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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】チューブ洗浄作動シリンジ
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/145 20060101AFI20240418BHJP
【FI】
A61M5/145 500
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021510339
(86)(22)【出願日】2019-08-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 US2019046987
(87)【国際公開番号】W WO2020046606
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-07-26
(31)【優先権主張番号】16/112,989
(32)【優先日】2018-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514300557
【氏名又は名称】アヴェント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マクマイケル、ドナルド
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-522583(JP,A)
【文献】特表2013-538644(JP,A)
【文献】特開2013-132377(JP,A)
【文献】特表2002-529119(JP,A)
【文献】国際公開第2015/046397(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/145
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブ洗浄装置であって、
アクチュエータと、
シリンジと、を含み、
前記シリンジは、第1端の先端部、第2端のリップ部、ならびに、前記先端部及びリップ部の間に延在するリザーバを備え、
前記シリンジは、前記リザーバ内に挿入されるように構成され、かつ、前記リザーバの前記第2端の遠位側に基部を備えるプランジャさらに備え、
前記アクチュエータは前記シリンジのリップ部及び前記プランジャの前記基部に着脱可能に取り付けられており、
前記アクチュエータは、前記シリンジを伸長位置から圧縮位置に自動的に移行させるように構成されており、
前記シリンジの前記先端部においてチューブに接続するように構成された、装置。
【請求項2】
前記アクチュエータが直線状のアクチュエータである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記アクチュエータが、前記シリンジを前記圧縮位置から前記伸長位置に移行させるようにさらに構成される、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記アクチュエータが、予め設定された圧力または移動距離で、前記シリンジの前記伸長位置から前記圧縮位置への移行、前記圧縮位置から前記伸長位置への移行、または前記伸長位置から前記圧縮位置への移行と、前記圧縮位置から前記伸長位置への移行の両方を停止する、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記リザーバが、10ミリリットル~100ミリリットルの量の液体を収容する大きさを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記アクチュエータが圧力センサを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記先端部が経腸栄養装置に接続するように構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記リザーバが、5ミリメートル~50ミリメートルの内径を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブの洗浄のために作動するシリンジに関する。
【背景技術】
【0002】
