(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】減速機構
(51)【国際特許分類】
F16H 1/06 20060101AFI20240418BHJP
F16H 1/32 20060101ALI20240418BHJP
F16H 57/021 20120101ALI20240418BHJP
F16D 55/00 20060101ALI20240418BHJP
F16D 55/28 20060101ALI20240418BHJP
B25J 19/00 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
F16H1/06
F16H1/32 A
F16H57/021
F16D55/00 B
F16D55/28 B
B25J19/00 C
(21)【出願番号】P 2020119385
(22)【出願日】2020-07-10
【審査請求日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】P 2020015393
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(72)【発明者】
【氏名】内原 正登
(72)【発明者】
【氏名】永原 康平
(72)【発明者】
【氏名】中村 江児
(72)【発明者】
【氏名】長屋 雄太
(72)【発明者】
【氏名】島本 光
【審査官】木原 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-194121(JP,A)
【文献】特開2015-140225(JP,A)
【文献】特開2004-364370(JP,A)
【文献】国際公開第2008/096857(WO,A1)
【文献】特開2016-048098(JP,A)
【文献】実開平03-000337(JP,U)
【文献】特開2005-138275(JP,A)
【文献】特開2010-264568(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/06
F16H 1/32
F16H 57/021
F16D 55/00
F16D 55/28
B25J 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力した回転速度を減速させる減速部と、
前記減速部から出力した回転速度を増速させる増速部と、
前記増速部を制動するブレーキ力を付与するブレーキ部と、
を備え
、
前記減速部が、
前記減速部の回転中心となる減速中心軸線を回転中心とするセンターギアと、
前記センターギアに平行な回転軸線を有して前記センターギアに接続されたスパーギアと、
前記スパーギアと一体のクランク軸と、前記クランク軸に設けられたカムと、
前記カムによって前記減速中心軸線のまわりを揺動回転する外歯ギアと、
前記外歯ギアと噛み合う内歯ギアを有して前記減速中心軸線を回転中心として回転する外筒と、
を備え、
前記ブレーキ部が、
前記センターギアに平行な回転軸線を有して前記センターギアに接続されて前記センターギアを制動するブレーキギアと、
前記ブレーキギアに接続される無励磁ブレーキと、
を有し、
前記ブレーキギアの回転軸線は、前記センターギアの径方向外側に位置するとともに、
前記ブレーキギアの回転軸線は、前記減速中心軸線までの径方向距離が、前記減速中心軸線から前記内歯ギアまでの径方向距離より小さい位置に配置され、
前記減速中心軸線に沿った軸方向において、前記増速部と前記ブレーキ部とが互いにラップした配置である
ことを特徴とする減速機構。
【請求項2】
前記ブレーキギアは、前記スパーギアに噛み合い、前記ブレーキギアの回転軸線は、前記減速中心軸線から前記スパーギアの回転軸線までの径方向距離と等しいかそれより小さい位置に配置され、
前記スパーギアと前記ブレーキギアとが、略同一の平面に位置する
ことを特徴とする請求項1記載の減速機構。
【請求項3】
前記ブレーキ部が、前記センターギアに平行な回転軸線を有して前記センターギアに噛み合い回転するアイドラギアを備え、
前記ブレーキギアは、前記アイドラギアに噛み合うとともに、
前記アイドラギアと前記ブレーキギアとが、略同一の平面に位置する
ことを特徴とする請求項
1記載の減速機構。
【請求項4】
前記センターギアと前記ブレーキギアとが、互いに噛み合うとともに、
前記センターギアと前記ブレーキギアとが、略同一の平面に位置する
ことを特徴とする請求項
1記載の減速機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はブレーキ機構、減速機構に関し、特にブレーキおよび減速機を備えた機構に用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
産業用ロボットや工作機械等においては、非常停止作動時や停電時等の何らかの異常により停止した際に、姿勢を保持できずに自重で垂れ下がると危険である。このため、一般的にロボット等には、姿勢保持用のブレーキが設けられている。
【0003】
このような例として、特許文献1に記載されるように、ロボット1の第1関節体3内に設置された駆動ユニット10が、モータ20と、当該モータ20のモータ軸29に平行に設けられたブレーキ軸25と、出力軸29とブレーキ軸25の一端部25aとを連結してモータ20の回動をブレーキ軸25に伝達するプーリー機構40と、ブレーキ軸25と同心に設けられた電磁ブレーキ21及び減速機22とを備える構成が知られている。
【0004】
ここで、減速機22内及び電磁ブレーキ21内には、それぞれブレーキ軸25の中央部25b、他端部25cがそれぞれ貫装され、減速機22の出力部31の外周に第2関節体4の作動端が接続されている構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらの構成では、制動する駆動力が大きい場合や、停止させる部品が大きい場合などに、大型のブレーキが必要になるため、これを小型化したいという要求があった。
特に、駆動側の駆動力消失等において、制動をかけるためのブレーキを、制動機能を低下させずに小型化したいという要求があった。
【0007】
本発明は、充分な制動機能を有し、かつ、小型化可能な減速機構を提供する、という目的を達成しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る減速機構は、
入力した回転速度を減速させる減速部と、
前記減速部から出力した回転速度を増速させる増速部と、
前記増速部を制動するブレーキ力を付与するブレーキ部と、
を備え、
前記減速部が、
前記減速部の回転中心となる減速中心軸線を回転中心とするセンターギアと、
前記センターギアに平行な回転軸線を有して前記センターギアに接続されたスパーギアと、
前記スパーギアと一体のクランク軸と、前記クランク軸に設けられたカムと、
前記カムによって前記減速中心軸線のまわりを揺動回転する外歯ギアと、
前記外歯ギアと噛み合う内歯ギアを有して前記減速中心軸線を回転中心として回転する外筒と、
を備え、
前記ブレーキ部が、
前記センターギアに平行な回転軸線を有して前記センターギアに接続されて前記センターギアを制動するブレーキギアと、
前記ブレーキギアに接続される無励磁ブレーキと、
を有し、
前記ブレーキギアの回転軸線は、前記センターギアの径方向外側に位置するとともに、
前記ブレーキギアの回転軸線は、前記減速中心軸線までの径方向距離が、前記減速中心軸線から前記内歯ギアまでの径方向距離より小さい位置に配置され、
前記減速中心軸線に沿った軸方向において、前記増速部と前記ブレーキ部とが互いにラップした配置である
ことにより上記課題を解決した。
本発明の減速機構は、
前記ブレーキギアは、前記スパーギアに噛み合い、前記ブレーキギアの回転軸線は、前記減速中心軸線から前記スパーギアの回転軸線までの径方向距離と等しいかそれより小さい位置に配置され、
前記スパーギアと前記ブレーキギアとが、略同一の平面に位置する
ことができる。
本発明の減速機構は、
前記ブレーキ部が、前記センターギアに平行な回転軸線を有して前記センターギアに噛み合い回転するアイドラギアを備え、
前記ブレーキギアは、前記アイドラギアに噛み合うとともに、
前記アイドラギアと前記ブレーキギアとが、略同一の平面に位置する
ことができる。
本発明の減速機構は、
前記センターギアと前記ブレーキギアとが、互いに噛み合うとともに、
前記センターギアと前記ブレーキギアとが、略同一の平面に位置する
ことができる。
【0009】
本発明の一態様に係る減速機構は、入力回転を減速させる減速部と、
前記減速部の回転を増速させる増速部と、
前記増速部にブレーキ力を付与するブレーキ部と、
を備え、
前記ブレーキ部の前記ブレーキ力によって、前記増速部を制動する
ことにより上記課題を解決した。
通常、モータ等の駆動源から入力される入力回転に対して減速部を制動しようとした場合、減速部により減速した回転を制動することになるため、ブレーキ部のブレーキ力、すなわち、制動力が、減速された回転に対して必要となる。このため、必要な制動トルクが大きくなって、ブレーキ部が大型化する。
これに対して、本発明の一態様に係る減速機構によれば、増速部によって、減速部の回転に対して増速、すなわち、回転数が増加しているため、ブレーキ部のブレーキ力、すなわち、制動力が、増速された回転に対して必要な分だけでよい。このため、必要な制動トルクを抑制することができ、ブレーキ部を小型化することができる。
【0010】
本発明の減速機構は、前記減速部が、回転中心となる減速中心軸線を有し、
前記増速部と前記ブレーキ部とが互いに平行な回転軸線を有する歯車で接続され、
前記回転軸線に沿った軸方向において、前記増速部と前記ブレーキ部とが互いにラップした配置である
ことができる。
【0011】
本発明の減速機構は、前記減速部が、回転中心となる減速中心軸線を有し、
前記回転軸線に対する周方向において、前記減速部と前記ブレーキ部とが互いにラップした配置である
ことができる。
【0012】
本発明の減速機構は、前記減速部が、前記減速中心軸線を回転中心とするセンターギアを備え、
前記ブレーキ部が、前記センターギアに平行な回転軸線を有して前記センターギアにより回転する制動アイドラギアを備えて、
前記制動アイドラギアを制動する
ことができる。
【0013】
本発明の減速機構は、前記減速部が、前記減速中心軸線を回転中心とするセンターギアと、前記センターギアに平行な回転軸線を有して前記センターギアにより回転するスパーギアと、
を備え、
前記ブレーキ部が、前記スパーギアを制動する
ことができる。
【0014】
本発明の減速機構は、前記減速部が、前記減速中心軸線を回転中心とするセンターギアを備え、
前記ブレーキ部が、前記センターギアを制動する
ことができる。
【0015】
本発明の減速機構は、前記減速部が、前記減速中心軸線を回転中心とするセンターギアと、前記減速中心軸線を回転中心として前記センターギアにより回転する外筒と、
を備え、
前記ブレーキ部が、前記外筒を制動する
ことができる。
【0016】
本発明の減速機構は、前記減速部の出力回転を増速させる他の増速部を備え、
前記他の増速部に前記ブレーキ部のブレーキ力を付与する
ことができる。
【0017】
本発明の減速機構は、前記減速部が、前記減速中心軸線を回転中心とするセンターギアと、前記減速中心軸線を回転中心として前記センターギアにより回転する外筒と、
を備え、
前記外筒により回動される第1の出力軸と、
前記第1の出力軸と平行な第2の出力軸と、
前記第1の出力軸および前記第2の出力軸を接続して回転を伝達する第1出力歯車および第2出力歯車と、
前記第2の出力軸に接続されて前記減速部の出力を増速させる他の増速部と、
を備え、
前記他の増速部に接続された前記ブレーキ部の前記ブレーキ力によって、前記他の増速部を制動する
ことができる。
【0018】
本発明の減速機構は、前記第1の出力軸には、その一端に前記減速部を介して回転駆動力を入力する回転駆動源が接続され、他端に前記第1出力歯車および前記第2出力歯車を介して前記他の増速部が接続され、前記一端と前記他端との間に傾転部が設けられる
ことができる。
【0019】
本発明の減速機構は、傾転軸である前記第1の出力軸を回転自在に支持する脚部を備え、
前記脚部には、前記第の2出力軸および前記ブレーキ部が支持されている
ことができる。
【0020】
本発明の一態様に係る減速機構は、入力回転を減速させる減速部と、
前記減速部の回転を増速させる増速部と、
前記増速部にブレーキ力を付与するブレーキ部と、
を備え、
前記減速部が、前記減速部の回転中心となる減速中心軸線を回転中心とするセンターギアと、
前記センターギアに接続されたアイドラギアと、前記アイドラギアと一体のクランク軸と、前記クランク軸に設けられたカムと、前記カムによって前記減速中心軸線のまわりを揺動回転する外歯ギアと、前記外歯ギアと噛み合う内歯ギアを有して前記減速中心軸線を回転中心として回転する外筒と、
を備え、
前記外筒により回動される第1の出力軸と、
前記第1の出力軸と平行な第2の出力軸と、
前記第1の出力軸および前記第2の出力軸を接続して回転を伝達する第1出力歯車および第2出力歯車と、
前記第2の出力軸に接続されて前記減速部の出力を増速させる他の増速部と、
を備え、
前記第1の出力軸には、その一端に前記減速部を介して回転駆動力を入力する回転駆動源が接続され、他端に前記第1出力歯車および前記第2出力歯車を介して前記他の増速部が接続され、前記一端と前記他端との間に傾転部が設けられ、
傾転軸である前記第1の出力軸を回転自在に支持する脚部を備え、
前記脚部には、前記第2の出力軸および前記ブレーキ部が支持されており、
前記他の増速部に接続された前記ブレーキ部の前記ブレーキ力によって、前記他の増速部を制動する
ことができる。
本発明の一態様に係る減速機構によれば、他の増速部によって、減速部の回転に対して増速、すなわち、回転数が増加しているため、ブレーキ部のブレーキ力、すなわち、制動力が、増速された回転に対して必要な分だけでよい。このため、必要な制動トルクを抑制することができ、ブレーキ部を小型化することができる。
【0021】
本発明の他の態様に係るブレーキ機構は、入力した回転速度を増速させる他の増速部と、
前記他の増速部を制動するブレーキ力を付与するブレーキ部と、
を備える
ことにより上記課題を解決した。
【0022】
本発明の他の態様に係るブレーキ機構によれば、他の増速部によってブレーキ部のブレーキ力、つまり、制動トルクを増大して作用させることができる。これにより、大きな制動力を必要な場合に、小さなブレーキ部によって、必要な制動トルクを作用させることができる。したがって、小型化と、省スペース化と、構成部分数の削減と、確実な制動能を呈することができる。
【0023】
本発明の他の態様に係る減速機構は、入力した回転速度を減速させる減速部を備え、
前記減速部に上記に記載されたブレーキ機構が接続される
ことができる。
【0024】
本発明の減速機構は、前記減速部が、回転中心となる減速中心軸線を有し、
前記減速中心軸線に沿った軸方向において、前記減速部と前記増速部とが互いにラップした配置である
ことができる。
【0025】
本発明の減速機構は、前記増速部の軸線と前記減速中心軸線とが互いに平行に配置される
ことができる。
【0026】
本発明の減速機構は、前記増速部の軸線と前記減速中心軸線とが互いに交差して配置される
ことができる。
【0027】
本発明の減速機構は、前記減速部と前記増速部とが、回転伝達部によって接続される
ことができる。
【0028】
本発明の減速機構は、前記回転伝達部が、前記減速部と前記増速部とを接続するブレーキ出力歯車、ブレーキ出力プーリおよびベルト、または、ブレーキ出力スプロケットおよびチェーンのいずれかである
ことができる。
【0029】
本発明の減速機構は、前記減速部の外周に前記回転伝達部が接続される
ことができる。
【0030】
本発明の減速機構は、前記減速部が、前記減速中心軸線を回転中心として回転する外筒を備え、
前記ブレーキ機構が、前記外筒を制動する
ことができる。
【0031】
本発明の減速機構は、前記減速部が、前記外筒により回動される出力軸を備え、
前記ブレーキ機構が、前記出力軸と平行な前記ブレーキ機構のブレーキ軸を備え、
前記出力軸および前記ブレーキ軸に前記回転伝達部が接続されて回転を伝達するとともに、
前記ブレーキ軸に前記ブレーキ機構の前記増速部が接続されて前記減速部の出力を増速させ、
前記ブレーキ機構の前記ブレーキ部の前記ブレーキ力によって、前記減速部を制動する
ことができる。
【0032】
本発明の減速機構は、前記出力軸には、その一端に前記減速部を介して回転駆動力を入力する回転駆動源が接続され、他端が軸受によって支持され、前記一端と前記他端との間に傾転部が設けられ、
傾転軸である前記出力軸を回転自在に支持する脚部を備え、
前記脚部には、前記ブレーキ軸および前記ブレーキ機構が支持される
ことができる。
【0033】
