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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】組電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/503 20210101AFI20240418BHJP
   H01M 50/512 20210101ALI20240418BHJP
   H01M 50/55 20210101ALI20240418BHJP
【FI】
H01M50/503
H01M50/512
H01M50/55 101
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020053132
(22)【出願日】2020-03-24
(65)【公開番号】P2021153020
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179578
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和弘
(72)【発明者】
【氏名】吉川 孝哉
(72)【発明者】
【氏名】中村 佳浩
(72)【発明者】
【氏名】佐々 司光
(72)【発明者】
【氏名】間 寛幸
【審査官】浅野 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-114540(JP,A)
【文献】特開2014-123433(JP,A)
【文献】特表2010-519677(JP,A)
【文献】国際公開第2019/124107(WO,A1)
【文献】特開2019-021403(JP,A)
【文献】特開2011-076936(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50~50/598
H01M 50/20~50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一平面上で正極端子と負極端子とが第二の方向に沿って並んで形成された複数の角形の電池と、前記複数の電池の前記正極端子を互いに接続するバスバーと、を備え、前記複数の電池が前記第二の方向に直交する第一の方向に沿って配列されており、前記正極端子と前記負極端子とがそれぞれ千鳥配列された組電池であって、
前記バスバーは、
複数の前記正極端子にそれぞれ接続される複数の端子接続部と、
前記第一の方向に沿って並ぶ複数の前記端子接続部にそれぞれ連なり、前記第一の方向に延びて互いに平行に形成された一対の本体部と、
前記一対の本体部を互いに導通させる導通部と、
を備え、
前記複数の端子接続部は、それぞれ、前記一対の本体部のいずれか一方の本体部から、前記一対の本体部の他方の本体部から離れる方向へと突出して形成されており、
前記複数の端子接続部のうち前記バスバーの通電経路において最も下流側に位置する下流端子接続部の前記第一の方向に沿った寸法は、前記本体部の前記第二の方向に沿った寸法よりも大きいことを特徴とする、
組電池。
【請求項2】
請求項1に記載の組電池において、
前記下流端子接続部と前記導通部とは、前記第一の方向において、少なくとも一部において互いに重なっていることを特徴とする、
組電池。
【請求項3】
同一平面上で正極端子と負極端子とが第二の方向に沿って並んで形成された複数の角形の電池と、前記複数の電池の前記負極端子を互いに接続するバスバーと、を備え、前記複数の電池が前記第二の方向に直交する第一の方向に沿って配列されており、前記正極端子と前記負極端子とがそれぞれ千鳥配列された組電池であって、
前記バスバーは、
複数の前記負極端子にそれぞれ接続される複数の端子接続部と、
前記第一の方向に沿って並ぶ複数の前記端子接続部にそれぞれ連なり、前記第一の方向に延びて互いに平行に形成された一対の本体部と、
前記一対の本体部を互いに導通させる導通部と、
を備え、
前記複数の端子接続部は、それぞれ、前記一対の本体部のいずれか一方の本体部から、前記一対の本体部の他方の本体部から離れる方向へと突出して形成されており、
前記複数の端子接続部のうち前記バスバーの通電経路において最も上流側に位置する上流端子接続部の前記第一の方向に沿った寸法は、前記本体部の前記第二の方向に沿った寸法よりも大きいことを特徴とする、
組電池。
【請求項4】
請求項3に記載の組電池において、
前記上流端子接続部と前記導通部とは、前記第一の方向において、少なくとも一部において互いに重なっていることを特徴とする、
組電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、二次電池の高出力化を図ることを目的として、複数の電池を並列または直列に接続した組電池が用いられている。特許文献1には、このような組電池において、複数の電池を並列に接続するバスバーの構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-114540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、バスバーは、自身が有する電気抵抗によって通電の際に発熱し温度が上昇する。電気自動車等の電源に用いられる組電池のように、大電流が流れるバスバーにおいては、発熱量が特に大きいので、バスバーの過度な温度上昇が懸念される。したがって、特許文献1の技術によれば、バスバー自身の劣化はもちろん、接続される電池の劣化や、ひいては電池からの発火等の事故を引き起こすおそれがある。このため、バスバーの温度上昇を抑制可能な技術が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することができる。
