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特許7474613ベンゾトリアゾール系紫外線吸収単位を含む共重合体を用いた水性組成物
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  • 特許-ベンゾトリアゾール系紫外線吸収単位を含む共重合体を用いた水性組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】ベンゾトリアゾール系紫外線吸収単位を含む共重合体を用いた水性組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 33/14 20060101AFI20240418BHJP
   C08L 33/06 20060101ALI20240418BHJP
   C08L 33/24 20060101ALI20240418BHJP
   C08L 25/18 20060101ALI20240418BHJP
   C08F 220/38 20060101ALI20240418BHJP
   C08F 220/10 20060101ALI20240418BHJP
   C08F 212/14 20060101ALI20240418BHJP
   C08F 220/60 20060101ALI20240418BHJP
   C08F 2/24 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
C08L33/14
C08L33/06
C08L33/24
C08L25/18
C08F220/38
C08F220/10
C08F212/14
C08F220/60
C08F2/24 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020049258
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021147515
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000114318
【氏名又は名称】ミヨシ油脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 信裕
(72)【発明者】
【氏名】三宅 祥太
(72)【発明者】
【氏名】金子 恒太郎
(72)【発明者】
【氏名】河合 功治
【審査官】内田 靖恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-122450(JP,A)
【文献】国際公開第2019/216266(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/087983(WO,A1)
【文献】特開昭63-055542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F220
C08F2
C08L33
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次のモノマー(A)と、モノマー(B)とを含むモノマー成分の共重合体、水及び界面活性剤を含む水性組成物。
(モノマー(A))
下記式(I):
【化1】
(式中、R1~R9はそれぞれ独立に、下記式(i-1):
【化2】
(式(i-1)中、R11はmが2以上の場合はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素数1~20の2価の炭化水素基を示し、R12は下記式(i-2):
【化3】
(式中、R12a、R12b、及びR12cはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~18の1価の炭化水素基を示し、Aはエステル基、アミド基及び芳香族基から選ばれる2価の基を示し、Xは、置換基を有していてもよい炭素数1~20の2価の炭化水素基を示す。)で表される1価の基を示す。mは0~3の整数を示す。)で表わされる1価の硫黄含有基、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~10の炭化水素基及びヒドロキシ基から選ばれる1価の基を示す。R1~R9のうち少なくとも1つは式(i-1)で表わされる1価の硫黄含有基である。)で表わされるベンゾトリアゾール化合物
(モノマー(B))
下記式:
【化4】
(式中、RA1~RA4のうち少なくとも1つはアルキル部分の炭素数が1~18のアルキルエステル基を示し、RA1~RA4のうちアルキルエステル基以外は、水素原子、炭素数1~18の炭化水素基から選ばれるいずれかの基である。)で表されるエステル基含有ビニルモノマー
【請求項2】
式(i-2)におけるXは、アルキレン基-(CH2n-(nは1以上の整数を示す。)又はフェニレン基である請求項1に記載の水性組成物。
【請求項3】
前記モノマー(B)に対する前記モノマー(A)のモル比(A)/(B)が0.03超である請求項1又は2に記載の水性組成物。
【請求項4】
前記界面活性剤がアニオン性又はカチオン性である請求項1~3のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の水性組成物の製造方法であって、乳化重合法により前記水性組成物を得る、水性組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収単位を含む共重合体及びその組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂部材は紫外線の作用により劣化し、変色や機械的強度の低下等の品質劣化を引き起こして長期の使用を阻害する。また、健康面において皮膚や眼への紫外線による悪影響を与えるため、透過光の波長を制御することが求められ、近年では、360~420nmの波長制御が要望されている。
【0003】
従来、紫外線吸収能を有する官能基としては、ベンゾトリアゾール骨格が知られている。特許文献1~5には、2-フェニルベンゾトリアゾール骨格に、アルキレン基やあるいは基端にエーテル酸素を導入したアルキレン基を介して、モノマーや樹脂との反応性を持つアクリロイルオキシ基を導入した化合物及びこれを用いた(共)重合体が開示されている。360~420nm付近の有害な波長の吸収効率は低い問題があった。また、(共)重合体の有機溶媒、水への溶解性、分散性については詳細に検討されていない。
【0004】
本発明者らは、特に、380~400nmまでの有害光を効率よく十分に吸収し、かつ初期の黄色化の要因となる400nm以上の波長光の吸収を抑制する紫外線吸収剤として、硫黄含有基を有する2-フェニルベンゾトリアゾール誘導体を提案した(特許文献6、7)。この紫外線吸収剤は、その光学的特性から、250~400nmまでの波長領域の光を十分に吸収することができ、しかも、紫外線吸収効果(モル吸光係数)が高く、少量の添加で、その波長光を効率よく吸収でき、更に、350~390nmの吸収ピークの傾きが従来の紫外線吸収剤よりも大きく400nm付近以上の波長光の吸収を抑制し、配合した部材の初期の黄色化を抑制することができる。実施例では2-フェニルベンゾトリアゾール骨格に硫黄原子を介してアリル基を結合した化合物を合成しているが、高分子量化を可能とする反応性、樹脂原料のモノマーへの溶解性には更に改良の余地があった。特許文献8では、樹脂原料のモノマーへの溶解性と反応性を改良した。実施例ではメタクリル酸メチル、スチレン、酢酸ビニル、ジメチルアクリルアミド、又はヘキサジエンとの共重合体を合成しているが、共重合体の各種有機溶媒との親和性、耐光性、ガラス転移点に着目した強度については記載されていない。また、近年、360~420nm付近の波長の吸収能を有し、高温条件での強度、長期安定性(耐光性)が高く、更に、長期に安定性が高く、樹脂への親和性が高い有機溶剤を含む共重合体組成物が、一方で、低環境負荷で人への安全性が高いとの観点で、共重合体水性組成物も求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-25811号公報
【文献】特開2000-119569号公報
【文献】特開2001-234072号公報
【文献】特開2002-226521号公報
【文献】特開2002-226522号公報
【文献】国際公開第2016/021664号
【文献】国際公開第2016/174788号
【文献】国際公開第2019/087983号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のように、長波長吸収に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収単位を含む共重合体について、長波長の紫外線を効率よく吸収する観点、更には有機溶媒との高い親和性、分散性による高安定性、高温時の強度、耐光性の観点で共重合体及びその組成物については十分な検討がされていない。
【0007】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、360~420nmの長波長の紫外線を効率良く吸収する共重合体を提供すること、加えて高い有機溶媒との親和性により有機溶媒との組み合わせにおいて高い溶解性、分散性から高安定性を示し、更に高温時の強度、耐光性に優れた共重合体及びその組成物を提供することを課題としている。一方で、低環境負荷、安全性の観点で水性組成物を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の共重合体は、次のモノマー(A)と、モノマー(B)とを含むことを特徴としている。
(モノマー(A))
下記式(I):
【0009】
【化1】
(式中、R1~R9はそれぞれ独立に、下記式(i-1):
【0010】
【化2】
【0011】
(式(i-1)中、R10は置換基を有していてもよい炭素数1~20の2価の炭化水素基を示し、R11はmが2以上の場合はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素数1~20の2価の炭化水素基を示し、R12は下記式(i-2):
【0012】
【化3】
【0013】
(式中、R12a、R12b、及びR12cはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~18の1価の炭化水素基を示し、Aはエステル基、アミド基及び芳香族基から選ばれる2価の基を示し、Xは、置換基を有していてもよい炭素数1~20の2価の炭化水素基を示す。)。で表される1価の基を示す。lは0又は1の整数を示し、mは0~3の整数を示す。)で表わされる1価の硫黄含有基、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~10の炭化水素基及びヒドロキシ基から選ばれる1価の基を示す。R1~R9のうち少なくとも1つは式(i-1)で表わされる1価の硫黄含有基である。)で表わされるベンゾトリアゾール化合物
