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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】プラズマ切断機、及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 10/00 20060101AFI20240418BHJP
【FI】
B23K10/00 501A
B23K10/00 502Z
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020040651
(22)【出願日】2020-03-10
(65)【公開番号】P2021142527
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】394019082
【氏名又は名称】コマツ産機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】高田 伸浩
(72)【発明者】
【氏名】山口 義博
【審査官】山内 隆平
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-237321(JP,A)
【文献】国際公開第2006/001242(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマアークによって被加工材を切断するプラズマ切断機であって、
電極とノズルとを含み、前記プラズマアークを発生させるプラズマトーチと、
前記プラズマトーチを移動させる駆動装置と、
前記プラズマ切断機に関する情報を記録する記憶装置を含み、前記駆動装置を制御するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記被加工材の重量を取得し、
前記電極、及び/又は、前記ノズルの消耗量を取得し、
互いに関連付けられた前記被加工材の重量と前記消耗量とを含む加工実績データを前記記憶装置に記録する、
プラズマ切断機。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記被加工材を切断するための前記プラズマトーチの軌跡を示す切断プログラムを生成するコンピュータから前記切断プログラムを受信し、
前記コンピュータから前記被加工材の重量を取得する、
請求項1に記載のプラズマ切断機。
【請求項3】
前記切断プログラムは、前記被加工材の重量を示すデータを含む、
請求項2に記載のプラズマ切断機。
【請求項4】
前記コントローラは、前記切断プログラムの識別番号を取得し、
前記加工実績データは、前記識別番号を含む、
請求項2又は3に記載のプラズマ切断機。
【請求項5】
前記コントローラは、前記電極、及び/又は、前記ノズルが交換されたことを示す交換履歴データを取得し、
前記加工実績データは、前記交換履歴データを含む、
請求項1から4のいずれかに記載のプラズマ切断機。
【請求項6】
前記コントローラは、前記交換履歴データと前記被加工材の重量とから、前記被加工材の加工コストを算出する、
請求項5に記載のプラズマ切断機。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記プラズマ切断機で使用された電力量を取得し、
前記電力量と前記交換履歴データと前記被加工材の重量とから、前記被加工材の加工コストを算出する、
請求項5に記載のプラズマ切断機。
【請求項8】
前記コントローラは、
前記プラズマ切断機で使用されたガス量を取得し、
前記ガス量と前記交換履歴データと前記被加工材の重量とから、前記被加工材の加工コストを算出する、
請求項5に記載のプラズマ切断機。
【請求項9】
前記コントローラは、前記被加工材の単位重量当たりの前記加工コストを算出する、
請求項6から8のいずれかに記載のプラズマ切断機。
【請求項10】
前記プラズマ切断機に関する情報を表示するディスプレイをさらに備え、
前記コントローラは、前記加工実績データを前記ディスプレイに表示する、
請求項1から9のいずれかに記載のプラズマ切断機。
【請求項11】
電極とノズルとを含むプラズマトーチから発生したプラズマアークによって被加工材を切断するプラズマ切断機の制御方法であって、
前記被加工材の重量を取得することと、
前記電極、及び/又は、前記ノズルの消耗量を取得することと、
互いに関連付けられた前記被加工材の重量と前記消耗量とを含む加工実績データを記録すること、
を備える制御方法。
【請求項12】
前記被加工材を切断するための前記プラズマトーチの軌跡を示す切断プログラムを生成するコンピュータから前記切断プログラムを受信することをさらに備え、
前記コンピュータから前記被加工材の重量が取得される、
請求項11に記載の制御方法。
【請求項13】
前記切断プログラムは、前記被加工材の重量を示すデータを含む、
請求項12に記載の制御方法。
【請求項14】
前記切断プログラムの識別番号を取得することをさらに備え、
前記加工実績データは、前記識別番号を含む、
請求項12又は13に記載の制御方法。
【請求項15】
前記電極、及び/又は、前記ノズルが交換されたことを示す交換履歴データを取得することをさらに備え、
