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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】水質監視システム
(51)【国際特許分類】
   A01K 63/04 20060101AFI20240418BHJP
   G01N 33/18 20060101ALI20240418BHJP
   C02F 1/00 20230101ALI20240418BHJP
【FI】
A01K63/04 Z
G01N33/18 E
C02F1/00 V
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021060490
(22)【出願日】2021-03-31
(65)【公開番号】P2022156681
(43)【公開日】2022-10-14
【審査請求日】2023-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】亀井 駿典
(72)【発明者】
【氏名】大澤 敬正
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 克則
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-250557(JP,A)
【文献】特開2015-051386(JP,A)
【文献】特開2000-093192(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 63/04
G01N 33/18
C02F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水生生物を生育する水槽内の飼育水の水質を監視する水質監視システムであって、
前記飼育水に含まれるアンモニアの濃度測定を行う第1装置と、
少なくとも前記アンモニア以外の他項目の測定を行う第2装置と、
前記第1装置及び前記第2装置と通信可能に構成され、前記第1装置に対して第1の動作指示を与え、前記第2装置に対して第2の動作指示を与える管理装置と、
を有し、
前記第1装置は、前記管理装置から前記第1の動作指示が与えられた場合に、前記飼育水に含まれる前記アンモニアの前記濃度測定を行い、前記濃度測定の結果を含む第1情報を前記管理装置に出力し、
前記第2装置は、前記管理装置から前記第2の動作指示が与えられた場合に、前記他項目の測定を行い、前記他項目の測定結果を含む第2情報を前記管理装置に出力し、
前記他項目は、前記飼育水のpHと水温とを含み、
前記管理装置は、前記第1情報に含まれる前記飼育水のアンモニア濃度と、前記第2情報に含まれる前記飼育水のpH及び水温とに基づいて、前記飼育水の遊離アンモニア濃度を算出する算出部を備える
水質監視システム。
【請求項2】
前記管理装置は、前記第1情報に含まれるアンモニア濃度又は前記第2情報に含まれる前記他項目の測定結果が基準範囲を外れる場合に警報を発する警報部を有する
請求項1に記載の水質監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水質監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、水生生物の生育を管理する生産物管理システムが開示されている。この生産物管理システムは、制御装置と、センサと、を備える。センサは、水槽内の飼育水の水質に関する情報を測定する。センサの測定値は、制御装置に入力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-13361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
対象水の水質を監視する場合、様々な観点の情報を収集することが望まれる場合もある。しかし、収集すべき情報の種類が複雑化すると、方式が異なる複数の装置を組み合わせて水質を監視しなければならない。
【0005】
本発明は、方式が異なる複数の装置を用いて水質を監視する場合に、動作指示や情報の管理を良好に行い得る技術を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つである水質監視システムは、
対象水の水質を監視する水質監視システムであって、
前記対象水に含まれるアンモニアの濃度測定を行う第1装置と、
少なくとも前記アンモニア以外の他項目の測定を行う第2装置と、
前記第1装置及び前記第2装置と通信可能に構成され、前記第1装置に対して第1の動作指示を与え、前記第2装置に対して第2の動作指示を与える管理装置と、
を有し、
