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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】防護扉の開閉装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/605 20150101AFI20240418BHJP
   E05F 15/73 20150101ALI20240418BHJP
   E06B 3/48 20060101ALI20240418BHJP
   B66B 13/08 20060101ALN20240418BHJP
【FI】
E05F15/605
E05F15/73
E06B3/48
B66B13/08 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020108920
(22)【出願日】2020-06-24
(65)【公開番号】P2021127677
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2023-04-04
(31)【優先権主張番号】P 2020023099
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】関原 弦
(72)【発明者】
【氏名】千葉 拓史
(72)【発明者】
【氏名】唐 力
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0144528(US,A1)
【文献】特開昭53-043349(JP,A)
【文献】特開2005-171598(JP,A)
【文献】特開2004-338850(JP,A)
【文献】実開昭59-134675(JP,U)
【文献】実開昭58-135175(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/605
E05F 15/73
E06B 3/48
B66B 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の扉板が一方向に沿って広げられ又は畳まれることで開閉する防護扉の開閉装置であって、
前記防護扉の第1側に配置される第1モータ及び前記第1モータの回転軸に取り付けられた第1プーリと、前記第1側とは反対側の第2側に配置される第2プーリと、を含む駆動ユニットと、
前記第1プーリから巻き出され、前記第2プーリに架け渡されて、前記第1プーリに巻き取られるワイヤと、
前記ワイヤに連結され、前記複数の扉板の一つに取り付けられる接続部材と、を含む
防護扉の開閉装置。
【請求項2】
前記第1プーリは2層構造であり、前記第1モータが第1方向に回転するとき、前記ワイヤを巻き出す第1層目と、前記ワイヤを巻き取る第2層目とを含む
請求項1に記載の防護扉の開閉装置。
【請求項3】
前記第1モータを支持する第1支持ユニットと、前記第2プーリを支持する第2支持ユニットと、を含む
請求項1又は2に記載の防護扉の開閉装置。
【請求項4】
複数の扉板が一方向に沿って広げられ又は畳まれることで開閉する防護扉の開閉装置であって、
前記防護扉の第1側に配置される第1モータ及び前記第1モータの回転軸に取り付けられた第1プーリと、前記第1側とは反対側の第2側に配置される第2モータ及び前記第2モータの回転軸に取り付けられた第2プーリと、を含む駆動ユニットと、
前記第1プーリと前記第2プーリとに巻き付けられ、前記一方向に沿って張られたワイヤと、
前記ワイヤに連結され、前記複数の扉板の一つに取り付けられる接続部材と、を含む
防護扉の開閉装置。
【請求項5】
前記第2モータに代えて、前記第2プーリの回転軸にゼンマイバネが取り付けられ、
前記ゼンマイバネは、前記防護扉が、開のとき弛緩状態にあり、閉のとき巻かれた状態にある、請求項4に記載の防護扉の開閉装置。
【請求項6】
前記ワイヤに代えて、タイミングベルトが設けられ、
前記第1プーリに代えて第1タイミングベルトプーリが設けられ、前記第2プーリに代えて第2タイミングベルトプーリが設けられ、
前記タイミングベルトが、前記第1タイミングベルトプーリと前記第2タイミングベルトプーリの間に架け渡されている、請求項5に記載の防護扉の開閉装置。
【請求項7】
前記接続部材の位置を検出するセンサユニットを含む
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の防護扉の開閉装置。
【請求項8】
前記センサユニットは、前記防護扉の開状態を検出する第1センサと、前記防護扉の閉状態を検出する第2センサと、を含む
請求項7に記載の防護扉の開閉装置。
【請求項9】
前記接続部材は、前記ワイヤの固定部が、前記扉板より手前側又は奥側に配置されている
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の防護扉の開閉装置。
【請求項10】
前記接続部材は、前記防護扉に着脱可能に設けられている
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の防護扉の開閉装置。
【請求項11】
前記防護扉は、工事用エレベータの各階扉である
