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特許7474752キナーゼ阻害剤としてのアルキニルニコチンアミド化合物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】キナーゼ阻害剤としてのアルキニルニコチンアミド化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20240418BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20240418BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20240418BHJP
   A61K 31/5025 20060101ALI20240418BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240418BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240418BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20240418BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240418BHJP
   A61P 19/10 20060101ALI20240418BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240418BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240418BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20240418BHJP
   A61P 33/06 20060101ALI20240418BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240418BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240418BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20240418BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240418BHJP
   C07D 401/06 20060101ALN20240418BHJP
   C07D 519/00 20060101ALN20240418BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALN20240418BHJP
   A61K 31/551 20060101ALN20240418BHJP
【FI】
C07D487/04 144
C07D471/04 108A
C07D487/04 CSP
A61K31/496
A61K31/5025
A61P3/10
A61P9/00
A61P9/12
A61P11/00
A61P19/10
A61P27/02
A61P29/00
A61P31/12
A61P33/06
A61P35/00
A61P35/02
A61P37/08
A61P43/00 111
C07D401/06
C07D519/00 311
A61K31/5377
A61K31/551
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021513385
(86)(22)【出願日】2019-09-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 IB2019057711
(87)【国際公開番号】W WO2020053812
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-08-30
(31)【優先権主張番号】62/730,046
(32)【優先日】2018-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519048883
【氏名又は名称】パデュー リサーチ ファウンデイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シンティム、ハーマン オー.
(72)【発明者】
【氏名】ラロック、エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】ナガンナ、エヌ
【審査官】鳥居 福代
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-514802(JP,A)
【文献】特表2009-521462(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104211639(CN,A)
【文献】国際公開第2014/028595(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第103420977(CN,A)
【文献】インド特許公報(Publication Number;05/2016、Publication Type;INA、Application Number;1808/MUM/2013),2016年01月29日
【文献】LARCQUE, E. et al.,Nicotinamide-ponatinib, HSN748, a potent anti-CML and anti-AML compound with better kinase selectivity than ponatinib,ChemRxiv,2018年11月14日,pp.1-9
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式、
【化1】