前記第1装置は、前記管理装置から前記第1の動作指示が与えられた場合に、前記対象水に含まれる前記アンモニアの前記濃度測定を行い、前記濃度測定の結果を含む第1情報を前記管理装置に出力し、
前記第2装置は、前記管理装置から前記第2の動作指示が与えられた場合に、前記他項目の測定を行い、前記他項目の測定結果を含む第2情報を前記管理装置に出力する。
【0007】
上記の水質監視システムは、第1装置により第1の方式(例えば、所定の前処理を行った上でアンモニアの濃度測定を行う方式)で対象水のアンモニア濃度を測定することができ、第2装置により第2の方式で他項目を測定することができる。更に、この水質監視システムは、共通の管理装置によって方式が異なる複数の装置に対して動作指示を与え、且つ、それらの装置から情報を収集することができる。従って、上記の水質監視システムは、方式が異なる複数の装置を用いて水質を監視する場合に、動作指示や情報の管理を良好に行い得る。
【0008】
上記の水質監視システムにおいて、上記管理装置は、上記第1情報に含まれるアンモニア濃度又は上記第2情報に含まれる上記他項目の測定結果が基準範囲を外れる場合に警報を発する警報部を有していてもよい。
【0009】
この水質監視システムは、方式が異なる複数の装置を用いて対象水の水質を監視することができ、しかも、いずれの装置の測定結果が基準範囲を外れても、共通の管理装置によって警報を発することができる。この水質監視システムは、方式の異なる複数の装置の測定結果が基準を満たすか否かを管理装置において一括して評価し、必要に応じて警報を発することができるため、適正な水質を維持するように管理する上で、利便性が高い。
【0010】
上記の水質監視システムにおいて、上記他項目は、上記対象水のpHと水温とを含んでいてもよい。そして、上記管理装置は、上記第1情報に含まれる上記対象水のアンモニア濃度と、上記第2情報に含まれる上記対象水のpH及び水温とに基づいて、上記対象水の遊離アンモニア濃度を算出する算出部を備えていてもよい。
【0011】
この水質監視システムは、方式の異なる複数の装置(第1装置及び第2装置)が別々に生成した情報を管理装置において利用し、第1装置及び第2装置の各単体では算出しにくい指標を算出することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、方式が異なる複数の装置によって水質を監視する場合に、動作指示や情報の管理を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、水質監視システムの全体構成を概念的に例示する説明図である。
図2図2は、1つの水槽に対応する第1装置及び第2装置と管理装置との関係を簡略的に示す説明図である。
図3図3は、管理装置の電気的構成を簡略的に示すブロック図である。
図4図4は、第1装置の構成を簡略的に示す説明図である。
図5図5は、第2装置の電気的構成を簡略的に示すブロック図である。
図6図6は、管理装置に記憶される設定情報のデータ構成例を示す説明図である。
図7図7は、管理装置での表示例1を示す説明図である。
図8図8は、管理装置での表示例2を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.第1実施形態
1-1.水質監視システムの基本構成
図1に示される水質監視システム100は、水生生物を生育する水槽90内の飼育水の水質を管理するシステムである。水質監視システム100は、複数の水槽90内の飼育水の水質を監視しうる。複数の水槽90は、各々が異なる拠点に設けられていてもよく、一部又は全部が同一拠点に設けられていてもよい。
【0015】
水質監視システム100は、管理装置40と、第1装置10と、第2装置20とを備える。図1の例では、各々の水槽90に対応して第1装置10及び第2装置20が設けられている。図1の例では、第1装置10が1つの水槽90内のアンモニア濃度の測定を行い得る構成をなし、第2装置20が1つの水槽90内の多項目の測定を行い得る構成をなす。但し、図1の例はあくまで一例であり、第1装置10は、複数の水槽90においてアンモニア濃度の測定を行い得る構成であってもよく、第2装置20は、複数の水槽90において多項目の測定を行い得る構成であってもよい。
【0016】
図3に示される管理装置40は、例えばコンピュータとして構成されている。管理装置40は、制御部41と、記憶部42と、通信部43と、操作部44と、表示部45と、を備える。制御部41は、例えばCPUを備えた情報処理装置であり、様々な演算、制御、情報処理を行い得る。記憶部42は、例えばROM、RAM、HDD、SSD等の記憶装置を含み、様々な情報を記憶する。通信部43は、外部の装置と公知の方式で通信を行う装置である。本実施形態では、通信方式は無線通信方式が好適であるが、有線通信方式であってもよい。操作部44は、キーボード、マウス、タッチパネル等の公知の入力デバイスである。表示部45は、ディスプレイなどの公知の表示装置である。