所望の医学的目標を達成するために、人体の解剖学的構造について、人工ストーマを介したカテーテル治療を必要とする状況が、数多く存在する。比較的一般的な状況として、滞留液を排出する場合と、胃や腸に直接栄養液や薬を投与する場合がある。これらの状況では、ストーマが経皮的に形成され、留置装置がストーマを介して配置される。例として、胃または腸壁と皮膚の外側との間に広がるストーマを形成するための外科的開口部および/または処置は、一般的に「胃瘻造成術」と呼ばれている。このようなストーマを介して配置されたカテーテル部材、例えば栄養チューブを有する装置は、チューブを介して栄養液を注入して、胃または腸に直接栄養分を供給することができる(経腸栄養として知られている)。
【0003】
上述のように、カテーテルを使用する必要がある様々な例があるが、そのうちの1つは、患者の胃の機能が一定期間損なわれる大手術後の珍しい反応ではない。手術後に一定レベルの栄養素などを補給したり補ったりする必要があることに加えて、胃の機能が低下したり制限されたりした場合には、未補給の腸が、血流に入り込む細菌の供給源になる可能性があることも問題となる。これらの種類の問題は、患者の腹壁、胃壁、幽門、十二指腸、および/またはトレイツ靭帯を越えて空腸に適切に挿入された経腸栄養装置チューブを介して栄養素を導入することによって解決される可能性がある。
【0004】
しかし、使用される栄養素は、一般的には粘性のある液体または半固形状の粘性を有する処方の形態である。そのため、経腸栄養装置などのカテーテルに使用されるチューブの詰まりや閉塞物を発生させる傾向があるという問題が存在する。さらに、栄養補給に使用される多くのカテーテルは、哺乳動物に薬やサプリメントを投与するためにも使用されている。このような薬やサプリメントには、しばしば粉状またはカルキ状の粘度があり、カテーテルを通して完全に流されないと、閉塞物や詰まりを引き起こしやすく、栄養補給処方や単独での問題を悪化させる可能性がある。
【0005】
現在、閉塞が発生した場合、ユーザは通常、シリンジを取り付け、閉塞物が解消されるまで手動で吸引圧力サイクルを実行する必要がある。例えば、使用説明書(「IFU」)には、一般的に、「温水を充填したカテーテルチップシリンジをチューブの適切な内腔に配置し、プランジャを軽く引いてから押下げると、詰まりが解消される。詰まりが残っている場合は、前の手順を繰り返す。穏やかな吸引とシリンジの加圧とを交互に行うことで、ほとんどの障害物が取り除かれる。」とある。しかし、IFUは穏やかな吸引と圧力の解釈を提供しておらず、ユーザが吸引のしすぎでチューブを潰したり、圧力が強すぎてチューブを破裂させたり、吸引や加圧のどちらかを十分に行っていないために、詰まりや閉塞物を取り除くことができないことが多い。
【0006】
詰まりを取り除くためにさらなる装置が進化したが、そのような装置はしばしばブラシチューブクリーナーやボーリングデバイスなどの自動装置の使用を必要とする。既知の自動装置は、多くの場合、装置が閉塞物に接触する地点までチューブに挿入する必要があり、病院外のほとんどの管理状況での使用には適合しない。
【0007】
したがって、自宅または病院外でのケアに使いやすいチューブ洗浄装置を提供することは有意義であろう。また、閉塞物に接触する点までチューブ内に挿入される装置または自動工具を必要としないチューブ洗浄装置を提供することも有益であろう。さらに、適切な量の吸引および/または圧力がチューブに加えられたことを自動的に感知することができるチューブ洗浄装置を有することが有利であろう。詰まりまたは閉塞物が解消されるまで洗浄サイクルを自動的に継続するチューブ洗浄装置を有することもまた有利であろう。さらに、栄養チューブなどのカテーテルを洗浄するために使用することができ、カテーテル内の閉塞物または詰まりを取り除くこともできるチューブ洗浄装置を有することは有益であろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の側面および利点は、以下の説明の一部に記載されるか、または本明細書から自明であるか、または本発明の実施を通じて学習することができる。
【0009】
本開示は、一般に、チューブ洗浄装置に関する。チューブ洗浄装置は、アクチュエータとシリンジを含む。アクチュエータはシリンジに着脱可能に取り付けられており、シリンジを伸長位置から圧縮位置に自動的に移行するように構成されている。
【0010】
