(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】介護システム
(51)【国際特許分類】
G16H 80/00 20180101AFI20240418BHJP
G16H 10/60 20180101ALI20240418BHJP
A61G 12/00 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
G16H80/00
G16H10/60
A61G12/00 E
(21)【出願番号】P 2020164170
(22)【出願日】2020-09-29
【審査請求日】2023-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】片岡 夏海
(72)【発明者】
【氏名】西田 竜太
(72)【発明者】
【氏名】高田 昌太
(72)【発明者】
【氏名】西口 絵里子
【審査官】原 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-267358(JP,A)
【文献】特開2016-206959(JP,A)
【文献】特開2020-071503(JP,A)
【文献】特開2016-220806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 50/22
A61G 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
介護者及び被介護者が通話可能な通話部と、
前記通話部を介して行われる通話内容を認識する認識部と、
前記被介護者の現時点の情報を複数取得する取得部と、
前記被介護者の過去の情報を複数記憶する記憶部と、
前記通話内容の認識結果に基づいて、前記現時点の情報及び前記過去の情報の中から一部の情報を提示する提示部と、
を具備する、
介護システム。
【請求項2】
前記一部の情報には、
予め設定された複数の項目に関する情報が含まれる、
請求項1に記載の介護システム。
【請求項3】
前記提示部は、
前記複数の項目ごとに前記一部の情報を切り替えて表示可能な切替画面を表示する、
請求項2に記載の介護システム。
【請求項4】
前記提示部は、
前記認識結果に含まれた介護に関するキーワードに基づいて、前記現時点の情報及び前記過去の情報の中から前記一部の情報を抽出する、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の介護システム。
【請求項5】
前記現時点の情報には、
前記被介護者の生体情報が含まれる、
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の介護システム。
【請求項6】
前記過去の情報には、
過去に取得された前記被介護者の生体情報が含まれる、
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の介護システム。
【請求項7】
前記現時点の情報には、
前記被介護者の居室の環境情報が含まれる、
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の介護システム。
【請求項8】
前記居室の環境情報には、
前記居室の温度及び湿度が含まれる、
請求項7に記載の介護システム。
【請求項9】
前記過去の情報には、
過去に前記被介護者を介護した介護者からの申し送り事項が含まれる、
請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の介護システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、介護に関する処理を行う介護システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、介護に関する処理を行う介護システムの技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載の医療介護施設管理システム(介護システム)は、マイク、スピーカ、呼出ボタン及び電子計算機を具備する。マイク、スピーカ及び呼出ボタンは、居室に設けられる。マイク及びスピーカは、ナースステーションの電話機と接続される。呼出ボタンが押下されると、マイク及びスピーカを介して居室とナースステーションとの間で通話可能となる。電子計算機は、ナースステーションに設けられ、呼出ボタンが押下された場合に、当該呼出ボタンが設けられた居室の情報を表示する。
【0004】
特許文献1に記載の医療介護施設管理システムにおいては、電子計算機に表示された情報から被介護者を特定可能である。しかし、電子計算機には、それ以外の情報が表示されない。このため、介護者は、呼出ボタンが押下された場合に、介護記録が記載された書類等を別途確認して被介護者の症状を把握する必要がある。このように、従来技術においては、被介護者の症状(呼出ボタンが押下された理由)を把握するのに手間がかかってしまうため、介護業務の効率化を図ることが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、介護業務の効率化を図ることが可能な介護システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、介護者及び被介護者が通話可能な通話部と、前記通話部を介して行われる通話内容を認識する認識部と、前記被介護者の現時点の情報を複数取得する取得部と、前記被介護者の過去の情報を複数記憶する記憶部と、前記通話内容の認識結果に基づいて、前記現時点の情報及び前記過去の情報の中から一部の情報を提示する提示部と、を具備するものである。
【0009】
請求項2においては、前記一部の情報には、予め設定された複数の項目に関する情報が含まれるものである。
【0010】
請求項3においては、前記提示部は、前記複数の項目ごとに前記一部の情報を切り替えて表示可能な切替画面を表示するものである。