本発明の一態様に係る減速機構によれば、傾転軸である第1の出力軸を、モータ等の駆動源から入力される入力回転が減速部によって減速して回転し、その傾斜角度を設定して、傾転部を所定の角度に維持、または、回転する。この際、メインのブレーキによって傾転軸の制動をおこなう。
さらに、モータ等の駆動源から入力される入力回転が傾転部に入力しない場合、あるいは、減速部における入力回転が傾転部に入力しない場合には、他の増速部によって、傾転部の回転を制動する。この場合、他の増速部における制動は、他の増速部によって、増速された回転を制動するため、減速部を制動する構成に比べて、必要な制動トルクを抑制することができ、ブレーキ部を小型化することができる。
また、脚部には、前記第2の出力軸および前記ブレーキ部が支持されることで、省スペース化を図ることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、ブレーキ部を小型化し、省スペース化の可能な減速機構において、充分な制動をおこなうことが可能となるという効果を奏することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明に係る減速機構の第1実施形態を減速中心軸線に沿った模式断面図である。
【
図2】本発明に係る減速機構の第1実施形態を減速中心軸線に沿った方向に見た側面図である。
【
図3】本発明に係る減速機構の第1実施形態における減速部を示す軸方向に沿った断面図である。
【
図4】本発明に係る減速機構の第2実施形態を減速中心軸線に沿った模式断面図である。
【
図5】本発明に係る減速機構の第3実施形態を減速中心軸線に沿った方向に見た側面図である。
【
図6】本発明に係る減速機構の第4実施形態を示す軸方向に沿った断面図である。
【
図7】本発明に係る減速機構の第4実施形態を示す軸方向に見た側面図である。
【
図8】本発明に係るブレーキ機構、減速機構の第5実施形態を示す模式図である。
【
図9】本発明に係るブレーキ機構、減速機構の第6実施形態を示す模式図である。
【
図10】本発明に係るブレーキ機構、減速機構の第7実施形態を示す模式図である。
【
図11】本発明に係るブレーキ機構、減速機構の第8実施形態を示す模式図である。
【
図12】本発明に係るブレーキ機構、減速機構の第9実施形態を示す軸方向に沿った断面図である。
【
図13】本発明に係るブレーキ機構、減速機構の第9実施形態を示す軸方向に見た側面図である。
【
図14】本発明に係るブレーキ機構、減速機構の第10実施形態を示す軸方向に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明に係る減速機の第1実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態における減速機構を示す軸方向に沿った模式断面図であり、
図2は、本実施形態における減速機構を示す軸方向に沿った方向に見た側面図であり、
図3は、本実施形態における減速機構の減速部を示す軸方向に沿った模式断面図であり、図において、符号1は、減速機構である。
【0037】
本実施形態に係る減速機構1は、
図1,
図2に示すように、入力回転を減速させる減速部(減速機)100と、減速部100の回転を増速させる増速部20と、増速部20にブレーキ力を付与するブレーキ部30と、を備える。
【0038】
減速部100は、偏心揺動減速機とされる。減速機100は、
図3に示すように、筐体筒200と、歯車部(外歯部材)300と、3つのクランク組立体400と、センターギア500と、を備える。筐体筒200は、歯車部300と3つのクランク組立体400とを収容する。なお、
図3において、図示を省略、または変形して示した構成がある。
【0039】
筐体筒200は、ケース(外筒部)210と、キャリア部(キャリア)220と、2つの主軸受230と、を含む。キャリア部220は、ケース(外筒部)210内に配置される。2つの主軸受230は、ケース(外筒部)210とキャリア部220との間に配置される。2つの主軸受230は、ケース(外筒部)210と、キャリア部220と、の間の相対的な回転運動を可能にする。本実施形態における減速機100の出力部は、ケース(外筒部)210およびキャリア部220のうち一方によって例示される。
【0040】
減速部100は、
図1~
図3に示すように、2つの主軸受230の回転中心軸として規定される減速中心軸線(中心軸)F0を示す。キャリア部220が固定されている場合には、ケース(外筒部)210が、主軸F0周りに回転する。すなわち、ケース(外筒部)210およびキャリア部220のうち一方は、ケース(外筒部)210およびキャリア部220のうち他方に対して、主軸F0周りに相対的に回転することができる。
本実施形態において、2つの主軸受230の回転中心軸として減速機100の中心軸(主軸)F0に沿った方向を軸方向という。
【0041】
ケース(外筒部)210は、外筒211と、複数の内歯ピン(内歯)212と、を含む。外筒211は、キャリア部220、歯車部300およびクランク組立体400が収容される円筒状の内部空間を規定する。各内歯ピン212は、主軸F0に略平行に延びる円柱状の部材である。各内歯ピン212は、外筒211の内壁に形成された溝部に嵌入される。したがって、各内歯ピン212は、外筒211によって適切に保持される。
【0042】
複数の内歯ピン212は、主軸F0周りに略一定間隔で配置される。各内歯ピン212の半周面は、外筒211の内壁から主軸F0に向けて突出する。したがって、複数の内歯ピン212は、歯車部300と噛み合う内歯として機能する。
【0043】
キャリア部220は、基部(第1部材)221と、端板部(第2部材)222と、位置決めピン223と、支柱ボルト(固定ボルト)224と、を含む。キャリア部220は、全体的に、円筒形状をなす。キャリア部220には、主軸F0と同心となる貫通孔229が形成される。貫通孔229には、内筒510が貫通する。内筒510は、主軸F0と同心とされる。
【0044】
基部(第1部材)221は、基板部225と、3つのシャフト部226と、を含む。3つのシャフト部226それぞれは、基板部225から端板部(第2部材)222に向けて延びる。3つのシャフト部226それぞれの先端面には、ネジ孔227およびリーマ孔228が形成される。位置決めピン223は、リーマ孔228へ挿入される。この結果、端板部(第2部材)222は、基部(第1部材)221に対して精度よく位置決めされる。
【0045】
支柱ボルト224は、ネジ孔227に締結される。この結果、端板部(第2部材)222は、基部(第1部材)221に適切に固定される。
支柱ボルト224による基部(第1部材)221と端板部(第2部材)222との固定は、所定の予圧となるように設定される。端板部(第2部材)222はホールドと称される。
【0046】
歯車部300は、基板部225と端板部(第2部材)222との間に配置される。3つのシャフト部226は、歯車部300を貫通し、端板部(第2部材)222に接続される。
歯車部300は、2つの歯車310,320を含む。歯車310は、基板部225と歯車320との間に配置される。歯車320は、端板部(第2部材)222と歯車310との間に配置される。
【0047】
歯車310は、形状および大きさにおいて、歯車320と略等しい。歯車310,320は、内歯ピン212に噛み合いながら、外筒211に対して外筒211内で周回移動する。したがって、歯車310,320の中心と外筒211とは、主軸F0周りを互いに周回することとなる。
【0048】
歯車310の周回位相は、歯車320の周回位相から略180°ずれている。歯車310は、ケース(外筒部)210の複数の内歯ピン212のうち半数に噛み合う間、歯車320は、複数の内歯ピン212のうち残りの半数に噛み合う。したがって、歯車部300は、ケース(外筒部)210またはキャリア部220を回転させることができる。
【0049】
本実施形態において、歯車部300は、2つの歯車310,320を含む。あるいは、歯車部として、2を超える数の歯車を用いてもよい。更に代替的に、歯車部として、1つの歯車を用いてもよい。
【0050】
3つのクランク組立体400それぞれは、クランク軸410と、4つの軸受421,422,423,424と、伝達歯車(外歯)430と、を含む。伝達歯車(スパーギア)430は、一般的なスパーギアであってもよい。本実施形態の減速機100において、伝達歯車430は特定の種類に限定されない。
【0051】
伝達歯車(スパーギア)430は、駆動源(例えば、モータ)が発生させた駆動力をセンターギア500から直接的に受ける。伝達歯車(スパーギア)430は、減速中心軸線(中心軸)F0に平行な回転軸線F3を有する。
【0052】
クランク軸410は、
図3に示すように、クランク軸線(伝達軸)F3周りに回転する。伝達軸F3は、主軸F0に対して略平行である。
クランク軸410は、2つのジャーナル(クランクジャーナル)411,412と、2つの偏心部(偏心体)413,414と、を含む。ジャーナル411,412は、伝達軸F3に沿って延びる。ジャーナル411,412の中心軸は、伝達軸F3に一致する。偏心部413,414は、ジャーナル411,412間に形成される。偏心部413,414それぞれは、伝達軸F3から偏心している。
【0053】
ジャーナル411は、軸受421に挿入される。軸受421は、ジャーナル411と端板部(第2部材)222との間に配置される。したがって、ジャーナル411は、端板部(第2部材)222と軸受421とによって支持される。ジャーナル412は、軸受422に挿入される。軸受422は、ジャーナル412と基部(第1部材)221との間に配置される。したがって、ジャーナル412は、基部(第1部材)221と軸受422とによって支持される。
本実施形態において、軸受421は、ニードル軸受とされ、複数のコロ431がジャーナル411の周囲に配置される。軸受422は、ニードル軸受とされ、複数のコロ432がジャーナル412の周囲に配置される。
【0054】
偏心部413は、軸受423に挿入される。軸受423は、偏心部413と歯車310との間に配置される。偏心部414は、軸受424に挿入される。軸受424は、偏心部414と歯車320との間に配置される。
本実施形態において、軸受423は、ニードル軸受とされ、複数のコロ433が偏心部(偏心体)413の周囲に配置される。軸受424は、ニードル軸受とされ、複数のコロ434が偏心部(偏心体)414の周囲に配置される。
【0055】
伝達歯車430に駆動力が入力されると、クランク軸410は、伝達軸F3周りに回転する。この結果、偏心部413,414は、伝達軸F3周りに偏心回転する。軸受423,424を介して偏心部413,414に接続された歯車310,320は、ケース(外筒部)210によって規定された円形空間内で揺動する。歯車310,320は、内歯ピン212に噛み合うので、ケース(外筒部)210とキャリア部220との間で相対的な回転運動が引き起こされる。
【0056】
センターギア500は、内筒510の外周に回転自在に支持される。センターギア500は、主軸F0と同心とされる。センターギア500は、伝達歯車430に噛み合う。センターギア500は、
図3に示すように、駆動ギア521に噛み合う。駆動ギア521は、駆動ギア522を介して、駆動源(例えば、モータ)に接続される。センターギア500は、駆動源(例えば、モータ)が発生させた駆動力を駆動ギア521,522により直接的または間接的に受ける。センターギア500は、回転駆動力(入力回転)を伝達歯車430に伝達する。
【0057】
減速部100においては、駆動源(例えば、モータ)から駆動ギア521,522を介してセンターギア500に伝達された回転駆動力(入力回転)を、外筒211から減速して出力する。減速部100は、その使用環境や使用条件に応じて駆動源から伝達歯車430までの駆動力の伝達経路を適宜設定することができる。したがって、本実施形態における減速部100は、駆動源から伝達歯車430までの減速駆動伝達経路であれば、上記の構成に限定されない。
【0058】
センターギア500には、
図1,
図2に示すように、制動アイドラギア501が噛み合う。制動アイドラギア501は、減速中心軸線(中心軸)F0に平行な回転軸線F1を有する。制動アイドラギア501は、センターギア500に対して、駆動回転を増速するように形状、配置位置、ギア比等が設定される。制動アイドラギア501は、キャリア部220に支持されることができる。
【0059】
制動アイドラギア501は、ブレーキギア502に噛み合う。ブレーキギア502は、減速中心軸線(中心軸)F0に平行な回転軸線F2を有する。ブレーキギア502は、制動アイドラギア501に対して、駆動回転を増速するように形状、配置位置、ギア比等が設定される。ブレーキギア502は、減速中心軸線(中心軸)F0に対して、制動アイドラギア501よりも径方向外側に位置することができる。
【0060】
ブレーキギア502には、無励磁ブレーキ31が接続される。無励磁ブレーキ31は、図示しないブレーキ電源に接続される。無励磁ブレーキ31は、具体的に、ブレーキギア502の回転軸502aに一体に接続されたブレーキディスクと、コイルによって通電時には縮んでいるトルクスプリングと、電断時には伸びたトルクスプリングによってブレーキディスクに押圧されるアーマチュアと、を備えることができる。あるいは、公知の無励磁ブレーキであれば、この構成に限定されない。
【0061】
制動アイドラギア501およびブレーキギア502は、取付フランジ219に支持されている。
無励磁ブレーキ31は、ブレーキギア502を介して制動アイドラギア501を制動する。無励磁ブレーキ31、ブレーキギア502は、ブレーキ部30を構成する。
無励磁ブレーキ31、ブレーキギア502は、センターギア500の径方向外側に位置している。これにより、減速部100とブレーキ部30とが周方向に互いにラップした配置となる。
【0062】
センターギア500、制動アイドラギア501、ブレーキギア502は、増速部20を構成する。増速部20では、減速部100でのセンターギア500から外筒211にいたる減速駆動伝達経路において、センターギア500の回転駆動(入力回転)を、増速してブレーキ部30に伝達する。
【0063】
本実施形態の減速機構1では、センターギア500と制動アイドラギア501とブレーキギア502とが、略同一の平面に位置し、互いに噛み合っている。これにより、ブレーキ部30は、減速中心軸線(中心軸)F0に沿った軸方向において、増速部20に対して互いにラップした配置とされる。つまり、ブレーキ部30が増速部20と減速中心軸線(中心軸)F0に沿った軸方向において重なっている。したがって、本実施形態の減速機構1では、ブレーキ部30が減速部100に対して、減速中心軸線(中心軸)F0に沿った軸方向におけるずれた位置に配置されることがなく、減速機構1を減速中心軸線(中心軸)F0に沿った方向において小型化することができる。
【0064】
また、ブレーキギア502は、駆動源(例えば、モータ)からセンターギア500に伝達された回転駆動力(入力回転)を無励磁ブレーキ31の制動力により制動する。この際、増速部20における無励磁ブレーキ31の制動は、センターギア500を直接制動する場合に比べて、ブレーキギア502および制動アイドラギア501によって増速つまりトルクが小さくなって伝達されるため、必要な制動力が小さくなる。したがって、無励磁ブレーキ31を小型化することができる。
このように、本実施形態の減速機構1では、入力側にブレーキ部30を設けることで小型化が可能となるため、作業性を向上することができる。
【0065】
以下、本発明に係る減速機構の第2実施形態を、図面に基づいて説明する。
図4は、本実施形態における減速機構を示す平面図であり、本実施形態において、上述した第1実施形態と異なるのは、ブレーキ部の減速部への接続位置に関する点であり、これ以外の上述した第1実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0066】
本実施形態において、ブレーキギア502は、
図4に示すように、1つの伝達歯車(スパーギア)430に噛み合う。ブレーキギア502は、減速中心軸線(中心軸)F0に平行な回転軸線F3を有する。ブレーキギア502は、伝達歯車(スパーギア)430に対して、駆動回転を増速するように形状、配置位置、ギア比等が設定される。
【0067】
ブレーキギア502は、減速中心軸線(中心軸)F0に対する径方向距離が、伝達歯車(スパーギア)430と同じかそれより小さい位置に配置されることができる。すなわち、ブレーキギア502は、減速中心軸線(中心軸)F0からブレーキギア502の回転軸線F2までの径方向距離が、減速中心軸線(中心軸)F0から伝達歯車(スパーギア)430の回転軸線F3までの径方向距離と等しいかそれより小さい位置に配置されることができる。
【0068】
ブレーキギア502には、第1実施形態と同様に、無励磁ブレーキ31が接続される。無励磁ブレーキ31は、図示しないブレーキ電源に接続される。無励磁ブレーキ31は、公知の無励磁ブレーキであれば、特定の構成に限定されない。
