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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】動力回収システムおよび水上浮遊構造体
(51)【国際特許分類】
   F01K 25/10 20060101AFI20240418BHJP
   B63B 35/00 20200101ALI20240418BHJP
   B63B 25/16 20060101ALI20240418BHJP
   B63H 21/38 20060101ALI20240418BHJP
   F16J 15/447 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
F01K25/10 A
B63B35/00 T
B63B25/16 D
B63H21/38 C
F16J15/447
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020144589
(22)【出願日】2020-08-28
(65)【公開番号】P2022039517
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】518131296
【氏名又は名称】三菱重工マリンマシナリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 亮
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 英司
(72)【発明者】
【氏名】西尾 直希
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0112977(US,A1)
【文献】特開2014-047676(JP,A)
【文献】国際公開第2015/155818(WO,A1)
【文献】特開平10-030408(JP,A)
【文献】特開昭55-148907(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 25/16
B63B 35/00
B63H 21/38
F01K 25/10
F16J 15/447
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガスを貯留する液化ガス貯留装置から供給される液化ガスから動力を回収する動力回収システムであって、
前記液化ガス貯留装置から供給される前記液化ガスを気化したガスにより駆動される第1タービンと、
前記第1タービンの軸封シール部から漏洩した前記ガスを導くための第1漏洩ガス導入管と、
前記第1漏洩ガス導入管により導かれた前記ガスを燃焼させるためのガス燃焼装置と、
空気を圧縮するように構成された第1圧縮機と、
前記第1圧縮機で圧縮された圧縮空気を前記ガス燃焼装置に導入するための第1圧縮空気導入管と、
前記第1圧縮空気導入管から分岐して前記圧縮空気の一部を前記第1タービンの前記軸封シール部に導くための第1圧縮空気供給管と、を備える、
動力回収システム。
【請求項2】
前記液化ガス貯留装置にて気化したボイルオフガスを前記ガス燃焼装置に導くためのボイルオフガス導入管をさらに備える、
請求項1に記載の動力回収システム。
【請求項3】
前記ボイルオフガス導入管は、一方側が前記液化ガス貯留装置に接続され、他方側が前記第1漏洩ガス導入管に合流している、
請求項2に記載の動力回収システム。
【請求項4】
前記第1タービンの前記軸封シール部は、
前記第1タービンの回転シャフトと、前記第1タービンのケーシングとの間をシールする下流側シール部と、
前記下流側シール部よりも上流側において前記回転シャフトと前記ケーシングとの間をシールする上流側シール部と、を含み、
前記第1圧縮空気供給管は、前記下流側シール部と前記上流側シール部との間に形成された空間に連通している、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の動力回収システム。
【請求項5】
前記上流側シール部および前記下流側シール部は、ラビリンスシールからなる、
請求項に記載の動力回収システム。
【請求項6】
前記第1タービンから前記ガスを抽気して前記第1タービンにおける前記ガスの抽気位置よりも下流側に戻す抽気管と、
前記抽気管を流れる前記ガスを加熱するように構成された再熱器と、をさらに備える、
請求項1乃至の何れか1項に記載の動力回収システム。
【請求項7】
前記再熱器は、前記抽気管を流れる前記ガスと、前記液化ガス貯留装置から供給される前記液化ガスと熱交換される熱媒体との間の熱交換を行うように構成された熱交換器を含む、
請求項に記載の動力回収システム。
【請求項8】
前記液化ガス貯留装置から供給される前記液化ガス、又は前記第1タービンから排出された前記ガスと熱交換される熱媒体が循環するように構成された熱媒体循環サイクルであって、前記熱媒体を作動流体とする第2タービンを含む熱媒体循環サイクルと、
前記第2タービンの軸封シール部から漏洩した前記作動流体を前記ガス燃焼装置に導くための第2漏洩ガス導入管と、をさらに備える、
請求項1乃至の何れか1項に記載の動力回収システム。
【請求項9】
液化ガスを貯留する液化ガス貯留装置から供給される液化ガスから動力を回収する動力回収システムであって、
前記液化ガス貯留装置から供給される前記液化ガスを気化したガスにより駆動される第1タービンと、
前記第1タービンの軸封シール部から漏洩した前記ガスを導くための第1漏洩ガス導入管と、
前記第1漏洩ガス導入管により導かれた前記ガスを燃焼させるためのガス燃焼装置と、
前記液化ガス貯留装置から供給される前記液化ガス、又は前記第1タービンから排出された前記ガスと熱交換される熱媒体が循環するように構成された熱媒体循環サイクルであって、前記熱媒体を作動流体とする第2タービンを含む熱媒体循環サイクルと、
前記第2タービンの軸封シール部から漏洩した前記作動流体を前記ガス燃焼装置に導くための第2漏洩ガス導入管と、を備える、
動力回収システム。
【請求項10】
前記動力回収システムは、
空気を圧縮するように構成された第2圧縮機と、
前記第2圧縮機に圧縮された圧縮空気を前記ガス燃焼装置に導入するための第2圧縮空気導入管と、
前記第2圧縮空気導入管から分岐して前記第2圧縮機に圧縮された前記圧縮空気の一部を前記第2タービンの前記軸封シール部に導くための第2圧縮空気供給管と、を備える、
請求項8又は9に記載の動力回収システム。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか1項に記載の動力回収システムが搭載された水上浮遊構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液化ガスから動力を回収する動力回収システムおよび該動力回収システムを備える水上浮遊構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