【0011】
請求項4においては、前記提示部は、前記認識結果に含まれた介護に関するキーワードに基づいて、前記現時点の情報及び前記過去の情報の中から前記一部の情報を抽出するものである。
【0012】
請求項5においては、前記現時点の情報には、前記被介護者の生体情報が含まれるものである。
【0013】
請求項6においては、前記過去の情報には、過去に取得された前記被介護者の生体情報が含まれるものである。
【0014】
請求項7においては、前記現時点の情報には、前記被介護者の居室の環境情報が含まれるものである。
【0015】
請求項8においては、前記居室の環境情報には、前記居室の温度及び湿度が含まれるものである。
【0016】
請求項9においては、前記過去の情報には、過去に前記被介護者を介護した介護者からの申し送り事項が含まれるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0018】
請求項1においては、介護業務の効率化を図ることができる。
【0019】
請求項2においては、複数の項目から幅広い判断を行うことが可能となる。
【0020】
請求項3においては、項目ごとに情報を確認し易くなる。
【0021】
請求項4においては、一部の情報を簡単に抽出することができる。
【0022】
請求項5においては、被介護者に対して適切な介護を行い易くなる。
【0023】
請求項6においては、被介護者に対して適切な介護を行い易くなる。
【0024】
請求項7においては、被介護者に対して適切な介護を行い易くなる。
【0025】
請求項8においては、被介護者に対して適切な介護を行い易くなる。
【0026】
請求項9においては、被介護者に対して適切な介護を行い易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図4】呼出ボタンが押下されてから第一画面が表示されるまでの処理の流れを示した図。
【
図5】呼出ボタンが押下されてから第一画面が表示されるまでの情報のやり取りを示した説明図。
【
図7】通話が開始されてから第二画面が表示されるまでの処理の流れを示した図。
【
図8】通話が開始されてから第二画面が表示されるまでの情報のやり取りを示した説明図。
【
図9】『お茶が飲みたい』との通話内容に基づいて第二画面が表示される場合の処理の情報のやり取りを示した説明図。
【
図11】『熱い』との通話内容に基づいて第二画面が表示される場合の処理の情報のやり取りを示した説明図。
【
図12】『お腹が痛い』との通話内容に基づいて第二画面が表示される場合の処理の情報のやり取りを示した説明図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、
図1から
図3を参照し、本発明の一実施形態に係る介護システム1について説明する。
【0029】
介護システム1は、介護に関する処理(例えば、介護者の呼び出しや情報の表示等)を行うためのものである。介護システム1は、介護施設に設けられる。介護施設は、被介護者が居住する居室A1と、被介護者を介護する介護者の詰め所となるスタッフステーションA2と、を具備する。
図1に示すように、介護システム1は、ナースコール装置10、センサ部40、管理部50及び音声認識部60を具備する。
【0030】
ナースコール装置10は、介護者を呼び出すためのものである。ナースコール装置10は、親機20及び子機30を具備する。
【0031】
親機20は、スタッフステーションA2に設置される機器である。親機20は、演算装置や記憶装置等を具備し、記憶装置に記憶されるプログラムを演算装置が呼び出して実行することで、種々の処理を行うことができる。親機20の記憶装置には、後述する子機30を一意に特定する情報(例えば、子機30ごとに異なるID等)が予め記憶される。親機20は、スピーカ21、受話器22及びタッチパネル23等を具備する。
【0032】
スピーカ21は、音声を出力するためのものである。受話器22は、子機30の使用者(例えば、居室A1にいる被介護者等)と通話するためのものである。
【0033】
タッチパネル23は、タッチ操作可能な表示部である。タッチパネル23は、後述する第一画面B10(
図6参照)及び第二画面B20(
図10参照)を表示することができる。
【0034】
子機30は、居室A1に設置される機器である。子機30は、例えば、居室A1内のベッドの近傍に設置される。子機30は、被介護者に1台ずつ割り当てられる。子機30は、親機20と接続される。子機30は、本体部31及び呼出部32を具備する。
【0035】
本体部31は、居室A1において各種処理を行うためのものである。本体部31は、スピーカ31a及びマイク31bを具備する。
【0036】
スピーカ31aは、音声を出力するためのものである。マイク31bは、音声を入力するためのものである。子機30は、親機20(受話器22)からの音声をスピーカ31aから出力させることができる。また、子機30は、マイク31bから入力された音声を親機20へ出力することができる。こうして、子機30の使用者(例えば、居室A1にいる被介護者やその家族等)は、スピーカ31a及びマイク31bを介して親機20の使用者(例えば、スタッフステーションA2にいる介護者等)と通話することができる。
【0037】
呼出部32は、介護者を呼び出すのに使用されるものである。呼出部32には、操作可能な呼出ボタン32a等が設けられる。呼出部32は、ケーブル等によって本体部31と接続される。後述するように、子機30の使用者は、呼出ボタン32aを押下することで、本体部31を介して親機20に信号を送信し、スタッフステーションA2にいる介護者を呼び出すことができる。
【0038】
センサ部40は、居室A1において種々の情報を測定するものである。センサ部40は、バイタルセンサ41及び環境センサ42を具備する。
【0039】