ブレーキギア502は、取付フランジ219に支持されている。無励磁ブレーキ31、ブレーキギア502は、ブレーキ部30を構成する。
無励磁ブレーキ31は、ブレーキギア502を介して伝達歯車(スパーギア)430を制動する。
【0069】
センターギア500、伝達歯車(スパーギア)430、ブレーキギア502は、増速部20を構成する。増速部20では、減速部100でのセンターギア500から外筒211にいたる減速駆動伝達経路において、センターギア500の回転駆動(入力回転)を、増速してブレーキ部30に伝達する。
【0070】
本実施形態の減速機構1では、センターギア500と伝達歯車(スパーギア)430とブレーキギア502とが、略同一の平面に位置し、互いに噛み合っている。これにより、ブレーキ部30は、減速中心軸線(中心軸)F0に沿った軸方向において、増速部20に対して互いにラップした配置とされる。つまり、ブレーキ部30が増速部20と減速中心軸線(中心軸)F0に沿った軸方向において重なっている。したがって、本実施形態の減速機構1では、ブレーキ部30が減速部100に対して、減速中心軸線(中心軸)F0に沿った軸方向におけるずれた位置に配置されることがなく、減速機構1を減速中心軸線(中心軸)F0に沿った方向において小型化することができる。
このように、本実施形態の減速機構1では、入力側にブレーキ部30を設けることで小型化が可能となるため、作業性を向上することができる。
【0071】
また、ブレーキギア502は、駆動源(例えば、モータ)から伝達歯車(スパーギア)430に伝達された回転駆動力(入力回転)を無励磁ブレーキ31の制動力により制動する。この際、増速部20における無励磁ブレーキ31の制動は、センターギア500を直接制動する場合に比べて、ブレーキギア502および伝達歯車(スパーギア)430によって増速つまりトルクが小さくなって伝達されるため、必要な制動力が小さくなる。したがって、無励磁ブレーキ31を小型化することができる。
また、本実施形態の減速機構1では、センターギア500、伝達歯車(スパーギア)430、ブレーキギア502は、増速部20を構成することで、部品点数を削減することができる。
【0072】
以下、本発明に係る減速機構の第3実施形態を、図面に基づいて説明する。
図5は、本実施形態における減速機構を示す軸方向に沿った方向に見た模式側面図であり、本実施形態において、上述した第1、第2実施形態と異なるのは、ブレーキ部の減速部への接続位置に関する点であり、これ以外の上述した第1実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0073】
本実施形態において、ブレーキギア502は、
図5に示すように、直接、センターギア500に噛み合う。ブレーキギア502は、減速中心軸線(中心軸)F0に平行な回転軸線F3を有する。ブレーキギア502は、センターギア500に対して、駆動回転を増速するように形状、配置位置、ギア比等が設定される。
【0074】
ブレーキギア502は、減速中心軸線(中心軸)F0に対する径方向距離が、伝達歯車(スパーギア)430と同じかそれより小さい位置に配置されることができる。すなわち、ブレーキギア502は、減速中心軸線(中心軸)F0からブレーキギア502の回転軸線F2までの径方向距離が、減速中心軸線(中心軸)F0から伝達歯車(スパーギア)430の回転軸線F3までの径方向距離と等しいかそれより小さい位置に配置されることができる。
【0075】
ブレーキギア502には、第1実施形態と同様に、無励磁ブレーキ31が接続される。無励磁ブレーキ31は、図示しないブレーキ電源に接続される。無励磁ブレーキ31は、公知の無励磁ブレーキであれば、特定の構成に限定されない。
ブレーキギア502は、取付フランジ219に支持されている。無励磁ブレーキ31、ブレーキギア502は、ブレーキ部30を構成する。
無励磁ブレーキ31は、ブレーキギア502を介してセンターギア500を制動する。
【0076】
センターギア500、ブレーキギア502は、増速部20を構成する。増速部20では、減速部100でのセンターギア500から外筒211にいたる減速駆動伝達経路において、センターギア500の回転駆動(入力回転)を、増速してブレーキ部30に伝達する。
【0077】
本実施形態の減速機構1では、センターギア500とブレーキギア502とが、略同一の平面に位置し、互いに噛み合っている。これにより、ブレーキ部30は、減速中心軸線(中心軸)F0に沿った軸方向において、増速部20に対して互いにラップした配置とされる。つまり、ブレーキ部30が増速部20と減速中心軸線(中心軸)F0に沿った軸方向において重なっている。したがって、本実施形態の減速機構1では、ブレーキ部30が減速部100に対して、減速中心軸線(中心軸)F0に沿った軸方向におけるずれた位置に配置されることがなく、減速機構1を減速中心軸線(中心軸)F0に沿った方向において小型化することができる。
このように、本実施形態の減速機構1では、入力側にブレーキ部30を設けることで小型化が可能となるため、作業性を向上することができる。
【0078】
また、ブレーキギア502は、駆動源(例えば、モータ)からセンターギア500に伝達された回転駆動力(入力回転)を無励磁ブレーキ31の制動力により制動する。これにより、ブレーキギア502によって増速つまりトルクが小さくなって伝達されるため、必要な制動力が小さくなる。したがって、無励磁ブレーキ31を小型化することができる。
また、本実施形態の減速機構1では、センターギア500、伝達歯車(スパーギア)430、ブレーキギア502は、増速部20を構成することで、部品点数を削減することができる。
【0079】
以下、本発明に係る減速機構の第4実施形態を、図面に基づいて説明する。
図6は、本実施形態における減速機構を示す軸方向に沿った模式断面図であり、
図7は、本実施形態における減速機構を示す軸方向に見た模式側面図である。本実施形態において、上述した第1~第3実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0080】
製造装置(減速機構)1000は、ターンテーブル1003に載せたワークに、切削や研削などの所定の処理・加工、溶接や部品組付け等の作業を行う際に用いられる装置である。ターンテーブル1003はテーブル軸F1003まわりに回転するとともに、テーブル軸F1003そのものが、水平軸線F1000まわりに回転する構成とされる。
【0081】
製造装置1000は、
図6,
図7に示すように、床面上に設置されるベースブロック(脚部)1011と、ベースブロック1011の水平軸線F1000方向の一端側の上面に固定設置された減速部(減速機)1100と、減速機1100に動力を出力する回転駆動源であるモータ(回転駆動源)1002と、ベースブロック1011の水平軸線F1000方向の他端側の上面に固定設置された保持装置1012と、減速機1100と保持装置1012とに水平軸線F1000方向の両端部を支持された回転ブロック(傾転部)1013と、を備えている。
【0082】
モータ1002は、減速機1100の入力側に一体に取り付けられている。モータ1002には、断電時に作動する非常ブレーキが備えられていてもよい。
減速機1100は、モータ1002の回転を減速し、その回転を回転ブロック1013の水平軸線F1000方向の一端側に伝達する。保持装置1012は、回転ブロック1013の水平軸線F1000方向の他端側を回転可能に支持する。回転ブロック1013は、減速機1100を介してモータ1002から動力が伝達されることにより、水平軸線F1000回りに回転する。
【0083】
回転ブロック1013は、水平軸線F1000回りに回転するターンテーブル1003を有する。ターンテーブル1003は、その表面にワーク支持面1003aを有する。ターンテーブル1003のワーク支持面1003aには、作業対象であるワークが取り付けられる。
回転ブロック1013は、モータ1002の回転により、水平軸線F1000まわりに向けて傾斜・回転移動する。これにより、ターンテーブル1003のワーク支持面1003aに取り付けられたワークは、モータ1002による回転ブロック1013の回転により、作業位置に向けて移動させられる。
【0084】
また、回転ブロック1013は、水平軸線F1000と直交するテーブル軸F1003まわりにターンテーブル1003を回転するテーブル駆動モータ1004を有する。
テーブル駆動モータ1004により、水平軸線F1000まわりに向けて傾斜したターンテーブル1003がテーブル軸F1003まわりに回転する。これにより、ターンテーブル1003のワーク支持面1003aに取り付けられたワークは、テーブル駆動モータ1004によるターンテーブル1003の回転により、作業位置において回転移動させられる。
作業位置には、例えば、溶接ロボット等の作業装置が設置されてもよい。なお、
図6、
図7において、ターンテーブル1003のワーク支持面1003aが下向きになるように示している。
【0085】
減速機1100は、その下端がベースブロック(脚部)1011の一端側の上面に固定設置される。減速機1100は、出力における減速中心軸線F0が製造装置1000の水平軸線F1000と合致するようにベースブロック1011に設置される。
減速機(減速部)1100は、偏心揺動減速機とされる。減速機(減速部)1100は、
図1~
図5に示す第1~第3実施形態における減速部100と同等の構成を有する。
なお、減速機(減速部)1100は、中実減速機であるが、
図1~
図5に示す第1~第3実施形態における減速部100と同等の構成である中空減速機でもよい。
【0086】
ここで、減速機(減速部)1100は、モータ1002に接続される入力軸1102を有する。入力軸1102は、水平軸線F1000に沿って配置される。減速機1100は、外筒211(
図1~
図4参照)に接続される出力部1211を有する。出力部1211は、外筒211(
図1~
図4参照)と同速で回転する。
出力部1211は、減速機(減速部)1100において、モータ1002からの駆動回転を減速して出力する。出力部1211は、回転ブロック(傾転部)1013と一体に組み立てられる。出力部1211は、回転ブロック(傾転部)1013と同速で回転する。
【0087】
出力部1211、回転ブロック(傾転部)1013は、一体とされて第1の出力軸を構成する。第1の出力軸は、ベースブロック1011の一端側が、減速部1100として支持され、また、第1の出力軸は、ベースブロック1011の他端側が、保持装置1012により支持されている。保持装置1012は、ベースブロック1011の上部に位置し、軸受1012aを備える。
【0088】
第1の出力軸は、他端に第1出力歯車1021が備えられる。第1出力歯車1021の回転軸線は、水平軸線F1000と一致する。第1出力歯車1021は、回転ブロック(傾転部)1013および出力部1211と一体に回転する。第1出力歯車1021には、第2出力歯車1022が噛み合う。
【0089】
第2出力歯車1022は、第1出力歯車1021の下方に位置する。第2出力歯車1022は、水平軸線F1000に平行な軸線F1002を回転軸線とする。第2出力歯車1022は、ベースブロック(脚部)1011に回転自在に支持される。第2出力歯車1022は、第2増速部(他の増速部)1200に接続される。
第2出力歯車1022は、第1出力歯車1021に対して、駆動回転を増速するように形状、配置位置、ギア比等が設定される。
【0090】
第2増速部1200は、ベースブロック(脚部)1011に支持される。
第2増速部1200は、偏心揺動減速機とされる。第2増速部1200は、
図1~
図5に示す第1~第3実施形態における減速部100と同等の構成を有する。
第2増速部1200は、ブレーキ部1030に接続される。
【0091】
第2増速部1200においては、第2出力歯車1022が減速機としての出力側である外筒211(
図1~
図4参照)に接続される。また、第2増速部1200においては、ブレーキ部1030のブレーキギア502が減速機としての入力側に接続される。
第2増速部1200においては、第2増速部1200からブレーキギア502に回転駆動力が出力される際には、増速して出力される。ブレーキギア502は、増速部1020として構成される。
【0092】
ブレーキ部1030は、
図1~
図5に示す第1~第3実施形態におけるブレーキ部30と同様に、無励磁ブレーキ31を備える。無励磁ブレーキ31は、図示しないブレーキ電源に接続される。無励磁ブレーキ31は、公知の無励磁ブレーキであれば、特定の構成に限定されない。
ブレーキ部1030は、ベースブロック(脚部)1011に支持される。
【0093】
第2増速部1200においては、第1出力歯車1021から第2増速部1200を介してブレーキ部1030に至る伝達経路において、少なくともその一部で、駆動回転が増速されてブレーキ部1030へと伝達される。つまり、第2増速部1200の少なくとも一部およびブレーキギア502は、第2出力歯車1022からブレーキ部1030に至る伝達経路における増速部1020として作用する。
【0094】
また、第1出力歯車1021から第2出力歯車1022において、駆動回転が増速される。したがって、第1出力歯車1021からブレーキ部1030に至る伝達経路において、第1出力歯車1021、第2出力歯車1022、第2増速部1200が増速部1020を構成する。
増速部1020では、減速部100から外筒211(
図1~
図4参照)にいたる減速駆動伝達経路において、外筒211(
図1~
図4参照)の回転駆動(入力回転)を増速してブレーキ部1030に伝達する。
【0095】
本実施形態の製造装置(減速機構)1000では、駆動源であるモータ1002から減速部1100を介して回転ブロック(傾転部)1013を水平軸線F1000まわりに回転される。この際、図示しない制御部からの信号によって、モータ1002における駆動回転を制御して、回転ブロック(傾転部)1013が水平軸線F1000まわりの角度を所定の傾転状態になるように設定する。これにより、ターンテーブル1003のワーク支持面1003aは、水平軸線F1000まわりにおける角度が、所定の傾転状態になる。
また、制御部からの制御により、モータ1002が制動されて、これにより、回転ブロック(傾転部)1013の傾転角度を変化させないように停止させることができる。
【0096】
このとき、駆動源であるモータ1002によって、減速部1100を介して駆動回転を減速して伝達し、回転ブロック(傾転部)1013を回転・傾斜させた場合には、回転ブロック(傾転部)1013および出力部1211と一体に第1出力歯車1021が回転する。また、第1出力歯車1021の回転は、第2出力歯車1022に増速して伝達される。
さらに、第1出力歯車1021の回転は、第2出力歯車1022、第2増速部1200を介してブレーキ部1030に増速して伝達される。
【0097】
駆動源であるモータ1002が給電されており、モータ1002による回転ブロック(傾転部)1013への制動あるいは駆動がおこなわれている間は、ブレーキ部1030にも給電されている。
ここで、ブレーキ部1030は無励磁ブレーキ動作タイプである。つまり、モータ1002への給電と連動してブレーキ部1030に給電されて動作が切り替わるか、モータ1002への給電をセンシングしてその状態に対応して動作が切り替わる構成とされる。このため、モータ1002への給電中は動作しない。したがって、ブレーキ部1030は、ブレーキ部1030から第2増速部1200に対するブレーキ力を発揮しない。
したがって、回転ブロック(傾転部)1013の傾転状態をモータ1002によって設定することができる。
【0098】
次に、モータ1002による回転ブロック(傾転部)1013への制動が予期せずに停止した状態を考える。この場合、電断時など電力供給の停止、あるいは、減速部1100における駆動回転伝達の不具合などが考えられる。
まず、モータ1002が断電状態となり、さらに、モータ1002が備える非常ブレーキ系統が機能しなかった場合を考える。
すると、回転ブロック(傾転部)1013においてモータ1002側からの制動が外れる。ここで、ワークが重量物であった場合などに、そのままでは、回転ブロック(傾転部)1013が、自重によって水平軸線F1000まわりに勝手に回転してしまう可能性がある。
【0099】
ここで、モータ1002が通電状態から断電状態と変化した瞬間に、モータ1002による回転ブロック(傾転部)1013への制動あるいは駆動がおこなわれている状態からこの制動・駆動が消失した状態へと変化する。その瞬間に、無励磁ブレーキであるブレーキ部1030は、ブレーキ部1030から第2増速部1200に対するブレーキ力を発揮しない状態から制動をおこなう状態へと切り替わる。
すると、ブレーキ部1030は、ブレーキ部1030から第2増速部1200に対するブレーキ力を発揮して制動をおこなう状態へと切り替わる。これにより、第2出力歯車1022が制動され、第1出力歯車1021が制動される。
これにより、モータ1002が電断状態になっても、ブレーキ部1030のブレーキ力で、回転ブロック(傾転部)1013の傾転角度を変化させないように停止させることができる。
