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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】貸借金処理システム及び貸借金処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/03 20230101AFI20240418BHJP
【FI】
G06Q40/03
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020050571
(22)【出願日】2020-03-23
(65)【公開番号】P2021149730
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100148655
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 淳一
(72)【発明者】
【氏名】東山 稔
(72)【発明者】
【氏名】福西 祐太
(72)【発明者】
【氏名】ハリ パラパラムビル シバン
【審査官】鈴木 和樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-036169(JP,A)
【文献】特開2001-357207(JP,A)
【文献】特開2000-137869(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金融機関の口座を利用して店舗から債権者に貸借金を返済するための貸借金処理システムであって、
店舗に設置され、利用者が口座から引き出す現金を出金するための現金収納装置と、
前記現金収納装置から前記利用者に出金された現金の利用者出金額と、管理会社が前記店舗に支払う手数料との合計金額を算出する処理と、予め準備された設定に基づいて、前記合計金額のうち、前記店舗が貸借金の返済に充てる返済金額を特定する処理と、前記合計金額から前記返済金額を差し引いた店舗入金額を算出する処理と、前記利用者の口座から前記管理会社の口座に前記利用者出金額を入金する口座処理の実行指示を該口座処理に対応する金融機関サーバに送信する処理と、前記管理会社の口座から前記貸借金の返済用口座に前記返済金額を入金する口座処理の実行指示を該口座処理に対応する金融機関サーバに送信する処理と、前記管理会社の口座から前記店舗の口座に前記店舗入金額を入金する口座処理の実行指示を口座処理に対応する金融機関サーバに送信する処理とを実行する管理サーバと
を備えることを特徴とする貸借金処理システム。
【請求項2】
前記管理サーバは、予め設定された割合を前記手数料に乗じて得られた金額を前記返済金額とすることを特徴とする請求項1に記載の貸借金処理システム。
【請求項3】
前記管理サーバは、前記利用者出金額に応じて、前記手数料の金額を変更することを特徴とする請求項1又は2に記載の貸借金処理システム。
【請求項4】
前記手数料は、前記店舗が行った利用者への出金サービスに対して前記管理会社が前記店舗に支払う手数料から、前記管理会社が行う貸借金の返済サービスに対して前記店舗が前記管理会社に支払う手数料を差し引いた金額であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の貸借金処理システム。
【請求項5】
前記管理サーバは、前記店舗が、前記返済金額を前記管理会社の口座から前記貸借金の返済用口座に入金する前記口座処理の処理内容を承諾したことを条件に、前記口座処理の実行指示を前記口座処理に対応する金融機関サーバに送信することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の貸借金処理システム。
【請求項6】
前記管理サーバは、前記店舗から前記返済金額の変更指示を受け付けた場合には、前記変更指示に基づいて前記返済金額及び前記入金額を変更する処理と、変更後の各金額に基づいて各金額の口座処理の実行指示を各口座処理に対応する金融機関サーバに送信する処理とを実行することを特徴とする請求項5に記載の貸借金処理システム。
【請求項7】
前記返済用口座と前記店舗の口座との少なくともいずれか一方が利用者の口座と異なる金融機関にある場合、前記管理サーバは、異なる金融機関それぞれにある前記管理会社の口座間で資金を移動する処理をさらに実行することを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の貸借金処理システム。
【請求項8】
前記管理サーバは、利用者が店舗で現金を受け取った各取引の情報を管理し、異なる金融機関の口座間での資金移動を要する取引が複数ある場合には、各取引で移動する金額を合計して、複数取引の資金移動を1回の資金移動で処理するよう前記口座処理の処理内容を決定することを特徴とする請求項に記載の貸借金処理システム。
【請求項9】
前記管理サーバは、第1金融機関から第2金融機関への資金移動を要する取引と、前記第2金融機関から前記第1金融機関への資金移動を要する取引とがある場合には、各資金移動で移動する金額を相殺して1回の資金移動で処理するよう前記口座処理の処理内容を決定することを特徴とする請求項に記載の貸借金処理システム。
【請求項10】
金融機関の口座を利用して店舗から債権者に貸借金を返済するための貸借金処理方法であって、
利用者が口座から引き出す現金が前記店舗に設置された現金収納装置から出金される工程と、
管理サーバが、前記現金収納装置から前記利用者に出金された現金の金額情報を取得する工程と、
前記管理サーバが、前記現金収納装置から前記利用者に出金された現金の利用者出金額と、管理会社が前記店舗に支払う手数料との合計金額を算出する工程と、
前記管理サーバが、予め準備された設定に基づいて、前記合計金額のうち、前記店舗が貸借金の返済に充てる返済金額を特定する工程と、
前記管理サーバが、前記合計金額から前記返済金額を差し引いた店舗入金額を算出する工程と、
前記管理サーバが、前記利用者の口座から前記管理会社の口座に前記利用者出金額を入金する口座処理の実行指示を該口座処理に対応する金融機関サーバに送信する工程と、
前記管理サーバが、前記管理会社の口座から前記貸借金の返済用口座に前記返済金額を入金する口座処理の実行指示を該口座処理に対応する金融機関サーバに送信する工程と、
前記管理サーバが、前記管理会社の口座から前記店舗の口座に前記店舗入金額を入金する口座処理の実行指示を、口座処理に対応する金融機関サーバに送信する工程と
を含むことを特徴とする貸借金処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、金融機関の銀行口座を利用して貸借金を返済することができる貸借金処理システム及び貸借金処理方法。
【背景技術】
【0002】
従来、契約によって発生した貸借金を処理するための様々なシステムが利用されている。例えば、貸借金を分割して返済するローン契約が結ばれた場合、債務者は、債権者が設定した返済用口座に定期的に返済金額の入金を行うことによって貸借金を返済することができる。返済用口座への入金は、債務者が金融機関に出向いて現金を入金することによって行われる場合もあるし、債務者が設定した引落口座から返済金額を引き落として返済用口座に入金する口座処理によって行われる場合もある。例えば、特許文献1には、引落口座のローン通帳を作成し、返済金額、返済日等の情報をローン通帳に記帳するシステムが開示されている。ローン通帳を確認することにより返済履歴の詳細を確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-297903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、貸借金の返済を効率よく行うことができない場合があった。例えば、債務者が金融機関に出向いて返済する方法では債務者が返済を忘れる可能性がある。引落口座を利用する方法でも引落口座に返済金額を超える残高がなければ口座処理を行うことができない。このため、債務者は、定期的に返済を行えるよう返済日及び引落口座の残高に注意する必要があった。また、債権者も、債務者による返済が予定通りに行われなかった場合には、債務者に返済を催促したり債務者の所へ集金に出向いたりする必要があった。
【0005】
本発明は、上記従来技術による課題に鑑みてなされたもので、貸借金の返済処理を効率よく行うことができる貸借金処理システム及び貸借金処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、金融機関の口座を利用して店舗から債権者に貸借金を返済するための貸借金処理システムであって、
店舗に設置され、利用者が口座から引き出す現金を出金するための現金収納装置と、
