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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】計測装置および応用装置
(51)【国際特許分類】
   G21C 17/00 20060101AFI20240418BHJP
   G21C 17/02 20060101ALI20240418BHJP
   G21F 3/00 20060101ALI20240418BHJP
   H01L 31/08 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
G21C17/00 030
G21C17/02 600
G21F3/00 Z
H01L31/00 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021017937
(22)【出願日】2021-02-08
(65)【公開番号】P2022120896
(43)【公開日】2022-08-19
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】桑名 諒
(72)【発明者】
【氏名】増永 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 睦三
(72)【発明者】
【氏名】野本 真司
(72)【発明者】
【氏名】鳥谷部 祐
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-167272(JP,A)
【文献】特開2013-201093(JP,A)
【文献】特開2016-134907(JP,A)
【文献】特開平08-211026(JP,A)
【文献】特開2004-032018(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 17/00
G21F 3/00
H01L 31/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子回路を備えて計測機能を有するフロントエンド部と、
前記フロントエンド部の出力信号を増幅する第1アンプと、
入力した信号を所定の形態に処理するコントロール部と、
前記第1アンプの出力信号を前記コントロール部の入力に伝搬するケーブルと、
前記ケーブルと前記コントロール部の入力部との間に設けられる第2アンプと、
を備え、
前記フロントエンド部は放射線シールド機能を有し、
前記第1アンプはSiC素子を有して構成され、前記第1アンプの電圧増幅率は1未満であり、
前記第2アンプの電圧増幅率は1以上であり、
前記ケーブルは、ハイインピーダンスケーブルで構成される、
ことを特徴とする計測装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記フロントエンド部の放射線シールド機能は、次の《1》、《2》、《3》の対策のいずれか、もしくは対策の組合せで構成されることを特徴とする計測装置。
《1》鉛を含む遮蔽物を設ける。
《2》前記フロントエンド部の回路構成にSiC素子を備える。
《3》前記フロントエンド部の回路構成に冗長性を設ける。
【請求項3】
請求項において、
前記ハイインピーダンスケーブルの特性インピーダンスは、50Ωよりも高い、
ことを特徴とする計測装置。
【請求項4】
請求項に記載の計測装置の前記フロントエンド部がイメージセンサ部で構成される応用装置であって、
前記イメージセンサ部は、センサ素子部と送受信部とを備え、
前記センサ素子部は、画素に対応する複数のセンサ素子と、1または複数の閾値判定回路とを備え、
前記センサ素子は、受光素子と充電トランジスタとを備え、
前記閾値判定回路は、前記受光素子と前記充電トランジスタとで構成する画素電圧回路の端子電圧が所定の閾値以上か否かを判定し、
前記センサ素子部は、前記閾値判定回路が判定する異なる輝度閾値に対応する複数のサブ画像を取得し、
前記送受信部は、前記複数のサブ画像を前記コントロール部に送信し、
前記コントロール部は、前記複数のサブ画像の信号を処理して、階調画像を生成する、
ことを特徴とする応用装置。
【請求項5】
請求項において、
前記イメージセンサ部は、センサ制御部を備え、
前記センサ制御部は、前記センサ素子部と前記送受信部とを制御して、前記センサ素子部の取得する前記複数のサブ画像を、前記送受信部を介して、前記コントロール部に送信する補助を行う、
ことを特徴とする応用装置。
【請求項6】
請求項において、
前記イメージセンサ部は、階調方式を工夫する次の《A》、《B》、《C》の対策のいずれか、もしくは組合せて、耐放射線性を向上することを特徴とする応用装置。
《A》イメージセンサ部におけるセンサ素子部のセンサ素子の露光時間を増やして、光信号量を増加して電気信号を大きくする。
《B》イメージセンサ部の設計段階、あるいは採用段階において、センサ素子部のセンサ素子の受光素子の面積を大きく設計、または大きいものを選択する。
《C》イメージセンサ部の受光素子と充電トランジスタの関係において、充電トランジスタの特性を変えることによって、受光素子の光の感度や、電気信号の大きさを変える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測装置およびその応用装置に関する。特に計測装置およびその応用装置の放射線耐性に優れた半導体回路および長距離信号伝送に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力プラントなどの放射線にさらされる環境において、温度、水位、放射線など様々な計測が求められている。