【0017】
管理装置40は、各第1装置10及び各前記第2装置20と通信可能に構成されている。管理装置40は、第1装置10に対して第1の動作指示を与え、第2装置20に対して第2の動作指示を与えるように動作し得る。なお、図2の例では、図示は省略されているが、第1装置10や第2装置20は、アクセスポイントと無線通信を行い、このアクセスポイントを介して管理装置40と通信を行い得る構成であるとよい。
【0018】
図4に示される第1装置10は、対象水90Aに含まれるアンモニアの濃度測定を行う装置である。第1装置10は、水質モニタリング装置として機能し得る。第1装置10は、情報処理部10Aと、測定部10Bとを含む。情報処理部10Aや測定部10Bは、図示されていない電源装置から電力の供給を受け得る。情報処理部10Aは、制御部11と、記憶部12と、通信部13とを含む。制御部11は、例えばCPUを備えた情報処理装置であり、様々な演算、制御、情報処理を行い得る。制御部11は、測定部10Bの動作を制御し、例えば、ポンプ15A,15B、弁16A,16Bなどの動作を制御する。制御部11は、センサ部14から情報(検出値)を取得し得る。記憶部12は、例えば半導体メモリであり、様々な情報を記憶し得る。通信部13は、外部の装置と公知の方式で通信を行う装置である。本実施形態では、通信方式は無線通信方式が好適であるが、有線通信方式であってもよい。
【0019】
測定部10Bは、導入管19A,19Bと、ポンプ15A,15Bと、センサ部14と、弁16A,16Bと、収容部17Bとを備える。導入管19A,19Bは、第1装置10による取水対象の水槽90から対象水90Aを導入し、センサ部14に誘導する管である。ポンプ15Aは、導入管19A,19B内の液体をセンサ部14に移送する駆動源である。第1装置10が対象水90Aの測定を行う場合、導入管19Aの一端が対象水90A内に配置された状態でポンプ15Aが動作することで、対象水90Aがセンサ部14に送り込まれるように「第1装置10内に対象水90Aを導入する導入動作」がなされる。ポンプ15Aの動作は、制御部11によって制御される。なお、導入管19A,19Bのいずれかには流量センサや弁(電磁弁や三方弁)などが設けられていてもよい。センサ部14は、公知のアンモニアセンサとして構成されている。センサ部14は、導入管19Bによってセンサ部14内に送り込まれた対象水90A内のアンモニア濃度を公知の方式で測定し、そのアンモニア濃度を示す検出値(例えば電圧値)を制御部11に与える。
【0020】
ポンプ15B、弁16B、収容部17B,供給管19C,19Dは、対象水90AのpHを調整する調整部として機能する。この調整部の動作は制御部11によって制御される。弁16Bは、導入管19Bと供給管19Cとの連通を開閉するストップバルブである。供給管19C,19Dは、収容部17Bから導入管19Bへの流路である。ポンプ15Bは、供給管19C,19D内の液体を導入管19Bに移送する駆動源である。収容部17Bは、塩基(例えば水酸化ナトリウム水溶液)を収容する容器である。図4の構成では、弁16Bが経路を開いた状態でポンプ15Bが動作すると、収容部17Bから導入管19Bに塩基が供給される。なお、供給管19C,19Dのいずれかには流量センサが設けられていてもよい。測定部10Bには、洗浄水供給装置が設けられていてもよい。
【0021】
第1装置10は、管理装置40から第1の動作指示が与えられた場合に、自身に対応付けられた水槽90内の対象水90Aに対して予め定められた前処理を行う。第1装置10が行う前処理は、上述された「第2装置20内に対象水90Aを導入する導入動作」に加え、「対象水90AのpHを所定範囲に調整する動作」「対象水90Aを濾過する動作」などを含んでいてもよい。「対象水90AのpHを所定範囲に調整する動作」は、例えば、収容部17Bから導入管19B内に塩基を供給することで対象水90AのpHを予め定められた範囲に調整する動作である。pHの調整は、例えば、規定量の塩基を導入することで調整してもよく、図示されていないセンサ部14に導入される対象水90AのpHを図示されていないpHセンサで検出しつつ調整してもよい。「対象水90Aを濾過する動作」は、例えば、導入管19A,19Bのいずれかに設けられた濾過部内を通過させるように対象水90Aを移送することで、対象水90Aを濾過する動作である。
【0022】
