IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジボダン エス エーの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】有機化合物
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20240418BHJP
   A23J 3/14 20060101ALI20240418BHJP
   A23L 2/56 20060101ALN20240418BHJP
   A23L 2/66 20060101ALN20240418BHJP
   A23L 13/40 20230101ALN20240418BHJP
   A23L 13/60 20160101ALN20240418BHJP
   A23L 33/185 20160101ALN20240418BHJP
【FI】
A23L27/00 Z
A23J3/14
A23L2/56
A23L2/66
A23L13/40
A23L13/60 Z
A23L33/185
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020566708
(86)(22)【出願日】2019-05-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-30
(86)【国際出願番号】 EP2019063604
(87)【国際公開番号】W WO2019228957
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2022-05-26
(31)【優先権主張番号】62/677,365
(32)【優先日】2018-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501105842
【氏名又は名称】ジボダン エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ユエンガン
(72)【発明者】
【氏名】ポッツ,デイヴィッド
【審査官】厚田 一拓
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-041951(JP,A)
【文献】特開2014-003952(JP,A)
【文献】特開2010-057394(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106173871(CN,A)
【文献】国際公開第2017/143298(WO,A1)
【文献】特表2020-519744(JP,A)
【文献】Dimitrios Boskou et al.,Olive Oil,AOCS Publishing,2006年,41-72,DOI:10.1201/9781439832028.pt2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00 - 35/00
A23J 1/00 - 7/00
C11B 1/00 - 15/00
CAplus/REGISTRY/FSTA/CABA/AGRICOLA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非動物由来タンパク質および1グラムの非動物由来タンパク質あたり0.001ng~1ngのエチルシクロヘキサノアートを含む消耗品。
【請求項2】
非動物由来タンパク質含有消耗品におけるオフノートをマスキングする方法であって、消耗品に1グラムの非動物由来タンパク質あたり0.001ng~1ngのエチルシクロヘキサノアートを添加するステップを含む、前記方法。
【請求項3】
エチルシクロヘキサノアートを含オリーブオイルではない、非動物由来タンパク質オフノートのマスキングのためのマスキング組成物。
【請求項4】
1500ppbまでのエチルシクロヘキサノアートおよび少なくとも1のフレーバー剤を含む、請求項3に記載のマスキング組成物。
【請求項5】
少なくとも0.025ppbのエチルシクロヘキサノアートを含む、請求項3または請求項4に記載のマスキング組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、消耗品に含有される非動物由来タンパク質のオフノートを抑制する方法に関する。より具体的に、本開示は、非動物由来タンパク質含有消耗品のためのエチルシクロヘキサノアートおよびエチルシクロヘキサノアートを含むフレーバー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
