(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】配管内封止装置および配管内封止方法
(51)【国際特許分類】
G21D 1/00 20060101AFI20240418BHJP
F16L 5/02 20060101ALI20240418BHJP
G21F 3/00 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
G21D1/00 U
F16L5/02 K
G21D1/00 C
G21F3/00 T
G21F3/00 P
G21F3/00 E
(21)【出願番号】P 2021074901
(22)【出願日】2021-04-27
【審査請求日】2023-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水磨 裕之
(72)【発明者】
【氏名】赤羽 崇
(72)【発明者】
【氏名】橋川 雄樹
【審査官】後藤 大思
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-329654(JP,A)
【文献】特開2002-131463(JP,A)
【文献】特開昭60-164088(JP,A)
【文献】特開昭62-025812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21D 1/00-9/00
G21F 1/00-7/06
F16L 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の区域と他方の区域とを区切る壁体を貫通する既設配管に適用される配管内封止装置であって、
前記既設配管を介して前記一方の区域から前記他方の区域に機器を導入可能な機器導入管と、
前記機器導入管の一端を前記既設配管の前記一方の区域側の端部に連結する連結部と、
前記機器導入管の途中に連通されて前記機器導入管の内部に粘性を有するシール材を注入可能な注入管と、
を含む、配管内封止装置。
【請求項2】
前記機器導入管の内部を視認可能な透光部をさらに含む、請求項1に記載の配管内封止装置。
【請求項3】
前記機器側に設けられて前記機器導入管および前記既設配管の内面に周方向に沿って接触可能な仕切部材をさらに含む、請求項1または2に記載の配管内封止装置。
【請求項4】
前記機器導入管の内部であって前記機器の外周に接触可能な仕切部材をさらに含む請求項1または2に記載の配管内封止装置。
【請求項5】
前記注入管は、前記機器導入管の他端側に傾斜して設けられる、請求項1から4のいずれか1項に記載の配管内封止装置。
【請求項6】
前記機器導入管の内部に空気を供給する空気供給管と、
前記機器導入管の内圧を測定する圧力測定部と、
をさらに含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の配管内封止装置。
【請求項7】
前記シール材は、シリコングリスからなる、請求項1から6のいずれか1項に記載の配管内封止装置。
【請求項8】
前記機器導入管の他端を塞ぐ施栓部材をさらに含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の配管内封止装置。
【請求項9】
一方の区域と他方の区域とを区切る壁体を貫通する既設配管に適用される配管内封止方法であって、
前記既設配管の前記一方の区域側の端部に機器導入管の一端を連結する工程と、
前記機器導入管に機器を挿入する工程と、
前記機器の挿入方向の後側から粘性を有するシール材を注入する工程と、
を含む、配管内封止方法。
【請求項10】
前記シール材を注入する工程において、
前記機器導入管の内部に空気を供給する工程と、
前記機器導入管の内圧を測定する工程と、
をさらに含む、請求項9に記載の配管内封止方法。
【請求項11】
前記機器導入管に機器を挿入した後、前記機器導入管の他端側を閉塞する工程をさらに含む、請求項9または10に記載の配管内封止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配管内封止装置および配管内封止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、原子力施設にて、放射線領域を区画する壁体に貫通する配管を有することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