前記加工実績データは、前記交換履歴データを含む、
請求項11から14のいずれかに記載の制御方法。
【請求項16】
前記交換履歴データと前記被加工材の重量とから、前記被加工材の加工コストを算出することをさらに備える、
請求項15に記載の制御方法。
【請求項17】
前記プラズマ切断機で使用された電力量を取得することと、
前記電力量と前記交換履歴データと前記被加工材の重量とから、前記被加工材の加工コストを算出すること、
をさらに備える請求項15に記載の制御方法。
【請求項18】
前記プラズマ切断機で使用されたガス量を取得することと、
前記ガス量と前記交換履歴データと前記被加工材の重量とから、前記被加工材の加工コストを算出すること、
をさらに備える請求項15に記載の制御方法。
【請求項19】
前記加工コストは、前記被加工材の単位重量当たりの加工コストである、
請求項16から18のいずれかに記載の制御方法。
【請求項20】
前記加工実績データをディスプレイに表示することをさらに備える、
請求項11から19のいずれかに記載の制御方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ切断機、及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ切断機は、電極とノズルとを含むプラズマトーチを備えている。プラズマ切断機は、プラズマトーチにおいてプラズマアークを発生させ、プラズマトーチを移動させることで、被加工材を切断する。
【0003】
電極とノズルとは、被加工材の切断の繰り返しによって消耗する。電極、又は、ノズルの消耗量が一定量に達すると、電極、又は、ノズルは、新しいものに交換される。例えば、特許文献1のプラズマ加工装置では、電極とノズルの消耗量が記憶装置に記録される。そして、消耗量を含む寿命管理画面が、表示部に表示される。使用者は、寿命管理画面で、電極とノズルの消耗量を知ることで、電極とノズルの適切な交換時期を把握する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-237321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プラズマ切断機による加工コストは、電極とノズルとのコストの影響を大きく受ける。特に、加工量に対する加工コストを精度よく把握することは、プラズマ切断機を運用するために重要な管理点である。しかし、上記の技術では、加工量に対する加工コストを精度よく把握することは困難である。
【0006】
本開示の目的は、プラズマ切断機において加工量に対する加工コストを精度よく把握することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様は、プラズマアークによって被加工材を切断するためのプラズマ切断機である。プラズマ切断機は、プラズマトーチと、駆動装置と、記憶装置と、コントローラとを含む。プラズマトーチは、電極とノズルとを含み、プラズマアークを発生させる。駆動装置は、プラズマトーチを移動させる。コントローラは、記憶装置を含み、駆動装置を制御する。記憶装置は、プラズマ切断機に関する情報を記録する。コントローラは、被加工材の重量を取得する。コントローラは、電極、及び/又は、ノズルの消耗量を取得する。コントローラは、互いに関連付けられた被加工材の重量と消耗量とを含む加工実績データを記憶装置に記録する。
【0008】
本開示の第2の態様は、プラズマ切断機の制御方法である。プラズマ切断機は、プラズマトーチから発生したプラズマアークによって被加工材を切断する。プラズマトーチは、電極とノズルとを含む。当該制御方法は、以下の処理を含む。第1の処理は、被加工材の重量を取得することである。第2の処理は、電極、及び/又は、ノズルの消耗量を取得することである。第3の処理は、互いに関連付けられた被加工材の重量と消耗量とを含む加工実績データを記録することである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、互いに関連付けられた被加工材の重量と消耗量とを含む加工実績データが記録される。それにより、プラズマ切断機において加工量に対する加工コストを精度よく把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係るプラズマ切断機の構成を示す図である。
図2】プラズマトーチの一部を示す断面図である。
図3】プラズマ切断機の構成を示すブロック図である。
図4】プラズマ切断機の制御の処理を示すフローチャートである。
図5】プラズマ切断機の制御の処理を示すフローチャートである。
図6】部品交換画面を示す図である。
図7】交換履歴データの画面を示す図である。
図8】加工実績データの画面を示す図である。
図9】変形例に係る加工実績データの画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。図1は、実施形態に係るプラズマ切断機1の構成を示す図である。図1に示すように、プラズマ切断機1は、テーブル2と、プラズマトーチ3と、駆動装置4と、コントローラ5とを備える。テーブル2には、原材M0が載置される。原材M0は、金属板などの板状の材料である。
【0012】
