(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】動的較正を用いるモジュール式振動測定デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 5/097 20060101AFI20240418BHJP
A61B 5/087 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
A61B5/097
A61B5/087
(21)【出願番号】P 2021524321
(86)(22)【出願日】2019-11-11
(86)【国際出願番号】 CA2019051603
(87)【国際公開番号】W WO2020093176
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2022-11-07
(32)【優先日】2018-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521106201
【氏名又は名称】ソラシス ソラシック メディカル システムズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100168871
【氏名又は名称】岩上 健
(72)【発明者】
【氏名】シェスラー トーマス フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】ドラピュー ガイ
(72)【発明者】
【氏名】ポサダ エステファン ルーカス
(72)【発明者】
【氏名】マクシム ジェフリー ニコラス
【審査官】牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-546492(JP,A)
【文献】特表2013-512718(JP,A)
【文献】特表2015-536787(JP,A)
【文献】特開昭57-122846(JP,A)
【文献】特開平02-271835(JP,A)
【文献】特表2016-526466(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0135603(US,A1)
【文献】国際公開第2015/066562(WO,A2)
【文献】米国特許第07402139(US,B2)
【文献】特表2016-507262(JP,A)
【文献】特開2014-057688(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0191407(US,A1)
【文献】特表2002-513296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06- 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動流源を有するタイプの振動測定システムのためのモジュールであって、
前記振動測定システムのコアアセンブリに解除可能に接続されるように構成されたエンクロージャであって、前記振動流源と流体連通するように構成された呼吸流路と、ユーザの呼気を受け入れるように構成された前記呼吸流路の第1の端部におけるユーザポートとを含む前記エンクロージャと、
前記エンクロージャにあり、前記呼吸流路と流体連通している流量計と、
前記モジュールに特有の較正ファイルであって、前記呼吸流路の関数としてプログラムされ、前記ユーザ用の呼吸パラメータを評価するために前記振動測定システムによって使用されるように構成された前記較正ファイルと、
を備える、モジュール。
【請求項2】
保護要素が、前記呼吸流路にある、請求項1に記載のモジュール。
【請求項3】
前記保護要素は、フィルタである、請求項2に記載のモジュール。
【請求項4】
前記流量計は、差圧変換器を有する呼吸気流計抵抗メッシュスクリーンを含む、請求項
1から3のいずれか1項に記載のモジュール。
【請求項5】
前記呼吸気流計抵抗メッシュスクリーンは、ポリエーテルエーテルケトンで作られる、請求項
4に記載のモジュール。
【請求項6】
前記エンクロージャにあり、前記呼吸流路と流体連通している圧力計を更に備える、請求項1から
5のいずれか1項に記載のモジュール。
【請求項7】
前記圧力計のポートが、前記ユーザポートの中心線のいずれの側からも最大で75度である弓形セグメントに位置付けられる、請求項
6に記載のモジュール。
【請求項8】
大気ポートが、前記エンクロージャにあり、前記呼吸流路と流体連通している、請求項1から
7のいずれか1項に記載のモジュール。
【請求項9】
前記呼吸流路は、ユーザ部分を含む軸線方向部分から大気部分を含む半径方向部分まで曲がっている、請求項
8に記載のモジュール。
【請求項10】
前記呼吸流路の曲がり部にある又は曲がり部に隣接する流量調整メッシュを更に備える、請求項
9に記載のモジュール。
【請求項11】
前記エンクロージャに接続されて前記呼吸流路の一部を定める可撓性パイプを含む、請求項1から
10のいずれか1項に記載のモジュール。
【請求項12】
前記呼吸流路と流体連通しているバイアス流源を含む、請求項
11に記載のモジュール。
【請求項13】
前記エンクロージャ内の処理ユニットと、前記処理ユニットに通信的に結合され、前記処理ユニットによって実行可能なコンピュータ可読プログラム命令を含む非一時的コンピュータ可読メモリであって、前記較正ファイルが前記非一時的コンピュータ可読メモリの中にプログラムされる前記非一時的コンピュータ可読メモリとを含む、請求項1から
12のいずれか1項に記載のモジュール。
【請求項14】
振動流源を有するコアアセンブリと、
請求項1から
13のいずれか1項に定められた前記モジュールと、