放射線環境における計測部の電子回路の放射線劣化に対しては、Si半導体に替えて、SiC半導体のような高バンドギャップ半導体を用いる方法もある。
また、放射線環境において信号を長距離伝送する方法としては、例えば特許文献1に述べられているように、耐放射線性能に優れる光ファイバを用いる手法がある。
【0003】
特許文献1の[要約]には、「[目的]放射線照射の環境下でも寿命の来ることがない改良された耐放射線型光ファイバ信号伝送路を提供すること、同信号伝送路を利用した光通信システム及び放射線計測システムを提供すること。[構成]光ブリーチ効果の発生に必要な高レベルの漂白光を光ファイバに入射するための手段を付加することによって耐放射線型光ファイバ信号伝送路を構成する。このように構成した信号伝送路を信号光伝搬媒体又は放射線検知センサとして利用することにより、必要な光通信システム又は放射線計測システムを構成することが出来る。漂白光は、信号光と同一波長の光のほか、信号光とは異なる波長の光を使用することも可能である。」と記載され、耐放射線型光ファイバ信号伝送路の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平6-303206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記した原子力プラントなどの放射線にさらされる環境での計測においては、電子回路が放射線の電離作用により劣化するため、特に高放射線環境において電子回路を含んだ計測器を用いることが難しいという課題(問題)がある。
さらに、計測器の計測部に電子回路を用いない場合においても、計測器の信号を増幅する増幅器(オペアンプ)は電子回路が用いられて、オペアンプも放射線劣化することから計測器の信号が微弱な場合は、長距離伝送が難しいという課題(問題)がある。
【0006】
またSiC(炭化ケイ素)素子を用いる場合には、SiC素子はSi素子よりもチャネル移動度が低いため大きな電流を流せないという課題(問題)がある。すなわち、計測部にSiC素子を用いた場合、計測部の計測信号を長距離伝送する際に、信号が減衰する、あるいは周波数特性が劣化してしまうという課題(問題)がある。
例えばMHz帯からkHz帯以下にまで周波数特性が低下すると、放射線検出器や超音波出力、イメージセンサ出力などのMHzオーダという高い周波数帯域の信号を扱う計測器の信号を、正しく伝送できなくなるという課題(問題)がある。
また、前記の特許文献1では、計測部(信号発生部や光源など)は、低放射線環境に設置されており、計測部の耐放射線性能が低いことから、放射線環境での計測には対応できないという課題(問題)がある。
【0007】
本発明は、前記した課題に鑑みて創案されたものであって、耐放射線性に優れ、かつ長距離信号伝送を可能とする計測装置およびその応用装置を提供することを課題(目的)とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、本発明を以下のように構成した。
すなわち、本発明の計測装置は、電子回路を備えて計測機能を有するフロントエンド部と、前記フロントエンド部の出力信号を増幅する第1アンプと、入力した信号を所定の形態に処理するコントロール部と、前記第1アンプの出力信号を前記コントロール部の入力に伝搬するケーブルと、前記ケーブルと前記コントロール部の入力部との間に設けられる第2アンプと、を備え、前記フロントエンド部は放射線シールド機能を有し、前記第1アンプはSiC素子を有して構成され、前記第1アンプの電圧増幅率は1未満であり、前記第2アンプの電圧増幅率は1以上であり、前記ケーブルは、ハイインピーダンスケーブルで構成される、ことを特徴とする。
【0009】
また、その他の手段は、発明を実施するための形態のなかで説明する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、耐放射線性に優れ、かつ長距離信号伝送を可能とする計測装置およびその応用装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係る計測装置の構成例を示す図である。
図2】本発明の第2実施形態に係る計測装置の構成例を示す図である。
図3】本発明の第3実施形態に係る計測装置の構成例を示す図である。
図4】本発明の第4実施形態に係る応用装置の構成例を示す図である。
図5A】本発明の第4実施形態に係る応用装置のイメージセンサ部の構成例を示す図である。
図5B】本発明の第4実施形態に係る応用装置のイメージセンサ部におけるセンサ素子部の構成例を模式的に示す図である。
図6】本発明の第5実施形態に係る応用装置の構成例を示す図である。
図7】本発明の第6実施形態に係る応用装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態(以下においては「実施形態」と表記する)を、適宜、図面を参照して説明する。
ただし、本発明は以下の実施形態・変形例に限らず、例えば複数の実施形態・変形例を組み合わせたり、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲で任意に変形したりできる。