からなる群から選択される化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩、N-オキシド、水和物、溶媒和物、互変異性体もしくは光学異性体、及び薬学的に許容される担体もしくは希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項3】
がんを改善するための請求項に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記がんが、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、卵巣がん、子宮頸がん、膵がん、乳がん、脳がん、皮膚がん、肺がん、前立腺がん、リンパ腫、白血病、結腸がん、頭部がん、頸部がん、甲状腺がん、腎がん、肝がん及び胃がんからなる群から選択される、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
タンパク質キナーゼに関連する疾患又は障害を改善するための請求項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記タンパク質キナーゼが、Abl、Abl2、AFK、ALK、AMPK_群、ATM、ATR、オーロラA、オーロラB、Axl、BCKDK、BLK、BMPR1B、BMX、Brk、BRSK1、BTK、CaM-KIα、CaM-KIIα、CaMKK_群、CaM-KIV、CaM-KKα、CaM-KKβ、CCDPK、CCRK、CDK1、CDK11、CDK2、CDK4、CDK5、CDK6、CDK7、CDK9、CDK_群、CDPK、Chak1、CHK1、CHK2、CK1α、CK1δ、CK1ε、CK1_群、CK2α、CK2_β、CK2_群、CLK1、CSF1R、Csk、DAPK1、DAPK2、DAPK3、DAPK_群、DCAMKL1、DMPK_群、DNA-PK、DYRK1A、DYRK1B、DYRK2、DYRK3、eEF2K、Eg3キナーゼ、EGFR、EIF2AK2、EphA2、EphA3、EphA4、EphA8、EphB1、EphB2、EphB3、EphB5、ErbB2、FAK、Fer、Fes、FGFR1、FGFR3、FGFR4、FGFR_群、Fgr、FLT1、FLT3、FLT4、Fyn、GRK-1、GRK-2、GRK-3、GRK-4、GRK-5、GRK-6、GRK_群、GSK-3α、GSK-3β、GSK-3_群、HCK、HIPK2、HIPK3、HRI、ICK、IGF1R、IKK-α、IKK-β、IKK-ε ILK、InsR、IPL1、IRAK1、IRAK4、ITK、JAK1、JAK2、JAK3、JAK_群、JNK_群、KDR、KIS、Kit、KSR1、Lck、LIMK1、LIMK2、LKB1、LOK、Lyn、MAP2K1、MAP2K2、MAP2K3、MAP2K4、MAP2K6、MAP2K7、MAPK2_群、MAP3K1、MAP3K11、MAP3K14、MAP3K5、MAP3K7、MAP3K8、MAPK3_群、MAP4K1、MAP4K2、MAP4K4、MAPK1、MAPK10、MAPK11、MAPK12、MAPK13、MAPK14、MAPK3、MAPK4、MAPK6、MAPK7、MAPK8、MAPK9、MAPK_群、MAPKAPK2、MARK_群、Mer、Met、MHCK、MLCK_群、Mnk1、Mnk2、MOS、MRCKa、MST1、MST3、mTOR、NDR1、NDR2、NEK1、NEK2、NEK6、NEK9、NEK_群、NLK、NuaK1、p37キナーゼ、p38_群、p70S6K、p70S6Kb、P70S6K_群、PAK1、PAK2、PAK3、PAK5、PAK6、PAK_群、PASK、P-CIP2、PCTAIRE1、PDGFRα、PDGFRβ、PDGFR_群、PDHK1、PDHK2、PDHK3、PDHK4、PDK-1、PDK-2、PDK_群、PHK_群、PIK3CA、PIK3CB、PIK3CD、PIK3CG、Pim-1、PKAα、Pka_群、PKBβ、PKB_群、PKCα、PKCβ、PKCδ、PKCε、PKCη、PKCγ、PKCι、PKCθ、PKCζ、PKC_群、PKD1、PKD2、PKD3、PKG1/cGK-I、PKG2/cGK-II、PKG2/cGK_群、PKN1、PLK1、PLK2、PLK3、PRP4、PYK2、RAF1、Ret、ROCK1、ROCK2、Ron、RPL10、RSK-1、RSK-2、RSK-3、RSK-5、SDK1、SGK_群、SIK、Sky、Src、Src_群、STLK3、Syk、TBK1、Tec、TESK1、TESK2、TGFbR1、TGFbR2、Tie1、Tie2、タイチンキナーゼ、TNK2、TRKA、TRKB、トロポミオシンキナーゼ、TSSK3、TXK、Tyk2、TYK2、VRK1、Wee1、Wnk1、WNK1、Yes又はZAP70である、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記疾患又は障害が、がん、糖尿病、マラリア、ウイルス感染症、心血管性及び高血圧、CNS及び神経変性、骨粗鬆症、肺線維症、網膜炎色素症(retinitis pigmentosis)、滲出型黄斑変性、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、糖尿病性眼疾患、炎症及び自己免疫性、又はアレルギーである、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
装置と、装置に収容された組成物の少なくとも1つの投薬量とを備える治療送達器具であって、組成物が、治療上有効量の請求項1に記載の化合物もしくは化合物の組合せ、はその薬学的に許容される塩、N-オキシド、水和物、溶媒和物、互変異性体もしくは光学異性体、或いは請求項に記載の医薬組成物である、上記治療送達器具。
【請求項9】
カプセル、ポリピル、錠剤、経皮パッチ、栄養補助食品又はそれらの組合せからなる群から選択される送達機構と、送達機構に収容された組成物の少なくとも1つの投薬量とを備える治療送達器具であって、該組成物が、治療上有効量の請求項1に記載の化合物もしくは化合物の組合せ、はその薬学的に許容される塩、N-オキシド、水和物、溶媒和物、互変異性体もしくは光学異性体、或いは請求項に記載の医薬組成物である、上記治療送達器具。
【請求項10】
治療送達器具が、装置又は送達機構に収容された組成物の制御放出を可能にする、請求項又はに記載の治療送達器具
【請求項11】
治療送達器具が、装置又は送達機構に収容された組成物の遅延放出を可能にする、請求項又はに記載の治療送達器具
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年9月12日に出願された米国仮特許出願第62/730,046号明細書の優先権を主張する。この特許出願の全内容及び開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ヒト細胞には、細胞周期の調節、増殖、アポトーシス、及び遊走などの重要なプロセスを調節する500を超えるキナーゼが存在する。タンパク質キナーゼの阻害剤は、タンパク質キナーゼの調節不全(dis-regulation)によって制御される多くの疾患を治療する可能性を有する。これまでに20を超えるキナーゼ阻害剤が、様々な疾患を治療するためにFDAによって承認されている。
【0003】
マルチキナーゼ阻害剤としてAriad pharmaceuticalsによって開発されたポナチニブは、2012年に食品医薬品局(FDA)によって承認された。現在、ポナチニブは、様々ながんドライバーキナーゼの多くを標的としている。これには、ABL1、FLT3、FGFR1~4及びRETなどのキナーゼが含まれる。ポナチニブは、その印象的なキナーゼ阻害プロファイルにより、CML、AML、様々なFGFR及びRETによって引き起こされたがん(非小細胞肺がん及び甲状腺がんなど)を含む様々ながんを強力に阻害することが示されている。現在、ポナチニブは、T315I変異を有するイマチニブ耐性CMLに対する唯一のFDA承認薬である。また、AML、肺がん及び他のがんについて様々な臨床試験が行われている(NCT02428543;FLT3-ITD急性骨髄性白血病に対するポナチニブ(PONATINIB-AML)、NCT02265341;FGFR2融合を伴う進行性胆道がん、NCT01813734;RET転位を伴う進行性NSCLCを対象としたポナチニブ)。
【0004】
これらの印象的な一連のがんタイプに対してポナチニブが現在評価されているにもかかわらず、この薬物は比較的毒性が高く、心血管系有害事象と関連している。ポナチニブを服用している患者は、高血圧、血小板機能異常症及び末梢動脈閉塞性疾患という副作用も示している。ポナチニブを服用している患者には、心筋梗塞、脳卒中及び肝不全などの他のさらに重度の副作用が発生している10。さらに、ポナチニブを服用している患者の約40%が何らかの形態の血栓症を発症した。この有害な問題のため、FDAは、2014年にポナチニブの販売を一時的に中止し、現在では、ポナチニブは、ABL(T315I)変異を有し、他の治療に応答しないCML患者に対する最終手段の薬物として投与されている。Gainor,J.F.et al.,Ponatinib:Accelerated Disapproval,Oncologist,20(8),847-848(2015);Talbert,D.R.et al.,Toxicol.Sci,143(1),147-155(2015)を参照されたい。ポナチニブに関連する好ましくない毒性プロファイルは、心血管関連キナーゼの同時阻害が原因である可能性がある11
【0005】
いくつかの疾患関連キナーゼに対するキナーゼ阻害剤を開発する試みでは、4-置換イソキノリンが特権的なキナーゼ阻害剤であることが発見された。さらに、これらの4-置換イソキノリンの置換パターンは、キナーゼ選択性、したがってがん選択性に重要な役割を果たす。特に、4-アルキニル置換アミノイソキノリンは、様々なキナーゼに対して並外れた活性を示し、がんの増殖を強力に阻害する。この重要な発見により、様々ながんを阻害する化合物に向けて、4-置換アミノイソキノリンを調整することが容易になった。さらに、4-アルキニル置換1-又は3-アミノイソキノリンは、選択性及び毒性を調整することができるため、望ましい薬物様特性を有する新世代のアルキン含有キナーゼ阻害剤である。2017年8月15日に出願された米国特許出願第16/325,022号明細書を参照されたい。この特許出願の全内容及び開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の広い態様によれば、本発明は、ポナチニブのニコチンアミド類似体を提供し、それにより、ポナチニブのベンズアミド部分は、ニコチンアミド類似体に置換され、ポナチニブよりも優れた毒性の少ない代替物となり得る。
【0007】
【化1】
【0008】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の1つ以上の化合物、又はその薬学的に許容される塩、N-オキシド、水和物、溶媒和物、互変異性体もしくは光学異性体、及び薬学的に許容される担体もしくは希釈剤を含む医薬組成物に関する。
【0009】
さらに別の態様では、本発明は、それを必要とする対象におけるタンパク質キナーゼに関連する疾患又は障害の重症度を治療、阻害、抑制又は低減する方法に関し、該方法は、本明細書に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、N-オキシド、水和物、溶媒和物、互変異性体もしくは光学異性体、又は本明細書に記載の1つ以上の化合物を含有する医薬組成物の治療上有効量を対象に投与することを含む。
【0010】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、以下の添付の説明に記載されている。本発明の他の特徴、目的及び利点は、説明及び図面、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0011】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の例示的な実施形態を示し、上記の一般的な説明及び以下の詳細な説明とともに、本発明の特徴を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態による、ポナチニブにおけるニコチンアミド部分によるメチルベンズアミドの置換を示す概略図である。
【0013】
図2】本発明の一実施形態による、本発明の化合物の一般構造を示す図である。
【0014】
図3】本発明の一実施形態による、本発明の化合物群1の構造を示す図である。
【0015】
図4】本発明の一実施形態による、本発明の化合物群2の構造を示す図である。
【0016】
図5】本発明の一実施形態による、本発明の化合物群3の構造を示す図である。
【0017】
図6】本発明の一実施形態による、本発明の化合物群4の構造を示す図である。
【0018】
図7A】本発明の一実施形態による、本発明の化合物群5の構造を示す図である。
図7B】本発明の一実施形態による、本発明の化合物群5の構造を示す図である。
【0019】
図8】本発明の一実施形態による、本発明の化合物群6の構造を示す図である。
【0020】
図9】本発明の一実施形態による、本発明の化合物群7の構造を示す図である。
【0021】
図10】本発明の一実施形態による、本発明の化合物群8の構造を示す図である。
【0022】
図11】本発明の一実施形態による、本発明の化合物群9の構造を示す図である。
【0023】
図12】本発明の一実施形態による、本発明の化合物群10の構造を示す図である。
【0024】
図13】本発明の一実施形態による、本発明の化合物群11の構造を示す図である。
【0025】
図14】本発明の一実施形態による、本発明の化合物群12の構造を示す図である。
【0026】
図15】本発明の一実施形態による、本発明の化合物群13の構造を示す図である。
【0027】
図16】本発明の一実施形態による、本発明の化合物群14の構造を示す図である。
【0028】
図17】本発明の一実施形態による、本発明の化合物群15の構造を示す図である。
【0029】
図18】本発明の一実施形態による、本発明の化合物群16の構造を示す図である。
【0030】
図19】本発明の一実施形態による、本発明の化合物群17の構造を示す図である。
【0031】
図20】本発明の一実施形態による、本発明の化合物群18の構造を示す図である。
【0032】
図21】本発明の一実施形態による、本発明の化合物群19の構造を示す図である。
【0033】
図22】本発明の一実施形態による、本発明の化合物群20の構造を示す図である。
【0034】
図23】本発明の一実施形態による、本発明の化合物群21の構造を示す図である。
【0035】
図24】本発明の一実施形態による、本発明の化合物群22の構造を示す図である。
【0036】
図25】本発明の一実施形態による、本発明の化合物群23の構造を示す図である。
【0037】
図26】本発明の一実施形態による、本発明の化合物群24の構造を示す図である。
【0038】
図27】本発明の一実施形態による、本発明の化合物群25の構造を示す図である。
【0039】
図28】本発明の一実施形態による、本発明の化合物群26の構造を示す図である。
【0040】
図29】本発明の一実施形態による、本発明の化合物群27の構造を示す図である。
【0041】
図30】本発明の一実施形態による治療送達器具の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
定義
他に定義されない限り、本明細書で使用されるあらゆる技術用語及び科学用語は、特許請求された主題が属する分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中に用語の定義が複数ある場合は、この項の定義が優先される。本明細書で参照されるあらゆる特許、特許出願、刊行物、ならびに公開されたヌクレオチド及びアミノ酸配列(例えば、GenBank又は他のデータベースで利用可能な配列)は、参照により組み込まれる。URL又は他のそのような識別子もしくはアドレスを参照する場合、そのような識別子は変化し得、インターネット上の特定の情報は移り変わり得るが、インターネットを検索することによって同等の情報が見出され得ることが理解される。それらへの言及は、そのような情報の入手可能性と一般への普及とを証明している。
【0043】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求されたいかなる主題も限定するものではないことを理解されたい。本出願では、単数形の使用は、特に記載のない限り、複数形を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。本出願では、「又は」の使用は、特に明記しない限り、「及び/又は」を意味する。さらに、用語「含む(including)」ならびに他の形式、例えば、「含む(include)」、「含む(includes)」及び「含まれる(included)」の使用は、限定的ではない。
【0044】
本発明の目的では、用語「含む(comprising)」、用語「有する(having)」、用語「含む(including)」、及びこれらの単語の変形例は、非限定的であることを意図し、列挙された要素以外の追加の要素があり得ることを意味する。
【0045】
本発明の目的では、「頂部」、「底部」、「上部」、「下部」、「上方」、「下方」、「左」、「右」、「水平」、「垂直」、「上」、「下」などのような方向用語は、本発明の様々な実施形態を説明する際の便宜のためにのみ使用される。本発明の実施形態は、様々な方法で配向され得る。例えば、図面に示されている図、器具などは、裏返したり、任意の方向に90°回転させたり、反転させたりなどすることができる。
【0046】
本発明の目的では、値又は特性は、その値がその値、特性又は他の要因を使用して数学的計算又は論理的決定を行うことによって導出される場合、特定の値、特性、条件の充足、又は他の要因に「基づく」。
【0047】
本発明の目的では、さらに簡潔な説明を提供するために、本明細書で与えられる定量的表現のいくつかは、用語「約」によって修飾されていないことに留意されたい。用語「約」が明示的に使用されているかどうかにかかわらず、本明細書で与えられるあらゆる量は、実際の与えられた値を指すことを意味し、また、そのような与えられた値に対する実験条件及び/又は測定条件による近似値を含め、当業者に基づいて合理的に推論されるそのような与えられた値に対する近似値を指すことも意味することが理解される。
【0048】
本発明の目的では、用語「類似体(analogue)」及び用語「類似体(analog)」は、構造的及び/又は機能的類似性を共有するが元素組成に関して異なる化学化合物の群のうちの1つを指す。構造類似体とは、別の化合物と同様の構造を有するが、1つ以上の原子、官能基、又は下部構造などの1つ以上の構成要素に関してそれとは異なる化合物である。機能的類似体とは、同様の物理的、化学的、生化学的又は薬理学的特性を有する化合物である。機能的類似体は、必ずしも同様の化学構造を有する構造類似体でもあるとは限らない。
【0049】
本発明の目的では、用語「改善する(ameliorate)」及び用語「改善(amelioration)」は、薬物又は医薬組成物の投与による特定の疾患、障害又は状態の症状の永続的な、又は一時的な、持続的な、又は一過性の、にかかわらず、重症度の何らかの軽減、発症の遅延、進行の遅延、又は期間の短縮を指す。
【0050】
本発明の目的では、用語「アミノ酸」は、末端アミン官能基及びカルボン酸官能基から構成され、末端アミン官能基とカルボン酸官能基との間に炭素原子を有し、炭素原子に結合した側鎖官能基(例えば、アミノ酸セリンを形成するメトキシ官能基)を時に含む分子を指す。典型的には、アミノ酸は天然及び非天然に分類される。天然アミノ酸の例には、とりわけ、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアナニン、チロシン、トリプトファン、セリン、スレオニン、システイン、メチオニン、アスパラギン、グルタミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパルタート及びグルタマートが挙げられる。非天然アミノ酸の例には、とりわけ、L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン、2-アミノ酪酸、デヒドロアラニン、g-カルボキシグルタミン酸、カルニチン、γ-アミノ酪酸、ヒドロキシプロリン及びセレノメチオニンが挙げられる。本明細書の文脈では、アミノ酸は、L-光学異性体又はD-光学異性体であり得ることを理解されたい。
【0051】
本発明の目的では、用語「分析物」は、用語「分析物」の従来の意味、すなわち、試料中に検出又は測定されている、試料の物質又は化学成分を指す。本発明の一実施形態では、分析される試料は水性試料であり得るが、他の種類の試料もまた、本発明の装置を使用して分析され得る。
【0052】
本発明の目的では、用語「アンタゴニスト」は、受容体に結合し、受容体でのアゴニストの作用を遮断又は妨害する化合物を指す。
【0053】
本発明の目的では、用語「生体分子」は、生体分子という用語の従来の意味、すなわち、生細胞によって産生されるか生細胞内に見出される分子、例えば、タンパク質、炭水化物、脂質、リン脂質、核酸などを指す。
【0054】
本発明の目的では、用語「カプセル」は、活性物質を封入するゼラチン状のエンベロープを指す。カプセルは、ソフトシェルカプセル(ソフトゲル)又はハードシェルカプセルであり得る。カプセルは、吸収を遅らせるために、摂取後数時間にわたりインタクトなままであるように設計され得る。それらはまた、同じ用量で迅速かつ持続的な吸収をもたらすために、徐放性粒子と速放性粒子との混合物を含有し得る。
【0055】
本発明の目的では、用語「担体」は、細胞又は組織への薬物の取り込みを容易にする比較的毒性のない化学化合物又は薬剤を指す。
【0056】
本発明の目的では、用語「同時投与」は、単一の対象に対する2つ以上の組成物又は化合物の投与を指す。2つ以上の組成物のそれぞれは、同じ又は異なる投与経路によって、同時に又は異なる時間に投与され得る。例えば、第1の治療上有効な化合物及び第2の治療上有効な化合物の同時投与の場合、それらは同じ薬学的に許容される担体に溶解又は混合され得る。
【0057】