を備える、モジュール式振動測定システム。
【請求項15】
前記コアアセンブリは
、処理ユニットに通信的に結合されて前記較正ファイルを使用して前記ユーザの呼吸パラメータを評価するために前記処理ユニットによって実行可能なコンピュータ可読プログラム命令を含む非一時的コンピュータ可読メモリを含む処理モジュールを有する、請求項
14に記載のモジュール式振動測定システム。
【請求項16】
データを表示するための前記コアアセンブリ上のユーザインタフェースを含む、請求項
14又は
15に記載のモジュール式振動測定システム。
【請求項17】
前記振動流源は、線形アクチュエータに接続されたピストンである、請求項
14から
16のいずれか1項に記載のモジュール式振動測定システム。
【請求項18】
前記振動流源は、ラウドスピーカである、請求項
14から
16のいずれか1項に記載のモジュール式振動測定システム。
【請求項19】
少なくとも1つの呼吸パラメータを計算するためのシステムであって、
処理ユニットと、
前記処理ユニットに通信的に結合された非一時的コンピュータ可読メモリであって、
モジュールの呼吸流路上の振動流れを制御し、
前記モジュールは前記システムのコアアセンブリに解除可能に接続され、
前記モジュールの前記呼吸流路内の少なくとも1つの呼気から
得られた、測定された圧力及び/又は流量データを
、前記モジュールから受け入れ、
前記モジュールの前記呼吸流路に特有の動的特質を表す較正ファイルを取得し、
前記圧力及び/又は流量データ及び前記較正ファイルを使用して前記少なくとも1つの呼吸パラメータを計算して出力する、
ために前記処理ユニットによって実行可能なコンピュータ可読プログラム命令を含む前記非一時的コンピュータ可読メモリと、
を備える、システム。
【請求項20】
前記モジュールの別の1つのための別の較正ファイルを取得し、前記圧力及び/又は流量データ及び前記
別の較正ファイルを使用して前記少なくとも1つの呼吸パラメータを計算して出力する、請求項
19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の開示は、「強制振動法(FOT)」とも呼ばれる振動測定によって呼吸機構を測定するデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
振動測定、すなわち、FOTは、例えば喘息又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の関連での正常な安静呼吸中の肺機能を評価する公知の方法である。肺活量測定又は最大流量のような肺機能を測定する従来の技術とは異なり、振動測定は、特定の操作を実行するのに患者による自発的労力に依存しない。
【0003】
振動測定値を得るために、典型的に5から大体40Hzの範囲の1又は2以上の周波数を含有する機械発生式振動が患者の安静呼吸の上に重ねられる。患者の肺に出入りする空気流れ及び気道開口部に近い圧力が、デバイスを使用して記録され、フーリエ変換又は時間-周波数解析のようなコンピュータアルゴリズムが、振動成分から呼吸器系入力インピーダンス(Zrs)のような呼吸パラメータを計算するのに使用される。
【0004】
理想的には、Zrsを計算するのに使用される圧力信号及び流量信号は、デバイスと患者の気道の間のインタフェースで正確に記録されるであろう。そのような患者インタフェースは、単にいくつかを挙げると、マウス部品、口及び/又は鼻の上のマスク、気管内、挿管、又は気管切開チューブ、喉頭マスクであるとすることができるであろう。マウス部品の例では、従って、圧力及び流量は、通常作動中の患者の口の内側に位置付けられたマウス部品の先端で正確に測定されると考えられる。このようにして、オリジナル圧力及び流量信号から計算された生インピーダンス(Z0)は、更に別の処理又は変換の必要なくZrsに対応すると考えられる。
【0005】
しかし、実際には、いくつかの理由からZrsを正確に決定するのに更に別の労力が必要である。最初に、変換器の物理的サイズ、並びに患者の体温及び/又は体液に対するそれらの感度は、患者の身体の近くに又は更に身体内に位置する場合があるデバイスと患者の間のインタフェースで正確に圧力及び流量を測定することを非現実的にする。第2に、患者インタフェース構成要素(上述のようなマウス部品、マスク、又はチューブのような)は、衛生上の理由から多くの場合に使い捨てであり、患者間の交差汚染を防止する細菌/ウイルスフィルタによってセンサ及びシステムの残余から分離される。その結果、振動測定システムは、一般的に、患者インタフェースと圧力及び流量測定の部位との間に有意な量の配管、ダクト、導管、フィルタ、及び/又は膜を閉じ込める場合がある。最終的に、小振幅の振動圧力及び流量変動、並びに呼吸導管へのそれらの取り付けモードを捕捉するのに使用される高感度変換器は、多くの場合に製造公差を保有し、そのためにどの個々のデバイスも異なる特性を有する場合がある。更に、個々の特性は、振動測定デバイスの日常的現場使用の一部として変更される場合がある。
【0006】
測定品質の別の重要な決定因子は、大気ポート、すなわち、患者の吸気及び呼気の呼吸気流がそれぞれデバイスにそれを通して入る及び出る開口部のインピーダンスである。このポートインピーダンスは、患者の呼吸に過度に負荷を掛ける及び/又はそれを不快にすることなく測定の信号対ノイズ比を最適化するために各患者に対して最適に選択されなければならない。
【0007】
その結果、測定システム、測定システムと患者インタフェース間の通路、及び大気ポートは、個々のデバイスと構成の間で変わる場合がある重要な動的特質を保有する。Zrsの決定の精度を高めるために個々の動的特徴付け及び補償が必要である場合がある。
【0008】
