(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】装置、磁石、及び方法
(51)【国際特許分類】
H01F 6/06 20060101AFI20240418BHJP
H01F 6/04 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
H01F6/06 110
H01F6/06 140
H01F6/04
(21)【出願番号】P 2021534337
(86)(22)【出願日】2019-12-23
(86)【国際出願番号】 US2019068332
(87)【国際公開番号】W WO2020139832
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-12-15
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596060697
【氏名又は名称】マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー
(73)【特許権者】
【識別番号】521259219
【氏名又は名称】コモンウェルス・フュージョン・システムズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100211236
【氏名又は名称】道下 浩治
(72)【発明者】
【氏名】ラボンバード,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】グラネッツ,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】アービー,ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ビエイラ,ルイ
(72)【発明者】
【氏名】ベック,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ブルンナー,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ドゥーディ,ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】グリーンウォルド,マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ハートウィグ,ザカリー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】マムガード,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ラドビンスキー,アレクセイ
(72)【発明者】
【氏名】シライワ,シュンイチ
(72)【発明者】
【氏名】ソルボム,ブランドン・エヌ
(72)【発明者】
【氏名】ライト,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ,リフア
【審査官】後藤 嘉宏
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-143308(JP,A)
【文献】特開昭64-039008(JP,A)
【文献】特開昭55-125601(JP,A)
【文献】特開2009-170550(JP,A)
【文献】特開2012-195413(JP,A)
【文献】特開平06-243745(JP,A)
【文献】特開平04-292810(JP,A)
【文献】米国特許第04135294(US,A)
【文献】特開2008-244280(JP,A)
【文献】米国特許第05426408(US,A)
【文献】特表2016-534327(JP,A)
【文献】特開2015-012182(JP,A)
【文献】特開平11-003814(JP,A)
【文献】特表2018-532262(JP,A)
【文献】実開昭54-060476(JP,U)
【文献】特開昭58-040803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 6/06
H01F 6/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の溝を有する第1の導電性板と、
前記第1の溝内に配設される第1の高温超伝導体(HTS)テープ積重体であって、スパイラル形状を有する、第1のHTSテープ積重体と、
第2の溝を有する第2の導電性板と、
前記第2の溝内に配設される第2のHTSテープ積重体であって、スパイラル形状を有する、第2のHTSテープ積重体と、
前記第1のHTSテープ積重体と前記第2のHTSテープ積重体との間の導電性接続部であって、前記導電性接続部は、高温超伝導体、または、30