前記現金収納装置から前記利用者に出金された現金の利用者出金額と、管理会社が前記店舗に支払う手数料との合計金額を算出する処理と、予め準備された設定に基づいて、前記合計金額のうち、前記店舗が貸借金の返済に充てる返済金額を特定する処理と、前記合計金額から前記返済金額を差し引いた店舗入金額を算出する処理と、前記利用者の口座から前記管理会社の口座に前記利用者出金額を入金する口座処理の実行指示を該口座処理に対応する金融機関サーバに送信する処理と、前記管理会社の口座から前記貸借金の返済用口座に前記返済金額を入金する口座処理の実行指示を該口座処理に対応する金融機関サーバに送信する処理と、前記管理会社の口座から前記店舗の口座に前記店舗入金額を入金する口座処理の実行指示を口座処理に対応する金融機関サーバに送信する処理とを実行する管理サーバとを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、上記発明において、前記管理サーバは、前記利用者出金額に応じて、前記手数料の金額を変更することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記発明において、前記管理サーバは、前記現金収納装置から利用者に出金された現金の金額に応じて、前記手数料の金額を変更することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記発明において、前記手数料は、前記店舗が行った利用者への出金サービスに対して前記管理会社が前記店舗に支払う手数料から、前記管理会社が行う貸借金の返済サービスに対して前記店舗が前記管理会社に支払う手数料を差し引いた金額であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記管理サーバは、前記店舗が、前記返済金額を前記管理会社の口座から前記貸借金の返済用口座に入金する前記口座処理の処理内容を承諾したことを条件に、前記口座処理の実行指示を前記口座処理に対応する金融機関に送信することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記管理サーバは、前記店舗から前記返済金額の変更指示を受け付けた場合には、前記変更指示に基づいて前記返済金額及び前記入金額を変更する処理と、変更後の各金額に基づいて各金額の口座処理の実行指示を各口座処理に対応する金融機関サーバに送信する処理とを実行することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、前記返済用口座と前記店舗の口座との少なくともいずれか一方が利用者の口座と異なる金融機関にある場合、前記管理サーバは、異なる金融機関それぞれにある前記管理会社の口座間で資金を移動する処理をさらに実行することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、前記管理サーバは、利用者が店舗で現金を受け取った各取引の情報を管理し、異なる金融機関の口座間での資金移動を要する取引が複数ある場合には、各取引で移動する金額を合計して、複数取引の資金移動を1回の資金移動で処理するよう前記口座処理の処理内容を決定することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記発明において、前記管理サーバは、第1金融機関から第2金融機関への資金移動を要する取引と、前記第2金融機関から前記第1金融機関への資金移動を要する取引とがある場合には、各資金移動で移動する金額を相殺して1回の資金移動で処理するよう前記口座処理の処理内容を決定することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、金融機関の口座を利用して店舗から債権者に貸借金を返済するための貸借金処理方法であって、 利用者が口座から引き出す現金が前記店舗に設置された現金収納装置から出金される工程と、管理サーバが、前記現金収納装置から前記利用者に出金された現金の金額情報を取得する工程と、前記管理サーバが、前記現金収納装置から前記利用者に出金された現金の利用者出金額と、管理会社が前記店舗に支払う手数料との合計金額を算出する工程と、前記管理サーバが、予め準備された設定に基づいて、前記合計金額のうち、前記店舗が貸借金の返済に充てる返済金額を特定する工程と、前記管理サーバが、前記合計金額から前記返済金額を差し引いた店舗入金額を算出する工程と、
前記管理サーバが、前記利用者の口座から前記管理会社の口座に前記利用者出金額を入金する口座処理の実行指示を該口座処理に対応する金融機関サーバに送信する工程と、前記管理サーバが、前記管理会社の口座から前記貸借金の返済用口座に前記返済金額を入金する口座処理の実行指示を該口座処理に対応する金融機関サーバに送信する工程と、前記管理サーバが、前記管理会社の口座から前記店舗の口座に前記店舗入金額を入金する口座処理の実行指示を、口座処理に対応する金融機関サーバに送信する工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、店舗を訪れた利用者は、自身の金融機関の口座から引き出す現金を、店舗に設置された現金収納装置から出金することができる。これにより、利用者は、ATM(現金自動預払機)のない店舗でもATMを利用する場合と同様に現金を手にすることができる。店舗は、利用者にATM同様のサービスを提供することで管理会社から手数料を得ることができる。店舗は、現金収納装置から出金された現金の金額と店舗に支払われる手数料との合計金額のうち、一部の金額を貸借金の返済に充てて返済用の口座に入金し、残りの金額を店舗の口座に受け取ることができる。これにより、貸借金の返済を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本実施形態に係る貸借金処理システムの概要を説明するための模式図である。
図2図2は、貸借金処理システムの構成を示すブロック図である。
図3図3は、利用者の銀行口座と、店舗の銀行口座と、返済用口座とが同じ銀行Xにある場合の現金の動き及び口座処理を示す模式図である。
図4図4は、利用者の銀行口座と店舗の銀行口座とが同じ銀行にあり、返済用口座が別の銀行にある場合の現金の動き及び口座処理を示す模式図である。
図5図5は、利用者の銀行口座と返済用口座とが同じ銀行にあり、店舗の銀行口座が別の銀行にある場合の現金の動き及び口座処理を示す模式図である。
図6図6は、店舗の銀行口座と返済用口座とが同じ銀行にあり、利用者の銀行口座が別の銀行にある場合の現金の動き及び口座処理を示す模式図である。
図7図7は、利用者の銀行口座、店舗の銀行口座及び返済用口座がそれぞれ別々の銀行にある場合の現金の動き及び口座処理を示す模式図である。
図8図8は、利用者の銀行口座と、店舗の銀行口座と、返済口座とが同じ銀行にある場合の処理の流れを示す模式図である。
図9図9は、利用者の銀行口座と店舗の銀行口座とが同じ銀行にあり、返済用口座が別の銀行にある場合の処理の流れを示す模式図である。
図10図10は、利用者の銀行口座と返済用口座とが同じ銀行にあり、店舗の銀行口座が別の銀行にある場合の処理の流れを示す模式図である。
図11図11は、店舗の銀行口座と返済用口座とが同じ銀行にあり、利用者の銀行口座が別の銀行にある場合の処理の流れを示す模式図である。
図12図12は、利用者の銀行口座、店舗の銀行口座及び返済口座がそれぞれ別々の銀行にある場合の処理の流れを示す模式図である。
図13図13は、管理サーバが振込内容を決定する処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る貸借金処理システム及び貸借金処理方法の実施の形態について説明する。本実施形態に係る貸借金処理システムでは、金融機関の銀行口座を利用して貸借金の返済が行われる。金融機関の種類は特に限定されないが、本実施形態では銀行を例に説明する。
【0020】
図1は、本実施形態に係る貸借金処理システムの概要を説明するための模式図である。銀行口座の所有者は、銀行口座から引き出した現金を受け取るために店舗を訪れる。本実施形態では、この来店者を利用者と記載する。
【0021】
利用者は、ATM(現金自動預払機)を利用することなく、自身の銀行口座から引き出した現金を店舗で受け取ることができる(A1)。例えば、店舗は、利用者が銀行口座から引き出す現金を現金処理装置(現金収納装置)から出金して利用者に渡す。店舗と利用者の間で現金授受の取引が行われると、利用者の銀行口座がある銀行は、利用者が受け取った現金の金額分を、利用者の銀行口座から、貸借金処理システムを管理する管理会社の銀行口座へ移動する口座処理を行う(A2)。銀行は、店舗における利用者の現金引出を可能とした管理会社に手数料を支払う(A3)。この手数料は管理会社の銀行口座に入金される。
【0022】
管理会社は、銀行に代わって利用者に現金を渡してくれた店舗に対して、手数料を支払う。管理会社は、店舗が利用者に渡した現金の金額に手数料を加えて店舗に返す(A4)。すなわち、店舗は、利用者に渡した現金の金額に加えて手数料を受け取ることができる。
【0023】
多くの利用者が現金を受け取りに訪れる店舗には、管理会社から多くの手数料が支払われることになる。管理会社では、手数料に関する所定条件を満たす店舗を優良店舗として抽出する処理が行われる(A5)。例えば、所定期間内に管理会社が店舗に支払った手数料の合計金額が、継続的かつ安定的に所定金額を超えた店舗が優良店舗と判定される。具体的には例えば1ヶ月の手数料の合計金額が所定金額を超える状態が継続して1年以上続いた場合に、優良店舗と判定される。また、例えば、所定期間内に各店舗に支払われた手数料の合計金額が比較されて、上位数店舗が優良店舗と判定される。同様に、例えば、所定期間内に管理会社が手数料を支払った回数が継続的かつ安定的に所定回数を超えた店舗、及び所定期間内の手数料の支払回数が最も多い店舗から数店舗が、優良店舗と判定される。すなわち、銀行に代わって利用者に現金を渡した取引回数が多い店舗が優良店舗と判定される。これらの判定は、後述する管理サーバが自動的に行い、判定結果を表示部に表示するなどして管理会社に報知するようになっている。
【0024】
管理会社は、こうして管理サーバで抽出された優良店舗を、店舗情報を求める相手に紹介することができる(A6)。紹介先には、銀行と、店舗が利用する製品の販売会社とが含まれる。管理会社は、紹介時に、紹介先から紹介手数料を受け取ることもできる。管理会社から店舗を紹介された銀行は、この店舗に融資を提案することができる。販売会社は、管理会社から紹介された店舗に、店舗が利用する製品の購入又はリースを提案することができる。
【0025】