一般性を失うことなく、そのような動的較正は、2つのインピーダンス、すなわち、
図1に示すように、測定部位と患者インタフェースの間の導管に沿って主として抵抗性及び不活性の損失を捕捉する一方のインピーダンスZa、及びそのような導管のガス圧縮及び壁剛性を主として捕捉する第2のインピーダンスZbを少なくとも含有することができると規定することができる。
【0009】
振動測定システムは、病的な及び/又はより小さい小児の肺を表す特により高い負荷では、限られた測定精度を保有する場合がある。そのような不正確性は、上述の問題、すなわち、動的特質及び較正が、対象となる正確な用途及び構成に対して十分に正確ではなく又は特化していないことに起因している可能性がある。
【0010】
上述の問題は、一方で、デバイス構成は、測定精度を達成して維持するために緊密に制御されて個々に特徴付けられなければならず、他方で、異なる用途又は市場は、そのような個々の較正を無効にして測定精度を損なう危険を冒す柔軟なシステム構成、カスタマイズ、及び現場使用を必要とするという振動測定機器の設計でのジレンマを生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の開示の目的は、従来技術に関連する問題に対処する動的較正を用いるモジュール式振動測定デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
従って、本発明の開示の第1の実施形態によれば、振動流源を有するタイプの振動測定システムのためのモジュールを提供し、モジュールは、振動測定システムのコアアセンブリに解除可能に接続されるように構成されたエンクロージャであって、振動流源と流体連通するように構成された呼吸流路とユーザの呼気を受け入れるように構成された呼吸流路の第1の端部におけるユーザポートとを定める上記エンクロージャと、モジュールに特有の較正ファイルであって、呼吸流路の関数としてプログラムされ、ユーザ用の呼吸パラメータを評価するために振動測定システムによって使用するように構成された上記較正ファイルとを備える。
【0013】
更に、第1の実施形態によれば、例えば、保護要素が呼吸流路にある。
【0014】
更に、第1の実施形態によれば、例えば、保護要素はフィルタである。
【0015】
更に、第1の実施形態によれば、例えば、流量計がエンクロージャにあり、呼吸流路と流体連通している。
【0016】
更に、第1の実施形態によれば、例えば、流量計は、差圧変換器を有する呼吸気流計抵抗メッシュスクリーンを含む。
【0017】
更に、第1の実施形態によれば、例えば、呼吸気流計抵抗メッシュスクリーンは、ポリエーテルエーテルケトンで作られる。
【0018】
更に、第1の実施形態によれば、例えば、1つ(又は2以上)の圧力計がエンクロージャにあり、呼吸流路と流体連通することができる。
【0019】
更に、第1の実施形態によれば、例えば、圧力計のポートは、ユーザポートの中心線のいずれの側からも最大で75度である弓形セグメントに位置付けられる。
【0020】
更に、第1の実施形態によれば、例えば、大気ポートがエンクロージャにあり、呼吸流路と流体連通している。
【0021】
更に、第1の実施形態によれば、例えば、呼吸流路は、ユーザ部分を含む軸線方向部分から大気部分を含む半径方向部分まで曲がっている。
【0022】
更に、第1の実施形態によれば、例えば、流量調整メッシュが、呼吸流路の曲げ部にある又はそれに隣接することができる。
【0023】
更に、第1の実施形態によれば、例えば、可撓性パイプがエンクロージャに接続され、呼吸流路の一部を定めることができる。
【0024】
更に、第1の実施形態によれば、例えば、バイアス流源が、呼吸流路と流体連通することができる。
【0025】
更に、第1の実施形態によれば、例えば、処理ユニットがエンクロージャにあり、非一時的コンピュータ可読メモリが、処理ユニットに通信的に結合され、処理ユニットによって実行可能なコンピュータ可読プログラム命令を含むことができ、較正ファイルは、非一時的コンピュータ可読メモリの中にプログラムされる。
【0026】
更に、第1の実施形態によれば、例えば、モジュール式振動測定システムが、振動流源を有するコアアセンブリと上記で定めたようなモジュールとを備える。
【0027】
更に、第1の実施形態によれば、例えば、コアアセンブリは、処理ユニットに通信的に結合されて較正ファイルを使用してユーザの呼吸パラメータを評価するために処理ユニットによって実行可能なコンピュータ可読プログラム命令を含む非一時的コンピュータ可読メモリを含む処理モジュールを有する。
【0028】
更に、第1の実施形態によれば、例えば、データを表示するためにコアアセンブリ上にあるとすることができるユーザインタフェースを含む。
【0029】
更に、第1の実施形態によれば、例えば、振動流源は、線形アクチュエータに接続されたピストンである。
【0030】
更に、第1の実施形態によれば、例えば、振動流源は、ラウドスピーカである。
【0031】
本発明の開示の第2の実施形態によれば、処理ユニットと、処理ユニットに通信的に結合され、モジュールの呼吸流路上の振動流れを制御し、モジュールの呼吸流路での少なくとも1つの呼気から圧力及び/又は流量データを受け入れ、モジュールの呼吸流路に特有の動的特質を表す較正ファイルを取得し、圧力及び/又は流量データ及び較正ファイルを使用して少なくとも1つの呼吸パラメータを計算して出力するために処理ユニットによって実行可能なコンピュータ可読プログラム命令を含む非一時的コンピュータ可読メモリとを備える少なくとも1つの呼吸パラメータを計算するためのシステムを提供する。
【0032】