原子力施設では、放射線の管理が必要な管理区域と、管理を要さない一般区域との区切り(バウンダリ)として壁体がある。壁体には、通常は封止された配管が貫通して設けられる。
【0005】
ここで、上述したような配管に対し、カメラや計測器などの機器を挿入し、一般区域から管理区域へ配置する場合がある。この場合、配管に機器を挿入するときに、封止状態が解除されてしまう。例えば、封止状態を確保するため、ガスケットやOリングなどの一般的なシール材が考えられるが、機器の周囲に凹凸があるような複雑な形状に適用は難しく、封止状態を確保することができない。
【0006】
本開示は上述した課題を解決するものであり、壁体を貫通する配管への機器の挿入時に封止状態を確保することのできる配管内封止装置および配管内封止方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本開示の一態様に係る配管内封止装置は、一方の区域と他方の区域とを区切る壁体を貫通する既設配管に適用される配管内封止装置であって、前記既設配管を介して前記一方の区域から前記他方の区域に機器を導入可能な機器導入管と、前記機器導入管の一端を前記既設配管の前記一方の区域側の端部に連結する連結部と、前記機器導入管の途中に連通されて前記機器導入管の内部に粘性を有するシール材を注入可能な注入管と、を含む。
【0008】
上述の目的を達成するために、本開示の一態様に係る配管内封止方法は、一方の区域と他方の区域とを区切る壁体を貫通する既設配管に適用される配管内封止方法であって、前記既設配管の前記一方の区域側の端部に機器導入管の一端を連結する工程と、前記機器導入管に機器を挿入する工程と、前記機器の挿入方向の後側から粘性を有するシール材を注入する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示は、壁体を貫通する配管への機器の挿入時に封止状態を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係る配管内封止装置が適用される既設配管を示す断面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る配管内封止装置の断面図である。
【
図3A】
図3Aは、実施形態に係る配管内封止方法の工程図である。
【
図3B】
図3Bは、実施形態に係る配管内封止方法の工程図である。
【
図3C】
図3Cは、実施形態に係る配管内封止方法の工程図である。
【
図3D】
図3Dは、実施形態に係る配管内封止方法の工程図である。
【
図3E】
図3Eは、実施形態に係る配管内封止方法の工程図である。
【
図3F】
図3Fは、実施形態に係る配管内封止方法の工程図である。
【
図3G】
図3Gは、実施形態に係る配管内封止方法の工程図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る配管内封止方法のフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態に係る配管内封止装置の変形例の断面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る配管内封止装置の変形例の断面図である。
【
図7】
図7は、
図6に示す形態における配管内封止方法のフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施形態に係る配管内封止装置の変形例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0012】
図1は、実施形態に係る配管内封止装置が適用される既設配管を示す断面図である。
【0013】