(モノマー(B))
エステル基含有ビニルモノマー
本発明の組成物は、前記共重合体と有機溶媒を含む。
本発明の水性組成物は、前記共重合体、水及び界面活性剤を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明の共重合体及びその組成物は、360~420nmの長波長の紫外線を効率良く吸収する。加えて高い有機溶媒との親和性により有機溶媒との組み合わせにおいて高い溶解性、分散性から高安定性を示し、更に、優れた高温時の強度、耐光性を示す。一方で、界面活性剤を含む水性組成物とすることで低環境負荷、安全性が高い組成物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例である共重合体6のトルエン溶液の紫外-可視吸収スペクトル(UVチャート)である。
図2】比較例である共重合体26のトルエン溶液の紫外-可視吸収スペクトル(UVチャート)である。
図3】本発明の実施例である共重合体16の水分散液の紫外-可視吸収スペクトル(UVチャート)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明を詳細に説明する。
(モノマー(A))
本発明の共重合体において、モノマー(A)は、上記式(I)で表わされるベンゾトリアゾール化合物である。
[置換基等]
本発明において、置換基とは「芳香族基、不飽和基、窒素含有基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基」等の耐熱性、屈折率、融点、耐光性、樹脂に対する相溶性等を調整できる基が含まれ、例えば、次のものが挙げられる。
【0017】
芳香族基は、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等の芳香環を含み、炭素数が好ましくは6~18、より好ましくは6~14である。1価の芳香族基としては、特に限定されないが、例えば、フェニル基、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,5-ジメチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、2,4,5-トリメチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、4-ビフェニル基、2-メトキシフェニル基、3-メトキシフェニル基、4-メトキシフェニル基、2-エトキシフェニル基、3-エトキシフェニル基、4-エトキシフェニル基、2-クロロフェニル基、2-フルオロフェニル基、4-フルオロフェニル基、2-トリフルオロメチルフェニル基、4-トリフルオロメチルフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アントラセニル基、2-アントラセニル基、9-アントラセニル基等が挙げられる。2価の芳香族基としては、特に限定されないが、例えば、1,4-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,2-フェニレン基、1,8-ナフチレン基、2,7-ナフチレン基、2,6-ナフチレン基、1,4-ナフチレン基、1,3-ナフチレン基、9,10-アントラセニレン基、1,8-アントラセニレン基、2,7-アントラセニレン基、2,6-アントラセニレン基、1,4-アントラセニレン基、1,3-アントラセニレン基等が挙げられる。
【0018】
不飽和基は、炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合、炭素-酸素二重結合(カルボニル基、アルデヒド基、エステル基、カルボキシ基、カルバメート基、尿素基、アミド基、イミド基、カルバモイル基、ウレタン基等)、炭素-窒素二重結合(イソシアネート基等)、炭素-窒素三重結合(シアノ基、シアナト基等)等の炭素-炭素又は炭素-ヘテロ原子の不飽和結合を含み、炭素数が好ましくは1~10、より好ましくは1~8である。不飽和基としては、特に限定されないが、例えば、アクリロイル基、メタクロイル基、マレイン酸モノエステル基、スチリル基、アリル基、ビニル基、アルケニル基、アルキニル基、カルボニル基、アルデヒド基、エステル基、カルボキシ基、カルバメート基、尿素基、アミド基、イミド基、カルバモイル基、シアノ基、シアナト基、イソシアネート基、ウレタン基等が挙げられる。
【0019】
窒素含有基は、シアノ基、ニトロ基又は1~3級アミノ基を含み、炭素数が好ましくは0~10である。窒素含有基としては、特に限定されないが、例えば、シアノ基、シアナト基、イソシアネート基、ニトロ基、ニトロアルキル基、アミド基、尿素基、ウレタン基、イミド基、カルボジイミド基、アゾ基、ピリジン基、イミダゾール基、アミノ基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、アミノアルキル基、3,4,5,6-テトラヒドロフタルイミジルメチル基、2-[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル-)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール-イル]-メチル基等が挙げられる。
【0020】
硫黄含有基は、チオール基、チオエーテル基、スルフィド基、ジスルフィド基、チオエステル基、チオアミド基、スルホニル基、スルホ基、チオカルボニル基、又はチオ尿素基を含み、炭素数が好ましくは0~10である。硫黄含有基としては、特に限定されないが、例えば、チオメトキシ基、チオエトキシ基、チオ-n-プロポキシ基、チオイソプロポキシ基、チオ-n-ブトキシ基、チオ-t-ブトキシ基、チオフェノキシ基、p-メチルチオフェノキシ基、p-メトキシチオフェノキシ基、チオフェン基、チアゾール基、チオール基、スルホ基、スルフィド基、ジスルフィド基、チオエステル基、チオアミド基、スルホニル基、チオカルボニル基、チオ尿素基、チオカルバメート基、ジチオカルバメート基等が挙げられる。
【0021】
酸素含有基は、芳香環基又は脂環式基を含む場合には炭素数が好ましくは6~12、芳香環基又は脂環式基を含まない場合には炭素数が好ましくは0~18である。酸素含有基としては、特に限定されないが、例えば、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、ナフトキシ基、フェニルメトキシ基、フェニルエトキシ基、アセトキシ基、アセチル基、アルデヒド基、カルボキシ基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、オキサゾール基、モルホリン基、カルバメート基、カルバモイル基、ポリオキシエチレン基等が挙げられる。
【0022】
リン含有基は、ホスフィン基、ホスファイト基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、リン酸基、又はリン酸エステル基を含み、芳香環基又は脂環式基を含む場合には炭素数が好ましくは6~22、芳香環基又は脂環式基を含まない場合には炭素数が好ましくは0~6である。リン含有基としては、特に限定されないが、例えば、トリメチルホスフィン基、トリブチルホスフィン基、トリシクロヘキシルホスフィン基、トリフェニルホスフィン基、トリトリルホスフィン基、メチルホスファイト基、エチルホスファイト基、フェニルホスファイト基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、リン酸基、リン酸エステル基等が挙げられる。
【0023】
脂環式基は、炭素数が好ましくは3~10、より好ましくは3~8である。脂環式基としては、特に限定されないが、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基やこれらを骨格として含む基等が挙げられる。
【0024】
ハロゲン原子としては、特に限定されないが、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0025】
本発明において置換基としては、上に挙げた置換基の炭素に結合した水素原子をハロゲン原子に置換した基も挙げられる。
【0026】
前記の式(I)で表わされるベンゾトリアゾール化合物は、ベンゾトリアゾール系の骨格に結合するR1~R9の少なくともいずれかの位置に、前記の式(i-1)で表わされる1価の硫黄含有基を含む。
【0027】
式(i-1)において、R10は置換基を有していてもよい炭素数1~20、好ましくは1~10、より好ましくは1~5、更に好ましくは1~3の2価の炭化水素基を示す。
【0028】
10の2価の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。その中でも脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖又は分岐のアルキレン基、直鎖又は分岐のアルケニレン基、直鎖又は分岐のアルキニレン基等が挙げられる。特に限定されないが、例えば、メチレン基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、1-メチルエタン-1,2-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、2-メチルプロパン-1,3-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ペンタン-1,4-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、ウンデカン-1,11-ジイル基、ドデカン-1,12-ジイル基、トリデカン-1,13-イル基、テトラデカン-1,14-イル基、ペンタデカン-1,15-イル基、ヘキサデカン-1,16-イル基、ヘプタデカン-1,17-イル基、オクタデカン-1,18-イル基、ノナデカン-1,19-イル基、エイコサン-1,20-イル基等が挙げられる。これらの中でも、アルキレン基が好ましく、直鎖のアルキレン基がより好ましい。脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基としては、上述の[置換基等]に例示した脂環式基、芳香族基が挙げられる。
【0029】
2価の炭化水素基が、置換基を有する場合、置換基の数は、特に限定されないが、その例としては、2個以下、あるいは1個以下が挙げられる。
【0030】
前記置換基の具体例としては、前記[置換基等]の欄に例示したものが挙げられる。
【0031】
式(i-1)において、lは0又は1の整数を示し、好ましくは、lは0である。