本発明の目的では、用語「組合せ」は、「固定用量組合せ」又は「同時包装された(co-packaged)製剤」の両方を指す。「固定用量組合せ」又は「固定された組合せ」は、単一の剤形で物理的に組み合わされた2つ以上の活性医薬成分、例えば、医薬品、化合物を含む製剤である。言い換えれば、医薬品又は化合物は、同じ薬学的に許容される担体に溶解又は混合され得る。単回投薬の形態は、限定するものではないが、錠剤、ソフトゲル、カプセル、ハードカプセル、カプレット、チュアブル錠剤、グミ、注射液、経皮パッチなどであり得る。「組合せ製品」は、薬物、装置及び/又は生物学的製品を組み合わせた製品を指す。場合によっては、組合せ製品は、錠剤、カプセルなどのような剤形のポリピル又はコンボピルであり得る。場合によっては、「組合せ製品」は、2つ以上の別個の剤形が単一の包装で、又は単位として一緒に包装されている「固定されていない組合せ」又は「同時包装された製剤」であり得る。薬物、装置又は生物学的製品は、提案された表示などの特定の必要性に応じて別個に包装され得る。「固定されていない組合せ」の内容物は、同時に(simultaneously)、同時に(concurrently)、又は順次、異なる時間間隔で、又は特定の介在する時間制限を伴わず対象に投与され得、そのような投与は、対象の体内に有効レベルの医薬品又は化合物を提供する。「併用投与」は、治療上有効量の様々な化合物の同時投与を含み、様々な化合物は、「固定用量組合せ」又は「固定されていない組合せ」で存在し得る。「同時投与」は、治療に適した効果を提供するために、同時に、又は異なる時点で任意の順序で順次、様々な化合物を別個に投与することを含む。併用又は順次のいずれかである治療は、使用される他の医薬品又は化合物の特性、作用の開始及び持続時間、血漿レベル、クリアランスなどのような特性に依存し得る。
【0058】
本発明の目的では、用語「制御放出」は、時間依存放出を指す。持続放出は、長期放出が意図される場合の持続放出、パルス放出、遅延放出などのように、いくつかの異なる変形例を有する。時間依存放出は、ピル、カプセル、ゲルなどの経口用量製剤に存在し得、また、注射可能な薬物担体、インプラント及び装置ならびに経皮パッチなどの製剤に存在し得る。
【0059】
本明細書の目的のために、用語「遅延放出」は、活性成分を直ちに崩壊させず、体内に放出しない経口薬を指す。例えば、腸溶性コーティング経口薬は、胃ではなく腸内で溶解する。
【0060】
本発明の目的では、用語「栄養補助食品」は、食餌を補足することを目的とした「食用成分」を含有する、経口摂取される製品を指す。これらの製品中の「食用成分」は、ビタミン、ミネラル、ハーブ又は他の植物、アミノ酸、ならびに酵素及び代謝物などの物質を含み得る。栄養補助食品はまた、抽出物又は濃縮物であり得、錠剤、ハードカプセル、ソフトゲル、チュアブル錠剤、グミ、液体又は粉末などの多くの剤形で見出され得る。栄養補助食品は、バーなどの他の剤形で存在し得るが、そうである場合、栄養補助食品のラベル上の情報は、従来の食品として、又は食事もしくは食餌の唯一の品目として製品を表していない場合がある。
【0061】
本発明の目的では、用語「診断する」は、個人又は患者の症状を検査することによって、疾患、疾病、状態又は他の問題の性質を特定することを指す。
【0062】
本発明の目的では、用語「希釈剤」は、送達前に薬物を希釈するために使用される化学化合物を指す。希釈剤は、比較的安定した環境を提供することができるため、薬剤を安定させるためにも使用することができる。緩衝液(pH制御又は維持も提供することができる)に溶解した薬学的に許容される塩は、限定するものではないが、リン酸緩衝生理食塩水を含む、当技術分野の希釈剤として利用される。
【0063】
本発明の目的では、用語「投薬」は、特定の期間にわたって特定の量、数及び頻度の用量を投与することを指す。投薬は期間を意味する。「投薬レジメン」は、ある期間にわたって薬物を投与するための治療計画である。
【0064】
本発明の目的では、「剤形」及び用語「単位用量」は、医薬品の個々の用量を指す。剤形は、成分又は包装のいずれとも考えられない場合がある他の再利用不可能な材料とともに、活性薬物成分と非薬物成分(賦形剤)との混合物を含み得る。
【0065】
本発明の目的では、用語「用量」は、一度に服用される特定の量の薬物を指す。
【0066】
本発明の目的では、用語「薬物」は、限定するものではないが、小有機分子、無機化合物、ポリマー、例えば、核酸、ペプチド、糖類、又は他の生物学的材料、ナノ粒子などを含む、細胞に対する生物学的効果を有し得る材料を指す。
【0067】
本発明の目的では、用語「有効量」もしくは「有効用量」又はその文法的変形例は、1つ以上の所望の効果を生み出すのに十分な薬剤の量を指す。有効量は、本明細書で提供されるガイダンスを使用して当業者によって決定され得る。
【0068】
本発明の目的では、用語「増強する(enhance)」及び用語「増強する(enhancing)」は、所望の効果の効力又は持続時間のいずれかを増大又は延長することを指す。例として、治療剤の効果を単独で又は組み合わせて「増強する(enhancing)」とは、効力、持続時間及び/又は大きさのいずれかの点で、疾患、障害又は状態の治療に対する薬剤の効果を増大又は延長する能力を指す。患者に使用される場合、この使用に有効な量は、疾患、障害又は状態の重症度及び経過、以前の治療、患者の健康状態及び薬物に対する応答、ならびに治療する医師の判断に依存する。
【0069】
本発明の目的では、用語「腸溶コーティング」は、経口薬に適用されるポリマーバリアを指す。
【0070】
本発明の目的では、用語「流体」は、液体又は気体を指す。
【0071】
本発明の目的では、用語「個体」は、ヒトなどの個々の哺乳動物を指す。
【0072】
本発明の目的では、用語「リガンド」は、生物学的目的を果たすために生体分子と複合体を形成する物質、例えば小分子を指す。タンパク質-リガンド結合では、リガンドは、通常、シグナルトリガー分子であり、標的タンパク質のある部位に結合する。リガンドが受容体タンパク質(受容体)に結合すると、受容体の化学的コンフォメーション(3次元形状)が変化する。受容体のコンフォメーション状態がその機能状態を決定する。リガンドには、基質、阻害剤、活性化因子及び神経伝達物質が含まれる。
【0073】
本発明の目的では、用語「脂質」は、限定するものではないが、生物学的に誘導された脂質、例えば、リン脂質、トリアシルグリセロール、脂肪酸、コレステロール、又は合成脂質、例えば、界面活性剤、有機溶媒、油などを含む疎水性分子又は両親媒性分子を指す。
【0074】
本発明の目的では、用語「長鎖脂肪酸」は、13個以上の炭素原子の脂肪族尾部を有する脂肪酸を指す。
【0075】
本発明の目的では、用語「長鎖脂肪酸基」は、長鎖脂肪酸に由来するエステル基を指す。長鎖脂肪酸基の例には、ステアリン酸基がある。
【0076】
本発明の目的では、用語「医学的療法」は、ヒト又は他の哺乳動物に対してインビボ又はエクスビボで行われる予防的、診断的及び治療的レジメンを指す。
【0077】
本発明の目的では、用語「mg/kg」は、個体又は対象の体重1キログラム当たりのミリグラム単位での個体又は対象に投与される物質の用量を指す。
【0078】
本発明の目的では、用語「機能性食品」は、栄養及び製薬の両応用分野で有用な化合物及び組成物を指す。したがって、本発明の機能性食品組成物は、食品及び飲料のサプリメントとして、ならびにカプセルもしくは錠剤などの固体製剤又は溶液もしくは懸濁液などの液体製剤であり得る経腸適用又は非経口適用のための医薬製剤として使用され得る。本発明のいくつかの実施形態では、機能性食品組成物はまた、治療上有効量の1つ以上のそれぞれの選択的ドーパミンD4受容体アゴニスト及び/又は薬学的に許容される類似体、1つ以上のそれぞれの選択的ドーパミンD4受容体アゴニストの薬学的に許容される塩又は水和物を含有する食品及び飲料、ならびにサプリメント組成物、例えば栄養補助食品を含み得る。
【0079】
本発明の目的では、用語「非経口経路」は、消化管を介する以外の方法で薬物などの組成物を投与することを指す。非経口経路には、静脈内、動脈内、経皮、鼻腔内、舌下及び骨内などのような経路が含まれる。例えば、静脈内はI.V.とも呼ばれ、注射によって静脈内に直接投与される。薬物は直接全身循環に入ると、作用部位に到達し、作用を開始する。
【0080】
本発明の目的では、用語「患者」及び用語「対象」は、哺乳動物、動物、魚、爬虫類、鳥類、又は治療、観察もしくは実験の対象であるものを指す。ほんの一例として、対象は、限定するものではないが、ヒトを含む哺乳動物であり得るが、これに限定されない。
【0081】
本発明の目的では、用語「薬学的に許容される」は、連邦政府又は州政府の規制当局によって承認されているか承認可能であり、米国薬局方又は他の一般的に認められている薬局方で、ヒトを含む哺乳動物に対する使用について列挙されているか列挙可能である化合物又は薬物を指す。
【0082】
本発明の目的では、用語「薬学的に許容される担体」は、薬学的に許容される材料を含む担体を指す。薬学的に許容される担体には、限定するものではないが、生理食塩水及び緩衝液が含まれる。薬学的に許容される担体は、例えば、この分野の標準的な参照テキストであるGennaro,Alfonso,Ed.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition 1990.Mack Publishing Co.,Easton,Pa.に記載されている。医薬担体は、意図された投与経路及び標準的な医薬慣行に従って選択され得る。
【0083】
本発明の目的では、用語「薬学的に許容される塩」は、適切な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴わず、ヒト及び下等動物の組織と接触して使用するのに適しており、妥当な便益/リスク比に見合っている、化合物の塩を指す。薬学的に許容される塩は、当業界で周知である。それらは、本発明の化合物を最終的に単離及び精製する際にインサイチュで調製され得るか、無機塩基又は有機塩基及び無機酸又は有機酸を含む薬学的に許容される非毒性の塩基又は酸とそれらを反応させることによって別個に調製され得る。薬学的に許容される塩は、例えば、本発明の化合物と好適な酸、例えば、無機酸又は有機酸とを混合することによって、当技術分野で周知の標準的な手順を使用して得ることができる。薬学的に許容される塩には、本発明の化合物に存在する酸性基又は塩基性基の塩が含まれる。薬学的に許容される酸付加塩には、限定するものではないが、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩(gentisinate)、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩(glucaronate)、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩及びパモ酸塩(すなわち、1,1’-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩))が含まれる。本発明の特定の化合物は、様々なアミノ酸と薬学的に許容される塩を形成することができる。好適な塩基塩には、限定するものではないが、アルミニウム塩、カルシウム塩、リチウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩及びジエタノールアミン塩が含まれる。
【0084】
本発明の目的では、用語「医薬組成物」は、1つ以上の活性成分と、1つ以上の他の成分、例えば、担体、安定剤、希釈剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤及び/又は賦形剤などとを含む製品を指す。医薬組成物は、疾患の進行又は状態に対して所望の効果を生み出すのに十分な活性対象化合物を含み、生物に活性成分を投与するのを容易にする。当技術分野には、限定するものではないが、局所、点眼、眼内、眼周囲、静脈内、経口、エアロゾル、非経口、及び投与を含む、活性成分を投与する複数の技術が存在する。「薬学的に許容される」とは、担体、希釈剤又は賦形剤が製剤の他の成分と適合しなければならず、そのレシピエント、すなわち対象に有害であってはならないことを意味する。
【0085】
本発明の目的では、用語「医薬製剤」及び用語「薬物製剤」は、活性薬物を含む様々な化学物質が組み合わされて、最終的な医薬品、例えば、無菌製品、カプセル、錠剤、粉末、顆粒、溶液、エマルジョン、局所製剤、非従来型製品、例えば、半固体製剤又は持続放出製剤、液体などを形成する混合物又は構造を指す。医薬製剤は、特定の手順、すなわち、「処方」に従って調製される。形成される薬物は、投与経路によって異なる。例えば、経口薬は、通常、錠剤又はカプセルとして服用される。
【0086】
本発明の目的では、用語「ポリピル」は、複数の活性医薬成分を組み合わせたピル形態(すなわち、錠剤又はカプセル)の製剤を指す。ポリピルは、所与の「ピル」内に多数の異なる薬物を含む。ポリピルは、固定用量組合せ製剤として製造されてもよい。
【0087】
本発明の目的では、用語「予防上有効量」は、患者に対して治療されている疾患、状態又は障害の症状のうちの1つ以上をある程度まで患者において軽減する薬物、化合物、薬剤、組合せ又は医薬組成物の量を指す。そのような予防的用途では、そのような量は、患者の健康状態、体重などに依存し得る。限定するものではないが、用量漸増臨床試験を含む常用的な実験によってそのような予防上有効量を決定することは、当技術分野の技術の範囲内であると十分に考えられている。
【0088】
本発明の目的では、用語「相乗効果」は、2つ以上の物質又は生物学的構造が相互作用して、2つ以上の物質又は生物学的構造のいずれかの個々の効果の合計よりも大きい全体的な効果をもたらす場合の複合効果を指す。例えば、2つの治療用化合物の相乗効果とは、2つの治療用化合物を組み合わせて投与する効果が、2つの治療用化合物のそれぞれが単独で投与される場合の各効果の合計よりも大きいことを意味する。
【0089】
本発明の目的では、用語「錠剤」は、医薬剤形を指す。錠剤は、活性物質と賦形剤との混合物を含み、通常は粉末形態であり、粉末から固体用量に圧縮又は圧密されている。賦形剤は、効率的な錠剤化を確実にするための希釈剤、結合剤又は造粒剤、滑剤及び滑沢剤;消化管内の錠剤の分解を促進するための崩壊剤;味を高めるための甘味料又は香味;ならびに錠剤を視覚的に魅力的にするための顔料を含むことができる。錠剤をさらに滑らかで飲み込みやすくするため、活性成分の放出速度を制御するため、環境に対する耐性を高めるため(貯蔵寿命を延ばすため)、又は錠剤の外観を向上させるために、ポリマーコーティングが適用されることが多い。崩壊時間は、迅速な効果のため、又は持続放出のために変化させることができる。例えば、一部の錠剤は、その中に細孔を有する不浸透性の膜に囲まれた、浸透圧的に活性なコアを用いて設計される。これにより、錠剤が消化管を移動する際に、薬物が一定の速度で錠剤から浸透することが可能になる。錠剤は、糖、ワニス又はワックスによってコーティングして味を隠すこともできる。本発明の一実施形態では、錠剤は、1つ以上のコーティングを有しないか有する錠剤を含み得る。錠剤はまた、1つ以上の層を有し得る。錠剤は、ミニ錠剤、溶融錠剤、チュアブル錠剤、発泡性錠剤又は口腔内崩壊錠剤であり得る。
【0090】
本発明の目的では、用語「標的」は、リガンド又は薬物のような他の実体が導かれ、及び/又は結合する生物又は生体分子を指す。例えば、「標的タンパク質」は、薬理学的に活性な薬物化合物などの生物学的に活性な組成物によって結合及び調節され得る生体分子、例えば、タンパク質もしくはタンパク質複合体、受容体、又は生体分子の一部であり得る。
【0091】
本発明の目的では、用語「時間放出」、用語「持続放出」又は「制御放出」は、半減期の短い薬物の吸収を延長し、それによって、血清中薬物濃度の変動を最小限に抑えながら、投与間隔を延長することを指す。例えば、時間放出ピル錠剤中の薬物、又はカプセル薬は、経時的に溶解し、同じ薬物の即時放出製剤よりも頻度の低い間隔で服用されるという利点を有しながら、比較的ゆっくりかつ比較的安定に血流に放出され得る。
【0092】
本発明の目的では、用語「治療上有効量」及び用語「治療有効量」は、疾患もしくは障害、又は疾患もしくは障害の臨床症状の少なくとも1つを治療するために対象に投与された場合、疾患、障害又は症状のそのような治療に影響を与えるのに十分な薬物、化合物又は組成物の量を指す。「治療上有効量」は、例えば、化合物、疾患、障害、及び/又は疾患又は障害の症状、障害、疾患の重症度、及び/又は疾患又は障害の症状、治療される対象の年齢、体重及び/又は健康、ならびに処方する医師の判断に応じて変化し得る。任意の所与の場合での適切な量は、当業者によって容易に確認され得るか、常用的な実験によって決定され得る。
【0093】
本発明の目的では、用語「経皮パッチ」は、特定の用量の薬物を皮膚を通して血流に送達するために皮膚に配置される薬用接着パッチを指す。経皮パッチは、対象の体内への薬物の制御放出を提供し得る。
【0094】
本発明の目的では、任意の疾患もしくは障害を「治療する(treating)」という用語又は任意の疾患もしくは障害の「治療(treatment)」という用語は、(例えば、加齢の結果として)自然に発生する状態、疾患、障害、もしくは疾患もしくは障害の臨床症状の少なくとも1つを阻止もしくは改善すること、疾患、障害、もしくは疾患もしくは障害の臨床症状の少なくとも1つを獲得するリスクを低減すること、疾患、障害、もしくは疾患もしくは障害の臨床症状の少なくとも1つの発症を低減すること、又は疾患、障害、もしくは疾患もしくは障害の臨床症状の少なくとも1つを発症するリスクを低減することを指す。「治療する(treating)」又は「治療(treatment)」はまた、状態の進行を遅らせること、物理的(例えば、識別可能な症状の安定化)、生理学的(例えば、物理的パラメータの安定化)又はその両方のいずれかで、疾患又は障害を阻害すること、及び対象に対して識別可能であってもなくてもよい少なくとも1つの物理的パラメータの進行を阻害するか遅らせることを指す。本発明のいくつかの実施形態では、用語「治療する(treating)」及び「治療(treatment)」は、疾患又は障害の症状を未だ経験していないか、示していない場合であっても、疾患又は障害にさらされ得るか、疾患又は障害に易罹患性であり得る対象の疾患もしくは障害又はその少なくとも1つ以上の症状の進行の開始を遅らせることを指す。本明細書で使用される用語「治療(treatment)」はまた、対象、例えば、ヒトの状態又は疾患などの任意の治療を指し、(1)疾患又は状態を阻害する、すなわち、疾患又は状態の発症又は進行を阻止すること、(2)疾患又は状態を緩和する、すなわち、状態を退行させること、(3)疾患の症状を停止させること、及び/又は(4)所望の状態を増強することを含む。
【0095】
本発明の目的では、用語「ビヒクル」は、投与のための活性薬物を運ぶために使用される治療的価値のない物質を指す。
【0096】
本発明の目的では、用語「室温」は、約20℃~約25℃の温度を指す。
【0097】
本発明の目的では、用語「水難溶性」は、水100ml当たり0.1g~水100ml当たり1gの溶解度を有する物質を指す。特に明記しない限り、用語「難溶性」及び「水難溶性」は、水難溶性の物質を指すために、以下の本発明の説明では区別なく使用される。
【0098】
概要
本発明は、様々な修正及び代替形態の影響を受けやすいが、その特定の実施形態は、例として図面に示され、以下に詳細に説明される。ただし、開示された特定の形態に本発明を限定することは意図されず、逆に、本発明は、本発明の趣旨及び範囲内にあるすべての修正、同等物及び代替物を網羅するものであることを理解されたい。
【0099】
米国特許第8,114,874号明細書は、ベンズアミド単位を含む置換アセチレンイミダゾ-[1,2-B]ピリダジン化合物がキナーゼ阻害剤であることを我々に教示している。そのような化合物の1つであるポナチニブは、ABL1、FLT3、RET、c-Src、c-Kit、FGFR、VEGFR、PDGFRα、PDGFRβ□□ BRAF及び他のキナーゼを強力に阻害するマルチキナーゼ阻害剤である。これまでのところ、ポナチニブは、様々な細胞株によって引き起こされるがんの強力な阻害を示している1~7
【0100】
ポナチニブの投与は、多くの必須キナーゼの同時阻害に一部起因して、多くの有害な毒性と関連している。心血管関連キナーゼ、例えば、VEGFR1~3、c-Src、c-Kitなどの阻害が低下したポナチニブの類似体は、有害な毒性が比較的低いと予測されている8~11
【0101】
ラパマイシンの機構的標的(mTOR)は、mTORが多くの刺激を統合し、多くの細胞過程の適応応答を調整することから、重要な薬物標的である12。ラパマイシンはmTORの阻害剤である。MAPK相互作用キナーゼ(MNK)は、がん細胞に対するラパマイシン治療時にmTORC1活性を維持することにより、ラパマイシン耐性に寄与する12。したがって、MNK1及び/又はMNK2と、FLT3、ABL1、RET、BRAF、c-Kit、PDGFRα、PDGFRβなどのがんドライバーキナーゼのいずれかとの同時阻害は、がん増殖の阻害の持続性を高める可能性がある。
【0102】
MNK1及び2は、機能eIF4E(翻訳制御の重要な作用因子であり、ヒトのがんで上昇する)を調節する。MNK1及び2は、eIF4Eの保存されたセリン(Ser209)をリン酸化して機能を調節する12。MNK1及び2の両方の阻害は、がんに増殖阻害をもたらすことが示されている12
【0103】
ただし、ポナチニブは、がんの進行に重要な役割を果たすキナーゼであるMNK1及びMNK2を強力に阻害しない。しかし、本発明者らは、ポナチニブのベンズアミド基がニコチンアミド基に置換されると、MNKを強力に阻害するHSN748などの新しい化合物がもたらされることを発見した。図1を参照すると、ポナチニブにおけるニコチンアミド部分によるメチルベンズアミドの置換が示されている。
【0104】
図1に記載されるように、本発明の化合物では、アミド頭部基の長さ、置換パターン、及びアルキン部分に対する相対的位置は、MV4-11細胞株(AML細胞株)に対する抗がん活性に著しく影響を与える。例えば、図1に示す分子内のアミド基の性質は、試験された分子の抗がん活性に対して劇的な影響を及ぼした。
【0105】
ポナチニブはFLT3-ITDを強力に阻害するが、薬剤耐性FLT3-D835Y及び/又はFLT3-ITD-D835Yに対しては弱い活性を有する。したがって、二次変異FLT3-ITD-D835Yが、ポナチニブにより治療された急性骨髄性白血病の回避機序である可能性がある。一方、ポナチニブのニコチンアミド類似体、例えばHSN748は、FLT3-ITD-D835Yの強力な阻害剤である。HSN748は、Molm14(FLT3-ITD、D835Y)細胞株をポナチニブの約100倍強力に阻害する。
【0106】
ポナチニブとHSN748との差は、ポナチニブのベンズアミドコアがニコチンアミドコアに置換されていること、及びポナチニブのベンズアミド上のメチル基が水素に置換されていることである。これらの2つの修飾により、LogPが低下した(又は疎水性が低下した)化合物HSN748及び類似体がもたらされる。計算されたLogPは、4.47(ポナチニブ)から3.44(HSN748)に変化していた13。したがって、HSN748は、ポナチニブとは異なる薬物特性を有する。
【0107】
ポナチニブは、インビトロでの血小板関連c-Srcの強力な阻害剤であるが、メチル基を有しないニコチンアミドバージョンHSN748はインビトロでの強力なc-Src阻害剤ではない。c-Srcは血小板機能にとって重要であるため、c-Srcの強力かつ持続的な阻害は、本発明に記載の化合物が回避する有害事象を引き起こす可能性がある。
【0108】
異なる望ましい特性を有する、ポナチニブのニコチンアミドバージョンの発見に基づいて、図2及び以下に示されるような一般構造を有する本発明の化合物が提供され、
【化2】