原子力発電所などの原子力施設では、放射線の管理が必要な管理区域(他方の区域)100Bと、管理を要さない一般区域(一方の区域)100Aとの区切り(バウンダリ)として壁体101が設けられている。壁体101は、鉄筋コンクリートで形成される。壁体101は、既設配管102が貫通して設けられる。既設配管102は、実施形態では、軸心C1が直線状の円形直管である。既設配管102は、一端102Aが一般区域100Aで開口し、他端102Bが管理区域100Bで開口する。既設配管102は、一般区域100A側において封止弁103が設けられており、既設配管102を介して一端102A側の一般区域100Aと他端102B側の管理区域100Bとを開通したり閉鎖したりする。即ち、既設配管102は、封止弁103を閉鎖状態とすることで一般区域100Aと管理区域100Bとの間が封止され、封止弁103を開放状態とすることで一般区域100Aと管理区域100Bとの間の封止状態が解除されて開通する。なお、封止弁103は、図面上黒塗りが閉鎖状態を示し、白塗りが開放状態をあらわす。既設配管102は、開通により、カメラや計測器などの機器50(
図2参照)が挿入されて一般区域100Aから管理区域100Bに配置でき、これにより様々な検査が行える。また、既設配管102は、一端102Aに取付フランジ104が設けられる。取付フランジ104は、既設配管102の一端102Aに、後述する機器導入管2を連結するためのものである。
【0014】
図2は、実施形態に係る配管内封止装置の断面図である。
【0015】
配管内封止装置1は、主に、機器導入管2と、連結部3と、注入管4と、透光部5と、施栓部材6と、仕切部材7と、を含む。
【0016】
機器導入管2は、実施形態では、軸心C2が直線状の円形直管である。機器導入管2は、一端2Aおよび他端2Bが開口して形成されている。機器導入管2は、既設配管102を介して一般区域100Aから管理区域100Bに機器50を導入するものである。
【0017】
ここで、機器50は、実施形態では撮像装置であり、カメラからなる本体部51と、本体部51に給電や信号の入出力を行うケーブル52と、を有している。機器50は、本体部51およびケーブル52が連なる軸心C3を、機器導入管2の軸心C2および既設配管102の軸心C1に沿うようにして機器導入管2および既設配管102に挿入され、これらの内部を移動することが可能に構成されている。なお、
図2に示すように、実施形態の本体部51は、その外形に凹凸が存在するため、ガスケットやOリングでは、機器導入管2および既設配管102の内部での移動時の封止が難しい形状である。
【0018】
連結部3は、機器導入管2の一端2Aを既設配管102の一端102Aに連結する。連結部3は、実施形態では、既設配管102の一端102Aの取付フランジ104にボルトなどで固定される取付フランジとして構成されている。取付フランジである連結部3は、取付フランジ104との間にガスケットが介在されてボルトで締め付けて固定される。機器導入管2は、連結部3によって既設配管102に連結されることで、各軸心C1,C2が一致して既設配管102と連通する(
図3A参照)。なお、連結部3は、機器導入管2の一端2Aを既設配管102の一端102Aに連結する溶接であってもよい。
【0019】
注入管4は、機器導入管2の途中に連通される。注入管4は、実施形態では直管として構成される。注入管4は、一端4Aが機器導入管2に連通し、他端4Bが図示しないシール材供給部に連結される。従って、注入管4は、機器導入管2の内部にシール材G(
図3C参照)を注入することが可能に構成されている。注入管4は、その途中に開閉弁4Cが設けられる。注入管4は、開閉弁4Cの開閉によって機器導入管2へのシール材Gの注入を開始したり停止したりできる。なお、開閉弁4Cは、図面上黒塗りが閉鎖状態を示し、白塗りが開放状態をあらわす。
【0020】
ここで、シール材Gは、粘性を有し、かつ流動性を有するゾルやジェルであって、例えば、シリコングリスが適用される。
【0021】
透光部5は、機器導入管2の内部を視認することが可能なものである。透光部5は、機器導入管2の一部に形成された開口を塞ぐように設けられた透光性を有する板で形成される。透光部5は、機器導入管2の一部に配置する場合、注入管4の一端4Aよりも機器導入管2の他端2B側に配置する。また、透光部5は、機器導入管2の一部または全部が透光性を有する素材で形成されて構成されてもよい。
【0022】
施栓部材6は、機器導入管2の他端2Bを塞ぐことが可能なものである。施栓部材6は、ゴムなどの弾性部材で形成され、機器導入管2の他端2Bの開口に押し込まれることで機器導入管2の他端2Bを塞ぐ(
図3C参照)。施栓部材6は、機器50のケーブル52を挿通して配置され、ケーブル52との間にシール性を保ちつつケーブル52の長さ方向に沿って移動が可能な形態で機器50に設けられる。
