブロワー部16が設けられている。
【0068】
また、前記膜分離槽部14bは、前記活性汚泥槽部14a内の処理水が、前記仕切板15をオーバーフローして供給され、また、該膜分離槽14bは、活性汚泥と処理水とを分離膜17aにより分離し、該分離膜17aにより分離した処理水を外部に排出する処理水排出部17と、前記膜分離槽部14b内の濃縮した汚泥を、前記気液分散装置内において再度生物処理させるために、該汚泥を、前記気液分散装置のドラフトチューブ2内に返送する、返送ポンプ部18とよりなる。
【0069】
前記排水設備12においては、供給された原水が前記気液分散装置で処理され、そして、前記オーバーフロー管5からオーバーフローした汚泥を含む処理水が、前記活性汚泥槽部14a内に供給され、前記曝気ブロワー部16により曝気されて、再度処理されるようになる。
【0070】
そして、該活性汚泥槽部14a内で処理された処理水は、前記仕切壁15をオーバーフローすることにより、前記膜分離槽部14b内に供給され、そして、前記分離膜17aにより汚泥と処理水に分離され、該分離された処理水は、前記処理水排出部17により前記膜分離槽部14外に排出される。
【0071】
また、濃縮した汚泥は、前記返送ポンプ部18により、前記気液分散装置のドラフトチューブ2内に返送され、該汚泥は、さらに供給された原水と共に、再度処理されるようになり、これが繰り返されて、原水が処理されるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の気液分散装置は、下水処理施設、汚水処理施設以外に、液体内に散気を必要とするあらゆる分野に利用される。
【符号の説明】
【0073】
1 曝気槽
1a 天井板
2 ドラフトチューブ
2a 本体部
2b コーン状部
3 インペラ
3a 回転軸
4 散気手段
4a 散気ノズル
4b ブロワー
5 オーバーフロー管
6 原水供給管
7 バッフル
8 筒状体
9 多段ルーバー体
9a 筒体素子
10 段差部
11 散気手段
11a 高圧ノズル
12 排水設備
13 高効率高負荷塔
14 再処理槽
14a 活性汚泥槽部
14b 膜分離槽部
15 仕切壁
16 曝気ブロワー部
17 処理水排出部
17a 分離膜
18 返送ポンプ部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
図10
図11