食事におけるタンパク質の利益に起因して、卵または乳などの動物原材料だけではなく肉をも置き換えるために、食料品における非動物性タンパク質の使用が益々重要になっている。消費者は、食品や飲料製品に多機能の利点があることを期待するが、消費者は、これらの製品が健康上の利益の点での有効性とともに、優れた味を提供することを依然として期待する。各タイプのタンパク質は、それぞれ固有の味を有するので、食品および飲料製品に配合すると、魅力的ではないと感じられる独特の味を生み出すことがある。例えば、植物タンパク質、例として、大豆またはエンドウ(pea)などのマメ科植物から作られた製品は、草のよう、豆のよう(beany)、グリーン、土のよう、ナッツのようおよび/または苦みと表現されるフレーバープロファイルを示す。大豆タンパク質およびピータンパク質(pea protein)に関係してしばしば言及される具体的なオフノートは、豆のよう、大豆および苦み特質である。ジャガイモタンパク質に関係してしばしば言及されるオフノートは、魚臭い、グリーン、土のよう・かび臭いおよび苦み特質である。
【発明の概要】
【0003】
減少したオフノートを有する改善されたフレーバーを示す、非動物性タンパク質および非動物性タンパク質含有製品への需要が残っている。
【0004】
驚くべきことに、非動物性タンパク質を含む製品へのエチルシクロヘキサノアートの添加が、オフノートの抑制または少なくとも低減に起因する、改善されたフレーバープロファイルを有する消費可能な製品を提供することを可能とすることが見出された。
【0005】
よって、第1の側面において、非動物由来タンパク質およびエチルシクロヘキサノアートを含む消耗品が提供される。
【0006】
「非動物由来タンパク質」は、これらに限定されないが、以下を包含する原材料から作られたタンパク質調製物を指す:穀物(米、キビ、トウモロコシ、大麦、小麦、燕麦、ソルガム、ライ麦、テフ、ライコムギ、アマランサス、ソバ、キノア);マメ科植物(legume)または豆類の種(pulses)(ビーンズ(beans)(大豆、緑豆、空豆、ライマ豆、ベニバナインゲン、インゲンマメ、シロインゲンマメ、ピント豆、小豆等)、ピース(peas)(グリーンピース、イエローピース、ヒヨコマメ、キマメ、カウピー、ブラックアイドピース等)、ゴマ、ガルバンゾ、ジャガイモ、レンズ豆、およびハウチワマメ);種子および油種子(クロガラシ、インディアマスタード、菜種、キノーラ、紅花、サンフラワーシード、フラックスシード、ヘンプシード、ケシの実、カボチャ、チア、ゴマ);ナッツ(アーモンド、クルミ、ブラジル、マカダミア、カシューナッツ、栗、ヘーゼルナッツ、松の実、ピーカンナッツ、ピーナッツ、ピスタチオ、銀杏);藻類(昆布、ワカメ、スピルリナ、クロレラ);マイコプロテインおよび/または真菌タンパク質。具体的な一態様において、非動物由来タンパク質は、ビーンタンパク質、エンドウタンパク質、穀物タンパク質(例として小麦、燕麦、米タンパク質)、藻類タンパク質、および空豆タンパク質、およびそれらの混合物から選択される。別の具体的な態様において非動物由来タンパク質は、大豆タンパク質、ピータンパク質(例としてグリーンピース)、穀物タンパク質(例として小麦、燕麦)およびそれらの混合物から選択される。
【0007】
エチルシクロヘキサノアート、ときにはエチルシクロヘキシルカルボキシラートと称される(CAS 3289-28-9; FEMA No 3544)は、様々な天然の油、例えば、バージンオリーブオイル(例えば、Reiners et al, J. Agric. Food Chem. 1998, 46, 2754-2763参照)およびラム(Franitza et al, J. Agric. Food Chem. 2016, 64, 637-645参照)に発生することが知られている。当該化合物は、約1pptの優れた低い匂い閾値を有する(Gary R. Takeoka et al, Lebensm.-Wiss. u.-Technol., 24,569-570 (1991)。
【0008】
驚くべきことに、エチルシクロヘキサノアートの、約0.5ppt(ng/L)~約20ppt(ng/L)(0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、5、7.5、8、9、10、12、14、15、16、18ppt(ng/L)を包含)であるその匂い検出閾値付近での使用が、あるオフノート、とりわけ、非動物由来タンパク質のオフノートのマスキングを提供することが見出された。より高い濃度(例として、50ppt以上(75ppt、100ppt、150ppt、175pptなど)の添加は、数個のオフノート特質への有意な効果を提供するが、加えていくつかのフルーティなノートを与える。消耗品に応じて、これらのフルーティなノートは、所望されるかまたはあまり所望されない。