【0023】
仕切部材7は、機器導入管2および既設配管102の内面に周方向に沿って接触することが可能なものである。仕切部材7は、例えば、円板形状のゴム材や、円形状のブラシや、円形状のスポンジで構成できる。仕切部材7は、その外径D2が、機器導入管2および既設配管102の内径D1よりも若干大きく形成されていることで、自身が撓みながら機器導入管2および既設配管102の内面に周方向に沿って接触できる。仕切部材7は、機器50側に設けられる。具体的に、仕切部材7は、機器50のケーブル52を中心として、施栓部材6よりも本体部51側に固定される。仕切部材7は、本体部51の直近、または本体部51のケーブル52が取り付けられる位置に固定される。
【0024】
図3Aから
図3Gは、実施形態に係る配管内封止方法の工程図である。
図4は、実施形態に係る配管内封止方法のフローチャートである。
【0025】
まず、
図3Aおよび
図4に示すように、ステップS1において、既設配管102に機器導入管2を連結する。ステップS1では、封止弁103が閉鎖状態の既設配管102の取付フランジ104に機器導入管2の連結部(取付フランジ)3を固定する。また、ステップS1では、注入管4が機器導入管2の上半部の範囲であって好ましくは頂部に位置するように機器導入管2を固定する。
【0026】
次に、
図3Bおよび
図4に示すように、ステップS2において、機器導入管2に機器50を挿入する。ステップS2では、機器50の本体部51が注入管4の一端4Aを超えるまで挿入する。なお、本体部51の位置は、カメラの場合は映像を見ることで確認でき、映像が見られない機器50の場合はケーブル52に目盛を設けておくことで確認できる。
【0027】
次に、
図3Cおよび
図4に示すように、ステップS3において、シール材Gを注入する。ステップS3では、注入管4の開閉弁4Cを開放しシール材供給部からシール材Gを送り出して機器50の挿入方向の後側から機器導入管2の内部にシール材Gを注入する。なお、
図3Cから
図3Eでは、施栓部材6を取り付けた形態を示しているが、機器導入管2の他端2Bからシール材Gが漏れ出ることがないように機器導入管2の長さが充分である場合は、施栓部材6を取り付けなくてもよい。必要に応じて施栓部材6を取り付ける場合は、ステップS2とステップS3との間のタイミングで行う。
【0028】
次に、
図3Dおよび
図4に示すように、ステップS4において、シール材Gの注入が確認できたら(ステップS4:Yes)、ステップS5において、既設配管102の封止弁103を開放する。ステップS4では、シール材Gの注入を透光部5を通して目視により確認する。即ち、シール材Gが注入管4の一端4Aよりも機器導入管2の他端2B側に至ったことを透光部5を通して確認する。この確認により、シール材Gが機器50に固定した仕切部材7の位置まで機器導入管2の内部に満たされたこととなる。なお、ステップS4において、シール材Gの注入が確認できない場合(ステップS4:No)、確認ができるまでシール材Gの注入を続ける(ステップS3)。
【0029】
次に、
図3Dおよび
図4に示すように、ステップS6において、既設配管102に機器50を挿入する。ステップS6では、既設配管102を介して機器50の本体部51を管理区域100Bに送る。
【0030】
次に、
図3Eおよび
図4に示すように、ステップS7において、機器50の位置を確認する。ステップS7では、機器50に固定した仕切部材7が既設配管102の内部であって他端102Bの近傍に位置したことを確認する。ステップS7において、機器50の位置が確認できたら(ステップS7:Yes)、ステップS8において、シール材Gの注入を停止する。ステップS3からステップS7までは、シール材Gの注入が継続されており、仕切部材7が既設配管102の他端102Bの外に出ると、シール材Gが管理区域100Bに出てしまうため、その手前の位置に仕切部材7がある状態でシール材Gの注入を停止する。ステップS8において、シール材Gの注入の停止は、シール材供給部からシール材Gの送り出しを停止し、注入管4の開閉弁4Cを閉塞する。これにより、シール材Gが管理区域100Bに出ることを防ぐ。その後、機器50を使用し、実施形態では本体部51のカメラによって管理区域100Bの様子を監視する。なお、ステップS7おいて、機器50の位置がまだ確認できていない場合(ステップS7:No)、確認ができるまで機器50の挿入を続ける(ステップS6)。