ケルビンより上の温度において超伝導体でない金属を含む、導電性接続部と、
を備え、
前記第1のHTSテープ積重体は、希土類バリウム銅酸化物を含む、
装置。
【請求項2】
前記導電性接続部は、30
ケルビンより上の温度において超伝導体でない金属を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記金属は、銅を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1のHTSテープ積重体は、複数の巻回を含み、前記第1の導電性板は、前記複数の巻回のそれぞれの巻回の間の電気接続部を設ける、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の溝は、スパイラル形状を有し、前記第2の溝は、スパイラル形状を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の導電性板は、金属または金属合金を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の導電性板は、鋼鉄を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
少なくとも前記第1のHTSテープ積重体を、前記第1のHTSテープ積重体が超伝導である温度まで冷却するための冷却剤チャンネルをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記冷却剤チャンネルは、前記第1の溝内に配設される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記冷却剤チャンネルは、前記第1の溝の外側に配設される、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の導電性板は、前記第2の導電性板から電気的に絶縁される、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記第1および/または第2の導電性板は、前記第1および第2の導電性板が一緒に一組にされるときに、前記第1および第2の導電性板を位置合わせするための、1つまたは複数の位置合わせ構造を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記導電性接続部は、30
ケルビンより上の温度において超伝導体でない金属を含み、前記導電性接続部は、前記第1のHTSテープ積重体の最も内方の巻回と前記第2のHTSテープ積重体の最も内方の巻回との間に形成される、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記第1の溝は、少なくとも第1および第2の巻回を含み、前記第1の巻回は、第1の幅を有し、前記第2の巻回は、第2の幅を有し、前記第2の幅は、前記第1の幅より大である、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記第1の溝の前記第2の巻回は、前記第1のHTSテープ積重体の複数の巻回を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記装置は、磁石を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記第1のHTSテープ積重体に電気的に結合される伝導性端子ブロックをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記第1の溝内に共巻き材料をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
第1の溝を有する第1の導電性板と、
前記第1の溝内に配設される第1の高温超伝導体(HTS)テープ積重体であって、スパイラル形状を有する、第1のHTSテープ積重体と、
第2の溝を有する第2の導電性板と、
前記第2の溝内に配設される第2のHTSテープ積重体であって、スパイラル形状を有する、第2のHTSテープ積重体と、
前記第1のHTSテープ積重体と前記第2のHTSテープ積重体との間の導電性接続部であって、前記導電性接続部は、高温超伝導体、または、30
ケルビンより上の温度において超伝導体でない金属を含む、導電性接続部と、
を備え、
前記第1のHTSテープ積重体は、希土類バリウム銅酸化物を含み、
前記第1のHTSテープ積重体は、第1の複数の巻回を含み、
前記第1の導電性板は、前記第1の複数の巻回のそれぞれの巻回の間の電気接続部を設け、
前記第2のHTSテープ積重体は、第2の複数の巻回を含み、