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の防護扉の開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、扉の開閉を制御する装置に係り、例えば、建設現場に設置される防護扉の開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場、資財置場の出入口、工事用エレベータの各階扉として、仮設の防護扉(「パネルゲート」とも呼ばれる)が設置されている。防護扉の構造は、例えば、複数の扉板を連結して、蛇腹状に開閉可能に設置されたものが用いられている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-317854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の防護扉には動力がなく、開閉動作は手動により行われている。ガレージに取り付けられるシャッタのように、電動で動作する扉もあるが、重量が重くコストも高いため、建設現場のような仮設の防護扉に取り付けるには不向きである。そこで、本発明の一実施形態は、既存の防護扉にも設置可能であり、動力機構によって開閉動作を制御することのできる開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態に係る防護扉の開閉装置は、複数の扉板が一方向に沿って広げられ又は畳まれることで開閉する防護扉の第1側に配置される第1モータ及び第1モータの回転軸に取り付けられた第1プーリと、第1側とは反対側の第2側に配置される第2プーリとを含む駆動ユニットと、第1プーリから巻き出され、第2プーリに架け渡されて第1プーリに巻き取られるワイヤと、ワイヤに連結され、複数の扉板の一つに取り付けられる接続部材とを含む。
【0006】
本発明の一実施形態に係る防護扉の開閉装置は、複数の扉板が一方向に沿って広げられ又は畳まれることで開閉する防護扉の第1側に配置される第1モータ及び第1モータの回転軸に取り付けられた第1プーリと、第1側とは反対側の第2側に配置される第2モータ及び第2モータの回転軸に取り付けられた第2プーリと、を含む駆動ユニットと、第1プーリと第2プーリとに巻き付けられ、一方向に沿って張られたワイヤと、ワイヤに連結され、複数の扉板の一つに取り付けられる接続部材と、を含む。
【0007】
本発明の一実施形態に係る防護扉の開閉装置において、第2モータに代えて、第2プーリの回転軸にゼンマイバネが取り付けられていてもよい。また、ワイヤに代えて、タイミングベルトが設けられ、第1プーリに代えて第1タイミングベルトプーリが設けられ、第2プーリに代えて第2タイミングベルトプーリが設けられ、タイミングベルトが、第1タイミングベルトプーリと第2タイミングベルトプーリの間に架け渡されていてもよい。
【0008】
本発明の一実施形態に係る防護扉の開閉装置において、第1プーリは2層構造であり、第1モータが第1方向に回転するときワイヤを巻き出す第1層目と、ワイヤを巻き取る第2層目とを含むことが好ましい。また、本発明の一実施形態に係る防護扉の開閉装置は、センサユニットを含むことができ、センサユニットは、防護扉の開状態を検出する第1センサと、防護扉の閉状態を検出する第2センサとを含んでもよい。接続部材は、ワイヤの固定部が扉板より手前側又は奥側に配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施形態に係る防護扉の開閉装置によれば、既存の防護扉に対しても、簡便な構成で動力機構を付加することができ、手動によらず、自動開閉させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る防護扉の開閉装置の概要を示す。
図2】本発明の一実施形態に係る防護扉及び防護扉の開閉装置の平面図を示し、(A)は防護扉が閉じた状態、(B)は防護扉が開いた状態を示す。
図3】本発明の一実施形態に係る防護扉の開閉装置における駆動ユニットのうち、(A)は第1モータ及び第1プーリの取り付け例を示し、(B)は第1プーリの一例を示す。
図4】本発明の一実施形態に係る防護扉の開閉装置における駆動ユニットのうち第2プーリの一例を示す。
図5】本発明の一実施形態に係る防護扉の開閉装置に用いられる接続部材を示し、(A)はその平面図、(B)はその正面図を示す。
図6】本発明の一実施形態に係る防護扉の開閉装置に用いられる接続部材を防護扉に設置したときの平面模式図を示す。
図7】本発明の一実施形態に係る防護扉の開閉装置に用いられるスイッチユニットを構成するスイッチの一例を示し、(A)はスイッチの取り付け構造及び動作を説明する斜視図を示し、(B)はその正面図を示す。
図8】本発明の一実施形態に係る防護扉の開閉装置を含むシステム構成の一例を示す。
図9】本発明の一実施形態に係る防護扉の開閉装置が用いられたシステムを建設現場における各階扉に適用した一例を示す。
図10】本発明の一実施形態に係る防護扉の開閉装置の概要を示す。
図11】本発明の一実施形態に係る防護扉の開閉装置の概要を示す。
図12】本発明の一実施形態に係る防護扉の開閉装置における駆動ユニットにおける第1モータ及び第1プーリの取り付け例を示す。
図13】本発明の一実施形態に係る防護扉の開閉装置における駆動ユニットにおける第2プーリの取り付け例を示し、(A)は第2プーリ側の構造、(B)は第2プーリの背面側の構造を示す。
図14】本発明の一実施形態に係る防護扉の開閉装置の概要を示す
