(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】軟弱地盤改良体、および軟弱地盤改良体の施工方法
(51)【国際特許分類】
E02D 3/12 20060101AFI20240418BHJP
E02D 17/18 20060101ALI20240418BHJP
E02D 5/18 20060101ALI20240418BHJP
E02D 5/20 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
E02D3/12 102
E02D17/18 Z
E02D5/18 102
E02D5/20 102
(21)【出願番号】P 2020197108
(22)【出願日】2020-11-27
【審査請求日】2023-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】511243602
【氏名又は名称】株式会社リアス
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】武田 伸一
(72)【発明者】
【氏名】目黒 和則
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開平1-290817(JP,A)
【文献】特開2011-127417(JP,A)
【文献】特開平11-256564(JP,A)
【文献】特開昭53-27211(JP,A)
【文献】特開2014-62393(JP,A)
【文献】特開2009-249891(JP,A)
【文献】特開2008-223268(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0167099(US,A1)
【文献】特開2015-161093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 3/12
E02D 17/18
E02D 5/18
E02D 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟弱地盤上に設けられ偏土圧を受ける構造物の側方下端部に位置する接地端部を支持し、該接地端部を下方から支持する対象地盤を掘削して地盤改良材を混合攪拌することで形成される軟弱地盤改良体であって、
前記接地端部の延在方向に沿って連続的に延び、前記構造物の荷重を支持する地盤を後面側で受ける前方連続改良壁と、
上面視で前記前方連続改良壁の前記後面に直交して前記延在方向に区画する複数の直交改良壁と、を備え、
前記前方連続改良壁と前記直交改良壁とからなる改良領域の少なくとも一部が前記構造物の前記接地端部に重なる位置に設けられ、
前記前方連続改良壁は、上面視で、前記構造物より前方に配置されるとともに、前記構造物の偏土圧によって生じる前記軟弱地盤のすべり面に到達する深度まで改良されていることを特徴とする構造物の軟弱地盤改良体。
【請求項2】
前記前方連続改良壁の後面側には、該前方連続改良壁から間隔をあけて前記延在方向に沿って延びる後方横改良壁が一体で設けられ、
前記前方連続改良壁、前記後方横改良壁、及び前記直交改良壁によって格子状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の軟弱地盤改良体。
【請求項3】
前記構造物は、盛土部と、該盛土部の側面を補強する補強壁と、を有し、
前記前方連続改良壁と前記直交改良壁とを有する改良体の図心は、側面視において、前記補強壁の荷重の重心に一致していることを特徴とする請求項1又は2に記載の軟弱地盤改良体。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の軟弱地盤改良体の施工方法であって、
前記構造物より前方において、前記前方連続改良壁を前記接地端部の延在方向に沿って連続的に延び、かつ前記すべり面に到達する深度まで地盤を改良する工程と、
上面視で前記前方連続改良壁の後面に直交する複数の直交改良壁を設ける工程と、
を有し、