また、本明細書において、同じ部材には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。図示の内容は、図示の都合上、本発明の趣旨を損なわない範囲で実際の構成から変更することがある。
【0013】
≪第1実施形態≫
本発明の第1実施形態に係る計測装置の構成について、図1を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る計測装置の構成例を示す図である。
図1において、計測装置11は、高放射線領域1000に、フロントエンド部101と第1アンプ111を備えている。
また、計測装置11は、低放射線領域2000に、コントロール部201と第2アンプ211と抵抗231を備えている。また、計測装置11は、高放射線領域1000と低放射線領域2000に、ケーブル301を備えている。
【0014】
<高放射線領域1000>
高放射線領域1000におけるフロントエンド部101は、電子回路を有しており、この電子回路を用いて、何らかの信号を計測し、その計測信号を第1アンプ111に送っている。
第1アンプ111は、フロントエンド部101からの信号を増幅して、増幅した信号をケーブル301に信号を乗せている。
フロントエンド部101は、放射線シールド機能を有している。電子回路を有するフロントエンド部101の放射線シールド機能は、鉛などにより放射線を遮蔽する手法、または、放射線耐性に優れるSiC(silicon carbide:炭化ケイ素)で回路を構成する手法、または電子回路を冗長化する手法のいずれかを用いている。または、それらの手法の組み合わせでもよい。
【0015】
第1アンプ111は、SiC素子を用いて回路を構成されている。SiCは、半導体のバンドギャップがSiよりも高い。そのため、SiC素子を用いた回路は、Si素子で構成された回路よりも、放射線の影響を受け難く、放射線耐性に優れている。
【0016】
なお、第1アンプ111は、電圧増幅率が1未満と設定して用いる。その理由については、後記する。
【0017】
前記したように、第1アンプ111の出力信号は、ケーブル301を介して低放射線領域2000の第2アンプ211に送られる。
ケーブル301を用いて、第1アンプ111(フロントエンド部101)と第2アンプ211(コントロール部201)との間の長距離信号伝送を行う。
なお、ケーブル301の分布定数線路としての特性インピーダンスは50[Ω](適宜、50Ωとも表記する)である。
また、ケーブル301の長さは、第1アンプ111の出力信号の周波数から算出される波長の長さよりも大きい(長い)ものとする。
【0018】
<低放射線領域2000>
低放射線領域2000において、ケーブル301で伝送された信号は、第2アンプ211に入力する。
第2アンプ211の入力端子には、抵抗(入力抵抗)231が接続されている。抵抗231は、第2アンプ211の入力インピーダンスを調整するとともに、入力信号の大きさを調整している。
また、第2アンプ211の電圧増幅率は、1以上に設定する。その理由は、前記したように第1アンプ111の電圧増幅率が1未満と設定されるため、第2アンプ211の電圧増幅率を1以上に設定して、信号の電圧を回復、適正化するためである。
【0019】
第2アンプ211で増幅された出力信号は、コントロール部201に入力する。
コントロール部201において、入力した信号は、コントロール部201に設定された所定の形態に信号処理される。
なお、コントロール部201、第2アンプ211、抵抗231は、低放射線領域2000の中に配置されているので、放射線の影響は受けない。
【0020】
<放射線環境下について>
図1に示すように、フロントエンド部101は高放射線領域1000に設置され、コントロール部201は低放射線領域2000に設置されることを想定している。
ただし、フロントエンド部101は、低放射線領域2000に設置しても問題はない。
また、コントロール部201は、ケーブル301の延長によって、低放射線領域2000に設置することが望ましいが、何らかの理由で放射線環境下での設置が必要になった場合には、遮蔽による放射線シールド機能を設けることが望ましい。
【0021】
図1に示した構成において、第1アンプ111は、放射線環境下(高放射線領域1000)に設置されるため、放射線耐性に優れるSiCで構成したオペアンプ(アンプ、増幅器)であることが望ましい。
ただし、第2アンプ211については、低放射線領域2000に設置されるため、アンプを構成する半導体の材質は、SiC素子以外の素子、例えばSi素子を採用することが可能である。
【0022】
<第1アンプ111の電圧増幅率について>
前記したように、高放射線領域1000で使用される第1アンプ111は、SiC素子を用いて回路を構成されている。SiC素子を用いる理由は、SiC素子を用いた回路はSi素子で構成された回路よりも、放射線耐性に優れているからである。
しかしながら、SiC(素子)ではSi(素子)よりも界面の移動度が1~2桁低い。そのため、同じチップサイズで比較すると、SiC素子を用いて構成される回路は、Si素子を用いて構成される回路よりも電流駆動能力が低い。
その電流駆動能力が低い分をSiC素子のMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)の電流駆動に関する部分の形状(サイズ)を大きくして、電流駆動能力を確保すると、MOSFETに付随する寄生静電容量が大きくなるため、周波数特性が劣化してしまう。
【0023】
以上のSiC素子を用いた回路における周波数特性と電流駆動能力の関係について数値例で具体的に説明する。