追加の実施形態では、アクチュエータは直線的なアクチュエータである。あるいはまたはさらに、アクチュエータは、シリンジを圧縮位置から伸長位置に移行するようにさらに構成される。加えて、一実施形態では、アクチュエータは、シリンジの伸長位置から圧縮位置への移行、圧縮位置から伸長位置への移行、または伸長位置から圧縮位置への移行と圧縮位置からの移行の両方を、予め設定された圧力または移動距離で停止する。
【0011】
あるいはまたは他の実施形態では、シリンジはリザーバを含み、リザーバは、約10ミリリットル~約100ミリリットルの量の液体を収容するのに十分な大きさを有する。ある実施形態では、アクチュエータは電池式である。さらに他の実施形態では、アクチュエータは圧力センサを含む。あるいはまたはさらに、シリンジは、先端を有するリザーバを含み、その先端は、経腸栄養装置に接続するように構成されている。さらなる実施形態では、アクチュエータは、シリンジに着脱可能に取り付けられている。あるいはまたはさらに、リザーバは、約5ミリメートル~約50ミリメートルの直径を有する。
【0012】
本開示はまた、一般に、チューブを洗浄する方法も含む。この方法は、チューブ洗浄装置のリザーバに一定量の液体を充填するステップ及びチューブ洗浄装置をチューブに接続するステップを含む。チューブ洗浄装置は、アクチュエータとシリンジを含む。アクチュエータは、シリンジに着脱可能に取り付けられており、シリンジを伸長位置から圧縮位置に移行するように構成されている。
【0013】
さらに他の実施形態では、チューブは経腸栄養装置である。一実施形態では、アクチュエータがシリンジを圧縮位置に移行させるときに、液体がリザーバの先端を通ってチューブに押し込まれる。あるいはまたはさらに、アクチュエータがシリンジを伸長位置に移行させると、液体はチューブからリザーバに引き戻される。
【0014】
さらに別の実施形態では、アクチュエータは、予め設定された圧力または移動距離で、シリンジの伸長位置から圧縮位置への移行、圧縮位置から伸長位置への移行、または伸長位置から圧縮位置への移行と圧縮位置から伸長位置への移行の両方を停止する。あるいはまたはさらに別の実施形態では、アクチュエータは、ユーザによる介入を必要とせずに、設定された圧力に達すると自動的にシリンジの移行を停止する。
【0015】
本開示はまた、一般に、チューブから閉塞物を除去する方法を含む。この方法は、チューブ洗浄装置のリザーバに一定量の液体を充填するステップ及びチューブ洗浄装置をチューブに接続するステップを含む。チューブ洗浄装置は、アクチュエータとシリンジを含む。アクチュエータは、シリンジに着脱可能に取り付けられており、シリンジを伸長位置から圧縮位置に移行するように構成されている。
【0016】
ある実施形態では、アクチュエータがシリンジを圧縮位置に移行させるときに、液体がリザーバの先端を通ってチューブに押し込まれる。あるいはまたはさらに、アクチュエータがシリンジを伸長位置に移行させると、液体はチューブからリザーバに引き戻される。
【0017】
さらに、ある実施形態では、液体は、チューブの閉塞物に接触するのに十分な量で、リザーバの先端を通して押し出される。さらに、実施形態によっては、アクチュエータは、シリンジの圧縮位置から伸長位置への移行を繰り返すことにより、閉塞物とリザーバとの間で液体を循環させる。あるいはまたはさらなる実施形態では、閉塞物が解消されるまで循環が継続される。
【0018】
本発明のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲を参照することにより、よりよく理解できるであろう。添付図面は、本明細書に組み込まれてその一部を構成し、本発明の実施形態を図示し、本明細書とともに、本発明の原理を説明するのに役立つ。ここで、本発明を特に好ましい設計に基づいて、添付の図面を参照して例示的に説明する。
【0019】
本開示の前記および他の特徴および側面、ならびにそれらを達成する方法は、より明らかとなり、本開示自体は、以下の説明、添付の請求項および添付の図面を参照することにより、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1A】本開示によるチューブ洗浄装置を示す図である。
図1B】圧縮位置にある、図1Aに従ったチューブ洗浄装置を示す図である。
図1C】伸長位置にある、図1Aに従ったチューブ洗浄装置を示す図である。
図2A】本開示による管洗浄装置の一部の上面図である。
図2B】圧縮位置にある、図2Aに従ったチューブ洗浄装置を示す図である。