バイタルセンサ41は、生体情報(本実施形態では心拍数及び呼吸数)を測定するセンサである。バイタルセンサ41は、被介護者に1台ずつ割り当てられる。バイタルセンサ41は、被介護者の生体情報を常時測定する。バイタルセンサ41には、種々のセンサを採用することができる。例えば、被介護者の身体(手や足等)に装着される接触式のセンサや、居室A1のベッドの近傍等に設置される非接触式のセンサ等を採用することができる。バイタルセンサ41は、親機20と接続され、生体情報の測定結果を親機20に送信することができる。
【0040】
環境センサ42は、設置された場所の環境情報(本実施形態では温度及び湿度)を測定するセンサである。環境センサ42は、居室A1に1台ずつ設置される。環境センサ42は、環境情報を常時測定する。環境センサ42は、親機20と接続され、居室A1の環境情報の測定結果を親機20に送信することができる。
【0041】
管理部50は、種々の情報を管理するためのものである。管理部50は、例えば、パソコン等によって構成され、スタッフステーションA2に設置される。管理部50は、演算装置、記憶装置及び表示装置等を具備し、記憶装置に記憶されるプログラムを演算装置が呼び出して実行することで、情報を管理する処理(例えば、記憶装置に対して情報を入出力する処理等)を行うことができる。管理部50は、親機20と接続される。
【0042】
管理部50には、親機20を介して定期的に(例えば、数時間間隔で)センサ部40から測定結果が入力される。また、管理部50には、介護者によって介護作業(例えば、食事の介助作業や体温の測定作業等)が行われるたびに、当該介護作業についての情報が介護者等により入力される。管理部50は、入力された情報を記憶装置に記憶させる。こうして、管理部50の記憶装置には、介護履歴51、測定履歴52及びセンサ履歴53が記憶される。介護履歴51等には、それぞれ項目(介護作業及びセンサ部40の測定結果を大まかに分類したもの)ごとに情報が記憶される。以下、具体的に説明する。
【0043】
介護履歴51は、過去に行われた介護についての情報が項目ごとに記憶されたものである。
図2に示すように、介護履歴51に記憶された項目には、排泄記録51a、水分摂取記録51b、食事記録51c、突発記録51d、処置記録51e、服薬記録51f、レクリエーション記録51g及び申し送り記録51hが含まれる。
【0044】
排泄記録51aは、被介護者の排泄についての記録である。排泄記録51aには、介助した日時や場所や排尿量等の情報が互いに関連付けて記録されている。
【0045】
水分摂取記録51bは、被介護者の水分摂取についての記録である。水分摂取記録51bには、介助した日時や摂取させた水分の種類及び摂取量等の情報が互いに関連付けて記録されている。
【0046】
食事記録51cは、被介護者の食事についての記録である。食事記録51cには、介助した日時や料理名や食事量等の情報が互いに関連付けて記録されている。
【0047】
突発記録51dは、突発的に生じた事象(例えば、転倒等)を記録したものである。突発記録51dには、事象が発生した日時や場所や内容等の情報が互いに関連付けて記録されている。
【0048】
処置記録51eは、被介護者へ所定の処置を行った際の記録である。処置記録51eには、処置した日時や場所や内容等の情報が互いに関連付けて記録されている。
【0049】
服薬記録51fは、被介護者の服薬についての記録である。服薬記録51fには、介助した日時や服薬した薬の名称及び量等の情報が互いに関連付けて記録されている。
【0050】
レクリエーション記録51gは、被介護者に対してレクリエーションを行った際の記録である。レクリエーション記録51gには、レクリエーションを行った日時や介護者の氏名や内容等の情報が互いに関連付けて記録されている。
【0051】
申し送り記録51hは、被介護者を介護した介護者が、当該被介護者の介護を引き継ぐ他の介護者に伝達する事項を記録したものである。申し送り記録51hには、申し送り事項を記録した日時や介護者の氏名や申し送り事項の内容等の情報が互いに関連付けて記録されている。
【0052】
測定履歴52は、介護者等(センサ部40以外のもの)によって過去に測定された被介護者の生体情報が項目ごとに記憶されたものである。測定履歴52に記憶された項目には、体温記録52a、血圧記録52b及びSPO2記録52cが含まれる。
【0053】
体温記録52aは、被介護者の体温の測定結果を記録したものである。血圧記録52bは、被介護者の血圧の測定結果を記録したものである。SPO2記録52cは、被介護者のSPO2(酸素飽和度)の測定結果を記録したものである。体温記録52a、血圧記録52b及びSPO2記録52cには、それぞれ測定日時や測定結果等の情報が互いに関連付けて記録されている。
【0054】
センサ履歴53は、センサ部40による過去の測定結果が項目ごとに記憶されたものである。センサ履歴53に記憶された項目には、心拍数記録53a、呼吸数記録53b、室温記録53c及び湿度記録53dが含まれる。
【0055】
心拍数記録53aは、バイタルセンサ41による心拍数の測定結果を記録したものである。呼吸数記録53bは、バイタルセンサ41による呼吸数の測定結果を記録したものである。心拍数記録53a及び呼吸数記録53bには、それぞれ測定日時や測定結果等の情報が互いに関連付けて記録されている。
【0056】
室温記録53cは、環境センサ42による居室A1の室温の測定結果を記録したものである。湿度記録53dは、環境センサ42による居室A1の湿度の測定結果を記録したものである。室温記録53c及び湿度記録53dには、それぞれ測定日時や測定結果等の情報が互いに関連付けて記録されている。
【0057】
図1に示す音声認識部60は、親機20及び子機30により行われる通話の内容を認識するためのものである。音声認識部60は、例えば、パソコン等によって構成され、スタッフステーションA2に設置される。音声認識部60は、入力された音声を認識し、その結果をテキストデータへと変換可能に構成される。また、音声認識部60は、音声の認識結果(テキストデータ)を用いて、種々の処理を実行可能に構成される。音声認識部60は、親機20及び管理部50と接続される。音声認識部60は、記憶テーブル61を具備する。