簡単のため、フロントエンド部101の出力電圧を1[V]とする。第1アンプ(例えばオペアンプ)111の電圧増幅率を1とする。
すると、第1アンプ111の出力電圧は1[V]となる。
すると、ケーブル301の特性インピーダンスは、前記したように50[Ω]であるため、第1アンプ(オペアンプ)111は、20[mA](=1V/50Ω)の電流を出力から流す必要がある。
なお、単位を示す[V]、[mA]、[Ω]の表記を、適宜、簡略化して、それぞれV、mA、Ωとも表記する。
【0024】
この場合、所定の設計サイズ(チップサイズ)のオペアンプ(アンプ)において、耐放射線性の低い従来のSiオペアンプであれば40mA程度流せるので問題ないが、SiCではSiよりも界面の移動度が1~2桁低い。
そのため、SiCでは、同じ所定の設計サイズ(チップサイズ)のオペアンプ(アンプ)で比較すると電流が充分には流せない。
すなわち、前記の20mAの電流を、SiCオペアンプでは、同じ条件の基においては流せない。
また、前記したように、電流を流すためにSiCのMOSサイズ(または、チップサイズ)を大きくすると、周波数特性が劣化して、信号を正常に伝送できなくなる。
【0025】
この対策として、第1アンプ(オペアンプ)111の電圧増幅率(Av)を下げる。例えば、電圧増幅率を0.1(Av=0.1)とする。
この場合には、第1アンプ111の出力電流は、(1V×0.1)/50Ω=2mAとなって、前記の電流値の20mAよりも充分に小さな電流値となり、SiCオペアンプが充分に流せる電流範囲となる。
【0026】
ただし、第1アンプ111の電圧増幅率(Av)が0.1の場合は、電圧増幅率(Av)が1の場合に比較して、コントロール部201側では、受け取る信号が1/10になってしまう。そのため、コントロール側の入力端に新たにアンプ(第2アンプ211)を設け、信号を増幅(例:Av=10)することで、所望の信号が取得できる。
【0027】
以上のような事情により、第1アンプ(オペアンプ)111は、放射線耐性に優れたSiC素子で構成して、低い電圧増幅率に設定する。つまり、増幅器としてよりは、バッファ(バッファアンプ)として用いる。
また、第2アンプ211は、電圧増幅率の低い第1アンプ111の出力信号の電圧を回復するために、高い電圧増幅率に設定する。
【0028】
以上の数値計算例は、一例にすぎない。実際には、フロントエンド部101の出力電圧が3~4[V]程度の場合や、1[V]未満の場合もある。また、ケーブル301を伝送する信号の周波数も様々である。
ただし、第1アンプ111の電圧増幅率は低く設定し、第2アンプ211の電圧増幅率は高く設定することが重要である。
そのための目安として、また安全サイドとして、本発明の第1実施形態に係る計測装置11における第1アンプ111の電圧増幅率(Av)は1未満とする。
また、第2アンプ211は、第1アンプ111の低い電圧増幅率を補う意味からも、少なくとも、第2アンプ211の電圧増幅率(Av)は1以上とする。
このように、それぞれ第1アンプ111と第2アンプ211の電圧増幅率を設定することが大きな特徴のひとつである。
【0029】
<第1実施形態の効果>
本発明の第1実施形態によれば、第1アンプの電圧増幅率は1未満とし、第2アンプの電圧増幅率は1以上とすることで、SiCを備えて構成された第1アンプの許容電流値以下で安定に回路を駆動させつつ、高い放射線耐性を提供する。
また、放射線環境においても、第1アンプの周波数特性を維持し、かつケーブルを用いた長距離信号伝送が可能となる。
すなわち、本発明の第1実施形態によれば、耐放射線性に優れ、かつ長距離信号伝送を可能とする計測装置を提供することができる。
【0030】
≪第2実施形態≫
本発明の第2実施形態に係る計測装置の構成について、図2を参照して説明する。
図2は、本発明の第2実施形態に係る計測装置の構成例を示す図である。
図2において、計測装置12は、高放射線領域1000に、フロントエンド部101とバッファアンプ(第1アンプ)121を備えている。
また、計測装置12は、低放射線領域2000に、コントロール部201と抵抗231を備えている。また、計測装置12は、高放射線領域1000と低放射線領域2000に、ハイインピーダンスケーブル(ケーブル)401を備えている。
【0031】
図2における計測装置12において、図1における計測装置11と異なるのは、バッファアンプ121とハイインピーダンスケーブル401である。また、図1における第2アンプ211が図2においては省かれている。
他の構成要素は、同じであるので重複する説明は、適宜、省略する。
【0032】
図2において、ハイインピーダンスケーブル401は、分布定数線路としての特性インピーダンスは200Ωである。
このように、特性インピーダンスが200Ωの高いインピーダンスを有するハイインピーダンスケーブル401が用いられているため、バッファアンプ121は、少ない駆動電流で所定の電圧の出力信号を伝送することが可能となる。
【0033】
<数値例による説明>
以上の図2の回路構成について、図1の回路構成と対応させながら数値例で説明する。また、SiC素子を用いた回路における周波数特性と電流駆動能力の関係について数値例で具体的に次に説明する。
【0034】
比較の簡単化のため、図2おいて、図1と同様に、フロントエンド部101の出力電圧を1[V]とする。また、バッファアンプ121の電圧増幅率を1とする。
すると、バッファアンプ121の出力電圧は1[V]となる。