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態の内容を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様を含み、以下に例示される実施形態の内容に限定して解釈されるものではない。図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、それはあくまで一例であって、本発明の内容を限定するものではない。また、本明細書において、ある図面に記載されたある要素と、他の図面に記載されたある要素とが同一又は対応する関係にあるときは、同一の符号(又は符号として記載された数字の後にa、b等を付した符号)を付して、繰り返しの説明を適宜省略することがある。さらに各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有しない。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、本発明の一実施形態に係る防護扉の開閉装置100を示す。防護扉の開閉装置100は、駆動ユニット102、ワイヤ104、接続部材106を含む。図1は、また、点線で防護扉200の正面図を示す。防護扉の開閉装置100は、防護扉200に隣接して、又は防護扉200を構成する一部の部材に固定されて配置される。
【0013】
ここで、防護扉200は、第1梁部202と、第1梁部202を支える支柱204(第1支柱204a、第2支柱204b)と、第1梁部202に沿って移動可能に配置された複数の取付軸206と、取付軸206に回動可能に取り付けられた扉板208を含む。防護扉200は、取付軸206の左右に1枚ずつ扉板208が取り付けられ、これを一組として、複数の組が連結されて形成される。防護扉200は、取付軸206が第1梁部202に沿って移動することで開状態、又は閉状態となる。防護扉200を開状態にするときは、図1に示す正面図において、取付軸206は第2支柱204bの側に移動することによって行われる。このとき、扉板208は、取付軸206の移動に伴って、同時に又は順次折り畳まれながら右側の第2支柱204bに集められる。一方、防護扉200を閉状態にするときは、第2支柱204b側から扉板208が、順次又は同時に引き出され、広げられる。なお、防護扉200の開閉方向は左右どちら側でもよく、特段限定されるものではない。例えば、防護扉200は、中央部から左右両側に開く形式であってもよい。いずれにしても、従来の防護扉は、手動で(人力で)防護扉を引っ張ることで開閉作業が行われているものがほとんどである。
【0014】
本発明の一実施形態に係る防護扉の開閉装置100は、駆動ユニット102として、第1モータ110と、第1モータ110の回転軸に取り付けられる第1プーリ112と、第1プーリと離れた位置に配置される第2プーリ114とを含む。例えば、図1に示すように、第1モータ110及び第1プーリ112は、防護扉200の第1側(例えば、正面に向かって左側)に設けられた第1支柱204a側に配置され、第2プーリ114は第2側(例えば、正面に向かって右側)に設けられた第2支柱204b側に配置される。ワイヤ104は、第1プーリ112と第2プーリ114とを架け渡すように配置される。別言すれば、ワイヤ104は、第1梁部202の長手方向と同じ方向に張り渡される。ワイヤ104は、第1プーリ112から巻き出され、第2プーリ114に架け渡され、再び第1プーリ112に巻き取られるように配置される。なお、本発明の一実施形態において、ワイヤ104は、好ましくはナイロン製の合成繊維であるが、それに代えて、フロロカーボン、ポリエチレン、ポリエステル唐の合成繊維、番線、ワイヤーロープ、チェーン等を適用することもできる。
【0015】
接続部材106は、防護扉200の一部分に取り付けられる。接続部材106は、扉板208、取付軸206の、その他防護扉200を構成する部材に取り付けられる。例えば、接続部材106は、扉板208の上部、取付軸206の上部等に取り付けられる。接続部材106は、これらの防護扉200を構成する部材に固定具によって固定される。接続部材106は、また、ワイヤ104と接続される。接続部材106は、ワイヤ104が防護扉200の一端から他端にかけて張られた状態で、防護扉200に固定された位置でワイヤ104と着脱可能に接続される。接続部材106は、防護扉200を構成する部材及びワイヤ104と着脱可能に取り付けられる。
【0016】
接続部材106は、ワイヤ104の巻き取り状態によって、第1梁部202に沿って位置が変位する。第1モータ110は、正転及び逆転(右回転及び左回転)が可能とされおり、接続部材106は第1モータ110の回転によって、その位置が第1梁部202に沿った位置で自由に調節可能とされている。防護扉200は、接続部材106が固定されているので、接続部材106の動きによって(第1モータ110の回転によって)扉板208の位置が変化する。すなわち、接続部材106をワイヤ104によって移動させることで、防護扉200の開閉状態を制御することができる。
【0017】
防護扉の開閉装置100は、センサユニット108が含まれてもよい。センサユニット108は少なくとも1つのセンサを含み、例えば、防護扉200の開閉状態を検知するセンサが含まれていてもよい。図1は、センサユニット108として、第1支柱204aの側に第1センサ116aが配置され、第2支柱204bの側に第2センサ116bが配置された態様を示す。第1センサ116a及び第2センサ116bは、例えば、接続部材106の位置を機械的に、光学的に、又は磁気的に検知するセンサを適用することができる。また、センサユニット108は、2つのセンサに限定されず、さらに多くの数のセンサが用いられてもよい。例えば、センサユニット108は、接続部材106の可動範囲において、2以上の複数箇所に設けられていてもよい。
【0018】