【0100】
また、駆動源であるモータ1002が給電されているが、減速部1100による回転ブロック(傾転部)1013への制動あるいは駆動がおこなわれない場合を考える。
この場合、回転ブロック(傾転部)1013において減速部1100側からの制動が外れる。ここで、ワークが重量物であった場合などに、そのままでは、回転ブロック(傾転部)1013が、自重によって水平軸線F1000まわりに勝手に回転してしまう可能性がある。
【0101】
ここで、モータ1002は通電状態を続ける。
このため、制動状態が変化した瞬間に、減速部1100による回転ブロック(傾転部)1013への制動あるいは駆動がおこなわれている状態からこの制動・駆動が消失した状態へと変化しても、無励磁ブレーキであるブレーキ部1030は、そのままでは、励磁状態へと切り替わらない。
【0102】
したがって、本実施形態の製造装置(減速機構)1000では、減速部1100による回転ブロック(傾転部)1013への制動あるいは駆動が正常に維持されていることを検出する検出手段を有する。検出手段としては、例えば、出力部1211の回転角度を検出する角度センサとモータ1002の駆動状態を検出するセンサとの組み合わせや、回転ブロック(傾転部)1013の傾転角度を検出する角度センサとモータ1002の駆動状態を検出するセンサとの組み合わせや、回転ブロック(傾転部)1013の傾転角度を検出する撮像センサの出力とモータ1002への給電状態とを監視する制御部などが例示される。
【0103】
このように検出手段および制御部により、モータ1002の通電と、回転ブロック(傾転部)1013の傾転角度保持と、のうち、少なくともいずれかが維持されていないと判断した場合に、ブレーキ部1030への給電を停止する。つまり、ブレーキ部1030を無励磁状態に切り替えて動作させる。
すると、その瞬間に、無励磁ブレーキであるブレーキ部1030は、ブレーキ部1030から第2増速部1200に対するブレーキ力を発揮しない状態から制動をおこなう状態へと切り替わる。
これにより、ブレーキ部1030のブレーキ力で、回転ブロック(傾転部)1013の傾転角度を変化させないように停止させることができる。
【0104】
本実施形態の製造装置(減速機構)1000では、第2増速部1200において、伝達歯車(スパーギア)430とブレーキギア502とが、略同一の平面に位置し、互いに噛み合っている。これにより、ブレーキ部1030は、水平軸線F1000に沿った軸方向において、増速部1020に対して互いにラップした配置とされる。つまり、ブレーキ部1030が増速部1020と水平軸線F1000に沿った軸方向位置において重なって、ベースブロック1011に支持される配置である。したがって、本実施形態の減速機構1000では、ブレーキ部1030が第2増速部1200に対して、水平軸線F1000に沿った軸方向におけるずれた位置に配置されることがなく、減速機構1000を減速中心軸線(中心軸)F1002に沿った方向において小型化することができる。
本実施形態の減速機構1000では、ベースブロック1011に第2増速部1200およびブレーキ部1030を設けることで小型化が可能となるため、作業性を向上することができる。
【0105】
本実施形態の製造装置(減速機構)1000では、減速部1100において、モータ1002からの回転駆動力、あるいは、回転ブロック(傾転部)1013の自重等による傾転力(回転)は、第1出力歯車1021、第2出力歯車1022に増速して伝達される。さらに、この傾転力(回転)は、第2増速部1200、増速部1020により、増速してブレーキ部1030に伝達される。したがって、この傾転力(回転)を制動する際には、ブレーキギア502によって増速つまりトルクが小さくなって伝達されるため、必要な制動力が小さくなる。したがって、無励磁ブレーキ31を小型化することができる。
また、本実施形態の減速機構1000では、減速部1100において、部品点数を削減することができる。
【0106】
本実施形態においては、第2増速部1200を、減速部100と同等の構成としたが、これに限定されるものではない。駆動回転の増速が可能であれば、他の構成とすることも可能である。
また、ブレーキ部1030の配置は、上記に限定されることはなく、減速機(減速部)1100に対して水平軸線(減速中心軸線)F1000の周方向であればいずれの位置にすることも可能である。
【0107】
本発明においては、上記の各実施形態における個々の構成を選択してそれぞれ組み合わせることも可能である。たとえば、外筒211(
図1~
図4参照)をブレーキ部30によって制動することもできる。この構成により上述の実施形態と同等の効果を奏することができる。
【0108】
以下、本発明に係るブレーキ機構、減速機構の第5実施形態を、図面に基づいて説明する。
図8は、本実施形態におけるブレーキ機構、減速機構を示す軸方向に沿った模式図である。図において、符号2000はブレーキ機構であり、符号1000は、減速機構である。本実施形態において、上述した第1~第4実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略することがある。
【0109】
本実施形態における減速機構1000は、ターンテーブルなどを有し水平軸線F1000まわりに回転する傾転部1013と、傾転部1013を水平軸線F1000まわりにおける回転角度が所定の位置となる姿勢を保持可能なブレーキ機構2000と、制御部4000と、を有する構成とされる。
【0110】
減速機構1000は、
図8に示すように、水平軸線F1000方向の一端側に設置された減速部(減速機)1100と、減速機1100に動力を出力する回転駆動源であるモータ(回転駆動源)1002と、水平軸線F1000方向の他端側に設置された保持装置1012と、減速機1100と保持装置1012とに水平軸線F1000方向の両端部を支持された回転ブロック(傾転部)1013と、を備えている。
【0111】
モータ1002は、制御部4000に接続される。モータ1002は、制御部4000から供給された供給電力により駆動する。
モータ1002は、減速機1100の入力側に一体に取り付けられている。減速機1100は、モータ1002の回転を減速し、その回転を回転ブロック(傾転部)1013の水平軸線F1000方向の一端側に伝達する。保持装置1012は、回転ブロック(傾転部)1013の水平軸線F1000方向の他端側を回転可能に支持する。
【0112】
回転ブロック(傾転部)1013は、減速機1100を介してモータ1002から動力が伝達されることにより、水平軸線F1000回りに回転して水平軸線F1000回りの傾斜角度(傾き)が変えられる。回転ブロック(傾転部)1013は、モータ1002の駆動により水平軸線F1000回りの傾斜角度(傾き)を維持する。
本実施形態における回転ブロック(傾転部)1013は、例えば、数t程度の重量を有する重量物とされてもよい。
【0113】
モータ1002は、
図8に示すように、ベースブロックなどの固定部分に固定設置されてもよい。減速機1100は、モータ1002と同様に、ベースブロックなどの固定部分に固定設置されてもよい。減速機1100は、出力における減速中心軸線F0が製造装置(減速機構)1000の水平軸線F1000と合致するように設置される。
【0114】
減速機(減速部)1100は、偏心揺動減速機とされる。減速機(減速部)1100は、
図1~
図5に示す第1~第3実施形態における減速部100と同等の構成を有することができる。なお、減速機(減速部)1100は、遊星歯車機構を有する減速機など、他の構成を有するものとされてもよい。本実施形態においては、減速機(減速部)1100としては、減速比の大きなもの、つまり、トルク比が大きなものを想定している。
【0115】
ここで、減速機(減速部)1100は、モータ1002に接続される入力軸1102を有する。入力軸1102は、水平軸線F1000に沿って配置される。
減速機1100は、水平軸線(減速中心軸線)F1000を回転中心として回転する外筒を備える。減速機1100は、例えば外筒211に接続される出力部1211を有する。出力部1211は、外筒211と同速で回転する。
【0116】
出力部1211は、減速機(減速部)1100において、モータ1002からの駆動回転を減速して出力する。出力部1211は、回転ブロック(傾転部)1013と一体に組み立てられる。出力部1211は、回転ブロック(傾転部)1013と同速で回転する。
減速機(減速部)1100とモータ1002と回転ブロック(傾転部)1013とは、水平軸線F1000を回転中心とする。水平軸線F1000は、減速機(減速部)1100の減速中心軸線となっている。
【0117】
出力部1211、回転ブロック(傾転部)1013は、一体とされて第1の出力軸を構成する。第1の出力軸は、ベースブロック(脚部)1011の一端側が、減速部1100として支持され、また、第1の出力軸は、ベースブロック(脚部)1011の他端側が、保持装置1012により支持されている。保持装置1012には軸受1012aを備える。
【0118】
減速機(減速部)1100は、回転伝達部3000を介してブレーキ機構2000に接続される。ブレーキ機構2000は、回転伝達部3000を介して減速機(減速部)1100にブレーキ力を作用して、減速機(減速部)1100を制動する。
【0119】
ブレーキ機構2000は、回転伝達部3000を介して入力した回転速度を増速させる第2増速部(他の増速部)1200と、第2増速部(他の増速部)1200を制動するブレーキ力を付与するブレーキ部1030と、を備える。
第2増速部(他の増速部)1200と減速機(減速部)1100とが、減速機(減速部)1100の回転中心となる水平軸線(減速中心軸線)F1000に沿った軸方向において、互いにラップした配置である。
【0120】
ブレーキ機構2000は、
図8に示すように、水平軸線(減速中心軸線)F1000と平行なブレーキ軸F2000を備える。ブレーキ機構2000のブレーキ軸F2000と、水平軸線(減速中心軸線)F1000とが互いに平行に配置される。
【0121】
回転伝達部3000が、
図8に示すように、減速機(減速部)1100に接続された第1ブレーキ出力歯車3011と、第1ブレーキ出力歯車3011に噛み合う第2ブレーキ出力歯車3012とを有することができる。第2ブレーキ出力歯車3012は、ブレーキ機構2000の第2増速部(他の増速部)1200に接続される。第2ブレーキ出力歯車3012は、水平軸線(減速中心軸線)F1000と平行な回転軸線を備える。第2ブレーキ出力歯車3012の回転軸線はブレーキ軸F2000と一致していることができる。
【0122】
ブレーキ機構2000は、減速機(減速部)1100に対して鉛直方向下側に配置されることができる。なお、ブレーキ機構2000の配置は、これに限定されることはなく、減速機(減速部)1100に対して水平軸線(減速中心軸線)F1000の周方向であればいずれの位置にすることも可能である。
【0123】
第1ブレーキ出力歯車3011は、減速機(減速部)1100の外筒211に同軸として接続することができる。
ブレーキ機構2000は、回転伝達部3000および外筒211を介して減速機(減速部)1100にブレーキ力を作用して、減速機(減速部)1100を制動する。
これにより、出力部1211の構成に影響を及ぼすことなく、ブレーキ機構2000を減速機(減速部)1100に接続して、減速機(減速部)1100に対してブレーキ機構2000のブレーキ力を作用させることが可能となる。
【0124】
回転伝達部3000は、減速機(減速部)1100とブレーキ機構2000との間で、回転伝達が可能、つまり、トルクの伝達が可能であれば、回転を増速するか否かは限定されずに、形状、配置位置、ギア比等を適宜設定することができる。なお、回転伝達部3000は、減速機(減速部)1100とブレーキ機構2000との間で、駆動回転を増速するように形状、配置位置、ギア比等が設定されることが好ましい。
【0125】
第2増速部(他の増速部)1200は、ベースブロックなどの固定部分に支持される。
第2増速部(他の増速部)1200は、偏心揺動減速機とされる。なお、第2増速部(他の増速部)1200は、遊星歯車機構を有する減速機など、他の構成を有するものとされてもよい。本実施形態においては、第2増速部(他の増速部)1200としては、増速比(減速比)の大きなもの、つまり、トルク比が大きなものを想定している。第2増速部1200は、
図1~
図5に示す第1~第3実施形態における減速部100と同等の構成を有することができる。
第2増速部(他の増速部)1200は、ブレーキ部1030に接続される。
【0126】
第2増速部(他の増速部)1200においては、回転伝達部3000の第2ブレーキ出力歯車3012が減速機としての出力側である外筒211に接続される。また、第2増速部1200においては、ブレーキ部1030のブレーキギア502が減速機としての入力側に接続される。
第2増速部(他の増速部)1200においては、第2増速部(他の増速部)1200からブレーキギア502に回転駆動力が出力される際には、増速して出力される。ブレーキギア502は、増速部1020として構成される。
【0127】
ブレーキ部1030は、
図1~
図5に示す第1~第3実施形態におけるブレーキ部30と同様に、無励磁ブレーキ31を備える。ブレーキ部1030の無励磁ブレーキ31は、ブレーキ電源となる制御部4000に接続される。無励磁ブレーキ31は、公知の無励磁ブレーキであれば、特定の構成に限定されない。
ブレーキ部1030は、第2増速部(他の増速部)1200と同様にベースブロックなどの固定部分に支持される。
【0128】
無励磁ブレーキ31は、制御部4000からモータ1002への給電が停止した際に、同時に無励磁ブレーキ31への給電を停止するように構成される。あるいは、無励磁ブレーキ31は、制御部4000からモータ1002への給電が停止したことを検知するセンサを設けて、このセンサの出力により無励磁ブレーキ31への給電を停止するように構成されてもよい。
または、ブレーキ部1030として、励磁ブレーキと、この励磁ブレーキに給電する非常用ブレーキ電源としての制御部4000等を備えることもできる。この場合、制御部4000からモータ1002への給電が停止した際に、励磁ブレーキが非常用ブレーキ電源から給電されてブレーキ動作するように構成されてもよい。
【0129】
第2増速部(他の増速部)1200においては、回転伝達部3000の第1ブレーキ出力歯車3011、第2ブレーキ出力歯車3012および第2増速部(他の増速部)1200を介してブレーキ部1030に至る伝達経路において、駆動回転が増速されてブレーキ部1030へと伝達される。つまり、回転伝達部3000および第2増速部1200は、減速機(減速部)1100の外筒211からブレーキ部1030に至る伝達経路における増速部1020として作用する。
【0130】
また、回転伝達部3000および第2増速部1200において、駆動回転が増速される。したがって、減速機(減速部)1100の外筒211からブレーキ部1030に至る伝達経路において、回転伝達部3000および第2増速部1200が増速部1020を構成する。
増速部1020では、減速機構1000での減速駆動伝達経路において、減速機(減速部)1100の外筒211の回転駆動(入力回転)を増速してブレーキ部1030に伝達する。
【0131】
本実施形態の製造装置(減速機構)1000では、制御部4000から電力供給されて駆動源であるモータ1002が駆動される。このモータ1002の駆動によって減速部1100を介して回転ブロック(傾転部)1013を水平軸線F1000まわりに回転し、水平軸線F1000まわりにおける回転ブロック(傾転部)1013の傾斜角度を所定の状態に維持する。
この際、制御部4000からの信号によって、モータ1002における駆動回転を制御して、回転ブロック(傾転部)1013が水平軸線F1000まわりの角度を所定の傾転状態になるように設定する。
また、制御部4000からの制御により、モータ1002が制動されて、これにより、回転ブロック(傾転部)1013の傾転角度を維持し、回転ブロック(傾転部)1013の傾転角度を変化させないように停止させることができる。
【0132】
このとき、駆動源であるモータ1002によって、減速部1100を介して駆動回転を減速して伝達し、回転ブロック(傾転部)1013を回転・傾斜させた場合には、回転ブロック(傾転部)1013および出力部1211と一体に減速機(減速部)1100の外筒211が回転する。
このとき、減速機(減速部)1100の外筒211の回転は、回転伝達部3000の第1ブレーキ出力歯車3011を介して第2ブレーキ出力歯車3012に伝達される。第2ブレーキ出力歯車3012の回転は、ブレーキ機構2000の第2増速部(他の増速部)1200に伝達される。つまり、減速機(減速部)1100の外筒211の回転は、回転伝達部3000、ブレーキ機構2000の第2増速部(他の増速部)1200を介してブレーキ機構2000のブレーキ部1030に増速して伝達される。
【0133】
