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特許7474710アルカロイドを含有する材料を含むボビンを製造するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】アルカロイドを含有する材料を含むボビンを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   A24B 3/14 20060101AFI20240418BHJP
   A24C 5/20 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
A24B3/14
A24C5/20
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020568447
(86)(22)【出願日】2019-06-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 EP2019067420
(87)【国際公開番号】W WO2020002646
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-06-27
(31)【優先権主張番号】18181034.2
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ローエンシュタイン シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】バーブー デ クリエール バートランド
(72)【発明者】
【氏名】ファン デン ブーガート マルク エー エフ
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/041920(WO,A1)
【文献】特開昭51-012999(JP,A)
【文献】特表2011-500021(JP,A)
【文献】特表2015-517817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 3/14
A24C 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャストリーフのボビンを製造するための方法であって、
- アルカロイドを含有する材料のウェブを提供するように、アルカロイドを含有する材料の巻き取られたウェブを含むマザーボビンを巻き出す工程であって、アルカロイドを含有する材料の前記ウェブが乾燥質量基準で10~25パーセントのエアロゾル形成体を含有する工程と、
- アルカロイドを含有する材料の前記ウェブを搬送方向にエンボス加工デバイスに供給する工程と、
- アルカロイドを含有する材料の前記ウェブをエンボス加工して、アルカロイドを含有する材料のエンボス加工されたウェブを形成する工程と、
- アルカロイドを含有する材料の前記エンボス加工されたウェブをボビンに巻き取る工程と、を含む方法。
【請求項2】
エンボス加工の工程が、第一のエンボス加工ローラーおよび第二のエンボス加工ローラーが前記ウェブの少なくとも一表面にエンボス加工パターンを施すように、前記第一のエンボス加工ローラーおよび前記第二のエンボス加工ローラーの間にアルカロイドを含有する材料の前記ウェブを供給することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記エンボス加工パターンが、前記ウェブの少なくとも一表面に施される複数の突出部を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の突出部が隆起部および/または谷部を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記隆起部および/または前記谷部が、前記搬送方向に直交するまたは平行な方向に延びる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の突出部の振幅が、前記ウェブの厚さの約10~約150パーセントから成る、請求項3~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の突出部が、前記ウェブの厚さの約100~約500パーセントから成るピッチを有する、請求項3~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
アルカロイドを含有する材料の前記ウェブが、約100マイクロメートル~約300マイクロメートルの厚さを有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記エンボス加工されたウェブを巻き取る工程が、
- 前記エンボス加工されたウェブを回転可能な中心コアに供給することと、
- 前記エンボス加工されたウェブを前記回転可能な中心コアの周りに巻き取ってボビンを形成するように、前記回転可能な中心コアを回転させることと、を含む請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
アルカロイドを含有する材料の前記ウェブが、
約0.03ミリメートル~約0.12ミリメートルから成る平均サイズを有する前記アルカロイドを含有する材料の粒子と、
結合剤と、
水と、を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記アルカロイドを含有する材料がたばこ材料である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に従って実現された前記ボビンを巻き出す工程を含む、エアロゾル発生物品を製造するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、均質化したたばこ材料などのアルカロイドを含有する材料を含むボビンを製造する方法、および前記ボビンを巻き出す工程を含むエアロゾル発生物品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日では、たばこ製品の製造において、たばこ葉以外に、均質化したたばこ材料も使用されている。この均質化したたばこ材料は典型的に、カットフィラーの製造にあまり適していないたばこ植物の部分(例えば、たばこ茎またはたばこダスト)から製造される。典型的に、たばこダストは製造中に、たばこ葉の取り扱い中に副産物として作り出される。