【0032】
式(i-1)において、R11はmが2以上の場合はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素数1~20、好ましくは1~10、より好ましくは1~5、更に好ましくは1~3の2価の炭化水素基を示す。
【0033】
11の2価の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。その中でも脂肪族炭化水素基が好ましく、R10の2価の炭化水素基で前記に例示したものが挙げられる。これらの中でも、アルキレン基が好ましく、直鎖のアルキレン基がより好ましい。脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基としては、上述の[置換基等]に例示した脂環式基、芳香族基が挙げられる。
【0034】
11の2価の炭化水素基が、上述の1価もしくは2価の置換基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断される場合、前記1価もしくは2価の置換基の数は、特に限定されないが、その例としては、2個以下、あるいは1個以下が挙げられる。
【0035】
式(i-1)において、mは0~3の整数を示し、好ましくは、mは0又は1であり、より好ましくは、mは0である。
【0036】
式(i-1)において、R12は、上記式(i-2)で表される1価の基である。
【0037】
式(i-2)において、R12a、R12b、及びR12cはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~18の1価の炭化水素基を示す。
【0038】
炭素数1~18の1価の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。その中でも脂肪族炭化水素基が好ましい。脂肪族炭化水素基としては、直鎖又は分岐のアルキル基、直鎖又は分岐のアルケニル基、直鎖又は分岐のアルキニル基等が挙げられる。これらの中でも、直鎖又は分岐のアルキル基が好ましい。直鎖又は分岐のアルキル基としては、例えば、メチル基、エタン-1-イル基、プロパン-1-イル基、1-メチルエタン-1-イル基、ブタン-1-イル基、ブタン-2-イル基、2-メチルプロパン-1-イル基、2-メチルプロパン-2-イル基、ペンタン-1-イル基、ペンタン-2-イル基、ヘキサン-1-イル基、ヘプタン-1-イル基、オクタン-1-イル基、ノナン-1-イル基、デカン-1-イル基、ウンデカン-1-イル基、ドデカン-1-イル基、トリデカン-1-イル基、テトラデカン-1-イル基、ペンタデカン-1-イル基、ヘキサデカン-1-イル基、ヘプタデカン-1-イル基、オクタデカン-1-イル基等が挙げられる。脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基としては、上述の[置換基等]に例示した脂環式基、芳香族基が挙げられる。
【0039】
樹脂原料のモノマーとの反応性、溶解性を考慮すると、1価の炭化水素基は、好ましくは炭素数1~13、より好ましくは1~5、更に好ましくは1~3、特に好ましくは1である。また、好ましい態様は、(1) R12a、R12b、R12cが水素原子、(2) R12aが炭素数1~3の1価の炭化水素基、R12b、R12cが水素原子、(3) R12aが水素原子、R12bが炭素数1~13の1価の炭化水素基、R12cが水素原子である。特に、(1)のR12a、R12b、R12cが水素原子であるか、(2)のうちR12aが炭素数1の1価の炭化水素基、R12b、R12cが水素原子であるか、又は、(3)のうちR12aが水素原子、R12bが炭素数1の1価の炭化水素基、R12cが水素原子であるものが好ましく、高反応性の点から、(1) R12a、R12b、R12cが水素原子であるものがより好ましい。
【0040】
式(i-2)において、Aはエステル基、アミド基及び芳香族基から選ばれるいずれかの2価の基を示す。
【0041】
エステル基は-C(=O)O-又は-OC(=O)-であり、アミド基は-NHC(=O)-又は-C(=O)NH-である。芳香族基は、前記[置換基等]の欄に例示したものが挙げられ置換基を有してもよいが、1,4-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,2-フェニレン基が好ましく、1,4-フェニレン基がより好ましい。樹脂原料のモノマーとの反応性、溶解性を考慮すると、Aはエステル基が好ましく、その中でも、有機溶媒への分散性、溶解性、水への分散性、溶解性の観点から、Xに酸素原子が結合した-X-O-C(=O)-のエステル基がより好ましい。
【0042】
式(i-2)において、Xは、置換基を有していてもよい炭素数1~20の2価の炭化水素基を示す。2価の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。脂肪族炭化水素基としては、上述のR10の2価の炭化水素基で例示したものが挙げられ、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基としては、[置換基等]に例示した脂環式基、芳香族基が挙げられる。
【0043】
その中でも脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基が好ましい。これらの中でも、アルキレン基、フェニレン基が好ましく、直鎖のアルキレン基、フェニレン基がより好ましい。アルキレン基の炭素数は、有機溶媒への分散性、溶解性、水への分散性、溶解性の観点から炭素数は短い方が好ましく、1~18が好ましく、1~12がより好ましく、1~6が更に好ましい。
【0044】
2価の炭化水素基Xが、置換基を有する場合、置換基の数は、特に限定されないが、その例としては、2個以下、あるいは1個以下が挙げられる。置換基としては、前記[置換基等]の欄に例示したものが挙げられる。
【0045】
式(i-1)で表される1価の基として特に好ましい例としては、l、mが0であり、R12cは水素原子である次の式(i-1-1)、(i-1-2)、(i-1-3)で表される基が挙げられる。
【0046】
【化4】
(式中、R12a、R12b、A、nは前記と同義である。)
【0047】
【化5】
(式中、R12a、R12b、A、nは前記と同義である。)
【0048】
【化6】
(式中、R12a、R12b、Aは前記と同義である。)
【0049】
式(I)で表されるベンゾトリアゾール化合物をモノマー(単位)とした共重合体は、360~420nmの長波長紫外線吸収能に優れ、ベンゾトリアゾール成分がブリードアウト、溶出することなく、紫外線吸収能を長期間保持することができる。また、下記のモノマー(B)との組み合わせた共重合体は、高い有機溶媒との親和性により有機溶媒との組み合わせにおいて溶解性、分散性を示し、樹脂に対する親和性が良く、更に、優れた高温時の強度、耐光性を示す。
【0050】
式(I)で表されるベンゾトリアゾール化合物において、R1~R9のうち少なくとも1つは式(i-1)で表わされる1価の硫黄含有基である。その中でも、紫外線吸収能、有機溶剤との親和性、高温時の強度、高耐光性、実際の合成の容易性、吸収特性やコスト、耐熱性、あるいは、共重合体原料における他のモノマーとの相溶性を良好なものとすることで、高い紫外線吸収能の発現を可能とする点等を考慮すると、R1~R9のうち1~2個が式(i-1)で表わされる1価の硫黄含有基であることが好ましく、1個が式(i-1)で表わされる1価の硫黄含有基であることがより好ましい。
【0051】
式(I)における式(i-1)で表わされる1価の硫黄含有基の位置は、特に限定されるものではなく、式(i-1)で表される1価の硫黄含有基は、式(I)のR6~R9のうちのいずれかに有することが好ましく、R6、R9の位置がより好ましい。
【0052】
式(I)において、R1~R9が式(i-1)で表わされる1価の硫黄含有基以外の基である場合、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~10の炭化水素基及びヒドロキシ基から選ばれる1価の基を示す。
【0053】
1~R9が1価の炭化水素基である場合、この1価の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。その中でも脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖又は分岐のアルキル基、直鎖又は分岐のアルケニル基、直鎖又は分岐のアルキニル基等が挙げられる。具体的には、例えば、メチル基、エタン-1-イル基、プロパン-1-イル基、1-メチルエタン-1-イル基、ブタン-1-イル基、ブタン-2-イル基、2-メチルプロパン-1-イル基、2-メチルプロパン-2-イル基、ペンタン-1-イル基、ペンタン-2-イル基、2-メチルブタン-1-イル基、ヘキサン-1-イル基、2-メチルペンタン-1-イル基、3-メチルペンタン-1-イル基、ヘプタン-1-イル基、3-エチルペンタン-1-イル基、2-メチルヘキサン-イル基、3-メチルヘキサン-イル基、オクタン-1-イル基、2-メチルへプタン-1-イル基、3-メチルへプタン-1-イル基、4-メチルへプタン-1-イル基、2-エチルヘキサン-1-イル基、3-エチルヘキサン-1-イル基、1,1,3,3-テトラメチルブチルノナン-1-イル基、3-エチルへプタン-1-イル基、4-エチルヘプタン-1-イル基、2-メチルオクタン-1-イル基、3-メチルオクタン-1-イル基、4-メチルオクタン-1-イル基、デカン-1-イル基、4-プロピルへプタン-1-イル基、3-エチルオクタン-1-イル基、4-エチルオクタン-1-イル基、ウンデカン-1-イル基、ドデカン-1-イル基、2-メチルウンデカン-1-イル基、2-エチルデカン-1-イル基、トリデカン-1-イル基、テトラデカン-1-イル基、ペンタデカン-1-イル基、ヘキサデカン-1-イル基、ヘプタデカン-1-イル基、オクタデカン-1-イル基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1~8の直鎖又は分岐のアルキル基が好ましく、炭素数1~4の直鎖又は分岐のアルキル基がより好ましい。
【0054】
前記置換基の具体例としては、前記[置換基等]の欄に例示したものが挙げられる。
【0055】
式(I)において、5位のR9に式(i-1)で表わされる1価の硫黄含有基を有する場合、式(i-1)で表わされる1価の硫黄含有基以外の基として、R6、R7、R8がいずれも水素原子であることが好ましい。また、R1、R2、R3、R4、R5の組み合わせのうち好ましい例を挙げると次のとおりである。
【0056】