図2C】伸長位置にある、図2Aに従ったチューブ洗浄装置を示す図である。
図3】本開示による経腸栄養装置に接続するためのチューブ洗浄装置の先端の図である。
図4A】本開示によるチューブ洗浄装置を使用した経腸栄養装置の閉塞物または詰まりの除去を示す図である。
図4B】本開示によるチューブ洗浄装置を使用した経腸栄養装置の閉塞物または詰まりの除去を示す図である。
図4C】本開示によるチューブ洗浄装置を使用した経腸栄養装置の閉塞物または詰まりの除去を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ここで、本発明の実施形態を詳細に参照し、その1つまたは複数の例を図面に示す。各実施例は、本発明の限定ではなく、本発明の説明として提供される。各実施例は、本発明の説明のために提供されるものであり、本発明を限定するものではない。実際、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、本発明において様々な修正および変形を行うことができることは当業者には明らかであろう。例えば、ある実施形態の一部として図示または説明された特徴を別の実施形態とともに使用して、さらに別の実施形態を生み出すことができる。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびそれらの同等物の範囲内に入るような修正および変形をカバーすることが意図されている。
【0022】
さらに、構成要素の特定の命名、用語の大文字化、属性、データ構造、またはその他のプログラミングまたは構造的側面は必須または重要ではなく、本発明またはその機能を実装する機構は、異なる名称、型式、またはプロトコルを有していてもよい。また、本明細書に記載された様々な構成要素間の機能の特定の分割は、単に例示的なものであり、強制的なものではなく、単一の構成要素によって実行される機能は、代わりに複数の構成要素によって実行されてもよく、複数の構成要素によって実行される機能は、代わりに単一の構成要素によって実行されてもよい。
【0023】
本開示によれば、経腸栄養装置は、一般に、哺乳動物(例えば、ヒト)に挿入された栄養チューブなどの経腸栄養装置を指すことがある。
【0024】
本発明は、非血管カテーテル装置、例えば、カテーテルチューブ、外部リテーナ(例えば、基部が人体外に配置されている)、及び管腔または患者の身体の内腔(すなわち、例えば、胃内腔、空腸、腹膜腔などの体の非血管内腔または体腔)に配置された留置リテーナ、その延長部を含む経腸栄養装置またはそのようなものにおける閉塞物または詰まりを洗浄するための装置に関するものである。
【0025】
例えば、留置リテーナは、カテーテル装置が患者から引き出されるのを防ぐカテーテル装置の保持機構であってもよく、留置リテーナは、ストーマを通して体腔に挿入されてもよい。ストーマを介した挿入は、体外から行うことも、内視鏡技術を使用して体の内側から行うこともできる。この文脈では、「挿入」という用語は、基部を人体外に展開し、留置リテーナを非血管内腔または体腔内に展開するために、カテーテルチューブをストーマ内の所定の位置に入れるか、または導入することと理解されるべきである。
【0026】
一般的に言えば、本開示は、チューブを利用する経腸栄養装置などの、非血管カテーテルから詰まりまたは閉塞物を取り除くためのチューブ洗浄装置に関する。特に、本開示によるチューブ洗浄装置は、ある実施形態では直線的なアクチュエータなどのアクチュエータを利用して、シリンジなどのポンプを圧縮および伸長して、閉塞物または詰まりを攪拌および除去することができる。
【0027】
さらに、アクチュエータは、完全に自動化されていない場合でも、少なくとも部分的に、ユーザが必要な圧力または吸引のレベルを測定する必要なく、閉塞物または詰まりを激しく動かすことができる。さらに、本開示によるチューブ洗浄装置は、非血管カテーテル内の圧力を検出することができ、その結果、チューブ洗浄装置は、非血管カテーテルを損傷することなく、詰まりまたは閉塞物を除去するのに必要な圧力を提供するためのポンプの伸長および圧縮の量を選択することができる。もちろん、本開示は経腸栄養装置に関連するチューブについて論じているが、本開示のチューブ洗浄装置は、当技術分野で知られている他の型式のチューブからの閉塞物を効果的に洗浄および除去できる可能性があることも想定される。
【0028】