前記第2の導電性板は、前記第2の複数の巻回のそれぞれの巻回の間の電気接続部を設ける、
磁石。
【請求項20】
前記導電性接続部は、30
ケルビンより上の温度において超伝導体でない金属を含む、請求項19に記載の磁石。
【請求項21】
前記金属は、銅を含む、請求項20に記載の磁石。
【請求項22】
前記磁石は、非絶縁磁石である、請求項19に記載の磁石。
【請求項23】
前記第1の導電性板は、金属または金属合金を含む、請求項19に記載の磁石。
【請求項24】
前記第1の導電性板は、鋼鉄を含む、請求項19に記載の磁石。
【請求項25】
前記第1の導電性板は、前記第2の導電性板から電気的に絶縁される、請求項19に記載の磁石。
【請求項26】
前記導電性接続部は、30
ケルビンより上の温度において超伝導体でない金属を含み、前記導電性接続部は、前記第1のHTSテープ積重体の最も内方の巻回と前記第2のHTSテープ積重体の最も内方の巻回との間に形成される、請求項19に記載の磁石。
【請求項27】
前記第1の溝は、少なくとも第1および第2の巻回を含み、前記第1の巻回は、第1の幅を有し、前記第2の巻回は、第2の幅を有し、前記第2の幅は、前記第1の幅より大である、請求項19に記載の磁石。
【請求項28】
前記第1の溝の前記第2の巻回は、前記第1のHTSテープ積重体の複数の巻回を含む、請求項27に記載の磁石。
【請求項29】
少なくとも前記第1のHTSテープ積重体を、前記第1のHTSテープ積重体が超伝導である温度まで冷却するための冷却剤チャンネルをさらに含む、請求項19に記載の磁石。
【請求項30】
第1の溝を有する第1の導電性板を形成するステップと、
第1の高温超伝導体(HTS)テープ積重体を前記第1の溝内へとスパイラル形状で配設するステップであって、前記第1のHTSテープ積重体は希土類バリウム銅酸化物を含む、ステップと、
第2の溝を有する第2の導電性板を形成するステップと、
第2のHTSテープ積重体を前記第2の溝内へとスパイラル形状で配設するステップと、
前記第1のHTSテープ積重体と前記第2のHTSテープ積重体とを、高温超伝導体または30
ケルビンより上の温度において超伝導体でない金属を含む導電性接続部で電気的に接続するステップと、
を含む製作方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001]当技術分野において知られているように、高磁場超伝導磁気装置(high-field superconducting magnetics)の製作のための既存の手法は、(1)ITERのトロイダル磁場磁気装置に対して用いられているような低温超伝導体(LTS)ケーブル・イン・コンジット導体(CICC)設計、および、(2)レイヤー巻き(layer-wound)コイルまたはスパイラル巻き(spiral-wound)「パンケーキ」コイル組立体へと直接的に巻かれる高温超伝導体(HTS)テープに基づくHTS設計を含む。HTS導体に基づくCICCに類する手法が、さらには追い求められている。
【0002】
[0002]CICC手法において、コンジットは、巻線部(winding pack)から電気的に絶縁される。冷却剤は、コンジットの内側を流れるように制約される。巻線部および外部支持殻の形状が、電流径路および冷却剤径路の形状を規定する。ITERトロイダル磁場コイルの例に対して、巻線部および外部支持殻は、D形状を有するように設けられる。巻線部および外部殻構造は、主として、高磁場磁石により発生させられるローレンツ力を内包することに対して責任を負う(すなわち、巻線部および殻は、ローレンツ荷重を支持しなければならない)。磁石クエンチ事象(高い信頼性で、および、外部保護システムによって損傷を減ずるのに十分な先行時間を伴って検出されなければならない)の事例において、貯蔵される磁気エネルギーは、磁石端子においての外部抵抗体内へと捨てられる。かくして、CICC内の電流は、超伝導体内の通常の域を避け、代わりに、銅安定化材内へと流れる。
【0003】
[0003]高電圧電気絶縁に対する必要性と組み合わされる、銅安定化材および冷却剤チャンネル(coolant channel)をコンジット内に有することの必要性は、磁石設計を複雑にするものであり、なぜならば、これらの要素は、構造的に弱く、それにもかかわらず、それらの要素は、巻線部内で相当量の体積を占有するからである。加うるに、CICCに基づく磁気装置に対する製作工程は、素線/テープの撚り合わせ、これらの部分要素を一緒に覆うこと、および、CICCを巻線部内へと曲げて挿入することを含む、多くのステップを必然的に含んで、長く、骨の折れるものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004]本概要は、詳細な説明において下記でさらに説明される、単純化された形式での概念の選択物を紹介するために提供されるものである。本概要は、請求される主題の主要または本質的な、特徴または組み合わせを識別することを意図されず、本概要は、請求される主題の範囲を制限するために使用されることも意図されない。