【0058】
図3に示すように、記憶テーブル61は、キーワードと管理部50に記憶された項目(例えば、排泄記録51a等、
図2参照)とを互いに紐づけて記憶するためのテーブルである。キーワードは、介護に関する用語である。介護に関する用語は、介護作業へ繋がる言葉(例えば、『飲みたい』及び『暑い』等)や介護作業で使用される用品名(例えば、『おむつ』等)や被介護者の状態を特定可能な言葉(例えば、『風邪』等)である。なお、介護に関する用語には、上述した介護作業へ繋がる言葉等を直接的に示す言葉だけではなく、推測可能な言葉も含まれる。
【0059】
記憶テーブル61には、「キーワード」列と、「介護記録」列と、「センサデータ」列と、が設けられる。「キーワード」列には、キーワードを示す情報(文字列)が登録される。「介護記録」列には、管理部50に記憶された介護履歴51及び測定履歴52(介護者が入力した情報)の中で、キーワードと関連性が高い(介護者が確認する可能性が高い)項目を示す情報が登録される。「センサデータ」列には、管理部50に記憶されたセンサ履歴53(センサ部40の測定結果)の中で、キーワードと関連性が高い項目を示す情報が登録される。
【0060】
なお、
図3において、「介護記録」列及び、「センサデータ」列には、ある1つの項目を示す情報(例えば、排泄記録51aを示す『排泄記録』等)だけではなく、複数の項目を総称した情報(『バイタル記録』及び『心拍数・呼吸数』等)が登録されている。具体的には、
図3に示す『バイタル記録』は、測定履歴52に登録された全ての項目(体温記録52a、血圧記録52b及びSPO2記録52c)を総称したものとなっている。また、『心拍数・呼吸数』は、バイタルセンサ41の測定結果(心拍数記録53a及び呼吸数記録53b)を総称したものとなっている。また、『室温環境』は、環境センサ42の測定結果(室温記録53c及び湿度記録53d)を総称したものとなっている。
【0061】
上述の如く構成された介護システム1においては、
図1に示す呼出ボタン32aが押下された場合に、親機20のスピーカ21から所定の呼出音が出力される。こうして、子機30の使用者は、居室A1からスタッフステーションA2の介護者を呼び出すことができる。また、呼出音が出力されているとき、親機20のタッチパネル23には、被介護者についての情報(第一画面B10)が表示される。また、介護者は、呼出音に応じて受話器22を取ると、受話器22及び子機30を介して子機30の使用者と通話することができる。
【0062】
親機20のタッチパネル23には、このときの通話内容に応じて管理部50に記憶された情報、例えば、排泄記録51aに記憶された日時や場所や排尿量等(後述する第二画面B20)が表示される。介護者は、当該情報を確認することで、被介護者の症状や呼び出しの理由を細かく判断することができる。
【0063】
以下では、呼出ボタン32aが押下されてからタッチパネル23に情報(第二画面B20)が表示されるまでの流れについて具体的に説明する。なお、以下においては、被介護者が呼出ボタン32aを押下して、介護者と通話するものとする。
【0064】
まず、
図4から
図6を参照し、子機30の呼出ボタン32aが押下されてから介護者が応答する(受話器22を取る)までの流れについて説明する。
【0065】
子機30は、呼出ボタン32aが押下されるまで(発報の指示があるまで)待機する(ステップS110:No)。
図4及び
図5に示すように、子機30は、呼出ボタン32aが押下された場合に、自身のID及び呼出ボタン32aが押下されたことを伝える信号を親機20へ送信する(ステップS110:Yes、
図5に示す『1.発報』参照)。
【0066】
親機20は、子機30からの信号(発報)を受信すると(ステップS120)、スピーカ21から所定の呼出音を出力させる。
【0067】
また、親機20は、子機30からの信号(発報)を受信すると、センサ部40及び管理部50に信号を送信し、タッチパネル23に表示させるための情報を呼び出す(ステップS130、
図5に示す『2.データ呼出』参照)。このとき、親機20は、子機30からの信号に含まれる情報(ID)に基づいて子機30、居室A1及び被介護者を一意に特定する。そして、親機20は、特定した居室A1及び被介護者に対して測定を行うセンサ部40に信号を送信し、当該センサ部40に測定結果を要求する。また、親機20は、特定した居室A1及び被介護者の情報を含んだ信号を管理部50に送信する。こうして、親機20は、特定した被介護者についての介護履歴51の申し送り記録51hの情報と、被介護者及び居室A1についての測定履歴52の各項目(体温記録52a等)の情報と、センサ履歴53の呼吸数記録53bの情報と、を管理部50に要求する。
【0068】
センサ部40及び管理部50は、親機20からの信号を受信すると(ステップS140)、親機20へデータを送信する(ステップS150、
図5に示す『3.データ送信』参照)。具体的には、センサ部40は、心拍数の測定結果等を送信する。また、管理部50は、親機20からの信号を受信すると、当該信号に基づいて、要求された情報(申し送り記録51hの情報等)を送信する。このとき、管理部50は、申し送り記録51hについては所定期間(例えば数日間)以内の情報を、それ以外の項目(
図6参照)については直近24時間以内の情報を親機20へ送信する。
【0069】
親機20は、センサ部40及び管理部50からデータ(心拍数の測定結果等)を受信すると、当該データを用いて第一画面B10を作成する。親機20は、当該第一画面B10をタッチパネル23に表示させる(ステップS160、
図5のタッチパネル23に示す『表示』参照)。
【0070】