【0006】
(1)本開示の一形態によれば、組電池が提供される。この組電池は、同一平面上で正極端子と負極端子とが第二の方向に沿って並んで形成された複数の角形の電池と、前記複数の電池の前記正極端子を互いに接続するバスバーと、を備え、前記複数の電池が前記第二の方向に直交する第一の方向に沿って配列されており、前記正極端子と前記負極端子とがそれぞれ千鳥配列された組電池であって、前記バスバーは、複数の前記正極端子にそれぞれ接続される複数の端子接続部と、前記第一の方向に沿って並ぶ複数の前記端子接続部にそれぞれ連なり、前記第一の方向に延びて互いに平行に形成された一対の本体部と、前記一対の本体部を互いに導通させる導通部と、を備え、前記複数の端子接続部は、それぞれ、前記一対の本体部のいずれか一方の本体部から、前記一対の本体部の他方の本体部から離れる方向へと突出して形成されており、前記複数の端子接続部のうち前記バスバーの通電経路において最も下流側に位置する下流端子接続部の前記第一の方向に沿った寸法は、前記本体部の前記第二の方向に沿った寸法よりも大きいことを特徴とする。この形態の組電池によれば、複数の電池の正極端子を互いに接続するバスバーが備える複数の端子接続部のうち、バスバーの通電経路において最も下流側に位置する下流端子接続部の第一の方向に沿った寸法が本体部の第二の方向に沿った寸法よりも大きいので、正極端子を互いに接続するバスバーにおいて最も温度が上昇しやすい傾向にある下流端子接続部における熱容量を増大でき、また、下流端子接続部における電流密度を低減できる。したがって、通電の際の電気抵抗によってバスバーの温度が過度に上昇することを抑制できる。
【0007】
(2)上記形態の組電池において、前記下流端子接続部と前記導通部とは、前記第一の方向において、少なくとも一部において互いに重なっていてもよい。この形態の組電池によれば、下流端子接続部と前記導通部とが、第一の方向において、少なくとも一部において互いに重なっている。このため、下流端子接続部から本体部と導通部との分岐点までの距離を短くできるので、バスバー内で相対的に大きな電流が流れる距離を短くできる。したがって、通電の際のバスバーの温度上昇をさらに抑制できる。
【0008】
(3)本開示の他の形態によれば、組電池が提供される。この組電池は、同一平面上で正極端子と負極端子とが第二の方向に沿って並んで形成された複数の角形の電池と、前記複数の電池の前記負極端子を互いに接続するバスバーと、を備え、前記複数の電池が前記第二の方向に直交する第一の方向に沿って配列されており、前記正極端子と前記負極端子とがそれぞれ千鳥配列された組電池であって、前記バスバーは、複数の前記負極端子にそれぞれ接続される複数の端子接続部と、前記第一の方向に沿って並ぶ複数の前記端子接続部にそれぞれ連なり、前記第一の方向に延びて互いに平行に形成された一対の本体部と、前記一対の本体部を互いに導通させる導通部と、を備え、前記複数の端子接続部は、それぞれ、前記一対の本体部のいずれか一方の本体部から、前記一対の本体部の他方の本体部から離れる方向へと突出して形成されており、前記複数の端子接続部のうち前記バスバーの通電経路において最も上流側に位置する上流端子接続部の前記第一の方向に沿った寸法は、前記本体部の前記第二の方向に沿った寸法よりも大きいことを特徴とする。この形態の組電池によれば、複数の電池の負極端子を互いに接続するバスバーが備える複数の端子接続部のうち、バスバーの通電経路において最も上流側に位置する上流端子接続部の第一の方向に沿った寸法が本体部の第二の方向に沿った寸法よりも大きいので、負極端子を互いに接続するバスバーにおいて最も温度が上昇しやすい傾向にある上流端子接続部における熱容量を増大でき、また、上流端子接続部における電流密度を低減できる。したがって、通電の際の電気抵抗によってバスバーの温度が過度に上昇することを抑制できる。
【0009】
(4)上記形態の組電池において、前記上流端子接続部と前記導通部とは、前記第一の方向において、少なくとも一部において互いに重なっていてもよい。この形態の組電池によれば、上流端子接続部と前記導通部とが、第一の方向において、少なくとも一部において互いに重なっている。このため、上流端子接続部から本体部と導通部との分岐点までの距離を短くできるので、バスバー内で相対的に大きな電流が流れる距離を短くできる。したがって、通電の際のバスバーの温度上昇をさらに抑制できる。
【0010】
なお、本開示は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、組電池が搭載された二次電池装置、組電池の製造方法等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】組電池の概略構成を示す斜視図。
図2】組電池の概略構成を示す上面図。
図3】電池の概略構成を示す斜視図。
図4】バスバーの詳細構成を示す斜視図。
図5】バスバーの詳細構成を示す上面図。
図6図5のA矢視図。
図7】第2実施形態の組電池が備えるバスバーの詳細構成を示す斜視図。
図8】第2実施形態の組電池が備えるバスバーの詳細構成を示す上面図。
図9】比較例の組電池が備えるバスバーの詳細構成を示す斜視図。
