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特許7474671工作機械、工作機械の制御方法及び工作機械の制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】工作機械、工作機械の制御方法及び工作機械の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B23K 20/12 20060101AFI20240418BHJP
   G05B 19/18 20060101ALI20240418BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
B23K20/12 Z
G05B19/18 W
B23K20/12 A
B23Q17/00 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020166086
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022057696
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100160716
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 力
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】野口 賢次
【審査官】岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-118777(JP,A)
【文献】特開平03-169488(JP,A)
【文献】特開昭51-129842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 20/12
G05B 19/18
B23Q 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主軸に回動可能に接続され、第1部材を把持可能な第1把持部と、
第2部材を把持可能な第2把持部と、
前記第1主軸を制御して、前記第1部材と前記第2部材とを摩擦圧接接合する接合処理を実行する制御装置と、を有し、
前記制御装置は、前記接合処理の間に前記第1部材と第1把持部との間及び前記第2部材と第2把持部の間の少なくとも一方に発生する滑りに基づいて前記接合処理が正常であるか否かを判定し、前記接合処理が異常であると判定したときに、異常信号を出力する、ことを特徴とする工作機械。
【請求項2】
前記接合処理が正常であるか否かを判定する処理は、前記接合処理の間の前記第1把持部と前記第1部材との変位差に関するパラメータ、及び前記第2把持部と前記第2部材との変位差に関するパラメータの少なくとも一方から、前記接合処理の間に滑りが発生したか否かを判定する処理を含む、請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
前記接合処理が正常であるか否かを判定する処理は、
前記接合処理の前後の前記第1主軸の移動量である主軸移動量を取得し、
前記接合処理の前後の前記第1部材の移動量である部材移動量を取得し、
前記主軸移動量及び前記部材移動量に基づいて、前記接合処理における第1部材の滑り量である第1滑り量を演算し、
前記第1滑り量に基づいて前記接合処理が正常であるか否かを判定する、
処理を含む、請求項2に記載の工作機械。
【請求項4】
前記接合処理が正常であるか否かを判定する処理は、
前記第2把持部に把持された前記第2部材の端部と前記第2把持部との間の前記接合処理前の距離である処理前距離を取得し、
前記第2把持部に把持された前記第2部材の端部と前記第2把持部との間の前記接合処理後の距離である処理後距離を演算し、
前記処理前距離及び前記処理後距離に基づいて、前記接合処理における第2部材の滑り量である第2滑り量を演算し、
前記第2滑り量に基づいて前記接合処理が正常であるか否かを判定する、
処理を含む、請求項2又は3に記載の工作機械。
【請求項5】
前記第2把持部は、第2主軸に回動可能に接続され、
前記処理後距離を演算する処理は、
前記接合処理後の前記第2把持部の位置である把持部位置を取得し、
前記第2部材を前記第2主軸から引き抜き、
前記第2主軸を前記第2主軸の軸方向と直交する方向に移動し、
前記第1主軸に近接する方向に前記第2主軸の軸方向に沿って前記第2主軸又は第1主軸を移動して、第2把持部を前記第2部材に接触させ、
第2把持部を前記第2部材に接触させたときの第2把持部の位置である部材端部位置を取得し、
前記把持部位置及び前記部材端部位置に基づいて処理後距離を取得する、
処理を含む、請求項4に記載の工作機械。
【請求項6】
第1主軸に回動可能に接続され、第1部材を把持可能な第1把持部と、
第2部材を把持可能な第2把持部と、
を有する工作機械の制御方法であって、
