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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】除塵空間及び建物
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20240418BHJP
   B08B 5/02 20060101ALI20240418BHJP
   B08B 5/00 20060101ALI20240418BHJP
   B08B 6/00 20060101ALN20240418BHJP
【FI】
F24F7/06 C
B08B5/02 A
B08B5/00 A
B08B6/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020057949
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021156514
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】古川 修三
(72)【発明者】
【氏名】原田 真宏
(72)【発明者】
【氏名】門脇 昌作
(72)【発明者】
【氏名】藤本 卓也
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-021792(JP,A)
【文献】特開2008-020131(JP,A)
【文献】特開2008-020130(JP,A)
【文献】特開平06-117672(JP,A)
【文献】実開昭59-178532(JP,U)
【文献】特開2017-203582(JP,A)
【文献】特開平04-122207(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
B08B 5/02
B08B 5/00
B08B 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の出入口に設けられて、前記建物の利用者から当該利用者に付着した粉塵を除去する除塵システムを具備する除塵空間であって、
前記除塵システムは、
前記利用者から静電気を除去する除電手段と、
前記除電手段によって静電気が除去された後の前記利用者に対して送風する送風手段と、
前記送風手段によって除去された粉塵を含む空気を外部に排気する排気手段と、
を具備し、
前記排気手段は、
手洗い場の洗面台の下部に設けられ、
前記送風手段は、
前記利用者の背面側の上方から、斜め下方に設けられた前記排気手段へ向けて送風可能に設けられ、
前記利用者が前記洗面台で手指の洗浄又は消毒を行っている間に、前記送風手段と前記除電手段との間において、前記洗面台の高さ位置の設定により前かがみ姿勢となった当該利用者の背中が前記送風手段へ向けられた状態で、当該利用者に対して送風可能に設けられている、
除塵空間。
【請求項2】
前記除電手段は、
前記利用者が前記建物の居住空間に入るまでの移動動線上で、当該利用者から静電気を除去可能に設けられている、
請求項1に記載の除塵空間
【請求項3】
前記送風手段は、
前記利用者が前記建物の居住空間に入るまでの移動動線上で、当該利用者に対して送風可能に設けられている、
請求項1又は請求項2に記載の除塵空間
【請求項4】
前記送風手段は、
前記利用者の正面側の上方及び背面側の上方の双方から送風可能に設けられている、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の除塵空間
【請求項5】
前記除電手段は、
前記利用者が履物の履き替えを行って前記手洗い場に向かうまでの間に、当該利用者から静電気を除去可能に設けられている、
請求項1に記載の除塵空間
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の除塵空間を具備する、
建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の利用者から当該利用者に付着した粉塵を除去する除塵空間及び建物の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の利用者から当該利用者に付着した粉塵を除去する除塵システムの技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、マンション、アパート等の居住空間の出入口に設けて花粉症の原因となる花粉等の浸入を防御するためのエアシャワー装置が記載されている。具体的には、エレベーターの搭乗空間や回転ドアの歩行空間などの制限空間を利用して、この制限空間内にいる利用者に高速ジェットを吹き付けて、利用者の衣類や頭髪に付着した花粉等を除去することが記載されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、花粉を飛ばすために比較的強い風を送る必要があるため、髪が乱れたり、利用者に不快感を与える場合がある。