式中、Y==アミド;O-アルキル、例えば、OMe、OEt、OPr、OBu、OiPr、OCF、OCF;NH、NH-アルキル、例えば、NHMe、NHEt;N-(アルキル)又はN-(ヘテロアルキル)、例えば、NMe、モルホリノ、ピペラジン;CN、Cl、Br、iPr、Et、シクロプロピル、ブチル、CF、CHF、CH-ピペラジン類似体、CH-モルホリン類似体、CH-ピペリジン類似体、CH-ピロリジン類似体、CH-アゼチジン類似体などであり、X1~X7=CH、CY又はNである。この一般的な化合物は、以下、式(I)と呼ばれる。
【0109】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は以下の通りである。
【化3】
【0110】
これらの化合物は、以下、化合物群1と呼ばれ、図3に示されている。
【0111】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は以下の通りである。
【化4】
【0112】
これらの化合物は、以下、化合物群2と呼ばれ、図4に示されている。
【0113】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は以下の通りである。
【化5】
【0114】
これらの化合物は、以下、化合物群3と呼ばれ、図5に示されている。
【0115】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は以下の通りである。
【化6】
【0116】
式中、Y=アミド;O-アルキル、例えば、OMe、OEt、OPr、OBu、OiPr、OCF、OCF;NH、NH-アルキル、例えば、NHMe、NHEt;N-(アルキル)又はN-(ヘテロアルキル)、例えば、NMe、モルホリノ、ピペラジン;CN、Cl、Br、iPr、Et、シクロプロピル、ブチルなどである。これらの化合物は、以下、化合物群4と呼ばれ、図6に示されている。
【0117】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は以下の通りである。
【化7-1】