プラズマトーチ3は、プラズマアークを噴出して、熱によって原材M0から被加工材M1を切り出す。図2は、プラズマトーチ3の断面図である。図2に示すように、プラズマトーチ3は、電極11と、ノズル12と、シールドキャップ13とを含む。電極11の先端は、ノズル12内に配置されている。ノズル12は、噴出孔14を含む。ノズル12の噴出孔14は、電極11の先端に向かい合っている。シールドキャップ13は、ノズル12を覆う。シールドキャップ13は、ノズル12の噴出孔14に向かい合う噴出孔15を含む。プラズマトーチ3は、電極11と原材M0との間のアーク放電によって、プラズマアークを発生させる。
【0013】
駆動装置4は、プラズマトーチ3をテーブル2上で移動させる。詳細には、駆動装置4は、プラズマトーチ3を原材M0に対してX(縦)、Y(横)、及びZ(高さ)方向に移動させる。駆動装置4は、第1キャリッジ21と、第2キャリッジ22と、アーム23とを有する。第1キャリッジ21は、テーブル2の側方においてX方向に移動する。アーム23は、テーブル2の上方に配置されている。アーム23は、第1キャリッジ21からY方向に延びている。第2キャリッジ22は、プラズマトーチ3をZ方向へ移動可能に支持する。第2キャリッジ22は、アーム23上をY方向に移動する。
【0014】
図3は、プラズマ切断機1の構成を示すブロック図である。図3に示すように、プラズマ切断機1は、電源24と、電圧センサ25と、ガス供給装置26と、入力装置27と、ディスプレイ28とを備えている。電源24は、プラズマトーチ3に電気的に接続されている。電源24は、プラズマアークを発生させるための電力をプラズマトーチ3に供給する。電源24は、例えば整流器とインバータと変圧器とを含む。
【0015】
電圧センサ25は、電源24からプラズマトーチ3に印可されるアーク電圧を検出する。電圧センサ25は、アーク電圧を示す信号を出力する。ガス供給装置26は、プラズマトーチ3にプラズマガスを供給する。プラズマトーチ3は、ノズル12からプラズマガスを噴出させながら、プラズマアークを発生させる。
【0016】
入力装置27は、例えば複数の入力キーを含む。オペレータは、入力装置27を用いて、加工条件などのデータを入力する。入力装置27は、入力されたデータを示す信号を出力する。入力装置27は、タッチスクリーンであってもよい。ディスプレイ28は、プラズマ切断機1に関する情報を表示する。ディスプレイ28は、例えばLCD、或いはOELDなどのディスプレイである。
【0017】
コントローラ5は、プラズマトーチ3からのプラズマアークの噴出と、駆動装置4によるプラズマトーチ3の移動とを制御する。それにより、コントローラ5は、原材M0から所望の形状の被加工材M1を切り出すように、プラズマ切断機1を制御する。コントローラ5は、CPUなどのプロセッサ31と、記憶装置32とを備える。記憶装置32は、プラズマ切断機1に関する情報を記憶する。記憶装置32は、ROMなどの不揮発性メモリと、RAMなどの揮発性メモリとを含む。記憶装置32は、ハードディスク、或いはSSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置を含んでもよい。記憶装置32は、非一時的な(non-transitory)コンピュータで読み取り可能な記録媒体の一例である。
【0018】
コントローラ5は、プラズマ切断機1の外部のコンピュータ6と通信する。コンピュータ6は、コントローラ5と同様に、プロセッサ33と記憶装置34とを備える。コンピュータ6には、原材M0の形状、板厚、重量、および被加工材M1の目標形状を含む設計データが入力される。コンピュータ6は、設計データに基づいて、切断プログラムを生成する。切断プログラムは、原材M0から被加工材M1を切り出すための、プラズマトーチ3の軌跡を示す。コントローラ5は、コンピュータ6から、切断プログラムを取得する。コントローラ5は、切断プログラムに従って、原材M0から被加工材M1を切り出すように、プラズマ切断機1を制御する。
【0019】
本実施形態では、コントローラ5は、プラズマ切断機1の加工実績と消耗品の消耗量とを自動的に集計して、加工実績と消耗量とを加工実績データとして保存する機能を有している。以下、コントローラ5による加工実績データに関する処理について説明する。
【0020】
図4及び図5は、コントローラ5によって実行されるプラズマ切断機1の制御の処理を示すフローチャートである。図4に示すように、ステップS101では、コントローラ5は、切断プログラムを取得する。上述したように、コントローラ5は、コンピュータ6から切断プログラムを取得する。
【0021】
ステップS102では、コントローラ5は、重量データを取得する。重量データは、被加工材M1の重量を示す。コントローラ5は、コンピュータ6から被加工材M1の重量データを取得する。重量データは、切断プログラムに含まれている。コンピュータ6は、切断プログラムに従って切断される被加工材M1の重量を算出する。原材M0から複数の被加工材M1が切り出される場合、コンピュータ6は、複数の被加工材M1の合計重量を重量データとして算出する。コンピュータ6は、切断プログラム内に被加工材M1の重量データを埋め込んで、コントローラ5に送信する。例えば、コンピュータ6は、切断プログラムのヘッダーに重量データを埋め込む。