第1装置10は、このように前処理を行った後、前処理後の対象水90Aがセンサ部14に導入される。そして、センサ部14は、前処理後の対象水90Aに含まれるアンモニアの濃度測定を行い、その測定結果(例えば、測定によって得られたアンモニア濃度の値)を制御部11に与える。そして、制御部11及び通信部13は、協働して通信動作を行い、前処理後の対象水90A内のアンモニア濃度を含む情報(第1情報)を管理装置40に対して無線通信又は有線通信によって出力する。
【0023】
図5に示される第2装置20は、少なくともアンモニア以外の他項目の測定を行う装置である。第2装置20は、多項目水質計として機能し得る。第2装置20は、制御装置20Aと水質センサ20Bとを備える。制御装置20Aは、制御部21、記憶部22、通信部23などを含む。制御部21は、例えばCPUを備えた情報処理装置であり、様々な演算、制御、情報処理を行い得る。記憶部22は、例えば半導体メモリであり、様々な情報を記憶する。通信部23は、外部の装置と公知の方式で通信を行う装置である。通信方式は、無線通信方式が好適であるが、有線通信方式であってもよい。
【0024】
水質センサ20Bは、例えば水質に関する複数の項目を測定することが可能な多項目水質計である。項目は、例えば対象水90Aの温度、対象水90Aの流速、対象水90Aの酸化還元電位、対象水90Aの導電率などの物理的パラメータの項目であってもよい。項目は、対象水90Aの溶存酸素濃度、対象水90AのpH、対象水90Aの塩分濃度、対象水90Aのカルシウム濃度、対象水90Aのマグネシウム濃度、対象水90Aの亜硝酸濃度、対象水90Aの硝酸濃度、対象水90Aの全溶存物質などの化学的パラメータの項目であってもよい。
【0025】
第2装置20は、管理装置40から第2の動作指示が与えられた場合に、上記項目(第1装置10が計測するアンモニア濃度以外の他項目)の測定を行い、上記他項目の測定結果を含む第2情報を管理装置40に出力するように動作する。なお、第2装置20又は別装置として、水槽90の水位を計測する水位計が設けられていてもよい。そして、第2情報は、この水位計が計測する水槽90の水位を含んでもよい。第2装置20は、撮影機能、履歴記録機能、計数情報記録機能を有していてもよい。撮影機能、履歴記録機能、計数情報記録機能は、自動制御によって実現されてもよく、作業者の操作によって実現されてもよい。そして、上記第2情報には、第2装置20で撮影された画像のデータや、第2装置20で記録された情報(計数情報や履歴情報、ポンプ回転数やエア供給流量等)が含まれてもよい。
【0026】
2.管理装置におけるデータ構成
図6には、管理装置40(図3)に記憶される設定情報のデータ構成が概念的に示される。管理装置40の記憶部42(図3)は、各水槽90の情報と、各水槽90内の計測を行う第1装置10及び第2装置20の情報とが、水槽90毎に互いに対応付けられて記憶されている。例えば、水質監視システム100では、水槽1の識別情報(水槽No)で特定される水槽90に対応付けて水槽種別と水槽名を組み合わせた名称(中間槽1)が対応付けられている。そして、この水槽1(中間槽1)の識別情報で特定される水槽90内の対象水90Aの計測を、いずれかの第1装置10(第1装置A)及びいずれかの第2装置20(第2装置A)が行うようになっている。図6のデータ構成では、水槽1の識別情報に対応付けて、この水槽1の具体的名称(中間槽1)と、水槽1内の対象水を計測する第1装置10の識別情報(第1装置A)及び通信の際のアドレス情報(IPアドレスA1)と、水槽1内の対象水を計測する第2装置20の識別情報(第2装置A)及び通信の際のアドレス情報(IPアドレスA2)が記憶されている。水槽2、水槽3、水槽4・・・などの他の識別情報で特定される水槽に対しても、各水槽に対応付けられた、具体的名称、第1装置10の識別情報及びアドレス情報、第2装置20の識別情報(第2装置A)及び通信の際のアドレス情報がそれぞれ対応して記憶されている。従って、管理装置40では、水槽の識別情報(水槽No)が特定されれば、その水槽内の対象水を計測する第1装置10及び第2装置20の識別情報やアドレス情報を特定することができる。
【0027】
更に、管理装置40では、各水槽に対応付けた形で、各水槽に対応する第1装置10及び第2装置20から取得したデータが記憶されている。例えば、水槽1(中間槽1)の識別情報で特定される水槽90に対応付けて、この水槽90の計測を行う第1装置10(第1装置A)から取得したデータと、この水槽90の計測を行う第2装置20(第2装置A)から取得したデータとが記憶されている。管理装置40では、水槽の識別情報(水槽No)を特定すれば、過去にその水槽内の対象水を第1装置10が計測したデータ(その水槽内の対象水のアンモニア濃度のデータ)と、過去にその水槽内の対象水を第2装置20が計測したデータ(その水槽内の対象水の他項目のデータ)とを読み出すことができるようになっている。