前記第1主軸を制御して、前記第1部材と前記第2部材とを摩擦圧接接合する接合処理を実行し、
前記接合処理の間に前記第1部材と前記第1把持部との間及び前記第2部材と前記第2把持部との間の少なくとも一方に発生する滑りに基づいて前記接合処理が正常であるか否かを判定し、
前記接合処理が異常であると判定したときに、異常信号を出力する、
ことを含む、ことを特徴とする工作機械の制御方法。
【請求項7】
第1主軸に回動可能に接続され、第1部材を把持可能な第1把持部と、
第2部材を把持可能な第2把持部と、
を有する工作機械の制御プログラムであって、
前記第1主軸を制御して、前記第1部材と前記第2部材とを摩擦圧接接合する接合処理を実行し、
前記接合処理の間に前記第1部材と前記第1把持部との間及び前記第2部材と前記第2把持部との間の少なくとも一方に発生する滑りに基づいて前記接合処理が正常であるか否かを判定し、
前記接合処理が異常であると判定したときに、異常信号を出力する、
処理をコンピュータに実行させる、ことを特徴とする工作機械の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械、工作機械の制御方法及び工作機械の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
長尺な円柱状の一対の部材を相対回転させながら接触させて摩擦熱を発生して、発生した摩擦熱によって一対の部材を接合する摩擦圧接接合機において、接合時の寄り代を測定し、測定した寄り代に基づいて接合の良否を判定する技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、摩擦圧接接合機に搭載される側長器によって測定される把持装置の移動量を摩擦圧接接合に伴う一対の部材のトータルの寄り代として取得する方法が記載される。また、特許文献2には、主軸に取り付けられたリニアエンコーダにより、摩擦圧接機の固定基準点に対する主軸の位置と、摩擦圧接接合の間の主軸の位置との差として測定される寄り代が所定の設定値になるように主軸の推力を調整する技術が記載される。さらに、特許文献3には、主軸に取り付けられたリニアエンコーダにより、摩擦圧接機の固定基準点に対する主軸の位置と、摩擦圧接中の主軸の位置との差として測定される寄り代が所定の設定値になるように主軸の推力を調整する技術が記載される。特許文献1~3に記載される技術では、接合処理の間の部材の寄り代を測定することにより、接合処理の良否を判定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-47885号公報
【文献】特開平7-185843号公報
【文献】特開平3-32480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、主軸のチャックの把持力が大きくない旋盤等の工作機械によって部材を摩擦圧接接合することが考案されている。しかしながら、チャックの把持力が大きくない旋盤等の工作機械によって部材を摩擦圧接接合するときに部材とチャックとの間で滑りが発生して、接合不良が発生すると共に接合される部材の滑りにより疵が発生することがある。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するものであり、部材を摩擦圧接接合するときに部材と把持部との間で滑りが発生したか否かを検出可能な工作機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る工作機械は、第1主軸に回動可能に接続され、第1部材を把持可能な第1把持部と、第2部材を把持可能な第2把持部と、第1主軸を制御して、第1部材と第2部材とを摩擦圧接接合する接合処理を実行する制御装置と、を有し、制御装置は、接合処理の間に第1部材と第1把持部との間及び第2部材と第2把持部との間の少なくとも一方に発生する滑りに基づいて接合処理が正常であるか否かを判定し、接合処理が異常であると判定したときに、異常信号を出力する。
【0008】
さらに、本発明に係る工作機械では、接合処理が正常であるか否かを判定する処理は、接合処理の間の第1把持部と第1部材との変位差に関するパラメータ、及び第2把持部と第2部材との変位差に関するパラメータの少なくとも一方から、接合処理の間に滑りが発生したか否かを判定する処理を含むことが好ましい。
【0009】
さらに、本発明に係る工作機械では、接合処理が正常であるか否かを判定する処理は、接合処理の前後の第1主軸の移動量である主軸移動量を取得し、接合処理の前後の第1部材の移動量である部材移動量を取得し、主軸移動量及び部材移動量に基づいて、接合処理における第1部材の滑り量である第1滑り量を演算し、第1滑り量に基づいて接合処理が正常であるか否かを判定する処理を含むことが好ましい。
【0010】