【0003】
エアロゾル発生物品用の均質化したたばこ材料の製造のための出発材料はまた大抵、たばこ葉であってもよく、これはそれ故にカットフィラーをブレンドするために、たばこと同一のサイズおよび物理的特性を有する。
【0004】
均質化したたばこ材料の可能性のある形態としては、再構成たばこシートおよびキャストリーフが挙げられる。均質化したたばこ材料シートを形成するプロセスは一般的に、挽いたタバコと結合剤を混合してスラリーを形成する工程を含む。その後スラリーは、例えばいわゆるキャストリーフを製造するために、粘稠なスラリーを、移動する金属ベルトの上にキャスティングすることによって、たばこウェブまたはシートを作り出すために使用される。別の方法として、粘度が低くかつ含水量が高いスラリーを使用して、製紙と似たプロセスで再構成たばこを作り出すことができる。
【0005】
均質化したたばこ材料のシートまたはウェブは次に、さらに加工するために巻き出されるボビンに巻き取られる必要があり、エアロゾル形成物品のエアロゾル形成基体に含まれる。
【0006】
典型的に、エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体を含む、ロッドの形態に組み立てられた複数の要素を備える。エアロゾル形成基体は、ロッドを通る気流を提供するための複数のチャネルを備えてもよい。チャネルは、エアロゾル発生物品を貫通する空気とエアロゾル形成基体の間の接触、ならびにユーザーが経験する引き出し抵抗(RTD)に影響を与える。
【0007】
均質化したたばこ材料を含むエアロゾル形成物品のエアロゾル形成基体を形成するためのプロセスを、その生産性、ならびにエアロゾル形成基体の均質化したタバコ材料から発生されるエアロゾルのユーザーの喫煙の体験の観点から、改善または修正することが望ましい場合がある。
【0008】
実際に、均質化したたばこ材料のウェブを含むボビンの巻き出しは、困難な作業でありうる。ボビンにコイル状に巻かれると、均質化したたばこ材料シートまたはウェブは、その一貫性、熱に対する感度、粘性および引張強さの低さのために巻き出すことが実際に困難であり、裂けやすい可能性があり、また、シートまたはウェブが詰まらないように高過ぎる力を用いた場合には、シートまたはウェブが破損する可能性があり、よって残りの生産ラインの生産性に悪影響を与えうる。
【0009】
加えて、これらのボビンは移送が困難でありうる。さらに、現在ボビンは製造から非常に短い時間枠内で使用されているが、その理由は、そうしなければ、均質化したたばこ材料シートまたはウェブが一緒に結合して、巻き出しを損なうためである。結果として、こうしたボビンの安全在庫を蓄積することも困難な作業となる可能性がある。
【0010】
さらに、ロッドを通して気流を提供するエアロゾル形成基体中のチャネルのパターンは、空気とエアロゾル形成基体の間の接触を制限する場合があり、例えば、エアロゾル発生物品を通した気流の効率を低下させ、次に、エアロゾル形成基体の均質化したたばこ材料からの物質の空気への放出を制限する、またはユーザーが経験するRTD(引き出し抵抗)値に悪影響を与えうる。
【0011】
従って、エアロゾル形成基体に含まれるアルカロイドを含有する材料から発生されたエアロゾルの生産性および/またはユーザーの喫煙の体験のいずれかに関して、上記のニーズのうちの少なくとも一つを満たしうる、均質化したたばこ材料などのアルカロイドを含有する材料を含むボビンを生産するための方法に対するニーズがある。
【0012】
とりわけ、特に必要な時に容易に巻き出されて移送され、従って、材料の連続的で一定の、そして規則的な供給を提供することを可能にし、その結果、残りの生産ラインで全体的な製造レートを増加させることができる、均質化したたばこ材料などのアルカロイドを含有する材料を含めたボビンを製造するための方法に対するニーズがある。
【0013】
また、材料が、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の中に容易に含まれることができ、エアロゾル発生物品を通って流れる空気と、アルカロイドを含有する材料を含むエアロゾル形成基体の間の望ましい接触を得るために使用されうるように、アルカロイドを含有する材料を含むボビンを製造するための方法に対するニーズがある。
【発明の概要】
【0014】
本発明は上記のニーズのうちの少なくとも一つを満たしうる。
【0015】
一つの態様では、本発明はボビンを製造する方法に関し、方法は、アルカロイドを含有する材料のウェブを提供する工程であって、アルカロイドを含有する材料のウェブが乾燥質量基準で少なくとも約5パーセントのエアロゾル形成体を含有する工程と、アルカロイドを含有する材料のウェブを搬送方向にエンボス加工デバイスに供給する工程と、アルカロイドを含有する材料のウェブをエンボス加工して、アルカロイドを含有する材料のエンボス加工されたウェブを形成する工程と、アルカロイドを含有する材料のエンボス加工されたウェブをボビンに巻き取る工程とを含む。
【0016】
本発明はまたボビンを製造する方法に関し、方法は、アルカロイドを含有する材料のウェブを提供する工程と、アルカロイドを含有する材料のウェブを搬送方向にエンボス加工デバイスに供給する工程と、アルカロイドを含有する材料のウェブをエンボス加工して、アルカロイドを含有する材料のエンボス加工されたウェブを形成する工程と、アルカロイドを含有する材料のエンボス加工されたウェブをボビンに巻き取る工程とを含む。
【0017】
