(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】医療機器用の自己学習型入力フィルタ
(51)【国際特許分類】
G16H 40/00 20180101AFI20240418BHJP
【FI】
G16H40/00
(21)【出願番号】P 2021510923
(86)(22)【出願日】2019-08-29
(86)【国際出願番号】 EP2019073138
(87)【国際公開番号】W WO2020043848
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-08-22
(31)【優先権主張番号】102018121349.2
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517289480
【氏名又は名称】ベー・ブラウン・アヴィトゥム・アー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】B. BRAUN AVITUM AG
【住所又は居所原語表記】SCHWARZENBERGER WEG 73‐79, 34212 MELSUNGEN, BUNDESREPUBLIK DEUTSCHLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】マンドリー,ペーター
【審査官】今井 悠太
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-174256(JP,A)
【文献】米国特許第07979363(US,B1)
【文献】特開2015-103243(JP,A)
【文献】特開2017-047104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが実行する、医療機器への入力の信頼性を監視するための方法であって、
少なくとも1つの値を前記医療機器に入力するステップ、
前記医療機器に入力された履歴データを提供する入力履歴に基づいて、前記少なくとも1つの値の発生確率密度を計算するステップ、
第1データベースに格納され、前記第1データベースからロードされるアプリオリエラー確率密度と、計算された前記発生確率密度とから、前記入力のエラー確率を計算するステップ、
前記エラー確率を計算するために、再帰的ベイズフィルタに基づく確率分布を使用するステップ、および
入力した前記少なくとも1つの値の正しさをチェックする際にアラーム閾値を動的かつ自律的に調整するための入力処理における更なる使用のために、前記エラー確率を出力するステップを含む、方法。
【請求項2】
入力された前記少なくとも1つの値を前記第1データベースに格納するステップ、
前記アプリオリエラー確率密度を再計算するステップ、および
再計算された前記アプリオリエラー確率密度を前記第1データベースに格納するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記入力履歴がない、または十分な量の
前記入力履歴がないことを条件に、第2データベースのデータに基づく所定の確率分
布を使用して前記発生確率密度を得るステップを更に含む、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項4】
前記所定の確率分布がガウス分布である請求項3に記載の方法。
【請求項5】
すべての入力された値を格納するステップ、および
すべての入力された値の前記発生確率密度を計算し、そしてすべての入力された値に基づいて前記アプリオリエラー確率密度を計算するステップを更に含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
オペレータによってエラーがあると判断された前記入力された値のみを格納するステップ、および
初期の前記アプリオリエラー確率密度と、エラーがあると判断された値とに基づいて前記アプリオリエラー確率密度を再計算するステップを更に含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
入力された前記少なくとも1つ
の値について、所定量の格納値が前記
第1データベースに格納された時点で、前記発生確率密度の計算および前記アプリオリエラー確率密度の再計算に割り込むステップ、および
入力された値にエラーがあるとオペレータが判断したときに前記割り込
むステップを中断するステップを更に含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記エラー確率の計算において
、所定の閾値に達するまで、テストデータでトレーニングするステップを更に含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