【0009】
用語「オフノート」は、消耗品の消費後に経時的に発生する不快な後味を指す。エチルシクロヘキサノアートの添加は、オフノートをブロック、マスクまたは改変し、それらを、より明らかでなくし、感じさせなくさえする。非動物性タンパク質は、それによってとりわけそれらの豆のような、苦い味を失うか、または少なくともそれらのオフノートテイスト特質がより明らかでなくなる。
【0010】
よって、さらなる側面において、非動物由来タンパク質含有消耗品におけるオフノートのマスキングの方法が提供され、これは消耗品に有効量のエチルシクロヘキサノアートを添加するステップを含む。
【0011】
顕著な効果を達成するために必要なエチルシクロヘキサノアートの量は、主に消耗製品に存在する非動物由来タンパク質の量に依存する。例えば、良好な結果が、約3wt%の非動物由来タンパク質を含む消耗品への20pptまで(例として0.5ppt~約15ppt)のエチルシクロヘキサノアートの添加によって達成された。別の例として、約15~50wt%(17、20、25、30、35、40、45wt%など)の非動物由来タンパク質を含む代替肉消耗品(例として、フィレ、ナゲット、ハンバーガー、ソーセージ、「ミートボール」、およびデリ「ミート」)を挙げることができる。かかるタイプの多量(約15wt%~約50wt%)の非動物由来タンパク質を含む消耗品には、良好な結果を得るために、250pptまでのエチルシクロヘキサノアートを添加し得る。
【0012】
よって、さらなる態様において、非動物由来タンパク質およびエチルシクロヘキサノアートを含む消耗品であって、消耗品が、1グラムの非動物由来タンパク質あたり、約1ngまで(0.005、0.01、0.05、0.1、0.25、0.3、0.5、0.5、0.75ngを包含する)のエチルシクロヘキサノアートを含むことを特徴とする、前記消耗品を提供する。
【0013】
エチルシクロヘキサノアートは、非動物由来タンパク質を含む消耗製品に直接添加してもよく、または早いステップにおいて、フレーバー剤、安定剤、乳化剤、防腐剤、ガム、デンプン、デキストリン、ビタミンおよびミネラル、機能的成分、塩、抗酸化剤、甘味料、および着色料などのさらなる食品添加物と混合してもよく、または消耗製品に混合する前に最初のステップにおいて、マトリックス材料に封入してもよい。
【0014】
マトリックス材料として、マルトデキストリン(例として、ほとんどフレーバーのない、グルコース鎖長19を有するマルトデキストリン)、デキストリン、加工デンプン、糖アルコール(例としてマンニトール、ソルビトール、マルチトール、イソマルト)、糖(例としてフルクトース、ラクトース、グルコース)、およびそれらの混合物などの、あらゆるタイプの食品グレードの担体を使用してよい。
【0015】
好適なフレーバー剤の例は、天然フレーバー、人工フレーバー、スパイス、シーズニング、等を包含する。例示的なフレーバー剤は、合成フレーバー油およびフレーバー付与芳香族および/または油、オレオレジン、エッセンス、および蒸留物、および上記の少なくとも1つを含む組み合わせを包含する。
【0016】
フレーバー油は、スペアミント油、シナモン油、ウィンターグリーンの油(メチルサリチラート)、ペパーミント油、ジャパニーズミント油、クローブ油、ベイ油、アニス油、ユーカリ油、タイム油、セダーリーフ油、ナツメグの油、オールスパイス油、セージの油、メース油、ビターアーモンドの油、カシア油を包含する;有用なフレーバー付与剤は、バニラ、およびレモン、オレンジ、ライム、グレープフルーツ、ゆず、すだちなどの柑橘類油、リンゴ、洋ナシ、モモ、ブドウ、ラズベリー、ブラックベリー、グースベリー、ブルーベリー、イチゴ、チェリー、プラム、プルーン、レーズン、コーラ、ガラナ、ネロリ、パイナップル、アプリコット、バナナ、メロン、アプリコット、チェリー、トロピカルフルーツ、マンゴー、マンゴスチン、ザクロ、パパイヤなどを包含するフルーツエッセンスなどの人工、天然、および合成のフルーツフレーバーを包含する。
【0017】