店舗は、銀行からの融資の契約、販売会社からの製品購入に係るローン契約又はリース契約等の貸借契約を結ぶことができる(A7)。貸借契約が成立すると、店舗は、貸借金を分割して、銀行、販売会社等の債権者に返済する。
【0026】
店舗は、管理会社から受け取る金額を貸借金の返済に充てることができる。具体的には、管理会社は、銀行に代わって利用者に現金を渡した店舗に、この現金の金額に手数料を加えて返す際、店舗に返す金額の一部を債権者に返済する(A8)。返済金額を幾らにするかは店舗が設定することができる。例えば、店舗は、管理会社から受け取る手数料に所定割合を乗じた金額を返済金額に設定する。返済金額は、店舗が債権者に貸借金を返済するための銀行口座に入金される。銀行口座は、債権者の口座であってもよいし、債権者の口座へ返済する金額が引き落とされる店舗の引落口座であってもよい。店舗に代わって返済金額の処理を行う管理会社は、店舗から手数料を受け取ることができる。これらの口座処理も管理サーバが、銀行へ指示を行うことによって行われるが詳細は後述する。
【0027】
このように、管理サーバが抽出した優良店舗を紹介された銀行は、店舗との間で融資の契約を結び、管理会社から取得した、店舗に支払われた過去の手数料の情報に基づいて、店舗との間で、貸借金の返済方法を決定することができる。同様に、優良店舗を紹介された販売会社は、店舗との間で製品購入又はリースの契約を結び、貸借金の返済方法を決定することができる。なお、ここで言う貸借金の返済には、ローンの返済及びリース代金の支払が含まれる。
【0028】
店舗は、銀行に代わって利用者に渡した現金と、管理会社から得られる手数料との合計金額のうち一部を貸借金の返済に充てることができる。具体的には、管理会社が店舗に返す現金の金額と店舗に支払う手数料との合計金額から、一部が返済金額として貸借金返済用の銀行口座に入金されて、残りが店舗の銀行口座に入金される。これにより、店舗は、貸借金返済のために銀行を訪れたり口座残高を気にしたりする必要はない。店舗と貸借契約を結んだ銀行及び販売会社も、店舗に返済を催促したり返済を求めて店舗を訪れたりする必要はない。
【0029】
図2は、本実施形態に係る貸借金処理システムの構成を示すブロック図である。貸借金処理システムは、管理サーバ100と、携帯端末200(200a、200b)と、店舗サーバ300(300a、300b)と、操作端末350(350a、350b)、351(351a、351b)と、現金処理装置400(400a、400b)、401(401a、401b)と、銀行サーバ500(500a~500c)とを含む。
【0030】
図2に示す利用者、店舗及び銀行の数は例示であって、これらの数は特に限定されない。また、各店舗に操作端末及び現金処理装置を2組ずつ示しているが、これらの数も特に限定されない。操作端末351の機能及び動作は、操作端末350の機能及び動作と略同じである。同様に、現金処理装置401の機能及び動作は、現金処理装置400の機能及び動作と略同じである。よって、以下、操作端末350、351及び現金処理装置400、401については、操作端末350及び現金処理装置400を対象に説明する。
【0031】
管理サーバ100は、貸借金処理システムを管理する管理会社に設置されている。管理サーバ100は、図示しない操作端末によって操作可能なコンピュータ装置である。ただし、管理サーバ100が操作部及び表示部を備えるコンピュータ装置であってもよい。管理サーバ100は、携帯端末200、店舗サーバ300及び銀行サーバ500のそれぞれと有線又は無線で通信可能に接続されている。
【0032】
携帯端末200は、利用者が所持する携帯型の通信端末である。例えば、スマートフォン及びタブレットが携帯端末200として利用される。利用者は、携帯端末200を利用して、自身の銀行口座から引き出した現金を店舗で受け取ることができる。携帯端末200は、利用者が店舗で現金を受け取る際、店舗の操作端末350との間で情報を送受信するために利用される。
【0033】
店舗サーバ300、操作端末350及び現金処理装置400は、店舗内に設置されている。店舗サーバ300は、例えば、操作部及び表示部を備えるコンピュータ装置である。店舗サーバ300は、操作端末350と通信可能に接続されている。店舗サーバ300は、操作端末350から、現金処理装置400の情報を取得する。店舗サーバ300は、現金処理装置400に収納されている現金の在高、すなわち現金の金種及び金種別枚数の情報を取得して管理することができる。
【0034】
操作端末350は、操作部及び表示部と、携帯端末200から情報を取得するための読取装置とを備える。例えば、カメラ又はスキャナが読取装置として利用される。操作端末350は、利用者が所持する携帯端末200との間で情報を送受信する。現金処理装置400は、店舗が利用者に渡す現金を出金する装置である。操作端末350は、現金処理装置400と通信可能に接続されている。操作端末350は現金処理装置400が収納中の現金を管理している。店員は操作端末350を操作して現金処理装置400を制御し、現金処理装置400の装置内に収納されている現金を出金させることができる。
【0035】
例えば、店舗のチェックアウトカウンターで、客が商品を購入する際に精算処理に利用されるキャッシュレジスタが操作端末350として利用され、キャッシュレジスタと接続された釣銭機が現金処理装置400として利用される。
【0036】
ただし、現金処理装置400から現金を出金することができれば、操作端末350及び現金処理装置400の構成は特に限定されない。操作端末350と現金処理装置400とが別体である例に限定されず、現金処理装置400が操作端末350と一体であってもよい。例えば、セルフレジが操作端末350及び現金処理装置400として機能する態様でもよいし、セミセルフレジが操作端末350及び現金処理装置400として機能する態様でもよい。また、例えば、店舗で商品の販売に利用される自動販売機が操作端末350及び現金処理装置400として機能する態様でもよいし、店舗で公共料金の支払等に利用される自動精算機が操作端末350及び現金処理装置400として機能する態様であってもよい。
【0037】
銀行サーバ500は、銀行に設置されている。銀行サーバ500は、複数の銀行口座間で資金を移動する口座処理を実行する。口座処理には、自行の銀行口座間で資金を移動する振替の処理と、自行の銀行口座から他行の銀行口座へ資金を移動する振込の処理とが含まれる。
【0038】
図3図7を参照しながら、貸借金処理システムにおける現金の動きと口座処理の概要を説明する。図3図7は、債権者と貸借契約を結んだ店舗が、債権者に貸借金を返済する方法を示している。貸借契約には、融資、ローン、リースが含まれる。店舗による返済金額は、店舗が設定可能であるが、以下、店舗が管理会社から受け取る手数料の一部を返済金額とする場合を例に説明する。また、返済金額が入金される返済用口座は、債権者の銀行口座であってもよいし、債権者の銀行口座へ返済する金額が引き落とされる店舗の引落口座であってもよいが、以下、債権者の銀行口座へ返済金額を直接入金する場合を例に説明する。
【0039】
利用者が、自身の銀行口座から引き出した現金を店舗で受け取った後、この現金の金額、すなわち店舗が現金処理装置400から出金して利用者に渡した現金の金額を、利用者の銀行口座から店舗の銀行口座へ移動する口座処理が行われる。管理会社は、店舗に手数料を支払うが、手数料の一部は貸借金の返済に充てられる。このため、手数料の一部の金額を管理会社の銀行口座から、店舗が貸借金を返済するための債権者の銀行口座(以下「返済用口座」と記載する)へ移動する口座処理と、手数料の残りの金額を管理会社の銀行口座から店舗の銀行口座へ移動する口座処理とが行われる。利用者の銀行口座、店舗の銀行口座、返済用口座が、それぞれ同じ銀行にあるか別の銀行にあるかによって口座処理の処理内容が変わる。ここで言う同じ銀行の口座とは口座間の資金移動に手数料のいらない口座で、別の銀行の口座とは口座間の資金移動に手数料を要する口座である。図3図7は、各口座がある銀行の組み合わせが異なる例を示している。各図の最上段に、利用者、店舗及び債権者の関係と、各銀行口座がある銀行及び現金の動きとを示し、その下に口座処理を示している。
【0040】
図3は、利用者Pの銀行口座と、店舗Aの銀行口座と、返済用口座とが同じ銀行Xにある場合の現金の動き及び口座処理を示す模式図である。例えば、銀行Xにある自身の銀行口座から現金1万円を引き出したい利用者Pは、店舗Aに行って、図3に示すように、現金1万円を受け取ることができる(ステップS11)。
【0041】
利用者Pと店舗Aとの間で現金の受け渡しが行われた後すぐに、銀行Xで、利用者Pの銀行口座から管理会社の銀行口座へ1万円の資金を移動する振替が行われる(ステップS12)。これにより、利用者Pの銀行口座の残高が不足して1万円に満たなくなり、利用者Pの銀行口座から1万円を得られないといった事態を回避できるようになっている。利用者Pの銀行口座から管理会社の銀行口座へ移動する資金の金額は、利用者Pが店舗Aで受け取った現金の金額と同じである。すなわち、利用者Pは、自身の銀行口座から引き出した1万円の現金を、手数料を支払うことなく、店舗Aで受け取ることができる。
【0042】
ATMのない店舗Aで、銀行口座から引き出された現金を利用者Pに渡すことができた銀行Xは、この仕組みを提供する管理会社に所定の手数料を支払う(ステップS13)。例えば、銀行Xは、利用者Pが受け取った金額の5%を、手数料として管理会社の銀行Xの銀行口座に入金する。利用者Pが店舗Aで1万円を受け取った場合の手数料は500円になる。
【0043】