液化ガス(例えば、液化天然ガス)は、輸送や貯蔵を目的として液化され、都市ガスや火力発電所などの供給先に供給するに際して、海水などの熱媒体で昇温して気化させることが行われる。液化ガスを気化させる際に、液化ガス用のポンプや海水用のポンプなどを駆動させるために電力を消費するため、液化ガスの冷熱エネルギーを海水に捨てるのではなく回収することが行われることがある(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1では、液化天然ガス(LNG)の冷熱エネルギーを電力として回収する冷熱発電サイクルと、液化天然ガスをポンプで昇圧後に加熱して得られる天然ガスにより駆動されるLNGタービンと、が開示されている。上記冷熱発電サイクルは、クローズドループ内を循環する二次媒体を、蒸発器にて海水を熱源として加熱して蒸発させ、この蒸気を冷熱発電用のタービンに導入して動力を得た後に、液化天然ガスにて冷却、凝縮させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-8042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたLNGタービンは、液化天然ガスをポンプで昇圧後に加熱して得られる天然ガスを作動流体とするため、高圧低温の天然ガスのLNGタービンの外部への漏洩を抑制する必要がある。LNGタービンの軸封シール部に高価なメカニカルシールや複雑な構成のシールなどの高性能シールを用いることで、軸封シール部のシール性を確保することができる。しかし、軸封シール部に高性能シールを用いると、LNGタービンの構造の複雑化や高額化を招く虞がある。LNGタービンの構造の複雑化は、LNGタービンの信頼性の低下やメンテナンスコストの増大化を招く虞がある。このため、LNGタービンの構造の複雑化や高額化を抑制することがLNGタービンを実現する上での課題になっている。
【0006】
上述した事情に鑑みて、本開示の少なくとも一実施形態の目的は、液化ガスを気化したガスにより駆動されるタービンのガス漏れを抑制しつつ、該タービンの構造の複雑化や高額化を抑制できる動力回収システム、および該動力回収システムを備える水上浮遊構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態にかかる動力回収システムは、
液化ガスを貯留する液化ガス貯留装置から供給される液化ガスから動力を回収する動力回収システムであって、
前記液化ガス貯留装置から供給される前記液化ガスを気化したガスにより駆動される第1タービンと、
前記第1タービンの軸封シール部から漏洩した前記ガスを導くための第1漏洩ガス導入管と、
前記第1漏洩ガス導入管により導かれた前記ガスを燃焼させるためのガス燃焼装置と、を備える。
【0008】
本開示の一実施形態にかかる水上浮遊構造体は、前記動力回収システムが搭載された。
【発明の効果】
【0009】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、液化ガスを気化したガスにより駆動されるタービンのガス漏れを抑制しつつ、該タービンの構造の複雑化や高額化を抑制できる動力回収システム、および該動力回収システムを備える水上浮遊構造体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態にかかる動力回収システムを搭載した水上浮遊構造体の構成を概略的に示す概略構成図である。
図2】本開示の一実施形態にかかる動力回収システムを搭載した水上浮遊構造体の構成を概略的に示す概略構成図である。
図3】本開示の一実施形態にかかる動力回収システムを搭載した水上浮遊構造体の構成を概略的に示す概略構成図である。
図4】本開示の一実施形態における第1タービンの回転シャフトの軸線に沿った断面を概略的に示す概略断面図である。
図5】本開示の一実施形態における再熱器を説明するための説明図である。
図6】第2熱媒体循環サイクルを説明するための説明図である。
図7】本開示の一実施形態にかかる動力回収システムを搭載した水上浮遊構造体の構成の一部を概略的に示す概略構成図である。
図8】本開示の一実施形態にかかる動力回収システムを搭載した水上浮遊構造体の構成の一部を概略的に示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
なお、同様の構成については同じ符号を付し説明を省略することがある。
【0012】
図1は、本開示の一実施形態にかかる動力回収システムを搭載した水上浮遊構造体の構成を概略的に示す概略構成図である。
幾つかの実施形態にかかる動力回収システム1は、図1に示されるように、液化ガスを貯留する液化ガス貯留装置(図示例では液化ガスタンク)31から供給される液化ガスから動力を回収するものである。なお、動力回収システム1は、液化ガスを気化したガスから動力を回収してもよい。動力回収システム1は、液化ガス貯留装置31から供給される液化ガスを気化したガスにより駆動される第1タービン2を少なくとも備える。
【0013】
(動力プラント)
動力回収システム1は、動力プラント10に含まれる。動力プラント10は、図1に示されるように、液化ガス供給システム3と、熱媒体循環サイクル4と、ガス燃焼システム5と、を備える。図示される実施形態では、動力回収システム1を含む動力プラント10は、水上浮遊構造体100に搭載されている。水上浮遊構造体100は、水上に浮遊可能な構造体である。水上浮遊構造体100には、プロペラなどの推進器を駆動させるように構成された推進装置を有し、推進装置を駆動させることで自走可能な船舶100Aや、推進装置を有さない浮体100Bを含むものである。なお、他の幾つかの実施形態では、動力回収システム1を含む動力プラント10は、少なくとも一部が陸上に設置されていてもよい。
【0014】
(液化ガス供給システム)
液化ガス供給システム3は、図1に示されるように、上述した液化ガス貯留装置31と、液化ガス貯留装置31から供給される液化ガスや液化ガスを気化したガスを導くための液化ガス供給ライン32と、液化ガス供給ライン32に設けられた液化ガス用ポンプ33と、液化ガス供給ライン32に設けられた上述した第1タービン2と、を含む。
【0015】
液化ガス供給ライン32は、流体(液化ガスや液化ガスを気化したガス)が流通可能な流路を有する。液化ガス供給ライン32は、その一方側321が液化ガス貯留装置31に接続され、その他方側322が液化ガスを気化したガスの供給先34に接続される。ガスの供給先34は、動力プラント10(水上浮遊構造体100)の内部又は外部の何れに設けられていてもよい。液化ガス用ポンプ33を駆動させることにより、液化ガス貯留装置31に貯留される液化ガスが液化ガス供給ライン32に送られて、液化ガス供給ライン32を上流側(一方側321)から下流側(他方側322)に向かって流れる。
【0016】
図示される実施形態では、液化ガス供給システム3は、液化ガス供給ライン32の第1タービン2よりも上流側に設けられた第1の熱交換器11と、液化ガス供給ライン32の第1タービン2よりも下流側に設けられた第2の熱交換器12と、をさらに含む。図示される実施形態では、液化ガス用ポンプ33は、液化ガス供給ライン32の第1の熱交換器11よりも上流側に設けられている。
【0017】
熱媒体循環サイクル4は、液化ガス貯留装置31から供給される液化ガスと熱交換される第1熱媒体が循環するように構成された第1熱媒体循環サイクル4Aを含む。第1熱媒体循環サイクル4Aは、第1熱媒体を循環させるための第1熱媒体循環ライン41を少なくとも含む。第1熱媒体循環ライン41は、流体(第1熱媒体)が流通可能な流路を有する。
以下、液化ガス貯留装置31に貯留される液化ガスの具体例として液化天然ガス(LNG)を、熱媒体循環サイクル4を流れる熱媒体の具体例としてプロパンを例に挙げて説明するが、本開示は、液化天然ガス以外の液化ガス(液化石油ガス、液体水素など)を、液化ガス貯留装置31に貯留される液化ガスとした場合にも適用可能であり、また、プロパン以外の熱媒体を、熱媒体循環サイクル4を流れる熱媒体とした場合にも適用可能である。
【0018】
第1の熱交換器11は、液化ガス供給ライン32を流れる液化ガスと、第1熱媒体循環ライン41を流れる第1熱媒体との間で熱交換を行うように構成されている。図1に示される実施形態では、第1の熱交換器11は、液化ガス供給ライン32に設けられた液化ガスが流れる第1熱交換部111と、第1熱媒体循環ライン41に設けられた第1熱媒体が流れる第2熱交換部112と、を含む。第2熱交換部112を流れる第1熱媒体は、第1熱交換部111を流れる液化ガスよりも高温になっている。第1熱交換部111と第2熱交換部112との間で熱交換が行われて、第1熱交換部111を流れる液化ガスが加熱され、第2熱交換部112を流れる第1熱媒体が冷却される。液化ガス供給ライン32を流れる液化ガスは、第1の熱交換器11の第1熱交換部111において加熱されることで、気化する。