【0031】
次に、
図3Fおよび
図4に示すように、ステップS9において、機器50の使用が完了したら(ステップS9:Yes)、ステップS10において、機器50を抜き出す。ステップS9では、機器50の使用、即ち、実施形態では本体部51のカメラによって管理区域100Bの様子を観察することが完了したかを判断する。なお、施栓部材6を取り付けている場合は、ステップS10で機器50を抜き出すために施栓部材6を取り外す。既設配管102および機器導入管2の内部のシール材Gは、機器50を抜き出すことで、仕切部材7によって掻き出されて機器導入管2の他端2Bから排出される。なお、ステップS9において、機器50の使用が完了していない場合(ステップS9:No)、機器50の使用の完了を待つ。
【0032】
次に、
図3Gおよび
図4に示すように、ステップS11において、機器50の位置を確認する。ステップS11では、機器50の本体部51が封止弁103を過ぎて機器導入管2に至ったことを確認する。ここでは、シール材Gは、仕切部材7が機器導入管2の内部に位置しているため、まだ機器導入管2の内部に存在しており、封止状態が維持されている。ステップS11において、機器50の位置が確認できたら(ステップS11:Yes)、ステップS12において、封止弁103を閉鎖状態として封止状態とする。次に、ステップS13において、機器50を機器導入管2から抜き取り、仕切部材7によって機器導入管2の内部のシール材Gを全て排出し、工程を終了する。なお、ステップS11において、機器50の位置がまだ確認できていない場合(ステップS11:No)、機器50の抜き出しを続ける(ステップS10)。
【0033】
このように、実施形態の配管内封止装置1にあっては、一般区域(一方の区域)100Aと管理区域(他方の区域)100Bとを区切る壁体101を貫通する既設配管102の封止状態を確保する。そして、配管内封止装置1は、既設配管102を介して一般区域100Aから管理区域100Bに機器50を導入可能な機器導入管2と、機器導入管2の一端2Aを既設配管102の一般区域100A側の一端102Aに連結する連結部3と、機器導入管2の途中に連通されて機器導入管2の内部に粘性を有するシール材Gを注入可能な注入管4と、を含む。
【0034】
また、実施形態の配管内封止方法は、既設配管102の一般区域100A側の一端102Aに機器導入管2の一端2Aを連結する工程と、機器導入管2に機器50を挿入する工程と、機器50の挿入方向の後側から粘性を有するシール材Gを注入する工程と、を含む。
【0035】
この配管内封止装置1および配管内封止方法によれば、既設配管102に連結した機器導入管2に機器50を挿入するとき、機器導入管2の内部に注入管4から粘性を有するシール材Gを注入することで、機器導入管2から既設配管102に機器50を挿入しつつ封止状態を確保できる。シール材Gは、シリコングリスを適用することが、適度な粘性により流動性を保ちつつ固化を抑制できるので、封止状態を確保すると共に撤去するうえで好ましい。
【0036】
また、実施形態の配管内封止装置1では、機器導入管2の内部を視認可能な透光部5をさらに含むことが好ましい。この配管内封止装置1によれば、透光部5によって機器導入管2の内部を視認することで、機器導入管2の内部へのシール材Gの注入状態を確認でき、封止状態を確実に確保できる。
【0037】
また、実施形態の配管内封止装置1では、機器50側に設けられて機器導入管2および既設配管102の内面に周方向に沿って接触可能な仕切部材7をさらに含むことが好ましい。この配管内封止装置1によれば、機器50の挿入に伴って仕切部材7によってシール材Gを堰き止めることで、シール材Gの漏出を防ぎ、封止状態を確実に確保できる。また、この配管内封止装置1によれば、機器50の抜き出しに伴って仕切部材7によってシール材Gを掻き出すことで、シール材Gをの撤去を容易に行える。
【0038】
また、実施形態の配管内封止装置1では、機器導入管2の他端2Bを塞ぐ施栓部材6をさらに含むことが好ましい。また、実施形態の配管内封止方法では、機器導入管2に機器50を挿入した後、機器導入管2の他端2B側を閉塞する工程をさらに含むことが好ましい。この配管内封止装置1および配管内封止方法によれば、施栓部材6によって機器導入管2の他端2Bを塞ぐことで、シール材Gの漏出を防ぎ、封止状態を確実に確保できる。