防護扉の開閉装置100は、第1モータ110及び第1プーリ112を支持する第1支持ユニット120と、第2プーリ114、第1センサ116a及び第2センサ116bを支持する第2支持ユニット124が含まれてもよい。第1支持ユニット120は、第1モータ110及び第1プーリ112を所定の高さで保持する架台により構成され、第2支持ユニット124は、第1梁部202に隣接する第2梁部126、第2梁部126を支持する第3支柱128a及び第4支柱128bにより構成されてもよい。このように、駆動ユニット102、センサユニット108を、防護扉200を構成する部材とは別の部材で支持することで、防護扉の開閉装置100を防護扉200の動作に影響を与えることなく近接して配置することができる。また、防護扉200を構成する部材とは別の部材で第1支持ユニット120及び第2支持ユニット124を構成することで高さ及び幅を調整することができ、防護扉の開閉装置100を防護扉200のサイズに合わせて柔軟に設置することができる。
【0019】
図1は、第1プーリ112と第2プーリ114とが略同じ高さに配置される態様を示すが、ワイヤ104の引っ張り方向を変える第3のプーリ、滑車等を用いて両者が異なる高さに配置されてもよい。例えば、第2プーリ114を図1に示す位置に設置し、第1モータ110及び第1プーリ112(及びこれらを支えるフレーム)を床面に設置されてもよい。
【0020】
なお、図1は、防護扉200が複数の扉板208で構成される態様を示すが、本発明の一実施形態に係る防護扉の開閉装置100はこのような防護扉200に限定されず、溝、レールの上を滑らせて開閉する形式及び上吊り式の扉、パーティション、養生用のカーテン等にも適用することができる。
【0021】
図2(A)及び図2(B)は、防護扉200及び防護扉の開閉装置100の平面図を示す。図2(A)は、防護扉200が閉じた状態を示し、図2(B)は防護扉200が開いた状態を示す。
【0022】
図2(A)に示すように、防護扉200が閉じた状態では、取付軸206の両側に回動可能に取り付けられた扉板208が、第1支柱204aから第2支柱204bにかけて広がっている。このとき、接続部材106は、第1支柱204aの近傍に位置している。防護扉の開閉装置100がセンサユニット108を有する場合、第1センサ116aによって接続部材106が第1支柱204aの近傍に位置していることが検知される。
【0023】
駆動ユニット102のうち、第1モータ110は第1支柱204aの側に配置され、第2プーリ114は第2支柱204bの側に配置される。ワイヤ104は、第1モータ110の回転軸に取り付けられた第1プーリ112(図示されず)から、防護扉200に沿って第2支柱204bの方に引き出され、第2プーリ114に巻き回されて、再び第1プーリ112に戻される。ワイヤ104が、第1モータ110の駆動によって第1プーリ112から巻き出され、第2プーリ114で回されて、再び第1プーリ112に巻き取られると、ワイヤ104の駆動に伴って接続部材106が第1支柱204a側から第2支柱204b側に移動する。
【0024】
防護扉200は、接続部材106の移動(第1支柱204a側から第2支柱204b側への移動)に伴って、扉板208が畳まれながら移動する。図2(B)に示すように、最終的には、第2支柱204b側に扉板208が蛇腹状に畳まれた状態となる。このとき、接続部材106は、第2支柱204bの近傍に位置している。防護扉の開閉装置100がセンサユニット108を有する場合、第2センサ116bによって接続部材106が第2支柱204bの近傍に位置していることが検知される。
【0025】
図2(B)に示す状態において、接続部材106が第2支柱204b側から第1支柱204a側に移動するように第1モータ110を駆動すると、同様の動作により防護扉200を閉じた状態にすることができる。第1モータ110は電動で動作するので、遠隔操作を行うことができ、防護扉200の位置はセンサユニット108により検出可能である。
【0026】
図3(A)は、駆動ユニット102のうち、第1モータ110及び第1プーリ112の取り付け構造の一例を示す。第1モータ110は固定具によって第1支持ユニット120を構成するフレーム122に取り付けられる。第1プーリ112は、第1モータ110の回転軸に取り付けられる。フレーム122の構造及び形状に限定はないが、好ましくは、ガイドレールや取り付け穴により、左右及び前後方向の位置、並びに高さを調整可能なように組み立てられた構造を有する。フレーム122によって第1モータ110の位置を調整可能としておくことで、設置現場の状況に応じて適切にワイヤ104を張ることができる。
【0027】
図3(B)に示すように、第1プーリ112は2層構造である。第1プーリ112は、第1モータ110が一方向に回転するとき、上下2段に重ねられたプーリのうち、一方が右巻き用プーリ130、他方が左巻き用プーリ132として機能するように用いられる。第1プーリ112は、上下2段に重ねられたプーリのうち、右巻き用プーリ130にワイヤ104の一端が固定され、左巻き用プーリ132にワイヤ104の他端が固定される。第1プーリ112の上下2段にワイヤ104を、異なる巻き方向に巻き付けることで、一方のプーリを巻き出し用、他方のプーリを巻き取り用として用いることができ、第1モータ110の回転方向を逆転させることで、一方のプーリを巻き取り用、他方のプーリを巻き出し用として用いることができる。すなわち、2層構造を有する第1プーリ112が一方向に回転するとき、第1層目を巻き出し用、2層目を巻き取り用として用いることで、ワイヤ104の巻き出しと巻き取りを同時に行うことができる。また、第1モータ110の回転方向を逆転させると、第1層目のプーリをワイヤ104の巻き取り用、2層目のプーリをワイヤ104の巻き出し用として用いることができる。
【0028】
図2(A)及び図2(B)を参照して説明したように、接続部材106はワイヤ104と接続され、滑らないように固定されている。そのため、上述のような第1モータ110の回転及び第1プーリ112の動作によって、接続部材106の位置を第1支柱204aと第2支柱204bとの間で自在に変化させることができる。