【0022】
ステップS103では、コントローラ5は、加工を開始する。コントローラ5は、切断プログラムに従い、駆動装置4と電源24とガス供給装置26とを制御する。それにより、プラズマトーチ3が、プラズマアークとプラズマガスとを噴出しながら、原材M0上を移動する。その結果、原材M0から被加工材M1が切り出される。
【0023】
ステップS104では、コントローラ5は、加工の開始時間を記録する。加工の開始時間は、加工を開始した日付と時刻とを示す。ステップS105では、コントローラ5は、ピアス回数を記録する。ピアス回数は、プラズマを点火した回数を示す。ステップS106では、コントローラ5は、アーク時間を記録する。アーク時間は、アークを発生させた合計時間を示す。
【0024】
ステップS107では、コントローラ5は、消耗品の使用率を算出する。消耗品は、電極11とノズル12とを含む。コントローラ5は、電極11の使用率とノズル12の使用率とをそれぞれ算出する。使用率は、電極11、又はノズル12の機械寿命を100%とした割合で示される。コントローラ5は、ピアス回数とアーク時間と使用率との関係を規定する推定データを有している。使用率は、電極11、又はノズル12の消耗量を表しており、ピアス回数とアーク時間との増大に応じて、増大する。コントローラ5は、推定データを参照して、現在のピアス回数とアーク時間とから、使用率を算出する。
【0025】
ステップS108では、コントローラ5は、電極11、又はノズル12が機械寿命に到達したかを判定する。コントローラ5は、使用率が所定の閾値(例えば100%)になったときに、電極11、又はノズル12が機械寿命に到達したと判定する。電極11、又はノズル12が機械寿命に到達したときには、処理はステップS109に進む。
【0026】
ステップS109では、コントローラ5は、消耗品の交換表示をディスプレイ28に表示する。例えば、ノズル12が機械寿命に到達したときには、コントローラ5は、ノズル12の交換を促す交換表示をディスプレイ28に表示する。電極11が機械寿命に到達したときには、コントローラ5は、電極11の交換を促す交換表示をディスプレイ28に表示する。
【0027】
図6は、消耗品の交換を実施するときの部品交換画面41を示す図である。コントローラ5は、消耗品の交換を実施するときに、部品交換画面41をディスプレイ28に表示させる。図6は、ノズル12の交換を実施するときの部品交換画面41を示している。図6に示すように、部品交換画面41は、消耗品の使用率を示す表示42を含む。部品交換画面41は、消耗品の種別を示す表示43を含む。消耗品の種別は、例えば消耗品の大きさである。
【0028】
部品交換画面41は、消耗品の情報を示す表示44を含む。消耗品の情報は、消耗品が使われている間のアーク時間とピアス回数とを含む。消耗品の情報は、前回のリセットの日時を含む。部品交換画面41は、交換理由を選択するための表示45を含む。交換理由は、例えば寿命、故障などを含む。部品交換画面41は、リセットボタン46を含む。リセットボタン46が押されることで、コントローラ5は、消耗品が交換されたことを示す交換履歴データを記録する。
【0029】
図7は、交換履歴データの画面51を示す図である。コントローラ5は、交換履歴データの画面51をディスプレイ28に表示させる。交換履歴データの画面51は、交換された消耗品ごとの交換履歴データのリスト52を含む。交換履歴データは、リセットボタン46が押されたときの日付と時刻とを含む。すなわち、交換履歴データは、消耗品が交換された日付と時刻とを含む。交換履歴データは、消耗品の種別と交換理由とを含む。交換履歴データは、消耗品が交換されたときの使用率を含む。交換履歴データは、消耗品が交換されたときのアーク時間とピアス回数とを含む。
【0030】
交換履歴データの画面51は、表示期間の選択ボタン53を含む。使用者は、選択ボタン53を押すことで、交換履歴データの表示期間を選択する。コントローラ5は、選択ボタン53によって選択された表示期間内に交換された消耗品の交換履歴データを、交換履歴データの画面51に表示する。表示期間は、例えば、1日、1週間、1か月、及び全件を含む。
【0031】
交換履歴データの画面51は、出力ボタン54を含む。出力ボタン54が押されると、コントローラ5は、交換履歴データを出力する。例えば、コントローラ5は、交換履歴データをプリントアウトする。或いは、コントローラ5は、交換履歴データを電子データとして出力してもよい。コントローラ5は、通信ネットワークを介して、交換履歴データを出力してもよい。或いは、コントローラ5は、記録媒体を介して、交換履歴データを出力してもよい。
【0032】
図5に示すように、ステップS110では、コントローラ5は、加工を終了する。コントローラ5は、切断プログラムに規定されている処理が全て終了したときに、加工を終了する。なお、コントローラ5は、ステップS108において、電極11、又はノズル12が機械寿命に到達したと判定した時に、加工を中断してもよい。その場合、コントローラ5は、消耗品の交換が実施されて、部品交換画面41においてリセットボタン46が押されたときに、加工を再開してもよい。
【0033】