さらに、本発明に係る工作機械では、接合処理が正常であるか否かを判定する処理は、第2把持部に把持された第2部材の端部と第2把持部との間の接合処理前の距離である処理前距離を取得し、第2把持部に把持された第2部材の端部と第2把持部との間の接合処理後の距離である処理後距離を演算し、処理前距離及び処理後距離に基づいて、接合処理における第2部材の滑り量である第2滑り量を演算し、第2滑り量に基づいて接合処理が正常であるか否かを判定する処理を含むことが好ましい。
【0011】
さらに、本発明に係る工作機械では、第2把持部は、第2主軸に回動可能に接続され、処理後距離を演算する処理は、接合処理後の第2把持部の位置である把持部位置を取得し、第2部材を第2主軸から引き抜き、第2主軸を第2主軸の軸方向と直交する方向に移動し、第1主軸に近接する方向に第2主軸の軸方向に沿って第2主軸又は第1主軸を移動して、第2把持部を第2部材に接触させ、第2把持部を第2部材に接触させたときの第2把持部の位置である部材端部位置を取得し、把持部位置及び部材端部位置に基づいて処理後距離を取得する処理を含むことが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る工作機械の制御方法は、第1主軸に回動可能に接続され、第1部材を把持可能な第1把持部と、第2部材を把持可能な第2把持部と、を有する工作機械の制御方法であって、第1主軸を制御して、第1部材と第2部材とを摩擦圧接接合する接合処理を実行し、接合処理の間に第1部材と第1把持部との間及び第2部材と第2把持部との間の少なくとも一方に発生する滑りに基づいて接合処理が正常であるか否かを判定し、接合処理が異常であると判定したときに、異常信号を出力することを含む。
【0013】
また、本発明に係る工作機械の制御プログラムは、第1主軸に回動可能に接続され、第1部材を把持可能な第1把持部と、第2部材を把持可能な第2把持部と、を有する工作機械の制御プログラムであって、第1主軸を制御して、第1部材と第2部材とを摩擦圧接接合する接合処理を実行し、接合処理の間に第1部材と第1把持部との間及び第2部材と第2把持部との間の少なくとも一方に発生する滑りに基づいて接合処理が正常であるか否かを判定し、接合処理が異常であると判定したときに、異常信号を出力する処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る工作機械は、部材を摩擦圧接接合するときに、部材と把持部との間で滑りが発生したか否かを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係る工作機械を有する工作機械システムのブロック図である。
図2図1に示す工作機械の斜視図である。
図3図2に示すNC装置のブロック図である。
図4図1に示す工作機械により実行される制御処理のフローチャートである。
図5】(a)は図4に示すS101の処理を示す図であり、図5(b)は図4に示すS102の処理を示す図であり、図5(c)は図4に示すS103の処理を示す図であり、図5(d)は図4に示すS104の処理を示す図である。
図6図5に示すS105の処理のより詳細な処理を示すフローチャートである。
図7】(a)は図5に示すS106の処理のより詳細な処理を示すフローチャートであり、(b)は(a)に示すS302の処理のより詳細な処理を示すフローチャートである。
図8】(a)は図7(b)に示すS401の処理を示す図であり、図8(b)は図7(b)に示すS402の処理を示す図であり、図8(c)は図7(b)に示すS403の処理を示す図であり、図8(d)は図7(b)に示すS404の処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明の様々な実施形態について説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、それらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0017】
(実施形態に係る工作機械)
図1は実施形態に係る工作機械を有する工作機械システムのブロック図であり、図2図1に示す工作機械の斜視図である。
【0018】
ワーク加工システム100は、工作機械1と、ワーク供給装置とも称されるバーフィーダ101とを有する。工作機械1は、ベッド10と、正面主軸11と、背面主軸12と、ガイドブッシュ装置13と、刃物台14とを有する。正面主軸11は第1主軸とも称され、背面主軸12は第2主軸とも称される。工作機械1は、正面主軸操作機構20と、第1チャック操作機構25と、背面主軸操作機構30と、第2チャック操作機構35と、刃物台操作機構40と、NC装置50とを更に有する。工作機械1は、一対の部材を摩擦圧接接合する接合処理を実行する間に一対の部材の少なくとも一方に発生する滑りに基づいて接合処理が正常であるか否かを判定し、接合処理が異常であると判定したときに、異常信号を出力する。
【0019】