図6は、こうして表示された第一画面B10を示すものである。第一画面B10は、子機30の呼出ボタン32aが押下されてから介護者が応対するまでの間(厳密には、後述する第二画面B20が表示されるまでの間)、タッチパネル23に表示される画面である。第一画面B10には、情報表示部B11及び項目タブB12が含まれる。
【0071】
情報表示部B11は、センサ部40及び管理部50から受信したデータを表示する部分である。情報表示部B11においては、『センサデータ』の部分にセンサ部40の測定結果(心拍数、呼吸数、室温及び湿度の測定結果)が表示される。また、『センサデータ』の部分には、居室A1の室温及び湿度から算出された不快指数も表示される。
【0072】
また、情報表示部B11においては、『バイタルデータ』の部分に、直近24時間以内の被介護者の生体情報(測定履歴52等の情報、具体的には、体温、血圧、呼吸数及びSPO2)が表示される。また、情報表示部B11においては、『申し送り事項』の部分に、所定期間以内に管理部50に記憶された申し送り記録51h(申し送り事項)の情報が表示される。
【0073】
項目タブB12は、情報表示部B11に表示される項目を総称した名称を示す部分である。
【0074】
第一画面B10によれば、現時点(呼び出しがあった時点)での被介護者の情報(『センサデータ』の部分に表示された心拍数等の情報)と、過去の情報(『バイタルデータ』及び『申し送り事項』に表示された体温等の情報)と、を表示することができる。介護者は、当該第一画面B10を確認することで、事前に(応答前に)被介護者の細かな体調変化に気づくことができる。
【0075】
また、『申し送り事項』の部分(申し送り記録51h)には、体調不良等の介護者の呼び出しに繋がる情報が記録されていることがある。したがって、申し送り事項を確認することで、介護者は、呼び出された理由を事前に(応答前に)推測可能となる。
【0076】
次に、
図7及び
図8を参照し、被介護者からの呼び出しに対して介護者が応答し(受話器22を取り)、第二画面B20が表示されるまでの流れについて説明する。
【0077】
子機30は、親機20からの応答があるまで待機する(ステップS210:NO)。子機30は、介護者が受話器22を取って親機20からの応答があると、当該親機20との間で通話可能となる。
【0078】
子機30は、マイク31bに入力された音声(音声データ)を親機20へ送信する(ステップS210:YES、
図8に示す『1.音声』参照)。親機20は、子機30から音声を受信すると(ステップS220)、当該音声を受話器22から出力させると共に、当該音声を音声認識部60へ送信する。また、親機20は、受話器22から音声が入力されると、当該音声を子機30及び音声認識部60へ送信する。こうして、親機20は、子機30からの音声(被介護者の発話内容)と、受話器22からの音声(介護者の発話内容)と、を音声認識部60へ送信する(ステップS230、
図8に示す『2.音声』参照)。
【0079】
音声認識部60は、親機20から音声を受信すると(ステップS240)、当該音声を認識し、その結果をテキストデータへと変換する。こうして、音声認識部60は、通話内容が記録されたテキストファイルを取得する。
【0080】
音声認識部60は、テキストファイル(通話内容)にキーワードが含まれているか確認する。このとき、音声認識部60は、記憶テーブル61からキーワードを抽出し、当該キーワードがテキストファイルに含まれているか確認する。仮に、キーワードが含まれていない場合(ステップS250:NO)、音声認識部60は、次の音声を受信するまで待機する。
【0081】
一方、音声認識部60は、キーワードが含まれている場合(ステップS250:YES)、当該キーワードに紐づけられた「介護記録」列のデータ及び「センサデータ」列の項目を取得する(
図3参照)。そして、音声認識部60は、被介護者及び居室A1を特定可能な情報(子機30のID)と、取得した項目を示す情報と、を含む信号を管理部50に送信する。こうして音声認識部60は、取得した項目の情報を呼び出すように管理部50に指示を出す(ステップS260、
図8に示す『3.データ呼出』参照)。
【0082】
管理部50は、音声認識部60からの信号を受信すると(ステップS270)、当該信号に基づいて音声認識部60から指示された項目の情報(データ)を親機20へ送信する(ステップS280、
図8に示す『4.データ送信』参照)。こうして、音声認識部60は、キーワードに紐づけられた項目の情報(例えば、排泄記録51aに記録された排泄の日時や場所や排尿量等)を、管理部50から抽出することができる。
【0083】
親機20は、管理部50から情報(データ)を受信すると、当該データを用いて第二画面B20を作成する。親機20は、当該第二画面B20をタッチパネル23に表示させる(ステップS290、
図8のタッチパネル23に示す『表示』参照)。
【0084】
以下では、
図3、
図9及び
図10を参照し、被介護者が『お茶が飲みたい』と発話した場合を例に挙げて第二画面B20を表示する流れ(ステップS210~S290)を具体的に説明する。
【0085】
図9に示すように、通話時における被介護者の発話(『お茶が飲みたい』との言葉)は、親機20から音声認識部60へ送信され、音声認識部60でテキストファイルへ変換される(ステップS210:YES、ステップS220~S240)。
【0086】
図3に示すように、記憶テーブル61の「キーワード」列には、『飲みたい』とのデータが登録されている。したがってこの場合、
図3及び
図9に示すように、音声認識部60は、記憶テーブル61の『飲みたい』とのキーワードに紐づけられた『排泄記録』、『水分摂取記録』、『食事記録』、『バイタル記録』、『心拍数・呼吸数』及び『室温環境』の情報を呼び出すように、管理部50へ指示を出す(ステップS250:YES、ステップS260)。
【0087】
こうして、親機20に管理部50から排泄記録51a等の情報が送信され、タッチパネル23に第二画面B20が表示される(ステップS270~S290).