[1] 炭素数1~18の炭化水素基(アルケニル基、アルキニル基を含む炭素数2~18の炭化水素基を含む。)、ヒドロキシ基、炭素数6~18の芳香族基、炭素数1~18のエーテル基、炭素数1~18のアルコキシ基、炭素数1~18のエステル基、(メタ)アクリロイルオキシ基及び/又は炭素数1~20のポリオキシエチレン基、又はそれらの置換基で水素原子が置換されるか、基端が中断されるか炭素-炭素結合が中断されてもよい炭素数1~18の炭化水素基から選ばれる置換基を1つ以上含む。
[2] [1]において、置換基が炭素数1~10の炭化水素基、及びヒドロキシ基から選ばれる少なくとも1種である。
[3] [2]において、置換基が炭素数1~8の炭化水素基、及びヒドロキシ基から選ばれる少なくとも1種である。
[4] [1]~[3]のいずれかにおいて、置換基の炭化水素基が直鎖又は分岐のアルキル基である。
[5] [4]において、置換基がメチル基、t-ブチル基、及びヒドロキシ基から選ばれる少なくとも1種である。
[6] [5]において、置換基がメチル基、t-ブチル基、及びヒドロキシ基から選ばれる少なくとも1種であり、かつヒドロキシ基は1つ以下である。
[7] [1]から[6]のいずれかにおいて、置換基の数が2~4個である。
[8] [1]から[7]のいずれかにおいて、R1~R4のいずれかの位置に置換基を有し、それ以外のR1~R5は水素原子である。
[9] [1]から[8]のいずれかにおいて、R1、R2、R4のいずれかの位置に置換基を有し、それ以外のR1~R5は水素原子である。
[10] [9]において、R1はヒドロキシ基、R2はt-ブチル基、R4はメチル基であり、R3、R5は水素原子である。
【0057】
モノマー(A)はベンゾトリアゾール骨格に硫黄含有基が結合した構造から、紫外線吸収能の特性から430~500nm(可視域)の吸収を抑制しながら、360~420nm付近の紫外線をシャープにカットすることが可能である。このため、本発明の共重合体及び共重合体を用いた樹脂部材は、黄色着色が抑制し、外観に優れ、250~420nmまでの波長領域の光を十分吸収することができる。360~420nmの波長を効率良く吸収するためには、共重合体の光の最大吸収波長は350~390nmにあることが好ましく、360~380nmにあることがより好ましく、特に360~375nmにあることが好ましい。また、黄色抑制効果の点で、330~390nmの波長領域にある吸収ピークの長波長側の傾きはシャープの方が好ましく、例えば、モノマー(A)/モノマー(B)=1の時の共重合体濃度(固形分)が0.04質量%の場合、その傾きは0.015以上が好ましく、0.02以上がより好ましい。
【0058】
式(I)で表わされるベンゾトリアゾール化合物の製造方法は、特に限定されないが、後述の実施例の開示と公知の技術が参照される。
【0059】
(モノマー(B))
モノマー(B)は、エステル基含有ビニルモノマーである。
エステル基含有ビニルモノマーは、RA1A2C=CRA3A4で表され、RA1~RA4のうち少なくとも1つ、好ましくは1つがエステル基である。RA1~RA4のうちエステル基含有基以外は、水素原子、炭素数1~18の炭化水素基から選ばれるいずれかの基である。炭化水素基は、アルキル基が好ましく、エステル基含有基以外は、水素原子、炭素数が1~4が好ましく、水素原子、炭素数1がより好ましい。
【0060】
エステル基含有ビニルモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。水との親和性を考慮するとエステル基におけるアルキル部分の炭素数は1~18が好ましく、1~12がより好ましく、1~8が更に好ましく、1~4が特に好ましく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0061】
モノマー(B)は、本発明の共重合体に高い有機溶媒、樹脂との親和性、更に、優れた高温時の強度、耐光性を付与する。
【0062】
本発明の共重合体には、モノマー(A)、(B)以外に、その他のモノマーを用いることができる。このようなモノマーとしては、特に限定されないが、スチレン系モノマー、アクリルアミド系モノマー、オレフィン系モノマー、ビニル系モノマーが挙げられる。
【0063】
スチレン系モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、イソブチルスチレン、t-ブチルスチレン、s-ブチルスチレン、ペンチルスチレン、へキシルスチレン、へプチルスチレン、オクチルスチレン等のアルキルスチレン;クロロスチレン、フルオロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン等のハロゲン化スチレン;p-メトキシスチレン等のアルコキシスチレン;p-フェニルスチレン等のアリールスチレン;スチレンスルホン酸又はその塩、ニトロスチレン、アミノスチレン、ヒドロキシスチレン、4-(卜リメトキシシリル)スチレン等が挙げられる。
【0064】
アクリルアミド系モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、(メタ)N,N-ジエチルアクリルアミド、(メタ)N,N-ジプロピルアクリルアミド、(メタ)N,N-ジイソプロピルアクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビスヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビスヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビスヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシプチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビスヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0065】
オレフィン系モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-へキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、4-フェニル-1-ブテン、6-フェニル-1-へキセン、3-メチル-1-ブテン、4-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-へキセン、4-メチル-1-へキセン、5-メチル-1-へキセン、3,3-ジメチル-1-ペンテン、3,4-ジメチル-1-ペンテン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、ビニルシクロへキサン、へキサフルオロプロペン、テトラフルオロエチレン、2-フルオロプロペン、フルオロエチレン、1,1-ジフルオロエチレン、3-フルオロプロペン、トリフルオロエチレン、3,4-ジクロロ-1-ブテン、ブタジエン、へキサジエン、イソプレン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、アセチレン等が挙げられる。
【0066】
ビニル系モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルアルコール、アリルアルコール、(メタ)アクリロニトリル、メタクリロニトリル、N-ビニルピロリドン、塩化ビニル、臭化ビニル、ヨウ化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニリデン、ヨウ化ビニリデン、ビニルスルホン酸及びその塩、メタリルスルホン酸及びその塩、2-アクリルアミド-2-メチルスルホン酸及びその塩等、N-ビニル-2-ピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリン、N-ビニルピペリドン、N-ビニルピペラジン、N-ビニルピロール、N-ビニルイミダゾール、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、桂皮酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、シトラコン酸、シトラコン酸モノエステル等が挙げられる。
【0067】
(共重合体)
以下、本発明の共重合体について説明する。
本発明の共重合体は、モノマー(A)と、モノマー(B)とを含むモノマー成分の共重合体である。
【0068】
本発明の共重合体は、モノマー成分がビニル基又は、アルキニル基で重合した共重合体である。従って各種類のモノマーを由来とする構成単位、つまり繰り返し単位が結合した構造を持つ。具体的には、各種類のモノマーのビニル基又は、エチニル基が重合した主鎖と、これらのモノマーが持つ基、例えばモノマー(A)の紫外線吸収基、モノマー(B)等の官能基、側鎖等を有している。共重合体としては、特に限定されず、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体とすることができる。典型的には各種類のモノマーがランダムに重合したランダム共重合体である。
【0069】
本発明の共重合体の製造方法は、下記に示し、特に限定されないが、例えば、溶液重合法、塊状重合法、乳化重合法、懸濁重合法等が挙げられ、溶液重合法が好ましい。
【0070】
本発明の共重合体において、有機溶剤との親和性、紫外線吸収能の点から共重合体のモノマー成分の構成について、モノマー(A)と(B)とのモル比(A)/(B)は、0.01超が好ましく、0.02超がより好ましく、0.03超が更に好ましく、0.04超が特に好ましい。
【0071】
モノマー(A)と(B)とのモル比(A)/(B)が0.03未満の場合、共重合体の透明性が上がり、また、有機溶媒を含む組成物の粘度は低下し、ハンドリングが向上する。一方で、その共重合体と水との組成物においては、親水性が上がり、分散、溶解性が向上する。
本発明の共重合体において、モノマー(A)と(B)の合計モル比は、特に限定されないが、全モノマーを基準として90モル%以上、80モル%以上、又は50モル%以上であってよい。
【0072】
(共重合体と有機溶媒を含む組成物)
本発明の共重合体と有機溶媒を含む組成物は、本発明の共重合体と、有機溶剤とを含む、溶液、分散液又は乳化物の組成物である。本発明の共重合体は有機溶剤に対して高い親和性を持ち、特に溶液、分散液の組成物とすることができる。製造方法は、下記に示すが、特に限定されないが、例えば、溶液重合法、塊状重合法、乳化重合法、懸濁重合法が挙げられ、溶液重合法が好ましい。
【0073】
重合法は、特に限定されないが、例えば、モノマーと有機溶剤の溶液に重合開始剤を添加、重合し、組成物を得る。
【0074】
本発明の組成物に用いる有機溶剤としては、特に限定されないが、例えば、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、グリコールエーテル系溶媒、グリコールエーテルエステル系溶媒、テルペン系溶媒、アルコール系溶媒、フッ素系溶媒、アミド系溶媒、硫黄系溶媒、エーテル系溶媒等が挙げられる。