ベッド10は、正面主軸11、背面主軸12、ガイドブッシュ装置13及び刃物台14が搭載される。正面主軸11は、長尺な円柱状の第1部材W1を把持可能な中空状の部材であり、レール15によってZ1方向に移動可能である。正面主軸11は、第1把持部とも称される第1チャック110を有する。背面主軸12は、第1部材W1と同径の長尺な円柱状の第2部材W2を把持可能な中空状の部材であり、レール16及び17によってZ2方向及びX2方向に移動可能である。背面主軸12は、第2把持部とも称される第2チャック120を有する。なお、第2部材W2の径は、第1部材W1の径と異なってもよい。
【0020】
ガイドブッシュ装置13は、正面主軸11に把持される第1部材W1が挿通され、第1部材W1を支持しながら案内する。刃物台14は、正面主軸11及び背面主軸12のそれぞれに把持される第1部材W1及び第2部材W2を切削する複数の工具140を保持し、レール18及び19に沿ってX1方向及びY1方向に移動可能である。
【0021】
正面主軸操作機構20は、正面主軸駆動装置21と、正面主軸位置センサ22とを有する。正面主軸駆動装置21は、モータであり、NC装置50から電流が供給されることに応じて回転することで正面主軸11をレール15に沿ってZ1方向に移動する。また、正面主軸操作機構20は、回転電流が供給されることに応じて、正面主軸11を回転する。正面主軸位置センサ22は、例えば光学式のエンコーダであり、正面主軸駆動装置21の回転を検出して、検出した正面主軸駆動装置21の回転を示す回転データをNC装置50に出力する。
【0022】
第1チャック操作機構25は、第1シリンダ26と、第1ピストン27と、第1アーム28とを有する。第1シリンダ26は、油圧等の流体が内部に充填され、NC装置50から電流が供給されることに応じて第1ピストン27をZ1方向に移動する。第1アーム28は、一端が第1ピストン27に接続され且つ他端が第1チャック110に正面主軸11の筐体を支点として回転可能に接続される。第1チャック操作機構25では、NC装置50から電流が供給されることに応じて第1シリンダ26内部の流体を制御して第1シリンダ26をZ1方向に移動することで第1アーム28が回転動作する。第1チャック110の状態は、第1アーム28の回転動作に応じて第1部材W1を把持する状態と第1部材W1を解放する状態との間で切り換えられる。
【0023】
背面主軸操作機構30は、背面主軸駆動装置31と、背面主軸位置センサ32とを有する。背面主軸駆動装置31は、正面主軸駆動装置21と同様にモータであり、NC装置50から電流が供給されることに応じて回転することで背面主軸12をレール16及び17に沿ってZ2方向及びX2方向に移動する。また、背面主軸操作機構30は、回転電流が供給されることに応じて、背面主軸12を回転する。背面主軸位置センサ32は、正面主軸位置センサ22と同様に光学式のエンコーダであり、背面主軸駆動装置31の回転を検出して、検出した背面主軸駆動装置31の回転を示す回転データをNC装置50に出力する。
【0024】
第2チャック操作機構35は、第2シリンダ36と、第2ピストン37と、第2アーム38とを有する。第2シリンダ36は、油圧等の流体が内部に充填され、NC装置50から電流が供給されることに応じて第2ピストン37をZ2方向に移動する。第2アーム38は、一端が第2ピストン37に接続され且つ他端が第2チャック120に回動可能に接続される。第2チャック操作機構35では、NC装置50の指示に応じて第2シリンダ36内部の流体を制御して第2シリンダ36をZ2方向に移動することで第2アーム38が回転動作する。第2チャック120の状態は、第2アーム38の回転動作に応じて第2部材W2を把持する状態と第2部材W2を解放する状態との間で切り換えられる。
【0025】
刃物台操作機構40は、不図示のモータを有し、NC装置50から電流が供給されることに応じて刃物台14をレール18及び19に沿ってX1方向及びY1方向に移動する。
【0026】
バーフィーダ101は、フィンガーチャック111と、押し矢112と、押し矢駆動装置113と、押し矢位置センサ114とを有する。フィンガーチャック111は、第1部材W1を保持する保持部である。押し矢112は、正面主軸11の延伸方向であるZ1方向に第1部材W1及びフィンガーチャック111を移動する。押し矢駆動装置113は、モータであり、NC装置50から電流が供給されることに応じて回転することで押し矢112をZ1方向に移動する。押し矢位置センサ114は、例えば光学式のエンコーダであり、押し矢駆動装置113の回転を検出して、検出した押し矢駆動装置113の回転を示す回転データをNC装置50に出力する。
【0027】
図3は、NC装置50のブロック図である。
【0028】
NC装置50は、通信部51と、記憶部52と、入力部53と、出力部54と、制御部55とを有する。通信部51は、正面主軸11、背面主軸12及び刃物台14をレール15~19上を移動する動力を供給する正面主軸駆動装置21、背面主軸駆動装置31及び刃物台操作機構40等に配線を介して接続される。通信部51は、制御部55の指示に基づいて、正面主軸11及び背面主軸12の回転操作、並びに正面主軸11、背面主軸12及び刃物台14の移動操作のための電流を、正面主軸11、背面主軸12、正面主軸操作機構20及び背面主軸操作機構30等に供給する。通信部51は、押し矢駆動装置113に配線を介して接続され、押し矢112を移動するための電力を押し矢駆動装置113に供給する。