【0019】
図示される実施形態では、第1熱媒体循環サイクル4Aは、第1熱媒体をオーガニックランキンサイクルの下で循環させるように構成されている。第1熱媒体循環サイクル4Aは、液化ガス供給システム3と第1の熱交換器11を共有している。第1熱媒体循環サイクル4Aは、上述した第1熱媒体循環ライン41と、上述した第1の熱交換器11と、第1熱媒体循環ライン41の第2熱交換部112(第1の熱交換器11)よりも下流側に設けられた第1熱媒体用の循環ポンプ42と、第1熱媒体循環ライン41の循環ポンプ42よりも下流側に設けられた第3の熱交換器43と、第1熱媒体循環ライン41の第3の熱交換器43よりも下流側に設けられた第1熱媒体用のタービン7Aと、を備える。
【0020】
循環ポンプ42を駆動させることにより、第1熱媒体循環ライン41を第1熱媒体が循環する。第3の熱交換器43は、第1熱媒体循環ライン41を流れる第1熱媒体と海水との間で熱交換を行うように構成されている。なお、第3の熱交換器43は、第1熱媒体と海水との間に中間熱媒体を介して間接的に熱交換を行うように構成されていてもよい。図1に示される実施形態では、第3の熱交換器43は、第1熱媒体循環ライン41に設けられた第1熱媒体が流れる第1熱媒体側熱交換部431と、動力プラント10の外部で取得された海水が流れる海水側熱交換部432と、を含む。第1熱媒体側熱交換部431を流れる第1熱媒体は、海水側熱交換部432を流れる海水よりも低温になっている。第1熱媒体側熱交換部431と海水側熱交換部432との間で熱交換が行われて、第1熱媒体側熱交換部431を流れる第1熱媒体が加熱される。
【0021】
(第1熱媒体用のタービン)
第1熱媒体用のタービン7Aは、図1に示されるように、回転シャフト71Aと、回転シャフト71Aに取り付けられたタービン翼72Aと、回転シャフト71Aおよびタービン翼72Aを回転可能に収容するケーシング73Aと、回転シャフト71Aとケーシング73Aとの間のシールする軸封シール部74Aと、を含む。回転シャフト71Aは、その軸線方向の少なくとも一方側がケーシング73Aの外部に突出している。ケーシング73Aには、第1熱媒体をケーシング73Aの内部に導入するための第1熱媒体導入口75Aと、タービン翼72Aを通過した第1熱媒体をケーシング73Aの外部に排出するための第1熱媒体排出口76Aと、が形成されている。
【0022】
第1熱媒体用のタービン7Aは、第1熱媒体を作業流体とし、該作動流体により駆動するように構成されている。第1熱媒体用のタービン7Aには、循環ポンプ42により昇圧され、第3の熱交換器43(第1熱媒体側熱交換部431)にて加熱された第1熱媒体が送られる。第1熱媒体導入口75Aを通じてケーシング73Aの内部に導入された第1熱媒体のエネルギーによりタービン翼72Aを回転させる。タービン翼72Aを通過した第1熱媒体は、第1熱媒体排出口76Aを通じてケーシング73Aの外部に排出される。
【0023】
動力回収システム1は、タービン翼72Aの回転力を動力として回収するように構成されている。図示される実施形態では、動力回収システム1は、タービン7Aの駆動により発電を行うように構成された第1熱媒体用の発電機44をさらに備える。発電機44は、回転シャフト71Aに機械的に接続されており、タービン翼72Aの回転力を電力に変換するように構成されている。なお、他の幾つかの実施形態では、動力回収システム1は、タービン翼72Aの回転力を電力に変換するのではなく、動力伝達装置(例えば、カップリングやベルト、プーリなど)によりそのまま動力として回収してもよい。
【0024】
(第1タービン)
第1タービン2は、図1に示されるように、回転シャフト21と、回転シャフト21に取り付けられたタービン翼22と、回転シャフト21およびタービン翼22を回転可能に収容するケーシング23と、回転シャフト21とケーシング23との間のシールする軸封シール部24と、を含む。回転シャフト21は、その軸線方向の少なくとも一方側がケーシング23の外部に突出している。ケーシング23には、液化ガス貯留装置31から供給される液化ガスを気化したガスをケーシング23の内部に導入するためのガス導入口25と、タービン翼22を通過したガスをケーシング23の外部に排出するためのガス排出口26と、が形成されている。
【0025】
第1タービン2は、液化ガスを気化したガスを作業流体とし、該作動流体により駆動するように構成されている。第1タービン2には、液化ガス用ポンプ33により昇圧され、第1の熱交換器11にて気化したガスが送られる。ガス導入口25を通じてケーシング23の内部に導入されたガスのエネルギーによりタービン翼22を回転させる。タービン翼22を通過したガスは、ガス排出口26を通じてケーシング23の外部に排出される。
【0026】
動力回収システム1は、タービン翼22の回転力を動力として回収するように構成されている。図示される実施形態では、動力回収システム1は、第1タービン2の駆動により発電を行うように構成された発電機13をさらに備える。発電機13は、回転シャフト21に機械的に接続されており、タービン翼22の回転力を電力に変換するように構成されている。なお、他の幾つかの実施形態では、動力回収システム1は、タービン翼22の回転力を電力に変換するのではなく、動力伝達装置(例えば、カップリングやベルト、プーリなど)によりそのまま動力として回収してもよい。
【0027】
第1タービン2から排出されたガスは、第1タービン2を通過することで、その温度が低下している。第2の熱交換器12は、第1タービン2から排出されたガスと、該ガスよりも高温の熱媒体との間で熱交換を行うように構成されている。図1に示される実施形態では、液化ガス供給ライン32上の第1タービン2よりも下流側に設けられた液化ガスを気化したガスが流れる第3熱交換部121と、第3熱交換部121を流れるガスよりも高温の熱媒体が流れる第4熱交換部122と、を含む。図1に示される実施形態では、第2の熱交換器12(第4熱交換部122)にて熱交換される熱媒体は、海水からなる。第3熱交換部121と第4熱交換部122との間で熱交換が行われて、第3熱交換部121を流れるガスが加熱される。ガスの供給先34には、第2の熱交換器12において加熱された昇温したガスが送られる。
【0028】
(動力回収システム)
幾つかの実施形態にかかる動力回収システム1は、図1に示されるように、液化ガス貯留装置31から供給される液化ガスを気化したガスにより駆動される上述した第1タービン2と、第1タービン2の軸封シール部24から漏洩したガス(第1漏洩ガス)を導くための第1漏洩ガス導入管14と、第1漏洩ガス導入管14により導かれたガスを燃焼させるためのガス燃焼装置51と、を備える。
【0029】
ガス燃焼装置51は、ガス燃料を導入するためのガス導入口52と、空気を導入するための空気導入口53と、ガス導入口52から導入されたガス燃料および空気導入口53から導入された空気を燃焼させるように構成された燃焼部54と、燃焼部54における燃焼により生じた排ガスをガス燃焼装置51の外部に排出するための排ガス排出口55と、を有する。
【0030】
図示される実施形態では、第1漏洩ガス導入管14の一方側141は、第1タービン2の軸封シール部24の外側、且つ軸封シール部24に隣接した位置に配置され、第1漏洩ガス導入管14の他方側142は、ガス燃焼装置51のガス燃料を導入するためのガス導入口52に接続されている。この場合には、第1漏洩ガスは、第1漏洩ガス導入管14の一方側141から第1漏洩ガス導入管14の内部に導かれて、第1漏洩ガス導入管14を一方側141から他方側142に向かって流れた後に、ガス導入口52を通じてガス燃焼装置51の燃焼部54に導かれる。燃焼部54に導かれた第1漏洩ガスは、燃焼部54にて燃焼処理される。図1に示される実施形態では、動力回収システム1は、第1漏洩ガス導入管14の途中に取り付けられた送風機15をさらに備える。送風機15は、不図示の羽根車を有し、該羽根車の回転運動により第1漏洩ガスを第1漏洩ガス導入管14の一方側141から他方側142に送るように構成されている。なお、動力回収システム1は、送風機15が発生させる吸引力により第1漏洩ガスを第1漏洩ガス導入管14の内部に吸引してもよい。この場合には、上述した「軸封シール部24に隣接した位置」には、送風機15が発生させる吸引力により第1漏洩ガスを第1漏洩ガス導入管14の内部に吸引可能な位置が含まれる。