【0029】
図4は、第2プーリ114及び取付部材134の一例を示す。第2プーリ114はワイヤ104を巻き回す部材であり、駆動ユニット102の中で第1プーリ112とは離れた位置に配置される。第2プーリ114の設置方法に限定はないが、例えば、図4に示すように取付部材134によって支持されるように設置される。取付部材134の構造には特段の限定はない。取付部材134は、例えば、第2プーリ114を支持する支持棒138と、支持棒138を支柱に取り付ける固定具136により構成されてもよい。図4に示すように、略垂直に立てられた支持棒138の上下に固定具136を配置し、第2プーリ114の位置を上下方向で調整可能とすることで、第1プーリ112の高さに合わせることができ、ワイヤ104を水平に張ることが容易となる。
【0030】
防護扉の開閉装置100において、第1モータ110及び第1プーリ112を支持するフレーム122、及び第2プーリ114を支持する取付部材134は、防護扉200の第1梁部202及び支柱204(第1支柱204a、第2支柱204b)とは別の部材で形成される。これにより、防護扉の開閉装置100は、既存の防護扉200に影響を与えることなく(防護扉の機能を毀損することなく)、自由に配置することができる。別言すれば、防護扉200に対し、防護扉の開閉装置100を着脱可能に設置することができる。なお、第2プーリ114は、同様の機能を有するものとして滑車に置き換えることもできる。
【0031】
図5(A)及び図5(B)は、接続部材106の一例を示す。図5(A)は、接続部材106の平面図を示し、図5(B)は接続部材106の正面図を示す。接続部材106の構造に限定はなく、ワイヤ104に対し着脱可能な構成を有し、ワイヤ104に取り付けたとき取付位置が変化しないものであれば、様々な構造を適用することができる。図5(A)及び図5(B)は、接続部材106が2枚のプレートで構成される一例を示す。この接続部材106は、ワイヤ104に接続する固定部140を含む。固定部140の構造は任意であるが、例えば、図示されるように第1プレート142aと第2プレート142bとの間にワイヤ104を挟み込む構造を有していてもよい。また、接続部材106は、固定具144により、防護扉200を構成する扉板208、取付軸206に取り付けられる。このように、接続部材106は、ワイヤ104及び防護扉200に対し、着脱可能な構造を有することにより、ワイヤ104及び防護扉200を破損することなく、しかも繰り返し使用することができる。
【0032】
図6は、接続部材106を防護扉200に設置したときの平面模式図を示す。図6は、取付軸206に取り付けられた扉板208が第1梁部202から下げられており、取付軸206の上部に接続部材106が設けられた構造を示す。接続部材106はワイヤ104に接続されている。接続部材106は、図示されない第1モータ110が駆動されると、ワイヤ104の動作に伴って第1梁部202の長手方向と略平行に移動する。
【0033】
第1梁部202は、複数の梁を連結して構成されている場合がある。その場合、図6に示すように、梁同士の連結部にフランジ210が設けられる。フランジ210は、梁の側面より外側に突出して設けられる。第1梁部202の中にこのようなフランジ210は、接続部材106の動作線上に突出して障害物となることが懸念される。しかしながら、本発明の一実施形態に係る接続部材106は、ワイヤ104の固定部140が扉板208よりも外側に配置されていることにより、フランジ210と干渉しないように(接触しないように)設けられている。このような構造により、接続部材106を扉板208の上側に設けたとしても、フランジ210と干渉せずに第1梁部202に沿って自由に移動することが可能となっている。なお、図6は、接続部材106が防護扉200の手前側に突出して配置される構造を示すが、これとは逆に、防護扉200の奥側に突出するように設けられていてもよい。
【0034】
図7(A)は、センサユニット108のうち、第1センサ116aの一例及びその取り付け構造の斜視図を示し、図7(B)はその正面図を示す。図7(A)及び図7(B)は、第1センサ116aとして、触針の傾きで物体の有無を検知する機械式のスイッチが用いられた一例を示す。第1センサ116aは、初期状態では点線で示すようにロータリースイッチに接続された触針が略垂直の状態にあり、ロータリースイッチがオフ(又はオン)の状態となっている。第1センサ116aは、触針が接続部材106の動作線と交差するように配置される。第1センサ116aは、接続部材106が触針と接触し、ロータリースイッチが回転すると、スイッチがオン(又はオフ)の状態に変化する。第1センサ116aは、このように物理的な状態変化を電気的な状態変化に変換して検知する機能を有する。
【0035】
なお、第1センサ116a及び第2センサ116bは図示されるものに限定されず、光学センサ、磁気センサが用いられてもよい。このようなセンサを用いることで、センサユニット108は、非接触で接続部材106の位置を検知することが可能となる。
【0036】
第1センサ116aは、固定具146によって所定の位置に配置される。例えば、第1センサ116aは固定具146によって第2梁部126に取り付けられる。固定具146は、例えば、第2梁部126を挟む又は第2梁部126に挿通される金具を、ネジ、ボルト(及びナット)等の締結具で締め付ける機能を有する。第1センサ116aは、このような固定具146を用いることで、第2梁部126の長手方向に沿った任意の位置に取り付けることが可能とされている。また、図示されないが、第2センサ116bの構成も同様である。これにより、第1センサ116a及び第2センサ116bの取り付け位置を調整することが可能となり、防護扉200の開状態又は閉状態を適切に検知することができる。