前記前方連続改良壁と前記直交改良壁とからなる改良領域の少なくとも一部を前記構造物の接地端部に重なる位置に設けられていることを特徴とする軟弱地盤改良体の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟弱地盤改良体、および軟弱地盤改良体の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、盛土や造成地、補強盛土や擁壁の構造物において滑り破壊を防止し、沈下を防止する対応として、例えば特許文献1に示されるような杭基礎や柱状地盤改良を打設する方法が知られている。
【0003】
特許文献1には、所定領域の直下の対象地盤内に構築された地中壁と、この対象地盤の上部に盛土された造成部と、を備え、造成部に複数本の杭による杭基礎を有し、これら杭が格子状の地中壁で囲まれた空間に配置されて、対象地盤の下端の支持地盤まで到達した液状化対策構造について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような従来の構造物におけるすべり破壊や沈下を防止するための杭基礎や柱状地盤改良を打設する施工方法では、杭基礎や柱状地盤改良を固い支持地盤に到達するまで打設する必要があった。そのため、杭を深くまで打設する必要があり、施工に時間を要するうえ、杭自体の部材が大きくなる。また、施工にかかるコスト増大するという問題があった。
【0006】
さらに、深度の大きな杭を施工するため、高さの高い杭打設装置を設置することとなり、このような大掛かりな施工装置を設置できる広くかつ高さを有するスペースを確保する必要があることから、その点で改善の余地があった。
【0007】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、施工深度を最小深さにすることができ、小スペースで簡単な施工となり、施工にかかる費用を低減することができる軟弱地盤改良体、および軟弱地盤改良体の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る軟弱地盤改良体は、軟弱地盤上に設けられ偏土圧を受ける構造物の側方下端部に位置する接地端部を支持し、該接地端部を下方から支持する対象地盤を掘削して地盤改良材を混合攪拌することで形成される軟弱地盤改良体であって、前記接地端部の延在方向に沿って連続的に延び、前記構造物の荷重を支持する地盤を後面側で受ける前方連続改良壁と、上面視で前記前方連続改良壁の前記後面に直交して前記延在方向に区画する複数の直交改良壁と、を備え、前記前方連続改良壁と前記直交改良壁とからなる改良領域の少なくとも一部が前記構造物の前記接地端部に重なる位置に設けられ、前記前方連続改良壁は、上面視で、前記構造物より前方に配置されるとともに、前記構造物の偏土圧によって生じる前記軟弱地盤のすべり面に到達する深度まで改良されていることを特徴としている。
【0009】
また、本発明に係る軟弱地盤改良体の施工方法は、上述した軟弱地盤改良体の施工方法であって、前記構造物より前方において、前記前方連続改良壁を前記接地端部の延在方向に沿って連続的に延び、かつ前記すべり面に到達する深度まで地盤を改良する工程と、上面視で前記前方連続改良壁の後面に直交する複数の直交改良壁を設ける工程と、を有し、前記前方連続改良壁と前記直交改良壁とからなる改良領域の少なくとも一部を前記構造物の接地端部に重なる位置に設けられていることを特徴としている。
【0010】
本発明では、軟弱地盤改良体の前方連続改良壁がすべり面に対して交差した状態で設けられ、かつ改良領域の一部が上面視で構造物の接地端部に重なる位置に設けられているので、土構造部の偏土圧を受けることによって生じる軟弱地盤のすべり破壊や沈下を防止することができる。すなわち、軟弱地盤改良体は、前方連続改良壁と直交改良壁とからなる改良領域によって囲まれる地盤に作用する水平力に対する水平抵抗となる。そのため、構造物の下方の地盤の変形を抑制でき、改良効果の高い地盤改良体を設けることができ、偏土圧が作用する構造物の接地端部を下方から確実に支持することができる。
【0011】
また、本発明では、前方連続改良壁が延在方向に沿って連続して配置されているので、前方連続改良壁の後側の地盤の前方への移動を規制して、前方連続改良壁と直交改良壁とによって区画される軟弱地盤を拘束領域とすることができる。