【0075】
芳香族炭化水素系溶媒としては、特に限定されないが、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、3-イソプロピルビフェニル、1,2,3,4-テトラメチルベンゼン、1,4-ジイソプロピルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、メチルナフタレン等、脂肪族炭化水素系溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等、ケトン系溶媒としては、特に限定されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等、エステル系溶媒としては、特に限定されないが、例えば、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、γ-ブチロラクトン等、グリコールエーテル系溶媒としては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノn-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノn-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノn-ブチルエーテル等、グリコールエーテルエステル系溶媒としては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルアセテート、エチレングリコールモノn-ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノn-ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノn-プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノn-ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノn-プロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノn-ブチルエーテルアセテート等が挙げられる。テルペン系溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、ターピニルアセテート、ジヒドロターピニルアセテート等、アルコール系溶媒としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、2-プロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール等、フッ化炭素溶媒としては、特に限定されないが、例えば、フルオロアルカン類としてドデカフルオロペンタン、テトラデカフルオロヘキサン等が、フッ素アルコール類としては、特に限定されないが、例えば、2,2,3,3-テトラフルオロ-1-プロパノール(TFP)、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンタノール(OFP)、2-(パーフルオロオクチル)エタノール、1,1,2,2-テトラヒドロヘプタデカフルオロデカノール、1,1,2,2-テトラヒドロパーフルオロデカノール、2-(ヘプタデカフルオロオクチル)エタノールが、更に、フルオロエーテル類としては、特に限定されないが、例えば、ハイドロフルオロエーテル(例えば、エチルノナフルオロブチルエーテル(C49OC25)、メチルノナフルオロブチルエーテル(C49OCH3)、メチルトリデカフルオロヘキシルエーテル(C613OCH3)、C3HF6-CH(CH3)O-C3HF6を含む)等が挙げられる。
【0076】
アミド系溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルリン酸トリアミド等が挙げられる。
【0077】
硫黄系溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、ジエチルジスルフィド等が挙げられる。
【0078】
エーテル系溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、4-メチルテトラヒドロピラン、メチル-tert-ブチルエーテル、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、シクロペンチルメチルエーテル等が挙げられる。
【0079】
また、これらの有機溶剤を2種類以上で組み合わせて使用しても良く、本発明の共重合体との親和性、産業上の優位性より、芳香族炭化水素系溶媒、炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、アルコール系溶媒、アミド系溶媒、硫黄系溶媒、エーテル系溶媒また、それらの2種類以上で組み合わせた混合溶剤が好ましく、その中でも、芳香族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒を含む2種類以上組み合わせの混合溶剤、ケトン系溶媒がより好ましく、芳香族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒を含む2種類以上組み合わせの混合溶剤が更に好ましく、芳香族炭化水素系溶媒が特に好ましい。
【0080】
本発明の有機溶媒を含む組成物における、本発明の共重合体の含有量(固形分)は、有機溶剤との親和性の点を考慮すると、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましい。
(水性組成物)
【0081】
本発明の水性組成物は、本発明の共重合体、水及び界面活性剤を含む分散液の水性組成物である。本発明の水性組成物の製造方法は、下記に示し、特に限定されないが、例えば、溶液重合法、塊状重合法、乳化重合法、懸濁重合法が挙げられ、乳化重合法、懸濁重合法が好ましく、乳化重合法がより好ましい。
【0082】
重合法は、特に限定されないが、例えば、モノマー、界面活性剤、水で乳化物とし、重合開始剤を添加、重合し、水性組成物を得る。
【0083】
本発明の水性組成物に含まれる界面活性剤は、特に限定されず、一般的な界面活性剤を使用することができる。界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性イオン界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤から適宜選択して用いることができ、その中でも、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤が好ましい。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0084】
カチオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、モノアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、N,N-ジアルキロイルオキシエチル-N-メチル、N-ヒドロキシエチルアンモニウム塩、アルキルアミン塩、ステアリルジメチルベンジルアンモニウム塩等が挙げられる。モノアルキルトリメチルアンモニウム塩としては、特に限定されないが、例えば、ブチルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルトリメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ブチルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキシルトリメチルアンモニウムブロミド、オクチルトリメチルアンモニウムブロミド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。ジアルキルジメチルアンモニウム塩としては、特に限定されないが、例えば、ジブチルジメチルアンモニウムクロリド、ジヘキシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロリド、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジテトラデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジブチルジメチルアンモニウムクロリド、ジヘキシルジメチルアンモニウムブロミド、ジオクチルジメチルアンモニウムブロミド、ジデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジドデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジテトラデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジステアリルジメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。アルキルピリジニウム塩としては、特に限定されないが、例えば、1-ヘキサデシルピリジニウムクロリド等が挙げられる。
【0085】
アニオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸塩、N-アシルアミノ酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルホスホン酸又はその塩、アルキルアミドリン酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、脂肪酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、リン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、N-アシル-L-グルタミン酸塩、N-アシル-L-アルギニンエチル-DL-ピロリドンカルボン酸塩等が挙げられる。具体的には、特に限定されないが、例えば、デオキシコール酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、1,2-ジヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0086】
非イオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンステロール・水素添加ステロール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ソルビタン脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0087】