管理会社は、銀行Xに代わって利用者Pに現金を渡してくれた店舗Aに所定の手数料を支払う。例えば、管理会社は、利用者Pが受け取った金額の0.2%を、手数料として店舗に支払う。利用者Pが店舗Aで1万円を受け取った場合に、店舗Aが受け取る手数料は20円になる。店舗Aは、この手数料の一部を貸借金の返済に充てることができる。返済に充てる割合は予め設定できるようになっている。以下、返済金額が手数料の50%に設定されているものとして説明を続ける。
【0044】
管理会社が店舗Aに支払う手数料20円のうち50%にあたる10円が、店舗が債権者に返済する返済金額である。管理会社は、利用者Pの銀行口座から受け取った1万円と、店舗Aに支払う手数料20円から返済金額10円を差し引いた金額との合計10010円の資金を、管理会社の銀行口座から店舗Aの銀行口座へ移動する振替を行う(ステップS14)。また、管理会社は、店舗Aに支払う手数料のうち返済金額10円を返済用口座に入金するため、管理会社の銀行口座と返済用口座との間で振替を行う(ステップS15)。1回当たりの返済金額は少額であるが、このような返済が1日に多数回行われるため、例えば1ヶ月の間に店舗から返済される金額は大きな金額になる。このように、店舗Aは、現金処理装置400から出金した現金を利用者Pに渡して、該現金の金額分を店舗Aの銀行口座に入金することができる。また、店舗Aは、管理会社から手数料を得て、その一部を返済用口座に入金すると共に、残りを店舗Aの銀行口座に入金することができる。
【0045】
図4は、利用者Pの銀行口座と店舗Aの銀行口座とが同じ銀行Xにあり、返済用口座が別の銀行Yにある場合の現金の動き及び口座処理を示す模式図である。利用者Pが銀行口座から引き出した現金を店舗Aで受け取ってから、店舗Aが、利用者Pに渡した現金と管理会社から得る手数料の一部とを銀行口座に受け取るまでのステップS21~S24の処理は、図3に示すステップS11~S14の処理と同じであるため説明を省略する。
【0046】
管理会社は、銀行Xと銀行Yの両方に銀行口座を有している。管理会社は、店舗Aに支払う手数料のうち10円を銀行Yにある返済用口座に入金するため、銀行Xにある管理会社の銀行口座と、銀行Yにある管理会社の銀行口座との間で振込を行う(ステップS25)。振替は同じ銀行内で無料で行われる口座処理である。一方、振込は、異なる銀行の銀行口座間で行われる口座処理である。このため、管理会社は、銀行Xに振込手数料を支払う必要がある。管理会社は、振込手数料の金額を抑えるため、銀行間の資金移動を要する複数の処理をまとめて1回の振込で処理するが、これについては後述する。
【0047】
管理会社は、店舗Aによる返済金額10円を返済用口座に入金するため、銀行Yにある管理会社の銀行口座と返済用口座との間で振替を行う(ステップS26)。このように、返済用口座と、店舗Aの銀行口座とが別の銀行にある場合でも、店舗Aは、管理会社から得る手数料の一部を返済用口座に入金することができる。
【0048】
図5は、利用者Pの銀行口座と返済用口座とが同じ銀行Xにあり、店舗Bの銀行口座が別の銀行Yにある場合の現金の動き及び口座処理を示す模式図である。銀行Xにある自身の銀行口座から現金1万円を引き出したい利用者Pは、店舗Bに行って現金1万円を受け取る(ステップS31)。
【0049】
利用者Pが店舗Bで現金を受け取った後すぐに、利用者Pの銀行Xの銀行口座から、管理会社の銀行Xの銀行口座へ、利用者Pが店舗Bで受け取った現金1万円の資金を移動する振替が行われる(ステップS32)。
【0050】
銀行Xは、管理会社の銀行口座へ所定の手数料を支払う(ステップS33)。銀行Xが管理会社に支払う手数料は、利用者Pとの間で現金を受け渡した店舗が、利用者Pと同じく銀行Xに銀行口座を有する場合と、利用者Pとは異なり銀行Yに銀行口座を有する場合とで変更できるようになっている。店舗Bの銀行口座は銀行Yにある。このため、銀行Xは、例えば、利用者Pが受け取った金額の1%にあたる100円を、手数料として管理会社の銀行Xの銀行口座に入金する。
【0051】
管理会社は、銀行Xに代わって利用者Pに現金を渡してくれた店舗Bに所定の手数料を支払う。例えば、管理会社は、利用者Pが受け取った金額の0.2%にあたる20円を手数料として店舗Bに支払う。管理会社が店舗Bに支払う手数料20円のうち50%にあたる10円が返済金額になる。管理会社は、店舗Bに支払う手数料のうち返済金額10円を返済用口座に入金するため、管理会社の銀行口座と返済用口座との間で振替を行う(ステップS34)。
【0052】
管理会社は、利用者Pの銀行口座から受け取った1万円と、店舗Bに支払う手数料20円から返済金額10円を差し引いた金額との合計10010円の資金を、銀行Xにある管理会社の銀行口座から銀行Yにある管理会社の銀行口座へ移動する振込を行う(ステップS35)。管理会社は、ステップS35で移動した金額10010円の資金を、銀行Yにある管理会社の銀行口座から店舗Bの銀行口座へ移動する振替を行う(ステップS36)。
【0053】
図6は、店舗Bの銀行口座と返済用口座とが同じ銀行Yにあり、利用者Pの銀行口座が別の銀行Xにある場合の現金の動き及び口座処理を示す模式図である。利用者Pが銀行口座から引き出した現金を店舗Bで受け取ってから、銀行Xが管理会社の銀行口座へ手数料を入金するまでのステップS41~S43の処理は、図5に示すステップS31~S33の処理と同じであるため説明を省略する。
【0054】
管理会社は、銀行Xに代わって利用者Pに現金を渡してくれた店舗Bに所定の手数料20円を支払う。管理会社は、利用者Pの銀行口座から銀行Xの銀行口座に受け取った1万円と、店舗Bに支払う手数料20円とを合わせた合計10020円の資金を、銀行Xにある管理会社の銀行口座から、銀行Yにある管理会社の銀行口座へ移動する振込を行う(ステップS44)。
【0055】
管理会社は、利用者Pの銀行口座から受け取った1万円と、店舗Bに支払う手数料20円から返済金額10円を差し引いた金額との合計10010円の資金を、銀行Yにある管理会社の銀行口座から、同じく銀行Yにある店舗Bの銀行口座へ移動する振込を行う(ステップS45)。管理会社は、店舗Bに支払う手数料のうち返済金額10円を返済用口座に入金するため、銀行Yにある管理会社の銀行口座と返済用口座との間で振替を行う(ステップS46)。
【0056】
図7は、利用者Pの銀行口座、店舗Bの銀行口座及び返済用口座がそれぞれ別々の銀行X~Zにある場合の現金の動き及び口座処理を示す模式図である。利用者Pの銀行口座が銀行Xにあり、店舗Bの銀行口座が銀行Yにあり、返済用口座が銀行Zにある。管理会社は、銀行X、銀行Y及び銀行Zの全ての銀行に銀行口座を有している。利用者Pが銀行口座から引き出した現金を店舗Bで受け取ってから、銀行Xが管理会社の銀行口座へ手数料を入金するまでのステップS51~53の処理は、図6に示すステップS41~S43の処理と同じであるため説明を省略する。
【0057】
管理会社は、利用者Pの銀行口座から受け取った1万円と、店舗Bに支払う手数料20円から返済金額10円を差し引いた金額との合計10010円の資金を、銀行Xにある管理会社の銀行口座から銀行Yにある管理会社の銀行口座へ移動する振込を行う(ステップS54)。管理会社は、ステップS54で移動した金額10010円の資金を、銀行Yにある管理会社の銀行口座から、同じく銀行Yにある店舗Bの銀行口座へ移動する振替を行う(ステップS55)。
【0058】
管理会社は、店舗Bに支払う手数料のうち返済金額10円を銀行Yにある返済用口座に入金するため、銀行Xにある管理会社の銀行口座と、銀行Yにある管理会社の銀行口座との間で振込を行う(ステップS56)。管理会社は、銀行Yにある管理会社の銀行口座と返済用口座との間で振替を行って、店舗Bによる返済金額10円を返済用口座に入金する(ステップS57)。
【0059】
このように、店舗Bは、現金処理装置400から出金した現金を利用者Pに渡して、該現金の金額分を店舗Bの銀行口座に入金することができる。また、店舗Bは、管理会社から手数料を得て、その一部を返済用口座に入金すると共に、残りを店舗Bの銀行口座に入金することができる。
【0060】
図8図12を参照しながら、貸借金処理システムが、図3図7に示した各処理を実現する方法を説明する。図8図12はそれぞれ図3図7に対応している。図8は、利用者Pの銀行口座と、店舗Aの銀行口座と、返済口座とが同じ銀行Xにある場合の処理の流れを示す模式図である。
【0061】
銀行Xにある自身の銀行口座から現金を引き出したい利用者Pは、図8左下に示すように、携帯端末200を操作して専用のアプリケーションを起動し、引出金額を入力する(ステップS101)。
【0062】
管理サーバ100は、携帯端末200に入力された金額情報を受信して、利用者Pが現金を受け取ることができる店舗の情報を携帯端末200に送信する(ステップS102)。
【0063】
具体的には、まず管理サーバ100は、利用者Pが銀行口座からの引き出しを希望する金額が、利用者Pの銀行口座の残高を超えていないことを確認する。例えば、管理サーバ100が、各利用者の銀行口座の情報を内部で管理し、該情報に基づいて確認処理を行う。また、例えば、管理サーバ100は、利用者Pの引出希望金額を銀行Xの銀行サーバ500aに送信し、銀行サーバ500aに対して、引出希望金額が利用者Pの銀行口座の残高を超えていないことの確認を求める。携帯端末200に入力された金額が銀行口座残高を超えていた場合、管理サーバ100は、これを示す情報を携帯端末200の画面上に表示して、利用者Pに金額の変更を求める。
【0064】