そのため、本発明では、前方連続改良壁と直交改良壁とによって囲まれる領域も含めた改良領域となり、最小限の改良により効果の高い地盤改良を行うことができる。しかも、軟弱地盤改良壁は、少なくともすべり面に交差する深度であればよく、従来の杭基礎のように支持地盤に達する深く長い杭を設ける従来の杭基礎に比べて施工深さを浅くできる。したがって、施工深度を最小深さにすることができ、施工装置などの地上からの高さを抑え、かつ小スペースで簡単な施工となり、施工にかかる費用を低減することができる。例えば、高さの高いリーダー式の杭打機を使用することなく高さを抑えた地盤改良装置を使用することができるので、上空制限があるエリアでの施工が可能となり、施工スペースの効率化を図ることができる。
【0012】
また、本発明では、設置範囲や深さを最小限にできる壁式の改良となり、ブロック状の地盤改良に比べて改良体自体の自重を低減することができるので、軟弱地盤改良体自体の沈下を防止でき、軟弱地盤改良体の下部の地盤にかかる負荷を抑制できる。
【0013】
また、本発明に係る軟弱地盤改良体は、前記前方連続改良壁の後面側には、該前方連続改良壁から間隔をあけて前記延在方向に沿って延びる後方横改良壁が一体で設けられ、前記前方連続改良壁、前記後方横改良壁、及び前記直交改良壁によって格子状に形成されていることを特徴としてもよい。
【0014】
本発明では、前方連続改良壁、直交改良壁、及び後方横改良壁によって囲まれる領域が周方向全周にわたって拘束されるので、最小限の改良によってさらに効果の高い地盤改良を行うことができる。
【0015】
また、本発明に係る構軟弱地盤改良体は、前記構造物は、盛土部と、該盛土部の側面を補強する補強壁と、を有し、前記前方連続改良壁と前記直交改良壁とを有する改良体の図心は、側面視において、前記補強壁の荷重の重心に一致していることが好ましい。
【0016】
本発明では、側面視において、軟弱地盤改良体の図心を補強壁の荷重の重心に一致させることで、構造物の偏土圧を効率よく支持できるバランスのとれた改良体とすることができ、かつ軟弱地盤改良体の大きさを最小限にすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の軟弱地盤改良体、および軟弱地盤改良体の施工方法によれば、施工深度を最小深さにすることができ、小スペースで簡単な施工となり、施工にかかる費用を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態による軟弱地盤改良体の全体構成を示す一部破断した縦断面図である。
【
図2】
図1に示す軟弱地盤改良体を上方から見た平面図である。
【
図3】
図2に示すA-A線断面図であって、第1改良体の縦断面図である。
【
図4】
図2に示すB-B線断面図であって、第2改良体の縦断面図である。
【
図7】軟弱地盤改良体の設置方法を説明するための図である。
【
図8】変形例による軟弱地盤改良体の全体構成を示す一部破断した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態による軟弱地盤改良体、および軟弱地盤改良体の施工方法について、図面に基づいて説明する。
【0020】
図1に示すように、本実施形態の軟弱地盤改良体1は、軟弱地盤G上に設けられ偏土圧を受ける盛土2(構造物)の側方下端部に位置する接地端部2aを支持し、この接地端部2aを下方から支持する対象地盤を掘削して地盤改良材を混合攪拌することで形成されるものである。
【0021】
ここで、以下の説明では、盛土2の接地端部2aが延びる方向を延在方向X1とし、上面視で延在方向X1に直交する方向を前後方向X2とする。前後方向X2において、盛土2から離反する方向を前方、前側とし、その反対側を後方、後側とする。
【0022】
盛土2は、外周面をなす法面21に対して複数のアンカーボルト22が打設されて補強されている。
【0023】
図2に示すように、軟弱地盤改良体1は、上面視で盛土2の接地端部2aに沿ってL型に改良されている。
軟弱地盤改良体1は、
図3に示すように後述する後方横改良壁13を有する第1改良体1Aと、
図4に示すように後方横改良壁13を設けない第2改良体1Bと、が施工条件に応じて選定されている。
【0024】
なお、
図3及び
図4では、盛土2において、
図1でアンカーボルト22が打設されている部分をコンクリート製の擁壁23(補強壁)として示している。すなわち、盛土2は、盛土本体20の側面に擁壁23が設けられた偏土圧を受ける構造物となっている。