【化7-2】
【0118】
これらの化合物は、以下、化合物群5と呼ばれ、図7A及び図7Bに示されている。
【0119】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は以下の通りである。
【化8】
【0120】
これらの化合物は、以下、化合物群6と呼ばれ、図8に示されている。
【0121】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は以下の通りである。
【化9】
【0122】
これらの化合物は、以下、化合物群7と呼ばれ、図9に示されている。
【0123】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は以下の通りである。
【化10】
【0124】
これらの化合物は、以下、化合物群8と呼ばれ、図10に示されている。
【0125】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は以下の通りである。
【化11】
【0126】
これらの化合物は、以下、化合物群9と呼ばれ、図11に示されている。
【0127】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は以下の通りである。
【化12】
【0128】
これらの化合物は、以下、化合物群10と呼ばれ、図12に示されている。
【0129】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は以下の通りである。
【化13】
【0130】
これらの化合物は、以下、化合物群11と呼ばれ、図13に示されている。
【0131】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は以下の通りである。
【化14】
【0132】
これらの化合物は、以下、化合物群12と呼ばれ、図14に示されている。
【0133】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は以下の通りである。
【化15】
【0134】
これらの化合物は、以下、化合物群13と呼ばれ、図15に示されている。
【0135】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は以下の通りである。
【化16】
【0136】
これらの化合物は、以下、化合物群14と呼ばれ、図16に示されている。
【0137】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は以下の通りである。
【化17】
【0138】
これらの化合物は、以下、化合物群15と呼ばれ、図17に示されている。
【0139】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は以下の通りである。
【化18】
【0140】
これらの化合物は、以下、化合物群16と呼ばれ、図18に示されている。
【0141】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は以下の通りである。
【化19】
【0142】
これらの化合物は、以下、化合物群17と呼ばれ、図19に示されている。
【0143】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は以下の通りである。
【化20】
【0144】
これらの化合物は、以下、化合物群18と呼ばれ、図20に示されている。
【0145】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は以下の通りである。
【化21】
【0146】
これらの化合物は、以下、化合物群19と呼ばれ、図21に示されている。
【0147】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は以下の通りである。
【化22】
【0148】
これらの化合物は、以下、化合物群21と呼ばれ、図22に示されている。
【0149】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は以下の通りである。
【化23】
【0150】
これらの化合物は、以下、化合物群21と呼ばれ、図23に示されている。
【0151】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は以下の通りである。
【化24】
【0152】
これらの化合物は、以下、化合物群22と呼ばれ、図24に示されている。
【0153】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は以下の通りである。
【化25】
【0154】
これらの化合物は、以下、化合物群23と呼ばれ、図25に示されている。
【0155】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は以下の通りである。
【化26】
【0156】
これらの化合物は、以下、化合物群24と呼ばれ、図26に示されている。
【0157】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は以下の通りである。
【化27】
【0158】
これらの化合物は、以下、化合物群25と呼ばれ、図27に示されている。
【0159】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は以下の通りである。
【化28】
【0160】
これらの化合物は、以下、化合物群26と呼ばれ、図28に示されている。
【0161】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は以下の通りである。
【化29】
【0162】
これらの化合物は、以下、化合物群27と呼ばれ、図29に示されている。
【0163】
本発明の教示は、上記で同定された化合物のプロドラッグを含むことを理解されたい。さらに、上記で同定された化合物のコンジュゲート、これにより、化合物は、標的薬剤、又はPROTAC戦略など、標的の分解を助ける薬剤へのコンジュゲートである。また、国際公開第2015/001098号パンフレット(この特許出願の全内容及び開示は、参照により本明細書に組み込まれる)によって教示されている、開示された化合物の多形塩形態及びその変異体、一方、薬学的に許容される塩が、HCl、酢酸塩、硫酸塩、リン酸塩、クエン酸塩であり得、当業者にとって自明な他の塩が本発明の範囲内であることを理解されたい。
【0164】
いくつかの実施形態では、特許請求された化合物によって阻害されるタンパク質キナーゼは、当技術分野で知られているものである。いくつかの実施形態では、タンパク質キナーゼは、限定するものではないが、FLT3及びHaspinを含む。いくつかの実施形態では、タンパク質キナーゼは、Abl、Abl2、AFK、ALK、AKT1、AMPK_群、ATM、ATR、オーロラA、オーロラB、オーロラC、Axl、BCKDK、BLK、BMPR1B、BMX、BRAF、Brk、BRSK1、BTK、CaM-KIα、CaM-KIIα、CaMKK_群、CaM-KIV、CaM-KKα、CaM-KKβ、CCDPK、CCRK、CDK1、CDK11、CDK2、CDK4、CDK5、CDK6、CDK7、CDK8、CDK9、CDK18、CDK19、CDK_群、CDPK、Chak1、CHK1、CHK2、CK1α、CK1δ、CK1ε、CK1_群、CK2α、CK2_β、CK2_群、CLK1、CSF1R、Csk、DAPK1、DAPK2、DAPK3、DAPK_群、DCAMKL1、DMPK_群、DNA-PK、DYRK1A、DYRK1B、DYRK2、DYRK3、eEF2K、Eg3キナーゼ、EGFR、EIF2AK2、EphA2、EphA3、EphA4、EphA8、EphB1、EphB2、EphB3、EphB5、ErbB2、ERK1、ERK2、ERK5、ERK7、ERN1/IRE1、FAK、Fer、Fes、FGFR1、FGFR3、FGFR4、FGFR_群、Fgr、FLT1、FLT3、FLT4、Fyn、GRK-1、GRK-2、GRK-3、GRK-4、GRK-5、GRK-6、GRK_群、GSK-3α、GSK-3β、GSK-3_群、HER2、HER4、HCK、HIPK2、HIPK3、HRI、ICK、IGF1R、IKK-α、IKK-β、IKK-εILK、InsR、IPL1、IRAK1、IRAK4、ITK、JAK1、JAK2、JAK3、JAK_群、JNK_群、KDR、KIS、Kit、KSR1、Lck、LIMK1、LIMK2、LKB1、LOK、LRRK2、Lyn、MAP2K1、MAP2K2、MAP2K3、MAP2K4、MAP2K6、MAP2K7、MAPK2_群、MAP3K1、MAP3K11、MAP3K14、MAP3K5、MAP3K7、MAP3K8、MAPK3_群、MAP4K1、MAP4K2、MAP4K4、MAPK1、MAPK10、MAPK11、MAPK12、MAPK13、MAPK14、MAPK3、MAPK4、MAPK6、MAPK7、MAPK8、MAPK9、MAPK_群、MAPKAPK2、MARK_群、Mer、MEK1、MEK2、Met、MERTK、MHCK、MLCK_群、MLKL、MK2、Mnk1、Mnk2、MOS、MRCKa、MST1、MST3、mTOR、NDR1、NDR2、NEK1、NEK2、NEK6、NEK9、NEK_群、NLK、NuaK1、p37キナーゼ、p38_群、p70S6K、p70S6Kb、PBK/TOPK、P70S6K_群、PAK1、PAK2、PAK3、PAK5、PAK6、PAK_群、PASK、P-CIP2、PCTAIRE1、PDGFRα、PDGFRβ、PDGFR_群、PDHK1、PDHK2、PDHK3、PDHK4、PDK-1、PDK-2、PDK_群、PHK_群、PIK3CA、PIK3CB、PIK3CD、PIK3CG、Pim-1、PKAα、Pka_群、PKBβ、PKB_群、PKCα、PKCβ、PKCδ、PKCε、PKCη、PKCγ、PKCι、PKCθ、PKCζ、PKC_群、PKD1、PKD2、PKD3、PKG1/cGK-I、PKG2/cGK-II、PKG2/cGK_群、PKN1、PLK1、PLK2、PLK3、PRP4、PYK2、RAF1、Ret、RIPK1、RIPK2、RIPK3、RIPK4、ROCK1、ROCK2、Ron、ROS、RPL10、RSK-1、RSK-2、RSK-3、RSK-5、SDK1、SGK_群、SIK、Sky、Src、Src_群、STLK3、Syk、TBK1、Tec、TESK1、TESK2、TGFbR1、TGFbR2、Tie1、Tie2、タイチンキナーゼ、TNK2、TRKA、TRKB、TRKC、トロポミオシンキナーゼ、TSSK3、TXK、Tyk2、TYK2、ULK1、ULK2、VRK1、Wee1、Wnk1、WNK1、Yes、ZAP70である。
【0165】
本発明は、本明細書に記載の1つ以上の化合物、又はその薬学的に許容される塩、N-オキシド、水和物、溶媒和物、互変異性体もしくは光学異性体、及び薬学的に許容される担体もしくは希釈剤を含む医薬組成物に関する。
【0166】
さらに別の態様では、本発明は、それを必要とする対象のがんの重症度を治療、阻害、抑制又は低減する方法に関し、該方法は、本明細書に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、N-オキシド、水和物、溶媒和物、互変異性体もしくは光学異性体、又は本明細書に記載の1つ以上の化合物を含有する医薬組成物の治療上有効量を対象に投与することを含む。
【0167】
さらに別の態様では、本発明は、それを必要とする対象におけるタンパク質キナーゼに関連する疾患又は障害の重症度を治療、阻害、抑制又は低減する方法に関し、該方法は、本明細書に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、N-オキシド、水和物、溶媒和物、互変異性体もしくは光学異性体、又は本明細書に記載の1つ以上の化合物を含有する医薬組成物の治療上有効量を対象に投与することを含む。
【0168】