【0031】
上記の構成によれば、動力回収システム1は、第1タービン2の軸封シール部24から漏洩したガス(第1漏洩ガス)を、第1漏洩ガス導入管14を通じてガス燃焼装置51に導いて、該ガス燃焼装置51にて燃焼処理できる。動力回収システム1は、第1漏洩ガスをガス燃焼装置51にて燃焼処理することで、第1漏洩ガスの大気中への流出を抑制できる。このため、動力回収システム1は、従来のように第1タービン2の軸封シール部24のシール性を高性能にしなくても、第1タービン2から大気中へのガスの漏洩を抑制できる。また、動力回収システム1は、第1漏洩ガスをガス燃焼装置51にて燃焼処理することで、第1漏洩ガスをガス燃焼装置51の燃料として利用できる。
【0032】
また、上記の構成によれば、動力回収システム1は、従来のように第1タービン2の軸封シール部24のシール性を高性能にしなくても良いため、第1タービン2の軸封シール部24を従来よりも構造が簡単なものにすることができる。これにより、第1タービン2の構造の複雑化や高額化を抑制でき、ひいては動力回収システム1の高額化を抑制できる。
【0033】
(ボイルオフガス導入管)
図2は、本開示の一実施形態にかかる動力回収システムを搭載した水上浮遊構造体の構成を概略的に示す概略構成図である。
幾つかの実施形態では、上述した動力回収システム1は、図2に示されるように、液化ガス貯留装置31にて気化したボイルオフガスをガス燃焼装置51に導くためのボイルオフガス導入管16をさらに備える。
【0034】
図示される実施形態では、ボイルオフガス導入管16の一方側161は、液化ガス貯留装置31に接続され、ボイルオフガス導入管16の他方側162は、第1漏洩ガス導入管14に合流している。液化ガス貯留装置31にて気化したボイルオフガスは、液化ガス貯留装置31にて加圧された状態となるため、その自圧により下流側(ガス燃焼装置51側)に流れるようになっている。ボイルオフガスは、ボイルオフガス導入管16の一方側161からボイルオフガス導入管16の内部に導かれて、ボイルオフガス導入管16の一方側161から他方側162に向かって流れた後に、ガス導入口52を通じてガス燃焼装置51の燃焼部54に導かれる。燃焼部54に導かれたボイルオフガスは、燃焼部54にて燃焼処理される。
【0035】
上記の構成によれば、動力回収システム1は、液化ガス貯留装置31にて気化したボイルオフガスを、ボイルオフガス導入管16を通じてガス燃焼装置51に導いて、該ガス燃焼装置51にて燃焼処理できる。このため、動力回収システム1は、ボイルオフガスをガス燃焼装置51にて燃焼処理することで、ボイルオフガスをガス燃焼装置51の燃料として利用できる。
【0036】
また、上記の構成によれば、動力回収システム1は、共有化したガス燃焼装置51により、第1漏洩ガスおよびボイルオフガスを燃焼処理できる。動力回収システム1は、ガス燃焼装置51を共有化することで、動力回収システム1の大型化や高額化を抑制できる。
【0037】
幾つかの実施形態では、図2に示されるように、上述したボイルオフガス導入管16は、一方側161が液化ガス貯留装置31に接続され、他方側162が第1漏洩ガス導入管14に合流している。
【0038】
上記の構成によれば、動力回収システム1は、第1漏洩ガス導入管14のボイルオフガス導入管16との合流部143よりも下流側を共有部144としており、該共有部144を通じて第1漏洩ガスやボイルオフガスをガス燃焼装置51に導くことができる。この場合には、ガス燃焼装置51は、ガスを導入するためのガス導入口52を、第1漏洩ガスやボイルオフガスの夫々に対して個別に設けなくても良いので、ガス燃焼装置51の構造の複雑化や高額化を抑制できる。
【0039】
なお、他の幾つかの実施形態では、ボイルオフガス導入管16は、その他方側162が、ガス燃焼装置51に設けられたボイルオフガス用のガス導入口に接続されてもよい。
【0040】
(第1タービンの空気シール)
図3は、本開示の一実施形態にかかる動力回収システムを搭載した水上浮遊構造体の構成を概略的に示す概略構成図である。
幾つかの実施形態では、図3に示されるように、上述した動力回収システム1は、空気を圧縮するように構成された第1圧縮機56と、第1圧縮機56で圧縮された圧縮空気をガス燃焼装置51に導入するための第1圧縮空気導入管57と、第1圧縮空気導入管57から分岐して圧縮空気の一部を第1タービン2の軸封シール部24に導くための第1圧縮空気供給管17と、をさらに備える。
【0041】
第1圧縮空気導入管57は、一方側572が第1圧縮機56に接続され、他方側571がガス燃焼装置51の空気導入口53に接続されている。第1圧縮空気供給管17の一方側171は、第1圧縮空気導入管57における第1圧縮機56よりも下流側(ガス導入口52側)に設けられた分岐部573にて第1圧縮空気導入管57に接続されている。
【0042】
図示される実施形態では、ガス燃焼システム5は、上述したガス燃焼装置51と、上述した第1圧縮機56と、上述した第1圧縮空気導入管57と、ガス燃焼装置51から排出された排ガスを排ガスタービン58に導入するための排ガス導入管59と、排ガス導入管59により導入された排ガスにより駆動するように構成された上記排ガスタービン58と、を含む。第1圧縮機56は、排ガスタービン58の駆動軸に機械的に連結されたロータを有するコンプレッサ(ターボチャージャのコンプレッサ)56Aと、電動コンプレッサ56Bと、を含む。なお、他の幾つかの実施形態では、第1圧縮機56は、コンプレッサ56A又は電動コンプレッサ56Bの何れか一方のみを含んでいてもよい。
【0043】
上記の構成によれば、動力回収システム1は、第1圧縮機56で圧縮された圧縮空気の一部を、第1圧縮空気供給管17を通じて第1タービン2の軸封シール部24に導いて空気シールとして使用することで、第1タービン2の軸封シール部24からのガス(第1漏洩ガス)の漏洩を抑制できる。また、動力回収システム1は、第1圧縮機56で圧縮された圧縮空気を空気シールとして使用することにより、第1漏洩ガスを圧縮空気が予混合した状態で、ガス燃焼装置51に導くことができるため、ガス燃焼装置51における燃焼効率を向上できる。
【0044】
図4は、本開示の一実施形態における第1タービンの回転シャフトの軸線に沿った断面を概略的に示す概略断面図である。
幾つかの実施形態では、図4に示されるように、上述した第1タービン2の軸封シール部24は、第1タービン2の回転シャフト21と、第1タービン2のケーシング23との間をシールする下流側シール部24Bと、下流側シール部24Bよりも上流側において回転シャフト21とケーシング23との間をシールする上流側シール部24Aと、を含む。第1圧縮空気供給管17は、下流側シール部24Bと上流側シール部24Aとの間に形成された空間231に連通している。ここで、「上流側」は、第1漏洩ガスが漏れる方向を基準としている。図4では、第1漏洩ガスは、回転シャフト21の軸線方向における一方側(図中左側)から他方側(図中右側)に漏れるため、上記一方側が上流側になり、上記他方側が下流側になる。
【0045】
図示される実施形態では、ケーシング23は、上流側シール部24Aにより内周側がシールされる上流側第1環状部232と、下流側シール部24Bにより内周側がシールされる下流側第2環状部233と、第1環状部232から回転シャフト21の軸線方向における上記他方側(下流側)に延びて第2環状部233に接続される環状の軸線方向延在部234と、を含む。上述した空間231は、軸線方向延在部234の内周側に形成されている。