本発明の方法では、アルカロイドを含有する材料のウェブが提供されている。ウェブは、乾燥質量基準で約5パーセント以上の所与の量のエアロゾル形成体を含有する。エアロゾル形成体の量はウェブを「粘着性」にする。ウェブは、ウェブにエンボス加工パターンを施すエンボス加工デバイスに搬送方向に供給され、よって、アルカロイドを含有する材料のエンボス加工されたウェブを形成する。次に、アルカロイドを含有する材料を含むエンボス加工されたウェブは、前記エンボス加工されたウェブの上下の複数の層を含むボビンに巻き取られうる。前記エンボス加工されたウェブの二つの連続した層の間の接着は、それらの間の表面接触の減少を考慮すると減少する場合があり、このようにボビンは容易に巻き出されうる。従って、ウェブは粘着性であるが、層間の接着はエンボス加工によって減少し、巻き出しは比較的容易になる、またはより小さい力を必要とする。
【0018】
よって、アルカロイドを含有する材料を含むボビンの巻き出し、または残りの生産ラインへのボビンの供給が促進されうる。
【0019】
さらに、エンボス加工されたウェブは、このようにして得られたボビンから一旦巻き出されると、それを含むエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品を製造するためのロッドの中に集められうる。エアロゾル発生物品を通って流れる空気は、エンボス加工されたウェブのエンボス加工パターンを考慮すると影響を受ける可能性があり、このようにして、空気とエアロゾル形成基体に含まれるアルカロイドを含有する材料の間の望ましい接触が得られうる。
【0020】
よって、アルカロイドを含有する材料から発生されるエアロゾルのユーザーの喫煙の体験が、改善される可能性がある。
【0021】
本明細書で使用される「シート」という用語は、その厚さより実質的に大きい幅および長さを有する層状の要素を意味する。シートの幅は、約10ミリメートルより大きいことが好ましく、約20ミリメートルまたは約30ミリメートルより大きいことがより好ましい。シートの幅は、約100ミリメートル~約300ミリメートルから成ることがなおより好ましい。連続的な「シート」は、本明細書では「ウェブ」と呼ばれる。
【0022】
本明細書で使用される「エンボス加工」という用語は、表面上に隆起したパターンを形成する方法を示す。「エンボス加工」では、デザインが浮き彫りで目立つように、例えば、彫刻、成形、スタンプまたはその他の方法で、シートの表面上に形成される。エンボス加工パターンは、シートの表面の少なくとも一つに複数の突出部(バンプとも呼ばれる)を含む。例えば、エンボス加工プロセスは、表面上に複数のピークおよび谷を形成しうる。別の方法として、そうでなければ平坦な表面上の複数の隆起した構造を得ることができる。
【0023】
可能なエンボス加工工程として、捲縮工程が使用される。捲縮工程では、それらの間に間隙を形成する二つのローラーが使用される。間隙内に、アルカロイドを含有する材料のウェブが導入される。間隙の幅は、シートの厚さよりも小さいことが好ましい。ローラーのうちの少なくとも一つは、その表面上に所与のパターンを含む。ウェブが間隙内に導入された時、パターンはウェブの表面へと移され、よって「突出部」を形成する。
【0024】
一般的なパターンは、相互に平行な複数の隆起部および谷部(またはトラフ)を含む。
【0025】
本明細書で使用される「隆起部および/または谷部」という表現は、シートまたはウェブの表面に直交する方向に外向きおよび/または内向きに交互に延び、よって、角型形状または丸みのある形状のいずれかを有しうる先端および/または底部を形成する複数の突出部を意味する。例えば、複数の隆起部および谷部がシートの表面上に相互に交互に配置される場合、シートはその表面に平行な方向から見た時に波状の輪郭を示してもよい。
【0026】
本明細書で使用される場合、「振幅値」または「振幅」という用語は、搬送方向と直角を成す方向で所与のエンボス加工パターンを含むウェブの表面の最下点と最上点との間の距離を意味する。例えば、エンボス加工パターンが複数の隆起部および谷部(またはトラフ)を含む時、振幅は、搬送方向に直角を成す方向における隆起部および/または谷部の最下点と最上点の間の距離を示す。
【0027】
本明細書で使用される場合、「ピッチ値」または「ピッチ」という用語は、搬送方向に平行な方向において、二つの連続した突出部(例えば、二つの連続した隆起部または谷部)の間の距離を意味する。
【0028】
本明細書で使用される「ロッド」という用語は、実質的に円形または長円形の断面の概して円筒形の要素を意味する。
【0029】
本明細書で使用される「集合した」または「集合する」という用語は、ウェブまたはシートがロッドの円筒軸方向に対して渦巻き状にされる、または別の方法で実質的に横断方向に圧縮もしくは締め付けられていることを意味する。
【0030】
「アルカロイドを含有する材料」は、一つ以上のアルカロイドを含有する材料である。アルカロイドはニコチンを含んでもよい。ニコチンは、例えばたばこの中に見いだされうる。
【0031】
アルカロイドは、塩基性の窒素原子を主に含有する天然の化合物の群である。この群はまた、中性特性および弱酸性特性を有する一部の関連する化合物さえも含む。類似の構造の一部の合成化合物もアルカロイドと呼ばれる。炭素、水素、窒素に加えて、アルカロイドはまた、酸素、硫黄、より稀には塩素、臭素、リンなどのその他の要素を含みうる。
【0032】
アルカロイドは細菌、真菌、植物および動物を含む多種多様な生物体によって生成されている。アルカロイドは酸塩基抽出によって、これらの生物体の粗抽出物から精製することができる。カフェイン、ニコチン、テオブロミン、アトロピン、ツボクラリンがアルカロイドの例である。
【0033】
本明細書で使用される「均質化したたばこ材料」という用語は、アルカロイドニコチンを含有する、粒子状のたばこを凝集することによって形成された材料を意味する。それ故に、アルカロイドを含有する材料は、均質化したたばこ材料とすることができる。
【0034】
均質化したたばこ材料の最も一般的に使用される形態は、再構成たばこシートおよびキャストリーフである。均質化したたばこ材料シートを形成するプロセスは一般的に、たばこダストと結合剤を混合してスラリーを形成する工程を含む。その後、たばこウェブを作り出すためにスラリーが使用される。例えば、粘稠なスラリーを、移動する金属ベルト上にキャスティングすることによって、いわゆるキャストリーフを製造する。別の方法として、粘度が低くかつ含水量が高いスラリーを使用して、製紙と似たプロセスで再構成たばこを作り出すことができる。