【0088】
図10は、こうして(『お茶が飲みたい』との発話に基づいて)作成された第二画面B20を示すものである。第二画面B20には、情報表示部B21及び項目タブB22が含まれる。
【0089】
情報表示部B21は、被介護者の情報を表示する部分である。情報表示部B21には、排泄記録51a等の項目ごとに、被介護者の情報が表示される。また、情報表示部B21においては、後述する項目タブB22により、表示する項目を切替可能となっている。なお、
図10において、情報表示部B21は、排泄記録51aを表示するように切り替えられている。
【0090】
項目タブB22は、情報表示部B21に表示される項目を総称した名称を示す部分である。項目タブB22は、左右に複数表示される。第二画面B20においては、項目タブB22がタッチ操作されることで、当該項目タブB22が示す項目を情報表示部B21に表示する(表示を切り替える)ことができる。項目タブB22には、『バイタル・申し送り』タブ、『排泄記録』タブ、『水分摂取記録』タブ及び『食事記録』タブが含まれる。
【0091】
『バイタル・申し送り』タブは、被介護者の現時点の情報(心拍数等)が含まれた第一画面B10(
図6参照)を情報表示部B21に表示させるためのタブである。
【0092】
『排泄記録』タブは、管理部50から呼び出した所定期間以内の排泄記録51aを表示させるためのタブである。『排泄記録』タブがタッチ操作されると、『排泄記録』の部分に、排泄記録51aに記録された被介護者の情報、具体的には、排泄を介助した日時や場所や排尿量等が表示される。また、『基本情報』の部分に、主にADL(日常生活動作、Activities of Daily Living)に関連する情報が表示される。より詳細には、『排泄記録』タブにおいては、『基本情報』の部分に、排泄記録51a(項目)に応じた日常生活に関する基本的な情報(例えば、介護作業時に使用する物(準備物)等)が表示される。当該情報は、管理部50に予め記憶されており、管理部50から親機20へ排泄記録51a等の情報が送信される際(ステップS280)等に、親機20へ適宜送信されている。
【0093】
『水分摂取記録』タブは、管理部50から呼び出した水分摂取記録51bを表示させるためのタブである。『水分摂取記録』タブがタッチ操作されると、水分摂取記録51bに記録された被介護者の情報、具体的には、水分摂取を介助した日時等が表示される。また、『排泄記録』タブがタッチされた場合にあるような『基本情報』も適宜表示される。
【0094】
『食事記録』タブは、管理部50から呼び出した食事記録51cを表示させるためのタブである。『食事記録』タブがタッチ操作されると、食事記録51cに記録された被介護者の情報、具体的には、食事を介助した日時等が表示される。また、『排泄記録』タブがタッチされた場合にあるような『基本情報』も適宜表示される。
【0095】
第二画面B20によれば、被介護者の『飲みたい』との発話(通話内容)に応じた情報と、被介護者の現時点の情報(第一画面B10)と、を表示することができる。これにより、介護者は、表示された情報から被介護者の症状や呼び出された理由を把握して、居室A1へ向かうことができる。
【0096】
具体的には、被介護者は、熱中症を伴わない水分不足(単にのどが渇いている)、熱中症を伴った水分不足又は体調不良による発熱等の症状がある場合に、介護者に対して『飲みたい』と発話すると考えられる。
【0097】
このような場合において、介護者は、第二画面B20の『排泄記録』タブ及び『水分摂取記録』タブをタッチ操作して、排泄記録51a及び水分摂取記録51bを確認することで、被介護者の水分摂取量や排泄状態(下痢気味であるか否か、排尿量等)を確認可能となる。これにより、介護者は、被介護者が熱中症を伴わない水分不足であるか否かを判断することができる。また、介護者は、居室A1へ向かう前に吸収の良い飲料(経口補水液やスポーツドリンク等)を準備するか否かを判断することができる。これにより、熱中症を伴わない水分不足に迅速かつ適切に対処することができる。
【0098】
また、介護者は、『バイタル・申し送り』タブをタッチ操作することで、被介護者の心拍数(心拍数記録53a)、呼吸数(呼吸数記録53b)、及び不快指数が高いか否か、並びに平熱(体温記録52a)等を確認可能となる。これにより、介護者は、熱中症を伴った水分不足であるか否かを判断することができる。また、介護者は、居室A1へ向かう前に吸収の良い飲料や氷等を準備することができる。これにより、熱中症を伴った水分不足に迅速に対処することができる。
【0099】
また、介護者は、『バイタル・申し送り』タブ及び『食事記録』タブをタッチ操作することで、呼吸数及び心拍数の増加、発熱の記録並びに食欲の有無等を確認可能となる。これにより、介護者は、体調不良による発熱であるか否かを判断することができる。また、介護者は、居室A1へ向かう前に熱冷ましや鎮痛剤を準備すると共に看護師へ連絡することができる。これにより、体調不良による発熱に迅速に対処することができる。
【0100】
このように、本実施形態においては、子機30により介護者が呼び出された場合に、被介護者の症状を把握可能な情報(キーワードに紐づけられた排泄記録51a等の情報)をタッチパネル23に表示させることができる。これにより、介護者は、被介護者の情報を探す作業を簡略化して、介護業務の効率化を図ることができる。また、被介護者から呼び出しがあった場合に、準備物(例えば、被介護者へ提供する水分の種類等)を迅速に判断することができる。