図10】最高温度のシミュレーションを示す説明図。
図11】試料Aの温度分布のシミュレーションを示す説明図。
図12】試料Bの温度分布のシミュレーションを示す説明図。
図13】電流密度分布のシミュレーションを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
A.第1実施形態:
図1は、本開示の一実施形態としての組電池100の概略構成を示す斜視図である。図2は、組電池100の概略構成を示す上面図である。組電池100は、後述するように複数並んでモジュール化され、図示しない二次電池装置の一部を構成している。本実施形態において、かかる二次電池装置は、図示しない電気自動車に搭載されているが、電気自動車に限らず、電気を動力源とする任意の移動体や定置型の電源として搭載されてもよい。組電池100は、複数の角形の電池10と、2つのバスバー20と、を備える。なお、図1および図2では、組電池100とともに、後述する2つの導電部材90を図示している。
【0013】
図3は、電池10の概略構成を示す斜視図である。本実施形態の電池10は、リチウムイオン電池を含んで構成されているが、リチウムイオン電池に限らず、ニッケル水素電池等、任意の種類の二次電池を含んで構成されていてもよい。電池10は、電池本体部12と、2つの負極端子14と、2つの正極端子16と、を有する。すなわち、本実施形態における電池10は、1つの負極端子14と1つの正極端子16とを有する単位電池を2つ連接させたものである。
【0014】
電池本体部12は、扁平な略直方体の外観形状を有する。負極端子14および正極端子16は、それぞれ電池本体部12の上面13において上方向に向かって突出して形成されている。つまり、負極端子14および正極端子16は、同一平面上に配置されている。負極端子14および正極端子16には、それぞれ図示しない雌ネジが形成されている。以降の説明では、電池本体部12の上面13に平行な平面において、電池10の短手方向を第一の方向D1とも呼び、電池10の長手方向、すなわち第一の方向D1と直交する方向を第二の方向D2とも呼ぶ。電池10を構成する2つの単位電池は、負極端子14および正極端子16の第二の方向D2における配列を入れ替えて連接されている。よって、電池10には、負極端子14と正極端子16とが第二の方向D2に沿って並んで形成されるとともに、負極端子14と正極端子16とが第一の方向D1に沿って並んで形成されている。電池本体部12の上面13には、さらに、第二の方向D2に沿って並んで形成された負極端子14と正極端子16との間に、測定用端子18がそれぞれ形成されている。各測定用端子18は、中間電位を測定する際に用いられる。
【0015】
図1および図2に示すように、本実施形態の組電池100は、3つの電池10が第一の方向D1に沿って配列されており、負極端子14と正極端子16とがそれぞれ千鳥配列されている。このため、組電池100では、第一の方向D1に沿って負極端子14と正極端子16とが交互に並んでいる。千鳥配列について詳述すると、第二の方向D2の一端側(図2の下方側)では、第一の方向D1の最も一端側(図2の左側)に正極端子16が配置され、第一の方向D1の他端側(図2の右側)に向かって正極端子16と負極端子14とが交互に配置されている。一方で、第二の方向D2の他端側(図2の上方側)では、第一の方向D1の最も一端側(図2の左側)に負極端子14が配置され、第一の方向D1の他端側(図2の右側)に向かって正極端子16と負極端子14とが交互に配置されている。なお、組電池100が備える電池10の数は、3つに限らず2つや4つ等、任意の数であってもよい。組電池100は、第一の方向D1に沿って複数配列されることにより、モジュール化されている。なお、図1および図2では、図示の便宜上、1つの組電池100のみを示している。
【0016】
導電部材90は、第一の方向D1を長手方向とする平面視略長方形の板状の外観形状を有し、第一の方向D1に互いに隣り合う組電池100を電気的に直列に接続する。より具体的には、導電部材90は、或る組電池100の負極端子14と、かかる組電池100に隣り合う組電池100の正極端子16とを互いに接続する。導電部材90には、それぞれ板厚方向に貫通する2つの貫通孔92が第一の方向D1に沿って並んで形成されている。各貫通孔92は、後述するように、導電部材90と負極端子14および正極端子16との接続に用いられる。
【0017】
2つのバスバー20は、それぞれ、略板状の外観形状を有し、組電池100が備える3つの電池10を電気的に並列に接続する。2つのバスバー20のうちの一方は、複数の電池10の負極端子14同士を互いに接続し、2つのバスバー20のうちの他方は、複数の電池10の正極端子16同士を互いに接続する。すなわち、各バスバー20は、複数の電池10の同極の端子を互いに接続する。後述するように、各バスバー20は、複数の電池10の負極端子14または正極端子16の上に組付けられる。電池10の負極端子14を互いに接続するバスバー20(以下、負極用バスバー24とも呼ぶ)と、正極端子16を互いに接続するバスバー20(以下、正極用バスバー26とも呼ぶ)とは、同一の構成を有し、板厚方向に互いに反転した状態で互いに対向して組付けられる。以下の説明では、バスバー20が正極用バスバー26である場合について、代表して説明する。
【0018】
図4は、バスバー20の詳細構成を示す斜視図である。図5は、バスバー20の詳細構成を示す上面図である。図6は、図5のA矢視図である。バスバー20は、複数の端子接続部40と、一対の本体部50と、2つの導通部60と、を有する。