また、強い風が静電気を誘発して、花粉の再吸着を起こすおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平4-58953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、強い風圧を必要とすることなく粉塵を除去することができ、かつ、粉塵の再吸着を抑制することができる除塵空間及び建物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、建物の出入口に設けられて、前記建物の利用者から当該利用者に付着した粉塵を除去する除塵システムを具備する除塵空間であって、前記除塵システムは、前記利用者から静電気を除去する除電手段と、前記除電手段によって静電気が除去された後の前記利用者に対して送風する送風手段と、前記送風手段によって除去された粉塵を含む空気を外部に排気する排気手段と、を具備し、前記排気手段は、手洗い場の洗面台の下部に設けられ、前記送風手段は、前記利用者の背面側の上方から、斜め下方に設けられた前記排気手段へ向けて送風可能に設けられ、前記利用者が前記洗面台で手指の洗浄又は消毒を行っている間に、前記送風手段と前記除電手段との間において、前記洗面台の高さ位置の設定により前かがみ姿勢となった当該利用者の背中が前記送風手段へ向けられた状態で、当該利用者に対して送風可能に設けられているものである。
【0009】
請求項2においては、前記除電手段は、前記利用者が前記建物の居住空間に入るまでの移動動線上で、当該利用者から静電気を除去可能に設けられているものである。
【0010】
請求項3においては、前記送風手段は、前記利用者が前記建物の居住空間に入るまでの移動動線上で、当該利用者に対して送風可能に設けられているものである。
【0011】
請求項4においては、前記送風手段は、前記利用者の正面側の上方及び背面側の上方の双方から送風可能に設けられているものである。
【0014】
請求項においては、前記除電手段は、前記利用者が履物の履き替えを行って手洗い場に向かうまでの間に、当該利用者から静電気を除去可能に設けられており、前記送風手段は、前記利用者が前記手洗い場で手指の洗浄又は消毒を行っている間に、当該利用者に対して送風可能に設けられているものである。
【0015】
請求項においては、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の除塵空間を具備するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0017】
請求項1においては、強い風圧を必要とすることなく粉塵を除去することができ、かつ、粉塵の再吸着を抑制することができる。
【0018】
請求項2においては、静電気を除去するための利用者の負担を軽減することができる。
【0019】
請求項3においては、粉塵を除去するための利用者の負担を軽減することができる。
【0020】
請求項4においては、利用者の全身から粉塵を除去することができる。
【0023】
請求項においては、除電や除塵のための利用者の負担を軽減することができる。
【0024】
請求項においては、強い風圧を必要とすることなく粉塵を除去することができ、かつ、粉塵の再吸着を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係る除塵システムの構成を示した平面概略図。
図2】イオナイザによる除電の様子を示した側面図。
図3】送風装置による除塵の様子を示した側面図。
図4】本発明の一実施形態に係る除塵システムの構成を示したブロック図。
図5】除塵の方法を段階的に示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の説明においては、図中に記した矢印に従って、上下方向、左右方向及び前後方向をそれぞれ定義する。
【0027】
以下では、図1から図4を参照して、本発明の一実施形態に係る風除室1及び除塵システム2の構成について説明する。
【0028】
本発明の一実施形態に係る風除室1は、外気の流入や風の吹きつけを緩和するための小部屋である。図1に示すように、風除室1は、高齢者介護施設等の建物100の出入口(建物100の居住空間Lの手前)に設けられる。
【0029】
風除室1には、除塵システム2が設けられる。除塵システム2は、建物100の居住空間Lを利用する者(以下、「利用者」という)が居住空間Lに入る前に、当該利用者に付着した花粉等の粉塵を当該利用者から除去するためのものである。風除室1は、除塵システム2が設けられることにより、利用者から当該利用者に付着した粉塵を除去する除塵空間として構成される。風除室1は、入口扉10、脱靴場20、手洗い場30、通路40、イオナイザ50、送風装置60、排気装置70、出口扉80及び制御装置90を具備する。
【0030】
図1に示す入口扉10は、風除室1の入口に設けられる扉であり、建物100の外部から風除室1の中に入るための扉である。入口扉10は、自動ドアにより構成される。入口扉10には、開閉スイッチ11が設けられる。
【0031】
開閉スイッチ11は、入口扉10を開くためのものである。開閉スイッチ11は、入口扉10の室外側に設けられる。利用者は、風除室1に入る際に開閉スイッチ11を押すことで、入口扉10を開くことができる。開閉スイッチ11には除電材11aが設けられる。