例えば、ある実施形態では、チューブ洗浄装置は、アクチュエータを含んでいてもよい。図1A~1Cに示すように、チューブ洗浄装置100は、一般に参照文字102によって示されるアクチュエータを含んでいてもよい。アクチュエータ102は、シリンジ104などのポンプと一体的に形成されてもよく、またはアクチュエータ102とは別に形成されるシリンジ104に取り付けるように構成されてもよい。ある実施形態では、アクチュエータは、例えば、アーム106を有し、アーム106は、遠位端108に、シール、感圧接着剤、またはスナップフィット受容端を含む。このようにして、アクチュエータ102のアーム106の遠位端108は、プランジャ112の基部110およびシリンジ104のリップ114に着脱可能に取り付けることができる。
【0029】
もちろん、図示されていないが、本開示によるアクチュエータ102は、アーム106を介してシリンジ104に取り付けられてもよく、および/または、図1A図1Cに示されるように、基部110およびリップ114の一部を包含するのではなく、基部110およびリップ114の内部または外部の部分に取り付けるために、アーム106の内部または外部の部分にのみ感圧接着剤のような解放可能な付属物を有してもよい。とにかく、ある実施形態では、アクチュエータ102は、シリンジ104に取り付けられ、閉塞物を激しく動かすか、またはチューブを洗浄するために利用することができ、次いで、上記または当技術分野で知られている着脱可能な付属物を使用して、シリンジ104から取り外されてもよい。
【0030】
それにもかかわらず、使用される取り付け構成に関係なく、アクチュエータ102は、モータ116を有していてもよい。モータ116は、当技術分野で知られているような任意の動力源によって作動してもよいが、ある実施形態では、モータ116は、バッテリによって作動してもよい。選択された動力源にかかわらず、モータ116は、ユーザによる動作または介入を必要とせずに、モータ116がアクチュエータ102を、図1Bに一般的に示されるような圧縮位置から、図1Cに一般的に示されるような伸長位置、および図1Aに一般的に示されるようなその間の点に移行させるように、アクチュエータ102に取り付けられていてもよい。一般に、本開示で協働して動作するモータ116およびアクチュエータ102は、アクチュエータアーム106およびシリンジを、ベクトルAの方向によって一般に示されるような実質的に直線の方向に動かすことができる。したがってある実施形態では、アクチュエータ102は、リニアアクチュエータである。
【0031】
モータ116は、当技術分野で知られている任意の方法で、アクチュエータ102および/またはアクチュエータのセグメント118(図2A~2Cに明確に示されている)に取り付けることができ、ある例では、アクチュエータ102の内部に設けられたロッド120を介して接続されてもよく、あるいは、アクチュエータ102の外部にあるトラック(図示せず)を介して接続されてもよい。ある実施形態では、ロッド120は、ボールねじ型式機構121用のねじである。そのような実施形態では、ロッド120はその元の長さを維持することができるが、ボールねじ型式機構121は、アクチュエータ102のアーム106の少なくとも1つをロッド120またはベクトルAに沿って直線運動で動かすことができる。
【0032】
図2A~2Cを参照すると、さらなる実施形態では、モータ116がアクチュエータ102またはアクチュエータ102の個々のセグメント118に取り付けられている場合、モータ116は、アクチュエータ102を延長して、より多くのセグメント118を露出させることができ、アクチュエータは伸長位置、例えば、図1Cに一般的に示される位置にある。同様に、モータ116は、アクチュエータ102またはセグメント118を収縮させて、アクチュエータ102を圧縮位置に移行させてもよく、例えば図1Bに一般的に示されているが、セグメント118がより少ないセグメント118を明らかにするために圧縮されているように、図2Bに一般的に示す通りに、アクチュエータ102を圧縮位置に移行させてもよい。もちろん、上で論じたように、モータ116はまた、図1Aおよび図2Aに一般的に示されるように、アクチュエータ102を圧縮位置と伸長位置との間の位置に移行させることができる。
【0033】
従って、ある実施形態では、図2A~2Cに示されるように、ロッド120は、セグメントと共に、またはモータ116による作用時にアクチュエータ102に対する他の取り付けによって拡張および収縮するように、折り畳み可能または変形可能であってもよい。