【0025】
図2及び
図3に示すように、第1改良体1Aは、接地端部2aの延在方向X1に沿って連続的に延び、盛土2を支持する軟弱地盤Gを後面11a側で受ける前方連続改良壁11と、上面視で前方連続改良壁11の後面11aに直交して延在方向X1に区画する複数の直交改良壁12と、前方連続改良壁11の後面11a側において前方連続改良壁11から間隔をあけて延在方向X1に沿って延びる後方横改良壁13と、を備えている。前方連続改良壁11、複数の直交改良壁12、及び後方横改良壁13は、一体的かつ格子状に形成されている。
【0026】
図2及び
図4に示すように、第2改良体1Bは、第1改良体1Aの後方横改良壁13が省略された構成であって、前方連続改良壁11と、複数の直交改良壁12と、を備えている。
【0027】
軟弱地盤改良体1は、前方連続改良壁11と直交改良壁12とによって囲まれる改良領域10の少なくとも一部が盛土2の接地端部2aに重なる位置に設けられている。
前方連続改良壁11は、上面視で、盛土2より前方に配置されるとともに、少なくとも盛土2における接地端部2aに交差するすべり面Rに到達する深度まで打設されている。すなわち、前方連続改良壁11の下端部11c、及び第1改良体1Aの後方横改良壁13の下端部13aは、すべり面Rよりも下方に位置している。
【0028】
図7に示す符号Pは、側面視で擁壁23の荷重F2に対して擁壁23の重心を通る荷重位置を示している。この荷重位置Pを重心とする。ここで、
図7に示す符号F1は盛土2の土圧を示し、符号F2は擁壁23の荷重F2を示している。前方連続改良壁11と直交改良壁12とを有する軟弱地盤改良体1は、側面視において軟弱地盤改良体1の図心C(
図7の点線)が擁壁23の荷重F2の重心Pに一致するように形成されている。つまり、軟弱地盤改良体1は、側面視で軟弱地盤改良体1の図心Cを擁壁23の重心Pに前後方向X2に一致するように位置が決定される。
【0029】
軟弱地盤改良体1は、図示しない地盤改良装置を用いて形成され、所定の対象地盤Gにおいて、掘削した地盤に地盤改良材を混合させて攪拌することにより形成される。上記の地盤改良装置では、上方から見て横長の複数の長方形状部を縦横に等間隔で配列させることにより地盤中に施工される。
【0030】
軟弱地盤改良体1を施工するための地盤改良装置は、例えば0.5m3級や0.8m3級のバックホウ等の作業機のアーム先端にアタッチメントとして装着して使用され、複数配列されたロッドの各下端に備えた掘削翼を回転させながら軟弱地盤G中を鉛直方向下方に移動させて掘削し、その掘削土に地盤改良材を添加して混合し、攪拌することにより前記軟弱地盤改良体1を施工するものが採用される。このような地盤改良装置として、例えば、特開2011-226254号公報に記載の3軸の掘削翼を備えた装置を使用することができる。
ここで、掘削土に添加される地盤改良材として、地盤改良の目的に応じて、例えばセメントミルク等の液状の材料や、粉体状の材料などの適宜な薬剤を採用することができる。
【0031】
上述した軟弱地盤改良体1の施工方法としては、盛土2より前方において、前方連続改良壁11を接地端部2aの延在方向X1に沿って連続的に延び、かつすべり面Rに到達する深度まで地盤を改良する工程と、上面視で前方連続改良壁11の後面11aに直交する複数の直交改良壁12を軟弱地盤Gに設ける工程と、前方連続改良壁11の後方に間隔をあけて後方横改良壁13を設ける工程と、を有する。
そして、前方連続改良壁11と直交改良壁12とによって囲まれる改良領域の少なくとも一部を盛土2の接地端部2aに重なる位置に設けるように施工することにより軟弱地盤改良体1を設けることができる。
【0032】
次に、上述した軟弱地盤改良体1、および軟弱地盤改良体1の施工方法の作用について、図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態では、
図1~
図6に示すように、軟弱地盤改良体1の前方連続改良壁11がすべり面Rに対して交差した状態で設けられ、かつ改良領域の一部が上面視で盛土2の接地端部2aに重なる位置に設けられているので、盛土2の偏土圧を受けることによって生じる軟弱地盤のすべり破壊や沈下を防止することができる。すなわち、軟弱地盤改良体1は、前方連続改良壁11と直交改良壁12とからなる改良領域によって囲まれる地盤に作用する水平力に対する水平抵抗となる。そのため、盛土2の下方の軟弱地盤Gの変形を抑制でき、改良効果の高い地盤改良体を設けることができ、偏土圧が作用する盛土2の接地端部2aを下方から確実に支持することができる。