医療機器への入力の信頼性を監視するための装置であって、
前記医療機器に少なくとも1つの値を入力するための手段、
前記医療機器に入力された履歴データを提供する入力履歴に基づいて、前記少なくとも1つの値の発生確率密度を計算するための手段、
第1データベースに格納され、前記第1データベースからロードされるアプリオリエラー確率密度と、計算された前記発生確率密度とから前記入力のエラー確率を計算する手段
であって、前記エラー確率を計算するために、再帰的ベイズフィルタに基づく確率分布を使用する手段、および
入力した前記少なくとも1つの値の正しさをチェックする際にアラーム閾値を動的かつ自律的に調整するための入力処理における更なる使用のために、前記エラー確率を出力する手段を備える、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の医療機器への入力の信頼性を監視するための方法、および医療機器の分野、特に請求項9に記載の医療機器への入力の信頼性を監視するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
集中治療室のスタッフは、日常業務中に様々なアラームを耳にする。患者1人あたり1日に150から350のアラームがあり、さまざまな機器がほとんど区別のつかない音で注意を引き付けようとすることがよく起こる。技術が進歩し、患者のモニタリングがより侵襲的になるにつれ、集中治療室におけるアラームの数や誤認アラームの数は増加する。とりわけ、このことで感覚の鈍化がもたらされ、患者を危険にさらす可能性がある。
【0003】
例えば、アメリカの病院の認証を担当する米国医療機関認定合同委員会(American Joint Commission on Accreditation of Healthcare Organizations)は、従業員のアラーム疲れまたはアラーム消耗/アラーム疲労が患者の安全を脅かすと警告している。これに関連して、緊急医療研究会(Emergency Care Research Institute)は、過去2年間の医療技術上の最大の問題として、このアラーム疲れを挙げている。
【0004】
アラーム疲れとは、医療機器の無関係なアラームが多すぎるために、特に臨床スタッフが鈍感になってしまうことである。アラームへの不適切な対応を引き起こし得る鈍感化や過労に加えて、アラームが多すぎると看護活動が中断され、エラーが発生し、患者のストレスが増大する。更に、頻繁なアラーム、特に無関係なアラームは、不要な作業負荷をもたらす。
【0005】
無関係なアラームの原因としては、例えば、患者に対する主な準備または対処、アラーム閾値が患者やクリニックの状況に適合していないこと、品質や耐用年数が不十分なセンサの使用、不適切な閾値論理、「過剰監視」、プロアクティブな監視、および/または誤認アラーム送信などが挙げられる。
【0006】
ほとんどのアラームは、あらかじめ定義されたアラーム閾値を超えているか下回っていることで鳴る。これらのアラーム閾値は、ソフトウェアにハードコードされているか、多大な労力をかけなければ手動で変更することができないデータベースに保存されている。そのため、クリニックのスタッフが必要に応じてアラームの閾値を独立して簡単に調整することはできない。
【0007】
エラーの閾値を厳密にプログラミングすると、その閾値があらゆる状況に適しているとは限らないという欠点がある。例えば、アスピリンは、血小板の凝集を防ぐために最小量で使用され、痛みを抑えるために大量に使用され得る。そのため、過少量投与は、前記データベースによって検出されないであろう。
【0008】
従来、固定的にプログラムされたアラーム閾値で使用されていたような医療機器用のアルゴリズムが、
図3で説明される。ここでは、ステップS1において、少なくとも1つの値が、医療機器に入力される。ステップS9では、少なくとも1つの値が計算され、データベース1(既知のシステムで既に採用されているDERSデータベース)のデータと比較される。ステップS9の結果がポジティブ(はい)であれば、システムはステップS12に進み、値が「OK」であることを出力する。ステップS9の結果がネガティブ(いいえ)であれば、システムはステップS11に進み、エラーメッセージを出力する。このようなエラーメッセージの後、ステップS14に進み、ステップS1で入力した値を上書きするかどうかを、オペレータが尋ねられる。ステップS13において、前記オペレータが新たな入力を行わない、すなわち前の値を上書きしないと決定する場合、前記アルゴリズムは停止される。ステップS13で前記オペレータが新たな入力を行うと、誤りであると評価された前の値が上書きされ、「OK」と出力される。その後、新たな入力が行われるまで、前記アルゴリズムは終了/停止される(ステップS15)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、従来の解決策では、入力された値が正しいかどうかをチェックする際に、アラームの閾値を厳密に定義していたため、誤認アラームや認識されない操作エラーが発生し、最終的に患者を危険にさらし、最悪の場合は死に至らしめるという欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、前述の欠点や問題を防止し、誤認アラームを減らす方法および装置を提供し、それにより医療機器の安全性を高めることである。