【0037】
図8は、本発明の一実施形態に係る防護扉の開閉装置100のシステム構成の一例を示す。このシステムは、防護扉の開閉装置100と、この装置の動作を制御する(動作命令を与える)制御装置150と、から構成される。
【0038】
防護扉の開閉装置100としては、駆動ユニット102、ワイヤ104、接続部材106、センサユニット108が含まれる。駆動ユニット102には、第1モータ110、第1プーリ112、第2プーリ114、及びモータ制御部152が含まれる。センサユニット108には、第1センサ116a、及び第2センサ116bが含まれる。なお、センサユニット108にセンサ信号処理回路154が含まれてもよい。接続部材106は、前述のように防護扉200と接続される。制御装置150は、コンピュータのハードウェア資源、ソフトウェア資源により実現され、センサユニット108から信号が入力され、モータ制御部152の動作を制御する信号を出力する。
【0039】
制御装置150は、予め設定されたプログラムにより、又は防護扉200の開閉を命令する外部信号により、モータ制御部152に第1モータ110の回転又は停止、回転方向を特定する信号を出力する。制御装置150には、また、センサユニット108から防護扉200の開状態又は閉状態を検知する信号が入力され、その信号に基づいて第1モータ制御部152に第1モータ110を停止する信号を出力する。このように、駆動ユニット102の動作を制御装置150により制御することで、手動によらず、制御装置150からの信号により自動で防護扉200を開閉することが可能となる。
【0040】
図9は、本発明の一実施形態に係る防護扉の開閉装置100が用いられたシステムを、建設現場における各階扉に適用した一例を示す。
【0041】
図9は、建設中の建設物300の外側に工事用エレベータ320が設置された状態を示す。工事用エレベータ320は建設物300の外側に設置され、昇降装置324によって搬器322が上下する。建設物300の各階には、搬器322に出入り(又は出し入れ)可能な出入口が設けられている。その出入口には、安全を確保するため防護扉(各階扉)200が各階に設けられている。各階の防護扉200_1~200_4は、防護扉の開閉装置100_1~100_4によって自動で開閉動作が行われる。
【0042】
なお、図9は、防護扉の開閉装置100_1~100_4が、各階に設置される態様を示すが、このような態様に限定されず建設物300の一部の階に設置されていてもよい。すなわち、資材の搬送が行われる階に防護扉の開閉装置100を設置しておき、資材の搬送が終わった階から防護扉の開閉装置100を容易に取り外し、資材の搬送が行われる別の階(上階又は下階)へ容易に設置することができる。例えば、図9に示す建設物300において、1階から2階へ資材を搬送する場合には、1階と2階に防護扉の開閉装置100_1、100_2を設置しておき、資材の搬送が終了したとき、2階に設置した防護扉の開閉装置100_2を取り外し、それを次の搬送先である3階に設置してもよい。本発明の一実施形態に係る防護扉の開閉装置100は、組み立て式であり、防護扉(各階扉)に容易に着脱可能であるため、建設現場における施工の進捗状況に応じて取り付け、取り外し、搬送を行い繰り返し使用することができる。それにより、工期を短縮し、コストを削減することができる。
【0043】
図9は、また、建設中の建設物300の中で自動搬送車(AGV:Automatic Guided Vehicle)330が駆動されている場合を示す。自動搬送車330は、資材を上階又は下階に搬送するように動作がプログラムされている。例えば、2階の自動搬送車330が資材を運搬して3階へ移動する場合、自動搬送車330は、2階の床面を移動して工事用エレベータ320の2階の出入口の前に移動する。制御装置150は、自動搬送車330が正常な動作により工事用エレベータ320の2階の出入口の前で停止したことを確認して、又は自動搬送車330の位置をセンサ等で検知して、さらに搬器322が2階に停止したことを確認して、防護扉の開閉装置100に防護扉200_2を開状態にする命令を出力する。防護扉200の開閉状態はセンサユニット108により検出され、開状態が検出されると、制御装置150は自動搬送車330が搬器322に乗り込む命令を出力する。自動搬送車330が搬器322に移動したことが確認して、又は自動搬送車330の位置をセンサ等で検知して、防護扉の開閉装置100に防護扉200_2を閉状態にする命令を出力する。以降は、このような動作の繰り返しにより、自動搬送車330によって資材の搬送を行うことができる。
【0044】
このように、資材の搬送を自動搬送車330により行うことで、資材運搬作業の省力化、省人化が図れると共に、これを、休憩時間、夜間、休日に実施することができ、昼間の作業の生産性を向上させることが可能となる。また、重量物の搬送を自動搬送車330に任せ、人が作業しなくなることにより安全性を向上させることができる。この場合において、防護扉の開閉装置100は、自動搬送車330の動作と連携することができ、防護扉(各階扉)200を無人で開閉することを可能とする。さらに、防護扉の開閉装置100は、既存の防護扉(各階扉)200に簡易に取り付けることができ、また、使用後は簡易に取り外し再利用をすることができる。また、防護扉の開閉装置100は、2種類のプーリ(2層構造のプーリと単層構造のプーリ)と、ワイヤを組み合わせた構成とすることで、間口が異なる防護扉に対して柔軟に対応することができる。