【0019】
複数の端子接続部40は、電池10の正極端子16にそれぞれ接続される。上述のように、本実施形態の組電池100が備える電池10の数が3であり、各電池10が正極端子16を2つずつ有するため、本実施形態のバスバー20は、端子接続部40を6つ有している。換言すると、本実施形態のバスバー20において、第一の方向D1に沿って並ぶ端子接続部40の数は3であり、バスバー20は3つの電池10を接続する。各端子接続部40は、第一の方向D1と第二の方向D2とに沿った平面、すなわち電池10の上面13と平行な面に沿って形成されている。
【0020】
一対の本体部50は、第一の方向D1に延びて互いに平行に形成されている。以下の説明では、一対の本体部50のうちの一方を、第一本体部51とも呼び、一対の本体部50のうちの他方を、第二本体部52とも呼ぶ。すなわち、第一本体部51と第二本体部52とは、第一の方向D1に沿って並ぶ3つの端子接続部40にそれぞれ連なっている。換言すると、第一本体部51と第二本体部52とは、それぞれ、第一の方向D1に沿って並ぶ3つの端子接続部40のうち、最も離れた端子接続部40同士を接続する直線状に形成されている。本実施形態において、第一本体部51および第二本体部52における第一の方向D1に沿った寸法は、互いに等しい。
【0021】
端子接続部40は、一対の本体部50のいずれか一方から、第二の方向D2に沿って一対の本体部50の他方から離れる方向へとそれぞれ突出して形成されている。より具体的には、第一本体部51に連なる3つの端子接続部40は、第二の方向D2に沿って第二本体部52から離れる方向へとそれぞれ突出して形成され、第二本体部52に連なる3つの端子接続部40は、第二の方向D2に沿って第一本体部51から離れる方向へとそれぞれ突出して形成されている。各端子接続部40には、板厚方向に貫通する貫通孔42が形成されている。各貫通孔42は、後述するように、バスバー20と正極端子16との接続に用いられる。
【0022】
以下の説明では、バスバー20が有する複数の端子接続部40のうち、正極用バスバー26としてのバスバー20の通電経路において最も下流側に位置する端子接続部40を、下流端子接続部44とも呼ぶ。
【0023】
負極用バスバー24においては、電流の流れる向きが逆になる。このため、負極用バスバー24では、正極用バスバー26において下流端子接続部44として機能していた端子接続部40が、バスバー20の通電経路において最も上流側に位置する上流端子接続部45として機能する。正極用バスバー26の下流端子接続部44と負極用バスバー24の上流端子接続部45とが、導電部材90によって互いに接続されることにより、第一の方向D1に隣り合う組電池100は、電気的に直列に接続される。
【0024】
また、以下の説明では、バスバー20が有する複数の端子接続部40のうち、下流端子接続部44に対して点対称の位置にある端子接続部40を、対称端子接続部48とも呼ぶ。本実施形態において、「点対称の位置」とは、第一の方向D1および第二の方向D2に沿った平面において、バスバー20の重心を中心点とする点対称の位置を意味している。対称端子接続部48は、複数の端子接続部40のうち、下流端子接続部44とは最も離れた位置に形成された端子接続部40に相当する。
【0025】
本実施形態において、下流端子接続部44および対称端子接続部48の第一の方向D1に沿った寸法は、いずれも、下流端子接続部44および対称端子接続部48を除く他の端子接続部40の第一の方向D1に沿った寸法よりも大きい。また、下流端子接続部44および対称端子接続部48の第一の方向D1に沿った寸法は、いずれも本体部50の第二の方向D2に沿った寸法よりも大きい。本実施形態において、下流端子接続部44および対称端子接続部48は、いずれも、第一の方向D1に隣り合う端子接続部40に近づく側に向かって延伸して形成されることにより、第一の方向D1に沿った寸法が大きく形成されている。
【0026】
一対の本体部50は、端子接続部40の形成面と平行な面に沿って形成されている。一対の本体部50と各端子接続部40とは、屈折部46を介して連なっている。屈折部46は、第一の方向D1と第二の方向D2とにそれぞれ略直交する方向に沿って形成されている。本実施形態において、屈折部46の第一の方向D1に沿った寸法は、端子接続部40の第一の方向D1に沿った寸法と略等しい。
【0027】
2つの導通部60は、それぞれ、一対の本体部50を互いに導通させる。2つの導通部60は、それぞれ、一対の本体部50と同一平面上において、第二の方向D2に沿って形成されている。このため、2つの導通部60は、互いに並列に形成されている。本実施形態において、第一の方向D1に沿って互いに隣り合う端子接続部40の間には、第一の方向D1において、2つの導通部60のうちのいずれか一方が設けられている。
【0028】
本実施形態のバスバー20および導電部材90は、銅板を材料として、打ち抜き加工と曲げ加工とによって成形されている。本実施形態において、各導通部60の第一の方向D1に沿った寸法は、本体部50の第二の方向D2に沿った寸法と略同じである。また、本実施形態のバスバー20は、略一定の厚みに形成されている。
【0029】