【0011】
この目的は、特許請求項1の特徴を有する医療機器の入力の信頼性を監視するための方法と、特許請求項9の特徴を有する医療機器における入力の信頼性を監視するための装置とによって解決される。本発明の有利な構成は、従属請求項の主題である。
【0012】
本発明は、医療機器への入力の信頼性を監視するための方法に関する。第1ステップでは、少なくとも1つの値が前記医療機器に入力される。前記入力後、入力履歴に基づいて、前記少なくとも1つの値の発生確率密度が計算される。前記入力履歴により、第1データベースに格納されている履歴データが提供される。続いて、更なるステップでは、アプリオリ(a priori)エラー確率密度と、前に計算された発生確率密度とから、前記入力のエラー確率が計算される。前記アプリオリエラー確率密度は、前記第1データベースに保存され、前記エラー確率が計算される前に前記データベースからロードされる。アプリオリエラー確率密度は、関連する確率分布、すなわち、アプリオリ確率分布を有する、離散的または絶対的に連続的な密度関数である。前記入力のエラー確率が計算された後、それは、少なくとも1つの入力値の正しさをチェックする際にアラーム閾値を動的かつ独立に調整するためなど、更なる使用のために前記入力の処理に出力される。言い換えれば、このことは、出力された前記エラー確率に基づいて前記アラーム閾値が調整されることを意味する。ここで、前記アラーム閾値の調整が独立して/自動的に実行されることが好ましい。
【0013】
この方法では、エラーメッセージの数を減らすことができ、特に最も主要なエラーメッセージの数に減らすことができるため、アラーム疲れのリスクを軽減することが可能である。更に、誤用(misapplication)が少ないと、誤用による被害者の数が減るという利点もある。更に、この柔軟で自己学習型の手法/システムにより、クリニックスタッフの作業負荷と患者のストレスとを軽減することができる。言い換えれば、入力は、人工知能によって、自己学習型の柔軟で適応性のあるシステムの助けを借りて評価され、更に処理される。このように、本発明は、値および経験に応じて、アラームの閾値を状況に応じて動的かつ自律的(autonomously)に適応させる方法を提供する。
【0014】
更なるステップにおいて、入力された少なくとも1つの値を前記第1データベースに格納するとともに、前記アプリオリエラー確率密度を再計算し、再計算された前記アプリオリエラー確率密度を前記第1データベースに格納することも有益である。
【0015】
なお、前記エラー確率の計算には、再帰的ベイズフィルタ(Bayes filter)に基づく確率分布を使用することが好ましい。つまり、すべての入力は、前記医療機器における前記第1データベースに格納される。入力された数値は、アラーム、アラーム確認応答、アラームの説明、アラームのキャンセルなどの、関連/相関のある入力とともに記録される。
【0016】
カルマン(Kalman)、粒子フィルタ、隠れマルコフモデル、および/またはダイナミックベイヤーネットワーク(Dynamic Bayer Network)などのベイズフィルタのスタイルにおける(入力)フィルタは、これらの値からアプリオリ確率分布を計算する。それぞれの新たな入力は、この確率に対してオフセットされる。結果として得られるアポステリオリ(a posteriori)確率に基づいて、前記入力はアルゴリズムによって評価され、前記入力が有効であると宣言/見いだされ、あるいは前記入力が無効であると宣言/見いだされる場合にはアラームが発される。
【0017】
ベイズフィルタまたはベイズ推定法は、推定すべきパラメータを確率変数として扱うという点で、古典的な統計学における他の推定法とは異なる。そのため、結果として得られるパラメータ空間に関する確率分布を、先験的に指定する必要がある。これにより、この場合、前記新たな入力の時点までの異なる入力の既知の結果などの、事前情報を含めることが可能になる。前記アプリオリ分布の指定後、値/データが使用され、前記アプリオリ分布から、推定の最終的な基礎となるアポステリオリ分布へと移行する。
【0018】