駆動源であるモータ1002が制御部4000から給電されており、モータ1002による回転ブロック(傾転部)1013への制動あるいは駆動がおこなわれている間は、ブレーキ部1030にも給電されている。
ここで、ブレーキ部1030は無励磁ブレーキ動作タイプである。つまり、ブレーキ部1030は制御部4000からモータ1002への給電と連動してブレーキ部1030に給電されて動作が切り替わる。あるいは、ブレーキ部1030は制御部4000からモータ1002への給電をセンシングしてその状態に対応して動作が切り替わる構成とされる。
【0134】
このため、制御部4000からモータ1002への給電中は、ブレーキ部1030が動作しない。したがって、ブレーキ部1030は、ブレーキ部1030から第2増速部(他の増速部)1200に対するブレーキ力を発揮しない。
したがって、回転ブロック(傾転部)1013の傾転状態をモータ1002によって設定することができる。
【0135】
次に、モータ1002による回転ブロック(傾転部)1013への制動が予期せずに停止した状態を考える。この場合、電断時など制御部4000による電力供給の停止、あるいは、減速部1100における駆動回転伝達の不具合などが考えられる。
【0136】
まず、制御部4000からの電力供給が停止し、モータ1002が断電状態となった場合を考える。
すると、回転ブロック(傾転部)1013においてモータ1002側からの制動が外れる。ここで、回転ブロック(傾転部)1013またはその支持ワークが重量物であった場合などに、そのままでは、回転ブロック(傾転部)1013が、自重によって水平軸線F1000まわりに勝手に回転してしまう可能性がある。
【0137】
ここで、モータ1002が通電状態から断電状態と変化した瞬間に、モータ1002による回転ブロック(傾転部)1013への制動あるいは駆動がおこなわれている状態からこの制動・駆動が消失した状態へと変化する。その瞬間に、無励磁ブレーキであるブレーキ部1030は、ブレーキ部1030から第2増速部(他の増速部)1200に対するブレーキ力を発揮しない状態から制動をおこなう状態へと切り替わる。
すると、ブレーキ部1030は、ブレーキ部1030から第2増速部(他の増速部)1200に対するブレーキ力を発揮して制動をおこなう状態へと切り替わる。
【0138】
これにより、回転伝達部3000の第2ブレーキ出力歯車3012が制動され、第2ブレーキ出力歯車3012に噛み合う第1ブレーキ出力歯車3011が制動される。
これにより、モータ1002が電断状態になっても、ブレーキ部1030のブレーキ力で、回転ブロック(傾転部)1013の傾転角度を変化させないように停止させることができる。
【0139】
また、駆動源であるモータ1002が制御部4000から給電されているが、減速部1100による回転ブロック(傾転部)1013への制動あるいは駆動がおこなわれない場合を考える。
この場合、回転ブロック(傾転部)1013において減速部1100側からの制動が外れる。ここで、ワークが重量物であった場合などに、そのままでは、回転ブロック(傾転部)1013が、自重によって水平軸線F1000まわりに勝手に回転してしまう可能性がある。
【0140】
ここで、モータ1002は通電状態を続ける。
このため、制動状態が変化した瞬間に、減速部1100による回転ブロック(傾転部)1013への制動あるいは駆動がおこなわれている状態からこの制動・駆動が消失した状態へと変化しても、無励磁ブレーキであるブレーキ部1030は、そのままでは、励磁状態へと切り替わらない。
【0141】
したがって、本実施形態の製造装置(減速機構)1000では、減速部1100による回転ブロック(傾転部)1013への制動あるいは駆動が正常に維持されていることを検出する検出手段を有する。
【0142】
検出手段としては、例えば、出力部1211の回転角度を検出する角度センサ4001とモータ1002の駆動状態を検出するセンサとの組み合わせが例示される。この場合、モータ1002の駆動状態を検出するセンサは、制御部4000に含有されることができる。
あるいは、検出手段としては、回転ブロック(傾転部)1013の傾転角度を検出する角度センサとモータ1002の駆動状態を検出するセンサとの組み合わせが例示される。あるいは、検出手段としては、回転ブロック(傾転部)1013の傾転角度を検出する撮像センサの出力とモータ1002への給電状態とを監視する制御部4000が例示される。
【0143】
さらに、検出手段としては、回転伝達部3000の第2ブレーキ出力歯車3012の回転角度を検出する角度センサとモータ1002の駆動状態を検出するセンサとの組み合わせが例示される。あるいは、検出手段としては、回転伝達部3000の第1ブレーキ出力歯車3011の回転角度を検出する角度センサとモータ1002の駆動状態を検出するセンサとの組み合わせが例示される。あるいは、検出手段としては、第2増速部(他の増速部)1200の回転状態を検出するセンサとモータ1002の駆動状態を検出するセンサとの組み合わせなどが例示される。
【0144】
このように検出手段4001等および制御部4000により、モータ1002の通電と、回転ブロック(傾転部)1013の傾転角度保持と、のうち、少なくともいずれかが維持されていないと判断した場合に、制御部4000によってブレーキ部1030への給電を停止する。つまり、ブレーキ部1030を無励磁状態に切り替えて動作させる。
【0145】
すると、その瞬間に、無励磁ブレーキであるブレーキ部1030は、ブレーキ部1030から第2増速部(他の増速部)1200に対するブレーキ力を発揮しない状態から制動をおこなう状態へと切り替わる。
これにより、ブレーキ部1030のブレーキ力で、回転ブロック(傾転部)1013の傾転角度を変化させないように停止させることができる。
【0146】
本実施形態の製造装置(減速機構)1000では、減速機(減速部)1100の外筒211の外周に設けた第1ブレーキ出力歯車3011と第2ブレーキ出力歯車3012とが、略同一の平面に位置し、互いに噛み合っている。これにより、ブレーキ部1030は、水平軸線F1000に沿った軸方向において、減速機(減速部)1100に対して互いにラップした配置とされる。
【0147】
つまり、ブレーキ部1030が減速機(減速部)1100と水平軸線F1000に沿った軸方向位置において重なった配置である。したがって、本実施形態の減速機構1000では、ブレーキ部1030が減速機(減速部)1100に対して、水平軸線F1000に沿った軸方向におけるずれた位置に配置されることがなく、減速機構1000を減速中心軸線(中心軸)F1002に沿った方向において小型化することができる。
【0148】
本実施形態のブレーキ機構2000がブレーキ部1030に加えて第2増速部(他の増速部)1200からなるため、ブレーキ機構2000が充分な制動トルクを有することができる。このため、ブレーキ機構2000そのものを小型化することが可能となる。
【0149】
本実施形態の減速機構1000では、ブレーキ機構2000および回転伝達部3000を増設することで、既存のポジショナ等である減速機構1000に非常停止機能を備えることができる。さらに、非常停止機能を備えつつ小型化が可能となるため、作業性を向上することができる。
【0150】
本実施形態の減速機構1000では、ブレーキ部1030および第2増速部(他の増速部)1200からなるブレーキ機構2000と回転伝達部3000のみを設けることで、非常停止機能を備えつつ小型化が可能となるため、増設における部品点数を削減することができる。
【0151】
本実施形態の製造装置(減速機構)1000では、減速部1100において、モータ1002からの回転駆動力、あるいは、回転ブロック(傾転部)1013の自重等による傾転力(回転)は、回転伝達部3000の第1ブレーキ出力歯車3011、第2ブレーキ出力歯車3012に増速して伝達される。さらに、この傾転力(回転)は、第2増速部(他の増速部)1200、回転伝達部3000により、増速してブレーキ部1030に伝達される。
【0152】
したがって、この傾転力(回転)を制動する際には、ブレーキギア502によって増速つまりトルクが小さくなって伝達されるため、必要な制動力が小さくなる。したがって、無励磁ブレーキ31を小型化することができる。
また、本実施形態の減速機構1000では、減速部1100において、部品点数を削減することができる。
【0153】
本実施形態においては、第2増速部(他の増速部)1200を、減速部100と同等の構成としたが、これに限定されるものではない。駆動回転の増速が可能であれば、他の構成とすることも可能である。
【0154】
本発明においては、上記の各実施形態における個々の構成を選択してそれぞれ組み合わせることも可能である。
【0155】
以下、本発明に係るブレーキ機構、減速機構の第6実施形態を、図面に基づいて説明する。
図9は、本実施形態におけるブレーキ機構、減速機構を示す軸方向に沿った模式図である。本実施形態において、上述した第1~第5実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略することがある。本実施形態において、上述した第5実施形態と異なるのは、回転伝達部、および、ブレーキ機構の配置に関する点であり、これ以外の上述した第5実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0156】
本実施形態のブレーキ機構2000は、
図9に示すように、水平軸線(減速中心軸線)F1000と交差するブレーキ軸F2000を備える。ブレーキ機構2000のブレーキ軸F2000と、水平軸線(減速中心軸線)F1000とは、例えば互いに直交して配置される。
【0157】
本実施形態の回転伝達部3000は、
図9に示すように、減速機(減速部)1100に接続された第1ブレーキ出力傘歯車3013と、第1ブレーキ出力傘歯車3013に噛み合う第2ブレーキ出力傘歯車3014とを有することができる。第2ブレーキ出力傘歯車3014は、ブレーキ機構2000の第2増速部(他の増速部)1200に接続される。第2ブレーキ出力傘歯車3014は、水平軸線(減速中心軸線)F1000と直交する回転軸線を備える。第2ブレーキ出力傘歯車3014の回転軸線はブレーキ軸F2000と一致していることができる。
【0158】
ブレーキ機構2000は、減速機(減速部)1100に対して鉛直方向下側に配置されることができる。なお、ブレーキ機構2000の配置は、これに限定されることはなく、減速機(減速部)1100に対して水平軸線(減速中心軸線)F1000の周方向であればいずれの位置にすることも可能である。
【0159】
第1ブレーキ出力傘歯車3013は、減速機(減速部)1100の外筒211に同軸として接続することができる。
ブレーキ機構2000は、回転伝達部3000および外筒211を介して減速機(減速部)1100にブレーキ力を作用して、減速機(減速部)1100を制動する。
【0160】
これにより、出力部1211の構成に影響を及ぼすことなく、ブレーキ機構2000を減速機(減速部)1100に接続して、減速機(減速部)1100に対してブレーキ機構2000のブレーキ力を作用させることが可能となる。
【0161】
回転伝達部3000は、減速機(減速部)1100とブレーキ機構2000との間で、回転伝達が可能、つまり、トルクの伝達が可能であれば、回転を増速するか否かは限定されず、形状、配置位置、ギア比等を適宜設定することができる。なお、回転伝達部3000は、減速機(減速部)1100とブレーキ機構2000との間で、駆動回転を増速するように形状、配置位置、ギア比等が設定されることが好ましい。
【0162】
また、本実施形態の製造装置(減速機構)1000では、減速部1100による回転ブロック(傾転部)1013への制動あるいは駆動が正常に維持されていることを検出する検出手段として、例えば、第2ブレーキ出力傘歯車3014の回転角度を検出する角度センサ4002とモータ1002の駆動状態を検出するセンサとの組み合わせが例示される。この場合、モータ1002の駆動状態を検出するセンサは、制御部4000に含有されることができる。
【0163】
このように検出手段4002等および制御部4000により、モータ1002の通電と、回転ブロック(傾転部)1013の傾転角度保持と、のうち、少なくともいずれかが維持されていないと判断した場合に、制御部4000によってブレーキ部1030への給電を停止する。つまり、ブレーキ部1030を無励磁状態に切り替えて動作させる。
【0164】
本実施形態の製造装置(減速機構)1000では、減速機(減速部)1100の外筒211の外周に設けた第1ブレーキ出力傘歯車3013と、第2ブレーキ出力傘歯車3014と、が互いに噛み合っている。これにより、ブレーキ部1030は、水平軸線F1000に沿った軸方向において、減速機(減速部)1100に対して互いにラップした配置とされる。
これにより、ブレーキ部1030のブレーキ力で、回転ブロック(傾転部)1013の傾転角度を変化させないように停止させることができる。
【0165】
なお、ブレーキ機構2000は、第1ブレーキ出力傘歯車3013と第2ブレーキ出力傘歯車3014とが、互いに噛み合っている位置であれば、その配置は限定されない。
【0166】
本実施形態においては、上述した第5実施形態と同等の効果を奏することができる。さらに、ブレーキ機構2000のブレーキ軸F2000と、水平軸線(減速中心軸線)F1000とが、互いに交差していることにより、ブレーキ機構2000の配置自由度を向上することができる。
【0167】
以下、本発明に係るブレーキ機構、減速機構の第7実施形態を、図面に基づいて説明する。
図10は、本実施形態におけるブレーキ機構、減速機構を示す軸方向に沿った模式図である。本実施形態において、上述した第5,第6実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略することがある。本実施形態において、上述した第5,第6実施形態と異なるのは、回転伝達部、および、ブレーキ機構の配置に関する点であり、これ以外の上述した第5,第6実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0168】
本実施形態の回転伝達部3000は、
図10に示すように、減速機(減速部)1100に接続された第1ブレーキ出力プーリ3021と、第1ブレーキ出力プーリ3021に巻回された巻回ベルト3023を介して接続された第2ブレーキ出力プーリ3022とを有することができる。第2ブレーキ出力プーリ3022は、ブレーキ機構2000の第2増速部(他の増速部)1200に接続される。第2ブレーキ出力プーリ3022は、水平軸線(減速中心軸線)F1000と平行な回転軸線を備える。第2ブレーキ出力プーリ3022の回転軸線はブレーキ軸F2000と一致していることができる。
【0169】
なお、回転伝達部3000としては、第1ブレーキ出力プーリ3021と第2ブレーキ出力プーリ3022と巻回ベルト3023とに変えて、第1ブレーキ出力スプロケット3021と第2ブレーキ出力スプロケット3022と巻回チェーン3023とを有する構成とすることもできる。
【0170】
ブレーキ機構2000は、
図10に示すように、減速機(減速部)1100に対して鉛直方向下側に配置されることができる。なお、ブレーキ機構2000の配置は、これに限定されることはなく、減速機(減速部)1100に対して水平軸線(減速中心軸線)F1000の周方向であればいずれの位置にすることも可能である。
【0171】
第1ブレーキ出力プーリ3021は、減速機(減速部)1100の外筒211に同軸として接続することができる。
【0172】
ブレーキ機構2000は、回転伝達部3000および外筒211を介して減速機(減速部)1100にブレーキ力を作用して、減速機(減速部)1100を制動する。
これにより、出力部1211の構成に影響を及ぼすことなく、ブレーキ機構2000を減速機(減速部)1100に接続して、減速機(減速部)1100に対してブレーキ機構2000のブレーキ力を作用させることが可能となる。
【0173】
回転伝達部3000は、減速機(減速部)1100とブレーキ機構2000との間で、回転伝達が可能、つまり、トルクの伝達が可能であれば、回転を増速するか否かは限定されず、形状、配置位置、ギア比等を適宜設定することができる。なお、回転伝達部3000は、減速機(減速部)1100とブレーキ機構2000との間で、駆動回転を増速するように形状、配置位置、ギア比等が設定されることが好ましい。
【0174】
また、本実施形態の製造装置(減速機構)1000では、減速部1100による回転ブロック(傾転部)1013への制動あるいは駆動が正常に維持されていることを検出する検出手段として、例えば、第2ブレーキ出力プーリ3022または第2ブレーキ出力スプロケット3022の回転角度を検出するセンサ4003とモータ1002の駆動状態を検出するセンサとの組み合わせが例示される。この場合、モータ1002の駆動状態を検出するセンサは、制御部4000に含有されることができる。
あるいは、センサ4003が、巻回ベルト3023または巻回チェーン3023の巻回位置を検出する構成とすることもできる。