更に、第2の実施形態によれば、例えば、システムは、モジュールの別の1つのための別の較正ファイルを取得し、圧力及び/又は流量データ及びこの他の較正ファイルを使用して少なくとも1つの呼吸パラメータを計算して出力する。
【0033】
本発明の開示の第3の実施形態によれば、新しい用途に対する再構成及び適応の柔軟性が全ての構成で可能な最良の測定精度と共存することができるように個々の動的較正がデバイスの用途特有の及び/又は現場使用可能な部分と共にカプセル化(encapsulated)されるモジュール式振動測定システムを提供する。従って、本発明の開示により、振動流源、処理モジュール、及びユーザインタフェースを有するコアアセンブリと、コアアセンブリに解除可能に接続されたカプセル化モジュールであって、カプセル化モジュールが、振動流源と流体連通している呼吸流路を有し、呼吸流路が、患者の呼気を受け入れるように構成されており、カプセル化モジュールが、振動測定デバイスの用途特有の及び/又は現場使用可能な部分を含む上記カプセル化モジュールとを備える振動測定デバイスを提供し、個々の動的較正は、カプセル化モジュールにカプセル化される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】生インピーダンスZ0から呼吸器系入力インピーダンスZrsを計算する動的較正の使用を示すブロック図である。
【
図2】本発明の開示の実施形態によるカプセル化動的較正を用いるモジュール式振動測定システムのブロック図を有する概略図である。
【
図3】本発明の開示の別の実施形態によるカプセル化動的較正を用いるモジュール式振動測定システムのブロック図を有する概略図である。
【
図4】本発明の開示の別の実施形態によるモジュール式振動測定システムのモジュールとコアアセンブリの間の例示的インタフェースの斜視図である。
【
図5】本発明の開示の別の実施形態によるモジュールの流量ポート及び圧力ポートの相対角度位置の斜視図である。
【
図6】本発明の開示の別の実施形態による調整メッシュを含む流路の例示的形状の斜視図である。
【
図7】本発明の開示の更に別の実施形態によるカプセル化動的較正を用いるモジュール式振動測定システムの概略図である。
【
図8】本発明の開示の更に別の実施形態によるカプセル化動的較正を用いるモジュール式振動測定システムの概略図である。
【
図9】本発明の開示の更に別の実施形態によるカプセル化動的較正を用いるモジュール式振動測定システムの概略図である。
【
図10】本発明の開示の更に別の実施形態によるカプセル化動的較正を用いるモジュール式振動測定システムの概略図である。
【
図11】本発明の開示の更に別の実施形態によるカプセル化動的較正を用いるモジュール式振動測定システムの概略図である。
【
図12】本発明の開示の更に別の実施形態によるカプセル化動的較正を用いるモジュール式振動測定システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図面及び特に
図2を参照すると、本発明の開示に従って2つのサブアセンブリ、すなわち、コアアセンブリ11及びモジュール12から構成されるモジュール式振動測定システム10が示されている。一般性を失うことなく、コアアセンブリ11は、比較的用途に依存せず本質的に恒久的である場合があるということができるのに対して、モジュール12は、より用途特有であり、例えば、異なる用途又は患者群に対して又は日常的現場使用の一部としてシステムを再構成するために時々の交換を受ける場合がある。一実施形態によれば、同じコアアセンブリ11は、異なるモジュール12と共に使用することができる。モジュール12は、異なるモジュール12をコアアセンブリ11と共に使用することができるようにコアアセンブリ11から解除可能に切り離し可能とにすることができる。
【0036】
コアアセンブリ11は、振動流源20を含有する。実施形態によれば、
図2に示す振動流源20は、ハウジング23内で移動するピストン22に接続された線形アクチュエータ21である。取りわけ1つの例として、振動流源20は、単にいくつかを挙げると、線形アクチュエータによって駆動される膜、ラウドスピーカ、回転式ファン、ポンプ、又は加圧空気のソースに接続されたバルブである場合がある。
【0037】
コアアセンブリ11は、データストレージのためのメモリを有する1又は2以上のプロセッサ、通信機器、A/D及びD/Aコンバータのような周辺機器、信号増幅器、フィルタ、及び発振器ドライバを含む全ての必要な電子機器を有する処理モジュール24を更に含有することができる。処理モジュール24は、処理ユニットに通信的に結合されて処理ユニットによって実行可能なコンピュータ可読プログラム命令を含む非一時的コンピュータ可読メモリを更に含むことができる。コアアセンブリ11はまた、単にいくつかを挙げると、重力に対するデバイスの向き、温度、又はピストン22の変位のような追加の信号を測定するのに追加のセンサ25を有することができる。コアアセンブリ11は、ユーザインタフェースモジュール26を更に含むことができ、これ自体は、単にいくつかを挙げると、ライト、ディスプレイ、スピーカ、又はブザーのような情報をユーザに出力するインジケータを含むことができ、取りわけいくつかを挙げると、ボタン、タッチインタフェース、ポインタデバイス、又はスクロールホイールのようなユーザからの指令を受け入れる入力部を含むことができる。コアアセンブリ11はまた、電源、電力コード、誘導伝送要素、バッテリ、又は太陽電池パネルのようなエネルギソース27を含有することができ、単にいくつかを挙げると、ノッチ、クランプ、ブラケット、又はスクリューのような取り付けインタフェース28は、例えば、スタンド、支持アーム、三脚、棚、ベッドフレーム、車椅子、又は類似のものにそれを取り付けることにより、システム10を物理的に支持することを可能にする。そのような構成要素のいずれか1つ又はいずれかの組合せは、