【0005】
[0005]本明細書において説明されるのは、従来技術製作技法と比較して相対的に単純である製作技法を使用して、堅牢な高磁場超伝導磁石を構築するための手段、および、商業化に向けて良好にスケーリングするモジュール式構成要素を可能なものにする、概念、システム、構造、および技法である。非絶縁(non-insulated)高温超伝導テープ(HTS)を利用し、強化される(および理想的には、最適化される)冷却剤径路を可能なものにする - 結果的に生じる磁石組立体は、本来的に、構造的に強い。このことは、HTSテープ技術によって利用可能な高い磁場の高い程度の利用(および理想的には、最大利用)を可能にする。加うるに、本明細書において説明される概念は、クエンチエネルギーを安全に散逸させ、一方で同時に、受け入れ可能な磁石充電時間を得るために、テープ積重体、および、包囲する上部構造の中のクエンチ誘導電流分布の制御を可能なものにする。最終的な結果物は、クエンチ障害状況に対して受動的に保護される、構造的および熱的に堅牢な高磁場磁石組立体である。
【0006】
[0006]実施形態において、説明される概念は、核融合発電施設(例えば、小型核融合発電施設)においての、および、高エネルギー物理学用途においての使用のための高磁場磁石の商業化を容易にし得る。しかしながら、本明細書において提供される説明を読む後で、当業者は、開示される概念が、高磁場磁石を使い得る広い範囲の他の用途においての使用(例えば、広い範囲の産業用の使用)に対して一般的に適用可能であるということを、たやすく察知することになる。そのような用途は、医学および生命科学分野においての用途(例えば、磁気共鳴画像法および分光法);化学、生化学、および生物学分野においての用途(例えば、核磁気共鳴(NMR)、NMR分光法、電子常磁性共鳴(EPR)、およびフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FT-ICR));粒子加速器および検出器においての用途(例えば、放射線療法に対する機器においてなど、保健医療用途においての使用に対する);高温水素プラズマの発生および制御のためのデバイスにおいての用途;輸送機関の境域においての用途;電力発生および変換の境域においての用途;重工業においての用途;兵器および防衛においての用途;ならびに、高エネルギー粒子物理学の境域においての用途を含むが、それらに制限されない。
【0007】
[0007]本明細書において説明される概念の1つの態様によれば、高磁場磁石組立体は、複数の導電性板を含み、複数の導電性板の各々は、内に設けられるスパイラル溝を有し、上記複数の導電性板は、第1の最も外方の表面と、第2の反対向きの最も外方の表面とを有する一体式パンケーキ組立体を形成するように配設される(例えば、積重される)。高磁場磁石組立体は、上記第1および第2の導電性板の溝により形成されるチャンネル内に配設される非絶縁(NI)HTSテープ積重体をさらに含む。実施形態において、HTS積重体は、非絶縁材料、絶縁材料、または半導電材料の、1つまたは組み合わせを備え得る、共巻き(co-wind)材料を含み得る。実施形態において、チャンネルは、2つ以上の積重体を内包するように、適するようにサイズ設定され得るものであり、任意選択で機械的に板と係合することができる別個の構造が、積重体の間に配置される。チャンネルは、パンケーキ組立体の第1の最も外方の表面上の第1の開口部と、パンケーキ組立体の第2の反対側の最も外方の表面上の第2の開口部とを有する。NI HTSテープ(および、含まれるときの共巻き積重体)は、NI HTSテープ(および共巻き積重体)が、パンケーキ組立体の第1の最も外方の表面から、パンケーキ組立体の第2の反対側の最も外方の表面への経路を形成するように、チャンネル内に連続的に配設される。
【0008】
[0008]実施形態において、スパイラル溝付き板の対(例えば、上部板および下部板)が、一体式ダブルパンケーキ組立体を形成するように積重される。
【0009】
[0009]実施形態において、2つの同一のスパイラル溝付き板が、背部を向かい合わせて組み立てられ、絶縁材料が、それらの板の間に挿入される、または、他の形で配設される。共巻きを伴う1つまたは複数のHTSテープ積重体が、上部板上の内に向かうスパイラル、下部板までのらせん、および、下部板上の外に向かうスパイラルを整える溝内へと配設される。
【0010】
[0010]実施形態において、高磁場磁石組立体は、所望される(および理想的には、最適化される)磁石クエンチ挙動をもたらすように選択される、共巻き材料と、表面被覆物とを含むことができる。