【0029】
記憶部52は、例えば、半導体記憶装置、磁気テープ装置、磁気ディスク装置、及び光ディスク装置のうちの少なくとも一つを備える。記憶部52は、制御部55での処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。例えば、記憶部52は、正面主軸11に把持された第1部材W1と背面主軸12に把持された第2部材W2とを摩擦圧接接合するときの制御処理を制御部55に実行させる制御プログラム等を記憶する。制御プログラムは、例えばCD-ROM、DVD-ROM等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶部52にインストールされてもよい。
【0030】
また、記憶部52は、制御処理で使用される種々のデータを記憶する。例えば、記憶部52は、正面主軸位置センサ22、背面主軸位置センサ32及び押し矢位置センサ114から入力される回転データを記憶する。また、記憶部52は、入力される回転データと、正面主軸11、背面主軸12及び押し矢112の移動量との関係を示す移動量変換テーブルを記憶する。また、記憶部52は、接合処理前の正面主軸11及び第1チャック110のZ1方向の位置、並びに背面主軸12及び第2チャック120のZ2方向の位置のそれぞれを初期位置として記憶する。
【0031】
入力部53は、データの入力が可能であればどのようなデバイスでもよく、例えば、タッチパネル、キーボード等である。オペレータは、入力部53を用いて、文字、数字、記号等を入力することができる。入力部53は、オペレータにより操作されると、その操作に対応する信号を生成する。そして、生成された信号は、オペレータの指示として、制御部55に供給される。入力部53は、工作機械の筐体の表面にオペレータによる操作が可能なように載置される不図示の操作盤に配置される。
【0032】
出力部54は、映像や画像等の表示が可能であればどのようなデバイスでもよく、例えば、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等である。出力部54は、制御部55から供給された映像データに応じた映像や、画像データに応じた画像等を表示する。また、出力部54は、紙などの表示媒体に、映像、画像又は文字等を印刷する出力装置であってもよい。出力部54は、入力部53と共に、入力部53が配置される不図示の操作盤に配置される。
【0033】
制御部55は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を有する。制御部55は、工作機械1の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えば、CPUである。制御部55は、記憶部52に記憶されているプログラム(ドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。また、制御部55は、複数のプログラム(アプリケーションプログラム等)を並列に実行できる。
【0034】
制御部55は、接合処理部56と、滑り量演算部57と、接合判定部58と、異常信号出力部59とを有する。これらの各部は、制御部55が備えるプロセッサで実行されるプログラムにより実現される機能モジュールである。あるいは、これらの各部は、ファームウェアとして制御部55に実装されてもよい。
【0035】
(実施形態に係る工作機械による制御処理)
図4は、工作機械1により実行される制御処理のフローチャートである。図5(a)はS101の処理を示す図であり、図5(b)はS102の処理を示す図であり、図5(c)はS103の処理を示す図であり、図5(d)はS104の処理を示す図である。図4及び5(a)~5(d)に示す制御処理は、予め記憶部52に記憶されているプログラムに基づいて、主に制御部55により工作機械1の各要素と協働して実行される。
【0036】
まず、接合処理部56は、第1部材W1を正面主軸11に配置すると共に、第2部材W2を背面主軸12に配置する(S101)。接合処理部56は、正面主軸11の軸心及び軸方向と背面主軸12の軸心及び軸方向とを一致させるように、正面主軸11及び背面主軸12を移動することを正面主軸操作機構20及び背面主軸操作機構30を移動する駆動装置に指示する。次いで、接合処理部56は、第1部材W1を正面主軸11に挿入し且つ第2部材W2を背面主軸12に挿入することをバーフィーダ101等に指示する。
【0037】