【0034】
アクチュエータは、当技術分野で一般に知られている任意の手段によって伸長位置から圧縮位置に移行することができ、その逆の移行もまた可能である。例えば、ある実施例では、アクチュエータは、セグメント118が比較的小さな幅に変形し、その後、拡張された形状に戻すことができるように、変形可能な材料で形成されていてもよい。そのような実施形態では、セグメント118は、個々の部品でなくてもよく、またはアクチュエータからの任意の境界を有していてもよく、圧縮量を測定するために使用されるアクチュエータの一部であってもよい。あるいは、セグメント118は、直接隣接するセグメント118の下方または内部で折り畳むまたは収縮することができる個々のセグメントであってもよい。このようにして、セグメント118は、アクチュエータの一方の側から他方の側へ移動しても大きさが増減することはなく、代わりに、すべてのセグメントが単一のセグメント内に含まれるように、隣接するセグメントと協働して動作してもよい。もちろん、当技術分野で一般に知られているように、他の圧縮方法が本明細書で企図されている。
【0035】
使用される圧縮の方法に関係なく、アクチュエータは、圧縮および伸長が可能であり、シリンジからチューブ内へ、またはシリンジ内へ戻る液体を攪拌するのに十分な力をシリンジのプランジャに加えることができる材料から形成されていてもよい。ある実施形態では、材料は、アクリロニトリルブタジエンスチレンなどの耐衝撃性プラスチック、ポリカーボネート、Ultem(登録商標)ポリエーテルイミドなどのポリエーテルイミド、Tritan(登録商標)コポリエステルなどのコポリエステル、またはそれらの組み合わせであってもよい。もちろん、そのような強度を有する硬質プラスチックが選択されてもよいし、より変形しやすい弱い材料が使用されてもよく、あるいは、アーム106および/またはアクチュエータ102の本体、例えば折り畳み可能なロッド120のような補強材が利用されてもよい。
【0036】
選択された材料または使用されるセグメントの型式にかかわらず、本開示のアクチュエータは、チューブに最大圧力を送達するように設定されてもよく、ここで、チューブ内の圧力は、リザーバからチューブ内に押し込まれるリザーバに含まれる液体に投与される圧力、および液体が詰まりまたは閉塞物に接触する前に移動しなければならないチューブの距離の関数である。例えば、ある実施形態では、アクチュエータは、約4psiから10psiの間の圧力、例えば5psiから約9psiの間の圧力を提供するように、またはある実施形態では、約7psiの圧力を提供するように設定されてもよい。したがって、アクチュエータがそのような圧力を得るのに十分な量を膨張および圧縮するように設定されているため、ユーザは、詰まりまたは閉塞物を取り除くまたは壊すのに必要な圧力を推測する必要はない。さらに、本開示に従ったアクチュエータは、所望の圧力に達したときに検出することができるセンサを有してもよい。このようにして、センサは所望の圧力をあらかじめ設定することができ、アクチュエータはその圧力に達するまで膨張および圧縮する。
【0037】
あるいはまたはさらに、圧力は予め設定されなくてもよく、代わりに、アクチュエータが特定の距離を移動するように存在してもよく、その結果、アクチュエータは、事前設定された距離を取得するのに必要な距離だけシリンジのプランジャを伸長および圧縮してもよい。ただし、2つのプリセット値を同時に使用できることに留意されたい。例えば、事前設定された距離を使用して、アクチュエータの洗浄および/または閉塞物除去サイクルを開始することができるが、圧力センサは、最大圧力に達した場合に距離を停止または制限することができる。このようにして、アクチュエータは、予め設定された距離、圧力、またはそれらの組み合わせに基づいて使用することができる。
【0038】