前述の方法は、アラーム閾値を適応させるアルゴリズムの可能性を提供する。すべての入力は、前記第1データベースに記録され、その値に対してアプリオリ分布密度および発生確率密度が計算され、それから前述のフィルタが、前記入力の妥当性値(validity value)を計算する。
【0019】
前記フィルタは、再帰的ベイズフィルタ型の機能において動作する。ここで、アポステリオリフィルタ密度は、ベイズ推定理論によって再帰的に決定することができる。ベイズの定理に基づいて、アポステリオリフィルタ密度をまず展開し、次に因数分解して、再帰的な決定方程式を得ることができる。
【数1】
【0020】
この式では、変数xk、ykは時刻kでの値を、変数Xk、Ykは時刻kまでのすべての値のシーケンスを、変数pは確率を表す。
【0021】
前記式の分母は正規化定数であるため、分布関数での積分では1が得られる。したがって、前記式の分子における予測またはアプリオリ分布密度p(xk|Yk-1)および発生確率分布密度p(yk|xk)のみを決定すればよい。前記アプリオリ分布密度は、過去の入力データから計算される。これらは過去に正しいまたは誤りであるとしてすでに評価されている入力データである。前記発生確率分布密度は、個々の入力値の発生の確率から求められる。どちらの計算でも、前記データは、前記第1データベースで利用可能である。
【0022】
したがって、ベイズ式フィルタを使用する場合、前記フィルタがそのオペレータの入力動作に適応し、そのオペレータの変化する動作に柔軟に対応することが有益である。前記フィルタは、永続的に学習することができ、その結果、新しいタイプの誤った入力を独立してフィルタ除去し続ける。
【0023】
更なるステップでは、入力履歴がない、または十分な量の入力履歴がないことを条件に、第2データベースのデータに基づく所定の確率分布、特にガウス分布を使用して前記発生確率を決定することが好ましい。これは、第1データベースがまだ履歴データを有していない初期では特に有益である。前記第2データベースは、
図3による従来のDose Error Reduction System(DERS)からのデータを含む。
【0024】
更に、更なるステップにおいて、入力されたすべての値が格納され、すべての入力値に基づくアプリオリエラー確率密度と同様に、すべての入力値の発生確率密度が、計算される。この手順には、「すべてをトレーニングする原則(train-everything principle)」(TEFT)による学習方法が含まれており、すべての入力値が前記データベースに含まれているため、前記フィルタが新しい入力およびハビットに非常に素早く適応するという大きな利点がある。しかし、この事実は同時に、前述のように入力動作が急速に変化すると、大量のデータが非常に速く生成されるという事実と関連しており、このことが前記評価に対し意図しない強い影響を及ぼし、エラーにつながる可能性がある。
【0025】
代替ステップでは、オペレータによってエラーがあると判断された入力値のみが格納され、次いで初期の前記アプリオリエラー確率密度と、エラーがあると判断された値とに基づいて、前記アプリオリエラー確率密度が、再計算される。このTOE(train on error)方式では、前記入力の評価中にエラーが発生した場合にのみ、前記フィルタの学習プロセスが開始される。オペレータがエラーメッセージを明示的に上書きしない限り、前記フィルタは、初期に学習したアプリオリ確率に基づいてのみ動作する。このため、この方法で動作するフィルタは、新たに出現するSPAMやエラーに対してゆっくりとしか適応しない。しかし、TEFTの原理と比較して、この方法では前記データセットのために消費されるメモリは比較的少ない。
【0026】
更に、代替ステップでは、少なくとも1つの入力された値について、所定量の格納値が前記データベースに格納された時点で、前記発生確率密度の計算および前記アプリオリエラー確率密度の再計算が、割り込まれる。この割り込み(interruption)は、入力された値にエラーがあるとオペレータが判断したときに解除される。この学習方法は「成熟するまでトレーニングする方法(Train-until-mature method)」(TUM)と呼ばれ、前述の2つの方法TEFTおよびTOEの中間的なものである。ここでは、データポイントが、所定量の格納されたデータ/値、すなわち一定の「成熟度レベル」に達する。そのため、エラーメッセージが上書きされるまでは、前記フィルタは、これらのデータポイントでトレーニングされない。その後はじめて、このデータポイントは前記データベースに適宜追加されるか、またはそれぞれ既存の数が1つ増える。
【0027】