すると、ハイインピーダンスケーブル401の特性インピーダンスは、前記したように200Ωであるため、バッファアンプ121の出力は、5mA(=1V/200Ω)の電流となる。この電流値5mAは、SiCオペアンプであるバッファアンプ121が流せる電流範囲となる。
つまり、SiCで構成されたバッファアンプ121の電圧増幅率を無理に低下させなくとも、出力電流が許容範囲となる。
【0035】
また、図2においては、バッファアンプ121の電圧増幅率を無理に低下させていないので、図1における第2アンプ211を図2において省いても、充分な電圧の信号をコントロール部201に入力させることができる。
ただし、フロントエンド部101の出力電圧は、3~4V、あるいはそれ以上となることもあるので、バッファアンプ(第1アンプ)121の電圧増幅率は、低く設定することが重要である。
そのための目安として、また安全サイドとして、本発明の第2実施形態に係る計測装置12におけるバッファアンプ(第1アンプ)121の電圧増幅率(Av)は1未満とする。
【0036】
なお、ケーブル301の特性インピーダンスは50Ωの例をあげ、ハイインピーダンスケーブル401の特性インピーダンスは200Ωの例を示した。この際に、ハイインピーダンスケーブルを特性インピーダンスの値によって定義する場合に、一般的に必ずしも明確ではない。
ただし、図2の構成においては、ハイインピーダンスケーブル401の特性インピーダンスは、ケーブル301の特性インピーダンスよりも高ければ、高低の差はあれ、バッファアンプ121の出力電流を低減する効果があると考えられる。
以降において、便宜的に特性インピーダンスが50Ωを超えるものを「ハイインピーダンスケーブル」と呼称するものとする。
【0037】
<第2実施形態の効果>
本発明の第2実施形態によれば、SiCで構成されたバッファアンプとハイインピーダンスケーブルを用いることによって、SiCオペアンプの許容電流値以下で安定に回路を駆動させつつ、高い放射線耐性を提供することができる。
また、放射線環境においても、バッファアンプの周波数特性を維持しつつ、図1よりも簡易な構成で長距離信号伝送が可能となる。
すなわち、本発明の第2実施形態によれば、耐放射線性に優れ、かつ長距離信号伝送を可能とする計測装置を提供することができる。
【0038】
≪第3実施形態≫
本発明の第3実施形態に係る計測装置の構成について、図3を参照して説明する。
図3は、本発明の第3実施形態に係る計測装置の構成例を示す図である。
図3において、計測装置13は、高放射線領域1000に、フロントエンド部101と第1アンプ111を備えている。
また、計測装置13は、低放射線領域2000に、コントロール部201と第2アンプ211と抵抗231を備えている。また、計測装置13は、高放射線領域1000と低放射線領域2000に、ハイインピーダンスケーブル401を備えている。
【0039】
図3における計測装置13において、図1における計測装置11と異なるのは、ハイインピーダンスケーブル401である。
他の構成要素は、同じであるので重複する説明は、適宜、省略する。
図3において、図1のケーブル301(特性インピーダンス50Ω)が、図3においては、ハイインピーダンスケーブル401(特性インピーダンス200Ω)を用いているので、ハイインピーダンスケーブルの特性インピーダンスが高い分だけ、第1アンプ111の出力信号が小さくても伝送が可能となる。
【0040】
また、第1アンプ111の電圧増幅率が、図1図3で同じであるとすれば、図3におけるフロントエンド101の信号は、図1におけるフロントエンド101の信号よりも小さい電圧の信号を取り扱うことが可能となる。
図3の計測装置13におけるこの効果は、特性インピーダンスの高いハイインピーダンスケーブル401を用いたことによる作用、効果である。
【0041】
<第3実施形態の効果>
本発明の第3実施形態によれば、SiCで構成されたバッファアンプとハイインピーダンスケーブルと第2アンプを用いることによって、SiCオペアンプの許容電流値以下で安定に回路を駆動させつつ、高い放射線耐性を提供することができる。
また、放射線環境においても、第1アンプの周波数特性を維持しつつ、長距離信号伝送が可能となる。
また、フロントエンドの信号をより小さい電圧の信号を扱える効果がある。
【0042】
≪第4実施形態≫
本発明の第4実施形態に係る計測装置の応用装置の構成について、図4図5A図5Bを参照して説明する。なお、以下の説明は、応用装置と計測装置の説明を兼ねる。
図4は、本発明の第4実施形態に係る応用装置(計測装置)の構成例を示す図である。
図4において、応用装置(計測装置)14は、高放射線領域1000に、イメージセンサ部102と第1アンプ111を備えている。
また、応用装置(計測装置)14は、低放射線領域2000に、コントロール部201と第2アンプ211と抵抗231を備えている。
また、応用装置(計測装置)14は、高放射線領域1000と低放射線領域2000に、ケーブル301を備えている。
【0043】
以上のように、図4においては、応用装置(計測装置)14としてのフロントエンド(フロントエンド部101:図1)として、イメージセンサ(イメージセンサ部102)を用いている。つまり、計測装置のフロントエンドとしてイメージセンサを適用した応用機器として構成している。
図4の応用装置(計測装置)14が図1の計測装置11と異なるのは、イメージセンサ(イメージセンサ部102)のみである。他の構成要素は、図1の計測装置11と同じであるので、重複する説明は、適宜、省略する。