図2の11の点描線によって概略的に示すように、コアアセンブリ11の単一ケーシング又はエンクロージャに一体化するか又はそれを含むことができる。これに代えて、例えば、処理ユニット、ユーザインタフェースモジュール26、エネルギソース27は、可能性として携帯式デバイス(例えば、タブレット、読取器、電話)又はラップトップのような個別のデバイスにあることができるので、コアアセンブリ11は、単一エンクロージャにある必要はない。
【0038】
モジュール12は、コアアセンブリ11のエンクロージャとは異なるそれ自体のエンクロージャ(別名、本体、ケーシング)を有する。モジュール12は、呼吸流路30又はその一部を封入するか又は定めることができ(例えば、呼吸流路30は、エンクロージャの外にその部品を有することができ)、これは、実施形態によりマウス部品として示された患者インタフェース構成要素33に細菌/ウイルスフィルタのような保護要素32を通じて任意的に取り付けられる導管31から構成される。患者インタフェース構成要素33はまた、単にいくつかを挙げると、ユーザの口及び/又は鼻を覆うマスク、気管内、挿管、又は気管切開チューブ、又は喉頭マスクとすることができる。患者インタフェース構成要素33の近位端は、呼吸器系インピーダンスZrs及び/又は他の呼吸パラメータが測定されることになるカットオフポイントを表すことができる患者ポート34を形成する。表現「患者ポート」34が本明細書に使用されるが、表現「ユーザポート」34も使用される。明確にするために、システム10のユーザ、すなわち、呼吸器系が評価されることになる個人は、患者である必要がない及び/又は病態又は病状がない場合があり、それにより、表現「患者」は、通路30の末端の呼称として及び検査されている個人に対して使用されると見なさなければならない。更に、報告されるZrs値は、患者ポート34から下流に位置付けられた全ての呼吸器系要素の寄与を含む必要があるが、患者ポート34から上流に位置付けられた機器構成要素の寄与を含む必要はなく、下流及び上流は、吸気流れの方向に定められる。
【0039】
流路30の更に別の部品は、空気が吸気中に導管31の中に入り、空気が呼気中に導管31から出る大気ポート35である。上述のように、振動波形の周波数範囲内の大気ポート35のインピーダンスは、過度の患者の負荷を回避しながら測定の信号対ノイズ比を最適化するように選択することができる。以下に説明するように、大気ポート35は、コアアセンブリ11の一部とすることができ、通路30は、コアアセンブリ11及びモジュール12によって同時に定められている。
【0040】
実施形態では、流量計40(別名、フローメーター)は、患者の気道開口部に入る及び出る空気流量を測定するために導管31と流体連通することができる。流量計40は、差圧変換器を有する呼吸気流計抵抗メッシュスクリーンとして示されている。単にいくつかを挙げると、ハニカム、超音波、ピトー、可変オリフィス、又はベンチュリ呼吸気流計のような他のタイプの流量計を使用することができる。
【0041】
呼気は、体温及び湿度、例えば、摂氏37度及び相対湿度100%に対して調整されるので、凝縮は、自然により冷たい、例えば、周囲の室温で流路30の部分上で起こる場合がある。これは、一部のタイプの流量計40、例えば、メッシュ又はハニカムタイプのものに影響を与える可能性がある。そのような流量計は、それらの構造の空気流れ抵抗の線形性及び安定性に依存する場合があり、凝縮は、それらの構造の予想される線形性及び空気流れ抵抗を変える場合がある。そのような流量計は、凝縮が起こるのを防止するために呼気温度に近い温度に加熱することができる。実施形態では、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)のような疎水性物質から生成される流量計構成要素をそれらが流量計抵抗メッシュ上の凝縮の蓄積を低減することができるので使用することができる。
【0042】
モジュール12はまた、導管41内の圧力を測定するために導管13と流体連通している圧力計41を含むことができる。実施形態では、圧力計41は、患者に向う流量計40の側に位置付けられるが、他の配置が可能である。流量計40及び圧力計41は、1又は2以上のプロセッサ、データストレージのためのメモリ、A/D及びD/Aコンバータのような周辺機器、信号増幅器、及びフィルタを含むことができる処理モジュール42に接続される。処理モジュール42は、処理ユニットに通信的に結合されて処理ユニットによって実行可能なコンピュータ可読プログラム命令を含む非一時的コンピュータ可読メモリを含むことができ又は含まない場合がある。別の実施形態では、流量計40及び/又は圧力計41のようなモジュール12の構成要素からの信号は、コアアセンブリ11において処理モジュール24によって処理することができる。処理モジュール42に接続されるか又はそれに含有されるのは、識別子、電子データシート、及び重要なことにこのモジュール12のための動的較正データ(例えば、較正ファイル)のようなモジュール特有の情報が不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリ)に格納されるレポジトリ43又は類似のデータベースである。レポジトリ43又はその一部分は、コアアセンブリ11又は別の場所、例えば、オンライン「クラウド」レポジトリに含有される場合もある。
【0043】