【0101】
なお、音声認識部60は、通話内容から『飲みたい』以外のキーワードを抽出した場合、当該キーワードに応じた情報を呼び出すように、管理部50に指示を出す。具体的には、例えば、
図11に示すように、音声認識部60は、『暑い』(又は『寒い』)とのキーワードを抽出した場合、当該キーワードに紐づけられた『食事記録』を呼び出すように管理部50に指示を出す。また、例えば、
図12に示すように、『お腹が痛い』とのキーワードを抽出した場合、当該キーワードに紐づけられた『水分摂取記録』、『排泄記録』、『食事記録』及び『室温環境』を呼び出すように管理部50に指示を出す。
【0102】
以上の如く、本実施形態に係る介護システム1は、介護者及び被介護者が通話可能な受話器22及び子機30(通話部)と、前記受話器22及び子機30を介して行われる通話内容を認識する音声認識部60(認識部)と、前記被介護者の現時点の情報(被介護者の心拍数等)を複数取得するセンサ部40(取得部)と、前記被介護者の過去の情報(排泄記録51a等)を複数記憶する管理部50(記憶部)と、前記通話内容の認識結果に基づいて、前記現時点の情報及び前記過去の情報の中から一部の情報を提示する音声認識部60及びタッチパネル23(提示部)と、を具備するものである。
【0103】
このように構成することにより、複数の現時点及び過去の情報の中から、音声認識部60の認識結果(通話内容)に応じた情報を提示可能となる。これにより、情報を探す作業を簡略化して、介護業務の効率化を図ることができる。
【0104】
また、前記一部の情報には、予め設定された複数の項目(排泄記録51a及び水分摂取記録51b等)に関する情報が含まれるものである。
【0105】
このように構成することにより、介護者は、複数の項目から幅広い判断(例えば、被介護者が水分不足なのか、熱があるのか等の判断)を行うことが可能となる。これによれば、介護者は、限られた情報(例えば、排泄記録51aのみ)から偏った判断をしてしまうのを防止して、被介護者に対して適切な介護(処置)を行うことができる。
【0106】
また、前記タッチパネル23は、前記複数の項目ごとに前記一部の情報を切り替えて表示可能な第二画面B20(切替画面)を表示するものである。
【0107】
このように構成することにより、項目ごとに情報を確認し易くなる。
【0108】
また、前記音声認識部60は、前記認識結果に含まれた介護に関するキーワードに基づいて、前記現時点の情報及び前記過去の情報の中から前記一部の情報を抽出するものである。
【0109】
このように構成することにより、介護に関するキーワードによって、一部の情報を簡単に抽出することができる。
【0110】
また、前記現時点の情報には、前記被介護者の生体情報(心拍数及び呼吸数の測定結果)が含まれるものである。
【0111】
このように構成することにより、介護者は、現時点の生体情報に基づいて被介護者に対する介護内容を決定可能となる。これにより、被介護者に対して適切な介護を行い易くなる。
【0112】
また、前記過去の情報には、過去に取得された前記被介護者の生体情報(体温記録52a等)が含まれるものである。
【0113】
このように構成することにより、介護者は、過去の生体情報に基づいて被介護者に対する介護内容を決定可能となる。これにより、被介護者に対して適切な介護を行い易くなる。
【0114】
また、前記現時点の情報には、前記被介護者の居室A1の環境情報が含まれるものである。
【0115】
このように構成することにより、介護者は、現時点の居室A1の環境情報に基づいて被介護者に対する介護内容を決定可能となる。これにより、被介護者に対して適切な介護を行い易くなる。
【0116】
また、前記居室A1の環境情報には、前記居室A1の温度及び湿度(室温記録53c及び湿度記録53d)が含まれるものである。
【0117】
このように構成することにより、介護者は、現時点の居室A1の温度及び湿度に基づいて被介護者に対する介護内容を決定可能となる。これにより、被介護者に対して適切な介護を行い易くなる。
【0118】
また、前記過去の情報には、過去に前記被介護者を介護した介護者からの申し送り事項(申し送り記録51h)が含まれるものである。
【0119】
このように構成することにより、介護者は、申し送り事項に基づいて被介護者に対する介護内容を決定可能となる。これにより、被介護者に対して適切な介護を行い易くなる。
【0120】
なお、本実施形態に係る受話器22及び子機30は、本発明に係る通話部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る音声認識部60は、本発明に係る認識部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るセンサ部40は、本発明に係る取得部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る管理部50は、本発明に係る記憶部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るタッチパネル23及び音声認識部60は、本発明に係る提示部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る第二画面B20は、本発明に係る切替画面の実施の一形態である。