なお、図4における第1アンプ111の電圧増幅率は1未満であり、第2アンプ211の電圧増幅率は1以上であり、ケーブル301の特性インピーダンスは50Ωであって、図1における対応する特性とそれぞれ同じである。
【0044】
<イメージセンサ部>
次に、図4で示したイメージセンサ部102の構成例を図5A図5Bを参照して説明する。
図5Aは、本発明の第4実施形態に係る応用装置(計測装置)のイメージセンサ部102の構成例を示す図である。
図5Aにおいて、イメージセンサ部102は、センサ素子部501、センサ制御部502、送受信部503を備えて構成される。
【0045】
センサ素子部501は、イメージセンサ部102の外部から入力する画像を検出する。そして検出した画像信号を送受信部503に送る。
センサ制御部502は、センサ素子部501の内部の回路による画像処理を制御する。また、センサ制御部502は、送受信部503にも制御信号を送る。
送受信部503は、センサ制御部502の制御信号を基に、センサ素子部501から画像信号を受信する。そして、イメージセンサ部102の出力信号として、第1アンプ111とケーブル301を介して、コントロール部201(図4)に画像信号を送信する。
【0046】
なお、図5Aにおいて、センサ制御部502と送受信部503は、機能的に分けられたものであり、一つのICチップにセンサ素子部501とセンサ制御部502と送受信部503を、別々に設けてもよいし、同一のICチップにすべて設けてもよい。
【0047】
<センサ素子部の構成>
図5Aにおけるセンサ素子部501の構成例を、図5Bを参照して説明する。
図5Bは、本発明の第4実施形態に係る応用装置(計測装置)のイメージセンサ部102におけるセンサ素子部501の構成例を模式的に示す図である。
図5Bにおいて、センサ素子部501は、複数のセンサ素子(611~614)と閾値判定回路603を備えて構成されている。
複数のセンサ素子(611~614)は、イメージセンサとしての画素を構成するように配置されている。なお、図5Bにおいては、表記の都合により、センサ素子(611~614)は4個しか記載されていないが、実際には、イメージセンサを構成する画素数に相当する個数が設けられている。
【0048】
センサ素子611は、受光素子601と充電トランジスタ602を備えている。また、複数のセンサ素子(611~614)は、画素毎に前記の受光素子(601)と充電トランジスタ(602)を備えている。
例えば、センサ素子611において、受光素子601は、光を検出して電荷(電気)に変換し、受光素子601に接続された充電トランジスタ602に電荷(電気)を所定の時間、蓄積する。
閾値判定回路603は、複数のセンサ素子(611~614)の受光素子601および充電トランジスタ602で構成される画素電圧回路(601,602)の端子電圧が所定の閾値以上かを判定する。
【0049】
なお、閾値判定回路603における閾値は、可変である。閾値(輝度閾値)を変えることによって、異なる光の強度を判定することができる。
また、閾値判定回路603は、所定の複数のセンサ素子で共用することが、ICチップとしての集積度の観点から望ましい。
また、図5Bは、センサ素子部501の構成例を「模式的」に示す図であると記載したように、実際のセンサ素子部501の構成(構造)や、センサ素子611の構造は、単純な平面構造ではなく、立体的に配置される構造である。
また、センサ素子611における受光素子601、充電トランジスタ602と、閾値判定回路603をブロック図として表記しているが、実際には電気的な回路と配線を有している。
【0050】
以上の構成によって、センサ素子部501の複数のセンサ素子(611~614)は、異なる輝度閾値に対応する複数のサブ画像を取得する。なお、前記したように、実際には複数のセンサ素子の個数は、イメージセンサを構成する画素数に相当する個数が設けられている。
また、図4におけるコントロール部201は、イメージセンサ部102(図4図5A)の出力した前記の複数のサブ画像の信号を処理して諧調画像を生成する。
【0051】
<イメージセンサの耐放射線性向上>
図4図5Aで示したイメージセンサ部102は、耐放射線性を向上させるために、次のような方策がある。
<1>イメージセンサ部102を鉛などで遮蔽する。
<2>受光素子(601:図5B)や充電トランジスタ(602:図5B)や閾値判定回路(603:図5B)をSiC(SiC素子)で構成する。
<3>諧調画像の階調方式を工夫する。
また、以上の<1>、<2>、<3>の方策を組み合わせる方法もある。
【0052】
<イメージセンサの諧調画像の階調方式>
前記の「<3>諧調画像の階調方式を工夫する」の方策を、さらに具体的に示せば、次のような方法がある。
(A)露光時間を変える。
(B)受光素子の面積を変える。
(C)受光素子への充電電圧を変える。
次に、(A)、(B)、(C)の方法について順に、説明する。
【0053】
《(A)露光時間を変える》
すなわち、イメージセンサ部102におけるセンサ素子部501のセンサ素子(611~614)の露光時間を増やして、光信号量を増加して電気信号(電荷量)を大きくする方法である。放射線の影響は、一般に時間的に散発的であるので、イメージセンサとしての露光時間が増加するにつれて、放射線の影響は、相対的に低減する。
【0054】
《(B)受光素子の面積を変える》