利用者Pの引出希望金額が、利用者Pの銀行口座の残高を超えていないことが確認できると、次に管理サーバ100は、貸借金処理システムを利用する複数の店舗の中から、利用者Pに現金を渡すことができる店舗を検索する。例えば、管理サーバ100は、各店舗が利用者に渡すことができる現金の情報を内部で管理して、該情報に基づいて店舗を検索する。また、例えば、管理サーバ100は、各店舗の店舗サーバ300に利用者Pの引出希望金額を送信して、店舗で利用者Pに現金を渡すことができるか否かを問い合わせることにより、店舗を検索する。また、現金処理装置400が、常時、出金可能金額を管理サーバ100に通知することにより、管理サーバ100が通知内容から出金可能か否かを判定して店舗を検索してもよい。
【0065】
例えば、店舗が営業中であるか否か及び店舗が混雑しているか否かに基づいて、店舗サーバ300aが、現金の受け渡しを行うか否かを決定し、決定結果を管理サーバ100に通知する。現金受渡可否の決定は、店舗サーバ300aが、所定期間内の現金処理装置400aの使用状況(店舗の混雑状況)に基づいて自動的に行う他、店員が店舗サーバ300a又は操作端末350aを操作して手動で行うこともできる。店舗で現金の受け渡しを行わないことが決定された場合、決定結果の通知を受けた管理サーバ100は、この店舗を、現金を出金可能な店舗リストから除外する。
【0066】
このように、店舗は、店舗サーバ300にaによる自動判定又は店員による手動操作により、利用者に現金を受け渡すサービスを中断することができる。管理サーバ100が、内部で管理する情報を利用して店舗を自動検索する場合でも、店舗サーバ300による自動判定又は店員による手動操作により、店舗におけるサービスの中断及び再開を管理サーバ100に要求することができる。なお、店舗サーバ300を操作する店員には店舗の責任者及び管理者が含まれる。
【0067】
管理サーバ100は、利用者Pが所持する携帯端末200から、該端末の現在位置を示す位置情報を取得する。管理サーバ100は、利用者Pの現在位置を中心とする所定の距離範囲内で、利用者Pに希望金額分の現金を渡すことができる店舗のリストを作成する。このとき、管理サーバ100は、利用者による店舗の評判等、他の情報をリストに反映させることもできる。例えば、管理サーバ100は、過去に店舗を利用した利用者の評判を店舗別に数値化したデータに基づいて、評判のよい店舗を優先してリストに表示することができる。管理サーバ100は、作成したリストを携帯端末200へ送信する。
【0068】
利用者Pは、携帯端末200の画面上で、管理サーバ100から受信した店舗リストを確認する。利用者Pは、携帯端末200を操作して、店舗リストにある店舗の中から、現金を受け取る店舗Aを選択する(ステップS103)。
【0069】
管理サーバ100は、利用者Pの選択結果を携帯端末200から受信して、利用者Pが、選択した店舗Aで現金を受け取るための取引情報を作成し、これを携帯端末200へ送信する(ステップS104)。取引情報は、利用者Pを特定するための利用者識別情報(利用者ID)、利用者Pが選択した店舗Aを特定するための店舗識別情報(店舗ID)、利用者Pが店舗Aから受け取る現金の情報、該現金を受け取る取引の認証情報を含む。
【0070】
取引情報に含まれる認証情報は、例えばワンタイムパスワードである。第三者は、このワンタイムパスワードを知ることができない。このため、第三者が取引情報を偽造して利用者Pになりすますことはできず、店舗で行われる現金受渡取引のセキュリティを確保できるようになっている。
【0071】
管理サーバ100は、利用者Pが選択した店舗Aの店舗サーバ300aに取引情報を送信する(ステップS105)。店舗サーバ300aは、利用者Pに渡す現金を店舗内に確保するため、現金処理装置400aに収納中の現金の管理を開始する。具体的には、利用者Pが店舗Aに到着した際に利用者Pが希望金額分の現金を受け取ることができるように、現金処理装置400a内の現金の金種及び数量が管理される。
【0072】
利用者Pは、携帯端末200で選択した店舗Aに移動する。携帯端末200は、管理サーバ100から受信した取引情報を符号化した図形コードを生成する。携帯端末200は、生成した図形コードを画面上に表示する。図形コードの種類は特に限定されないが、以下、図形コードがQRコード(登録商標)であるものとして説明を続ける。
【0073】
店舗Aの操作端末350aにはカメラ310aが接続されている。カメラ310aは、操作端末350aが携帯端末200から情報を受信するための読取装置として機能する。店舗Aに到着した利用者Pは、携帯端末200の画面に表示されたQRコードをカメラ310aに読み取らせる(ステップS106)。このとき操作端末350aは、カメラ310aを利用して、利用者Pを撮像した画像を保存することができる。後に問題が発生した場合には、このとき撮像された利用者Pの画像が利用される。
【0074】
操作端末350aは、カメラ310aで読み取ったQRコードを復号して取引情報を取得する。操作端末350aは、QRコードから得られた取引情報に含まれる利用者ID等の情報に基づいて、店舗サーバ300aから、対応する取引情報を取得する。こうして、操作端末350aは、携帯端末200から得られた取引情報を、店舗サーバ300aが管理サーバ100から受信した取引情報と照合する。
【0075】
操作端末350aは、取引情報に含まれる認証情報に基づいて利用者Pを認証する。具体的には、操作端末350aは、携帯端末200から得られた取引情報と、管理サーバ100から得られた取引情報の両方に、同一の認証情報が含まれていることを確認する。認証情報が一致する場合には認証処理が正常終了する。認証処理が正常終了しなかった場合、操作端末350aは報知処理を実行する。例えば、操作端末350aは、取引情報に正しい認証情報が含まれていないことを画面上に表示して店員に報知する。報知を受けた店員は、取引情報及び利用者Pの身元確認を行うことができる。
【0076】
なお、認証処理は、店舗サーバ300aが、携帯端末200の取引情報を操作端末350aから取得して行う態様であってもよい。また、携帯端末200と操作端末350aとの間で情報を送受信する方法については、操作端末350aが、管理サーバ100から得た取引情報を符号化したQRコードを表示部に表示して、該QRコードを、利用者Pが携帯端末200で読み取る態様でもよい。この場合、認証処理は携帯端末200で行われる。そして、認証情報に異常があった場合には、これを示す情報が、携帯端末200から、管理サーバ100及び店舗サーバ300aを介して操作端末350aに送信され、操作端末350aで店員への報知処理が実行されることになる。
【0077】
認証処理が正常終了した場合、操作端末350aは、現金処理装置400aから、利用者Pが希望する金額の現金を出金する(ステップS107)。利用者Pは、現金処理装置400aから出金された現金を受け取る(ステップS108)。こうして利用者Pは、ステップS101で入力した金額分の現金を店舗Aで受け取ることができる。
【0078】
現金を受け取った利用者Pが、携帯端末200で取引完了操作を行うと、携帯端末200は、取引完了を示す完了情報を、銀行Xの銀行サーバ500a及び管理サーバ100へ送信する(ステップS109)。現金処理装置400aが、利用者Pに渡す現金を出金した後、店舗Aの店員が操作端末350aで取引完了操作を行うと、操作端末350aは店舗サーバ300aに取引が完了したことを通知する。通知を受けた店舗サーバ300aは、管理サーバ100へ完了情報を送信する(ステップS110)。このように、貸借金処理システムでは、完了情報を送受信することにより、利用者が店舗で現金を受け取ったことを、銀行及び管理会社で確認できるようになっている。
【0079】
完了情報は、利用者Pの利用者ID、利用者Pの銀行口座を特定するための情報、店舗Aの店舗ID、店舗Aの銀行口座を特定するための情報、利用者Pが店舗Aから受け取った現金の情報、取引完了日時の情報を含む。
【0080】
銀行Xの銀行サーバ500aは、完了情報に基づいて、利用者Pが店舗Aで受け取った現金の金額を特定する。また、銀行サーバ500aは、完了情報に基づいて、利用者Pの銀行口座及び店舗Aの銀行口座を特定する。
【0081】
銀行サーバ500aは、利用者Pの銀行口座から管理会社の銀行口座へ、利用者Pが受け取った現金の金額分の資金を移動する振替を実行する(ステップS111)。銀行サーバ500aは、予め準備された設定に基づいて、銀行から管理会社に支払われる手数料を算出する。銀行サーバ500aは、銀行Xが管理会社に支払う手数料を、管理会社の銀行口座に入金する(ステップS112)。
【0082】
銀行サーバ500aは、予め準備された設定に基づいて、管理会社から店舗Aに支払われる手数料と、この手数料から返済用口座に入金される返済金額とを算出する。ただし、手数料及び返済金額は、管理サーバ100が算出して銀行サーバ500aへ通知する態様であってもよい。
【0083】
銀行サーバ500aは、管理会社の銀行口座から店舗Aの銀行口座へ、利用者Pが店舗Aで受け取った現金の金額と管理会社が店舗Aへ支払う手数料との合計金額から、返済金額を差し引いた金額の振替を実行する(ステップS113)。また、銀行サーバ500aは、管理会社の銀行口座から返済用口座へ返済金額の振替を実行する(ステップS114)。
【0084】
なお、完了情報が、携帯端末200と店舗サーバ300aの両方から管理サーバ100に送信される態様に限定されず、携帯端末200と店舗サーバ300aのいずれか一方のみから送信される態様であってもよい。また、完了情報を受信した銀行サーバ500aが自ら口座処理を実行する態様に限定されず、完了情報を受信した管理サーバ100が、銀行サーバ500aに口座処理を指示することによって、ステップS111~S113の口座処理が行われる態様であってもよい。
【0085】
図9は、利用者Pの銀行口座と店舗Aの銀行口座とが同じ銀行Xにあり、返済用口座が別の銀行Yにある場合の処理の流れを示す模式図である。以下、図8に示す処理との違いを中心に図9に示す処理について説明する。
【0086】