【0045】
[第2実施形態]
本実施形態は、第1実施形態に示す防護扉の開閉装置100に対し、駆動ユニット102の構成が異なる態様を示す。以下においては、第1実施形態と相違する部分を中心に説明する。
【0046】
図10は、本実施形態に係る防護扉の開閉装置100を示す。第2プーリ114は、第2モータ111の回転軸に取り付けられる。第2プーリ114及び第2モータ111は、第3支持ユニット125によって支持される。第3支持ユニット125は、第2プーリ114の高さが第1プーリ112と略同じ高さに配置されるように、架台によって構成される。
【0047】
第1モータ110及び第2モータ111は、正逆両方向に回転する。例えば、図10に示す配置の場合、防護扉200を開ける際には、第1モータ110及び第2モータ111が、時計回りに回転し、防護扉200を閉める場合には反時計回りに回転する。また、防護扉200を開ける際又は閉める際に、ワイヤ104の撓みが解消されるように(ワイヤ104にテンションがかかるように)、適宜、第1モータ110と第2モータ111の回転方向を異ならせ(互いに逆回転させてもよく)、同時に回転数を異ならせてもよい。上記の例に従えば、防護扉200を開ける際に、扉が開ききるまでの過程で、第1モータ110を時計回りに回転させ、第2モータ111を反時計回りに回転させ、ワイヤ104にテンションがかかるようにしてもよい。このとき、ワイヤ104に過大な引っ張り力が作用しないように、第1モータ110と第2モータ1110の回転数は、独立して適宜調整することが好ましい。
【0048】
ワイヤ104は第2プーリ114に巻き回されているだけなので、第2プーリ114の回転力がワイヤ104にそのまま伝達されるのではないが、両者の間には摩擦力が作用し摺動面が形成される。そのため、第2プーリ114の回転によってワイヤ104に力を作用させることができる。
【0049】
防護扉200がスムーズに開閉するには、ワイヤ104が適度なテンションで張られていることが必要となる。仮に、ワイヤ104のテンションが低い場合には、扉板208がスムーズに動かなくなるばかりか、扉の完全な閉状態及び開状態を実現できないおそれもある。
【0050】
そこで、本実施形態においては、ワイヤ104が張られた経路上に、ワイヤ撓みセンサ109(このようなセンサは、「テンション計」、「テンションメータ」とも呼ばれる)が設けられている。ワイヤ撓みセンサ109の構成は任意であり、例えば、レーザ変位計によってワイヤ104の撓み位置を検出するものであってもよいし、ワイヤ104を3つのローラで挟み込み引っ張り力を検知するものであってもよい。ワイヤ撓みセンサ109は、ワイヤ104と扉板208とを繋ぐ接続部材106と干渉しないように、接続部材106の移動経路の外側に配置されることが好ましい。例えば、図10に示すように、ワイヤ撓みセンサ109を、第1モータ110と第1支柱204aとの間領域、第2支柱204bと第2プーリ114との間の領域に設けることができる。ワイヤ撓みセンサ109は、ワイヤ104の張り具合を正確に検知するために、安定した場所に取り付けられることが好ましい。例えば、ワイヤ撓みセンサ109を、第1支持ユニット120、第3支持ユニット125に取り付けることができる。なお、図10では、ワイヤ撓みセンサ109を2箇所に設ける例を示すが、本発明の一実施形態はこのような例に限定されない。例えば、ワイヤ撓みセンサ109は、第1プーリ112側及び第2プーリ114側のいずれか一方のみの側に設けられていても良い。また、ワイヤ撓みセンサ109が非接触式のセンサであれば、ワイヤが張られる経路上に設けられていてもよい。
【0051】
第2モータ111は、第1モータ110から独立して回転数を調整することができる。例えば、第2プーリ114の直径が第1プーリ112と同じ場合、第2プーリ114の単位時間当たりの回転数を第1プーリ112の回転数より高くすることで、第2プーリ114は第1プーリ112から巻き出されるワイヤ104に引っ張り力を作用させることができる。すなわち、第2モータ111により第2プーリ114を自立的に回転させ、その回転数(又は回転力)によってワイヤ104に引っ張り力を作用させることで、ワイヤ104のテンションを調節することができる。
【0052】
第2モータ111の回転数は、ワイヤ撓みセンサ109の検出値と連動させてもよい。例えば、ワイヤ撓みセンサ109が、ワイヤ104の撓みを検知した場合、ワイヤ104に張力が作用するように第2モータ111の回転数を高くしてもよい。
【0053】
このように、本実施形態によれば、第2プーリ114を自立的に回転させることで、ワイヤ104に張力を作用させることができ、それによって防護扉200をスムーズに開閉することができる。本実施形態に係る防護扉の開閉装置100は、第2プーリ114が第2モータ111に取り付けられたことの他は第1実施形態と同様であり、同様の作用効果を得ることができる。
【0054】
[第3実施形態]
本実施形態は、第1実施形態に示す防護扉の開閉装置100に対し、駆動ユニット102を構成する第1プーリ112及び第2プーリ114の構成が異なる態様を示す。以下においては、第1実施形態と相違する部分を中心に説明する。
【0055】
図11は、本実施形態に係る防護扉の開閉装置100を示す。駆動ユニット102は、防護扉200を正面から見たときに、一方の側(例えば、左側)に第1プーリ112が配置され、他方の側(例えば、右側)に第2プーリ114が配置される。ワイヤ104は、第1プーリ112と第2プーリ114の間に張られ、両方のプーリに巻き付けられている。図11では詳細に示されないが、第1プーリ112は第1モータ(110)に取り付けられ、第2プーリ114には弾性体により回転力が付与される構成が付加されている。