【0035】
均質化したたばこシートはまた、再構成されたシート材料と呼ばれることができ、たばこ組成物を形成するために、粒子状たばこ(例えば、再構成たばこ)またはたばこ微粒子のブレンド、湿潤剤、および水性溶剤を使用して形成されうる。このたばこ組成物はその後、キャスティング、押出成形、圧延またはプレスされて、たばこ組成物からシート材料を形成してもよい。紙様の材料を作製するためにたばこの微粉が使用される湿式プロセス、またはたばこの微粉が結合剤材料と一緒に混合されて、移動するベルトの上にキャスティングされてシートを形成するキャストリーフプロセスを利用して、たばこのシートを形成することができる。
【0036】
均質化したたばこ材料のシートまたはウェブはその後、ボビンの状態に巻かれて(これは、さらに加工するために巻き出される必要がある)、例えばエアロゾル形成物品の一部となってもよく、これはエアロゾル形成物品のエアロゾル形成基体に含まれるようになる。「燃やさない加熱式」エアロゾル発生物品において、エアロゾル形成基体はエアロゾルを形成するがたばこ材料の燃焼を防止するために、比較的低い温度に加熱される。さらに、均質化したたばこシートまたはウェブ中に存在するたばこは典型的に唯一のたばこであるか、またはこのような「燃やさない加熱式」エアロゾル発生物品の均質化したたばこ材料中に存在するたばこの大半を含む。これは、このような「燃やさない加熱式」エアロゾル発生物品によって発生されるエアロゾル組成物が実質的に、均質化したたばこ材料のみに基づくことを意味する。
【0037】
本明細書で使用される「エアロゾル形成材料」という用語は、加熱に伴い揮発性化合物を放出してエアロゾルを発生する能力を有する材料を意味する。たばこは、その他の化合物と一緒に、エアロゾル形成材料として、特にエアロゾル形成体を含む均質化したたばこのシートとして分類されうる。エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成材料を含んでもよく、またはエアロゾル形成材料から成ってもよい。
【0038】
均質化したたばこシートは概して、たばこに加えて、結合剤およびエアロゾル形成体(グアーおよびグリセリンなど)を含む。この組成物は「粘着性」がある場合があるシートをもたらし、すなわち隣接した物体に接着するようになり、また同時に、やや脆弱性があり、比較的低い引張強さを有する。
【0039】
均質化したたばこ材料のシートまたはウェブなどの、アルカロイドを含有する材料のシートまたはウェブは、一旦製造されると、さらに加工される前に少なくとも一定の時間保存される必要があることが多い。破損のリスクなく、もしくは最小限の破損のリスクで、または過大な空間を占めることなく、シートを適切に貯蔵するために、シートは一般的にボビンへと巻かれる。ところが、このようにアルカロイドを含有する材料シートまたはウェブをボビンに巻き取ることは、シートまたはウェブの「粘着性」特性に起因して、その後の巻き出しにいくつかの問題を生じうる。アルカロイドを含有するシートまたはウェブが粘着性であるという事実によって、それ自体に巻き取られたシートまたはウェブによってボビンに形成された層は、一方を他方の上に接着させやすく、巻き出しを妨げる。
【0040】
アルカロイドを含有する材料のウェブは、アルカロイドを含有する材料のウェブの乾燥質量基準で少なくとも約5パーセントのエアロゾル形成体を含有する。アルカロイドを含有する材料のウェブは、アルカロイドを含有する材料のウェブの乾燥質量基準で少なくとも約10パーセントのエアロゾル形成体を含有することが好ましい。エアロゾル形成体はグリセリンであることがより好ましい。グリセリンはグリセロールとも呼ばれる。
【0041】
本発明の方法によると、アルカロイドを含有する材料のウェブが提供されている。
【0042】
ウェブは、エンボス加工デバイスに搬送方向で供給される。
【0043】
エンボス加工デバイスはウェブにエンボス加工パターンを施し、よって、アルカロイドを含有する材料のエンボス加工されたウェブを形成する。よって、そのように得られたエンボス加工されたウェブは、前記エンボス加工されたウェブの上下の複数の層を含むボビンに巻き取られうる。前記エンボス加工されたウェブの層は互いに、ボビンに巻き取られる間、相互に少なくとも部分的に接着する。いかなる特定の理論にも束縛されることを望むものではないが、ボビンの二つの連続する層の間の接着は、とりわけ、それらの間の接触面(接触領域とも呼ばれる)の延長に依存しうると考えられる。
【0044】
エンボス加工パターンは、複数の突出部を含み、例えば、その間に間隙を形成し、ローラーの少なくとも一つがその表面上に所定のパターンを含む二つのローラーの間にウェブを通過させることによって、または表面に面するパターン付き表面部分を含む押圧手段をウェブ表面のうちの少なくとも一つに施すことによって、ウェブ表面のうちの少なくとも一つに移されうる。
【0045】
ウェブのエンボス加工パターンは、ボビンの二つの連続した層の間の接触表面の量を減少させることがあり、よって、特にウェブが「粘着性」であるという事実のためにボビンの巻き出しを容易にする。
【0046】
結果として、こうしたローラーのエンボス加工されたウェブを、生産ラインの残りの下流工程に使用することがおそらく容易になり、従って、前記ウェブから派生するかまたは前記ウェブを含む構成要素(エアロゾル形成基体など)を含むエアロゾル発生物品を製造する方法の生産性も改善されうる。
【0047】
本発明の方法に従って製造されたボビンから巻き出されたエンボス加工されたウェブは、エアロゾル発生物品を製造するためにロッドの中に集められてもよい。
【0048】