ポリグリセリン脂肪酸エステル類としては、特に限定されないが、例えば、モノラウリン酸ヘキサグリセリル(HLB14.5)、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル(HLB11)、モノステアリン酸ヘキサグリセリル(HLB9.0)、モノオレイン酸ヘキサグリセリル(HLB9.0)、モノラウリン酸デカグリセリル(HLB15.5)、モノミリスチン酸デカグリセリル(HLB14.0)、モノステアリン酸デカグリセリル(HLB12.0)、モノイソステアリン酸デカグリセリル(HLB12.0)、モノオレイン酸デカグリセリル(HLB12.0)、ジステアリン酸デカグリセリル(HLB9.5)、ジイソステアリン酸デカグリセリル(HLB10.0)、ペンタイソステアリン酸デカグリセリル(HLB3.5)、ペンタオレイン酸デカグリセリル(HLB3.5)等が挙げられる。
【0088】
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類としては、特に限定されないが、例えば、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(以下、POEと略す)(5)グリセリル(HLB9.5)、モノステアリン酸POE(15)グリセリル(HLB13.5)、モノオレイン酸POE(5)グリセリル(HLB9.5)、モノオレイン酸POE(15)グリセリル(HLB14.5)等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類、モノヤシ油脂肪酸POE(20)ソルビタン(HLB16.9)、モノパルミチン酸POE(20)ソルビタン(HLB15.6)、モノステアリン酸POE(20)ソルビタン(HLB14.9)、モノステアリン酸POE(6)ソルビタン(HLB9.5)、トリステアリン酸POE(20)ソルビタン(HLB10.5)、モノイソステアリン酸POE(20)ソルビタン(HLB15.0)、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン(HLB15.0)、モノオレイン酸POE(6)ソルビタン(HLB10.0)、トリオレイン酸POE(20)ソルビタン(HLB11.0)等が挙げられる。
【0089】
ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類としては、特に限定されないが、例えば、モノラウリン酸POE(6)ソルビット(HLB15.5)、テトラステアリン酸POE(60)ソルビット(HLB13.0)、テトラオレイン酸POE(30)ソルビット(HLB11.5)、テトラオレイン酸POE(40)ソルビット(HLB12.5)、テトラオレイン酸POE(60)ソルビット(HLB14.0)、テトラオレイン酸POE(6)ソルビット(HLB8.5)、ヘキサステアリン酸POE(6)ソルビット(HLB3.0)等が挙げられる。
【0090】
ポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体類としては、特に限定されないが、例えば、POE(10)ラノリン(HLB12.0)、POE(20)ラノリン(HLB13.0)、POE(30)ラノリン(HLB15.0)、POE(5)ラノリンアルコール(HLB12.5)、POE(10)ラノリンアルコール(HLB15.5)、POE(20)ラノリンアルコール(HLB16.0)、POE(40)ラノリンアルコール(HLB17.0)、POE(20)ソルビットミツロウ(HLB9.5)、POE(6)ソルビットミツロウ(HLB7.5)等が挙げられる。
【0091】
ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油類としては、特に限定されないが、例えば、POE(20)ヒマシ油(HLB10.5)、POE(40)ヒマシ油(HLB12.5)、POE(50)ヒマシ油(HLB14.0)、POE(60)ヒマシ油(HLB14.0)、POE(20)硬化ヒマシ油(HLB10.5)、POE(30)硬化ヒマシ油(HLB11.0)、POE(40)硬化ヒマシ油(HLB13.5)、POE(60)硬化ヒマシ油(HLB14.0)、POE(80)硬化ヒマシ油(HLB16.5)、POE(40)硬化ヒマシ油(100)硬化ヒマシ油(HLB16.5)、POE(3)ヒマシ油(HLB3.0)等が挙げられる。
【0092】
ポリオキシエチレンステロール・水素添加ステロール類としては、特に限定されないが、例えば、POE(5)フィトステロール(HLB9.5)、POE(10)フィトステロール(HLB12.5)、POE(20)フィトステロール(HLB15.5)、POE(30)フィトステロール(HLB18.0)、POE(25)フィトスタノール(HLB14.5)、POE(30)コレスタノール(HLB17.0)等が挙げられる。
【0093】
ポリオキシエチレンアルキルエーテル類としては、特に限定されないが、例えば、POE(2)ラウリルエーテル(HLB9.5)、POE(4.2)ラウリルエーテル(HLB11.5)、POE(9)ラウリルエーテル(HLB14.5)、POE(5.5)セチルエーテル(HLB10.5)、POE(7)セチルエーテル(HLB11.5)、POE(10)セチルエーテル(HLB13.5)、POE(15)セチルエーテル(HLB15.5)、POE(20)セチルエーテル(HLB17.0)、POE(23)セチルエーテル(HLB18.0)、POE(4)ステアリルエーテル(HLB9.0)、POE(20)ステアリルエーテル(HLB18.0)、POE(7)オレイルエーテル(HLB10.5)、POE(10)オレイルエーテル(HLB14.5)、POE(15)オレイルエーテル(HLB16.0)、POE(20)オレイルエーテル(HLB17.0)、POE(50)オレイルエーテル(HLB18.0)、POE(10)ベヘニルエーテル(HLB10.0)、POE(20)ベヘニルエーテル(HLB16.5)、POE(30)ベヘニルエーテル(HLB18.0)、POE(2)(C12-15)アルキルエーテル(HLB9.0)、POE(4)(C12-15)アルキルエーテル(HLB10.5)、POE(10)(C12-15)アルキルエーテル(HLB15.5)、POE(5)2級アルキルエーテル(HLB10.5)、POE(7)2級アルキルエーテル(HLB12.0)、POE(9)アルキルエーテル(HLB13.5)、POE(12)アルキルエーテル(HLB14.5)、POE(2)ステアリルエーテル(HLB4.0)等が挙げられる。
【0094】
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレン(以下、POEと略す)(1)ポリオキシプロピレン(以下、POPと略す)(4)セチルエーテル(HLB9.5)、POE(10)POP(4)セチルエーテル(HLB10.5)、POE(20)POP(8)セチルエーテル(HLB12.5)、POE(20)POP(6)デシルテトラデシルエーテル(HLB11.0)、POE(30)POP(6)デシルテトラデシルエーテル(HLB12.0)等が挙げられる。
【0095】
ポリエチレン・プロピレングリコール脂肪酸エステル類としては、特に限定されないが、例えば、モノラウリン酸ポリエチレングリコール(以下、PEGと略す)(10)(HLB12.5)、モノステアリン酸PEG(10)(HLB11.0)、モノステアリン酸PEG(25)(HLB15.0)、モノステアリン酸PEG(40)(HLB17.5)、モノステアリン酸PEG(45)(HLB18.0)、モノステアリン酸PEG(55)(HLB18.0)、モノオレイン酸PEG(10)(HLB11.0)、ジステアリン酸PEG(HLB16.5)、ジイソステアリン酸PEG(HLB9.5)、モノステアリン酸PEG(2)(HLB4.0)、ステアリン酸PEG(2)(HLB4.5)、モノステアリン酸エチレングリコール(HLB3.5)、自己乳化型モノステアリン酸プロピレングリコール(HLB4.0)等が挙げられる。
【0096】
イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル類としては、特に限定されないが、例えば、イソステアリン酸PEG(8)グリセリル(HLB10.0)、イソステアリン酸PEG(10)グリセリル(HLB10.0)、イソステアリン酸PEG(15)グリセリル(HLB12.0)、イソステアリン酸PEG(20)グリセリル(HLB13.0)、イソステアリン酸PEG(25)グリセリル(HLB14.0)、イソステアリン酸PEGグリセリル(30)(HLB15.0)、イソステアリン酸PEG(40)グリセリル(HLB15.0)、イソステアリン酸PEG(50)グリセリル(HLB16.0)、イソステアリン酸PEG(60)グリセリル(HLB16.0)等が挙げられる。
【0097】
ソルビタン脂肪酸エステル類としては、特に限定されないが、例えば、トリステアリン酸ソルビタン(HLB2.0)、セスキイソステアリン酸ソルビタン(HLB4.5)、モノステアリンソルビタン(HLB4.7)、モノイソステアリン酸ソルビタン(HLB5.0)、モノオレイン酸ソルビタン(HLB4.3)等が挙げられる。
【0098】
グリセリン脂肪酸エステル類としては、特に限定されないが、例えば、ミリスチン酸グリセリル(HLB3.5)、モノステアリン酸グリセリル(HLB4.0)、モノオレイン酸グリセリル(HLB2.5)、トリステアリン酸ヘキサグリセリル(HLB2.5)、自己乳化型モノステアリン酸グリセリル(HLB4.0)、モノイソステアリン酸グリセリル(HLB4.0)、ペンタステアリン酸デカグリセリル(HLB3.5)等が挙げられる。
【0099】
ジグリセリン脂肪酸エステル類としては、特に限定されないが、例えば、モノオレイン酸ジグリセリル(HLB5.5)等が挙げられる。その他、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ヒマシ油脂肪酸エステル、硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、有機酸モノグリセライド、ポリエチレングリコール脂肪酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレンラノリンアルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ラウリン酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油ピログルタミン酸脂肪酸ジエステル、ピログルタミン酸脂肪酸グリセリル、ポリオキシエチレングリセリルピログルタミン酸脂肪酸ジエステル、ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。