更なる代替ステップでは、前記エラー確率を計算する際に、好ましくはオペレータの作業プロファイルに対応する、所定の閾値に達するまで、前記フィルタがテストデータでトレーニングされる。言い換えると、前記フィルタは、入力値を評価する際に一定の閾値に達するまで、この「エラーが発生しないまでトレーニングする原則(train-until-no-error principle)」(TUNE)でテストデータを用いてトレーニングされ、その結果、前記オペレータの作業プロファイルに対応する。しかし、この誤って評価されたメッセージでエラーが発生した場合には、TUNEでの使用中に、前記フィルタをトレーニングすることもできる。ただし、TUNEでは、テストデータを使用したトレーニングの時間が、これらのデータの範囲および計算能力に依存して非常に長くなってしまう可能性があるという欠点がある。
【0028】
このように、前記システムをトレーニングできる4つのトレーニングオプションが、利用可能である。
【0029】
更に、本発明は、医療機器における入力の信頼性を監視するための装置であって、前記医療機器に少なくとも1つの値を入力するための手段と、入力履歴に基づいて、前記少なくとも1つの値の発生確率密度を計算するための手段と、第1データベースに格納され、前記第1データベースからロードされるアプリオリエラー確率密度と計算された前記発生確率密度とから前記入力のエラー確率を計算する手段と、入力処理に更に使用するために前記エラー確率を出力する手段と、を備える装置に関する。
【0030】
更に、上述の装置は、上述のすべてのステップを実行するように構成されている。
【0031】
以下、添付の図面を参照しながら、好ましい実施形態によって本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】入力の信頼性を監視する方法のフローチャートを示す。
【
図2】アラーム閾値を適応させるアルゴリズムの概要を示す。
【
図3】従来技術からの固定アラーム閾値を用いたアルゴリズムの概要を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下において、本開示の実施形態は、関連する図に基づいて説明される。同一または機能的に同等の特徴は、個々の図に同じ参照記号が付されており、便宜上、複数回説明されない。
【0034】
図1は、入力の信頼性を監視するための方法のシーケンスをフローチャート形式で示したものである。
【0035】
まず、ステップS1で、オペレータが前記医療機器に少なくとも1つの値を入力し、これは、ステップS2で第1データベース3に格納される。次いで、ステップS3において、履歴データに基づいて、前記少なくとも1つの値の発生確率密度が、計算される。この履歴データは、前記第1データベース3に格納される。ステップS4では、アプリオリエラー確率密度が、前記第1データベース3からロードされる。このロードされたアプリオリエラー確率密度と、ステップS3で計算された発生確率密度とから、ステップS5で、計算装置2において、前記入力のエラー確率が計算される。ステップS6では、ステップS5で計算されたエラー確率が、前記入力の処理に更に使用するために出力される。最後のステップS7では、アプリオリエラー確率密度が再計算され、ステップS8では、前記第1データベース3にロードされる。言い換えれば、新たなデータポイントが、前記第1データベース3に追加される。
【0036】
図2では、アラーム閾値を適応させるアルゴリズムの概要が、示される。
【0037】
ステップS1において、オペレータは、ステップS2で前記第1データベース3に格納され前記計算装置2で処理される少なくとも1つの値を、前記医療装置に入力し、この計算装置2は、
図1のフローチャートに従って前記アルゴリズムを実行する。前記計算装置2によって出力される結果または前記入力の出力妥当性値により、ステップS9において、入力された値がポジティブ/正しい(はい)と評価されるか、またはネガティブ/誤り(いいえ)と評価されるかが決定される。
【0038】
前記計算装置2によって出力された結果がポジティブ(はい)である場合、すなわちアラームが出力されていない場合には、プログラムはステップS12に進む。ステップS12では、値が「OK」であることが出力され、前記アルゴリズムが終了する。
【0039】
また、前記計算装置2が出力した結果がネガティブ(いいえ)と評価された場合には、次のステップS11が実行され、これによりエラーが出力される。更なるステップS13では、オペレータは、ステップS14で前記値を上書きするための新たな入力を行うか、または新たな入力を行わないかを決定しなければならない。第1のケースで、オペレータがステップS14において前記値を上書きすると決定する場合には、ステップS12に進み、再び「OK」が出力されて前記アルゴリズムが終了する。また、オペレータが新たな入力を行わないことを決定し、その結果、ステップS14の値が上書きされない場合には、ステップS15が実行され、前記アルゴリズムの終了/停止が行われる。