【0121】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0122】
例えば、介護システム1は、介護施設に設けられるものとしたが、介護システム1が設けられる場所は、これに限定されるものではない。介護システム1は、介護が行われる場所、例えば、病院等に設けられていてもよい。
【0123】
また、センサ部40は、被介護者の心拍数や呼吸数等を測定するものとしたが、センサ部40が測定する情報は、被介護者についての情報(被介護者自身の情報や被介護者が居住する居室A1に関する情報等)であれば、特に限定されるものではない。センサ部40は、例えば、被介護者の体温等を測定してもよい。
【0124】
また、管理部50は、排泄記録51a等を記憶するものとしたが、管理部50が記憶する情報は、被介護者についての情報であれば、特に限定されるものではない。
【0125】
また、親機20は、通話内容に基づいて抽出された情報をタッチパネル23に表示させたが、介護者が情報を確認可能であれば、情報を提示する手法は特に限定されるものではない。よって、親機20は、例えば、通話内容に基づいて抽出された情報をスピーカ21から出力させてもよい。また、親機20は、スタッフステーションA2以外の場所でも情報を確認可能となるように、介護者が携帯する端末へ情報を送信したり、プリンタ等の印刷装置から情報を出力(印刷)させてもよい。
【0126】
また、音声認識部60は、介護に関する用語に基づいて項目を抽出したが、キーワードとして設定される言葉は介護に関する用語に限定されるものではない。すなわち、音声認識部60は、介護に関する用語以外の言葉をキーワードとすることで、項目を抽出してもよい。
【0127】
また、本実施形態において、管理部50及び音声認識部60は、別々の機器で動作するものとしたが、管理部50及び音声認識部60の構成は、これに限定されるものではなく、例えば、同一の機器で動作するものであってもよい。
【0128】
また、記憶テーブル61に登録された情報は、介護者等によって適宜変更可能であってもよい。これにより、被介護者の症状等を判断し易くなるように第二画面B20に表示される項目を適宜変更することができる。また、タッチパネル23は、記憶テーブル61に登録された情報を変更可能な画面を表示してもよい。これによって、利便性を向上させることができる。
【0129】
また、第二画面B20には、過去の情報として、直近24時間以内の被介護者のバイタル記録や所定期間以内の排泄記録51a等が表示されたが、過去の情報は現時点よりも前の情報であれば、どのような期間であってもよい。したがって、第二画面B20には、例えば、呼び出しがあってから1週間以内の情報等が表示されていてもよい。
【0130】
また、第二画面B20においては、『バイタル・申し送り』タブをタッチ操作することで第一画面B10を表示可能であったが、これに限定されるものではなく、第一画面B10とは異なる画面を表示させてもよい。例えば、第二画面B20は、第一画面B10に、過去の室温及び湿度等の情報を加えた画面を表示するものであってもよい。
【0131】
また、第二画面B20は、項目ごとに情報を切替可能であったが、第二画面B20の構成(情報をどのように表示するか)は、これに限定されるものではない。例えば、第二画面B20は、項目ごとに情報を切替不能であってもよい。具体的には、第二画面B20は、例えば、全ての項目が1つの画面に表示される(例えば、上下に並んで表示される)もの等であってもよい。また、第二画面B20は、例えば、一部の項目を強調して表示してもよい。この場合、所定の手法により第二画面B20に表示される項目に対して優先度を設定し、優先度が高い項目を強調してもよい。
【0132】
当該構成においては、例えば、複数のキーワードから優先度を設定することができる。具体的には、
図3に示すように、複数のキーワードに紐づけられた項目は、互いに重複することがある。例えば、『暑い』と『飲みたい』という2つのキーワードには、それぞれ『食事記録』が紐づけられている。そこで、音声認識部60は、発話内容から複数のキーワードを抽出した場合に、当該複数のキーワードに紐づけられた項目が互いに重複しているかを確認する。また、音声認識部60は、重複した項目について、重複数(紐付けられたキーワードの数)を算出する。そして、音声認識部60は、重複数が多い項目ほど優先度が高くなるように、優先度を設定する。音声認識部60は、こうして設定した優先度を親機20へ通知して、第二画面B20において優先度が高い項目を強調して表示させる。これにより、通話内容と比較的関連性が高い(確認する必要性が高い)項目を介護者に提示することができる。
【0133】
また、優先度を設定した場合、第二画面B20において、優先度が高い順に項目を表示させてもよい。具体的には、例えば、第二画面B20の項目タブB22に表示させる項目を、左側から右側へと向かうにつれて、優先度が低くなるように並べて表示させてもよい。
【符号の説明】
【0134】
1 介護システム
22 受話器(通話部)
23 タッチパネル(提示部)
30 子機(通話部)
60 音声認識部(認識部、提示部)
40 センサ部(取得部)
50 管理部(記憶部)