モジュール12は、モジュールインタフェース50を通じてコアアセンブリ11に接続することができる。シール51又は類似の密封又は気密配置は、発振器20と導管31の間に存在することができ、そのために空気流れは、有意な損失なく流路30を通って、すなわち、大気ポート35から患者ポート34まで及び逆も同様に通過することができる。モジュールインタフェース50はまた、コアアセンブリ11上の処理モジュール24がモジュール12上の処理モジュール42(存在する場合)と通信することを可能にする通信リンク52を含むことができる。通信リンク52は、取りわけいくつかのソリューションを挙げると、有線接続、Bluetooth(登録商標)、光符号化、磁気符号化、又はRFIDタグのような無線接続を通じて達成することができる。インタフェース50は、モジュール12をコアアセンブリ11に物理的に固定するための手段53を含むことができ、これは、単にいくつかを挙げると、1又は2以上のスクリュー、クランプ、バイオネット又は磁気アタッチメント、スナップ式コネクタを含むことができる。
【0044】
モジュール12がコアアセンブリ11に装着された時に、振動測定システム10は、振動を発生させて圧力及び流量測定値を記録するのに必要な全ての構成要素を有する。測定値は、システム10によって又はそこから遠隔で処理され、Zrs及び/又は他の関連の呼吸パラメータを計算することができる。
【0045】
一実施形態では、処理モジュール24は、単にいくつかを挙げると、コンピュータ、タブレット、スマートフォン、遠隔医療サーバ又は中央データベースのような外部コンピュータデバイスにそのような記録を送信する通信手段を含む。この場合の処理モジュール24はまた、処理モジュール42(存在する場合)と通信し、レポジトリ43に含有されるか又はモジュール12に関連付けられたモジュール特有の情報及び較正係数を検索することができる。次に、モジュール特有の情報及び較正係数は、測定データと共に含まれる場合があり、そのために外部コンピュータデバイスで実行される解析モジュールは、Zrs及び/又は他の関連の呼吸パラメータを計算するのに必要な全ての情報へのアクセスを有する。
【0046】
類似の実施形態では、処理モジュール24及び処理モジュール42の両方は、Zrs及び/又は他の関連の呼吸パラメータを正確に計算するのに必要であるので外部コンピュータデバイスが両情報ソースからのデータ及びメタデータを同期して位置合わせすることを可能にする方式で外部コンピュータデバイスと直接通信する通信手段を有する(必ずしも互いに通信するとは限らない)。
【0047】
別の実施形態では、処理モジュール24及び42は、レポジトリ43に含有された較正係数を使用してZrsを直接計算する処理機能を有することができる。ユーザインタフェースモジュール26がシステム10に存在する場合に、その結果は原位置で表示することができる。同時に、システム10は、保存、可視化、及び更に別の解析のために上述のように外部コンピュータデバイス又はデータベースに中間結果及び/又は最終結果を伝達することができる。
【0048】
必要に応じて、モジュール式振動測定システム10に含有されたモジュール12は、現場使用の一部として又は異なる用途にシステムを適応させるために交換される場合がある。後者の場合に、再構成は、例えば、成人の被験者に以前に使用されたシステムを子供又は幼児に適応させるために必要である場合があり、ここで、異なる通路サイズ及び測定感度は、いくつかを挙げると、伝染性の高い患者群に使用するモジュール12を除染し、及び/又は調達理由のために異なるタイプの細菌/ウイルスフィルタ32に切り換え、及び/又は患者の快適性を最適化するのに必要である場合がある。処理モジュール24、処理モジュール42、及び/又は外部コンピュータシステムは、一部の事例では、モジュール12に固有の(レポジトリ43などに含有された)情報にアクセスする。従って、処理モジュール24、処理モジュール42、及び/又は外部コンピュータシステムは、ユーザの関与又は調節及び/又は原位置較正の必要なく再構成システム10からZrsを計算するためにモジュール12に特有の動的較正データを使用することによってそれらの評価を調節することができる。言い換えれば、モジュール12に特有の較正データ/ファイルは、モジュール12のフィンガープリントであり、すなわち、呼吸流路30がそれ自体の固有の形状及び特性(例えば、各通路30に対する流れに影響を与える表面摩擦、構成要素の位置、その他)によって流れに個々に影響を与える方法とすることができる。較正ファイルは、各モジュール12に対してプログラムされた個々の較正ファイルを有するようにモジュール12のベンチ試験を通じて得ることができる。
【0049】
図3に示す別の実施形態では、保護要素32及び患者インタフェース構成要素33は、導管31の患者の端部でポート36を通じてモジュール12から物理的に分離されて外部的に取り付けられ、例えば、解除可能に取り外し可能とすることができる。これは、例えば、保護要素32及び患者インタフェース構成要素33が衛生上の理由で必要とされる又は望ましい場合がある単回使用使い捨て可能な供給品として実施される場合に有用とすることができる。更に一般性を失うことなく、保護要素32及び患者インタフェース構成要素33は、単一部品として、例えば、単にいくつかを挙げると、一体化マウス部品を有する細菌/ウイルスフィルタとして、又は一体化細菌/ウイルスフィルタを有するフェイスマスクとして製造することができる。保護要素32及び患者インタフェース構成要素33は、螺合係合、締まり嵌め、及び/又はシールなどのようなあらゆる適切な配置によってモジュール12のエンクロージャに解除可能に接続することができる。
【0050】