【0175】
このように検出手段(センサ)4003等および制御部4000により、モータ1002の通電と、回転ブロック(傾転部)1013の傾転角度保持と、のうち、少なくともいずれかが維持されていないと判断した場合に、制御部4000によってブレーキ部1030への給電を停止する。つまり、ブレーキ部1030を無励磁状態に切り替えて動作させる。
【0176】
本実施形態の製造装置(減速機構)1000では、減速機(減速部)1100の外筒211の外周に設けた第1ブレーキ出力プーリ3021と、第2ブレーキ出力プーリ3022とは、互いに巻回ベルト2023を介してその回転が同期されている。これにより、ブレーキ部1030は、水平軸線F1000に沿った軸方向において、減速機(減速部)1100に対して互いにラップした配置とされる。
これにより、ブレーキ部1030のブレーキ力で、回転ブロック(傾転部)1013の傾転角度を変化させないように停止させることができる。
【0177】
なお、ブレーキ機構2000は、第1ブレーキ出力プーリ3021と第2ブレーキ出力プーリ3022とが、互いに巻回ベルト2023で同期される位置であれば、互いの離間距離等の配置は限定されない。
【0178】
本実施形態においては、上述した第5,第6実施形態と同等の効果を奏することができる。さらに、ブレーキ機構2000のブレーキ軸F2000と、水平軸線(減速中心軸線)F1000とが、互いに離間可能であることにより、ブレーキ機構2000の配置自由度を向上することができる。
【0179】
以下、本発明に係るブレーキ機構、減速機構の第8実施形態を、図面に基づいて説明する。
図11は、本実施形態におけるブレーキ機構、減速機構を示す軸方向に沿った模式図である。図において、符号2000はブレーキ機構であり、符号1000は、減速機構である。本実施形態において、上述した第1~第7実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略することがある。
【0180】
本実施形態における減速機構1000は、ターンテーブルなどを有し水平軸線F1000まわりに回転する傾転部1013と、傾転部1013を水平軸線F1000まわりにおける回転角度が所定の位置となる姿勢を保持可能なブレーキ機構2000と、制御部4000と、を有する構成とされる。
【0181】
製造装置(減速機構)1000は、ターンテーブル1003に載せたワークに、切削や研削などの所定の処理・加工、溶接や部品組付け等の作業を行う際に用いられる装置である。ターンテーブル1003はテーブル軸F1003まわりに回転するとともに、テーブル軸F1003そのものが、水平軸線F1000まわりに回転する構成とされる。
【0182】
減速機構1000は、
図11に示すように、水平軸線F1000方向の一端側に設置された減速部(減速機)1100と、減速機1100に動力を出力する回転駆動源であるモータ(回転駆動源)1002と、水平軸線F1000方向の他端側に設置された保持装置1012と、減速機1100と保持装置1012とに水平軸線F1000方向の両端部を支持された回転ブロック(傾転部)1013と、を備えている。
【0183】
モータ1002は、減速機1100の入力側に一体に取り付けられている。減速機1100は、モータ1002の回転を減速し、その回転を回転ブロック(傾転部)1013の水平軸線F1000方向の一端側に伝達する。保持装置1012は、回転ブロック(傾転部)1013の水平軸線F1000方向の他端側を回転可能に支持する。回転ブロック(傾転部)1013は、減速機1100を介してモータ1002から動力が伝達されることにより、水平軸線F1000回りに回転する。
【0184】
回転ブロック(傾転部)1013は、水平軸線F1000回りに回転するターンテーブル1003を有する。ターンテーブル1003は、その表面にワーク支持面1003aを有する。ターンテーブル1003のワーク支持面1003aには、作業対象であるワークが取り付けられる。
【0185】
回転ブロック(傾転部)1013は、モータ1002の回転により、水平軸線F1000まわりに向けて傾斜・回転移動する。これにより、ターンテーブル1003のワーク支持面1003aに取り付けられたワークは、モータ1002による回転ブロック(傾転部)1013の回転により、作業位置に向けて移動させられる。
本実施形態における回転ブロック(傾転部)1013は、ワークを取り付けた状態で、例えば、数t程度の重量を有する重量物とされてもよい。
【0186】
また、回転ブロック(傾転部)1013は、水平軸線F1000と直交するテーブル軸F1003まわりにターンテーブル1003を回転するテーブル駆動モータ1004を有する。
テーブル駆動モータ1004により、水平軸線F1000まわりに向けて傾斜したターンテーブル1003がテーブル軸F1003まわりに回転する。これにより、ターンテーブル1003のワーク支持面1003aに取り付けられたワークは、テーブル駆動モータ1004によるターンテーブル1003の回転により、作業位置において回転移動させられる。
【0187】
作業位置には、例えば、組み立てロボットや溶接ロボット等の作業装置が設置されてもよい。なお、
図11において、ターンテーブル1003のワーク支持面1003aが下向きになるように示している。
【0188】
減速機1100は、その下端がベースブロック(脚部)1011の一端側の上面に固定設置される。減速機1100は、出力における減速中心軸線F0が製造装置(減速機構)1000の水平軸線F1000と合致するようにベースブロック(脚部)1011に設置される。
減速機(減速部)1100は、偏心揺動減速機とされる。減速機(減速部)1100は、
図1~
図5に示す第1~第3実施形態における減速部100と同等の構成を有することができる。なお、減速機(減速部)1100は、遊星歯車機構を有する減速機など、他の構成を有するものとされてもよい。本実施形態においては、減速機(減速部)1100としては、減速比の大きなもの、つまり、トルク比が大きなものを想定している。
【0189】
ここで、減速機(減速部)1100は、モータ1002に接続される入力軸1102を有する。入力軸1102は、水平軸線F1000に沿って配置される。入力軸1102は、軸受1103によって支持される。軸受1103は、ベースブロック(脚部)1011に固定される。減速機1100は、水平軸線(減速中心軸線)F1000を回転中心として回転する外筒211を備える。減速機1100は、例えば外筒211に接続される出力部1211を有する。出力部1211は、外筒211と同速で回転する。
【0190】
出力部1211は、減速機(減速部)1100において、モータ1002からの駆動回転を減速して出力する。出力部1211は、回転ブロック(傾転部)1013と一体に組み立てられる。出力部1211は、回転ブロック(傾転部)1013と同速で回転する。
減速機(減速部)1100とモータ1002と回転ブロック(傾転部)1013とは、水平軸線F1000を回転中心とする。水平軸線F1000は、減速機(減速部)1100の減速中心軸線となっている。
【0191】
出力部1211、回転ブロック(傾転部)1013は、一体とされて第1の出力軸を構成する。第1の出力軸は、ベースブロック(脚部)1011の一端側が、減速部1100として支持され、また、第1の出力軸は、ベースブロック(脚部)1011の他端側が、保持装置1012により支持されている。保持装置1012は、ベースブロック(脚部)1011の上部に位置し、軸受1012aを備える。
【0192】
減速機(減速部)1100は、回転伝達部3000を介してブレーキ機構2000に接続される。ブレーキ機構2000は、回転伝達部3000を介して減速機(減速部)1100にブレーキ力を作用して、減速機(減速部)1100を制動する。
【0193】
ブレーキ機構2000は、ベースブロック(脚部)1011に支持される。
ブレーキ機構2000は、回転伝達部3000を介して入力した回転速度を増速させる第2増速部(他の増速部)1200と、第2増速部(他の増速部)1200を制動するブレーキ力を付与するブレーキ部1030と、を備える。
第2増速部(他の増速部)1200と減速機(減速部)1100とが、減速機(減速部)1100の回転中心となる水平軸線(減速中心軸線)F1000に沿った軸方向において、互いにラップした配置である。
【0194】
ブレーキ機構2000は、
図11に示すように、水平軸線(減速中心軸線)F1000と平行なブレーキ軸F2000を備える。ブレーキ機構2000のブレーキ軸F2000と、水平軸線(減速中心軸線)F1000とが互いに平行に配置される。
【0195】
回転伝達部3000が、
図11に示すように、減速機(減速部)1100の外筒211と、第2増速部(他の増速部)1200とに接続される。
回転伝達部3000は、第5実施形態と同様に、減速機(減速部)1100の外筒211に同軸として接続された第1ブレーキ出力歯車3011と第2ブレーキ出力歯車3012とを有する構成を採用することができる。
【0196】
あるいは、回転伝達部3000が、第7実施形態と同様に、減速機(減速部)1100の外筒211に同軸として接続された第1ブレーキ出力プーリ3021と第2ブレーキ出力プーリ3022と巻回ベルト3023とを有する構成を採用することができる。または、回転伝達部3000が、第7実施形態と同様に、減速機(減速部)1100の外筒211に同軸として接続された第1ブレーキ出力スプロケット3021と第2ブレーキ出力スプロケット3022と巻回チェーン3023とを有する構成を採用することができる。
【0197】
なお、回転伝達部3000は、第6実施形態と同様に、減速機(減速部)1100の外筒211に同軸として接続された第1ブレーキ出力傘歯車3013と第2ブレーキ出力傘歯車3014とを有する構成とすることも可能である。この場合には、ブレーキ機構2000のブレーキ軸F2000が、水平軸線(減速中心軸線)F1000と交差する配置となる。
【0198】
ブレーキ機構2000は、減速機(減速部)1100に対して鉛直方向下側となるベースブロック(脚部)1011に支持される配置とすることができる。なお、ブレーキ機構2000の配置は、これに限定されることはなく、減速機(減速部)1100に対して水平軸線(減速中心軸線)F1000の周方向であればいずれの位置であってもベースブロック(脚部)1011に支持されることも可能である。
【0199】
ブレーキ機構2000は、回転伝達部3000および外筒211を介して減速機(減速部)1100にブレーキ力を作用して、減速機(減速部)1100を制動する。
これにより、出力部1211の構成に影響を及ぼすことなく、ブレーキ機構2000を減速機(減速部)1100に接続して、減速機(減速部)1100に対してブレーキ機構2000のブレーキ力を作用させることが可能となる。
【0200】
回転伝達部3000は、減速機(減速部)1100とブレーキ機構2000との間で、回転伝達が可能、つまり、トルクの伝達が可能であれば、回転を増速するか否かは限定されず、形状、配置位置、ギア比等を適宜設定することができる。なお、回転伝達部3000は、減速機(減速部)1100とブレーキ機構2000との間で、駆動回転を増速するように形状、配置位置、ギア比等が設定されることが好ましい。
【0201】
第2増速部(他の増速部)1200は、ベースブロック(脚部)1011に支持される。
第2増速部(他の増速部)1200は、偏心揺動減速機とされる。なお、第2増速部(他の増速部)1200は、遊星歯車機構を有する減速機など、他の構成を有するものとされてもよい。本実施形態においては、第2増速部(他の増速部)1200としては、増速比(減速比)の大きなもの、つまり、トルク比が大きなものを想定している。第2増速部1200は、
図1~
図5に示す第1~第3実施形態における減速部100と同等の構成を有することができる。
第2増速部(他の増速部)1200は、ブレーキ部1030に接続される。
【0202】
第2増速部(他の増速部)1200においては、回転伝達部3000の第2ブレーキ出力歯車3012が、減速機としての出力側であり増速機としての入力側である外筒211に接続される。また、第2増速部1200においては、ブレーキ部1030のブレーキギア502が減速機としての入力側であり増速機としての出力側であるであるセンターギア500に接続される。
第2増速部(他の増速部)1200においては、第2増速部(他の増速部)1200からブレーキギア502に回転駆動力が出力される際には、増速して出力される。ブレーキギア502は、増速部1020として構成される。
【0203】
ブレーキ部1030は、
図1~
図5に示す第1~第3実施形態におけるブレーキ部30と同様に、無励磁ブレーキ31を備える。ブレーキ部1030の無励磁ブレーキ31は、ブレーキ電源となる制御部4000に接続される。無励磁ブレーキ31は、公知の無励磁ブレーキであれば、特定の構成に限定されない。
ブレーキ部1030は、第2増速部(他の増速部)1200と同様にベースブロック(脚部)1011に支持される。
【0204】
無励磁ブレーキ31は、制御部4000からモータ1002への給電が停止した際に、同時に無励磁ブレーキ31への給電を停止するように構成される。あるいは、無励磁ブレーキ31は、制御部4000がモータ1002への給電が停止したことを検知するセンサを設けて、このセンサの出力により無励磁ブレーキ31への給電を停止するように構成されてもよい。
【0205】
または、ブレーキ部1030として、励磁ブレーキと、この励磁ブレーキに給電する非常用ブレーキ電源としての制御部4000等を備えることもできる。この場合、制御部4000からモータ1002への給電が停止した際に、励磁ブレーキが非常用ブレーキ電源から給電されてブレーキ動作するように構成されてもよい。
【0206】
第2増速部(他の増速部)1200においては、回転伝達部3000および第2増速部(他の増速部)1200を介してブレーキ部1030に至る伝達経路において、駆動回転が増速されてブレーキ部1030へと伝達される。つまり、回転伝達部3000および第2増速部1200は、減速機(減速部)1100の外筒211からブレーキ機構2000のブレーキ部1030に至る伝達経路における増速部1020として作用する。
【0207】
また、回転伝達部3000および第2増速部1200において、駆動回転が増速される。したがって、減速機(減速部)1100の外筒211からブレーキ部1030に至る伝達経路において、回転伝達部3000および第2増速部1200が増速部1020を構成する。
増速部1020では、減速機構1000での減速駆動伝達経路において、減速機(減速部)1100の外筒211の回転駆動(入力回転)を増速してブレーキ部1030に伝達する。
【0208】
本実施形態の製造装置(減速機構)1000において、回転ブロック(傾転部)1013は、軸受1012aと減速機1100とによって、その両端を支持されている。また、入力軸1102が軸受1103によって支持されている。
すなわち、回転ブロック(傾転部)1013は、軸受1103と軸受1012aとによって支持されている。つまり、製造装置(減速機構)1000において、ポジショナとしての回転ブロック(傾転部)1013は、あたかも入力軸1102、減速機1100、出力部1211とともに、多段に回転可変な軸のように、軸受1103と軸受1012aとによって支持されている。これにより、回転ブロック(傾転部)1013を支持するための構成において、部品点数を削減することができる。
【0209】
本実施形態の製造装置(減速機構)1000において、制御部4000から電力供給されて駆動源であるモータ1002が駆動される。このモータ1002の駆動によって減速部1100を介して回転ブロック(傾転部)1013を水平軸線F1000まわりに回転し、水平軸線F1000まわりにおける回転ブロック(傾転部)1013の傾斜角度を所定の状態に維持する。
【0210】
この際、制御部4000からの信号によって、モータ1002における駆動回転を制御して、回転ブロック(傾転部)1013が水平軸線F1000まわりの角度を所定の傾転状態になるように設定する。
また、制御部4000からの制御により、モータ1002が制動されて、これにより、回転ブロック(傾転部)1013の傾転角度を維持し、回転ブロック(傾転部)1013の傾転角度を変化させないように停止させることができる。
【0211】
このとき、駆動源であるモータ1002によって、減速部1100を介して駆動回転を減速して伝達し、回転ブロック(傾転部)1013を回転・傾斜させた場合には、回転ブロック(傾転部)1013および出力部1211と一体に減速機(減速部)1100の外筒211が回転する。
【0212】
ここで、減速機(減速部)1100の外筒211の回転は、回転伝達部3000を介してブレーキ機構2000の第2増速部(他の増速部)1200に伝達される。つまり、減速機(減速部)1100の外筒211の回転は、回転伝達部3000、ブレーキ機構2000の第2増速部(他の増速部)1200を介してブレーキ機構2000のブレーキ部1030に増速して伝達される。