図1および図2に示す負極用バスバー24と正極用バスバー26とは、上述のように同一の構成を有し、板厚方向に互いに反転した状態で互いに対向して組付けられる。負極用バスバー24の端子接続部40と、正極用バスバー26の端子接続部40とは、同一平面上に位置して組付けられる。このため、負極用バスバー24の本体部50は、端子接続部40よりも下方向に位置し、正極用バスバー26の本体部50は、端子接続部40よりも上方向に位置している。このような構成により、負極用バスバー24と正極用バスバー26とは、互いに接触せずに絶縁されている。また、上面視したときに、各本体部50の少なくとも一部が重ね合わされている。
【0030】
組電池100を組み立てる際には、3つの電池10が有する負極端子14の上に負極用バスバー24が載せられ、正極端子16の上に正極用バスバー26が載せられる。そして、正極用バスバー26の通電経路において最も下流側に位置する下流端子接続部44の上と、負極用バスバー24の通電経路において最も上流側に位置する上流端子接続部45の上とにまたがって、導電部材90が載せられる。このとき、各バスバー20と導電部材90とは、各バスバー20に形成された貫通孔42および導電部材90に形成された貫通孔92とが、それぞれ負極端子14および正極端子16に形成された雌ネジと対応する位置に載せられる。その後、図示しないボルトが貫通孔42、92に挿入され、かかるボルトの雄ネジと各端子14、16の雌ネジとが螺合されて締結されることにより、各バスバー20と導電部材90とが各端子14、16に固定されて電気的に接続される。なお、各バスバー20と導電部材90とは、ボルトによる締結に限らず、溶接等の任意の方法によって各端子14、16と電気的に接続されてもよい。
【0031】
本実施形態では、上下方向から見て、負極用バスバー24の導通部60と正極用バスバー26の導通部60とが互いに重ね合わされて組付けられている。各導通部60は、第一の方向D1において、第一の方向D1に沿って互いに隣り合う負極端子14と正極端子16との間に位置している。なお、各導通部60は、第一の方向D1において、第一の方向D1に沿って互いに隣り合う負極端子14と正極端子16との間に位置していなくてもよい。また、各本体部50は、第二の方向D2において、各電池10に形成された端子14、16と測定用端子18との間に位置している。
【0032】
通電の際にバスバー20を流れる電流は、各端子接続部40から一対の本体部50および導通部60を介して下流端子接続部44へと流れ込む。このため、バスバー20は、通電の際に下流側に向かうにつれて温度が上昇しやすく、下流端子接続部44において最も温度が上昇しやすい傾向にある。しかしながら、本実施形態のバスバー20は、下流端子接続部44の第一の方向D1に沿った寸法が大きく形成されているので、下流端子接続部44における電流密度を低減できる。
【0033】
以上説明した第1実施形態の組電池100によれば、バスバー20が備える端子接続部40のうちバスバー20の通電経路において最も下流側に位置する下流端子接続部44の第一の方向D1に沿った寸法が、本体部50の第二の方向D2に沿った寸法よりも大きい。このため、バスバー20において最も温度が上昇しやすい傾向にある下流端子接続部44の第一の方向D1に沿った寸法が大きく形成されている。したがって、下流端子接続部44の熱容量を増大できる。また、下流端子接続部44の表面積が大きくなるので放熱性を向上できる。さらに、下流端子接続部44の電流密度の増大を抑制できる。このため、下流端子接続部44の発熱量を抑制できる。したがって、通電の際の電気抵抗によってバスバー20の温度が過度に上昇することを抑制できる。
【0034】
バスバー20が負極用バスバー24である場合は、バスバー20bを流れる電流の向きが逆になるので、下流端子接続部44は上流端子接続部45として機能する。この場合でも、同様の理由で上流端子接続部45の発熱量を抑制できる。したがって、通電の際の電気抵抗によってバスバー20の温度が過度に上昇することを抑制できる。
【0035】
また、バスバー20には、下流端子接続部44に加えて、下流端子接続部44に対して点対称の位置にある対称端子接続部48についても、第一の方向D1に沿った寸法が大きく形成されている。ここで、負極用バスバー24と正極用バスバー26とは板厚方向に反転させて使用される。このため、バスバー20は、表裏の向きを反転させるだけで負極用バスバー24とすることができる。したがって、負極用バスバー24と正極用バスバー26とを同一の構成としつつ、負極用バスバー24においては、バスバー20の通電経路において最も上流側に位置する上流端子接続部45の第一の方向D1に沿った寸法を大きくでき、正極用バスバー26においては、バスバー20の通電経路において最も下流側に位置する下流端子接続部44の第一の方向D1に沿った寸法を大きくできる。換言すると、正極用バスバー26としてのバスバー20の通電経路において最も下流側に位置する下流端子接続部44の第一の方向D1に沿った寸法が大きく形成されたバスバー20を、負極用バスバー24と正極用バスバー26として兼用して使用できる。
【0036】
また、バスバー20は、一対の本体部50を互いに導通させる導通部60を2つ備えているので、導通部を1つ備えるバスバーと比較して、バスバー20の通電経路を分散させることができる。このため、通電の際のバスバー20の電流密度の増大を抑制できるので、発熱を抑制できる。したがって、通電の際の電気抵抗によってバスバー20の温度が上昇することをさらに抑制できる。
【0037】
また、2つの導通部60が互いに並列に形成されて、それぞれ一対の本体部50を互いに連結しているので、バスバー20の機械的強度を増大できる結果、耐振動性を向上できる。