【0032】
除電材11aは、利用者から静電気を除去(除電)するためのものである。除電材11aは、開閉スイッチ11の表面(開閉スイッチ11を押す際に利用者が触れる部分)に設けられる。利用者が入口扉10を開ける際に除電材11aに触れることで、利用者から静電気(の一部又は全部)を除去することができる。
【0033】
図1に示す脱靴場20は、利用者が靴等の履物の履き替えを行う場所である。脱靴場20は、風除室1の左部(入口扉10から入った利用者から見て左側)に設けられる。脱靴場20には靴箱21が設けられる。入口扉10から風除室1に入った利用者は、履いていた履物(靴)を脱靴場20で脱いで靴箱21に収納し、スリッパ等に履き替えることができる。
【0034】
図1及び図3に示す手洗い場30は、手指の洗浄や消毒を行う場所である。手洗い場30は、風除室1の右部の奥側(入口扉10から入った利用者から見て右奥側)に設けられる。手洗い場30には、洗面台31及び人感センサ32が設けられる。
【0035】
図1から図3に示す洗面台31は、手洗い場30の右部に設けられる。利用者は、居住空間Lに入る前に、洗面台31で手指の洗浄や消毒を行うことができる。
【0036】
図1図3及び図4に示す人感センサ32は、人の存在を検出するものである。人感センサ32は、洗面台31で手指の洗浄や消毒を行っている利用者を検出可能な位置に設けられる。
【0037】
図1に示す通路40は、利用者が通行する場所である。通路40は、脱靴場20と手洗い場30とを繋ぐように形成される。これにより、脱靴場20で履物を脱いでスリッパ等に履き替えた利用者が、通路40を通って手洗い場30に行くことができる。
【0038】
図1及び図2に示すイオナイザ50は、静電気をイオンで中和することにより除去(除電)するものである。イオナイザ50は、風除室1の天井の平面視略中央に設けられる。より詳細には、イオナイザ50は、風除室1を常時換気するいわゆる24時間換気システムの吸気口(不図示)に設けられる。
【0039】
イオナイザ50は、建物100の居住空間Lに入るまでの移動動線上で、利用者に対してイオンを照射することができるように設けられている。具体的には、図2に示すように、イオナイザ50は、脱靴場20で履物を脱いでいる(履き替えている)利用者Aに対して、イオンを照射可能に設けられている。また、イオナイザ50は、通路40を通行している利用者Aに対して、イオンを照射可能に設けられている。また、イオナイザ50は、手洗い場30(洗面台31)で手指の洗浄や消毒を行っている利用者Aに対して、イオンを照射可能に設けられている。これにより、イオナイザ50は、利用者が建物100の居住空間Lに入るまでの移動動線上で、当該利用者(利用者A)から静電気を除去することができる。
【0040】
図1図3及び図4に示す送風装置60は、風除室1内に送風を行うものであり、例えばファンである。送風装置60は、手洗い場30に設けられている。より詳細には、送風装置60は2つ設けられ、1つの送風装置60(以下、送風装置60aということもある)は、洗面台31の上部に設置される。図3に示すように、送風装置60aは、洗面台31で手指を洗浄又は消毒中の利用者Aの正面側(右上方)から当該利用者Aに送風可能に設けられる。また、もう1つの送風装置60(以下、送風装置60bということもある)は、風除室1の天井又は壁面に設置され、洗面台31で手指を洗浄又は消毒中の利用者Aの背面側(左上方)から当該利用者Aに送風可能に設けられる。
【0041】
図1から図4に示す排気装置70は、風除室1の内部から外部へ排気を行うものであり、例えばファンである。排気装置70は、いわゆる24時間換気システムの排気口として形成される。排気装置70は、洗面台31の下部近傍に設けられる。排気装置70は、常時排気しており、通常運転と当該通常運転よりも排気量が多い強運転とを切り替え可能に形成される。このように構成された排気装置70は、送風装置60によって除去された粉塵を含む空気を、風除室1の外部に排気することができる。
【0042】
図1に示す出口扉80は、風除室1の出口に設けられる扉であり、風除室1から出て建物100の居住空間Lに入るための扉である。出口扉80は、自動ドアにより構成される。出口扉80には、開閉スイッチ81が設けられる。
【0043】
開閉スイッチ81は、出口扉80を開くためのものである。開閉スイッチ81は、出口扉80の室内側(風除室1側)に設けられる。利用者は、風除室1から出て建物100の居住空間Lに入る際に開閉スイッチ81を押すことで、出口扉80を開くことができる。開閉スイッチ81には除電材81aが設けられる。
【0044】
除電材81aは、利用者から静電気を除去(除電)するためのものである。除電材81aは、開閉スイッチ81の表面(開閉スイッチ81を押す際に利用者が触れる部分)に設けられる。利用者が出口扉80を開ける際に除電材81aに触れることで、利用者から静電気(の一部又は全部)を除去することができる。
【0045】
図4に示す制御装置90は、送風装置60及び排気装置70の運転を制御するものである。制御装置90は、人感センサ32の検出結果を入力可能に形成される。制御装置90は、人感センサ32が人の存在を検出すると、送風装置60を所定時間(例えば30秒)運転させるとともに、排気装置70を所定時間(例えば30秒)強運転に切り替える。