ロッド内では、エンボス加工されたウェブはエアロゾル形成基体の中に含まれ、この目的のために、複数のチャネルが形成されうるようにその上に折り畳まれる。ユーザーの喫煙の体験中、空気はエアロゾル発生物品のロッドを通って流れ、エアロゾル形成基体に含まれるアルカロイドを含有する材料のウェブと接触する。ウェブ中に存在するエンボス加工パターンは、エアロゾル発生物品のロッドを通る空気の流れに影響を与える場合があり、空気とアルカロイドを含有する材料を含むエアロゾル形成基体の間の接触の程度を変更しうる。このようにして、空気とアルカロイドを含有する材料の間の望ましい接触が得られる場合があり、よって、アルカロイドを含有する材料を含むエアロゾル形成基体から発生されるエアロゾルのユーザーの喫煙の体験が改善される可能性がある。
【0049】
本発明の方法は、アルカロイドを含有する材料のシートを提供するように、アルカロイドを含有する材料の巻き取られたウェブを含むマザーボビンを巻き出す工程を含むことが好ましい。
【0050】
このように、本発明の方法はまた、以前に調製されたアルカロイドを含有する材料のボビンから開始した場合であっても、エンボス加工されたウェブの複数の巻線を含むボビンの製造に使用されうる。マザーボビンを巻き出すこの工程は、アルカロイドを含有する材料のウェブを提供する前に行われることが好ましい。
【0051】
エンボス加工デバイスは、ウェブの表面の少なくとも一つに面し、エンボス加工パターンをウェブに移すように適合された表面を含む、少なくとも一つの構成要素を含むことが好ましい。
【0052】
本発明の方法において、エンボス加工の工程は、第一のエンボス加工ローラーおよび第二のエンボス加工ローラーがウェブの少なくとも一表面にエンボス加工パターンが施されるように、第一のエンボス加工ローラーおよび第二のエンボス加工ローラーの間にアルカロイドを含む材料のウェブを供給することを含むことが好ましい。
【0053】
エンボス加工パターンは、ウェブの少なくとも一表面に施される複数の突出部を含むことが好ましい。複数の突出部は、隆起部および/または谷部を含むことがより好ましく、隆起部および/または谷部は搬送方向に直交の方向または平行な方向に延びることがさらにより好ましい。複数の突出部は、複数の方向に沿って延びる隆起部および/または谷部を含み、例えば、第一の群は搬送方向に平行な方向に延び、第二の群は搬送方向に直角を成す方向に延び、ウェブ上に「格子」または「行列」パターンを形成することがさらにより好ましい。
【0054】
複数の突出部は、ウェブの表面の少なくとも一つに面する表面を含むエンボス加工デバイスの少なくとも一つの構成要素によってウェブの表面の少なくとも一つに移されることが好ましい。ウェブの表面の少なくとも一つに面する表面を含むエンボス加工デバイスの構成要素は、エンボス加工ローラーであることが好ましい。
【0055】
エンボス加工プロセスは、捲縮プロセスと幾分類似していることが好ましい。アルカロイドを含有する材料のウェブは、二つのローラーを通して供給される。各ローラーまたはローラーの少なくとも一つは、その表面に彫刻されたパターンを含む。捲縮またはエンボス加工プロセスでは、パターンは、二つのローラーの間に形成された間隙の中に導入されるウェブの表面上へと移される。
【0056】
このように、アルカロイドを含有する材料のエンボス加工されたウェブの巻線間の接触面の延長は、本発明の方法に従って製造されたボビンの層を形成するために巻き取られる時、調節されてもよく、それらの間の接着が最小化されうる。
【0057】
複数の突出部の振幅は、ウェブの厚さの約10~約150パーセントから成ることが好ましく、ウェブの厚さの約25~約75パーセントであることがより好ましい。
【0058】
この振幅は、ボビンで望ましい特徴を得るために最適であることが証明されている。例えば、ウェブを含む層間の接着の望ましい減少、およびロッドを通って流れる空気とアルカロイドを含有する材料のウェブを含むエアロゾル発生基体の間の望ましい接触が得られる。
【0059】
複数の突出部のピッチは、ウェブの厚さの約100~約500パーセントから成るピッチを有することが好ましく、ウェブの厚さの約200~約300パーセントであることがより好ましい。
【0060】
このピッチは、ボビンで望ましい特徴を得るために最適であることが証明されている。例えば、ボビンの層間の接着の望ましい減少、およびロッドを通って流れる空気とアルカロイドを含有する材料のウェブを含むエアロゾル発生基体の間の望ましい接触が得られる。
【0061】
アルカロイドを含有する材料のウェブは、約100マイクロメートル~約300マイクロメートルの厚さを有することが好ましい。アルカロイドを含有する材料のウェブの厚さは、エアロゾル発生物品の製造に使用される「標準的な」厚さ、例えば、約200マイクロメートルであることが好ましい。標準的なプロセス工程を修正する必要はない。
【0062】
アルカロイドを含有する材料のウェブは、約0.1メートル~約2メートルから成る幅を有することが好ましい。
【0063】
本発明の方法は、アルカロイドを含有する材料の前記ウェブを、搬送方向に実質的に平行であり、ウェブの幅に直角を成す方向に、アルカロイドを含有する材料の二つの部分的ウェブを提供するような方法で切断する工程を含むことが好ましい。このように、ウェブは、それぞれが切断前のウェブの幅よりも小さい幅を有する、二つの異なる部分的なウェブを切断することによって二つに分けられることが好ましい。
【0064】
上述の切断工程は、アルカロイドを含有する材料のウェブをエンボス加工する工程の前に行われることが好ましい。このように、二つの異なるエンボス加工された部分的ウェブを生産ラインに沿って並列に形成することができ、よって、プロセスの全体的な生産性がさらに高まる。
【0065】
本発明の方法において、エンボス加工されたウェブを巻き取る工程は、エンボス加工されたウェブを回転可能な中心コアに供給することと、その周りにエンボス加工されたウェブを巻き取ってボビンを形成するように回転可能な中心コアを回転させることと、を含むことが好ましい。
【0066】
エンボス加工されたウェブは、約10メートル/分~約500メートル/分から成る速度で前記回転可能な中心コアに供給されることが好ましい。この工程は、エンボス加工されたウェブを回転可能な中心コアに供給する間に行われることが好ましい。このようにして、比較的高速の製造が得られる。
【0067】