本開示のある実施形態では、本開示によるチューブ洗浄装置はまた、一般に、シリンジ104などのポンプを含んでいてもよい。本開示によるシリンジ104は、市販されているいかなるシリンジであってよく、当技術分野で知られているような材料から形成することができる。シリンジ104は、図1A図1Cに一般的に示されるように、水などの液体124を含むように構成されたリザーバ122を有していてもよい。したがって、アクチュエータ102が、図1Bに一般的に示されるような圧縮位置に移行すると、シリンジ104のプランジャ112は、シリンジ104の先端部126を介してリザーバ122から液体124を押し出すか、または強制的に押し出すことができ、アクチュエータ102が、図1Cに一般的に示されるような伸長位置に移行すると、シリンジ104のプランジャ112は、先端部126から引き離され、リザーバ122内に真空を作り、液体124をリザーバ122内に引き戻すことができる。リザーバを空にして再充填する一実施形態を説明したが、当技術分野で一般的に知られている他の方法を使用してもよい。
【0039】
したがって、一実施形態では、詰まりや閉塞物を解消したり、チューブを洗浄したりするのに必要な量の液体を保持するために、リザーバは、約10ミリリットル~約100ミリリットルの量の液体、例えば約25ミリリットル~約85ミリリットルの量の液体、例えば約50ミリリットル~約70ミリリットルの量の液体を含むことができるような大きさを有していてもよい。もちろん、当技術分野でよく知られているように、1ミリリットルは、1センチメートルの立方体(cm)に相当する。したがって、先の液量測定値は、立方センチメートル単位のリザーバの内容積にも対応することがある。
【0040】
したがって、ある実施形態では、シリンジは「大口径」シリンジであってもよい。例えば、本開示によるリザーバは、約10ミリメートル~約45ミリメートル、例えば、約20ミリメートル~約40ミリメートル、例えば、約25ミリメートル~約35ミリメートルの内径Dを有していてもよい。
【0041】
さらに、本開示によるリザーバは、約35ミリメートル~約400ミリメートル、例えば、約50ミリメートル~約300ミリメートル、例えば、約75ミリメートル~約200ミリメートル、例えば、約85ミリメートル~約175ミリメートルの長さLを有してもよい。特に、このような長さおよび直径を有するシリンジを利用することにより、本開示によるシリンジまたはポンプは、扱いにくくなくなり、ユーザがシリンジを経腸栄養装置により容易に取り付けることができ、また、アクチュエータによる横方向の動きを少なくして、より大きな表面積、したがって、シリンジ内の圧力を得ることができる。
【0042】
さらに、アクチュエータは、閉塞物の除去に代えて、またはそれに加えて、経腸栄養装置またはその拡張器を洗浄するために使用することができる。本実施形態では、上記の量の液体を使用してもよいが、アクチュエータの移動距離が長くなるように設定してもよい(例えば、シリンジのプランジャをより長く伸長および/または圧縮することで、伸長/圧縮サイクルを再開するまでのストローク距離が長くなる)。特に、上記のように、閉塞物は、液体の流れを制限するので、チューブ内に圧力を構築するのに役立つ可能性がある。このように、洗浄中で閉塞物の無いチューブは、閉塞物が無いことがアクチュエータで測定される圧力に影響するため、異なる圧力または距離の設定を利用することができる。したがって、本開示によるアクチュエータは、複数の「モード」を有していてもよく、その結果、移動距離および/または圧力測定は、洗浄が必要な場合と閉塞物を除去する場合とで異なる量に予め設定される。
【0043】
あるいはまたはさらに、ある実施形態では、予め設定された圧力を使用して閉塞物を取り除くことができ、予め設定された距離を使用して洗浄することができる。しかしながら、上述のように、予め設定された圧力、予め設定された距離、またはそれらの組み合わせは、閉塞物の洗浄および除去の両方に一緒に使用することができる。しかし、この洗浄機能には、徹底した洗浄のための適切なサイクルを作るというユーザの負担を軽減し、チューブ、チューブ延長器、延長器セットの寿命を延ばすことができるという、さらなる利点がある。
【0044】
それにもかかわらず、図3を参照すると、本開示によるリザーバ122の先端部126は、経腸栄養装置またはその延長器に容易に接続するような大きさおよび構成であってもよい。先端部126は、リザーバから経腸栄養装置またはその延長部への液体の通過を可能にする任意の形状またはサイズを有していてもよいが、一実施形態では、先端部126は、ENFit(登録商標)システムと互換性があり、かつ/またはISO 80369-3で一般的に言及されるシステムと互換性がある形状、材料、および/またはデザインを有していてもよい。したがって、一実施形態では、先端部126は、ENFit(登録商標)コネクタとして設計することができる。しかしながら、議論されるように、先端部126はまた、リザーバ122から経腸栄養装置またはその延長器への液体の通過を可能にする他の経腸栄養装置に接続するために必要な任意の寸法を有していてもよい。