【0011】
[0011]実施形態において、高磁場磁石組立体は、所望される(および理想的には、最適化される)磁石クエンチ挙動をもたらすように選択される、基礎材料の複合材から用意されるスパイラル溝付き板と、表面被覆物(電気絶縁、導電、および/または半導電)とを含むことができる。
【0012】
[0012]実施形態において、ブラダ(bladder)要素が、さらには、はんだ付けより前に積重体に予荷重をかける(preload)ために、または、はんだ付けに対する必要性をなくすために、テープ積重体内に含まれ得る。
【0013】
[0013]実施形態において、ブラダ要素は、組立ての間は液体であるが、磁石動作温度においては固体である材料によって充填されることがある。この材料と関連付けられる融解熱は、クエンチ事象の間にHTSを保護するための大きい熱的貯蔵器として働くことができる。
【0014】
[0014]実施形態において、銅スパイラル蓋が、スパイラルの上部上に積重される冷却剤チャンネル板への熱除去を容易にすることの助けとなるように、テープ束にはんだ付けされ、または、他の形で結合され、もしくは固着させられ得る。
【0015】
[0015]実施形態において、溝が、冷却剤通路を容易にするように、スパイラル巻線の経路に沿って、および/または、上記経路を横切って、銅スパイラル蓋、および、基礎板の上部表面内に切り込み加工され得る。
【0016】
[0016]実施形態において、内に向かうスパイラル溝付きパンケーキと、外に向かうスパイラル溝付きパンケーキとの間の銅相互接続部が使用され得る。この銅相互接続部は、各々のスパイラル溝巻線板の内径(ID)および外径(OD)の両方において用いられ得る。この事例において、磁石組立体は、冷却剤チャンネル板と交互に配置される一連のスパイラル溝付きのHTSを詰め込まれる板を互いに対して単純に積重することにより、および/または、上述で説明されたような、板の表面内へと切り込み加工された冷却剤チャンネル溝を使用して、一連のスパイラル溝付きのHTSを詰め込まれる板を互いに対して単純に積重することにより、構築され得る。
【0017】
[0017]実施形態において、HTSおよび共巻き積重体は、それが、スパイラル溝付き巻線板に進入し、抜け出る箇所において、および、積重体が、1つのスパイラル溝付き巻線板から別のものに移行する箇所において、銅または他の高電気伝導度材料の母材(matrix)内に埋め込まれる。このことは、磁石充電および磁石クエンチ状況の間に、HTSの過熱および損傷に対して保護することに役立つ。
【0018】
[0018]本明細書において説明される概念の別の態様において、積重される板の磁石組立体は、第1の板と、第1の板の上方に配設される第2の板と、第1の板と第2の板との間に配設される電気絶縁材料と、各々が共巻き材料(導電、電気絶縁、および/または半導電)を含み得る1つまたは複数のHTSテープ積重体とを備える。第1の板は、内に設けられる少なくとも1つのスパイラル形状の溝を有して設けられる。第2の板は、さらには、内に設けられる少なくとも1つのスパイラル溝を有して設けられることが、第1の板の第1の表面が第2の板の第1の表面の上方に配設されるときに、上記溝が、第1の板上の内に向かうスパイラル形状を有するチャンネルと、第2の(または下部)板までのらせんと、下部板上の外に向かうスパイラルとを形成するように行われる。電気絶縁材料は、第1の板と第2の板との間に配設される。共巻きを伴うHTSテープ積重体は、チャンネル内に配設されることが、このことがスパイラル形状を有する巻線を可能なものにするように行われる。巻線が一般的にはスパイラル形状のものであることになる一方で、磁石心は、D形状、ソレノイド形状、円形形状、または、その磁石心が使用されることになる用途に適した任意の他の形状を有して設けられ得るということが察知されるはずである。同様に、らせんチャンネルは、HTSテープ積重体が第1の板から第2の板に通過することを可能とする連続的なチャンネルを容易にするために必要とされる形状へと変形させられ得る。本明細書において提供される説明を読む後で、当業者は、個別の用途の必要性に対して適切な巻線および磁石形状をどのように選択すべきかを察知することになる。
【0019】
[0019]一実施形態において、第1および第2の板内の溝は、実質的に同一である。第1および第2の板は、さらには、実質的に同一のスパイラル形状の溝を有することができ、背部を向かい合わせて組み立てられ得る。
【0020】
[0020]チャンネルは、上部板上の内に向かうスパイラル、下部板までのらせん、および、下部板上の外に向かうスパイラルを形成する。共巻き材料を含み得るHTSテープ積重体は、溝付きチャンネル内へと挿入され得る。共巻き材料および表面被覆物は、磁石クエンチ挙動を最適化するように選択され得る。