【0046】
以下、図5を参照して、利用者から粉塵を除去する流れを説明する。
【0047】
まず、ステップS10において、入口扉10の開閉スイッチ11(除電材11a)による除電を行う。具体的には、建物100の居住空間Lに用がある利用者は、まず風除室1に入るために入口扉10を開ける。このとき、利用者は、除電材11aに触れることで除電される。
【0048】
次に、ステップS11において、利用者が靴箱21で履物を履き替える間に、イオナイザ50による除電を行う。具体的には、入口扉10を開けて風除室1に入ってきた利用者は、脱靴場20で履物(靴)の履き替えを行う。このとき、イオナイザ50により利用者にイオンが照射されることで、利用者Aはさらに除電される。また、利用者は、通路40を通って手洗い場30へ行く間や、手洗い場30で手指の洗浄や消毒を行っている間にも、イオナイザ50により除電される。
【0049】
次に、ステップS12において、利用者が手指洗浄中に送風装置60により送風して除塵を行う。具体的には、利用者が手洗い場30で手指の洗浄や消毒を行っている間に、人感センサ32による検出と連動して当該利用者に対して送風装置60(60a及び60b)から風が送られることにより、利用者の衣類や頭髪等に付着(吸着)した粉塵を除去することができる。
【0050】
次に、ステップS13において、利用者が手指洗浄中に排気装置70により排気して粉塵を外部に排出する。具体的には、利用者が手洗い場30(洗面台31)で手指の洗浄や消毒を行っている間に、人感センサ32による検出と連動して送風装置60(60a及び60b)により送風すると同時に排気装置70を強運転することで、送風装置60により除去された粉塵を含む空気を風除室1の外部に排出することができる。
【0051】
次に、ステップS14において、出口扉80の開閉スイッチ81(除電材81a)による除電を行う。具体的には、利用者は、手指の洗浄などを終えて居住空間Lに向かうために、出口扉80を開ける。このとき、利用者は、除電材81aに触れることでさらに除電されるため、粉塵の再吸着をより抑制することができる。
【0052】
このように、本実施形態に係る風除室1及び除塵システム2においては、送風装置60からの送風による除塵を行う前に、除電材11a及びイオナイザ50による除電を行う。これにより、利用者の衣類や頭髪等から粉塵が除去され易くなる。したがって、居住空間Lに花粉等の粉塵が持ち込まれるのを抑制することができる。
【0053】
また、送風装置60からの送風による除塵を行う前に、除電材11a及びイオナイザ50による除電を行うことにより、強い風圧で送風しなくても除塵することができる。このため、利用者に不快感を与えたり、髪が乱れたりするのを抑制することができる。また、強い風は静電気を誘発し易いが、風除室1及び除塵システム2においては、強い風圧で送風しなくても除塵することができるため、送風による静電気の誘発を抑制することができ、ひいては粉塵が利用者に再吸着するのを抑制することができる。
【0054】
また、本実施形態に係る風除室1及び除塵システム2においては、利用者を手指の洗浄や消毒などの準備作業に誘導している間に、建物100の居住空間Lに入るまでの移動動線上で自然と除電及び除塵を行うことができるため、利用者はわざわざ除電や除塵の作業を別途行う必要がない。このため、利用者の負担を軽減することができる。
【0055】
また、本実施形態に係る風除室1及び除塵システム2においては、送風装置60及び排気装置70により風除室1の内部の気流を制御することで、効率的に花粉などの粉塵を風除室1の外部に排出することができる。このため、粉塵が利用者に再吸着するのを抑制することができる。また、排気装置70により粉塵を直接外部に排出することで、フィルターなどのメンテナンスを不要とすることができる。
【0056】
なお、除塵システム2は、上述した風除室1の構成要素のうち、開閉スイッチ11(除電材11a)、人感センサ32、イオナイザ50、送風装置60、排気装置70、開閉スイッチ81(除電材81a)及び制御装置90を具備するものである。
【0057】
以上の如く、本実施形態に係る除塵システム2は、建物100の出入口に設けられて、前記建物100の利用者から当該利用者に付着した粉塵を除去する除塵システム2であって、前記利用者から静電気を除去可能な除電手段(除電材11a及びイオナイザ50)と、前記除電手段によって除電された後の前記利用者に対して送風可能な送風装置60(送風手段)と、を具備するものである。
【0058】
このように構成されることにより、強い風圧を必要とすることなく粉塵を除去することができ、かつ、粉塵の再吸着を抑制することができる。
具体的には、建物100の利用者から静電気を除去しその後に送風を行うことにより、強い風圧で送風しなくても利用者から除塵することができる。したがって、利用者に不快感を与えることなく利用者から粉塵を除去することができる。また、送風による静電気の誘発を抑制することができるため、粉塵の再吸着を抑制することができる。
【0059】