図3に示す実施形態に関して、動的較正データ(例えば、レポジトリ43に含有された)は、ユーザ交換可能構成要素、すなわち、保護要素32及び患者インタフェース構成要素33を含む流路30全体の動的特質を表している。従って、ユーザ交換可能構成要素のタイプに特有の個々の動的較正係数を含有する専用モジュール12は、動的特質がユーザ交換可能構成要素によって変化すると見なされる場合に、保護要素32及び患者インタフェース構成要素33の各許容される組合せに対する精度を高めるのに使用することができる。例えば、レポジトリ43に含有されてリンク52を通じて通信する情報を使用して、例えば、単にいくつかを挙げると、ユーザインタフェースモジュール26上のディスプレイを通じて、又は外部コンピュータデバイスを通じて必要なタイプの構成要素のユーザに情報を与えることができる。更に、正しい使い捨て用品のみが使用されることを保証するために、固有の重要な特徴37は、ポート38に含めることができる。固有の重要な特徴37は、互換性のない使い捨て用品を遮断するのに機械的干渉を提供することができる。これに代えて又はこれに加えて、処理モジュール42に接続された検出器44を使用して、使い捨て用品が存在し、許容される使い捨て用品のみが使用されることを保証するために、保護要素32上に位置付けられたタグ45からタイプ識別子を読み取ることができる。実施形態では、レポジトリ43は、異なる互換性のあるタイプの使い捨て用品に対して複数の較正ファイルを含むことができ、検出器44及びタグ45から得られるタイプ情報を使用して、ユーザが取り付けている許容可能な使い捨て用品に対して正しい較正ファイルをレポジトリ43から自動的に選択することができる。
【0051】
類似の実施形態のより詳細な図面は、
図4に示されている。この実施形態では、コアアセンブリ11とモジュール12の間のインタフェースは、スクリュー又はボルトなどのようなファスナから構成される圧縮機構74として示されている。ファスナの締め付けは、コアアセンブリ11に対してモジュール12を押圧する。例えば、柔軟で再利用可能なシーラント構成要素75を均等に圧縮することにより、コアアセンブリ11との用途特有の及び/又は現場使用可能な部分モジュール12の間の気密結合部を得ることができる。シーラント構成要素75は、独立気泡発泡体のようなあらゆる適切なタイプのシールとすることができる。柔軟材料の使用は、いくつかを挙げると、少数のスクリュー、手動ラッチ、つまみスクリュー、磁石のような比較的低い力/低い圧力の締結機構の使用を可能にする。実施形態では、シーラント構成要素75は、平面にあり、圧縮の方向は、シーラント構成要素75の平面に垂直なベクトルを有する。別の実施形態では、シーラント構成要素75は存在せず、システムは、代わりに相補的面又は特徴部に依存する。
【0052】
別の実施形態によれば、
図5及び6に示すように、大気ポート35は、患者ポート34及び流量計40の軸線に対してほぼ半径方向に向けることができる。言い換えれば、真っ直ぐな貫流式チャネルである通路30(同じく本発明の開示に従って
図7及び8にあるような)を有することに代えて、通路30は、大気ポート35の方向に湾曲することができる。通路30は、患者ポート34から離れて半径方向部分を有し、患者ポート34において直線部分を有することができる。表現「半径方向部分」は、通路が直線部分の中心軸から離れて半径方向に湾曲するか又は曲がることを示すのに使用される。実施形態では、湾曲又はその存在は、例えば、キャンディ棒又はキャンディ棒の一部のように緩やかである。これは、例えば、システム10がオペレータによる手持ち式である時に、患者の呼気がすぐ近くのオペレータに向けられないという利点を有する。これは、非直線的な複雑な流路30をもたらす。そのような構成では、圧力計41のポートは、大気ポート35及び大気ポート35側の患者ポート34を通じて中心線のいずれの側からも最大で75度の弓形セグメントに位置することができる。そのような配置では、圧力は、空気流れの乱流が発生する可能性が最も低い流路30の一部で測定される。しかし、他の配置も考えられている。使用する流量計40のタイプが、例えばメッシュ呼吸気流計の場合である差圧の測定を伴う時に、同じ配慮は、流量計40の差圧ポートの配置に適用される場合がある。湾曲流路30では、圧力は、流れストリーム内の異なる位置でサンプリングすることができ、平均流量又はそれ以上又はそれ以下で圧力低下をサンプリングする通路30に沿って位置を選択する。実施形態では、平均圧力が適切とすることができるが、平均圧力に対する関連位置は、必ずしも湾曲通路の中心にあるとは限らない場合がある。圧力ポートの位置は、結果として試験ベッドで実験的に決定された理論的試験負荷インピーダンスの正確な再現に基づく場合がある。従って、
図5に示す構成は、大気ポート35及び大気ポート35の側の患者ポート34を通じて中心線のいずれの側からも75度の弓形セグメントに位置付けられた圧力計41のポートによって得ることができる。較正ファイルは、例えば、乱流のようなインピーダンスの推定値に対する他の影響に対して何らかの補償を追加することにより、場所を考慮することができる。
【0053】
実施形態では、非直線的な流路構成の測定精度は、流量計40と流路30での軸線方向から半径方向への流れ遷移が曲がるゾーンとの間に追加の流量調整メッシュ46を配置することにより、
図6に示すように高めることができる。この流量調整メッシュ46は、乱流を低減して流量計40の部位に層流を保持することができる。
【0054】
上記実施形態に関して議論したような大気ポート35の半径方向の向きは、多くの可能な構成のうちの1つに過ぎない。
図7に示す代替実施形態では、大気ポート35は、患者ポート34及び流量計40と同じ軸線に配置され、発振器20に向けたインタフェース50は、その軸線に横断方向に又は直角方向に位置付けられたサイドポートに配置される。
図8に示す更に別の実施形態では、大気ポート35は、ピストン22の中へのプラグインサートとして実施され、従って、終端インピーダンスを大気に提供する抵抗要素は、発振器20がアクティブである時にピストン面と共に移動する(「振動メッシュ」構成)。