例1
ポナチニブは、心血管関連キナーゼに対してHSN748よりも放縦である
【0169】
ポナチニブによって阻害されることが示されている様々な疾患関連キナーゼに対して、ポナチニブ及びHSN748をスクリーニングした(表1を参照)。興味深いことに、ABL1(T315I)及びFLT3-ITDに対するHSN748の阻害プロファイルはポナチニブと類似していたが、いくつかのキナーゼにはいくつかの顕著な差が認められた。
【0170】
【表1】
【0171】
IC50はReaction Biology(Malvern、PA)で決定された。[ATP]=100μM
【0172】
HSN748はc-Srcキナーゼに対して不活性であったが(IC50>1μM)、ポナチニブはc-Srcを強力に阻害した(4.6nMのIC50)。表1を参照されたい。Srcは心機能に様々な役割を果たすことが示されている。例えば、Srcは、筋細胞の構造を維持する上で重要な役割を果たす14。近年、SrcがhERG電流の振幅を調節することも明らかにされた15。したがって、Srcの阻害は、筋原線維の解体につながるとともに、心臓のイオンチャネルに影響を与える可能性がある。Srcはヒトの血小板にも豊富に見られ、血小板上に見られる最も豊富な受容体の1つであるαIIbβ3からのシグナルの開始及び伝播の鍵である16、17
【0173】
したがって、様々ながんでSrcが演じる発がん性の役割にもかかわらず、その阻害は正常な細胞及び血小板の調節不全を伴う可能性がある。このため、HSN748がポナチニブほど強力にSrcを阻害しないことは注目に値する。
【0174】
ポナチニブはFGFRを阻害することが示されており、現在、FGFR2融合を用いた胆道がんの治療のための臨床試験が行われている。FGFRを標的とする多くの薬物が現在臨床試験中であるが、FGFRは心臓及び肝臓に重要な機能を有するため、それらの阻害は有害事象につながる可能性がある。高リン血症は、FGF23シグナル伝達の中断に起因する、FGFR阻害に関連する1つの主要な合併症である18。Pan-FGFR阻害は、心血管機能障害に関連している19。ポナチニブは、インビトロでFGFR1~4に対してHSN748よりも活性が高い。
ABL1及びFLT3は、それぞれCML及びAMLでは変異している。ポナチニブ及びHSN748は、ABL1、ABL1(T315I)及びFLT3-ITDに対して同様の活性を有する。興味深いことに、HSN748は、FLT3(D835Y)キナーゼに対してポナチニブよりも顕著に低いIC50を有する(ポナチニブの173nMに対して、HSN748の14nMというIC50を比較されたい。表2を参照)。臨床で使用されるほとんどのFLT3阻害剤は初期に効果を示すが、患者は数カ月以内にキナーゼ変異により再発し、治療効果が低下する20。D835変異は、TKIキザルチニブを使用した試験で観察された最も頻繁な変異の1つである21。したがって、薬剤耐性AML(キナーゼ変異による)では、HSN748はポナチニブよりも優れた治療選択肢となる可能性がある。
【0175】
例2
HSN748は、AML細胞株をポナチニブよりも強力に阻害する
【表2】