フレーバー付与剤によって与えられる追加の例示的なフレーバーは、ミルクフレーバー、バターフレーバー、チーズフレーバー、クリームフレーバー、ヨーグルトフレーバー;バニラフレーバー;緑茶フレーバー、ウーロン茶フレーバー、紅茶フレーバー、ココアフレーバー、チョコレートフレーバー、コーヒーフレーバーなどの茶またはコーヒーフレーバー;ペパーミントフレーバー、スペアミントフレーバー、ジャパニーズミントフレーバーなどのミントフレーバー;アサフェティダフレーバー、アジョワンフレーバー、アニスフレーバー、アンジェリカフレーバー、フェンネルフレーバー、オールスパイスフレーバー、シナモンフレーバー、カモミールフレーバー、マスタードフレーバー、カルダモンフレーバー、キャラウェイフレーバー、クミンフレーバー、クローブフレーバー、ペッパーフレーバー、コリアンダーフレーバー、サッサフラスフレーバー、セイボリーフレーバー、Zanthoxyli Fructusフレーバー、ペリラフレーバー、ジュニパーベリーフレーバー、ジンジャーフレーバー、スターアニスフレーバー、ホースラディッシュフレーバー、タイムフレーバー、タラゴンフレーバー、ディルフレーバー、カプサイカムフレーバー、ナツメグフレーバー、バジルフレーバー、マジョラムフレーバー、ローズマリーフレーバー、ベイリーフフレーバー、ワサビ(ジャパニーズホースラディッシ)フレーバーなどのスパイシーフレーバー;アーモンドフレーバー、ヘーゼルナッツフレーバー、マカダミアナッツフレーバー、ピーナッツフレーバー、ピーカンフレーバー、ピスタチオフレーバー、クルミフレーバーなどのナッツフレーバー;ワインフレーバー、ウイスキーフレーバー、ブランデーフレーバー、ラムフレーバー、ジンフレーバー、リキュールフレーバーなどのアルコールフレーバー;フローラルフレーバー;およびオニオンフレーバー、ガーリックフレーバー、キャベツフレーバー、ニンジンフレーバー、セロリフレーバー、マッシュルームフレーバー、トマトフレーバーなどの野菜フレーバーを包含する。
【0018】
一般に、National Academy of Sciencesによる、「Chemicals Used in Food Processing」Publication No 1274、63~258ページに記載されたものなどの、あらゆるフレーバー付与剤または添加剤を用いることができる。この刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0019】
フレーバー組成物は、典型的には消耗品に基づいて0.01~2wt%(例として約0.2wt%~約1wt%)で消耗品に混合される。150pptまでのエチルシクロヘキサノアートを含む消耗品を得るために、かかるフレーバー組成物は、1500ppb(μg/L)までのエチルシクロヘキサノアートを含むべきである。
【0020】
よって、さらなる態様において、非動物由来タンパク質オフノートをマスキングするために好適な組成物であって、約0.025ppbから約1500ppbまでのエチルシクロヘキサノアートおよび少なくとも1のフレーバー剤を含む該組成物が提供される。
【0021】
一態様においてエチルシクロヘキサノアートは、さらなるオフノートマスク剤および/またはオフノートマスク剤を含むフレーバーシステムと混合してもよい。最終製品に応じて、苦さなどのオフノートをマスクするために、製品の例えば甘味または塩味を高めてもよい。渋みは、当業者に周知の手段で、最終製品のpHを調整することによってマスキングしてもよい。
【0022】
別の態様において、エチルシクロヘキサノアートを、WO2017/037181に詳細に開示されるようなタンパク質バインダーを含むフレーバーシステムと組み合わせてもよく、当該刊行物は参照により本明細書に組み込まれる。タンパク質バインダーは、本明細書において以下のように定義される:
【0023】
一態様において、バインダーは、タンパク質に結合(tie up)または結合(bind)し、それによりタンパク質がフレーバーに結合するのを防止する能力に基づいて選択される。タンパク質へ結合し、フレーバー物質を「自由にする(free-up)」この能力は、数多の因子によって決定され、これらは、例えば、アミノ酸プロファイル、タンパク質確認、疎水性、添加時間、プロセシングの間のタンパク質の挙動、特徴的なフレーバー物質(単数または複数)のタイプおよびフレーバー物質(単数または複数)の極性を包含する。一態様に従って、タンパク質バインダーは、少なくとも1のテルペンおよび少なくとも1のカルボニル化合物の混合物を包含し得る。別の態様において、タンパク質バインダーは、テルペンおよび2以上のカルボニル化合物の混合物を包含し得る。
【0024】