【0021】
[0021]実施形態において、ブラダ要素が、HTSテープ積重体内に共巻き材料として含まれ得る。ブラダ要素は、はんだ付けより前にHTSテープ積重体に予荷重をかけるように、HTSテープ積重体内で構成され得る。実施形態において、ブラダ要素は、さらには、はんだ付けに対する必要性をなくすように、HTSテープ積重体内で構成され得る。ブラダ要素は、さらには、少なくとも1つのスパイラル溝の荷重支え側壁に対してHTSテープ積重体を予め圧縮するように構成され得る。
【0022】
[0022]実施形態において、ブラダ要素は、組立ての間は液体であるが、磁石動作温度においては固体である材料によって充填されることがある。1つのそのような材料は、ガリウムを含むが、それに制限されない。この材料と関連付けられる融解熱は、クエンチ事象の間のHTSの温度上昇を制限するための大きい熱的貯蔵器として働くことができる。
【0023】
[0023]実施形態において、任意選択の共巻き材料を伴う積重体内のHTSテープの数、サイズ、および型は、所望されるならば、費用を節約するために、および/または、磁石クエンチ応答を最適化するためになどで、スパイラル径路に沿った場所によって変動させられ得る。
【0024】
[0024]磁石は、少なくとも1つの冷却剤チャンネルをさらに備えることができる。実施形態において、少なくとも1つの冷却剤チャンネルは、第1および第2の板の1つまたは両方内に設けられ得る。実施形態において、冷却剤チャンネルは、HTSテープ積重体に沿って延びる1つまたは複数の冷却剤径路を含むことができる。他の実施形態において、少なくとも1つの冷却剤チャンネルは、第1の板および第2の板の1つもしくは両方と交互に配置される、または、磁石組立体を備え得るそのような板の積重体内に差し挟まれる、1つまたは複数の冷却チャンネル板を含むことができる。そのような実施形態において、冷却剤チャンネル経路は、HTSテープ積重体に沿って延びることを必要としない。一部の実施形態において、冷却剤チャンネルは、HTSテープ積重体の上方に配置される銅蓋を含めて、板の表面内に溝を切り込み加工することにより形成される。そのような冷却剤チャンネル溝は、HTSテープ積重体に沿って延びることを必要としない。
【0025】
[0025]磁石は、さらには、第1の板と第2の板との間に配設される、または、磁石組立体を備え得るそのような板の積重体内に差し挟まれる、導電性板を備えることができる。導電性板は、銅を含むが、それに制限されない、任意の導電性材料から用意され得る。導電性板は、さらには、熱的伝導性材料から用意され得るものであり、伝導冷却をもたらすように構成され得る。
【0026】
[0026]加うるに、磁石は、第1の板と第2の板との間の1つまたは複数の電気相互接続部を備えることができ、そのような1つまたは複数の電気相互接続部は、磁石充電の間の巻線板の各々の間のバイパス電流の流れを最小化するために、一部の区域内の高電気抵抗を確立および維持するように構成される。
【0027】
[0027]別の態様において、高磁場磁石を構築するための方法は、冷却剤チャンネル板の間に積重される、一連の、HTSを詰め込まれる、スパイラル溝付き板を組み立てるステップと、1つまたは複数のパンケーキ間電気接続部を形成するステップであって、1つまたは複数のパンケーキ間接続部の各々は、低電気抵抗特性を有する、形成するステップとを含む。1つまたは複数のパンケーキ間接続部を形成するステップは、1つまたは複数のパンケーキ間接続部を自動的に形成するステップを含むことができる。
【0028】
[0028]方法は、はんだ付けに対する必要性をなくすために、スパイラル溝付き板内のHTSテープ積重体に予荷重をかけるステップをさらに含むことができる。
【0029】
[0029]本明細書において説明される概念の別の態様において、磁石組立体は、内に設けられる複数の溝を伴う第1の表面を有する第1の導電性板であって、溝は、1つまたは複数の壁により規定され、複数の溝のうちの少なくとも2つの溝は、異なる幅を有する、第1の導電性板と、非絶縁(NI)高温超伝導体(HTS)テープ積重体であって、上記NI HTSテープ積重体が、第1の導電性板内の最も外方の溝と、第1の導電性板の最も内方の溝との間に連続的な経路を形成するように、上記NI HTSテープ積重体が、複数の溝内に配設され得るように、所定の長さを有する、NI HTSテープ積重体とを含む。実施形態において、HTSテープは、発生させられる力に応答して、HTSテープ積重体が、第1および第2の導電性板内へと力を配分するように、各々の溝内で構成される。
【0030】