【0046】
図示される実施形態では、ケーシング23は、軸線方向延在部234に内外を連通させるように貫通する貫通孔235が形成され、この貫通孔235に外周側から上述した第1圧縮空気供給管17の他方側172が接続されている。第1圧縮空気導入管57を流れる圧縮空気は、第1圧縮機56にて加圧された状態となるため、その自圧により一部が下流側(空間231側)に流れるようになっている。第1圧縮空気導入管57を流れる圧縮空気の一部は、第1圧縮空気供給管17の一方側171から第1圧縮空気供給管17の内部に導かれて、第1圧縮空気供給管17の一方側171から他方側172に向かって流れた後に、空間231に導かれる。空間231に圧縮空気が導入されることで、空間231の内部の流体(第1漏洩ガスおよび圧縮空気を含む)が昇圧される。
【0047】
上記の構成によれば、動力回収システム1は、第1圧縮機56で圧縮された圧縮空気の一部を、第1圧縮空気供給管17を通じて第1タービン2の下流側シール部24Bと上流側シール部24Aとの間に形成された空間231に導くことができる。これにより、上記空間231に圧縮空気を導入しない場合に比べて、上流側シール部24Aよりも上流側と、上流側シール部24Aよりも下流側(空間231)との間の圧力差を小さくできるため、上流側シール部24Aよりも下流側へのガスの漏洩を抑制できる。これにより、第1タービン2の軸封シール部24からのガス(第1漏洩ガス)の漏洩を抑制できる。
【0048】
幾つかの実施形態では、図4に示されるように、上述した上流側シール部24Aおよび上述した下流側シール部24Bは、ラビリンスシール24Cからなる。上述したように、動力回収システム1は、第1漏洩ガスをガス燃焼装置51にて燃焼処理することで、従来のように第1タービン2の軸封シール部24のシール性を高性能にしなくても、第1タービン2から大気中へのガスの漏洩を抑制できる。上記の構成によれば、第1タービン2の軸封シール部24(上流側シール部24Aおよび下流側シール部24B)におけるシールにラビリンスシール24Cを用いることで、第1タービン2から大気中へのガスの漏洩を十分に抑制できる。また、第1タービン2の軸封シール部24におけるシールに構造が簡単であるラビリンスシール24Cを用いることで、第1タービン2の構造の複雑化や高額化を抑制でき、ひいては動力回収システム1の高額化を抑制できる。
【0049】
図5は、本開示の一実施形態における再熱器を説明するための説明図である。
幾つかの実施形態では、上述した動力回収システム1は、図5に示されるように、第1タービン2からガスを抽気して第1タービン2におけるガスの抽気位置P1よりも下流側に戻す抽気管61と、抽気管61を流れるガスを加熱するように構成された再熱器62と、をさらに備える。図示される実施形態では、抽気管61により抽気されたガスは、抽気位置P1よりも下流側のタービン翼22に送られる。
【0050】
上記の構成によれば、第1タービン2にて膨張したガスの一部は、抽気管61により抽気されて再熱器62により加熱された後に、抽気管61を通じて第1タービン2における抽気位置P1よりも下流側に戻される。つまり、上述した動力回収システム1は、再熱サイクルを採用している。この場合には、動力回収システム1は、再熱器62によりガスを加熱することで、第1タービン2における膨張おわり(最終段付近)の蒸気湿り度の増大を抑制できるため、最終段付近のタービン翼22の腐食を抑制でき、且つ第1タービン2の熱効率の向上が図れる。
【0051】
幾つかの実施形態では、図5に示されるように、上述した再熱器62は、抽気管61を流れるガスと、液化ガス貯留装置31から供給される液化ガスと熱交換される熱媒体(第1熱媒体)との間の熱交換を行うように構成された熱交換器62Aを含む。
【0052】
図示される実施形態では、熱交換器62Aは、第1熱媒体循環ライン41に設けられた第1熱媒体が流れる第5熱交換部621と、抽気管61に設けられた第6熱交換部622と、を含む。第5熱交換部621を流れる第1熱媒体は、第6熱交換部622を流れる液化ガスを気化したガスよりも高温になっている。第5熱交換部621と第6熱交換部622との間で熱交換が行われて、第6熱交換部622を流れるガスが加熱される。図5に示される実施形態では、熱交換器62Aは、第1の熱交換器11と同じケーシングに収容されている。
【0053】
上記の構成によれば、熱交換器62Aにより、第1タービン2から抽気されて抽気管61を流れるガス(抽気ガス)と、第1熱媒体との間の熱交換が行われて、抽気ガスが加熱される。この場合には、熱交換器62A(再熱器62)の構造を簡単なものにできるとともに、熱交換器62Aにおける抽気ガスの熱源として第1熱媒体を利用できる。熱交換器62Aにおける抽気ガスの熱源として第1熱媒体を利用することで、第1熱媒体の凝縮工程における凝縮が促進されるため、第2タービン7(タービン7A)の熱効率の向上が図れる。
【0054】
なお、他の幾つかの実施形態では、再熱器62は、抽気管61を流れるガスを加熱するヒーターであってもよい。また、再熱器62は、抽気管61を流れるガスと海水との間の熱交換を行うように構成された熱交換器や、抽気管61を流れるガスと後述する第2熱媒体との間の熱交換を行うように構成された熱交換器であってもよい。
【0055】
図6は、第2熱媒体循環サイクルを説明するための説明図である。
熱媒体循環サイクル4は、上述した第1熱媒体循環サイクル4Aと、第1タービン2から排出されたガスと熱交換される熱媒体(第2熱媒体)が循環するように構成された第2熱媒体循環サイクル4Bと、の少なくとも何れか一方を含む。
【0056】
図6に示されるように、第2熱媒体循環サイクル4Bは、第2熱媒体をオーガニックランキンサイクルの下で循環させるように構成されている。第2熱媒体循環サイクル4Bは、液化ガス供給システム3と第2の熱交換器12を共有している。第2熱媒体循環サイクル4Bは、第2熱媒体を循環させるための第2熱媒体循環ライン45と、上述した第2の熱交換器12と、第2熱媒体循環ライン45の第4熱交換部122(第2の熱交換器12)よりも下流側に設けられた第2熱媒体用の循環ポンプ46と、第2熱媒体循環ライン45の循環ポンプ46よりも下流側に設けられた第4の熱交換器47と、第2熱媒体循環ライン45の第4の熱交換器47よりも下流側に設けられた第2熱媒体用のタービン7Bと、を備える。第2熱媒体循環ライン45は、流体(第2熱媒体)が流通可能な流路を有する。
【0057】
循環ポンプ46を駆動させることにより、第2熱媒体循環ライン45を第2熱媒体が循環する。第4の熱交換器47は、第2熱媒体循環ライン45を流れる第2熱媒体と海水との間で熱交換を行うように構成されている。なお、第4の熱交換器47は、第2熱媒体と海水との間に中間熱媒体を介して間接的に熱交換を行うように構成されていてもよい。図6に示される実施形態では、第4の熱交換器47は、第2熱媒体循環ライン45に設けられた第2熱媒体が流れる第2熱媒体側熱交換部471と、動力プラント10の外部で取得された海水が流れる海水側熱交換部472と、を含む。第2熱媒体側熱交換部471を流れる第2熱媒体は、海水側熱交換部472を流れる海水よりも低温になっている。第2熱媒体側熱交換部471と海水側熱交換部472との間で熱交換が行われて、第2熱媒体側熱交換部471を流れる第2熱媒体が加熱される。
【0058】
(第2熱媒体用のタービン)