【0038】
また、第一の方向D1に沿って互いに隣り合う端子接続部40の間には、第一の方向D1において、2つの導通部60のうちのいずれか一方が設けられている。このため、端子接続部40を通って本体部50へと流れ込む電流または本体部50を通って下流端子接続部44へと流れ込む電流を、効果的に分散できる。したがって、バスバー20の電流密度の増大をさらに抑制できるので、バスバー20の温度が上昇することをさらに抑制できる。
【0039】
また、一対の本体部50と各端子接続部40とは、第一の方向D1と第二の方向D2とにそれぞれ略直交する方向に沿って形成された屈折部46を介して連なっている。このため、負極用バスバー24と正極用バスバー26とが板厚方向に反転させて電池10に組付けられた際に、負極用バスバー24と正極用バスバー26とが互いに接触しないので、短絡の発生を抑制できる。
【0040】
また、一対の本体部50は、それぞれ3つの端子接続部40に連なっている。すなわち、バスバー20には第一の方向D1に沿って3つの端子接続部40が並んで形成されており、バスバー20は3つの電池10を並列接続する。このため、本実施形態のバスバー20は、2つの電池10を並列接続するバスバー、すなわち一対の本体部50がそれぞれ2つの端子接続部40に連なっている構成と比較して、大容量の電流が流れて温度上昇しやすい傾向にある。しかしながら、本実施形態のバスバー20によれば、バスバー20において最も温度が上昇しやすい傾向にある下流端子接続部44の第一の方向D1に沿った寸法が大きく形成されているので、バスバー20の温度が上昇することを効果的に抑制できる。バスバー20が負極用バスバー24であっても、最も温度が上昇しやすい傾向にある上流端子接続部45の第一の方向D1に沿った寸法が大きく形成されているので、バスバー20の温度が上昇することを効果的に抑制できる。
【0041】
B.第2実施形態:
図7は、第2実施形態の組電池100が備えるバスバー20bの詳細構成を示す斜視図である。図8は、第2実施形態の組電池100が備えるバスバー20bの詳細構成を示す上面図である。第2実施形態のバスバー20bは、一対の本体部50に代えて一対の本体部50bを有し、2つの導通部60に加えて2つの第二導通部60bをさらに有する点において、第1実施形態のバスバー20と異なる。その他の構成は第1実施形態のバスバー20と同じであるので、同一の構成には同一の符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。以下の説明では、第1実施形態のバスバー20が備えていた導通部60を、第一導通部60とも呼ぶ。また、バスバー20bが正極用バスバー26である場合について、代表して説明する。
【0042】
一対の本体部50bは、第1実施形態の一対の本体部50と比較して、第一の方向D1に延伸して形成されることにより、第一本体部51と第二本体部52とにおける第一の方向D1の両端部の位置が同じとなっている。
【0043】
2つの第二導通部60bは、バスバー20bにおいて、第一の方向D1の両端部にそれぞれ形成されている。2つの第二導通部60bは、いずれも、第二の方向D2に沿って第一導通部60と平行に形成されている。このため、2つの第二導通部60bは、いずれも、第一導通部60と並列に形成されている。本実施形態において、一対の本体部50bと各第二導通部60bとは、それぞれR形状を介して互いに連結されている。
【0044】
本実施形態において、バスバー20bの通電経路において最も下流側に位置する下流端子接続部44と、第二導通部60bとは、第一の方向D1において、互いに重なっている。すなわち、下流端子接続部44と第二導通部60bとは、第二の方向D2に沿って同一直線上に形成されている。換言すると、下流端子接続部44と第二導通部60bとは、第二の方向D2から見て互いに重なっている。
【0045】
本実施形態において、第一導通部60と第二導通部60bとの合計数は4であり、第一の方向D1に沿って並ぶ端子接続部40の数は、3である。このため、第一導通部60と第二導通部60bとの合計数は、第一の方向D1に沿って並ぶ端子接続部40の数よりも多い。また、本実施形態において、本体部50bの第二の方向D2に沿った寸法と、第一導通部60および第二導通部60bの第一の方向D1に沿った寸法とは、いずれも略同じである。
【0046】
本実施形態のバスバー20bを備える組電池100には、組電池100を電気的に直列接続するための導電部材90に代えて、図8において破線で示すように、第一の方向D1において下流端子接続部44の全体を覆う導電部材90bが接続されてもよい。導電部材90bは、第1実施形態の組電池100に接続される導電部材90と比較して、第一の方向D1に沿った寸法が大きい。第一の方向D1において下流端子接続部44の全体を覆う導電部材90bが接続されることにより、下流端子接続部44と導電部材90bとの接触面積をより増大させることができる。このため、バスバー20bの電流密度をより分散させることができるので、バスバー20bの温度上昇をより抑制できる。
【0047】
本実施形態において、第二導通部60bは、本開示における導通部に相当する。
【0048】
以上説明した第2実施形態のバスバー20bを備える組電池100によれば、第1実施形態と同様な効果を奏する。加えて、バスバー20bが2つの第二導通部60bをさらに有するので、バスバー20bの通電経路をさらに分散させることができる結果、通電の際のバスバー20bの温度上昇をさらに抑制できる。