【0028】
3.計測動作
管理装置40は、管理装置40に設けられた操作部44(図3)に対して第1操作がなされた場合に、第1装置10に対して第1の動作指示を与えるようになっている。また、管理装置40は、操作部44に対して第2操作がなされた場合に、第2装置20に対して第2の動作指示を与える。
【0029】
管理装置40は、操作部44(図3)に対して所定の表示指示操作がなされた場合に、制御部41と表示部45とが協働し、図7のような情報を表示部45に表示する。図7の表示情報は、第1装置10に対する測定動作開始を指示する測定開始指示ボタン51Aと、第1装置10に対する測定動作停止を指示する測定停止指示ボタン51Bと、第2装置20に対する測定動作開始を指示する測定開始指示ボタン52Aと、第2装置20に対する測定動作停止を指示する測定停止指示ボタン52Bと、を含む。図7のような表示画面が表示された場合には、操作部44の操作によって、いずれかのボタンを選択することができるようになっている。
【0030】
例えば、ユーザが測定開始指示ボタン51Aを選択する選択操作を行った場合、管理装置40は、全ての第1装置10に対して上述の第1の動作指示を与える。従って、ユーザが測定開始指示ボタン51Aを選択する選択操作を行った場合、全ての第1装置10は、自身に対応付けられた水槽90内の対象水90Aのアンモニア濃度を計測する。各第1装置10は、第1の動作指示が与えられた場合、アンモニア濃度を計測して管理装置40に送信する動作を、停止条件が成立するまで間に設定された周期で周期的に繰り返すように行ってもよく、1回又は所定回数行ってもよい。ユーザが測定停止指示ボタン51Bを選択する選択操作を行った場合、管理装置40は、全ての第1装置10に対して測定動作を停止する指示を与える。従って、ユーザが測定停止指示ボタン51Bを選択する選択操作を行った場合、全ての第1装置10は、アンモニア濃度を計測する動作を停止する。ユーザが測定開始指示ボタン52Aを選択する選択操作を行った場合、管理装置40は、全ての第2装置20に対して上述の第2の動作指示を与える。従って、ユーザが測定開始指示ボタン52Aを選択する選択操作を行った場合、全ての第2装置20は、自身に対応付けられた水槽90内の対象水90Aを対象として上記他項目を計測する。各第2装置20は、第2の動作指示が与えられた場合、上記他項目を計測して管理装置40に送信する動作を、停止条件が成立するまで間に設定された周期で周期的に繰り返すように行ってもよく、1回又は所定回数行ってもよい。ユーザが測定停止指示ボタン52Bを選択する選択操作を行った場合、管理装置40は、全ての第2装置20に対して測定動作を停止する指示を与える。従って、ユーザが測定停止指示ボタン52Bを選択する選択操作を行った場合、全ての第2装置20は、計測動作を停止する。
【0031】
管理装置40では、各水槽90に対応付けられた第1装置10及び第2装置20からの情報に基づき、各水槽90の状態を表示部45に表示(例えば、一覧表示)することができる。図7には、その表示例が示される。図7に示される表示画像には、「水槽No.」と、「水槽No.」の各々に対応する「水槽種別」「第1装置の状態」「第2装置の状態」「データ」が表示される。「第1装置の状態」の表示欄54や、「第2装置の状態」の表示欄55は、表示色や点灯状態であるか点滅状態であるかによって状態を示す。例えば「測定中の状態」「測定が終了した状態」「測定待ちの状態」「第1装置の測定値(アンモニア濃度)が異常である状態」「第2装置の測定値(上記他項目のいずれかの値)が異常である状態」、などである。
【0032】
管理装置40では、制御部41及び表示部45が警報部として機能し、第1情報に含まれるアンモニア濃度の測定結果が基準範囲を外れる場合に、その第1情報の送信元の第1装置10の表示欄54において「異常を示す表示色」や「異常を示す点滅表示」などを示すことで警報を発するように動作し得る。なお、アンモニア濃度が異常である場合、警報表示と併用して又は警報表示に代えて、ブザーやアラームなどの音声によって警報を発してもよく、通信によって外部装置に警報情報を送信してもよい。同様に、制御部41及び表示部45が警報部として機能し、第2情報に含まれる他項目のいずれかの測定結果が基準範囲を外れる場合に、その第2情報の送信元の第2装置20の表示欄55において「異常を示す表示色」や「異常を示す点滅表示」などを示すことで警報を発するように動作し得る。なお、他項目が異常である場合、警報表示と併用して又は警報表示に代えて、ブザーやアラームなどの音声によって警報を発してもよく、通信によって外部装置に警報情報を送信してもよい。