一態様において、好適なテルペン(イソプレノイドおよびテトラテルペノイド)には、以下のものを包含するが、これらに限定されない:カロテン(例えば、アルファ-カロテン、ベータ-カロテン、ガンマ-カロテン、デルタ-カロテン、リコペン、ニューロスポレン、フィトフルエン、フィトエンなど)、およびキサントフィル(例えば、カンタキサンチン、クリプトキサンチン、アエアキサンチン、アスタキサンチン、ルテイン、ルビキサンチンなど);モノテルペン(例えば、リモネン、ペリリルアルコールなど);セスキテルペン(例えば、カリオフィレン、ベータ-カリオフィレン、ジンジベレンなど);サポニン;フィトステロール、カンペステロール、ベータシトステロール、ガンマシトステロール、スチグマステロール)、トコフェロール(ビタミンE)、およびオメガ-3、-6、および-9脂肪酸(例えば、ガンマ-リノレン酸など)を含む脂肪、トリテルペノイド(例えば、オレアノール酸、ウルソール酸、ベトリン酸、モロン酸など);アルファ-ピネン、シス-ベータ-オシメン、およびビサボレン(例えば、アルファ-ビサボレンおよびガンマ-ビサボレンなど)。好適なカルボニル化合物は、ケトンおよびアルデヒドを包含し、これらに限定されないが、以下を含む:アセトン、アセチルメチルカルビノール、アセトフェノン、2-ブタノン、L-カルボン、D-カルボン、ジアセチル、2-ヘプタノン、ベータ-イオノン、L-メントン、アニシルアセタノン、メチルシクロペンテノロン、メチルノニルケトン、メチルヘプテノン、2-ノナノン、2-オクタノン、2-ペンタノン、2-ウンデカノネン、4-ヒドロキシ-2,5ジメチル-3(2H)フラノン、ヌートカトン、トリデカノン、テトラデカラクトン、デカラクトン、ブチロラクトン、2-トリデカノン、ベンズアルデヒド、n-ブチラルアルデヒド、イソブチルラルアルデヒド、桂皮アルデヒド、シトロネラール、デカナール、ドセセナール、ヘキサナール、アルデヒドC-12、アルデヒドC-8、アセトアルデヒド、トランス-2-ヘキセナール、アニシルアルデヒド、トランス-2-デセナール、シス-3-ヘキセナール、シス-4-ヘプテナール。
【0025】
本開示に従って、用語「消耗品」は、典型的には口腔を介して(ただし、消費は、吸入のような非経口手段を介して行われてもよい)、楽しみ、栄養補給、または健康およびウェルネス上の利益の少なくとも1つの目的のための、消費のための製品を指す。消耗品は、これらに限定されないが、液体、固体、半固体、錠剤、カプセル、トローチ、ストリップ、粉末、ゲル、ガム、ペースト、スラリー、シロップ、エアロゾルおよびスプレーを包含する、あらゆる形態で存在してよい。当該用語は、例えば、食事療法および栄養補助食品も指す。消耗品は、廃棄される前に一定期間口腔内に置かれるが、飲み込まれない組成物を包含する。消耗品は、消費される前に口腔内に置かれてもよいし、廃棄される前に一定期間口腔内に保持されてもよい。
【0026】
広義には、消耗品は、これらに限定されないが、あらゆる種類の食料品、菓子製品、焼成製品、甘い製品、セイボリー製品、発酵製品、乳製品、飲料、オーラルケア製品、栄養補助食品および医薬品を包含する。
【0027】
例示的な食料品は、これらに限定されないが、冷蔵スナック、甘いおよびセイボリースナック、フルーツスナック、チップス/クリスプ、押出スナック、トルティーヤ/コーンチップス、ポップコーン、プレッツェル、ナッツ、その他の甘いおよびセイボリースナック、スナックバー、グラノーラバー、朝食バー、エネルギーバー、フルーツバー、その他のスナックバー、食事代替製品、痩身製品、療養用飲料、レディミール、缶詰レディミール、冷凍レディミール、乾燥レディミール、冷蔵レディミール、ディナーミックス、代替肉、冷凍ピザ、冷蔵ピザ、スープ、缶詰スープ、脱水スープ、インスタントスープ、冷蔵スープ、UHTスープ、冷凍スープ、パスタ、缶詰パスタ、乾燥パスタ、冷蔵/生パスタ、麺、プレーン麺、インスタント麺、カップ/ボウルインスタント麺、パウチインスタント麺、冷蔵麺、スナック麺、乾燥食品、デザートミックス、ソース、ドレッシングおよび調味料、ハーブおよびスパイス、スプレッド、ジャムおよびプレザーブ、はちみつ、チョコレートスプレッド、ナッツベースのスプレッド、酵母ベースのスプレッドを包含する。
【0028】
例示的な菓子製品は、これらに限定されないが、チューインガム(砂糖入りガム、無糖ガム、機能性ガムおよびバブルガムを包含する)、センターフィル菓子、チョコレートおよび他のチョコレート菓子、薬用菓子、トローチ、錠剤、パスティル、ミント、標準的なミント、パワーミント、噛みごたえのあるキャンディ、ハードキャンディ、ボイルドキャンディ、ブレスおよび他のオーラルケアフィルムまたはストリップ、キャンディケーン、ロリポップ、グミ、ゼリー、ファッジ、キャラメル、ハードおよびソフト糖衣品、トフィー、タフィー、リコリス、ゼラチンキャンディ、ガムドロップ、ゼリービーンズ、ヌガー、フォンダン、上記の1つまたは複数の組み合わせなどを包含する。