コントローラ5は、加工を終了すると、ステップS111において、加工の終了時間を記録する。加工の終了時間は、加工を終了した日付と時刻とを示す。ステップS112では、コントローラ5は、加工実績データを記録する。図8は、加工実績データの画面61を示す図である。コントローラ5は、加工実績データの画面61をディスプレイ28に表示させる。加工実績データの画面61は、切断プログラムごとの加工実績データを示すリスト62を含む。
【0034】
加工実績データは、切断プログラムの識別番号を含む。切断プログラムは、切断プログラムの識別番号を示すデータを含む。コントローラ5は、切断プログラムから当該切断プログラムの識別番号を取得する。コントローラ5は、加工実績データに含まれる複数のパラメータを、切断プログラムの識別番号に関連付けて、記憶装置32に記録している。
【0035】
加工実績データは、加工の開始時間と、終了時間と、加工時間とを含む。加工時間は、加工の開始から終了までの時間を示す。加工実績データは、製品重量を含む。製品重量は、1つの切断プログラムによって切断された被加工材M1の合計重量を示す。加工実績データは、アーク時間とピアス回数とを含む。
【0036】
加工実績データは、消耗品の種別と使用率とを含む。加工実績データにおける使用率は、1つの切断プログラムによる加工の開始から終了までの消耗品の合計使用率を示す。例えば、1つの切断プログラムによる加工中に消耗品が交換された場合、コントローラ5は、複数の消耗品の合計使用率を算出する。従って、交換履歴データにおける使用率は、100%を超えてもよい。
【0037】
加工実績データの画面61は、交換履歴データの画面51と同様に、表示期間の選択ボタン63を含む。使用者は、選択ボタン63を押すことで、加工実績データの表示期間を選択する。加工実績データの画面61は、出力ボタン64を含む。出力ボタン64が押されると、コントローラ5は、加工実績データを出力する。加工実績データの画面61の選択ボタン63と出力ボタン64とは、それぞれ交換履歴データの画面51の選択ボタン53と出力ボタン54と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0038】
なお、上述した画面41,51,61は、ノズル12に関する画面である。コントローラ5は、電極11についても、ノズル12に関する画面41,51,61と同様に、電極11に関する画面を生成して、ディスプレイ28に表示させる。
【0039】
以上説明した本実施形態に係るプラズマ切断機1によれば、互いに関連付けられた被加工材M1の重量と消耗量とを含む加工実績データが記録される。それにより、プラズマ切断機1において加工量に対する加工コストを精度よく把握することができる。
【0040】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0041】
プラズマ切断機1の構成は上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。上述したコントローラ5による処理は、複数のコントローラに分散して実行されてもよい。上述した処理の順番が変更されてもよい。上述した処理の一部が省略、或いは変更されてもよい。上述した処理と異なる処理が追加されてもよい。
【0042】
加工実績データに含まれるパラメータは、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、図9に示すように、加工実績データは、被加工材M1の加工コストを含んでもよい。加工コストは、被加工材M1の単位重量当たりの加工コストを示す。例えば、加工コストは、被加工材M1の1トン当たりの加工コストを示す。加工コストは、被加工材M1の単位重量当たりの消耗品の使用率であってもよい。加工コストは、被加工材M1の単位重量当たりの消耗品の費用であってもよい。コントローラ5は、交換履歴データと被加工材M1の重量とから、被加工材M1の加工コストを算出してもよい。
【0043】
コントローラ5は、プラズマ切断機で使用された電力量を取得してもよい。コントローラ5は、電力量と交換履歴データと被加工材M1の重量とから、被加工材M1の加工コストを算出してもよい。例えば、コントローラ5は、使用した電力量に相当する費用を、加工コストに加算してもよい。
【0044】
コントローラ5は、プラズマ切断機で使用されたガス量を取得してもよい。コントローラ5は、ガス量と交換履歴データと被加工材M1の重量とから、被加工材M1の加工コストを算出してもよい。例えば、コントローラ5は、使用したガス量に相当する費用を加工コストに加算してもよい。
【0045】
交換履歴データと加工実績データとは、電極11とノズル12との一方のみに対して生成されてもよい。或いは、電極11とノズル12とが一体の消耗品ユニットである場合、消耗品ユニットに対して、交換履歴データと加工実績データとが生成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本開示によれば、プラズマ切断機において加工量に対する加工コストを精度よく把握することができる。
【符号の説明】
【0047】
3 プラズマトーチ
4 駆動装置
5 コントローラ
11 電極
12 ノズル
28 ディスプレイ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9