【0033】
図7に示される「データ」の表示欄51には、表示ボタン58が表示されている。管理装置40は、表示ボタン58が操作されると、図8のように、操作された表示ボタン58に対応する水槽90の「水槽No.」「水槽種別」とともに、その水槽90で測定された「時刻」と、各時刻に測定された各種項目の水質情報とを表示させる。また、水質情報に加え、第1装置10、第2装置20の状態が正常であるか否かを示す情報も表示する。
【0034】
本実施形態では、制御部41は、算出部として機能し、上述の第1情報に含まれる対象水90Aのアンモニア濃度と、第2情報に含まれる対象水90AのpH及び水温とに基づいて、対象水90Aの遊離アンモニア濃度を算出してもよい。例えば、水槽1を対象とする場合、制御部41は、水槽1の対象水90Aを計測する第1装置10(第1装置A)が計測した当該対象水90Aのアンモニア濃度αと、水槽1の対象水90Aを計測する第2装置20(第2装置A)が計測した当該対象水90AのpHであるβと、水温γとに基づき、以下の(式)によって遊離アンモニア濃度Xを算出してもよい。
(式)X=α/(1+(10(0.0902-β+2730/(273.2+γ))))
そして、上記の式で算出した遊離アンモニア濃度Xは、水槽1の対象水90Aの遊離アンモニア濃度Xを示す値として、図8のような表示画面と共に表示してもよい。
【0035】
1-4.本構成の効果の例示
水質監視システム100は、第1装置10により第1の方式(所定の前処理を行った上でアンモニアの濃度測定を行う方式)で対象水のアンモニア濃度を測定することができ、第2装置20により第2の方式で他項目を測定することができる。更に、この水質監視システム100は、共通の管理装置40によって方式が異なる複数の装置に対して動作指示を与え、且つ、それらの装置から情報を収集することができる。従って、水質監視システム100は、方式が異なる複数の装置を用いて水質を監視する場合に、動作指示や情報の管理を良好に行い得る。
【0036】
水質監視システム100は、方式が異なる複数の装置を用いて対象水90Aの水質を監視することができ、しかも、いずれの装置の測定結果が基準範囲を外れても、共通の管理装置40によって警報を発することができる。この水質監視システム100は、方式の異なる複数の装置の測定結果が基準を満たすか否かを管理装置40において一括して評価し、必要に応じて警報を発することができるため、適正な水質を維持するように管理する上で、利便性が高い。
【0037】
水質監視システム100において、上記他項目は、対象水90AのpHと水温とを含む。そして、管理装置40は、第1情報に含まれる「対象水90Aのアンモニア濃度α」と、第2情報に含まれる「対象水90AのpH(β)及び水温(γ)」とに基づいて、対象水90Aの遊離アンモニア濃度Xを算出する。この水質監視システム100は、方式の異なる複数の装置(第1装置10及び第2装置20)が別々に生成した情報を管理装置40において利用し、第1装置10及び第2装置20の各単体では算出しにくい指標を算出することができる。
【0038】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上述した実施形態や後述する実施形態の様々な特徴は、矛盾しない組み合わせであればどのように組み合わされてもよい。
【0039】
上述された実施形態の説明では、水生生物を飼育する水槽の水質を監視する例が挙げられたが、この例に限定されない。水質監視システム100は、例えば、各種養殖業、農業、水処理施設、排水設備、プラント、河川計測、海水計測など、対象水の水質を測定する必要があるいずれの分野にも適用可能である。
【0040】
上記実施形態では、定置型のコンピュータとして構成される管理装置40が例示されたが、管理装置40は、スマートフォンやタブレット等の可搬型装置であってもよい。
【0041】
上記実施形態では、第2装置20に設けられた水質センサ20Bが、多項目水質計であったが、1つ項目のみを測定するセンサであってもよい。また、複数種類のセンサから成ってもよい。
【0042】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示された範囲内又は特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0043】
10 :第1装置
20 :第2装置
40 :管理装置
41 :制御部(警報部、算出部)
45 :表示部(警報部)
90 :水槽
90A :対象水
100 :水質監視システム
図1
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図8