銀行Xに銀行口座がある利用者Pは、銀行Xに銀行口座がある店舗Aに行って、携帯端末200の画面に表示されたQRコードを、操作端末350aに接続されたカメラ310aに読み取らせる。これにより、利用者Pは、現金処理装置400aから出金された現金を受け取ることができる。利用者Pが店舗Aで現金を受け取るまでのステップS201~S208の処理は、図8に示すステップS101~S108の処理と同じであるため説明を省略する。
【0087】
店舗Aで現金を受け取った利用者Pが、携帯端末200で取引完了操作を行うと、携帯端末200は、銀行Xの銀行サーバ500aと管理会社の管理サーバ100へ、完了情報を送信する(ステップS209)。
【0088】
銀行サーバ500aは、完了情報に基づいて、利用者Pが店舗Aで受け取った現金の金額を特定する。また、銀行サーバ500aは、完了情報に基づいて、利用者P及び店舗Aの銀行口座を特定する。銀行サーバ500aは、利用者Pの銀行口座から、銀行Xにある管理会社の銀行口座へ、利用者Pが受け取った現金の金額分の資金を移動する振替を実行する(ステップS210)。また、銀行サーバ500aは、銀行Xにある管理会社の銀行口座に、銀行Xから支払われた手数料を入金する(ステップS211)。
【0089】
予め準備された設定に基づいて、管理会社から店舗Aに支払われる手数料と、この手数料から返済用口座に入金される返済金額とが決定される。銀行サーバ500aは、管理会社の銀行口座から店舗Aの銀行口座へ、利用者Pが店舗Aで受け取った現金の金額と管理会社が店舗Aへ支払う手数料との合計金額から、返済金額を差し引いた金額の振替を実行する(ステップS212)。
【0090】
現金処理装置400aが利用者Pに渡す現金を出金した後、店舗Aの店員が操作端末350aで取引完了操作を行うと、操作端末350aは、店舗サーバ300aに取引が完了したことを通知する。通知を受けた店舗サーバ300aは、管理サーバ100へ完了情報を送信する(ステップS213)。
【0091】
管理サーバ100は、完了情報に基づいて、利用者Pが店舗Aから受け取った現金の金額を認識する。管理サーバ100は、完了情報に基づいて、銀行間の資金の移動、すなわち銀行間で行う振込内容を管理する(ステップS214)。
【0092】
管理サーバ100は、銀行Xの銀行サーバ500aに、銀行Xにある管理会社の銀行口座から、銀行Yにある管理会社の銀行口座への振込を指示する(ステップS215)。管理サーバ100は、複数の取引それぞれの資金移動の金額を合算して、1回の振込により銀行間の資金移動を行うが、これについては後述する。
【0093】
管理サーバ100から振込指示を受けた銀行サーバ500aは、銀行Xにある管理会社の銀行口座から、銀行Yにある管理会社の銀行口座への振込を実行する(ステップS216)。この結果、店舗Aが債権者に返済する金額、すなわち返済用口座に入金する返済金額を含む資金が、管理会社の銀行Xの銀行口座から銀行Yの銀行口座へ移動する。
【0094】
管理サーバ100は、銀行Yの銀行サーバ500bに、銀行Yにある管理会社の銀行口座から、同じく銀行Yにある返済用口座への振替を指示する(ステップS217)。管理サーバ100は、店舗Aによる返済金額分の振替を指示する。管理サーバ100から振替指示を受けた銀行サーバ500bは、管理会社の銀行口座から返済用口座への振替を実行して、管理会社から店舗Aに支払われた手数料の一部を返済用口座へ入金する(ステップS218)。
【0095】
図10は、利用者Pの銀行口座と返済用口座とが同じ銀行Xにあり、店舗Bの銀行口座が別の銀行Yにある場合の処理の流れを示す模式図である。以下、図9に示す処理との違いを中心に図10に示す処理について説明する。
【0096】
銀行Xに銀行口座がある利用者Pは、銀行Yに銀行口座がある店舗Bに行って、携帯端末200の画面に表示されたQRコードを、操作端末350bに接続されたカメラ310bに読み取らせる。これにより、利用者Pは、現金処理装置400bから出金された現金を受け取ることができる。利用者Pが店舗Bで現金を受け取るまでのステップS301~S308の処理は、図9に示すステップS201~S208の処理と同じであるため説明を省略する。
【0097】
店舗Bで現金を受け取った利用者Pが、携帯端末200で取引完了操作を行うと、携帯端末200は、銀行Xの銀行サーバ500aと管理会社の管理サーバ100へ、完了情報を送信する(ステップS309)。
【0098】
銀行サーバ500aは、完了情報に基づいて、利用者Pが店舗Bで受け取った現金の金額を特定する。また、銀行サーバ500aは、完了情報に基づいて、利用者Pの銀行口座を特定すると共に、店舗Bの銀行口座が銀行Xにないことを認識する。銀行サーバ500aは、利用者Pの銀行口座から、銀行Xにある管理会社の銀行口座へ、利用者Pが受け取った現金の金額分の資金を移動する振替を実行する(ステップS310)。また、銀行Xの銀行サーバ500aは、銀行Xにある管理会社の銀行口座に、銀行Xから支払われた手数料を入金する(ステップS311)。
【0099】
予め準備された設定に基づいて、管理会社から店舗Bに支払われる手数料と、この手数料から返済用口座に入金される返済金額とが決定されると、銀行サーバ500aは、銀行Xにある管理会社の銀行口座から返済用口座へ返済金額の振替を実行する(ステップS312)。
【0100】
現金処理装置400bが利用者Pに渡す現金を出金した後、店舗Bの店員が操作端末350bで取引完了操作を行うと、操作端末350bは、店舗サーバ300bに取引が完了したことを通知する。通知を受けた店舗サーバ300bは、管理サーバ100へ完了情報を送信する(ステップS313)。
【0101】
管理サーバ100は、完了情報に基づいて、利用者Pが店舗Bから受け取った現金の金額を認識する。管理サーバ100は、完了情報に基づいて、銀行間の資金の移動、すなわち銀行間で行う振込内容を管理する(ステップS314)。
【0102】
管理サーバ100は、銀行Xの銀行サーバ500aに、銀行Xにある管理会社の銀行口座から、銀行Yにある管理会社の銀行口座への振込を指示する(ステップS315)。管理サーバ100は、複数の取引それぞれの資金移動の金額を合算して、1回の振込により銀行間の資金移動を行うが、これについては後述する。
【0103】
管理サーバ100から振込指示を受けた銀行サーバ500aは、銀行Xにある管理会社の銀行口座から、銀行Yにある管理会社の銀行口座への振込を実行する(ステップS316)。この結果、利用者Pが店舗Bで受け取った現金の金額と管理会社が店舗Bへ支払う手数料との合計金額から、返済金額を差し引いた金額分の資金が、管理会社の銀行Xの銀行口座から銀行Yの銀行口座へ移動する。
【0104】
管理サーバ100は、銀行Yの銀行サーバ500bに、銀行Yにある管理会社の銀行口座から、同じく銀行Yにある店舗Bの銀行口座への振替を指示する(ステップS317)。振替指示を受けた銀行サーバ500bは、管理会社の銀行口座から店舗Bの銀行口座への振替を実行する(ステップS318)。この結果、利用者Pが店舗Bで受け取った現金の金額と管理会社が店舗Bへ支払う手数料との合計金額から、返済金額を差し引いた金額分の資金が、銀行Yにある管理会社の銀行口座から店舗Bの銀行口座へ移動する。
【0105】
図11は、店舗Bの銀行口座と返済用口座とが同じ銀行Yにあり、利用者Pの銀行口座が別の銀行Xにある場合の処理の流れを示す模式図である。以下、図10に示す処理との違いを中心に図11に示す処理について説明する。
【0106】
銀行Xに銀行口座がある利用者Pは、銀行Yに銀行口座がある店舗Bに行って、携帯端末200の画面に表示されたQRコードを、操作端末350bに接続されたカメラ310bに読み取らせる。これにより、利用者Pは、現金処理装置400bから出金された現金を受け取ることができる。その後、銀行Xの銀行サーバ500aが口座処理を行うがステップS401~S411の処理は、図10に示すステップS301~S311の処理と同じであるため説明を省略する。
【0107】
現金処理装置400bが利用者Pに渡す現金を出金した後、店舗Bの店員が操作端末350bで取引完了操作を行うと、操作端末350bは、店舗サーバ300bに取引が完了したことを通知する。通知を受けた店舗サーバ300bは、管理サーバ100へ完了情報を送信する(ステップS412)。
【0108】
管理サーバ100は、完了情報に基づいて、利用者Pが店舗Bから受け取った現金の金額を認識する。管理サーバ100は、完了情報に基づいて、銀行間の資金の移動、すなわち銀行間で行う振込内容を管理する(ステップS413)。
【0109】
管理サーバ100は、銀行Xの銀行サーバ500aに、銀行Xにある管理会社の銀行口座から、銀行Yにある管理会社の銀行口座への振込を指示する(ステップS414)。管理サーバ100は、複数の取引それぞれの資金移動の金額を合算して、1回の振込により銀行間の資金移動を行うが、これについては後述する。
【0110】
管理サーバ100から振込指示を受けた銀行サーバ500aは、銀行Xにある管理会社の銀行口座から、銀行Yにある管理会社の銀行口座への振込を実行する(ステップS415)。この結果、利用者Pが店舗Bで受け取った現金の金額と、管理会社が店舗Bへ支払う手数料との合計金額分の資金が、管理会社の銀行Xの銀行口座から銀行Yの銀行口座へ移動する。
【0111】
管理サーバ100は、銀行Yの銀行サーバ500bに、銀行Yにある管理会社の銀行口座から、同じく銀行Yにある店舗Bの銀行口座及び返済用口座への振替を指示する(ステップS416)。
【0112】
銀行サーバ500bは、予め準備された設定に基づいて、管理会社から店舗Bに支払われる手数料と、この手数料から返済用口座に入金される返済金額とを算出する。ただし、手数料及び返済金額は、管理サーバ100が算出して銀行サーバ500bへ通知する態様であってもよい。