【0045】
本開示はまた、一般に、本明細書で定義されるようなチューブ洗浄装置を使用して、チューブを洗浄する方法、またはチューブ内の詰まりまたは閉塞物を破壊する方法を含む。例えば、上述したチューブ洗浄装置のさらなる態様を含んでいてもよい。図4A図4Cを参照すると、アクチュエータ102とシリンジ104を有するチューブ洗浄装置に、水などの液体124が充填されている。次に、シリンジ104/リザーバ122の先端部126は、経腸栄養装置130の遠位端128に接続されているが、ここで、経腸栄養装置130の遠位端128は、哺乳動物から最も遠い端部に位置し、経腸栄養装置130の近位端132は、哺乳動物138の側面または腹部に隣接しており、近位端132は、ポート134に接続されていてもよいし、ポート134であってもよいようになっている。
【0046】
それにもかかわらず、図4Bに示すように、シリンジ104が経腸栄養装置130に接続された後、アクチュエータ102は、プランジャ112およびシリンジ104を圧縮位置に移行させ、図4Bに示すように、概ね方向Bに沿った圧縮位置に移行させてもよい。そのような圧縮された位置では、液体124は、リザーバ122から、先端部126を通って、経腸栄養装置130の中に押し込まれる可能性がある。上述したように、アクチュエータ102は、プランジャ112が一定の距離を移動または進行するか、または経腸栄養装置130のチューブ内の一定の圧力が得られるまで、圧縮位置に移行し続けてもよい。所望の圧力または距離に達すると、アクチュエータ102は後退し始め、プランジャ112およびシリンジ104を、一般に図4Cに示されるように、一般に方向Cに沿って伸長位置に移動させる。伸長位置に移行する際に、プランジャ112は、リザーバ122内に真空を作り出し、液体124をリザーバ122に戻すことができる。
【0047】
図4Bに一般的に示すように、アクチュエータ102は、閉塞物136が液体124に接触するような量の液体124がリザーバ122から押し出されるまで、シリンジ104およびプランジャ112を圧縮位置に移行させ続けてもよい。特に、閉塞物136を液体124と接触させると、閉塞物136がチューブを完全にまたは部分的に塞ぎ、液体の流れを制限するため、圧縮位置への移行を終了させるのに必要な圧力を増加させることができる。したがって、アクチュエータ102は、液体124が詰まりまたは閉塞物136に接触した後でも、所望の圧力または移動距離に到達するまで、シリンジ104およびプランジャ112を圧縮位置に移行させ続けてもよい。所望の圧力または移動距離に達した後、アクチュエータ102は伸長位置に移行し、図4Cに一般的に示されるように、シリンジ104およびプランジャ112を伸長位置に移行させる。このような位置では、閉塞物136の一部が移行中に液体124と一緒に引き出され、閉塞物の一部を取り除くことができる。伸長位置への移行は、チューブを折りたたむのに必要な圧力よりも大きいが、所望の量の液体をリザーバに引き戻すのに十分な負圧など、所望の圧力に達するまで継続することができる。次に、このステップを繰り返して、閉塞物が解消されるまで、アクチュエータ102、シリンジ104、プランジャ112、および液体124による圧力と吸引のサイクルを作り出すことができる。
【0048】
本発明をその具体的な実施形態に関連して説明してきたが、多くの代替案、変更、および変形が当業者に明白となることは明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲の精神と広い範囲内に入るすべてのそのような代替品、変更、および変形を包含することが意図されている。本明細書中で言及されているすべての出版物、特許、および特許出願は、個々の出版物、特許、または特許出願が参照により本明細書中に組み込まれることが具体的かつ個別に示されている場合と同じ程度に、参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる。また、本願明細書で引用または識別された文献は、当該文献が本発明の先行技術として利用可能であることを認めるものと解釈するべきではない。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C