【0100】
両性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アルキルベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、レシチン、水添レシチン、アルキルオキシヒドロキシプロピルアルギニン塩酸塩、ラウリルヒドロキシスルタイン、ラウリミノジプロピオン酸、ウンデシルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ラウリルアミノジフ酢酸ナトリウム、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、N-[3-アルキルオキシ-2-ヒドロキシプロピル]-L-アルギニン塩酸塩、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルアミノジプロピオン酸ナトリウム、ジヒドロキシアルキルメチルグリシン、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム等が挙げられる。
【0101】
シリコーン系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、PEG-10ジメチコン、PEG/PPG-20/20 ジメチコン、ポリシリコーン-13、ラウリルポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン等が挙げられる。
【0102】
分散液の安定性の観点から、上記界面活性剤の中でもカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤が好ましい。
【0103】
また、有機溶剤を用いる場合は、上記に挙げたものを用いることができる。
【0104】
本発明の水性組成物における、本発明の共重合体の含有量(固形分)は、分散の安定性の点を考慮すると、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましい。
【0105】
水性組成物の分散液の安定性の点から共重合体のモノマー成分の構成について、モノマー(A)と(B)とのモル比(A)/(B)は、0.10未満が好ましく、0.05未満がより好ましく、0.03未満が更に好ましく、0.02以下が特に好ましい。また、紫外線吸収能の観点から(A)/(B)は0.005以上が好ましく、0.01以上がより好ましく、0.02以上が更に好ましい。安定性、紫外線吸収能の双方の観点からは、(A)/(B)は0.005以上0.05未満がより好ましく、0.005以上0.03未満が更に好ましく、0.005以上0.02以下が特に好ましい。
【0106】
(用途)
以上に説明した本発明の共重合体は、360~420nmの長波長の紫外線を効率良く吸収することから、様々な分野で利用でき、特に日光又は紫外線を含む光に晒される可能性のある用途に特に好適に使用できる。例えば、ガラス代替品、窓ガラス、採光ガラス及び光源保護ガラス等のガラスのコーティング剤や保護剤、蛍光灯、水銀灯等の紫外線を発する光源用部材、食品、薬品等の容器又は包装材、農工業用シート、印刷物、染色物、染顔料、表示板、表示灯、カード等の退色防止剤等を挙げることができる。
【0107】
中でも、本発明の共重合体及びその組成物は、マトリックスの透明性を維持しつつ、紫外線吸収能や、高屈折率の付与が可能である点から、特に光学材料、光学層を形成するコーティング剤に用いることができ、例えば、機能性の光学層、光学層を有するフィルムや部材、光学成形品に好適である。
【0108】
機能性の光学層を有するフィルムや部材としては、単層フィルムや、基材フィルム又は基板に、各種用途に応じた1層又は複層の光学層が設けられた多層フィルムや光学層付き基板でもよく、複層の光学層が設けられる場合にはその少なくとも1層に本発明の重合体が使用される。
【0109】
機能性の光学層を有するフィルムや部材のうち、光学フィルムとしては、基材フィルムに各種用途に応じた機能層が設けられたものであってもよく、特に限定されないが、例えば、各種光ディスク基板保護フィルム、反射フィルム、反射防止フィルム、配向フィルム、偏光フィルム、偏光層保護フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルム、視野角向上フィルム、電磁波シールドフィルム、防眩フィルム、遮光フィルム及び輝度向上フィルム等が挙げられる。
【0110】
機能性の光学層を有する部材としては、パネル基板等の表面に、反射防止層、ハードコート層、帯電防止層、密着安定層、保護層、電磁波シールド層、赤外線カット層等の少なくともいずれかを、1層又は複層で積層した部材等が挙げられる。
【0111】
また本発明の共重合体は、太陽電池用表面保護フィルムに好適である。太陽電池素子は通常、一対の基板の間に、太陽電池として働く活性層が設けられた構成をしているが、フレキシブルな太陽電池は、その部材として用いられるガスバリアフィルム等のポリエステル材料や、有機太陽電池においては活性層そのものが、紫外線を吸収して劣化してしまうため、紫外線吸収性の保護フィルムを必要とする。また、太陽電池は、屋外で、永年に渡って設置されるため、このような保護フィルムには、高い耐候性が求められる。更に、太陽電池は、光エネルギーを吸収して電力に変換することから、このような保護フィルムには、高い透明性が求められる。すなわち、フレキシブルな太陽電池を保護するための保護フィルムは、高い透明性、高い紫外線吸収能、高い耐候性、及びフレキシブル性が求められるが、本発明の共重合体はこのような用途に適している。
【0112】
また本発明の共重合体及びその組成物は、眼鏡用プラスチックのレンズ素子、コンタクトレンズ、光ピックアップレンズ、カメラ用レンズ及びレンチキュラーレンズ等の光学レンズ、プリズム、フィルター、並びにタッチパネル用基板及び導光板等の光学基板、光ファイバー、情報記録基盤等の光学層、光学成形品に好適に用いることができる。光学レンズとしては、フレネルレンズフィルム、レンチキュラーレンズフィルム等のレンズフィルムのようなプラスチックレンズや、小型化した光学機能素子で集光性や光拡散性を高める目的や撮像素子の受光素子への集光等の目的で使用される、数μmサイズの微小径のマイクロレンズを使用したマイクロレンズアレイにも好適である。また、コーティング剤として、上記用途の光学層の形成にも好適である。
【0113】
また本発明の共重合体及びその組成物は、ディスプレイ用基板、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、電子ペーパー等のフラットパネルディスプレイ用基板又は液晶ディスプレイ、信号、ネオンサイン等のバックライト用基板等にも好適である。
【0114】
また、本発明の共重合体及びその組成物は、優れた紫外線吸収能を有し、紫外線吸収能によって安定化、機能化することが求められる分野、特に限定されないが、例えば、染料、顔料、色素、インク、塗料、医薬品、表面コーティング、化粧品、香粧品、写真材料、織物等にも用いることができる。
【0115】
以上の用途において、本願の共重合体及びその組成物は、有機溶剤への親和性が高く、例えば、樹脂等への親和性が高く、一方で、本願の水性組成物は、有機溶剤を用いることなく水分散液の状態で安定性が高く、低環境負荷で人への安全性が高く、有用性が高い。また、高温時の強度が高く、上記の用途にて本願共重合体を高温度時で使用する際、また、耐光性が高く、長期で光に晒される際、安定に優れ、好適である。
【実施例
【0116】
以下に、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
1.モノマー
下記モノマーを用い、共重合体を合成した。
モノマーA1は、国際公開第2019/087983号に記載の方法で合成した。モノマーA2、3は、以下に示す方法で合成した。表1~4中のそれぞれのモノマーは、東京化成工業(株)の試薬メタクリル酸メチル、2-[2-ヒドロキシ-5-[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]フェニル]-2H-ベンゾトリアゾールを用いた。
モノマー(A)
【0117】
【化7】
【0118】
【化8】
【0119】
【化9】
【0120】
<モノマーA2>
2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(50g、0.16mol)、3-メルカプト-1-プロパノール(22g、0.24mol)、炭酸カリウム(48g、0.35mol)を、DMF125g中で、12時間加熱撹拌を行った。反応終了後、イオン交換水を加え、濾過、精製をすることで、黄色固体の中間体1を得た。
【0121】
得られた中間体1(59g、0.16mol)、ピリジン(16g、0.21mol)及びアクリル酸クロリド(17g、0.19mol)をトルエン100g中で、3時間室温で反応を行った。反応終了後、精製することで、淡黄色固体のモノマーA2を合成した。
FT-IR(KBr):2956cm-1:O-H伸縮振動 1726cm-1:C=O伸縮振動 1485, 1392cm-1:トリアゾール環伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ 1.49 (S, 9H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3) , 2.11 (quin, 2H, -O-CH2CH 2CH2-S-) , 2.39 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3) , 3.13 (t, 2H, -O-CH2CH2CH 2-S-), 4.32 (t, 2H, -O-CH 2CH2CH2-S-), 5.85 (d, 1H, CH 2=CH-C(=O)-O-), 6.14 (quin, 1H, CH2= CH-C(=O)-O-), 6.42 (d, 1H, CH 2=CH-C(=O)-O-), 7.17 (s, 1H), 7.40 (d, 1H), 7.76 (s, 1H), 7.82 (d, 1H), 8.05 (s, 1H), (insg.5arom. CH), 11.58 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3 400MHz): δ 20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 28.0 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3) , 29.9 (-O-CH2 CH2CH2-S), 35.4 (-O-CH2CH2 CH2-S), 62.8 (-O-CH2CH2CH2-S), 114.6, 117.8, 119.3, 128.9, 129.4 (CHarom), 125.4, 141.4, 143.3 (C arom), 128.3 (Carom-CH3), 136.8 (C arom-S), 139.2 (C arom-C(CH3)3), 146.7(C arom-OH), 128.3 (CH2=CH -C(=O)-O-), 131.1 (CH2=CH-C(=O)-O-), 166.1 (CH2=CH-C(=O)-O-)