その周りにエンボス加工されたウェブを巻き取ってボビンを形成するように回転可能な中心コアを回転させる工程では、前記回転可能な中心コアの回転速度は、約10メートル/分~約500メートル/分から成る材料の線形速度が得られるように設定されることが好ましい。
【0068】
本発明の方法において、アルカロイドを含有する材料はたばこ材料であることが好ましい。均質化したたばこ材料であることがより好ましい。アルカロイドを含有する材料は、単一のアルカロイド、または複数のアルカロイドを含有しうることが好ましい。アルカロイドはたばこを含むことが好ましい。
【0069】
アルカロイドを含有する材料のウェブは、ウェブの総質量基準で約7パーセント~約15パーセントから成る含水量を有することが好ましい。この含水量では、ウェブは実質的に固体であり、取り扱いが比較的容易である。
【0070】
アルカロイドを含有する材料のウェブは、約0.03ミリメートル~約0.12ミリメートルから成る重量当たりの平均サイズを有するアルカロイドを含有する材料の粒子、結合剤、および水を含むことが好ましい。
【0071】
アルカロイドを含有する材料のウェブは、乾燥質量基準で約1パーセント~約5パーセントから成る結合剤を含むことが好ましい。約2パーセント~約4パーセントから成ることがより好ましい。
アルカロイドを含有する材料のウェブは、乾燥質量基準で約45パーセント~約93パーセントのアルカロイドを含有する材料の粒子を含むことが好ましい。
【0072】
アルカロイドを含有する材料のウェブは、重量当たり乾燥質量基準で約1パーセント~約7パーセントのセルロース繊維を含むことが好ましい。セルロース繊維は、約0.2ミリメートル~約4ミリメートルから成る平均長さを有することがより好ましい。
【0073】
アルカロイドを含有する材料のウェブは、乾燥質量基準で約5パーセント~約30パーセントのエアロゾル形成体を含むことが好ましい。アルカロイドを含有する材料のウェブは、乾燥質量基準で約10パーセント~約30パーセントのエアロゾル形成体を含むことがより好ましい。エアロゾル形成体は、乾燥質量基準でウェブの約10パーセント~約25パーセントから成ることがより好ましい。エアロゾル形成体は、乾燥質量基準でウェブの約15パーセント~約25パーセントから成ることがより好ましい。
【0074】
エアロゾル形成体はグリセリンであることがより好ましい。
【0075】
第二の態様によれば、本発明は、本発明の第一の態様によって実現されるボビンを巻き出す工程を含むエアロゾル発生物品を製造するための方法に関する。
【0076】
第二の態様の利点については、第一の態様を参照しながら既に概説しているため、ここでは繰り返さない。
【0077】
本発明によるエアロゾル形成物品は、フィルター付き紙巻たばこ、またはたばこ材料が燃焼して煙を形成するその他の喫煙物品の形態であってもよい。本発明は、たばこ材料を燃焼ではなく加熱してエアロゾルを形成する物品、および燃焼または加熱を用いずにたばこ材料からニコチン含有エアロゾルを発生する物品を追加的に包含する。
【0078】
本発明によるエアロゾル形成物品は、完全な組み立てられたエアロゾル形成物品であってもよく、または例えば加熱式喫煙装置の消耗部品などの、エアロゾルを発生するために組み立てられた物品を提供する目的で一つ以上の他の構成要素と組み合わせられるエアロゾル形成物品の構成要素であってもよい。
【0079】
エアロゾル形成物品は、ユーザーの口を通してユーザーの肺の中へと直接吸入可能なエアロゾルを発生する物品であってもよい。エアロゾル形成物品は、紙巻たばこなどの従来の喫煙物品と似ていてもよく、またたばこを含んでもよい。エアロゾル形成物品は使い捨てであってもよい。エアロゾル形成物品は、別の方法として、部分的に再利用可能であってもよく、また補充可能または交換可能なエアロゾル形成基体を備えてもよい。
【0080】
エアロゾル形成物品はまた、可燃性紙巻たばこを含んでもよい。好ましい実施形態において、エアロゾル形成物品は実質的に円筒状の形状であってもよい。エアロゾル形成物品は、実質的に細長くてもよい。エアロゾル形成物品は、長さと、その長さに対して実質的に直角を成す円周とを有してもよい。エアロゾル形成物品は、約30ミリメートル~約100ミリメートルの全長を有してもよい。エアロゾル形成物品は、約5ミリメートル~約12ミリメートルの外径を有してもよい。
【0081】
本発明のすべての態様において、アルカロイドを含有する材料のウェブは均質化したたばこウェブであることが好ましく、アルカロイドを含有する材料はニコチンを含有するたばこである。
【0082】
均質化したたばこウェブは、スラリーをキャスティングして得られることが好ましい。
【0083】
均質化したたばこウェブは、たばこ葉(例えば、たばこ茎およびラミナ)から粉砕されたたばこ粒子を含む。
【0084】
均質化したたばこウェブはまた、たばこの処理中、取り扱い中、および移送中に形成された、少量のたばこダスト、たばこ微粉、およびその他の粒子状たばこ副産物のうちの一つ以上を含んでもよい。
【0085】
均質化したたばこ材料中に存在するたばこは、たばこの大半、または実質的に、エアロゾル発生物品中に存在するたばこの総量さえも構成してもよい。エアロゾルの特徴(その風味など)への影響は、主に均質化したたばこ材料に由来する場合がある。たばこの使用を最適化するために、均質化したたばこ材料の中に存在するたばこからの物質の放出は単純化されることが好ましい。以下において「たばこ粒子」という用語は本明細書を通して、約0.03ミリメートル~約0.12ミリメートルの重量当たりの平均サイズを有するたばこを示すために使用される。
【0086】
重量当たり平均粒子サイズ約0.03ミリメートル~約0.12ミリメートルを持つたばこ粒子は、スラリーの均一性を向上しうる。一つ以上のたばこタイプのブレンドに添加される結合剤の量は、スラリーの乾燥質量で約1パーセント~約5パーセントから成ることが好ましい。スラリーで使用される結合剤は、本明細書に記載のガムまたはペクチンのうちのいずれかであってもよい。結合剤は、たばこ粉末が均質化したたばこウェブを通して実質的に分散されたままになるのを確実にしうる。ガムの記述的な検討のためには、Gums And Stabilizers For The Food Industry, IRL Press (G.O. Phillip et al. eds. 1988)、Whistler, Industrial Gums: Polysaccharides And Their Derivatives, Academic Press (2d ed. 1973)、およびLawrence, Natural Gums For Edible Purposes, Noyes Data Corp. (1976)を参照されたい。