第2タービン7は、上述した第1熱媒体用のタービン7Aと、第2熱媒体用のタービン7Bと、の少なくとも何れか一方を含む。タービン7Bは、図6に示されるように、回転シャフト71Bと、回転シャフト71Bに取り付けられたタービン翼72Bと、回転シャフト71Bおよびタービン翼72Bを回転可能に収容するケーシング73Bと、回転シャフト71Bとケーシング73Bとの間のシールする軸封シール部74Bと、を含む。回転シャフト71Bは、その軸線方向の少なくとも一方側がケーシング73Bの外部に突出している。ケーシング73Bには、第2熱媒体をケーシング73Bの内部に導入するための第2熱媒体導入口75Bと、タービン翼72Bを通過した第2熱媒体をケーシング73Bの外部に排出するための第2熱媒体排出口76Bと、が形成されている。
【0059】
第2熱媒体用のタービン7Bは、第2熱媒体を作業流体とし、該作動流体により駆動するように構成されている。第2熱媒体用のタービン7Bには、循環ポンプ46により昇圧され、第4の熱交換器47(第2熱媒体側熱交換部471)にて加熱された第2熱媒体が送られる。第2熱媒体導入口75Bを通じてケーシング73Bの内部に導入された第2熱媒体のエネルギーによりタービン翼72Bを回転させる。タービン翼72Bを通過した第2熱媒体は、第2熱媒体排出口76Bを通じてケーシング73Bの外部に排出される。
【0060】
動力回収システム1は、タービン翼72Bの回転力を動力として回収するように構成されている。図示される実施形態では、動力回収システム1は、タービン7Bの駆動により発電を行うように構成された第2熱媒体用の発電機48をさらに備える。発電機48は、回転シャフト71Bに機械的に接続されており、タービン翼72Bの回転力を電力に変換するように構成されている。なお、他の幾つかの実施形態では、動力回収システム1は、タービン翼72Bの回転力を電力に変換するのではなく、動力伝達装置(例えば、カップリングやベルト、プーリなど)によりそのまま動力として回収してもよい。
【0061】
図7および図8の夫々は、本開示の一実施形態にかかる動力回収システムを搭載した水上浮遊構造体の構成の一部を概略的に示す概略構成図である。
幾つかの実施形態では、上述した動力回収システム1は、図7および図8に示されるように、液化ガス貯留装置31から供給される液化ガス、又は第1タービン2から排出されたガスと熱交換される熱媒体が循環するように構成された熱媒体循環サイクル4であって、上記熱媒体を作動流体とする第2タービン7を含む熱媒体循環サイクル4と、第2タービン7の軸封シール部74(74A、74B)から漏洩した作動流体をガス燃焼装置51に導くための第2漏洩ガス導入管18と、をさらに備える。
【0062】
図7に示される実施形態では、熱媒体循環サイクル4は、上述したタービン7Aを含む第1熱媒体循環サイクル4Aを含む。本実施形態では、第1熱媒体は、可燃性を有する。第2漏洩ガス導入管18は、上述した第1熱媒体用のタービン7Aの軸封シール部74Aから漏洩した作動流体(第1熱媒体)をガス燃焼装置51に導くための第1熱媒体用の漏洩ガス導入管18Aを含む。
【0063】
図7に示される実施形態では、漏洩ガス導入管18Aの一方側181は、軸封シール部74Aの外側、且つ軸封シール部74A(74)に隣接した位置に配置され、漏洩ガス導入管18Aの他方側182は、第1漏洩ガス導入管14の送風機15よりも上流側(一方側141)に接続されている。軸封シール部74Aから漏洩した作動流体(第1熱媒体)は、漏洩ガス導入管18A、第1漏洩ガス導入管14およびガス導入口52を通じて燃焼部54に導かれる。燃焼部54に導かれた可燃性を有する第1熱媒体は、燃焼部54にて燃焼処理される。なお、動力回収システム1は、送風機15が発生させる吸引力により軸封シール部74Aから漏洩した第1熱媒体を漏洩ガス導入管18Aの内部に吸引してもよい。
【0064】
図8に示される実施形態では、熱媒体循環サイクル4は、上述したタービン7Bを含む第2熱媒体循環サイクル4Bを含む。本実施形態では、第2熱媒体は、可燃性を有する。図8に示される実施形態では、上述した第2の熱交換器12(第4熱交換部122)にて熱交換される熱媒体は、プロパンからなる。第2漏洩ガス導入管18は、上述した第2熱媒体用のタービン7Bの軸封シール部74Bから漏洩した作動流体(第2熱媒体)をガス燃焼装置51に導くための第2熱媒体用の漏洩ガス導入管18Bを含む。
【0065】
図8に示される実施形態では、漏洩ガス導入管18Bの一方側183は、軸封シール部74Bの外側、且つ軸封シール部74B(74)に隣接した位置に配置され、漏洩ガス導入管18Bの他方側184は、第1漏洩ガス導入管14の送風機15よりも上流側(一方側141)に接続されている。軸封シール部74Bから漏洩した作動流体(第2熱媒体)は、漏洩ガス導入管18B、第1漏洩ガス導入管14およびガス導入口52を通じて燃焼部54に導かれる。燃焼部54に導かれた可燃性を有する第2熱媒体は、燃焼部54にて燃焼処理される。なお、動力回収システム1は、送風機15が発生させる吸引力により軸封シール部74Bから漏洩した第2熱媒体を漏洩ガス導入管18Bの内部に吸引してもよい。この場合には、上述した「軸封シール部74(74A、74B)に隣接した位置」には、送風機15が発生させる吸引力により第2タービン7の軸封シール部74から漏洩したガス(第2漏洩ガス)を、第2漏洩ガス導入管18(18A、18B)の内部に吸引可能な位置が含まれる。また、動力回収システム1は、漏洩ガス導入管18Aおよび漏洩ガス導入管18Bの両方を備えてもよい。
【0066】
上記の構成によれば、動力回収システム1は、熱媒体循環サイクル4の第2タービン7の軸封シール部74から漏洩したガス(第2漏洩ガス)を、第2漏洩ガス導入管18を通じてガス燃焼装置51に導いて、該ガス燃焼装置51にて燃焼処理できる。動力回収システム1は、第2漏洩ガスをガス燃焼装置51にて燃焼処理することで、第2漏洩ガスの大気中への流出を抑制できる。このため、動力回収システム1は、従来のように第2タービン7の軸封シール部74のシール性を高性能にしなくても、第2タービン7から大気中へのガスの漏洩を抑制できる。また、動力回収システム1は、第2漏洩ガスをガス燃焼装置51にて燃焼処理することで、第2漏洩ガスをガス燃焼装置51の燃料として利用できる。
【0067】
また、上記の構成によれば、動力回収システム1は、従来のように第2タービン7の軸封シール部74のシール性を高性能にしなくても良いため、第2タービン7の軸封シール部74を従来よりも構造が簡単なものにすることができる。これにより、第2タービン7の構造の複雑化や高額化を抑制でき、ひいては動力回収システム1の高額化を抑制できる。
【0068】
幾つかの実施形態では、上述した動力回収システム1は、図7および図8に示されるように、空気を圧縮するように構成された第2圧縮機81と、第2圧縮機81に圧縮された圧縮空気をガス燃焼装置51に導入するための第2圧縮空気導入管82と、第2圧縮空気導入管82から分岐して第2圧縮機81に圧縮された圧縮空気の一部を第2タービン7の軸封シール部74(74A、74B)に導くための第2圧縮空気供給管83と、を備える。
【0069】
図7および図8に示される実施形態では、第2圧縮機81は、第1圧縮機56に共有化され、第2圧縮空気導入管82は、第1圧縮空気導入管57に共有化されている。この場合には、圧縮機や圧縮空気導入管の数を削減できるため、動力回収システム1の大型化を抑制できる。なお、他の実施形態では、第2圧縮機81や第2圧縮空気導入管82を、第1圧縮機56や第1圧縮空気導入管57とは別体としてもよい。
【0070】
図示される実施形態では、第2圧縮空気供給管83は、第2圧縮空気導入管82における第2圧縮機81よりも下流側(ガス導入口52側)に設けられた分岐部821にて第2圧縮空気導入管82に接続されている。第2圧縮空気供給管83は、第1圧縮空気供給管17との合流部831よりも上流側を第1圧縮空気供給管17と共有している。
【0071】
図7に示される実施形態では、第2圧縮空気供給管83は、第1熱媒体用のタービン7Aの軸封シール部74Aに圧縮空気を導くように構成された第1熱媒体用の圧縮空気供給管83Aを含む。この場合には、圧縮空気供給管83A(第2圧縮空気供給管83)を通じて軸封シール部74Aに導かれた圧縮空気を空気シールとして使用することで、軸封シール部74Aからの第1熱媒体の漏洩を抑制できる。