次いで、接合処理部56は、第1部材W1と第2部材W2との間の接合面に摩擦推力を印加する(S102)。接合処理部56は、所定の摩擦回転数で第1部材W1を回転するように正面主軸操作機構20に回転電流を供給する。正面主軸操作機構20に回転電流が供給されることに応じて、第1部材W1は、摩擦回転数での回転を開始する。次いで、接合処理部56は、第1部材W1を第2部材W2の方向に移動して、第1部材W1と第2部材W2との間の接合面に摩擦推力を印加する。接合処理部56は、所定の第1移動距離を所定の第1移動速度で第1部材W1が移動するように正面主軸11を移動する正面主軸操作機構20に第1電流を供給する。そして、接合処理部56は、第1部材W1と第2部材W2とが接触してから所定の摩擦時間が経過した後に、第1部材W1の回転を停止する。接合処理部56は、正面主軸操作機構20への回転電流の供給を停止する。正面主軸操作機構20への回転電流の供給が停止することに応じて、第1部材W1は、回転を停止する。
【0038】
次いで、接合処理部56は、第1部材W1と第2部材W2との間の接合面にアップセット推力を印加する(S103)。接合処理部56は、第1部材W1を第2部材W2の方向に更に移動する。第1部材W1を移動することにより、第1部材W1は、第1部材W1と第2部材W2との間の接合面に、S102で示す処理で印加される摩擦推力も大きいアップセット推力を印加する。接合処理部56は、所定の第2移動距離を所定の第2移動速度で第1部材W1が移動するように正面主軸11を移動する正面主軸操作機構20に第2電流を供給する。接合処理部56は、所定のアップセット時間に亘ってアップセット推力が接合面に印加した後、正面主軸11及び背面主軸12を移動する駆動装置への電流供給を停止し、接合面へのアップセット推力の印加を停止する。なお、アップセット推力は、摩擦推力と同一でもよく、摩擦推力よりも小さくてもよい。また、接合処理部56はアプセット推力の印加パラメータとして、移動距離と速度を用いたが、実施形態に係る工作機械では、アプセット推力の印加パラメータは移動距離と速度に限定されず、例えば移動距離と圧力で制御してもよい。
【0039】
次いで、接合処理部56は、接合面の周囲に形成されたバリを除去する(S104)。接合処理部56は、刃物台操作機構40に電流を供給して、刃物台14に保持された切削工具によって接合面の周囲に形成されたバリを除去する。
【0040】
次いで、滑り量演算部57は、摩擦圧接処理における第1部材W1の滑り量である第1滑り量S1を演算する(S105)。第1滑り量S1は、接合処理の間の正面主軸11の移動量と第1部材W1のZ1方向の移動量との差である。
【0041】
図6は、S105の処理のより詳細な処理を示すフローチャートである。
【0042】
まず、滑り量演算部57は、正面主軸11のZ1方向の移動量である主軸移動量L1を取得する(S201)。主軸移動量L1は、図5(a)に示す接合処理前の正面主軸11の位置P1と、図5(d)に示す接合処理後の正面主軸11の位置P2との間の距離(P2-P1)である。滑り量演算部57は、記憶部52に記憶される移動量変換テーブルを参照して、正面主軸位置センサ22から入力される回転データに対応する移動量を、主軸移動量L1として取得する。
【0043】
次いで、滑り量演算部57は、第1部材W1のZ1方向の移動量である部材移動量L2を取得する(S202)。部材移動量L2は、図5(a)に示す接合処理前のフィンガーチャック111の位置P3と、図5(d)に示す接合処理後のフィンガーチャック111の位置P4との間の距離(P4-P3)である。滑り量演算部57は、記憶部52に記憶される移動量変換テーブルを参照して、押し矢位置センサ114から入力される回転データに対応する移動量を、部材移動量L2として取得する。
【0044】
次いで、滑り量演算部57は、S201の処理で取得された主軸移動量L1及びS202の処理で取得された部材移動量L2に基づいて、接合処理における第1部材W1の滑り量である第1滑り量S1を演算する(S203)。滑り量演算部57は、主軸移動量L1から部材移動量L2を減算して第1滑り量S1を(L1-L2)として演算する。
【0045】
次いで、滑り量演算部57は、摩擦圧接処理における第2部材W2の滑り量である第2滑り量S2を演算する(S106)。第2滑り量S2は、接合処理の間の背面主軸12の移動量と第2部材W2のZ2方向の移動量との差である。
【0046】
図7(a)はS106の処理のより詳細な処理を示すフローチャートであり、図7(b)はS302の処理のより詳細な処理を示すフローチャートである。図8(a)はS401の処理を示す図であり、図8(b)はS402の処理を示す図であり、図8(c)はS403の処理を示す図であり、図8(d)はS404の処理を示す図である。
【0047】
まず、滑り量演算部57は、背面主軸12の第2チャック120に把持された第2部材W2の接合面の反対側の端部と第2チャック120の先端との間の接合処理前の距離である処理前距離D1を取得する(S301)。処理前距離D1は、図5(a)に示す接合処理前の第2部材W2の背面主軸12に挿入された部分の長さに相当する。
【0048】
次いで、滑り量演算部57は、背面主軸12の第2チャック120に把持された第2部材W2の接合面の反対側の端部と第2チャック120の先端との間の接合処理後の距離である処理後距離D2を演算する(S302)。
【0049】