本発明者らは、ポナチニブ及びHSN748による、FLT3、ABL1、RET及びFGFRによって引き起こされたがんの阻害の程度が、キナーゼ阻害の序列を反映していたかどうかの試験に進んだ。MV4-11(FLT3)、K562(ABL1)及びLC2/ad(RET)に対する両化合物による増殖阻害のIC50は類似していた。HSN748は、キザルチニブ耐性AML(MOLM14-D835Y細胞株)を阻害する点でポナチニブよりも優れていた(HSN748の0.69nM及びポナチニブの52.6nMというIC50を比較されたい)。ギルテリチニブ耐性AML細胞株であるMolm14(ITD、F691L)でも、HSN748はポナチニブよりも強力であった(IC50は、HSN748では0.18nM、ポナチニブでは6.8nM)。
【0176】
他のニコチンアミド化合物の細胞活性:
【表3】
【0177】
化合物の特性評価
HSN748:5-(イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イルエチニル)-N-(4-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ニコチンアミド
【化30】
【0178】
アルゴンガスを使用して、ブロモ化合物(72mg、0.37mmol、1当量)、Pd(PPh(10mol%)、CuI(5mol%)及びトリフェニルホスフィン(10mg)のトリエチルアミン(1.5mL、10.78mmol、29.13当量)溶液を脱酸素化した。この溶液に、DMF(4mL)中のアルキン(171mg、0.43mmol、1.2当量)の脱酸素化溶液を10分かけて加えた。次いで、反応温度を55℃に上げ、12時間撹拌した。酢酸エチル(300mL)を用いて反応物を希釈した。水(5×50mL)、飽和NHCl(1×50mL)及びブライン(1×50mL)を用いて有機層を洗浄した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーによって、純粋な生成物を得た。収率:100mg、53%;TLC R:0.2(10%MeOH/CHCl
【0179】
【数1】
【0180】
HSL338:N-(5-(イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イルエチニル)ピリジン-3-イル)-4-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-3-(トリフルオロメチル)ベンズアミド
【化31】
【0181】
アルゴンガスを使用して、ブロモ化合物(80mg、0.404mmol、1当量)、Pd(PPhCl(10mol%)、CuI(5mol%)及びトリフェニルホスフィン(10.5mg、0.04mmol、10mol%)のトリエチルアミン(1.5mL、10.78mmol、26.6当量)溶液を脱酸素化した。DMF(4mL)中のアルキン(194.9mg、0.484mmol、1.2当量)の脱酸素化溶液を10分かけてゆっくりと加えた。次いで、反応を50℃に移行し、15時間進行させた。反応物を室温に冷却し、酢酸エチル(150mL)を用いて希釈し、水(5×50mL)及びブライン(1×50mL)を用いて洗浄した。合わせた有機層を真空で濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製した。収率:72.1mg 28.6%
【0182】
【数2】
【0183】
HSL381:5-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イルエチニル)-N-(4-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ニコチンアミド
【化32】
【0184】
アルゴンガスを使用して、ブロモ化合物(75mg、0.381mmol、1当量)、Pd(PPhCl(10mol%)、CuI(5mol%)及びトリフェニルホスフィン(10.5mg、0.04mmol、10mol%)のトリエチルアミン(1.5mL、10.78mmol、28.29当量)溶液を脱酸素化した。DMF(4mL)中のアルキン(183.6mg、0.456mmol、1.2当量)の脱酸素化溶液を10分かけてゆっくりと加えた。次いで、反応を50℃に移行し、15時間進行させた。反応物を室温に冷却し、酢酸エチル(150mL)を用いて希釈し、水(5×50mL)及びブライン(1×50mL)を用いて洗浄した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空で濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製した。収率:47.8mg、24.2%
【0185】
【数3】
【0186】
HSL382:5-(イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イルエチニル)-N-(4-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ニコチンアミド
【化33】
【0187】
アルゴンガスを使用して、ブロモ化合物(75mg、0.378mmol、1当量)、Pd(PPhCl(10mol%)、CuI(5mol%)及びトリフェニルホスフィン(10.5mg、0.04mmol、10mol%)のトリエチルアミン(1.5mL、10.78mmol、28.5当量)溶液を脱酸素化した。DMF(4mL)中のアルキン(194.9mg、0.484mmol、1.2当量)の脱酸素化溶液を10分かけてゆっくりと加えた。次いで、反応を50℃に移行し、15時間進行させた。反応物を室温に冷却し、酢酸エチル(150mL)を用いて希釈し、水(5×50mL)及びブライン(1×50mL)を用いて洗浄した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空で濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製した。収率:57.6mg、29.3%
【0188】
【数4】
【0189】
HSL385:5-(イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イルエチニル)-N-(4-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ニコチンアミド
【化34】
【0190】
アルゴンガスを使用して、ブロモ化合物(70mg、0.353mmol、1当量)、Pd(PPhCl(10mol%)、CuI(5mol%)及びトリフェニルホスフィン(10.5mg、0.04mmol、10mol%)のトリエチルアミン(1.5mL、10.78mmol、30.5当量)溶液を脱酸素化した。DMF(4mL)中のアルキン(170mg、0.424mmol、1.2当量)の脱酸素化溶液を10分かけてゆっくりと加えた。次いで、反応を50℃に移行し、15時間進行させた。反応物を室温に冷却し、酢酸エチル(150mL)を用いて希釈し、水(5×50mL)及びブライン(1×50mL)を用いて洗浄した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空で濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製した。収率:71.9mg、39.2%
【0191】
【数5】
【0192】
HSL407:5-(イミダゾ[1,2-a]ピラジン-5-イルエチニル)-N-(4-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ニコチンアミド
【化35】
【0193】
アルゴンガスを使用して、ブロモ化合物(56mg、0.283mmol、1当量)、Pd(PPhCl(10mol%)、CuI(5mol%)及びトリフェニルホスフィン(7.86mg、0.03mmol、10mol%)のトリエチルアミン(1.5mL、10.78mmol、38.1当量)溶液を脱酸素化した。DMF(4mL)中のアルキン(137mg、0.341mmol、1.2当量)の脱酸素化溶液を10分かけてゆっくりと加えた。次いで、反応を50℃に移行し、15時間進行させた。反応物を室温に冷却し、酢酸エチル(150mL)を用いて希釈し、水(5×50mL)及びブライン(1×50mL)を用いて洗浄した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空で濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製した。収率:125.8mg、85.6%
【0194】
【数6】
【0195】
HSL420:5-(イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イルエチニル)-6-メチル-N-(4-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ニコチンアミド
【化36】
【0196】
アルゴンガスを使用して、ブロモ化合物(100mg、0.510mmol、1当量)、Pd(PPhCl(10mol%)、CuI(5mol%)及びトリフェニルホスフィン(13.1mg、0.05mmol、10mol%)のトリエチルアミン(1.5mL、10.78mmol、21.1当量)溶液を脱酸素化した。DMF(4mL)中のアルキン(254.6mg、0.612mmol、1.2当量)の脱酸素化溶液を10分かけてゆっくりと加えた。次いで、反応を50℃に移行し、15時間進行させた。反応物を室温に冷却し、酢酸エチル(150mL)を用いて希釈し、水(5×50mL)及びブライン(1×50mL)を用いて洗浄した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空で濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製した。収率:104.5mg、38.4%
【0197】
【数7】
【0198】
HSL432:5-((6-クロロイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル)エチニル)-N-(4-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ニコチンアミド
【化37】
【0199】
アルゴンガスを使用して、ブロモ化合物(100mg、0.43mmol、1当量)、Pd(PPhCl(10mol%)、CuI(5mol%)及びトリフェニルホスフィン(10.5mg、0.04mmol、10mol%)のトリエチルアミン(1.5mL、10.78mmol、25.1当量)溶液を脱酸素化した。DMF(4mL)中のアルキン(207.5mg、0.52mmol、1.2当量)の脱酸素化溶液を10分かけてゆっくりと加えた。次いで、反応を50℃に移行し、15時間進行させた。反応物を室温に冷却し、酢酸エチル(150mL)を用いて希釈し、水(5×50mL)及びブライン(1×50mL)を用いて洗浄した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空で濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製した。収率:96.3mg、40.4%
【0200】
【数8】
【0201】
HSL442:N-(4-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5-(ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イルエチニル)ニコチンアミド
【化38】
【0202】
アルゴンガスを使用して、ブロモ化合物(80mg、0.406mmol、1当量)、Pd(PPhCl(10mol%)、CuI(5mol%)及びトリフェニルホスフィン(10.5mg、0.04mmol、10mol%)のトリエチルアミン(1.5mL、10.78mmol、26.5当量)溶液を脱酸素化した。DMf(4mL)中のアルキン(195.9mg、0.487mmol、1.2当量)の脱酸素化溶液を10分かけてゆっくりと加えた。次いで、反応を50℃に移行し、15時間進行させた。反応物を室温に冷却し、酢酸エチル(150mL)を用いて希釈し、水(5×50mL)及びブライン(1×50mL)を用いて洗浄した。合わせた有機層を真空で濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製した。収率:30.2mg、14.3%
【0203】
【数9】
【0204】
HSL412:N-(4-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5-(ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-6-イルエチニル)ニコチンアミド
【化39】
【0205】
アルゴンガスを使用して、ブロモ化合物(80mg、0.404mmol、1当量)、Pd(PPhCl(10mol%)、CuI(5mol%)及びトリフェニルホスフィン(10.5mg、0.04mmol、10mol%)のトリエチルアミン(1.5mL、10.78mmol、26.6当量)溶液を脱酸素化した。DMF(4mL)中のアルキン(194.9mg、0.484mmol、1.2当量)の脱酸素化溶液を10分かけてゆっくりと加えた。次いで、反応を50℃に移行し、15時間進行させた。反応物を室温に冷却し、酢酸エチル(150mL)を用いて希釈し、水(5×50mL)及びブライン(1×50mL)を用いて洗浄した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空で濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製した。収率:67.9mg、32.2%
【0206】
【数10】
【0207】
いくつかの実施形態によれば、本明細書に開示される組成物は、注射を介して対象に送達され得る。lncRNA転写物Mhrt RNAのクラスターの修飾種である群1~群 から選択される化合物群のうちの1つ以上の組成物は、注射液の剤形で調製され、注射可能な装置(例えば注射器)に充填されて、対象の体内に注射され得る。図30は、注射可能な薬物送達装置(9120)と、注射液の剤形で本明細書に開示される組成物又は組成物の組合せ(9110)とを含む治療送達器具(9100)の図である。本明細書に開示される組成物は、対象の身体部分又は器官(9140)の壁(9150)を介した注射によって送達され、対象の身体部分又は器官(9140)に進入し得る。選択された実施形態では、注射可能な薬物送達装置は、対象の身体の身体部分又は器官(9140)の外側(9142)に留まり得る。
【0208】
図30は、開示された医薬組成物を対象の体内に送達するための単なる例示的な一実施形態を表す。送達器具は、注射器タイプの装置に限定されない場合がある。当業者であれば、患者の身体に開示製品又は薬剤を送達するのに適した任意の注射可能な装置が、本発明の態様に従って利用され得ることを容易に理解するであろう。例えば、治療送達器具は、カプセル、ポリピル、錠剤、経皮パッチ、もしくは栄養補助食品、又は上記の組合せなどであり得る。送達器具は、開示された化合物の制御放出又は遅延放出のために設計され得ることもまた理解されるべきである。
【0209】
本明細書で言及されるすべての刊行物、特許及び特許出願は、個々の刊行物、特許又は特許出願が、参照によりその全体が組み込まれることが具体的かつ個別に示されている場合と同じ程度に、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0210】
本開示は、特定の実施形態を参照して開示されてきたが、添付の特許請求の範囲で定義されるように、本開示の領域及び範囲から逸脱することなく、記載された実施形態に対する多数の修正、改変及び変更が可能である。したがって、本開示は、記載された実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲の言語、及びその同等物によって定義される全範囲を有することが意図されている。
また、本発明には以下の好ましい態様が含まれる。
(1)式(I)の化合物によって表される化合物であって、
【化40】