【0113】
管理サーバ100から振替指示を受けた銀行サーバ500bは、管理会社の銀行口座から店舗Bの銀行口座への振替を実行する(ステップS417)。この結果、利用者Pが店舗Bで受け取った現金の金額と管理会社が店舗Bへ支払う手数料との合計金額から、返済金額を差し引いた金額分の資金が、管理会社の銀行口座から店舗Bの銀行口座へ移動する。また、銀行サーバ500bは、管理会社の銀行口座から返済用口座へ返済金額の振替を実行する(ステップS418)。
【0114】
図12は、利用者Pの銀行口座、店舗Bの銀行口座及び返済口座がそれぞれ別々の銀行X~Zにある場合の処理の流れを示す模式図である。利用者Pの銀行口座は銀行Xにあり、店舗Bの銀行口座は銀行Yにあり、返済用口座は銀行Zにある。以下、図11に示す処理との違いを中心に図12に示す処理について説明する。
【0115】
銀行Xに銀行口座がある利用者Pは、銀行Yに銀行口座がある店舗Bに行って、携帯端末200の画面に表示されたQRコードを、操作端末350bに接続されたカメラ310bに読み取らせる。これにより、利用者Pは、現金処理装置400bから出金された現金を受け取ることができる。その後、管理サーバ100が、完了情報を受信して銀行間で行われる振込内容を管理するまでのS501~S513の処理は、図11に示すステップS401~S413の処理と同じであるため説明を省略する。
【0116】
管理サーバ100は、銀行Xの銀行サーバ500aに、銀行Xにある管理会社の銀行口座から、銀行Yにある管理会社の銀行口座への振込と、銀行Zにある管理会社の銀行口座への振込とを指示する(ステップS514)。管理サーバ100は、複数の取引それぞれの資金移動の金額を合算して、1回の振込により銀行間の資金移動を行うが、これについては後述する。
【0117】
管理サーバ100から振込指示を受けた銀行サーバ500aは、銀行Xにある管理会社の銀行口座から銀行Yにある管理会社の銀行口座への振込と、銀行Xにある管理会社の銀行口座から銀行Zにある管理会社の銀行口座への振込とを実行する(ステップS515)。この結果、利用者Pが店舗Bで受け取った現金の金額と管理会社が店舗Bへ支払う手数料との合計金額から、返済金額を差し引いた金額分の資金が、管理会社の銀行Xの銀行口座から銀行Yの銀行口座へ移動する。また、返済金額分の資金が、管理会社の銀行Xの銀行口座から銀行Zの銀行口座へ移動する。
【0118】
管理サーバ100は、銀行Yの銀行サーバ500bに、銀行Yにある管理会社の銀行口座と店舗Bの銀行口座との間で振替を実行するよう指示すると共に、銀行Zの銀行サーバ500cに、銀行Zにある管理会社の銀行口座と返済用口座との間で振替を実行するよう指示する(ステップS516)。
【0119】
銀行Yでは、銀行サーバ500bが、管理会社の銀行口座から店舗Bの銀行口座へ、利用者Pが店舗Bで受け取った現金の金額と管理会社が店舗Bへ支払う手数料との合計金額から、返済金額を差し引いた金額の振替を実行する(ステップS517)。銀行Zでは、銀行サーバ500cが、管理会社の銀行口座から返済用口座へ返済金額の振替を実行する(ステップS518)。
【0120】
異なる銀行間で振込を行う際、管理会社は、銀行に手数料を支払う必要がある。利用者と店舗の間で現金を受け渡す取引が行われる度に、異なる銀行間で振込を行うと、管理会社が銀行に支払う手数料は高額になる。このため、管理サーバ100は、複数取引をまとめてから銀行サーバ500に振込の実行を指示する。
【0121】
図13は、管理サーバ100が振込内容を決定する処理を説明するための図である。図13(a)は管理サーバ100が管理する情報の例を示す図である。図13(b)は、管理サーバ100が銀行間で行う振込内容を決定する方法を示す図である。
【0122】
管理サーバ100は、図13(a)に示すように、銀行間で行う必要がある振込の情報を管理している。管理サーバ100は、図8図12に示すように携帯端末200及び店舗サーバ300から受信する完了情報に基づいて、図13(a)に示す情報を管理している。図13(a)に示すように、銀行間で振込を行う際に振込元となる銀行別に、振込先の銀行と、該銀行へ振り込む合計金額とが管理される。
【0123】
図13(a)に示す店舗、口座及び取引日時の各項目は、店舗の識別情報と、この店舗の銀行口座と、利用者がこの店舗で銀行口座から引き出した現金を受け取った取引の日時とを示している。
【0124】
図13(a)に示す金額、手数料及び返済金額の各項目は、利用者が店舗で受け取った現金の金額、管理会社が店舗に支払う手数料及び返済金額に基づいて登録される。例えば、図4のステップS25及び図7のステップS56に示すように、銀行間で返済金額の振込のみが行われる場合、金額及び手数料の項目に0(ゼロ)が登録され、返済金額の項目に返済金額が登録される。図4に示す例では、返済金額の項目が10円になり、金額及び手数料の項目は0(ゼロ)になる。
【0125】
図5のステップS35及び図7のステップS54に示すように、銀行間で、利用者が店舗で受け取った現金の金額と手数料の合計金額から返済金額を差し引いた金額の振込が行われる場合、金額及び手数料の項目に金額が登録され、返済金額の項目には0(ゼロ)と登録される。図5に示す例では、金額の項目が10000円、手数料の項目が10円になり、返済金額の項目は0(ゼロ)になる。
【0126】
図6のステップS44に示すように、利用者が店舗で受け取った現金の金額及び手数料の振込が銀行間で行われる場合は、金額、手数料及び返済金額の各項目に金額が登録される。図6に示す例では、金額の項目が10000円、手数料の項目が10円、返済金額の項目が10円になる。
【0127】
図13(a)に示す合計金額の項目には、こうして登録された金額、手数料及び返済金額の項目にある金額を振込先別に合計した金額が登録される。図13(a)の情報から、管理サーバ100は、銀行Xから銀行Yへ移動する資金の金額、銀行Yから銀行Xへ移動する資金の金額等、各銀行間で移動する資金の金額を認識することができる。
【0128】
管理サーバ100は、所定のタイミングで、銀行間の振込を行う。例えば、管理サーバ100は、1日に2回、振込元の各銀行の銀行サーバ500に、図9のステップS215、図10のステップS315、図11のステップS414及び図12のステップS514に示すように振込指示を行って各銀行間の振込を実行する。
【0129】
管理サーバ100は、図13(a)に示すように、利用者が店舗で現金を受け取った各取引の情報を管理して銀行間で移動する資金の合計金額を算出する。管理サーバ100は、銀行間で合計金額の振込を行うことにより、図13(a)に示す振込元及び振込先が同じ複数取引をまとめて処理することができる。
【0130】
銀行サーバ500に銀行間の振込を指示する際、管理サーバ100は、図13(a)に示す情報に基づいて、図13(b)に示すように振込金額を決定する。図13(b)に示す銀行X、銀行Y、金額Pxy及びPyxは、図13(a)に括弧書きで示した情報に対応している。
【0131】
例えば、図13(b)に示すように、銀行Xから銀行Yへ振り込む必要がある金額Pxyと、銀行Yから銀行Xへ振り込む必要がある金額Pyxとが等しい場合、管理サーバ100は、振込を行わないことを決定する。この場合、銀行間での資金移動は不要であるため、管理サーバ100は、銀行サーバ500a、500bへの振込指示を行わない。
【0132】
金額Pxyが金額Pyxより大きい場合、管理サーバ100は、PxyからPyxを差し引いた金額分を銀行Xから銀行Yへ振り込むことを決定する。この場合、(Pxy-Pyx)の金額分の資金を銀行Xから銀行Yに移動する必要がある。このため、管理サーバ100は、銀行Xの銀行サーバ500aに振込指示を行う。
【0133】
金額Pyxが金額Pxyより大きい場合、管理サーバ100は、PyxからPxyを差し引いた金額分を銀行Yから銀行Xへ振り込むことを決定する。この場合、(Pyx-Pxy)の金額分の資金を銀行Yから銀行Xに移動する必要がある。このため、管理サーバ100は、銀行Yの銀行サーバ500bに振込指示を行う。
【0134】
図13(b)では2つの銀行を例に説明したが、管理サーバ100は、全ての銀行について図13(a)に示すように情報を管理して、複数の銀行間で移動する資金の金額を決定する。管理サーバ100は、複数の銀行間で資金の移動が必要である場合、各銀行間の資金移動を行った結果、最終的に、どの銀行からどの銀行へ幾らの資金を移動したことになるのかを判定し、判定結果に基づく資金移動を行う。
【0135】
例えば、銀行Xから銀行Yに50万円、銀行Yから銀行Zに100万円、銀行Zから銀行Xに50万円の資金の移動が必要である場合、これら3回の資金移動を行うと、最終的に銀行Yから銀行Zに50万円の資金が移動することになる。このため、管理サーバ100は、これら3つの銀行間で3回の資金移動を実行するのではなく、銀行Yから銀行Zへの50万円の資金移動を1回行うことにより、これら3つの銀行間の資金移動を完了する。
【0136】
このように、管理サーバ100は、利用者が店舗で現金を受け取った複数の取引について、銀行間で振込が必要な金額を合計して、複数取引分の資金の移動を1回の振込で処理する。また、管理サーバ100は、第1の銀行から第2の銀行へ移動する資金の金額と、第2の銀行から第1の銀行へ移動する資金の金額とを相殺して、得られた差額分の資金の移動を行う。すなわち、管理サーバ100は、第1の銀行から第2の銀行への振込と、第2の銀行から第1の銀行への振込とを別々に行わず、振込金額を相殺して1回の振込で済ませる。これにより、管理会社は、振込回数を減らして振込手数料を抑制することができる。また、銀行における振込処理の処理負荷も軽減される。
【0137】