処理後距離を演算するために、滑り量演算部57は、まず、接合処理後の第2チャック120のZ2方向の位置をチャック位置Pcとして取得する(S401)。滑り量演算部57は、記憶部52に記憶される移動量変換テーブルを参照して、背面主軸位置センサ32から入力される回転データに対応する移動量に、第2チャック120の初期位置を加算した値をチャック位置Pcとして取得する。
【0050】
次いで、滑り量演算部57は、正面主軸11から離隔する方向にZ2方向又はZ1方向に沿って背面主軸12又は正面主軸11を移動して、第2部材W2を背面主軸12から引き抜く(S402)。滑り量演算部57は、第2チャック操作機構35に電流を流して第2チャック120を解放状態にした後に、背面主軸操作機構30に電流を流して正面主軸11から離隔する方向に背面主軸12又は正面主軸11を移動することにより、第2部材W2を背面主軸12から引き抜く。
【0051】
次いで、滑り量演算部57は、第2チャック120の先端が第2部材W2の接合面の反対の端部に対向するように、背面主軸12を背面主軸12の軸方向すなわちZ2方向と直交するX2方向に移動する(S403)。滑り量演算部57は、背面主軸操作機構30に電流を流してX2方向に背面主軸12を移動する。
【0052】
次いで、滑り量演算部57は、正面主軸11に近接する方向にZ2方向又はZ1方向に沿って背面主軸12又は正面主軸11を移動して、第2チャック120の先端を第2部材W2の接合面の反対の端部に接触させる(S404)。滑り量演算部57は、背面主軸操作機構30に電流を流して、第2チャック120の先端が第2部材W2の接合面の反対の端部に接触するように、Z2方向又はZ1方向に背面主軸12又は正面主軸を移動する。
【0053】
次いで、滑り量演算部57は、第2チャック120の先端を第2部材W2の接合面の反対の端部に接触させたときの第2チャック120の位置を部材端部位置Pmとして取得する(S405)。滑り量演算部57は、記憶部52に記憶される移動量変換テーブルを参照して、第2チャック120が第2部材W2の端部に接触するように配置された背面主軸12の移動量に、第2チャック120の初期位置を加算した値を部材端部位置Pmとして取得する。
【0054】
そして、滑り量演算部57は、S401で示す処理で取得したチャック位置Pc及びS405で示す処理で取得した部材端部位置Pmに基づいて処理後距離D2を取得する(S406)。滑り量演算部57は、チャック位置PcのZ2方向の座標から部材端部位置PmのZ2方向の座標を減算した値を処理後距離D2として取得する。
【0055】
S302で示す処理が終了すると、滑り量演算部57は、S302で示す処理で演算された処理後距離D2及びS301で示す処理で演算された処理前距離D1に基づいて、第2滑り量として演算する(S303)。滑り量演算部57は、処理後距離D2から処理前距離D1を減算して第2滑り量を演算する。
【0056】
接合判定部58は、S105の処理で演算された第1滑り量S1及びS106の処理で演算された第2滑り量S2に基づいて、接合処理が正常であるか否かを判定する(S107)。接合判定部58は、第1滑り量S1及び第2滑り量S2の双方がゼロであるときに、接合処理が正常であると判定する(S107-YES)。また、接合判定部58は、第1滑り量S1及び第2滑り量S2の少なくとも一方がゼロではないときに、接合処理が異常であると判定する(S107-NO)。
【0057】
接合判定部58によって接合処理が異常であると判定される(S107-NO)と、異常信号出力部59は、接合処理が異常であることを示す異常信号を出力する(S108)。次いで、接合処理部56は、第1部材W1と第2部材W2とを接合して形成された接合部材を引き抜く(S109)。接合処理部56は、第1チャック操作機構25及び第2チャック操作機構35に電流を流して正面主軸11の第1チャック110及び背面主軸12の第2チャック120を開く。次いで、接合処理部56は、押し矢駆動装置113に電流を流して、正面主軸11から離隔する方向にZ2方向に沿って押し矢112を移動して接合部材を引き抜く。バーフィーダ101が接合部材を引き抜くと、処理は終了する。
【0058】
接合判定部58によって接合処理が正常であると判定する(S107-YES)と、接合処理部56は、第1部材W1と第2部材W2とを接合して形成された接合部材を引き抜き(S109)、処理は終了する。
【0059】
(実施形態に係る工作機械の作用効果)
工作機械1は、第1部材W1及び第2部材W2の何れか一方の接合処理の間に滑りが発生したときに接合処理が異常であると判定する。工作機械1は、接合処理の間に発生する滑りに基づいて接合不良の有無を判定することで、摩擦推力及びアップセット推力又は寄り代?の少なくとも一方が不十分であることにより発生する接合不良を有する接合部材を不良品として選別することができる。
【0060】
また、工作機械1は、接合処理の間の第1チャック110と第1部材W1との移動量の差、及び第2チャック120と第2部材W2との移動量の差から第1滑り量S1及び第2滑り量S2を演算するので、第1滑り量S1及び第2滑り量S2を高精度で演算できる。