【0049】
また、下流端子接続部44と第二導通部60bとは、第一の方向D1において、互いに重なって形成されている。このため、下流端子接続部44から本体部50bと第二導通部60bとの分岐点までの距離を短くできるので、バスバー20b内で相対的に大きな電流が流れる距離を短くできる。したがって、通電の際のバスバー20bの温度上昇をさらに抑制できる。
【0050】
バスバー20bが負極用バスバー24である場合は、バスバー20bを流れる電流の向きが逆になるので、下流端子接続部44は上流端子接続部45として機能する。この場合でも、上流端子接続部45から本体部50bと第二導通部60bとの分岐点までの距離を短くできるので、バスバー20b内で相対的に大電流が流れる距離を短くできる。したがって、通電の際のバスバー20bの温度上昇をさらに抑制できる。
【0051】
また、第一導通部60と第二導通部60bとの合計数が、第一の方向D1に沿って並ぶ端子接続部40の数よりも多いので、端子接続部40を通って本体部50bへと流れ込む電流または本体部50bを通って下流端子接続部44へと流れ込む電流を、より効果的に分散できる。したがって、通電の際のバスバー20bの温度上昇をさらに抑制できる。
【0052】
また、第一の方向D1において下流端子接続部44の全体を覆う導電部材90bが接続される態様によれば、バスバー20bの電流密度をより分散させることができるので、バスバー20bの温度上昇をより抑制できる。
【0053】
C.比較例:
図9は、比較例の図示しない組電池が備えるバスバー120の詳細構成を示す斜視図である。比較例のバスバー120において、6つの端子接続部140の第一の方向D1に沿った寸法は、いずれも同じに形成されている。このため、比較例のバスバー120の通電経路において最も下流側に位置する下流端子接続部144と、対称端子接続部148とにおける第一の方向D1に沿った寸法は、下流端子接続部144および対称端子接続部148を除く他の端子接続部140の第一の方向D1に沿った寸法と同じに形成されている。また、下流端子接続部144および対称端子接続部148の第一の方向D1に沿った寸法は、本体部150の第二の方向D2に沿った寸法と略同じに形成されている。
【0054】
比較例のバスバー120を備える組電池によれば、下流端子接続部144の第一の方向D1に沿った寸法が本体部150の第二の方向D2に沿った寸法と略同じに形成されているので、下流端子接続部144における電流密度が増大する。したがって、通電の際の電気抵抗によってバスバー120の温度が上昇しやすい。
【0055】
これに対し、第1、2実施形態のバスバー20、20bを備える組電池100によれば、正極用バスバー26においては、バスバー20、20bにおいて最も温度が上昇しやすい傾向にある下流端子接続部44の第一の方向D1に沿った寸法が大きく形成されているので、バスバー20、20bの温度が上昇することを効果的に抑制できる。同様に、負極用バスバー24においては、バスバー20、20bにおいて最も温度が上昇しやすい傾向にある上流端子接続部45の第一の方向D1に沿った寸法が大きく形成されているので、バスバー20、20bの温度が上昇することを効果的に抑制できる。
【0056】
D.実験:
D-1.実験1
第2実施形態の組電池100が備えるバスバー20bおよび比較例の組電池が備えるバスバー120について、最高温度および温度分布のシミュレーション実験を行なった。シミュレーションは、第2実施形態のバスバー20bを組付けた組電池100および比較例のバスバー120を組付けた組電池に対し、20℃の無風状態の大気下の環境において、各電池10から出力される電流の総計が200[A]となる境界条件の下で行なった。なお、最高温度とは、バスバー20b、120のそれぞれにおいて、電流を流していない状態を基準とした温度変化の最高値を意味している。また、シミュレーションに用いたバスバー20b、120は、いずれも正極用バスバー26である。
【0057】
<試料>
試料A:比較例のバスバー120
試料B、C:第2実施形態のバスバー20b
【0058】
試料Cは、導電部材90に代えて、導電部材90bを組み付けた試料である。なお、試料A、Bでは、いずれも第1実施形態と同様の導電部材90が組付けられている。
【0059】
<最高温度のシミュレーション結果>
図10は、最高温度のシミュレーションを示す説明図である。図10において、縦軸は、電流を流していない状態を基準とした温度変化(ΔT(℃))を示している。
【0060】
図10に示す結果から、試料B、Cは、いずれも試料Aと比較して最高温度が低く、温度上昇が抑制されていることがわかる。この理由としては、試料B、Cの下流端子接続部44の第一の方向D1に沿った寸法が、比較例の試料Aにおける下流端子接続部144の第一の方向D1に沿った寸法よりも大きいことが挙げられる。試料B、Cでは、通電の際に最も温度が上昇しやすい下流端子接続部44において、熱容量が増大し、また、表面積が大きく形成されて放熱性が向上し、さらに、電流密度が低下した。これらにより発熱が抑制されている。また、試料Bと試料Cとの比較から、下流端子接続部44と導電部材90bとの接触面積を増大させることにより、温度上昇がより抑制されることがわかる。
【0061】
<温度分布のシミュレーション結果>