【0039】
図5は、実施形態に係る配管内封止装置の変形例の断面図である。
【0040】
図5では、既設配管102の一般区域100A側の一端102Aが下がって軸心C1が傾斜するように勾配がある場合を示している。このような場合、シール材Gを勾配に抗して注入していかなければならず、シール材Gを既設配管102に行き届かせることが難しくなる。
【0041】
そこで、
図5に示す配管内封止装置1では、注入管4が、機器導入管2の他端2B側に傾斜して設けられている。注入管4は、機器導入管2の軸心C2に対し、90度よりも小さい角度θで機器導入管2の他端2B側に傾斜して設けられている。
【0042】
従って、
図5に示す形態の配管内封止装置1によれば、傾斜した注入管4によってシール材Gを機器導入管2の内部に注入することで、既設配管102側に向けてシール材Gが注入される。この結果、この配管内封止装置1によれば、シール材Gを既設配管102に行き届かせることができ、封止状態を確保できる。なお、
図5に示す形態の配管内封止装置1は、既設配管102に勾配がない場合であっても、シール材Gを既設配管102に確実に行き届かせることができ、封止状態を確保できる。
【0043】
図6は、実施形態に係る配管内封止装置の変形例の断面図である。
【0044】
図6に示す形態の配管内封止装置1は、空気供給管8と、圧力測定部9と、をさらに含む。空気供給管8は、二又に形成されて1つの基管8Aが機器導入管2の途中に連通される。空気供給管8は、二又の一方の枝管8Bに図示しない圧縮機などの空気供給装置が接続され、機器導入管2の内部に空気を供給することが可能に構成される。枝管8Bは、その途中に開閉弁8Dが設けられ、開閉弁8Dの開閉によって機器導入管2への空気の供給を開始したり停止したりできる。空気供給管8は、二又の他方の枝管8Cに圧力測定部9が接続される。従って、圧力測定部9は、機器導入管2の内圧を測定できる。
【0045】
なお、
図6に示す形態の配管内封止装置1では、注入管4は、機器導入管2の延在方向において、空気供給管8を間においた一端2A側と他端2B側とに設けられる。また、透光部5は、注入管4と空気供給管8との間にそれぞれ設けられる。透光部5は、設けなくてもよい。
【0046】
図7は、
図6に示す形態における配管内封止方法のフローチャートである。
【0047】
図7においては、
図4におけるステップS3およびステップS4に係る工程に置き換えたステップS41からステップS44の工程のみを示している。まず、ステップS41において、機器導入管2に機器50を挿入した後(
図4のステップS2)、または必要に応じて施栓部材6を取り付けた後、各注入管4からシール材Gを注入する。
【0048】
次に、ステップS42において、開閉弁8Dを開放して機器導入管2の内部に空気を所定量供給する。このとき、各注入管4から注入されたシール材Gの間で空気供給管8の接続位置に空気溜Aが形成される。そして、ステップS42において、空気溜Aの圧力を測定する。ステップS42では、圧力測定部9において圧力が変化することを確認する。即ち、ステップS42では、空気を供給することで圧力が上昇することを確認する。なお、ステップS42では、所定量の空気の供給において動かない基準圧力を確認しておく。
【0049】
次に、ステップS43において、各注入管4から一定量のシール材Gの注入を行う。このとき、機器導入管2の内部への一定量の空気の供給も行う。
【0050】
次に、ステップS44において、シール材Gの注入過程で、圧力が上昇傾向となった場合(ステップS44:Yes)、シール材Gが機器50に固定した仕切部材7の位置まで機器導入管2の内部に満たされたこととなる。なお、ステップS44において、圧力が上昇傾向とならない場合(ステップS44:No)、上昇傾向となるまでシール材Gの注入を続ける(ステップS43)。
【0051】
次に、
図4のステップS5において、既設配管102の封止弁103を開放する。
【0052】
また、
図4のステップS6からステップS7では、上記ステップS43からステップS44の工程を行い、シール材Gの注入量を監視する。また、