式中、Y==アミド;O-アルキル、例えば、OMe、OEt、OPr、OBu、OiPr、OCF 、OCF ;NH 、NH-アルキル、例えば、NHMe、NHEt;N-(アルキル) 又はN-(ヘテロアルキル) 、例えば、NMe 、モルホリノ、ピペラジン;CN、Cl、Br、iPr、Et、シクロプロピル、ブチル、CF 、CHF 、CH -ピペラジン類似体、CH -モルホリン類似体、CH -ピペリジン類似体、CH -ピロリジン類似体、CH -アゼチジン類似体などであり、X1~X7=CH、CY又はNである化合物。
(2)化合物が、以下の式の化合物である、(1)に記載の化合物。
【化41】


(3)化合物が、以下の式の化合物である、(1)に記載の化合物。
【化42】


(4)化合物が、以下の式の化合物である、(1)に記載の化合物。
【化43】


(5)化合物が、以下の式の化合物である、(1)に記載の化合物。
【化44】


(6)化合物が、以下の式の化合物である、(1)に記載の化合物。
【化45-1】

【化45-2】


(7)化合物が、以下の式の化合物である、(1)に記載の化合物。
【化46】


(8)化合物が、以下の式の化合物である、(1)に記載の化合物。
【化47】


(9)化合物が、以下の式の化合物である、(1)に記載の化合物。
【化48】


(10)化合物が、以下の式の化合物である、(1)に記載の化合物。
【化49】


(11)化合物が、以下の式の化合物である、(1)に記載の化合物。
【化50】


(12)化合物が、以下の式の化合物である、(1)に記載の化合物。
【化51】


(13)化合物が、以下の式の化合物である、(1)に記載の化合物。
【化52】


(14)化合物が、以下の式の化合物である、(1)に記載の化合物。
【化53】


(15)化合物が、以下の式の化合物である、(1)に記載の化合物。
【化54】


(16)化合物が、以下の式の化合物である、(1)に記載の化合物。
【化55】


(17)化合物が、以下の式の化合物である、(1)に記載の化合物。
【化56】


(18)化合物が、以下の式の化合物である、(1)に記載の化合物。
【化57】


(19)化合物が、以下の式の化合物である、(1)に記載の化合物。
【化58】


(20)化合物が、以下の式の化合物である、(1)に記載の化合物。
【化59】


(21)化合物が、以下の式の化合物である、(1)に記載の化合物。
【化60】


(22)化合物が、以下の式の化合物である、(1)に記載の化合物。
【化61】


(23)化合物が、以下の式の化合物である、(1)に記載の化合物。
【化62】


(24)化合物が、以下の式の化合物である、(1)に記載の化合物。
【化63】


(25)化合物が、以下の式の化合物である、(1)に記載の化合物。
【化64】


(26)化合物が、以下の式の化合物である、(1)に記載の化合物。
【化65】


(27)化合物が、以下の式の化合物である、(1)に記載の化合物。
【化66】


(28)化合物が、以下の式の化合物である、(1)に記載の化合物。
【化67】


(29)化合物が、以下の式の化合物である、(1)に記載の化合物。
【化68】


(30)(1)から(29)のいずれかに記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩、N-オキシド、水和物、溶媒、互変異性体もしくは光学異性体、及び薬学的に許容される担体もしくは希釈剤を含む医薬組成物。
(31)それを必要とする対象のがんを改善する方法であって、(1)から(29)のいずれかに記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、N-オキシド、水和物、溶媒和物、互変異性体もしくは光学異性体、又は(30)に記載の医薬組成物の治療上有効量を対象に投与することを含む方法。
(32)がんが、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、卵巣がん、子宮頸がん、膵臓がん、乳がん、脳がん、皮膚がん、肺がん、前立腺がん、リンパ腫、白血病、結腸がん、頭部がん、頸部がん、甲状腺がん、腎がん、肝がん及び胃がんからなる群から選択される、(31)に記載の方法。
(33)それを必要とする対象におけるタンパク質キナーゼに関連する疾患又は障害を改善する方法であって、(1)から(29)のいずれかに記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、N-オキシド、水和物、溶媒和物、互変異性体もしくは光学異性体、又は(30)に記載の医薬組成物の治療上有効量を対象に投与することを含む方法。
(34)タンパク質キナーゼが、Abl、Abl2、AFK、ALK、AMPK_群、ATM、ATR、オーロラA、オーロラB、Axl、BCKDK、BLK、BMPR1B、BMX、Brk、BRSK1、BTK、CaM-KIα、CaM-KIIα、CaMKK_群、CaM-KIV、CaM-KKα、CaM-KKβ、CCDPK、CCRK、CDK1、CDK11、CDK2、CDK4、CDK5、CDK6、CDK7、CDK9、CDK_群、CDPK、Chak1、CHK1、CHK2、CK1α、CK1δ、CK1ε、CK1_群、CK2α、CK2_β、CK2_群、CLK1、CSF1R、Csk、DAPK1、DAPK2、DAPK3、DAPK_群、DCAMKL1、DMPK_群、DNA-PK、DYRK1A、DYRK1B、DYRK2、DYRK3、eEF2K、Eg3キナーゼ、EGFR、EIF2AK2、EphA2、EphA3、EphA4、EphA8、EphB1、EphB2、EphB3、EphB5、ErbB2、FAK、Fer、Fes、FGFR1、FGFR3、FGFR4、FGFR_群、Fgr、FLT1、FLT3、FLT4、Fyn、GRK-1、GRK-2、GRK-3、GRK-4、GRK-5、GRK-6、GRK_群、GSK-3α、GSK-3β、GSK-3_群、HCK、HIPK2、HIPK3、HRI、ICK、IGF1R、IKK-α、IKK-β、IKK-ε ILK、InsR、IPL1、IRAK1、IRAK4、ITK、JAK1、JAK2、JAK3、JAK_群、JNK_群、KDR、KIS、Kit、KSR1、Lck、LIMK1、LIMK2、LKB1、LOK、Lyn、MAP2K1、MAP2K2、MAP2K3、MAP2K4、MAP2K6、MAP2K7、MAPK2_群、MAP3K1、MAP3K11、MAP3K14、MAP3K5、MAP3K7、MAP3K8、MAPK3_群、MAP4K1、MAP4K2、MAP4K4、MAPK1、MAPK10、MAPK11、MAPK12、MAPK13、MAPK14、MAPK3、MAPK4、MAPK6、MAPK7、MAPK8、MAPK9、MAPK_群、MAPKAPK2、MARK_群、Mer、Met、MHCK、MLCK_群、Mnk1、Mnk2、MOS、MRCKa、MST1、MST3、mTOR、NDR1、NDR2、NEK1、NEK2、NEK6、NEK9、NEK_群、NLK、NuaK1、p37キナーゼ、p38_群、p70S6K、p70S6Kb、P70S6K_群、PAK1、PAK2、PAK3、PAK5、PAK6、PAK_群、PASK、P-CIP2、PCTAIRE1、PDGFRα、PDGFRβ、PDGFR_群、PDHK1、PDHK2、PDHK3、PDHK4、PDK-1、PDK-2、PDK_群、PHK_群、PIK3CA、PIK3CB、PIK3CD、PIK3CG、Pim-1、PKAα、Pka_群、PKBβ、PKB_群、PKCα、PKCβ、PKCδ、PKCε、PKCη、PKCγ、PKCι、PKCθ、PKCζ、PKC_群、PKD1、PKD2、PKD3、PKG1/cGK-I、PKG2/cGK-II、PKG2/cGK_群、PKN1、PLK1、PLK2、PLK3、PRP4、PYK2、RAF1、Ret、ROCK1、ROCK2、Ron、RPL10、RSK-1、RSK-2、RSK-3、RSK-5、SDK1、SGK_群、SIK、Sky、Src、Src_群、STLK3、Syk、TBK1、Tec、TESK1、TESK2、TGFbR1、TGFbR2、Tie1、Tie2、タイチンキナーゼ、TNK2、TRKA、TRKB、トロポミオシンキナーゼ、TSSK3、TXK、Tyk2、TYK2、VRK1、Wee1、Wnk1、WNK1、Yes又はZAP70である、(33)に記載の方法。
(35)疾患又は障害が、がん、糖尿病、マラリア、ウイルス感染症、心血管性及び高血圧、CNS及び神経変性、骨粗鬆症、肺線維症、網膜炎色素症(retinitis pigmentosis)、滲出型黄斑変性、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、糖尿病性眼疾患、炎症及び自己免疫性、又はアレルギーである、(33)に記載の方法。
(36)装置と、装置に収容された組成物の少なくとも1つの投薬量とを備える治療送達器具であって、組成物が、治療上有効量の(1)から(29)に記載の化合物もしくは化合物の組合せ、もしくはその薬学的に許容される塩、N-オキシド、水和物、溶媒和物、互変異性体もしくは光学異性体、又は(30)に記載の医薬組成物である治療送達器具。
(37)カプセル、ポリピル、錠剤、経皮パッチ、栄養補助食品又はそれらの組合せからなる群から選択される送達機構と、送達機構に収容された組成物の少なくとも1つの投薬量とを備える治療送達器具であって、組成物が、治療上有効量の(1)から(29)のいずれかに記載の化合物もしくは化合物の組合せ、もしくはその薬学的に許容される塩、N-オキシド、水和物、溶媒和物、互変異性体もしくは光学異性体、又は(30)に記載の医薬組成物である治療送達器具。
(38)送達器具が、送達システムに収容された組成物の制御放出を可能にする、(36)又は(37)の治療送達システム。
(39)送達器具が、送達システムに収容された組成物の遅延放出を可能にする、(36)又は(37)の治療送達システム。
【0211】
参考文献:
【数11-1】

【数11-2】

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30