【0213】
駆動源であるモータ1002が制御部4000から給電されており、モータ1002による回転ブロック(傾転部)1013への制動あるいは駆動がおこなわれている間は、ブレーキ部1030にも給電されている。
ここで、ブレーキ部1030は無励磁ブレーキ動作タイプである。つまり、ブレーキ部1030は制御部4000からモータ1002への給電と連動してブレーキ部1030に給電されて動作が切り替わる。あるいは、ブレーキ部1030は制御部4000からモータ1002への給電をセンシングしてその状態に対応して動作が切り替わる構成とされる。
【0214】
このため、制御部4000からモータ1002への給電中は、ブレーキ部1030が動作しない。したがって、ブレーキ部1030は、ブレーキ部1030から第2増速部(他の増速部)1200に対するブレーキ力を発揮しない。
したがって、回転ブロック(傾転部)1013の傾転状態をモータ1002によって設定することができる。
【0215】
次に、モータ1002による回転ブロック(傾転部)1013への制動が予期せずに停止した状態を考える。この場合、電断時など制御部4000による電力供給の停止、あるいは、減速部1100における駆動回転伝達の不具合などが考えられる。
【0216】
ここで、制御部4000からの電力供給が停止し、モータ1002が断電状態となった場合を考える。
この場合、回転ブロック(傾転部)1013においてモータ1002側からの制動が外れる。ここで、回転ブロック(傾転部)1013またはその支持ワークが重量物であった場合などに、そのままでは、回転ブロック(傾転部)1013が、自重によって水平軸線F1000まわりに勝手に回転してしまう可能性がある。
【0217】
モータ1002が通電状態から断電状態と変化した瞬間に、モータ1002による回転ブロック(傾転部)1013への制動あるいは駆動がおこなわれている状態からこの制動・駆動が消失した状態へと変化する。その瞬間に、無励磁ブレーキであるブレーキ部1030は、ブレーキ部1030から第2増速部(他の増速部)1200に対するブレーキ力を発揮しない状態から制動をおこなう状態へと切り替わる。
すると、ブレーキ部1030は、第2増速部(他の増速部)1200に対するブレーキ力を発揮して制動をおこなう状態へと切り替わる。
【0218】
これにより、第2増速部(他の増速部)1200および回転伝達部3000を介して、減速機(減速部)1100の外筒211の回転が制動される。
これにより、モータ1002が電断状態になっても、ブレーキ部1030のブレーキ力で、外筒211と一体である回転ブロック(傾転部)1013の傾転角度を変化させないように停止させることができる。
【0219】
また、駆動源であるモータ1002が制御部4000から給電されているが、減速部1100による回転ブロック(傾転部)1013への制動あるいは駆動がおこなわれない場合を考える。
この場合、回転ブロック(傾転部)1013において減速部1100側からの制動が外れる。ここで、ワークが重量物であった場合などに、そのままでは、回転ブロック(傾転部)1013が、自重によって水平軸線F1000まわりに勝手に回転してしまう可能性がある。
【0220】
ここで、モータ1002は通電状態を続ける。
このため、制動状態が変化した瞬間に、減速部1100による回転ブロック(傾転部)1013への制動あるいは駆動がおこなわれている状態からこの制動・駆動が消失した状態へと変化しても、無励磁ブレーキであるブレーキ部1030は、そのままでは、励磁状態へと切り替わらない。
【0221】
したがって、本実施形態の製造装置(減速機構)1000では、減速部1100による回転ブロック(傾転部)1013への制動あるいは駆動が正常に維持されていることを検出する検出手段を有する。
【0222】
検出手段としては、例えば、出力部1211の回転角度を検出する角度センサ4001とモータ1002の駆動状態を検出するセンサとの組み合わせが例示される。この場合、モータ1002の駆動状態を検出するセンサは、制御部4000に含有されることができる。検出手段としては、他の構成とすることも可能である。
【0223】
検出手段としての角度センサ4001および制御部4000により、モータ1002の通電と、回転ブロック(傾転部)1013の傾転角度保持と、のうち、少なくともいずれかが維持されていないと判断した場合に、制御部4000によってブレーキ部1030への給電を停止する。つまり、ブレーキ部1030を無励磁状態に切り替えて動作させる。
【0224】
すると、その瞬間に、無励磁ブレーキであるブレーキ部1030は、ブレーキ部1030から第2増速部(他の増速部)1200に対するブレーキ力を発揮しない状態から制動をおこなう状態へと切り替わる。
これにより、ブレーキ部1030のブレーキ力で、回転ブロック(傾転部)1013の傾転角度を変化させないように停止させることができる。
【0225】
本実施形態の製造装置(減速機構)1000では、減速機(減速部)1100と、回転伝達部3000と、ブレーキ機構2000とが、水平軸線F1000に直交する略同一の平面を含むように位置し、互いに噛み合っている。これにより、ブレーキ部1030は、水平軸線F1000に沿った軸方向において、減速機(減速部)1100に対して互いにラップした配置とされる。
【0226】
また、本実施形態の製造装置(減速機構)1000では、減速機(減速部)1100と、回転伝達部3000と、ブレーキ機構2000とが、水平軸線F1000に沿った軸方向位置において重なって、ベースブロック(脚部)1011に支持される配置である。
【0227】
したがって、本実施形態の減速機構1000では、減速機構1000を減速中心軸線(中心軸)F1002に沿った方向において小型化することができる。
本実施形態の減速機構1000では、減速中心軸線(中心軸)F1002に沿った方向においてベースブロック(脚部)1011の同じ側に減速機(減速部)1100と、回転伝達部3000と、ブレーキ機構2000とを設けることで小型化が可能となる。
さらに、ベースブロック(脚部)1011の水平軸線F1000方向の他端側となる保持装置1012付近にカバー等を設ける必要がないため、部品点数を削減することが可能となる。
【0228】
本実施形態の減速機構1000では、ブレーキ機構2000および回転伝達部3000を増設することで、既存のポジショナ等である減速機構1000に非常停止機能を備えることができる。さらに、非常停止機能を備えつつ小型化が可能となるため、作業性を向上することができる。
【0229】
以下、本発明に係るブレーキ機構、減速機構の第9実施形態を、図面に基づいて説明する。
図12は、本実施形態におけるブレーキ機構、減速機構を示す軸方向に沿った模式図である。
図13は、本実施形態における減速機構を示す軸方向に見た模式側面図である。図において、符号2000はブレーキ機構であり、符号1000は、減速機構である。本実施形態において、上述した第1~第8実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略することがある。
【0230】
本実施形態における減速機構1000は、ターンテーブルなどを有し水平軸線F1000まわりに回転する傾転部1013と、傾転部1013を水平軸線F1000まわりにおける回転角度が所定の位置となる姿勢を保持可能なブレーキ機構2000と、制御部4000と、を有する構成とされる。
【0231】
製造装置(減速機構)1000は、ターンテーブル1003に載せたワークに、切削や研削などの所定の処理・加工、溶接や部品組付け等の作業を行う際に用いられる装置である。ターンテーブル1003はテーブル軸F1003まわりに回転するとともに、テーブル軸F1003そのものが、水平軸線F1000まわりに回転する構成とされる。
【0232】
製造装置(減速機構)1000は、
図12,
図13に示すように、床面上に設置されるベースブロック(脚部)1011と、ベースブロック(脚部)1011の水平軸線F1000方向の一端側の上面に固定設置された減速部(減速機)1100と、減速機1100に動力を出力する回転駆動源であるモータ(回転駆動源)1002と、ベースブロック(脚部)1011の水平軸線F1000方向の他端側の上面に固定設置された保持装置1012と、減速機1100と保持装置1012とに水平軸線F1000方向の両端部を支持された回転ブロック(傾転部)1013と、を備えている。
【0233】
ベースブロック(脚部)1011は、水平軸線F1000方向に沿った回転ブロック(傾転部)1013の両サイドとなる位置に、それぞれ鉛直方向に立ち、回転ブロック(傾転部)1013を支持している。ベースブロック(脚部)1011は、それぞれ水平軸線F1000の方向と略直交する板状とされる。
【0234】
モータ1002は、減速機1100の入力側に一体に取り付けられている。減速機1100は、モータ1002の回転を減速し、その回転を回転ブロック(傾転部)1013の水平軸線F1000方向の一端側に伝達する。モータ1002は、水平軸線F1000方向において回転ブロック(傾転部)1013よりも減速機1100に近接する側のベースブロック(脚部)1011の上部に取り付けられている。
保持装置1012は、回転ブロック(傾転部)1013の水平軸線F1000方向の他端側を回転可能に支持する。回転ブロック(傾転部)1013は、減速機1100を介してモータ1002から動力が伝達されることにより、水平軸線F1000回りに回転する。
【0235】
回転ブロック(傾転部)1013は、水平軸線F1000回りに回転するターンテーブル1003を有する。ターンテーブル1003は、その表面にワーク支持面1003aを有する。ターンテーブル1003のワーク支持面1003aには、作業対象であるワークが取り付けられる。
【0236】
回転ブロック(傾転部)1013は、モータ1002の回転により、水平軸線F1000まわりに向けて傾斜・回転移動する。これにより、ターンテーブル1003のワーク支持面1003aに取り付けられたワークは、モータ1002による回転ブロック(傾転部)1013の回転により、作業位置に向けて移動させられる。
本実施形態における回転ブロック(傾転部)1013は、ワークを取り付けた状態で、例えば、数t程度の重量を有する重量物とされてもよい。
【0237】
また、回転ブロック(傾転部)1013は、水平軸線F1000と直交するテーブル軸F1003まわりにターンテーブル1003を回転するテーブル駆動モータ1004を有する。
回転ブロック(傾転部)1013では、テーブル駆動モータ1004により、水平軸線F1000まわりに向けて傾斜したターンテーブル1003がテーブル軸F1003まわりに回転する。これにより、ターンテーブル1003のワーク支持面1003aに取り付けられたワークは、テーブル駆動モータ1004によるターンテーブル1003の回転により、作業位置において回転移動させられる。
つまり、ターンテーブル1003は、水平軸線F1000まわりと、テーブル軸F1003まわりの二軸で位置制御するポジショナである。
作業位置には、例えば、溶接ロボット等の作業装置が設置されてもよい。なお、
図12,
図13において、ターンテーブル1003のワーク支持面1003aが下向きになるように示している。
【0238】
減速機1100は、その下端がベースブロック(脚部)1011の一端側の上面に固定設置される。減速機1100は、出力における減速中心軸線F0が製造装置(減速機構)1000の水平軸線F1000と合致するようにベースブロック(脚部)1011に設置される。
減速機(減速部)1100は、偏心揺動減速機とされる。減速機(減速部)1100は、
図1~
図5に示す第1~第3実施形態における減速部100と同等の構成を有することができる。なお、減速機(減速部)1100は、遊星歯車機構を有する減速機など、他の構成を有するものとされてもよい。本実施形態においては、減速機(減速部)1100としては、減速比の大きなもの、つまり、トルク比が大きなものを想定している。
【0239】
ここで、減速機(減速部)1100は、モータ1002に接続される入力軸1102を有する。入力軸1102は、水平軸線F1000に沿って配置される。入力軸1102は、軸受1103によって支持される。軸受1103は、ベースブロック(脚部)1011に固定される。減速機1100は、水平軸線(減速中心軸線)F1000を回転中心として回転する外筒211を備える。減速機1100は、外筒211の回転ブロック(傾転部)1013側に接続される出力部1211を有する。出力部1211は、外筒211と同速で回転する。
【0240】
出力部1211は、減速機(減速部)1100において、モータ1002からの駆動回転を減速して出力する。出力部1211は、回転ブロック(傾転部)1013と一体に組み立てられる。出力部1211は、回転ブロック(傾転部)1013と同速で回転する。
減速機(減速部)1100とモータ1002と回転ブロック(傾転部)1013とは、水平軸線F1000を回転中心とする。水平軸線F1000は、減速機(減速部)1100の減速中心軸線となっている。
【0241】
出力部1211、回転ブロック(傾転部)1013は、一体とされて第1の出力軸を構成する。第1の出力軸は、ベースブロック(脚部)1011の一端側において、軸受1103により、入力軸1102とともに減速部1100として支持される。また、第1の出力軸は、ベースブロック(脚部)1011の他端側において、保持装置1012により支持されている。保持装置1012は、ベースブロック(脚部)1011の上部に位置し、軸受1012aを備える。第1の出力軸の回転軸線は、水平軸線F1000と一致する。
【0242】
減速機(減速部)1100は、回転伝達部3000を介してブレーキ機構2000に接続される。ブレーキ機構2000は、回転伝達部3000を介して減速機(減速部)1100にブレーキ力を作用して、減速機(減速部)1100を制動する。
【0243】
ブレーキ機構2000は、
図12に示すように、ベースブロック(脚部)1011に支持される。ブレーキ機構2000は、減速機(減速部)1100の直下に位置するベースブロック(脚部)1011を水平軸線F1000に沿った方向に貫通する。
ブレーキ機構2000は、回転伝達部3000を介して入力した回転速度を増速させる第2増速部(他の増速部)1200と、第2増速部(他の増速部)1200を制動するブレーキ力を付与するブレーキ部1030と、を備える。
【0244】
第2増速部(他の増速部)1200と減速機(減速部)1100とが、減速機(減速部)1100の回転中心となる水平軸線(減速中心軸線)F1000に沿った軸方向において、互いにラップした配置である。第2増速部(他の増速部)1200は、減速機(減速部)1100の直下に位置する。
【0245】
ブレーキ機構2000は、
図11に示すように、水平軸線(減速中心軸線)F1000と平行なブレーキ軸F2000を備える。ブレーキ機構2000のブレーキ軸F2000と、水平軸線(減速中心軸線)F1000とが互いに平行に配置される。
【0246】
回転伝達部3000が、
図11に示すように、減速機(減速部)1100の外筒211と、第2増速部(他の増速部)1200とに接続される。
回転伝達部3000は、第7実施形態と同様に、減速機(減速部)1100の外筒211に同軸として接続された第1ブレーキ出力歯車3011と、第2ブレーキ出力歯車3012と、を有する構成を有する。第2ブレーキ出力歯車3012の軸線は、第1ブレーキ出力歯車3011の軸線よりも下側に配置されることができる。
【0247】
ブレーキ機構2000は、減速機(減速部)1100に対して鉛直方向下側となるベースブロック(脚部)1011に支持される配置とすることができる。なお、ブレーキ機構2000の配置は、これに限定されることはなく、減速機(減速部)1100に対して水平軸線(減速中心軸線)F1000の周方向であればいずれの位置であってもベースブロック(脚部)1011に支持されることも可能である。
【0248】
ブレーキ機構2000は、回転伝達部3000および外筒211を介して減速機(減速部)1100にブレーキ力を作用して、減速機(減速部)1100を制動する。
これにより、出力部1211の構成に影響を及ぼすことなく、ブレーキ機構2000を減速機(減速部)1100に接続して、減速機(減速部)1100に対してブレーキ機構2000のブレーキ力を作用させることが可能となる。
【0249】
回転伝達部3000は、減速機(減速部)1100とブレーキ機構2000との間で、回転伝達が可能、つまり、トルクの伝達が可能であれば、回転を増速するか否かは限定されず、形状、配置位置、ギア比等を適宜設定することができる。なお、回転伝達部3000は、減速機(減速部)1100とブレーキ機構2000との間で、駆動回転を増速するように形状、配置位置、ギア比等が設定されることが好ましい。
【0250】
第2増速部(他の増速部)1200は、ベースブロック(脚部)1011に支持される。第2増速部(他の増速部)1200は、ベースブロック(脚部)1011を水平軸線(減速中心軸線)F1000に沿った方向に貫通する。