イメージセンサ部102の設計段階、あるいは製品の採用段階において、センサ素子部501のセンサ素子(611~614)の受光素子の面積を大きく設計、または大きいものを選択する。このような選択をすれば、放射線の影響は、一般に時間的のみならず面積的にも散発的であるので、放射線の影響は、相対的に低減する。
また、センサ素子部501のセンサ素子(611~614)の受光素子の面積が定まっている場合においても、センサ素子(611~614)の一群を一つのセンサ素子として、センサ制御部502(図5A)で制御することによって、等価的に受光素子の面積を変えることができる。画素としては、荒くなる場合もあるが、放射線の影響を相対的に低減することができる。
【0055】
《(C)受光素子への充電電圧を変える》
図5Bにおける受光素子(601)と充電トランジスタ(602)の関係において、充電トランジスタの特性、例えば受光素子への充電電圧を変えることによって、受光素子の光の感度や、電気信号の大きさを変えることができる。
充電トランジスタの受光素子への充電電圧を最適化することによって、光に対する電気信号量が増加して、放射線の影響を相対的に低減することができる。
【0056】
<第4実施形態の総括>
イメージセンサは、一般に高い周波数帯域を用いるため、放射線環境で長距離信号伝送が必要な場合、MOSサイズを大きくする対策は適していないので、本発明の第4実施形態で説明した技術が有効となる。
つまり前記の構成によれば、SiCオペアンプの許容電流値以下で安定に回路を駆動させつつ、高い放射線耐性を提供することができる。
また、放射線環境においても、第1アンプの周波数特性を維持しつつ、イメージセンサからの画像信号を長距離伝送可能となる。
また、イメージセンサとしての品質の高い諧調画像を伝送することが可能となる。
【0057】
<第4実施形態の効果>
本発明の第4実施形態の応用装置(計測装置)は、SiCオペアンプの許容電流値以下で安定に回路を駆動させつつ、高い放射線耐性を提供することができる。
また、放射線環境においても、第1アンプの周波数特性を維持しつつ、イメージセンサからの画像信号を長距離伝送可能となる。
すなわち、本発明の第4実施形態によれば、耐放射線性に優れ、かつ長距離信号伝送を可能とするイメージセンサを用いた応用装置(計測装置)を提供することができる。
【0058】
≪第5実施形態≫
本発明の第5実施形態に係る計測装置の応用装置の構成について、図6を参照して説明する。
図6は、本発明の第5実施形態に係る応用装置(計測装置)の構成例を示す図である。
図6において、応用装置(計測装置)15は、高放射線領域1000に、イメージセンサ部102とバッファアンプ121を備えている。
また、応用装置(計測装置)15は、低放射線領域2000に、コントロール部201と抵抗231を備えている。また、応用装置(計測装置)15は、高放射線領域1000と低放射線領域2000に、ハイインピーダンスケーブル401を備えている。
【0059】
図6における応用装置(計測装置)15において、図4における応用装置(計測装置)14と異なるのは、バッファアンプ121とハイインピーダンスケーブル401である。また、図4における第2アンプ211が図6においては省かれている。
他の構成要素は、同じであるので重複する説明は省略する。
なお、バッファアンプ121とハイインピーダンスケーブル401に変わった影響と、第2アンプ211が削除されていることの影響は、図1に示した第1実施形態と図2に示した第2実施形態との差異と、事実上、同じであるので重複する説明は省略する。
【0060】
前記の構成によれば、イメージセンサ(イメージセンサ部102)を用いた応用装置(計測装置)15において、バッファアンプ(SiCオペアンプ)121の許容電流値以下で安定に回路を駆動させつつ、高い放射線耐性を有する。
また、放射線環境においても、バッファアンプ(SiCオペアンプ)121の周波数特性を維持しつつ、簡易な構成でイメージセンサからの画像信号を長距離伝送することが可能となる。
【0061】
<第5実施形態の効果>
本発明の第5実施形態の応用装置(計測装置)は、SiCオペアンプの許容電流値以下で安定に回路を駆動させつつ、高い放射線耐性を提供することができる。
また、放射線環境においても、バッファアンプ(SiCオペアンプ)の周波数特性を維持しつつ、簡易な構成でイメージセンサからの画像信号を長距離伝送可能となる。
すなわち、本発明の第5実施形態によれば、耐放射線性に優れ、かつ長距離信号伝送を可能とするイメージセンサを用いた応用装置(計測装置)を提供することができる。
【0062】
≪第6実施形態≫
本発明の第6実施形態に係る計測装置の応用装置の構成について、図7を参照して説明する。
図7は、本発明の第6実施形態に係る応用装置(計測装置)の構成例を示す図である。
図7において、応用装置(計測装置)16は、高放射線領域1000に、イメージセンサ部102と第1アンプ111を備えている。
また、応用装置(計測装置)16は、低放射線領域2000に、コントロール部201と第2アンプ211と抵抗231を備えている。また、応用装置(計測装置)16は、高放射線領域1000と低放射線領域2000に、ハイインピーダンスケーブル401を備えている。
【0063】
図7における応用装置(計測装置)16において、図4における応用装置(計測装置)14と異なるのは、ハイインピーダンスケーブル401である。
他の構成要素は、同じであるので重複する説明は、適宜、省略する。
図7において、図4のケーブル301(特性インピーダンス50Ω)が、図7においては、ハイインピーダンスケーブル401(特性インピーダンス200Ω)を用いているので、ハイインピーダンスケーブルの特性インピーダンスが高い分だけ、第1アンプ111の出力信号が小さくても伝送が可能となる。