【0056】
図12は、第1プーリ112及び第1モータ110の詳細を示す。本実施形態において、第1プーリ112は一段式であり、ワイヤ104が巻き付けられている。第1プーリ112は、第1モータ110の回転軸に取り付けられ、正転及び逆転(右回転及び左回転)の両方向に回転可能となっている。ワイヤ104は、第1プーリ112に対し、例えば、正転(右回転)するときに巻き出され、逆転(左回転)するときに巻き取られるよりに取り付けられている。
【0057】
図13(A)及び(B)は、第2プーリ114の詳細を示す。図13(A)は第2プーリ114の正面側の構造を示し、図13(B)は第2プーリ114の背面側の構造を示す。図13(A)に示すように、第2プーリ114は、第3支持ユニットに取り付けられた支持板121を貫通する回転軸119に取り付けられ、ワイヤ104が巻き付けられている。図13(B)に示すように、支持板121の背面には、弾性体として渦巻き状に巻かれたゼンマイバネ118が設けられている。ゼンマイバネ118は、外側の一端が支持板121に固定され、中心軸が回転軸119に取り付けられている。
【0058】
弾性体として用いられるゼンマイバネ118は、弛緩した状態で第2プーリ114に回転力を与えず、第2プーリ114からワイヤ104巻き出されるとき、巻かれて緊張状態となるように取り付けられている。すなわち、第1プーリ112の回転によって、ワイヤ104が第2プーリ114から巻き出されるとき、ゼンマイバネ118は、第2プーリ114に巻き出しの回転と反対方向の回転力(抵抗力)を付与する。
【0059】
このような構成により、第1プーリ112と第2プーリ114との間に張られたワイヤ104には、ゼンマイバネ118の作用によりテンションが与えられ、常に張られた状態を維持することができる。別言すれば、防護扉200が閉じた状態にあるとき、ワイヤ104は第2プーリ114及びゼンマイバネ118の作用によって引っ張られた状態にあり、防護扉200を開けるときにはゼンマイバネ118の作用(第2プーリ114によりワイヤ104を巻き取る力)によってスムーズに扉板208を畳むことができる。
【0060】
このように、ゼンマイバネ118の作用により防護扉200を開くことができるので、第1モータ110は、防護扉200を閉めるときに駆動させ、開くときには駆動させないか、補助的な動力として用いるのみでよいこととなる。なお、第1モータ110の動力によらず、防護扉200の閉状態を維持するために、例えば、防護扉200とワイヤ104を繋ぐ接続部材106にストッパ(図示されず)が設けられていてもよい。また、図示されないが、弾性体の他の例としてスプリングを用いることができる。
【0061】
このように、本実施形態によれば、第2プーリ114にワイヤ104を引っ張る方向の回転力を付与することで、防護扉200をスムーズに開閉することができる。本実施形態に係る防護扉の開閉装置100は、第2プーリ114にゼンマイバネ118を取り付けたことの他は第1実施形態と同様であり、同様の作用効果を得ることができる。
【0062】
[第4実施形態]
本実施形態は、第3の実施形態に示す防護扉の開閉装置100に対し、ワイヤ104を他の部材に取り替えた構成を示す。以下においては、第3実施形態と相違する部分を中心に説明する。
【0063】
図14は、本実施形態に係る防護扉の開閉装置100を示す。本実施形態において、ワイヤ104は、タイミングベルト105に置き換えられ、第1プーリは第1タイミングベルトプーリ113に、第2プーリは第2タイミングベルトプーリ115にそれぞれ置き換えられている。なお、タイミングベルトは、滑りがないように内側面に歯が付いたベルトであり、タイミングベルトプーリはタイミングベルトとの当接面に歯と咬み合う凹凸が設けられたプーリである。タイミングベルト105は、第1タイミングベルトプーリ113と第2タイミングベルトプーリ115とに架け渡される。
【0064】
本実施形態によれば、第3の実施形態の作用効果に加え、タイミングベルト105を用いることによって、プーリとの間で滑りが防止され、撓まないようにすることができるので、防護扉200をスムーズに開閉することが可能となる。
【符号の説明】
【0065】
100・・・防護扉の開閉装置、102・・・駆動ユニット、104・・・ワイヤ、105・・・タイミングベルト、106・・・接続部材、108・・・センサユニット、109・・・ワイヤ撓みセンサ、110・・・第1モータ、111・・・第2モータ、112・・・第1プーリ、113・・・第1タイミングベルトプーリ、114・・・第2プーリ、115・・・第2タイミングベルトプーリ、116・・・センサ、118・・・ゼンマイバネ、119・・・回転軸、120・・・第1支持ユニット、121・・・支持板、122・・・フレーム、124・・・第2支持ユニット、125・・・第3支持ユニット、126・・・第2梁部、128・・・支柱、130・・・右巻き用プーリ、132・・・左巻き用プーリ、134・・・取付部材、136・・・固定具、138・・・支持棒、140・・・固定部、142・・・プレート、144・・・固定具、146・・・固定具、150・・・制御装置、152・・・モータ制御部、154・・・センサ信号処理回路、200・・・防護扉、202・・・第1梁部、204・・・支柱、206・・・取付軸、208・・・扉板、210・・・フランジ、300・・・建設物、320・・・工事用エレベータ、322・・・搬器、324・・・昇降装置、330・・・自動搬送車
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14