【0087】
均質化したたばこ材料は、乾燥質量基準で約45パーセント~約93パーセントのたばこ粒子を含むことが好ましい。
【0088】
均質化したたばこシートはまた、結合剤を含むことが好ましい。
【0089】
任意の結合剤を採用してもよいが、好ましい結合剤は、天然ペクチン(果実ペクチン、柑橘類ペクチン、またはたばこペクチンなど)、グアーガム(ヒドロキシエチルグアー、ヒドロキシプロピルグアーなど)、ローカストビーンガム(ヒドロキシエチルローカストビーンガム、ヒドロキシプロピルローカストビーンガムなど)、アルギネート、デンプン(変性デンプンまたは誘導体化デンプン(derivitized starches)など)、セルロース(メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)、タマリンドガム、デキストラン、プラロン(pullalon)、コンニャク粉、キサンタンガム、およびこれに類するものである。本発明で使用するために特に好ましい結合剤はグアーである。
【0090】
結合剤は、乾燥質量基準で均質化したたばこ材料の約1パーセント~5パーセントから成る量であることが好ましい。約2パーセント~約4パーセントから成ることがより好ましい。
【0091】
均質化したたばこのウェブは、たばこ中に既に存在するセルロース繊維に加えて、セルロース繊維も含むことが好ましい。
【0092】
セルロース繊維はスラリー内に導入されてもよい。スラリー内のへのセルロース繊維の導入は一般に、たばこ材料ウェブの引張強さを増加させ、強化剤として作用する。従って、セルロース繊維を添加することによって均質化したたばこ材料ウェブの弾力性が増加する場合がある。
【0093】
均質化したたばこ材料のスラリーに含むためのセルロース繊維は当業界において周知であり、柔らかい木材繊維、堅い木材繊維、ジュート繊維、亜麻繊維、たばこ繊維、およびこれらの組み合わせを含むが、これに限定されない。セルロース繊維は、パルプ化に加えて、精製、機械的パルプ化、化学的パルプ化、漂白、硫酸塩パルプ化、およびこれらの組み合わせなどの適切な加工に供されてもよい。
【0094】
セルロース繊維は、たばこ茎材料、葉柄、または他のたばこ植物材料を含んでもよい。木材繊維などのセルロース繊維はリグニン含有量が低いことが好ましい。別の方法として、植物繊維などの繊維を上記の繊維とともに、またはその代替として使用してもよく、これには大麻および竹が含まれる。
【0095】
セルロース繊維の長さは有利なことに、約0.2ミリメートル~約4ミリメートルである。セルロース繊維の重量当たりの平均長さは、約1ミリメートル~約3ミリメートルであることが好ましい。
【0096】
さらに、セルロース繊維の量は、乾燥質量基準でスラリー(または均質化したたばこウェブ)の総重量の約1パーセント~約7パーセントから成ることが好ましい。
【0097】
有利なことに、方法はエアロゾル形成体をスラリーに添加する工程を含む。均質化したたばこ材料のためのスラリーに含むための適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、一価アルコール(メントールのような)、多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオールおよびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテートまたはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これに限定されない。
【0098】
好ましいエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0099】
均質化したたばこ材料は、乾燥質量基準で約5パーセントを超えるエアロゾル形成体含有量を有しうる。別の方法として、均質化したたばこ材料は、乾燥質量基準で約5~約30重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有しうる。エアロゾル形成体は、均質化したたばこ材料の乾燥質量の約10パーセント~約25パーセントから成ることがより好ましい。エアロゾル形成体は、均質化したたばこ材料の乾燥質量の約15パーセント~約25パーセントから成ることがより好ましい。
【0100】
結合剤およびセルロース繊維は、約1:7~約5:1から成る重量比で含まれることが好ましい。結合剤およびセルロース繊維は、約1:1~約3:1から成る重量比で含まれることがより好ましい。
【0101】
結合剤およびエアロゾル形成体は、約1:30~約1:1から成る重量比で含まれることが好ましい。結合剤およびエアロゾル形成体は、約1:20~約1:4から成る重量比で含まれることがより好ましい。
【0102】
結合剤およびたばこ粒子は、約1:100~約1:10から成る重量比で含まれることが好ましい。結合剤およびたばこ粒子は、約1:50~約1:15から成る重量比で含まれることがより好ましく、約1:30~1:20から成ることがなおより好ましい。
【0103】
エアロゾル形成体およびたばこ粒子は、約1:20~約1:1から成る重量比で含まれることが好ましい。エアロゾル形成体およびたばこ粒子は、約1:6~約1:2から成る重量比で含まれることがより好ましい。
【0104】
エアロゾル形成体およびセルロース繊維は、約1:1~約30:1から成る重量比で含まれることが好ましい。エアロゾル形成体およびセルロース繊維は、約5:1~約15:1から成る重量比で含まれることがより好ましい。
【0105】