図7においてハイインピーダンスケーブル401を用いる効果は、第3実施形態での説明と重複するので、適宜、省略する。
【0064】
前記の構成によれば、第1アンプ111の許容電流値以下で安定に回路を駆動させつつ、高い放射線耐性を提供することができる。また、放射線環境においても第1アンプ111(SiCオペアンプ)の周波数特性を維持しつつ、イメージセンサ画像信号の長距離信号伝送が可能となる。
すなわち、本発明の第6実施形態によれば、耐放射線性に優れ、かつ長距離信号伝送を可能とするイメージセンサを用いた応用装置(計測装置)を提供することができる。
【0065】
<第6実施形態の効果>
本発明の第6実施形態の応用装置(計測装置)は、SiCオペアンプの許容電流値以下で安定に回路を駆動させつつ、高い放射線耐性を提供することができる。
また、放射線環境においても、第1アンプ(SiCオペアンプ)の周波数特性を維持しつつ、簡易な構成でイメージセンサからの画像信号を長距離伝送可能となる。
すなわち、本発明の第6実施形態によれば、耐放射線性に優れ、かつ長距離信号伝送を可能とするイメージセンサを用いた応用装置(計測装置)を提供することができる。
【0066】
≪その他の実施形態≫
なお、本発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものでなく、さらに様々な変形例が含まれる。例えば、前記の実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために、詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成の一部で置き換えることが可能であり、さらに、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成の一部または全部を追加・削除・置換をすることも可能である。
以下に、その他の実施形態や変形例について、さらに説明する。
【0067】
《第1アンプ、第2アンプの電圧増幅率》
第1実施形態の説明において、第1アンプは、電圧増幅率が1未満、かつ第2アンプは電圧増幅率が1以上と説明した。しかし、前記の第1アンプおよび第2アンプの電圧増幅率は、絶対的なものではない。ひとつの目安である。
例えば、前記したように、計測装置や応用装置の出力信号電圧や、ケーブルの特性インピーダンスによって、第1アンプおよび第2アンプの電圧増幅率の範囲や最適値は様々である。
そのため、この具体的な数値については、計測部の出力信号に応じて変更することが望ましい。第1アンプの電圧増幅率は、SiCオペアンプ(第1アンプ)の許容電流値を超えない範囲で、適宜、変更できる。
【0068】
《第1アンプの構成》
第1実施形態において、第1アンプとしてオペアンプを例として説明したが、オペアンプに限定されない。入力インピーダンスや出力インピーダンスが適当であれば、一般的な様々のアンプで構成してもよい。
また、図1において、第1アンプ111と表記し、図2において、バッファアンプ121と表記したが、第1アンプ111の入力インピーダンスも充分に高く、フロントエンド部101への影響を極力低減しているので、第1アンプ111はバッファアンプとしての機能を有している。
【0069】
《応用装置》
図4図5A図5Bにおいては、計測装置の応用装置としてイメージセンサについて説明したが、計測装置の応用装置は、イメージセンサに限定されない。例えば、変位計測装置、異常検知計測装置、微小振動計測装置、画像計測装置など様々である。
【0070】
《ケーブル、ハイインピーダンスケーブル》
ケーブル、ハイインピーダンスケーブルの分布定数線路としての特性インピーダンスをそれぞれ50Ωと200Ωについて例を挙げたが、これらの例に限定されない。例えば、75Ωや600Ωのケーブルも市販されている。また、ケーブルの形状、素材を変更すれば、様々な特性インピーダンスを設定することができる。
【0071】
《耐放射線用の半導体素子》
Si素子よりも放射線に強い半導体素子としてSiC素子で説明したが、SiC素子に限定されない。放射線に強い高バンドギャップ半導体としては、SiC(炭化ケイ素)以外に、GaN(窒化ガリウム)、GaAs(ガリウム砒素)などもある。
【0072】
《耐放射線用の遮蔽物》
耐放射線用の遮蔽物として、鉛、あるいは鉛を含む遮蔽物として説明したが、必ずしも鉛に限定されない。
例えば、重量の問題や融点の問題、または環境の観点、あるいは他の理由によって、鉛を用いることが不適な場合には、他の金属や物質によって、耐放射線用の遮蔽物を構成してもよい。
【符号の説明】
【0073】
11,12,13 計測装置
14,15,16 応用装置、計測装置
101 フロントエンド部
102 イメージセンサ部、フロントエンド部
111 第1アンプ
121 バッファアンプ、第1アンプ
201 コントロール部
211 第2アンプ
231 抵抗、入力抵抗
301 ケーブル
401 ハイインピーダンスケーブル、ケーブル
501 センサ素子部
502 センサ制御部
503 送受信部
601 受光素子
602 充電トランジスタ
603 閾値判定回路
611,612,613,614 センサ素子
1000 高放射線領域
2000 低放射線領域
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7