また、前記除電手段(除電材11a及びイオナイザ50)は、前記利用者が前記建物100の居住空間Lに入るまでの移動動線上(例えば入口扉10を開けて、脱靴場20で履物を履き替え、手洗い場30で手指を洗浄や消毒するように作業及び移動している間等)で、当該利用者から静電気を除去可能に設けられているものである。
【0060】
このように構成されることにより、静電気を除去するための利用者の負担を軽減することができる。
具体的には、利用者がわざわざ静電気を除去するための特別な動作をしなくても、建物100の居住空間Lに入るまでの移動動線上(例えば入口扉10を開けて、脱靴場20で履物を履き替え、手洗い場30で手指を洗浄や消毒するように作業及び移動している間等)で、除電材11a及びイオナイザ50によって自然と静電気を除去することができる。
【0061】
また、前記送風装置60は、前記利用者が前記建物100の居住空間Lに入るまでの移動動線上(例えば手洗い場30で手指を洗浄や消毒するように作業及び移動している間等)で、当該利用者に対して送風可能に設けられているものである。
【0062】
このように構成されることにより、粉塵を除去するための利用者の負担を軽減することができる。
具体的には、利用者がわざわざ粉塵を除去するための特別な動作をしなくても、建物100の居住空間Lに入るまでの移動動線上(例えば手洗い場30で手指を洗浄や消毒するように作業及び移動している間等)で、送風装置60により自然と粉塵を除去することができる。
【0063】
また、前記送風装置60は、前記利用者の正面側及び背面側の双方から送風可能に設けられているものである。
【0064】
このように構成されることにより、利用者の全身から粉塵を除去することができる。
具体的には、送風装置60aによって利用者の正面側から風を当てることにより、利用者の正面側の部分から粉塵を除去することができるとともに、送風装置60bによって利用者の背面側から風を当てることにより、利用者の背面側の部分から粉塵を除去することができる。したがって、利用者の全身を除塵することができる。
【0065】
また、本実施形態に係る除塵システム2は、前記送風装置60によって除去された粉塵を含む空気を外部に排気する排気装置70(排気手段)を具備するものである。
【0066】
このように構成されることにより、粉塵の再吸着を抑制することができる。
具体的には、排気装置70によって、送風装置60によって除去された粉塵を含む空気を風除室1(除塵空間)の外部に効率的に排出することができるため、除去した粉塵が利用者に再吸着するのを抑制することができる。
【0067】
また、本実施形態に係る風除室1及び建物100は、除塵システム2を具備するものである。
【0068】
このように構成されることにより、強い風圧を必要とすることなく粉塵を除去することができ、かつ、粉塵の再吸着を抑制することができる。
【0069】
また、本実施形態に係る風除室1において、前記除電手段(イオナイザ50)は、前記利用者が(脱靴場20で)履物の履き替えを行って手洗い場30に向かうまでの間に、当該利用者から静電気を除去可能に設けられており、前記送風装置60は、前記利用者が前記手洗い場30で手指の洗浄又は消毒を行っている間に、当該利用者に対して送風可能に設けられているものである。
【0070】
このように構成されることにより、除電や除塵のための利用者の負担を軽減することができる。
具体的には、利用者がわざわざ除電や除塵のための特別な動作をしなくても、脱靴場20で履物の履き替えを行って手洗い場30で手指の洗浄や消毒を行っている間に、自然と除電及び除塵をすることができる。
【0071】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0072】
例えば、建物100は高齢者介護施設に限定されるものではなく、任意の建物とすることができる。
【0073】
また、本実施形態においては、人感センサ32により人の存在を検出して送風装置60を運転するとともに排気装置70を強運転に切り替えるものとしたが、手洗い場30(洗面台31)の給水栓に人が接触したことを検出して送風装置60を運転するとともに排気装置70を強運転に切り替えるものとしてもよい。
【0074】
また、本実施形態において、風除室1(除塵システム2)は、利用者が居住空間Lに入るまでに、入口扉10を開けて、脱靴場20で履物を履き替え、手洗い場30で手指を洗浄や消毒するように作業及び移動するよう構成されるものとしたが、これに限定されるものではない。例えば、風除室1に利用者の体温測定を行う場所が設置されていてもよく、この場合、「居住空間に入るまでの移動動線上」には、利用者が体温測定を行うよう作業及び移動している間も含まれる。
【0075】
また、本発明においては、送風手段(送風装置60)は、除電手段(除電材11a及びイオナイザ50)によって静電気が除去された後の利用者に対して送風するものであるが、送風手段(送風装置60)による送風は、必ずしも利用者に帯電した静電気の全部が除去された後に行われるものでなくてもよく、静電気の一部が除去された後に行われるものであってもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 風除室
2 除塵システム
11a 除電材
50 イオナイザ
60 送風装置
70 排気装置
図1
図2
図3
図4
図5