第2増速部(他の増速部)1200は、偏心揺動減速機とされる。なお、第2増速部(他の増速部)1200は、遊星歯車機構を有する減速機など、他の構成を有するものとされてもよい。
【0251】
本実施形態においては、第2増速部(他の増速部)1200としては、増速比(減速比)の大きなもの、つまり、トルク比が大きなものを想定している。第2増速部1200は、
図1~
図5に示す第1~第3実施形態における減速部100と同等の構成を有することができる。
第2増速部(他の増速部)1200は、ブレーキ部1030に接続される。
【0252】
第2増速部(他の増速部)1200においては、回転伝達部3000の第2ブレーキ出力歯車3012が、減速機としての出力側であり増速機としての入力側である外筒211に接続される。また、第2増速部1200においては、ブレーキ部1030のブレーキギア502が減速機としての入力側であり増速機としての出力側であるであるセンターギア500に接続される。
第2増速部(他の増速部)1200においては、第2増速部(他の増速部)1200からブレーキギア502に回転駆動力が出力される際には、増速して出力される。ブレーキギア502は、増速部1020として構成される。
【0253】
ブレーキ部1030は、
図1~
図5に示す第1~第3実施形態におけるブレーキ部30と同様に、無励磁ブレーキ31を備える。ブレーキ部1030の無励磁ブレーキ31は、ブレーキ電源となる制御部4000に接続される。無励磁ブレーキ31は、公知の無励磁ブレーキであれば、特定の構成に限定されない。
ブレーキ部1030は、第2増速部(他の増速部)1200と同様にベースブロック(脚部)1011に支持される。あるいは、ブレーキ部1030が第2増速部(他の増速部)1200に支持されて、ベースブロック(脚部)1011に支持されていなくてもよい。
【0254】
無励磁ブレーキ31は、第7実施形態と同様に、制御部4000からモータ1002への給電が停止した際に、同時に無励磁ブレーキ31への給電を停止するように構成される。あるいは、無励磁ブレーキ31は、制御部4000がモータ1002への給電が停止したことを検知するセンサを設けて、このセンサの出力により無励磁ブレーキ31への給電を停止するように構成されてもよい。
【0255】
第2増速部(他の増速部)1200においては、回転伝達部3000および第2増速部(他の増速部)1200を介してブレーキ部1030に至る伝達経路において、駆動回転が増速されてブレーキ部1030へと伝達される。つまり、回転伝達部3000および第2増速部1200は、減速機(減速部)1100の外筒211からブレーキ機構2000のブレーキ部1030に至る伝達経路における増速部1020として作用する。
【0256】
また、回転伝達部3000および第2増速部1200において、駆動回転が増速される。したがって、減速機(減速部)1100の外筒211からブレーキ部1030に至る伝達経路において、回転伝達部3000および第2増速部1200が増速部1020を構成する。
増速部1020では、減速機構1000での減速駆動伝達経路において、減速機(減速部)1100の外筒211の回転駆動(入力回転)を増速してブレーキ部1030に伝達する。
【0257】
本実施形態の製造装置(減速機構)1000において、回転ブロック(傾転部)1013は、軸受1012aと減速機1100およびモータ1002とによって、その両端を支持されている。また、入力軸1102が軸受1103によって支持されている。
すなわち、回転ブロック(傾転部)1013は、軸受1103と軸受1012aとによって支持されている。つまり、製造装置(減速機構)1000において、ポジショナとしての回転ブロック(傾転部)1013は、あたかも入力軸1102、減速機1100、出力部1211とともに、多段に回転可変な軸のように、軸受1103と軸受1012aとによって支持されている。これにより、回転ブロック(傾転部)1013を支持するための構成において、部品点数を削減することができる。
【0258】
本実施形態の製造装置(減速機構)1000において、制御部4000から電力供給されて駆動源であるモータ1002が駆動される。このモータ1002の駆動によって減速部1100を介して回転ブロック(傾転部)1013を水平軸線F1000まわりに回転し、水平軸線F1000まわりにおける回転ブロック(傾転部)1013の傾斜角度を所定の状態に維持する。
【0259】
この際、制御部4000からの信号によって、モータ1002における駆動回転を制御して、回転ブロック(傾転部)1013が水平軸線F1000まわりの角度を所定の傾転状態になるように設定する。
また、制御部4000からの制御により、モータ1002が制動されて、これにより、回転ブロック(傾転部)1013の傾転角度を維持し、回転ブロック(傾転部)1013の傾転角度を変化させないように停止させることができる。
【0260】
さらに、所定の傾斜角度に維持された回転ブロック(傾転部)1013では、制御部4000に制御されたテーブル駆動モータ1004により、水平軸線F1000まわりに向けて傾斜したターンテーブル1003がテーブル軸F1003まわりに回転して、テーブル軸F1003まわりにおけるターンテーブル1003の回転位置が設定される。
これにより、ターンテーブル1003のワーク支持面1003aに取り付けられたワークが、水平軸線F1000まわりと、テーブル軸F1003まわりの二軸とで、所定の姿勢である作業位置となる。
本実施形態の製造装置(減速機構)1000は、水平軸線F1000まわりと、テーブル軸F1003まわりの二軸で位置制御するポジショナとして動作し、この状態で、所定の作業・処理がおこなわれる。
【0261】
ここで、駆動源であるモータ1002によって、減速部1100を介して駆動回転を減速して伝達し、回転ブロック(傾転部)1013を回転・傾斜させた場合には、回転ブロック(傾転部)1013および出力部1211と一体に減速機(減速部)1100の外筒211が回転する。
【0262】
この減速機(減速部)1100の外筒211の回転は、回転伝達部3000を介してブレーキ機構2000の第2増速部(他の増速部)1200に伝達される。つまり、減速機(減速部)1100の外筒211の回転は、回転伝達部3000、ブレーキ機構2000の第2増速部(他の増速部)1200を介してブレーキ機構2000のブレーキ部1030に増速して伝達される。
【0263】
駆動源であるモータ1002が制御部4000から給電されており、モータ1002による回転ブロック(傾転部)1013への制動あるいは駆動がおこなわれている間は、ブレーキ部1030にも給電されている。
ここで、ブレーキ部1030は無励磁ブレーキ動作タイプである。つまり、ブレーキ部1030は制御部4000からモータ1002への給電と連動してブレーキ部1030に給電されて動作が切り替わる。あるいは、ブレーキ部1030は制御部4000からモータ1002への給電をセンシングしてその状態に対応して動作が切り替わる。
【0264】
このため、制御部4000からモータ1002への給電中は、ブレーキ部1030が動作しない。したがって、ブレーキ部1030は、ブレーキ部1030から第2増速部(他の増速部)1200に対するブレーキ力を発揮しない。回転ブロック(傾転部)1013の傾転状態をモータ1002によって設定している。
【0265】
次に、モータ1002による回転ブロック(傾転部)1013への制動が予期せずに停止した状態を考える。この場合、電断時など制御部4000からモータ1002への電力供給の停止などが考えられる。
【0266】
まず、制御部4000からの電力供給が停止し、モータ1002が断電状態となった場合を考える。
この場合、回転ブロック(傾転部)1013がモータ1002からの制動を受けなくなる。ここで、回転ブロック(傾転部)1013および/またはその支持ワークが重量物であった場合などに、そのままでは、回転ブロック(傾転部)1013が、自重によって水平軸線F1000まわりに勝手に回転してしまう可能性がある。
【0267】
モータ1002が通電状態から断電状態と変化した瞬間に、モータ1002による回転ブロック(傾転部)1013への制動あるいは駆動がおこなわれている状態からこの制動あるいは駆動が消失した状態へと変化する。その瞬間に、無励磁ブレーキであるブレーキ部1030は、ブレーキ部1030から第2増速部(他の増速部)1200に対するブレーキ力を発揮しない状態から制動をおこなう状態へと切り替わる。
すると、ブレーキ部1030は、第2増速部(他の増速部)1200に対するブレーキ力を発揮して制動をおこなう状態へと切り替わる。
【0268】
これにより、第2増速部(他の増速部)1200および回転伝達部3000を介して、減速機(減速部)1100の外筒211の回転が制動される。
これにより、モータ1002が電断状態になっても、ブレーキ部1030のブレーキ力によって、外筒211および出力部1211と一体である回転ブロック(傾転部)1013の傾転角度を変化させないように停止させることができる。
【0269】
本実施形態の製造装置(減速機構)1000では、減速機(減速部)1100と回転伝達部3000とブレーキ機構2000とが、水平軸線F1000に略直交する同一平面を含むように位置し、互いに噛み合って接続されている。これにより、ブレーキ部1030は、水平軸線F1000に沿った軸方向において、減速機(減速部)1100に対して互いにラップした配置とされる。
【0270】
また、本実施形態の製造装置(減速機構)1000では、減速機(減速部)1100と回転伝達部3000とブレーキ機構2000とが、水平軸線F1000に沿った軸方向位置において重なって、ベースブロック(脚部)1011に支持される配置である。回転伝達部3000とブレーキ機構2000とが、減速機(減速部)1100直下に位置する。
したがって、本実施形態の減速機構1000では、減速機構1000を減速中心軸線(中心軸)F1002に沿った方向において小型化することができる。
【0271】
本実施形態の減速機構1000では、減速中心軸線(中心軸)F1002に沿った方向においてベースブロック(脚部)1011の同じ側に減速機(減速部)1100と、回転伝達部3000と、ブレーキ機構2000とを設けることで小型化が可能となる。
さらに、ベースブロック(脚部)1011の水平軸線F1000方向の他端側となる保持装置1012付近にカバー等を設ける必要がないため、部品点数を削減することが可能となる。
【0272】
本実施形態の減速機構1000では、ブレーキ機構2000および回転伝達部3000を増設することで、既存のポジショナ等である減速機構1000に非常停止機能を備えることができる。さらに、ブレーキ機構2000および回転伝達部3000を増設する際には、これらをベースブロック(脚部)1011に取り付けるだけでよいため、作業性を向上することができる。同時に、非常停止機能を備えつつ小型化することが可能となる。
【0273】
以下、本発明に係るブレーキ機構、減速機構の第10実施形態を、図面に基づいて説明する。
図14は、本実施形態におけるブレーキ機構、減速機構を示す軸方向に沿った模式図である。本実施形態において、上述した第9実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略することがある。
【0274】
本実施形態の回転伝達部3000は、
図14に示すように、減速機(減速部)1100に接続された第1ブレーキ出力プーリ3021と、第1ブレーキ出力プーリ3021に巻回された巻回ベルト3023を介して接続された第2ブレーキ出力プーリ3022とを有することができる。第2ブレーキ出力プーリ3022は、ブレーキ機構2000の第2増速部(他の増速部)1200に接続される。第2ブレーキ出力プーリ3022は、水平軸線(減速中心軸線)F1000と平行な回転軸線を備える。第2ブレーキ出力プーリ3022の回転軸線はブレーキ軸F2000と一致していることができる。第2ブレーキ出力スプロケット3022の軸線は、第1ブレーキ出力スプロケット3021の軸線よりも下側に配置されることができる。
【0275】
なお、回転伝達部3000としては、第1ブレーキ出力プーリ3021と第2ブレーキ出力プーリ3022と巻回ベルト3023とに変えて、第1ブレーキ出力スプロケット3021と第2ブレーキ出力スプロケット3022と巻回チェーン3023とを有する構成とすることもできる。
【0276】
ブレーキ機構2000は、
図14に示すように、減速機(減速部)1100に対して鉛直方向下側となるベースブロック(脚部)1011に支持される配置とすることができる。なお、ブレーキ機構2000の配置は、これに限定されることはなく、減速機(減速部)1100に対して水平軸線(減速中心軸線)F1000の周方向であればいずれの位置であってもベースブロック(脚部)1011に支持されることも可能である。
【0277】
第1ブレーキ出力プーリ3021は、減速機(減速部)1100の外筒211に同軸として接続することができる。
第1ブレーキ出力プーリ3021と第2ブレーキ出力プーリ3022とは、それぞれの軸線の離間距離を所定の値にすることができる。
【0278】
ブレーキ機構2000は、回転伝達部3000および外筒211を介して減速機(減速部)1100にブレーキ力を作用して、減速機(減速部)1100を制動する。
これにより、出力部1211の構成に影響を及ぼすことなく、ブレーキ機構2000を減速機(減速部)1100に接続して、減速機(減速部)1100に対してブレーキ機構2000のブレーキ力を作用させることが可能となる。
【0279】
回転伝達部3000は、減速機(減速部)1100とブレーキ機構2000との間で、回転伝達が可能、つまり、トルクの伝達が可能であれば、回転を増速するか否かは限定されず、形状、配置位置、ギア比等を適宜設定することができる。なお、回転伝達部3000は、減速機(減速部)1100とブレーキ機構2000との間で、駆動回転を増速するように形状、配置位置、ギア比等が設定されることが好ましい。
【0280】
また、本実施形態の製造装置(減速機構)1000では、減速部1100による回転ブロック(傾転部)1013への制動あるいは駆動が正常に維持されていることを検出する検出手段として、例えば、第2ブレーキ出力プーリ3022または第2ブレーキ出力スプロケット3022の回転角度を検出するセンサ4003とモータ1002の駆動状態を検出するセンサとの組み合わせが例示される。この場合、モータ1002の駆動状態を検出するセンサは、制御部4000に含有されることができる。
あるいは、センサ4003が、巻回ベルト3023または巻回チェーン3023の巻回位置を検出する構成とすることもできる。
【0281】
このように検出手段4003等および制御部4000により、モータ1002の通電と、回転ブロック(傾転部)1013の傾転角度保持と、のうち、少なくともいずれかが維持されていないと判断した場合に、制御部4000によってブレーキ部1030への給電を停止する。つまり、ブレーキ部1030を無励磁状態に切り替えて動作させる。
【0282】
本実施形態の製造装置(減速機構)1000では、減速機(減速部)1100の外筒211の外周に設けた第1ブレーキ出力プーリ3021と、第2ブレーキ出力プーリ3022とは、互いに巻回ベルト2023を介してその回転が同期されている。これにより、ブレーキ部1030は、水平軸線F1000に沿った軸方向において、減速機(減速部)1100に対して互いにラップした配置とされる。
これにより、ブレーキ部1030のブレーキ力で、回転ブロック(傾転部)1013の傾転角度を変化させないように停止させることができる。
【0283】
なお、ブレーキ機構2000は、第1ブレーキ出力プーリ3021と第2ブレーキ出力プーリ3022とが、互いに巻回ベルト2023で同期される位置であれば、互いの離間距離等の配置は限定されない。
【0284】
本実施形態においては、上述した第5,第6実施形態と同等の効果を奏することができる。さらに、ブレーキ機構2000のブレーキ軸F2000と、水平軸線(減速中心軸線)F1000とが、互いに離間可能であることにより、ブレーキ機構2000の配置自由度を向上することができる。
【符号の説明】
【0285】
1,1000…減速機構
100,1100…減速部
20,1020…増速部
30,1030…ブレーキ部
211…外筒
430…伝達歯車(スパーギア)
500…センターギア
501…制動アイドラギア
502…ブレーキギア
1002…モータ(回転駆動源)
1011…ベースブロック(脚部)
1012…保持装置
1012a…軸受
1200…第2増速部(他の増速部)
2000…ブレーキ機構
3000…回転伝達部
3011…第1ブレーキ出力歯車
3012…第2ブレーキ出力歯車
3013…第1ブレーキ出力傘歯車
3014…第2ブレーキ出力傘歯車
3021…第1ブレーキ出力プーリ,第1ブレーキ出力スプロケット
3022…第1ブレーキ出力プーリ,第2ブレーキ出力スプロケット
3023…巻回ベルト,巻回チェーン
F0…減速中心軸線(中心軸)
F1000…水平軸線(減速中心軸線)
F2000…ブレーキ軸