【0072】
図8に示される実施形態では、第2圧縮空気供給管83は、第2熱媒体用のタービン7Bの軸封シール部74Bに圧縮空気を導くように構成された第2熱媒体用の圧縮空気供給管83Bを含む。この場合には、圧縮空気供給管83B(第2圧縮空気供給管83)を通じて軸封シール部74Bに導かれた圧縮空気を空気シールとして使用することで、軸封シール部74Bからの第2熱媒体の漏洩を抑制できる。なお、動力回収システム1は、圧縮空気供給管83Aおよび圧縮空気供給管83Bの両方を備えてもよい。
【0073】
上記の構成によれば、動力回収システム1は、第2圧縮機81で圧縮された圧縮空気の一部を、第2圧縮空気供給管83を通じて第2タービン7の軸封シール部74に導いて空気シールとして使用することで、第2タービン7の軸封シール部74からのガス(第2漏洩ガス)の漏洩を抑制できる。また、動力回収システム1は、第2圧縮機81で圧縮された圧縮空気を空気シールとして使用することにより、第2漏洩ガスを圧縮空気が予混合した状態で、ガス燃焼装置51に導くことができるため、ガス燃焼装置51における燃焼効率を向上できる。
【0074】
幾つかの実施形態にかかる水上浮遊構造体100は、図1図3図5図8に示されるように、上述した動力回収システム1が搭載された。この場合には、動力回収システム1は、液化ガスを気化したガスにより駆動される第1タービン2のガス漏れを抑制しつつ、該タービン第1タービン2の構造の複雑化や高額化を抑制できる。これにより、動力回収システム1の高額化を抑制でき、ひいては動力回収システム1を搭載した水上浮遊構造体100の高額化を抑制できる。
【0075】
なお、上述した幾つかの実施形態のように、動力回収システム1の大型化を抑制することで、水上浮遊構造体100における動力回収システム1の占有スペースを小さなものにできるため、水上浮遊構造体100の空きスペースの有効活用が図れる。
【0076】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0077】
上述した幾つかの実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握されるものである。
【0078】
1)本開示の少なくとも一実施形態にかかる動力回収システム(1)は、
液化ガスを貯留する液化ガス貯留装置(31)から供給される液化ガスから動力を回収する動力回収システム(1)であって、
前記液化ガス貯留装置(31)から供給される前記液化ガスを気化したガスにより駆動される第1タービン(2)と、
前記第1タービン(2)の軸封シール部(24)から漏洩した前記ガスを導くための第1漏洩ガス導入管(14)と、
前記第1漏洩ガス導入管(14)により導かれた前記ガスを燃焼させるためのガス燃焼装置(51)と、を備える。
【0079】
上記1)の構成によれば、動力回収システムは、第1タービンの軸封シール部から漏洩したガス(第1漏洩ガス)を、第1漏洩ガス導入管を通じてガス燃焼装置に導いて、該ガス燃焼装置にて燃焼処理できる。動力回収システムは、第1漏洩ガスをガス燃焼装置にて燃焼処理することで、第1漏洩ガスの大気中への流出を抑制できる。このため、動力回収システムは、従来のように第1タービンの軸封シール部のシール性を高性能にしなくても、第1タービンから大気中へのガスの漏洩を抑制できる。また、動力回収システムは、第1漏洩ガスをガス燃焼装置にて燃焼処理することで、第1漏洩ガスをガス燃焼装置の燃料として利用できる。
【0080】
また、上記1)の構成によれば、動力回収システムは、従来のように第1タービンの軸封シール部のシール性を高性能にしなくても良いため、第1タービンの軸封シール部を従来よりも構造が簡単なものにすることができる。これにより、第1タービンの構造の複雑化や高額化を抑制でき、ひいては動力回収システムの高額化を抑制できる。
【0081】
2)幾つかの実施形態では、上記1)に記載の動力回収システム(1)であって、
前記液化ガス貯留装置(31)にて気化したボイルオフガスを前記ガス燃焼装置(51)に導くためのボイルオフガス導入管(16)をさらに備える。
【0082】
上記2)の構成によれば、動力回収システムは、液化ガス貯留装置にて気化したボイルオフガスを、ボイルオフガス導入管を通じてガス燃焼装置に導いて、該ガス燃焼装置にて燃焼処理できる。このため、動力回収システムは、ボイルオフガスをガス燃焼装置にて燃焼処理することで、ボイルオフガスをガス燃焼装置の燃料として利用できる。
【0083】
また、上記2)の構成によれば、動力回収システムは、共有化したガス燃焼装置により、第1漏洩ガスおよびボイルオフガスを燃焼処理できる。動力回収システムは、ガス燃焼装置を共有化することで、動力回収システムの大型化や高額化を抑制できる。
【0084】
3)幾つかの実施形態では、上記2)に記載の動力回収システム(1)であって、
前記ボイルオフガス導入管(16)は、一方側(161)が前記液化ガス貯留装置(31)に接続され、他方側(162)が前記第1漏洩ガス導入管(14)に合流している。
【0085】
上記3)の構成によれば、動力回収システムは、第1漏洩ガス導入管のボイルオフガス導入管との合流部よりも下流側を共有部としており、該共有部を通じて第1漏洩ガスやボイルオフガスをガス燃焼装置に導くことができる。この場合には、ガス燃焼装置は、ガスを導入するためのガス導入口を、第1漏洩ガスやボイルオフガスの夫々に対して個別に設けなくても良いので、ガス燃焼装置の構造の複雑化や高額化を抑制できる。
【0086】
4)幾つかの実施形態では、上記1)~3)の何れかに記載の動力回収システム(1)であって、
空気を圧縮するように構成された第1圧縮機(56)と、
前記第1圧縮機(56)で圧縮された圧縮空気を前記ガス燃焼装置(51)に導入するための第1圧縮空気導入管(57)と、
前記第1圧縮空気導入管(57)から分岐して前記圧縮空気の一部を前記第1タービン(2)の前記軸封シール部(24)に導くための第1圧縮空気供給管(17)と、をさらに備える。
【0087】
上記4)の構成によれば、動力回収システムは、第1圧縮機で圧縮された圧縮空気の一部を、第1圧縮空気供給管を通じて第1タービンの軸封シール部に導いて空気シールとして使用することで、第1タービンの軸封シール部からのガス(第1漏洩ガス)の漏洩を抑制できる。また、動力回収システムは、第1圧縮機で圧縮された圧縮空気を空気シールとして使用することにより、第1漏洩ガスを圧縮空気が予混合した状態で、ガス燃焼装置に導くことができるため、ガス燃焼装置における燃焼効率を向上できる。
【0088】
5)幾つかの実施形態では、上記4)に記載の動力回収システム(1)であって、
前記第1タービン(2)の前記軸封シール部(24)は、
前記第1タービン(2)の回転シャフト(21)と、前記第1タービン(2)のケーシング(23)との間をシールする下流側シール部(24B)と、
前記下流側シール部(24B)よりも上流側において前記回転シャフト(21)と前記ケーシング(23)との間をシールする上流側シール部(24A)と、を含み、
前記第1圧縮空気供給管は、前記下流側シール部(24B)と前記上流側シール部(24A)との間に形成された空間(231)に連通している。
【0089】
上記5)の構成によれば、動力回収システムは、第1圧縮機で圧縮された圧縮空気の一部を、第1圧縮空気供給管を通じて第1タービンの下流側シール部と上流側シール部との間に形成された空間に導くことができる。これにより、上記空間に圧縮空気を導入しない場合に比べて、上流側シール部よりも上流側と、上流側シール部よりも下流側との間の圧力差を小さくできるため、上流側シール部よりも下流側へのガスの漏洩を抑制できる。これにより、第1タービンの軸封シール部からのガス(第1漏洩ガス)の漏洩を抑制できる。
【0090】
6)幾つかの実施形態では、上記5)に記載の動力回収システム(1)であって、