【0122】
<モノマーA3>
2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(5.6g、18mmol)、4-ヒドロキシベンゼンチオール(2.9g 23mmol)、炭酸カリウム(5.4g、39mmol)を、DMF17g中で、8時間、加熱撹拌を行った。反応終了後、イオン交換水を加え結晶を析出させ、濾過、精製をすることで、黄色固体の中間体2を得た。
【0123】
得られた中間体2(7.2g、18mmol)、ピリジン(1.8g、23mmol)及びアクリル酸クロリド(1.9g、21mmol)をトルエン20g中で、3時間室温で反応を行った。反応終了後、精製することで、淡黄色固体のモノマーA3を合成した。
FT-IR(KBr):2959cm-1:O-H伸縮振動 1747cm-1:C=O伸縮振動 1487, 1403cm-1:トリアゾール環伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ 1.48 (s, 9H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3) , 2.37 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3 -C(CH3)3), 6.04 (d, 1H, CH 2=CH-C(=O)-O-), 6.34 (quin, 1H, CH2= CH-C(=O)-O-), 6.61 (d, 1H, CH 2=CH-C(=O)-O-), 7.17‐7.19 (m, 3H), 7.35 (d, 1H), 7.50 (d, 2H), 7.71 (s, 1H), 7.82 (d, 1H), 8.04 (s, 1H), (insg.9arom. CH), 11.55 (s, 1H, -Ph-OH-CH 3 -C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3 400MHz): δ 20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3) ,
116.9, 118.1, 119.4, 129.0, 129.7, 125.3, 133.9 (CHarom), 125.3, 141.7, 143.2 (C arom), 128.2 (C arom-CH3), 128.9 (C arom-S), 137.1 (C arom-S), 139.2 (C arom-C(CH3)3), 150.7(C arom-O-), 146.7(C arom-OH), 128.3 (CH2=CH-C(=O)-O-), 131.0 (CH2=CH-C(=O)-O-), 164.2 (CH2=CH-C(=O)-O-)
【0124】
モノマー(B)
モノマーB:メタクリル酸メチル
【0125】
モノマー(C)
モノマーC:2-[2-ヒドロキシ-5-[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール
【0126】
2.共重合体及び共重合体組成物の合成
<共重合体1>
モノマーA1(20g、42mmol)、メタクリル酸メチル(4.2g、42mmol)、メチルエチルケトン:MEK(36g)を混合し、窒素置換した後、重合開始剤として1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)(0.2g、1mmol)を加え、70~76℃で6時間加熱攪拌することで共重合反応を行い、モノマーA1とモノマーBからなる共重合体1の組成物を得た。
【0127】
<共重合体2~15、22~32>
上記共重合体1の合成と同様な方法で、表1、2、4にそれぞれ対応するモノマーA1~3、B、Cを、各モル比、有機溶剤の仕込み比の量で共重合反応を行い、各共重合体の組成物2~15、22~32を得た。
【0128】
<共重合体16>
モノマーA1(10g、21mmol)、モノマーB(90g、899mmol)、アニオン性界面活性剤:ドデシル硫酸ナトリウム(6g、21mmol)、イオン交換水(150g)を混合し、ホモジナイザーを用いて、1200rpmで45分間、乳化した。窒素置換した後、その乳化物に重合開始剤として過硫酸カリウム(0.4g、1.5mmol)を加え、80℃で3時間加熱撹拌し重合を行い、共重合体16の水性組成物を得た。
【0129】
<共重合体17~21>
上記共重合体16の合成と同様な方法で、表3にそれぞれ対応するモノマーA1~3、モノマーB、界面活性剤のモル比で共重合反応を行い、各共重合体の組成物17~21を得た。
【0130】
いずれの共重合体も1H-NMR測定により、モノマーの炭素-炭素二重結合に帰属される水素原子のピークが消失し、反応が進行したことを確認した。
【0131】
3.共重合体及び共重合体組成物の評価
3-1.共重合体組成物の外観
実施例1~14(共重合体1~14)は、沈殿はない白濁分散液、透明溶液が得られたのに対して、比較例1~5(重合体24~28)は合成直後に沈殿が生じ、本発明の共重合体が有機溶媒に対して親和性が高いことを確認した。なお、実施例1~14(共重合体1~14)の白濁分散液、透明溶液は、25℃で1ヵ月間、沈殿もなく、安定な状態で分散、溶解することを確認した(表1)。また、モノマー(A)とモノマー(B)とのモル比(A)/(B)については、モノマー(A)/モノマー(B)=0.02の実施例16~21(共重合体16~21)は白濁(水に分散)に、モノマー(A)/モノマー(B)=0.03の実施例4(共重合体4)は若干白濁に、モノマー(A)/モノマー(B)=0.04以上の実施例1~3、5~14(共重合体1~3、5~14)は透明となり、モノマー(A)の比率が高いほど、有機溶剤に対する親和性が高いことが示唆された。一方で、モノマー(A)の比率が低いほど、粘度の低下が認められた。
【0132】
【表1】
【0133】
3-2.共重合体及び共重合体組成物の紫外線吸収特性
上記で得られた各共重合体の組成物1~14(実施例1~14)、共重合体26(比較例3)を固形分0.04~0.05質量%に合成で用いた溶媒で希釈し、紫外可視赤外分光光度計(日立ハイテクサイエンス製UH4150V)を用いて吸収スペクトルを測定した(表1)。また、共重合体6の0.04質量%トルエン溶液のスペクトルを図1に、共重合体26の0.04質量%トルエン溶液のスペクトルを図2に示す。
【0134】
ベンゾトリアゾール基に、上記式(i-1)を導入したモノマー(A)の共重合体1~14及びその組成物(実施例1~14)は、共重合体26(比較例26)に比べ、長波長領域に最大吸収波長が360~380nmにシフトし、図1の共重合体6組成物の波長からも360~420nm付近の紫外線吸収に優れることを確認した。
【0135】
また、図1、2の共重合体6、26の組成物の吸収スペクトルから、330~390nmにある吸収ピークにおける長波長側の吸収スペクトルとベースライン(380~500nmの吸収スペクトルの傾きが0のライン)との交点をピークエンドとして(例:図1)、下記式により、330~390nmの波長領域にある吸収ピークの長波長側の傾きの絶対値を求めた。
|330~390nmの波長領域にある吸収ピークの長波長側の傾き|=|(ピークエンドの吸光度-330~390nmの波長領域にある吸収ピークの吸光度)/(ピークエンドの吸収波長-330~390nmの波長領域にある吸収ピークの波長)|
【0136】
330~390nmの波長領域の長波長側にある吸収ピークは共重合体26より共重合体6の方がシャープであり、モノマー(A)/モノマー(B)が1.00で、共重合体濃度(固形分)が40質量%の場合、330~390nmの波長領域にある吸収ピークの長波長側の傾きは0.0277であった(モノマー(C)/モノマー(B)=1.00で、共重合体濃度(固形分)が40質量%の共重合体26の傾きは0.0101)。
本発明の共重合体及び水性組成物は、430~500nm(可視域)のカットが少なく、黄色抑制効果に優れていることを確認した。
【0137】
4.共重合体のガラス転移温度の測定
上記2で得られた共重合体組成物15、29、30(実施例15、比較例6,7)について、加熱減圧で有機溶剤を留去することにより各共重合体を得て、示差走査熱量計(SII社製、DSC7020)を用い、昇温速度:10℃/min、測定範囲:25~265℃の条件で測定し、DDSCより共重合体のガラス転移温度を読み取った(表2)。その結果、共重合体15:129℃>共重合体29:124℃>共重合体30:105℃の関係にあり、モノマー(A)を含む共重合体15は、高温時での強度が高いことを確認した。
【0138】
【表2】
【0139】
5.乳化重合法による共重合体の水性組成物の評価
上記2.乳化重合法で得られた共重合体16~21の水分散液は、25℃で1ヵ月間、沈殿もなく、安定な状態で分散することを確認した。また、3-2と同様に、イオン交換水で0.04質量%に希釈して、吸収スペクトルを測定した(表3、図3:共重合体16のスペクトル)、360~380nmに最大吸収波長が認められ、また、図3のスペクトルも含め、360~420nm付近の紫外線吸収に優れることを確認した。
【0140】
【表3】
【0141】
6.共重合体の耐光性評価
上記2に示す共重合体組成物22、23、31、32をスピンコーター(ミカサ製MS-B150)で、回転数1500rpm、10秒の条件で薄膜化、有機溶剤を留去し、共重体の薄膜を作製した。その薄膜を紫外可視赤外分光光度計(日立ハイテクサイエンス製UH4150V)で紫外-可視透過スペクトルを測定し、380、390、400、410nmの初期(照射前)の紫外線透過率(%):Aを読み取った。その後、紫外線照射装置(アトラス製ウエザオメーターCi3000+w)を用い、波長300~400nm、照度42W/m2、ブラックパネル温度63℃の条件で紫外線を100時間照射した後、紫外-可視透過スペクトルを測定し、380、390、400、410nmの透過率(%):Bを読み取り、照射前後での透過率の差Δ100T:B-A(%)を算出した(表4)
【0142】
【表4】
その結果、モノマー(A)、(B)(モノマーA1、モノマーB)からなる本発明の共重合体22、23は、モノマー(B)、(C)からなる共重合体に比べ、初期からの変化が小さく、耐光性に優れていることが示唆された。
図1
図2
図3