[0030]実施形態において、磁石組立体は、第2の導電性板であって、第1の板の第1の表面が第2の板の第1の表面の上方に配設されるときに、溝が、チャンネルであって、そのチャンネルの第1の端部において開口部を有する、チャンネルを形成し、HTSテープが、第1の導電性板と第2の導電性板との間に連続的な経路を形成するように、第1の板の上方に配設される、第2の導電性板をさらに含む。
【0031】
[0031]実施形態において、HTSテープ積重体は、変動する幅の複数の溝のうちの1つの中に配設され、溝の幅を占有するように、そのHTSテープ積重体自体に対して巻かれる。
【0032】
[0032]実施形態において、第1の導電性板内の溝を規定する壁は、壁の第1の一部分の厚さが、同じ壁の第2の一部分の厚さと異なるように、可変の壁厚さを有して設けられる。
【0033】
[0033]実施形態において、第1の導電性板内の溝を規定する壁は、異なる壁厚さを有して設けられる。
【0034】
[0034]実施形態において、第1の導電性板の中心から測定されるような第1の半径方向の方向においての第1の壁の第1の一部分の厚さは、同じ第1の半径方向の方向に沿った第2の異なる壁の第1の一部分の厚さと異なる。
【0035】
[0035]実施形態において、第1および第2の導電性板は、実質的に同一のスパイラル形状の溝を有する。
【0036】
[0036]実施形態において、NI HTSテープ積重体は、低抵抗電気接続部により接合される2つ以上のNI HTSテープ積重体から構成される。
【0037】
[0037]実施形態において、第1および第2の板内のNI HTSテープ積重体を備える材料は、板にわたって連続的である。
【0038】
[0038]実施形態において、NI HTSテープ積重体は、溝内に配設される共巻き材料を、NI HTSテープおよび共巻き積重体が、第1の導電性板の第1の最も外方の溝と、第1の導電性板の最も内方の溝との間の経路をたどるようにさらに備え、HTSテープおよび共巻き積重体は、発生させられる力に応答して、HTSテープおよび共巻き積重体が、第1および第2の導電性板内へと力を配分するように、溝内で構成される。
【0039】
[0039]実施形態において、共巻き材料は、導電材料、電気絶縁材料、および/または半導電材料のうちの1つまたは複数として用意される。
【0040】
[0040]実施形態において、共巻き材料は、磁石クエンチ挙動、または磁石充電挙動、または両方を最適化するように選択される。
【0041】
[0041]実施形態において、HTSテープおよび共巻き積重体は、HTSテープおよび共巻き積重体が、積重される板の間を通過する;HTSテープおよび共巻き積重体が、磁石組立体内へと進入し、磁石組立体から抜け出る;ならびに、電気相互接続部が、巻線の間に形成される箇所において、高電気伝導率材料の母材内に埋め込まれる。
【0042】
[0042]実施形態において、共巻き材料は、NI HTSテープ積重体の長さに沿って、組成または厚さのいずれかにおいて変動する。
【0043】
[0043]実施形態において、電気絶縁材料が、積重される板の間の選択される区域に配置される。
【0044】
[0044]実施形態において、NI HTSテープ積重体は、1つまたは複数のHTSテープを備え、上記NI HTSテープ積重体内のHTSテープの数、サイズ、および型は、上記NI HTSテープ積重体の長さに沿って変動する。
【0045】
[0045]実施形態において、溝は、第1の導電性板上の内に向かうスパイラルを規定し、内に向かうスパイラルは、第1の端部と、第2の端部とを有し、第1の電気板は、内に設けられるらせん開口部を有し、らせん開口部は、第1の端部と、第2の端部とを有し、らせん開口部の第1の端部は、内に向かうスパイラルの第2の端部に結合され、第2の導電性板につながるらせん開口部の第2の端部は、上記第2の導電性板内に設けられる外に向かうスパイラルの第1の端部に結合される。
【0046】
[0046]実施形態において、ブラダ要素が、HTSテープ積重体内に含まれる。実施形態において、ブラダ要素は、少なくとも1つのスパイラル溝の荷重支え側壁に対してHTSテープ積重体を予め圧縮するように構成される。実施形態において、ブラダ要素は、磁石組立ての間は液体または気体状であり、磁石動作の間は、固体もしくは液体もしくは気体状であり、または排出される、材料を内包する。実施形態において、ブラダ要素は、磁石動作の間に、固体から液体への、および/または、液体から気体への相変化を呈する材料を内包する。
【0047】
[0047]実施形態において、第1の伝導性板は、内に設けられる少なくとも1つの冷却剤チャンネルを有する。実施形態において、冷却剤チャンネルは、上記HTSテープ積重体に沿って配設される1つまたは複数の冷却剤径路を含む。実施形態において、少なくとも1つの冷却剤チャンネルは、第1の板および第2の導電性板の1つまたは両方と交互に配置される、1つまたは複数の冷却チャンネル板を含む。実施形態において、少なくとも1つの冷却剤チャンネルは、HTSテープ積重体の経路と異なる経路に沿って配設される1つまたは複数の冷却剤径路を含む。