前記上流側シール部(24A)および前記下流側シール部(24B)は、ラビリンスシール(24C)からなる。
【0091】
上述したように、動力回収システムは、第1漏洩ガスをガス燃焼装置にて燃焼処理することで、従来のように第1タービンの軸封シール部のシール性を高性能にしなくても、第1タービンから大気中へのガスの漏洩を抑制できる。上記6)の構成によれば、第1タービンの軸封シール部(上流側シール部および下流側シール部)におけるシールにラビリンスシールを用いることで、第1タービンから大気中へのガスの漏洩を十分に抑制できる。また、第1タービンの軸封シール部におけるシールに構造が簡単であるラビリンスシールを用いることで、第1タービンの構造の複雑化や高額化を抑制でき、ひいては動力回収システムの高額化を抑制できる。
【0092】
7)幾つかの実施形態では、上記1)~6)の何れかに記載の動力回収システム(1)であって、
前記第1タービン(2)から前記ガスを抽気して前記第1タービン(2)における前記ガスの抽気位置(P1)よりも下流側に戻す抽気管(61)と、
前記抽気管(61)を流れる前記ガスを加熱するように構成された再熱器(62)と、をさらに備える。
【0093】
上記7)の構成によれば、第1タービンにて膨張したガスの一部は、抽気管により抽気されて再熱器により加熱された後に、抽気管を通じて第1タービンにおける抽気位置よりも下流側に戻される。つまり、上述した動力回収システムは、再熱サイクルを採用している。この場合には、動力回収システムは、再熱器によりガスを加熱することで、第1タービンにおける膨張おわり(最終段付近)の蒸気湿り度の増大を抑制できるため、最終段付近のタービン翼の腐食を抑制でき、且つ第1タービンの熱効率の向上が図れる。
【0094】
8)幾つかの実施形態では、上記7)に記載の動力回収システム(1)であって、
前記再熱器(62)は、前記抽気管(61)を流れる前記ガスと、前記液化ガス貯留装置(31)から供給される前記液化ガスと熱交換される熱媒体(第1熱媒体)との間の熱交換を行うように構成された熱交換器(62A)を含む。
【0095】
上記8)の構成によれば、上記熱交換器により、第1タービンから抽気されて抽気管を流れるガス(抽気ガス)と、第1熱媒体との間の熱交換が行われて、抽気ガスが加熱される。この場合には、上記熱交換器(再熱器)の構造を簡単なものにできるとともに、熱交換器における抽気ガスの熱源として第1熱媒体を利用できる。上記熱交換器における抽気ガスの熱源として第1熱媒体を利用することで、第1熱媒体の凝縮工程における凝縮が促進されるため、第2タービン(第1熱媒体用のタービン)の熱効率の向上が図れる。
【0096】
9)幾つかの実施形態では、上記1)~8)の何れかに記載の動力回収システム(1)であって、
前記液化ガス貯留装置(31)から供給される前記液化ガス、又は前記第1タービン(2)から排出された前記ガスと熱交換される熱媒体が循環するように構成された熱媒体循環サイクル(4)であって、前記熱媒体を作動流体とする第2タービン(7)を含む熱媒体循環サイクル(4)と、
前記第2タービン(7)の軸封シール部(74)から漏洩した前記作動流体を前記ガス燃焼装置(51)に導くための第2漏洩ガス導入管(18)と、をさらに備える。
【0097】
上記9)の構成によれば、動力回収システムは、熱媒体循環サイクルの第2タービンの軸封シール部から漏洩したガス(第2漏洩ガス)を、第2漏洩ガス導入管を通じてガス燃焼装置に導いて、該ガス燃焼装置にて燃焼処理できる。動力回収システムは、第2漏洩ガスをガス燃焼装置にて燃焼処理することで、第2漏洩ガスの大気中への流出を抑制できる。このため、動力回収システムは、従来のように第2タービンの軸封シール部のシール性を高性能にしなくても、第2タービンから大気中へのガスの漏洩を抑制できる。また、動力回収システムは、第2漏洩ガスをガス燃焼装置にて燃焼処理することで、第2漏洩ガスをガス燃焼装置の燃料として利用できる。
【0098】
また、上記9)の構成によれば、動力回収システムは、従来のように第2タービンの軸封シール部のシール性を高性能にしなくても良いため、第2タービンの軸封シール部を従来よりも構造が簡単なものにすることができる。これにより、第2タービンの構造の複雑化や高額化を抑制でき、ひいては動力回収システムの高額化を抑制できる。
【0099】
10)幾つかの実施形態では、上記9)に記載の動力回収システム(1)であって、
前記動力回収システム(1)は、
空気を圧縮するように構成された第2圧縮機(81)と、
前記第2圧縮機(81)に圧縮された圧縮空気を前記ガス燃焼装置(51)に導入するための第2圧縮空気導入管(82)と、
前記第2圧縮空気導入管(82)から分岐して前記第2圧縮機(81)に圧縮された前記圧縮空気の一部を前記第2タービン(7)の前記軸封シール部(74)に導くための第2圧縮空気供給管(83)と、を備える。
【0100】
上記10)の構成によれば、動力回収システムは、第2圧縮機で圧縮された圧縮空気の一部を、第2圧縮空気供給管を通じて第2タービンの軸封シール部に導いて空気シールとして使用することで、第2タービンの軸封シール部からのガス(第2漏洩ガス)の漏洩を抑制できる。また、動力回収システムは、第2圧縮機で圧縮された圧縮空気を空気シールとして使用することにより、第2漏洩ガスを圧縮空気が予混合した状態で、ガス燃焼装置に導くことができるため、ガス燃焼装置における燃焼効率を向上できる。
【0101】
11)本開示の少なくとも一実施形態にかかる水上浮遊構造体(100)は、
上記1)~10)の何れかに記載の動力回収システム(1)が搭載された。
【0102】
上記11)の構成によれば、上記動力回収システムは、液化ガスを気化したガスにより駆動されるタービンのガス漏れを抑制しつつ、該タービンの構造の複雑化や高額化を抑制できる。これにより、動力回収システムの高額化を抑制でき、ひいては動力回収システムを搭載した水上浮遊構造体の高額化を抑制できる。
【符号の説明】
【0103】
1 動力回収システム
2 第1タービン
3 液化ガス供給システム
4 熱媒体循環サイクル
4A 第1熱媒体循環サイクル
4B 第2熱媒体循環サイクル
5 ガス燃焼システム
7 第2タービン
7A (第1熱媒体用の)タービン
7B (第2熱媒体用の)タービン
10 動力プラント
11 第1の熱交換器
12 第2の熱交換器
13,44,48 発電機
14 第1漏洩ガス導入管
15 送風機
16 ボイルオフガス導入管
17 第1圧縮空気供給管
18 第2漏洩ガス導入管
18A,18B 漏洩ガス導入管
21,71A,71B 回転シャフト
22,72A,72B タービン翼
23,73A,73B ケーシング
24,74,74A,74B 軸封シール部
24A 上流側シール部
24B 下流側シール部
24C ラビリンスシール
25,52 ガス導入口
26 ガス排出口
31 液化ガス貯留装置
32 液化ガス供給ライン
33 液化ガス用ポンプ
34 供給先
41 第1熱媒体循環ライン
42,46 循環ポンプ
43 第3の熱交換器
45 第2熱媒体循環ライン
47 第4の熱交換器
51 ガス燃焼装置
53 空気導入口
54 燃焼部
55 排ガス排出口
56 第1圧縮機
56A コンプレッサ
56B 電動コンプレッサ
57 第1圧縮空気導入管
58 排ガスタービン
59 排ガス導入管
61 抽気管
62 再熱器
62A 熱交換器
75A 第1熱媒体導入口
75B 第2熱媒体導入口
76A 第1熱媒体排出口
76B 第2熱媒体排出口
81 第2圧縮機
82 第2圧縮空気導入管
83 第2圧縮空気供給管
83A,83B 圧縮空気供給管
100 水上浮遊構造体
100A 船舶
100B 浮体
231 空間
232 第1環状部
233 第2環状部
234 軸線方向延在部
235 貫通孔
P1 抽気位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8