【0061】
また、工作機械1は、本来旋盤等の工作機械に搭載されていない主軸及び部材の位置を検出する位置センサ等の装置を新たに工作機械に搭載することなく、摩擦圧接接合において部材と把持部との間で滑りが発生したか否かを検出することができる。
【0062】
(実施形態に係る工作機械の変形例)
工作機械1は、第1チャック110と第1部材W1との移動量の差、及び第2チャック120と第2部材W2との移動量の差の双方から演算された第1滑り量S1及び第2滑り量S2の双方に基づいて接合処理が正常であるか否かを判定する。しかしながら、実施形態に係る工作機械は、第1滑り量S1及び第2滑り量S2の何れか一方に基づいて接合処理が正常であるか否かを判定してもよい。
【0063】
また、工作機械1は、第1チャック110と第1部材W1との移動量の差(変位差)、及び第2チャック120と第2部材W2との移動量の差(変位差)から第1滑り量S1及び第2滑り量S2を演算する。しかしながら、実施形態に係る工作機械は、第1チャック110と第1部材W1との変位差、及び第2チャック120と第2部材W2との変位差に関連する移動量以外のパラメータから接合処理の間に滑りが発生したか否かを判定してもよい。
【0064】
例えば、実施形態に係る工作機械は、第1チャック110と第1部材W1との速度の差、及び第2チャック120と第2部材W2との速度の差から接合処理の間に滑りが発生したか否かを判定してもよい。また、第1チャック110と第1部材W1との加速度の差、及び第2チャック120と第2部材W2との加速度の差から接合処理の間に滑りが発生したか否かを判定してもよい。
【0065】
実施形態に係る工作機械は、チャックと部材との速度又は加速度の差が所定の判定しきい値よりも大きくなったときに、接合処理の間に滑りが発生したと判定することができる。実施形態に係る工作機械は、チャックと部材との速度又は加速度の差に基づいて滑りの有無を判定して接合不良を検知することで、接合処理中に接合不良を検知することができる。実施形態に係る工作機械は、接合処理中に接合処理の異常を検出し、接合不良が発生する可能性が高い接合処理を早急に中止することができる。
【0066】
また、工作機械1は、押し矢位置センサ114を使用して部材移動量L2を取得するが、実施形態に係る工作機械は、他の手段を使用して部材移動量L2を取得してもよい。例えば、実施形態に係る工作機械は、レーザ位置センサ及び接触式位置センサ等の位置センサを使用して部材移動量L2を取得してもよい。
【0067】
また、工作機械1では、処理前距離D1は記憶部52に記憶されるが、実施形態に係る工作機械は、処理後距離D2と同様に第2部材W2と第2チャック120とを接触させて取得されるパラメータを使用して処理前距離D1を演算してもよい。
【0068】
また、工作機械1は、第2チャック120の先端を使用して処理後距離D2を演算するが、実施形態に係る工作機械は、第2チャック120の先端以外の平滑面を基準面工具140処理後距離D2を演算してもよい。例えば、実施形態に係る工作機械は、突っ切りバイト等の工具140の平滑面を基準面として使用して処理後距離D2を演算してもよい。
【0069】
また、工作機械1は、第1滑り量S1及び第2滑り量S2の少なくとも一方がゼロではないときに、接合処理が異常であると判定する。しかしながら、実施形態に係る工作機械は、第1滑り量S1及び第2滑り量S2の少なくとも一方が所定のしきい値よりも大きいときに、接合処理が異常であると判定してもよい。
【0070】
また、工作機械1は、接合処理の処理全体に亘る滑り量である第1滑り量S1及び第2滑り量S2に基づいて接合処理の異常の有無を判定する。しかしながら、実施形態に係る工作機械は、アップセット推力が押下する間に発生する滑り量に基づいて接合処理の異常の有無を判定してもよい。
【0071】
また、工作機械1は、ガイドブッシュ装置13を有するが、実施形態に係る工作機械は、ガイドブッシュ装置を有さなくてもよい。
【0072】
また、工作機械1は、摩擦推力を印加するときに第1部材W1を回転するが、実施形態に係る工作機械は、摩擦推力を印加するときに第2部材W2を回転してもよく、第1部材W1及び第2部材W2の双方を回転してもよい。また、工作機械1は、摩擦推力及びアップセット推力を印加するときに第1部材W1を移動するが、実施形態に係る工作機械は、摩擦推力及びアップセット推力を印加するときに第2部材W2を移動してもよく、第1部材W1及び第2部材W2の双方を移動してもよい。
【0073】
また、工作機械1では、第2部材W2は、背面主軸12に把持されるが、実施形態に係る工作機械は、背面主軸12を有することなく、クランプ等の第2部材W2を固定可能な装置を有していればよい。
【符号の説明】
【0074】
1 工作機械
11 正面主軸
12 背面主軸
50 NC装置(制御装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8