図4のステップS8では、シール材Gの注入停止と共に空気の供給を停止する。
【0053】
このように、
図6に示す形態の配管内封止装置1は、機器導入管2の内部に空気を供給する空気供給管8と、機器導入管2の内圧を測定する圧力測定部9と、をさらに含む。
【0054】
また、
図7に示す配管内封止方法は、機器導入管2の他端2B側を閉塞した後、シール材Gを注入する工程において、機器導入管2の内部に空気を供給する工程と、機器導入管2の内圧を測定する工程と、をさらに含む。
【0055】
この配管内封止装置1によれば、シール材Gを注入するとき、機器導入管2の内部に空気を供給し、機器導入管2の内圧を測定することで、圧力上昇傾向によりシール材Gが機器導入管2の内部に満たされたことを確認できる。この結果、この配管内封止装置1によれば、機器導入管2の内部へのシール材Gの注入状態を確認でき、封止状態を確実に確保できる。
【0056】
図8は、実施形態に係る配管内封止装置の変形例の断面図である。
【0057】
図8に示す形態の配管内封止装置1では、機器50のケーブル52に固定された仕切部材7に換えて、機器導入管2の内部に仕切部材10を設けている。仕切部材10は、機器導入管2の内部において軸心C1の周りである周方向に沿って機器導入管2の内面に固定され、機器50の外周に接触することが可能なものである。仕切部材10は、可撓性を有するもので、例えば、円環形状のゴム材や、円環形状のブラシや、円環形状のスポンジで構成できる。仕切部材10の円環形状の孔は、機器50の最も細径(実施形態ではケーブル52)の外径よりも若干小さく形成されていることで、自身が撓みながら機器50の外周に接触できる。また、仕切部材10は、孔がなく、機器50が貫通することが可能な、例えばスポンジで構成できる。仕切部材10は、機器導入管2の内部であって、注入管4の一端4Aが連通された位置を挟んで軸心C1の延在方向の両側に設けられる。
【0058】
【0059】
ステップS1の後、
図9Aおよび
図4に示すように、ステップS2において、機器導入管2に機器50を挿入する。ステップS2では、機器50の本体部51が注入管4の一端4Aを超えるまで挿入する。仕切部材10は、本体部51が通過し、ケーブル52の位置に対応する。
【0060】
次に、
図9Bおよび
図4に示すように、ステップS3において、シール材Gを注入する。注入されたシール材Gは、仕切部材10の間に充填される。また、ステップS4のシール材Gの注入の確認は、透光部5を通して目視により確認する。そして、ステップS4の後、
図4に示すように、ステップS5において、既設配管102の封止弁103を開放し、ステップS6において、既設配管102に機器50を挿入する。
【0061】
次に、
図9Cおよび
図4に示すように、ステップS7において、機器50の位置が確認できたら(ステップS7:Yes)、ステップS8において、シール材Gの注入を停止する。ステップS3からステップS7までは、シール材Gの注入が継続される。その後、機器50を使用し、実施形態では本体部51のカメラによって管理区域100Bの様子を監視する。その後、
図4に示すように、ステップS9からステップS13の工程を行う。
【0062】
図8に示す形態の配管内封止装置1によれば、機器導入管2の内部であって機器50の外周に接触可能な仕切部材10を含むことが好ましい。この配管内封止装置1によれば、機器導入管2の内部で仕切部材10によってシール材Gを堰き止めることで、封止状態を確実に確保できる。また、この配管内封止装置1によれば、シール材Gの漏出を防ぐことができ、上述した施栓部材6を不要にできる。
【0063】
なお、図には明示しないが、仕切部材10は、
図5に示す形態、および
図6に示す形態の配管内封止装置1に適用できる。
図6に示す形態の配管内封止装置1に適用する場合、仕切部材10は、二つの注入管4の各一端4Aが連通された位置を挟んで軸心C1の延在方向の両側に設けられる。
【符号の説明】
【0064】
1 配管内封止装置
2 機器導入管
2A 一端
2B 他端
3 連結部
4 注入管
5 透光部
6 施栓部材
7 仕切部材
8 空気供給管
9 圧力測定部
10 仕切部材
50 機器
100A 一般区域(一方の区域)
100B 管理区域(他方の区域)
101 壁体
102 既設配管
102A 一端(一方の区域側の端部)
102B 他端
G シール材