本実施形態の図3図12では、利用者が銀行口座から引き出した現金を店舗で受け取る1回の取引を対象に説明を行ったが、各図に示す口座処理が取引毎に行われる態様に限定されるものではない。例えば、管理サーバ100から銀行サーバ500への口座処理の指示が、図13で説明した銀行間の振込と同様に、1日に所定回数行われる態様であってもよい。また、同じ銀行の口座間で行われる振替の口座処理についても、取引毎に行われる態様に限定されず、銀行間の振込と同様に、同じ口座間で行われる複数の振替処理の金額がまとめて1回の振替で処理される態様であってもよい。また、銀行内の振替及び銀行間の振込が行われる回数は、図13で説明した1日2回に限定されず、1日に1回であってもよいし1日に3回以上であってもよい。
【0138】
本実施形態では、銀行が管理会社へ支払う手数料、及び管理会社が店舗へ支払う手数料の金額が、利用者が店舗で受け取った金額に、予め設定された手数料率を乗じて算出される態様を示したが、手数料の決定方法がこれに限定されるものではない。例えば、銀行が管理会社へ支払う手数料の金額が固定され、利用者が店舗で受け取った金額によらず、1回の取引に対して一定金額の手数料が管理会社に支払われる態様であってもよい。同様に、管理会社が店舗へ支払う手数料の金額が固定され、利用者が受け取った金額によらず、1回の取引に対して一定金額の手数料が店舗に支払われる態様であってもよい。また、店舗が、返済金額の処理を行う管理会社に対して手数料を支払う態様であってもよい。この場合、例えば、本実施形態で説明した手数料を、管理会社が店舗に支払う手数料から、店舗が前記管理会社に支払う手数料を差し引いた金額として、上述した各処理を実行すればよい。また、例えば、管理会社から店舗の口座へ移動する資金の金額から、管理会社が店舗から受け取る手数料の金額を差し引いて口座処理を行ってもよい。
【0139】
本実施形態では、貸借金処理システムが、返済金額を返済用口座に入金する返済処理を自動的に実行する態様を示したが、店舗の承諾を得てから返済処理を実行する設定とすることもできる。例えば、管理サーバ100が、店舗サーバ300に返済処理を承諾するか否かを問い合わせ、店舗サーバ300の操作部で承諾操作が行われた場合にのみ返済処理を行う設定とすることができる。承諾操作は、店舗サーバ300を利用して行う態様に限定されず、例えば、管理サーバ100と通信可能な携帯型の通信端末を利用して行う態様であってもよい。管理サーバ100が、無線通信により、返済処理の承諾を求める通知を携帯通信端末に送信して、携帯通信端末で承諾操作が行われたことを示す情報を携帯通信端末から受信するようにすれば、店員は、店舗サーバ300を操作できない状況にあっても承諾操作を行うことができる。なお、返済処理の承諾操作を行う店員は特に限定されないが、例えば店舗の責任者が、携帯通信端末を利用して承諾操作を行うことができる。
【0140】
例えば、複数取引の返済金の処理を1日2回というように1日に所定回数実行する場合、店舗と利用者との間で行われた現金授受の複数取引がまとめて処理されることになる。このため、貸借金処理システムでは、複数取引で、店舗が利用者に渡した現金の合計金額と、管理会社から受け取った手数料の合計金額と、返済金額の合計金額とを、店舗サーバ300の表示部に表示する設定とすることもできる。このとき表示金額を確認した店員が、店舗サーバ300の操作部又は携帯通信端末を操作して、返済金額を手動で変更可能な設定とすることもできる。返済金額が変更された場合、貸借金処理システムでは、上述した各処理が変更後の返済金額に基づいて行われることになる。例えば、図3図12に示す例で、店舗が返済金額を10円から15円に変更した場合、返済金額を15円に変更して各処理が行われることになる。
【0141】
本実施形態では、店舗が管理会社から受け取る手数料に、予め設定された所定割合を乗じて返済金額を算出する例を示したが、貸借金処理システムにおける返済金額の決定方法がこれに限定されるものではない。例えば、店舗が利用者に渡した現金の金額と手数料との合計金額に、予め設定された所定割合を乗じて返済金額が算出される態様であってもよい。
【0142】
また、貸借金処理システムでは、手数料の金額に応じて返済金額の割合を変更する設定としたり、日付や曜日に応じて返済金額の割合を変更する設定とすることもできる。貸借金処理システムでは、割合を変更する条件と、該条件を満たす場合の変更後の割合とを含む設定を予め準備すれば、この設定に基づいて返済金額の割合が変更される。例えば、店舗は、1回の取引で管理会社から受け取る手数料が所定金額以下であれば手数料の50%を返済金額として、所定金額を超える場合は手数料の45%を返済金額とするように設定することができる。また、例えば、店舗は、平日と休日とで返済に充てる手数料の割合を変更するよう設定することができる。また、例えば、店舗は、1回の取引で管理会社から受け取る手数料の50%を返済金額とするが、1日の返済金額の合計が10000円を超えたら返済金額を0%とするように設定することができる。
【0143】
本実施形態では、店舗にある装置が、カメラ310等の読取措置を備える操作端末350と、操作端末350に接続された釣銭機である現金処理装置400とによって構成される例を示したが、装置構成がこれに限定されるものではない。カメラ310に代えて、スキャナ、バーコードリーダ等の装置を読取装置として利用する態様であってもよい。POS(Point of Sales)システムを利用するPOSレジスタ、決済端末等の装置を操作端末350として利用する態様であってもよい。現金処理装置400を設けず、利用者が、銀行口座から引き出した現金を店舗で受け取る際には、POSレジスタ等のキャッシュレジスタのドロアに収納されている現金を利用する態様であってもよい。すなわち、店舗と利用者との間で行われる現金の受け渡しには、現金処理装置400、キャッシュレジスタ、現金の収納容器等、現金を出金可能な現金収納装置を利用する態様であればよい。
【0144】
例えば、操作端末350として機能するPOSレジスタが、読取装置として接続されたスキャナを利用して、利用者の携帯端末200との間で情報を送受信する。利用者が銀行口座から引き出す現金は、店員が、POSレジスタのドロアから取り出して利用者に手渡す。これにより、上述した貸借金処理システムの各機能及び動作を実現することができる。
【0145】
また、例えば、店舗サーバ300及び操作端末350の機能を兼ねるタブレット等の小型の決済端末が、利用者の携帯端末200との間で情報を送受信してもよい。この場合も、利用者が銀行口座から引き出す現金は、店員が、キャッシュレジスタのドロア、現金の収納容器等から取り出して利用者に手渡すことにより、上述した貸借金処理システムの各機能及び動作を実現することができる。
【0146】
本実施形態に示した貸借金処理システムの構成は機能概略的なものであり、貸借金処理システムの構成が物理的に該構成に限定されるものではない。例えば、現金処理装置400が、上述した操作端末350の機能及び動作の一部又は全部を実現する態様であってもよい。また、操作端末350が、上述した店舗サーバ300の機能及び動作の一部又は全部を実現する態様であってもよいし、店舗サーバ300が、上述した操作端末350の機能及び動作の一部又は全部を実現する態様であってもよい。また、管理サーバ100が、上述した店舗サーバ300の機能及び動作の一部又は全部を実現する態様であってもよいし、店舗サーバ300が、上述した管理サーバ100の機能及び動作の一部又は全部を実現する態様であってもよい。また、管理サーバ100が、上述した銀行サーバ500の機能及び動作の一部又は全部を実現する態様であってもよいし、銀行サーバ500が、上述した管理サーバ100の機能及び動作の一部又は全部を実現する態様であってもよい。各装置の分散、統合の形態は上述した例に限定されず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0147】
上述したように、本実施形態に係る貸借金処理システムでは、利用者は、ATMのない店舗で、ATMを利用する場合と同様に銀行口座から引き出した現金を手にすることができる。店舗は、現金処理装置から出金した現金を利用者に渡すことで管理会社から手数料を得ることができる上に、利用者が店舗で商品を購入すれば店舗の利益につながる。また、店舗は、管理会社から店舗の銀行口座に受け取る金額の一部を貸借金の返済に充てることができる。銀行は、店舗にATMを設置することなく、銀行口座を有する利用者に現金引出サービスを提供することができる。管理会社から優良店舗の紹介を受けて貸借契約を結んだ債権者は、管理会社から店舗に渡る金額の一部を店舗による返済金額として管理会社から受け取ることができる。管理会社は、利用者が自身の銀行口座から引き出した現金を店舗で受取可能としたことに対する手数料を銀行から受け取ることができる。また、管理会社は、優良店舗の紹介先から紹介手数料を受け取ったり、店舗から貸借金の返済処理に係る手数料を受け取ったりすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0148】
以上のように、本発明に係る貸借金処理システム及び貸借金処理方法は、貸借金の返済処理を効率よく行うために有用である。
【符号の説明】
【0149】
100 管理サーバ
200(200a、200b) 携帯端末
300(300a、300b) 店舗サーバ
350(350a、350b)、351(351a、351b) 操作端末
310(310a、310b) カメラ
400(400a、400b)、401(401a、401b) 現金処理装置
500(500a~500c) 銀行サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13