【0033】
また、本実施形態では、前方連続改良壁11が延在方向X1に沿って連続して配置されているので、前方連続改良壁11の後側の軟弱地盤Gの前方への移動を規制して、前方連続改良壁11と直交改良壁12とによって区画される軟弱地盤を拘束領域とすることができる。
そのため、本実施形態では、前方連続改良壁11と直交改良壁12とによって囲まれる領域も含めた改良領域となり、最小限の改良により効果の高い地盤改良を行うことができる。しかも、軟弱地盤改良壁1は、少なくともすべり面Rに交差する深度であればよく、従来の杭基礎のように支持地盤に達する深く長い杭を設ける従来の杭基礎に比べて施工深さを浅くできる。したがって、施工深度を最小深さにすることができ、施工装置などの地上からの高さを抑え、かつ小スペースで簡単な施工となり、施工にかかる費用を低減することができる。例えば、高さの高いリーダー式の杭打機を使用することなく高さを抑えた地盤改良装置を使用することができるので、上空制限があるエリアでの施工が可能となり、施工スペースの効率化を図ることができる。
【0034】
また、本実施形態では、設置範囲や深さを最小限にできる壁式の改良となり、ブロック状の地盤改良に比べて改良体自体の自重を低減することができるので、軟弱地盤改良体1自体の沈下を防止でき、軟弱地盤改良体1の下部の地盤にかかる負荷を抑制できる。
【0035】
また、本実施形態の軟弱地盤改良体1では、前方連続改良壁11、直交改良壁12、及び後方横改良壁13によって格子状に形成され、これらによって囲まれる領域の地盤Gが周方向全周にわたって拘束されるので、最小限の改良によってさらに効果の高い地盤改良を行うことができる。
【0036】
また、本実施形態では、
図7に示すように、側面視において、軟弱地盤改良体1の図心Cを擁壁23の荷重の重心Pに一致させることで、盛土2の偏土圧を効率よく支持できるバランスのとれた改良体とすることができ、かつ軟弱地盤改良体1の大きさを最小限にすることができる。
【0037】
上述のように本実施形態による軟弱地盤改良体1、および軟弱地盤改良体1の施工方法では、施工深度を最小深さにすることができ、小スペースで簡単な施工となり、施工にかかる費用を低減することができる。
【0038】
以上、本発明による軟弱地盤改良体、および軟弱地盤改良体の施工方法の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0039】
例えば、上述した実施形態では、擁壁23などの補強壁が設けられた盛土2を構造物としているが、このような擁壁23を備えた構成であることに限定されることはなく、例えば
図8に示す変形例のように構造物の全体が盛土2Aであるものに適用することも可能である。
さらに、構造物として、上述したアンカーなどで補強した補強土壁や擁壁を備えた盛土や補強壁を有しない盛土の他、造成地の法尻なども本発明の軟弱地盤改良体の適用対象としてもよい。
【0040】
また、本実施形態では、盛土2の接地端部2aの直下に軟弱地盤改良体1が設けられた構成であるが、軟弱地盤の表面に表層改良体が設けられていてもよい。すなわち、この場合には、表層改良体の下方に軟弱地盤改良体が設けられる。
【0041】
また、本実施形態では、前方連続改良壁11と直交改良壁12とを有する改良体の図心Cを、上面視において、擁壁23の荷重の重心Pに一致させた構成としているが、このような図心Cと重心Pとを一致させることに限定されることはない。
【0042】
また、軟弱地盤改良体1を施工するための地盤改良装置の具体的な構成については、とくに制限されるものではない。つまり、回転軸、掘削翼、攪拌翼などの位置、数量、形状などは任意に設定することが可能である。
【0043】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 軟弱地盤改良体
11a 後面
12 直交改良壁
13 後方横改良壁
21 法面
22 アンカーボルト
23 擁壁(補強壁)
C 軟弱地盤改良体1の図心
G 軟弱地盤
P 擁壁23の重心
R すべり面
X1 延在方向
X2 前後方向