セルロース繊維およびたばこ粒子は、約1:100~約1:10から成る重量比で含まれることが好ましい。セルロース繊維およびたばこ粒子は、好ましくは約1:50~約1:20から成る重量比で含まれることがより好ましい。
【0106】
均質化したたばこウェブの成分の上述の重量比は、均質化したたばこウェブに適用可能であるだけでなく、スラリー中に存在する様々な成分の重量比でもある。
【0107】
均質化したたばこ材料のウェブは、たばこスラリーを移動金属ベルト上にキャスティングすることを一般的に含む種類のキャスティングプロセスによって形成されることが好ましい。均質化したたばこ材料のウェブを形成するためにキャストウェブを乾燥し、その後、支持表面から取り外すことが好ましい。
【0108】
本発明はまた、上述の詳細方法に従って実現されるアルカロイドを含有する材料のエンボス加工され巻き取られたウェブによって形成されるボビンに関する。
【0109】
一態様において、本発明はまたボビンを製造する方法に関し、方法は、材料のウェブを提供する工程と、材料のウェブを搬送方向にエンボス加工デバイスに供給する工程と、材料のウェブをエンボス加工して、エンボス加工されたウェブを形成する工程と、エンボス加工されたウェブをボビンに巻き取る工程とを含む。
本発明の特定の実施形態を、以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0110】
図1図1は、ボビンを製造するための本発明の方法の流れ図を示す。
図2】本発明の方法に従って製造されたボビンの概略側面図である。
図3図3は、本発明の方法のエンボス加工工程から得られたアルカロイドを含有する材料のエンボス加工されたウェブの斜視概略図である。
図4図4は、ボビンを製造するために本発明の方法を実行するための装置の側面概略図である。
図5図5は、第二の実施形態による本発明の方法のエンボス加工工程から得られたアルカロイドを含有する材料のエンボス加工されたウェブの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0111】
図1、2および4を最初に参照すると、本発明のボビン200(図2に図示)を製造する方法が示されている。
【0112】
本発明の方法の第一の工程100は、アルカロイドを含有する材料のウェブ210の提供を含む(図4に図示)。本発明の方法で使用されるアルカロイドを含有する材料は、均質化したたばこ材料を含むことが好ましい。工程100において、均質化したたばこウェブ210は、約100マイクロメートル~約300マイクロメートルの厚さ、および約0.1メートル~約2メートルの幅を有することが好ましい。
【0113】
方法は、ウェブ210が搬送方向320(図3および図4の矢印で示される)にエンボス加工デバイス310(図4に図示)に供給されるさらなる工程101を含む。
【0114】
さらに、本発明の方法は、アルカロイドを含有する材料のウェブ210をエンボス加工して、アルカロイドを含有する材料のエンボス加工されたウェブ220を形成する工程102を含む。
【0115】
エンボス加工の工程102は、図3でより詳細に示されるように、エンボス加工パターン(図3の230で示される)をウェブの少なくとも一表面に適用するエンボス加工デバイス310の第一のエンボス加工ローラーおよび第二のエンボス加工ローラー(図4の350、360で示される)の間に、ウェブ210を供給することを含むことが好ましい。
【0116】
エンボス加工パターンは、ウェブの少なくとも一表面に施される複数の突出部240、250を含むことが好ましい。複数の突出部の振幅は、ウェブの厚さ280の約10~約150パーセントから成ることが好ましい。
【0117】
複数の突出部240、250は、ウェブの厚さ280の約100~約500パーセントから成るピッチを有することが好ましい。
【0118】
工程102の後、本発明の方法は、アルカロイドを含有する材料のエンボス加工されたウェブ220が巻き取られてボビン200を形成する工程103を含む。
【0119】
図2には、本発明の方法に従って実現されたボビン200の概略側面図が示されている。
【0120】
図3には、本発明の方法のエンボス加工工程から得られたアルカロイドを含有する材料のエンボス加工されたウェブ220の斜視概略図が示されている。
【0121】
エンボス加工されたウェブ220は、厚さ280と、その上に施されたエンボス加工パターン230とを有する。
【0122】
エンボス加工パターン230は、ウェブの厚さ280の約10~約150パーセントから成る振幅270を有する隆起部240および谷部250と、ウェブの厚さ280の約100~約500パーセントから成るピッチ260とを含む。
【0123】
図5では、追加的なエンボス加工されたウェブ222が上面図で開示されており、隆起部および谷部の「行列」が形成されている。第一の複数の隆起部241および谷部251は搬送方向320に沿って延び、一方で第二の複数の隆起部242および谷部252は搬送方向に直角を成す方向に延び、格子パターンを形成する。
【0124】
図4では、ボビン200を製造するために本発明の方法を実行するための装置300が示されている。
【0125】
装置300は、エンボス加工デバイス310および回転可能な中心コア330を含む。
【0126】
エンボス加工デバイス310は、第一のエンボス加工ローラー350および第二のエンボス加工ローラー360を含む。
【0127】
アルカロイドを含有する材料のウェブ210は、矢印320によって示される搬送方向で、エンボス加工デバイス310の第一のエンボス加工ローラー350および第二のエンボス加工ローラー360の間に供給される。
【0128】
エンボス加工デバイス310の出口において、アルカロイドを含有する材料のエンボス加工されたウェブ220が得られる。
【0129】
エンボス加工されたウェブ220は次に、回転可能な中心コア330に供給される。
【0130】
回転可能な中心コア330は、矢印340によって示される意味において回転し、従って、エンボス加工されたウェブ220が回転可能な中心コア330の周りに巻き取られ、アルカロイドを含有する材料のエンボス加工されたウェブ220の複数の巻線を含むボビン200を形成する。
図1
図2
図3
図4
図5