【0029】
例示的な焼成製品は、これらに限定されないが、アルファフォーレス、パン、包装/工業用パン、包装されていない/職人のパン、ペストリー、ケーキ、包装/工業用ケーキ、包装されていない/職人のケーキ、クッキー、チョコレートでコーティングされたビスケット、サンドイッチビスケット、充填ビスケット、セイボリービスケットおよびクラッカー、パンの代替品を包含する。
【0030】
例示的な甘い製品は、これらに限定されないが、朝食用シリアル、すぐに食べられる(「rte」)シリアル、ファミリー朝食用シリアル、フレーク、ミューズリー、その他のすぐに食べられるシリアル、子供用朝食用シリアル、ホットシリアルを包含する。
【0031】
例示的なセイボリー製品は、これらに限定されないが、塩味スナック(ポテトチップス、クリスプ、ナッツ、トルティーヤ・トゥスタダ、プレッツェル、チーズスナック、コーンスナック、ポテトスナック、すぐに食べられるポップコーン、電子レンジ可能なポップコーン、ポークラインズ、ナッツ、クラッカー、クラッカースナック、朝食用シリアル、ランチョン/朝食の代替肉(ホットドッグ、コールドカット、ソーセージ)、トマト製品、マーガリン、ピーナッツバター、スープ(透明、缶詰、クリーム、インスタント、超高温「UHT」)、缶詰の野菜、パスタソースを包含する。
【0032】
例示的な乳製品は、これらに限定されないが、チーズ、チーズソース、チーズベースの製品、アイスクリーム、インパルスアイスクリーム、シングルポーション乳製品アイスクリーム、シングルポーション氷菓、マルチパック乳製品アイスクリーム、マルチパック氷菓、持ち帰り用アイスクリーム、持ち帰り用乳製品アイスクリーム、アイスクリームデザート、バルクアイスクリーム、持ち帰り用氷菓、フローズンヨーグルト、職人のアイスクリーム、乳製品、豆乳、コーヒーホワイトナー、冷蔵のおよび室温保存可能なデザート、大豆ベースのデザートを包含する。
【0033】
例示的な飲料は、これらに限定されないが、タンパク質を含むフレーバーウォーター、清涼飲料、果実飲料、コーヒーベースの飲料、茶ベースの飲料、果汁ベースの飲料(フルーツおよび野菜を含む)、ゲル飲料、炭酸飲料または非炭酸飲料、粉末飲料、アルコール飲料またはノンアルコール飲料、およびこれらの飲料のすぐに飲める液状製剤を包含する。
【0034】
例示的な発酵食品は、これらに限定されないが、チーズおよびチーズ製品、肉および肉製品、大豆および大豆製品、魚および魚製品、穀物および穀物製品、果物および果物製品を包含する。
【0035】
ある態様において、高濃度の非動物由来タンパク質(例えば、大豆タンパク質、ピータンパク質、またはそれらの混合物)を含む飲料組成物が提供される。タンパク質の総量は、約2重量%および約15重量%の間、または約2%および約12重量%の間、または約3%および約10重量%の間、または約4%および約8重量%の間、または約5%および約7重量%の間、または約6.4%~6.5%の間、または約6.4重量%タンパク質、または高タンパク質飲料組成物の3重量%を超える、4重量%を超える、5重量%を超える、または6重量%を超える、またはこれらの範囲内のあらゆるパーセンテージ範囲または特定のパーセンテージであってよい。
【0036】
次に、本発明を以下の非限定的な実施例を参照してさらに説明する。これらの例は、例示の目的のためだけのものであり、バリエーションおよび改変は、当業者によって行われ得ることが理解される。
【0037】
例1:大豆タンパク質飲料
3重量%大豆タンパク質(DuPontによるSUPRO(R)XT219D)および0.1重量%キサンタンガムを含む水性の大豆タンパク質飲料を調製した。
試料A(対照): 大豆タンパク質飲料
試料B: 試料A+0.5ppt(ng/L)エチルシクロヘキサノアート
試料C: 試料A+15ppt(ng/L)エチルシクロヘキサノアート
【0038】
試料をガラスビーカーに入れ、パラフィルムで覆い、テイスティング前に、冷蔵温度で3日間保存した。試飲の直前に、飲料の均一性を確保するために試料を数回反転させた。
【0039】
熟練したテイスターのグループは、3mlピペットを使用して、基準対照試料を、試料Bおよび試料Cと夫々比較し、どの大豆特質が最も影響を受けたかについてコメントを提供するように求められた。結果を以下の表1に示す。