【0055】
図9に示す別の実施形態では、可撓性パイプ60は、患者に対するシステム10の柔軟配置を可能にするために導管31と保護要素32の間(又はこれに代えて、図には示されていないが、保護要素32と患者インタフェース構成要素33の間)の流路30の中に挿入することができ、逆も同様である。これは、単にいくつかを挙げると、車椅子に着座する身体障害患者、ベッドであお向けの患者、又はベビーベッドに横たわっている子供又は幼児のような物理的に固定化された及び/又はシステム10に近づくことができない患者を測定し、並びに眠っている被験者及び特に眠っている幼児のような発振器の振動によって容易に妨げられる場合がある患者から測定値を得るのに有用である場合がある。
【0056】
一部の事例では、可撓性パイプ60の追加は、許容されるレベルを超えて流路30内のデッドスペースを増大する場合がある。そのような場合に、バイアス流源61は、システム10に含められ、発振器20によって生成される振動流れを押しのけるほど十分に高いインピーダンスを有する必要がある通路62を通じてサイドポート63に接続することができる。バイアス流量は、大気ポート35とバイアス流ポート63の間の流路30に含有される容量を洗い流すのに十分である必要があり、その結果、この容量は、もはや換気機器のデッドスペースに寄与しなくなる。
【0057】
図10に示す別の実施形態では、流量計40及び圧力計41は、可撓性パイプ60と保護要素32の間の中に挿入される測定ヘッド64の一部として実施される。この手法は、一部の用途では、信号対ノイズ比を最適化するのに機能することができる。
図9及び10に示すバイアス流源61及びバイアス流ポート63の配置は例示に過ぎない。例えば、バイアス流ポートは、保護要素32又は患者インタフェース構成要素33に一体化されるか又は保護要素32と患者インタフェース構成要素33の間に位置することもできる。同様に、バイアス流源61は、モジュール12に含有されたポンプ、コアアセンブリ11に含有されたポンプとすることができる。
【0058】
図11に示す別の実施形態は、機械換気を受け入れる患者において振動測定値を得るように機能することができる。この実施形態では、その中に含有される導管31及び大気ポート35は、標準換気装置Y部品70が大気ポート35に接続することができるような形状にされる。次に、吸気通路71及び呼気通路72は、患者に換気支援を提供するために典型的な機械換気装置に接続することができる。そのような実施形態では、大気ポート35のインピーダンスは、発振器20によって発生する僅かな振動流れを増大するように最適化されて患者の肺に達し、測定の信号対ノイズ比は、呼吸回路の過度の負荷を回避しながら最適にされる。
【0059】
ここでもまた、用途が、例えば、換気装置配管の過度の振動を回避するように発振器を患者から物理的に分離することを要求する場合に、可撓性パイプ60は、
図9に示すように、ここでもまた導管31に取り付けることができる。T部品又はY部品のような3つのポートを有するマニホルド73は、可撓性パイプ60の他方側に取り付けられる。そのマニホルドの第2のポートに取り付けられるのは、以前に詳述したような測定ヘッド64であり、それには、保護要素32が更に接続され、又は患者インタフェース構成要素33の中に、最終的には患者に更に接続される。マニホルド73の第3の及び最終ポートは大気ポート35であり、これは、以前の実施形態にあるように換気装置配管に接続される。
【0060】
全ての実施形態では、対象となるモジュール12に特有の較正係数は、レポジトリ43に埋め込まれ、又は計算のためにシステム10に利用可能であり、その結果、測定精度は、モジュール12を交換した後で高められるようになる。例えば、システム10は、評価を行うためにモジュール12に特有の較正ファイルをアップロードするか又は取得することができる。更に、追加のセンサ又はボタンのようなユーザ入力部は、与えられたタイプのモジュールと共に含まれて人間工学的作動を可能にすることができる。
【0061】
モジュール12は、一般的に、振動流源を有するタイプの振動測定システムのためのモジュールとして説明することができる。モジュール12は、振動測定システム10のコアアセンブリ11に解除可能に接続するように構成されたエンクロージャを有し、エンクロージャは、振動流源20と流体連通するように構成された呼吸流路30を定める。呼吸流路30の第1の端部におけるユーザポート34は、ユーザの呼気を受け入れるように構成することができる。ユーザ用の呼吸パラメータを評価するために、モジュール12に特有の較正ファイルは、呼吸流路の関数としてプログラムされ、評価において振動測定システム10によって使用されるように構成される。
【0062】
システム10は、一般的に、上述のインピーダンスZrsを含む1又は2以上の呼吸パラメータを計算するためのものであると説明することができる。システム10は、モジュールの呼吸流路に対する振動流れを制御し、モジュールの呼吸流路での少なくとも1つの呼気から圧力及び/又は流量データを受け入れ、モジュールの呼吸流路に特有の動的特質を表す較正ファイルを取得し、圧力及び/又は流量データ及び較正ファイルを使用して少なくとも1つの呼吸パラメータを計算して出力するために、処理ユニットに通信的に結合されて処理ユニットによって実行可能なコンピュータ可読プログラム命令を含む非一時的コンピュータ可読メモリを有する24及び/又は42のような1又は2以上の処理ユニットを含むことができる。システム10は、モジュールの別の1つに対して別の較正ファイルを取得することができ、圧力及び/又は流量データ及びその他方の較正ファイルを使用して少なくとも呼吸パラメータを計算して出力する。