図11、12は、それぞれ試料A、Bの温度分布のシミュレーションを示す説明図である。図11、12では、温度の違いをハッチングで示している。図11、12に示す結果から、試料A、Bのいずれにおいても、通電経路の下流側に向かうにつれて温度が上昇する傾向にあることがわかる。
【0062】
D-2.実験2
実験1と同様の試料A~Cについて、電流密度分布のシミュレーション実験を行なった。シミュレーションは、第2実施形態のバスバー20bを組付けた組電池100および比較例のバスバー120を組付けた組電池に対し、20℃の無風状態の大気下の環境において、各電池10から出力される電流の総計が200[A]となる境界条件の下で行なった。
【0063】
<電流密度分布のシミュレーション結果>
図13は、電流密度分布のシミュレーションを示す説明図である。図13では、電流密度の違いをハッチングで示している。図13では、試料A~Cに対するシミュレーションにおいて、下流端子接続部44、144の周辺を表裏の2方向から拡大して示している。図13において、表側から見たバスバーとは、図1に示す組電池100を上方側から見たバスバーを示しており、裏側から見たバスバーとは、図1に示す組電池100の電池10側から見たバスバーを示している。
【0064】
図13に示す結果から、試料A~Cのいずれにおいても、本体部50b、150と下流端子接続部44、144とを接続する屈折部46、146の周辺において、電流密度が特に増大する傾向にあることがわかる。試料B、Cは、試料Aと比較して、下流端子接続部44の第一の方向D1に沿った寸法が大きい。このため、試料B、Cでは、本体部50bを通って下流端子接続部44へと流れ込む電流と、第二導通部60bを通って下流端子接続部44へと流れ込む電流とが足し合わされることが抑制されている。また、試料B、Cでは、電流が足し合わされた場合においても、かかる電流が流れる距離が短いため、電流密度が低減されている。また、試料Cは、試料Bと比較して、下流端子接続部44の電流密度が減少している。この理由としては、下流端子接続部44と導電部材90bとの接触面積がより大きいので、バスバー20bの電流をより分散できることが挙げられる。
【0065】
E.他の実施形態:
E-1.他の実施形態1:
上記実施形態において、導電部材90、90bおよびバスバー20、20bは、銅により形成されていたが、銅に限らず、アルミニウムや銀等の任意の導電材料により形成されていてもよい。かかる構成によっても、上記各実施形態と同様な効果を奏する。
【0066】
E-2.他の実施形態2:
上記各実施形態では、第一の方向D1に沿って互いに隣り合う端子接続部40の間には、第一の方向において、導通部60が設けられていたが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば、第一の方向D1に沿って互いに隣り合う端子接続部40の間には、第一の方向D1において、導通部60が設けられていない箇所があってもよい。すなわち、2つの導通部60のうちのいずれか一方は、省略されていてもよい。また、例えば、第一の方向D1に沿って互いに隣り合う端子接続部40の間には、第一の方向D1において、導通部60が複数設けられる態様であってもよい。かかる態様によれば、端子接続部40を通って本体部50、50bへと流れ込む電流または本体部50、50bを通って下流端子接続部44へと流れ込む電流を、より効果的に分散できるので、バスバー20、20bの温度上昇をさらに抑制できる。
【0067】
E-3.他の実施形態3:
上記各実施形態におけるバスバー20、20bの構成は、あくまで一例であり、種々変更可能である。例えば、対称端子接続部48の第一の方向D1に沿った寸法が、下流端子接続部44を除く他の端子接続部40と同じに寸法であってもよい。また、例えば、第2実施形態のバスバー20bにおいて、2つの第二導通部60bのうちのいずれか一方が省略されていてもよい。また、例えば、第2実施形態のバスバー20bにおいて、下流端子接続部44と、第二導通部60bとは、第一の方向D1において、少なくとも一部において互いに重なっていてもよい。このような構成によっても、上記各実施形態と同様な効果を奏する。
【0068】
E-4.他の実施形態4:
上記第1実施形態の組電池100において、組電池100同士を直列接続するための導電部材90に代えて、第2実施形態の組電池100に接続されていた導電部材90bが接続されてもよい。かかる構成によれば、下流端子接続部44における電流密度をさらに低減できるので、バスバー20の温度上昇をさらに抑制できる。
【0069】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する各実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0070】
10…電池、12…電池本体部、13…上面、14…負極端子、16…正極端子、18…測定用端子、20、20b…バスバー、24…負極用バスバー、26…正極用バスバー、40…端子接続部、42…貫通孔、44…下流端子接続部、45…上流端子接続部、46…屈折部、48…対称端子接続部、50、50b…本体部、51…第一本体部、52…第二本体部、60…導通部(第一導通部)、60b…第二導通部、90、90b…導電部材、92…貫通孔、100…組電池、120…バスバー、140…端子接続部、144…下流端子接続部、148…対称端子接続部、150…本体部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13