【0040】
テスト方法
試料を冷却装置からテイスティングの30分前に取り出した。テイスティングの間に口蓋の十分な濯ぎおよび洗浄ができるように、キャロットスティック、サワークリーム、クラッカー、ろ過された水を用意した。テイスティングセッションの間、少なくとも10人の熟練したテイスターは、試料Aと試料Bおよび試料Cとの違いを夫々提供するように依頼された。テイスティング結果をまた、試料Bと試料Cとの間のテイスターのフィードバックを比較するために使用し、豆のよう、大豆、および苦みの記述に対する関心のある化合物の潜在的な濃度効果を示すために使用した。
【0041】
熟練した官能パネルによってこれまでに開発されたように定義された特質は、「豆のよう」、「大豆」および「苦み」を含む大豆タンパク質の投票用紙に含まれていた。官能属性およびそれに対応する定義を以下に記載する。
【0042】
【表1】
【0043】
特質の官能記述:
豆のよう: チョークのような、甘い、豆腐およびビーンカードに関連する大豆様芳香
大豆: タンパク質、グリーン、ビタミン、豆のよう、土のような、およびデンプンのノートを包含する大豆タンパク質に関連する芳香
苦み: カフェインまたは水に薄めたキニーネなどの物質に関連する基本的味感覚
【0044】
例2:ジャガイモタンパク質
3重量%ジャガイモタンパク質(AvebeによるSolanicTM200)を含む水性のジャガイモタンパク質溶液を調製した(試料A)。試料Aが、土のような、かび臭い、魚臭い、苦みと表現されたのに対し、14pptのエチルシクロヘキサノアートを添加した試料は、土のような、ジャガイモ様と表現されたが、魚臭く、苦い味の特質は認められなかった。
【0045】
例3:ピータンパク質
3重量%ピータンパク質(CosucraによるPisane(R)C9)および0.1重量%キサンタンガムを含む水性のピータンパク質飲料を調製した。
【0046】
試料A(対照): ピータンパク質飲料
試料B: 試料A+15ppt(ng/L)エチルシクロヘキサノアート
試料C: 試料A+30ppt(ng/L)エチルシクロヘキサノアート
【0047】
試料をガラスビーカーに入れ、パラフィルムで覆い、試飲前に、冷蔵温度で3日間保存した。試飲の直前に、飲料の均一性を確保するために試料を数回反転させた。
【0048】
試料Aは、土のような、かび臭い、グリーン、および渋みと表現された。これに比べて、試料Bは、より低い土のような、かび臭い、グリーン、および渋みノートを示し、試料Cにおいて、具体的に土のような、かび臭い、および渋み知覚に関して、より大きな低減を有した。
【0049】
例4:ベジタリアンミートボール(肉代用品)
【表2】
【0050】
(1) Du PontによるSolae Supro XT 291D
(2) Bob’s Red MillによるBob’s Red Mill Vital Wheat Gluten 75-80%タンパク質
(3) Du PontによるResponse 4310 IP
WO2017/037181に記載されているタンパク質バインダーを0.32重量%含む加工デンプン
** 15ppbエチルシクロヘキサノアートをさらに含む組成物A(最終製品において約0.18ng/gタンパク質の最終濃度をもたらす)
【0051】
上記表2のレシピに基づき、以下のようにしてミートボールを調製した。
大豆フレークと一緒にThermomixに水を加え、室温で混合した。10分後に大豆タンパク質アイソレートおよび小麦グルテンを混合しながら添加した。同時にヒーターを100℃にして、設定温度100℃に到達するまで組成物を混合し、1分間続けた。
【0052】
組成物を取り出し、1oz(約28g)のボールに成形した。こうして調製したボールを缶詰にして保管した。
【0053】
試料評価:
缶を開封し、個々の小さなポットに注ぎ、内部のボール温度が165F(約74℃)に達するまでアルミホイルでカバーしたポット内で中温で加熱した。試料Aと比較例との間、および試料Aと試料Bとの間の違いを説明するように求められた8~10人の熟練したパネリストによってミートボールを、評価した。
【0054】
【表3】
【0055】
効果なし(±)から最高の効果(+++++)までの尺度で総合的なパフォーマンスを評価する
味表現は、認識されない(0)~非常に強い(5)までの尺度で評価する
【0056】
上記の結果から分かるように、大豆タンパク質に関連する豆のよう、大豆および苦さのオフノートは、エチルシクロヘキサノアートを含有するマスク剤組成物で完全にマスキング/ブロックされた。