【0048】
[0048]実施形態において、伝導板が、第1の導電性板と第2の導電性板との間に挿入され得る。
【0049】
[0049]実施形態において、高電気伝導率被覆物が、第1および第2の導電性板のうちの少なくとも1つの選択される場所上に配設され得る。
【0050】
[0050]実施形態において、伝導板は、全体的に、または部分的に、銅を含む。
【0051】
[0051]一部の実施形態は、溝を有する導電性板と、溝内に配設される高温超伝導体(HTS)テープ積重体であって、スパイラル形状を有する、HTSテープ積重体とを備える装置に関係する。
【0052】
[0052]溝は、スパイラル形状を有し得る。
【0053】
[0053]導電性板は、金属または金属合金を含み得る。
【0054】
[0054]装置は、冷却剤チャンネルをさらに備え得る。
【0055】
[0055]冷却剤チャンネルは、溝内に配設され得る。
【0056】
[0056]冷却剤チャンネルは、溝の外側に配設され得る。
【0057】
[0057]HTSテープ積重体は、非絶縁HTSテープ積重体であり得る。
【0058】
[0058]HTSテープ積重体は、複数の巻回を含み得るものであり、導電性板は、複数の巻回のそれぞれの巻回の間の電気接続部を設ける。
【0059】
[0059]装置は、溝内にシム(shim)またはブラダをさらに備え得る。
【0060】
[0060]導電性板は、第1の導電性板であり得るものであり、溝は、第1の溝であり得るものであり、HTSテープ積重体は、第1のHTSテープ積重体であり得るものであり、装置は、第2の溝を有する第2の導電性板と、第2の溝内に配設される第2のHTSテープ積重体であって、スパイラル形状を有する、第2のHTSテープ積重体とをさらに備え得るものであり、第1のHTSテープ積重体は、第2のHTSテープ積重体に電気的に結合される。
【0061】
[0061]第1の導電性板は、第2の導電性板から電気的に絶縁され得る。
【0062】
[0062]第1および/または第2の導電性板は、第1および第2の導電性板が一緒に一組にされるときに、第1および第2の導電性板を位置合わせするための、1つまたは複数の位置合わせ構造を有する。
【0063】
[0063]装置は、第1のHTSテープ積重体と第2のHTSテープ積重体との間の伝導性接続部をさらに備え得る。
【0064】
[0064]伝導性接続部は、高温超伝導体、または、30ケルビン度より上の温度において超伝導体でない金属を含み得る。
【0065】
[0065]伝導性接続部は、銅を含み得る。
【0066】
[0066]伝導性接続部は、第1および第2のHTSテープ積重体の最も内方の巻回の間に、または、第1および第2のHTSテープ積重体の最も外方の巻回の間に形成され得る。
【0067】
[0067]第1のHTSテープ積重体および第2のHTSテープ積重体は、同じHTSテープ積重体であり得る。
【0068】
[0068]第1のHTSテープ積重体と第2のHTSテープ積重体との間の移行部は、同じHTSテープ積重体のらせん一部分により形成され得る。
【0069】
[0069]第1の溝は、少なくとも第1および第2の巻回を含み得るものであり、第1の巻回は、第1の幅を有し、第2の巻回は、第2の幅を有し、第2の幅は、第1の幅より大である。
【0070】
[0070]溝の第2の巻回は、HTSテープ積重体の複数の巻回を含み得る。
【0071】
[0071]装置は、磁石を含み得る。
【0072】
[0072]HTSテープ積重体は、希土類酸化物を含み得る。
【0073】
[0073]HTSテープ積重体は、希土類バリウム銅酸化物を含み得る。
【0074】
[0074]装置は、HTSテープ積重体に電気的に結合される伝導性端子ブロックをさらに備え得る。
【0075】
[0075]一部の実施形態は、溝を有する導電性板を形成するステップと、高温超伝導体(HTS)テープ積重体を溝内へとスパイラル形状で配設するステップとを含む製作方法に関係する。
【0076】
[0076]前述の、および他の、目的、特徴、および利点は、類する参照符号が、異なる視図の全体を通して同じ部分を指す、付随する図面において例解されるような、実施形態の、後に続く、より詳しい説明から明らかになることになる。図面は、必ずしも一定の縮尺ではなく、代わりに、実施形態の原理を例解することに重きが置かれる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【
図1】[0077]
図1Cにおいて示される、スパイラル溝付きの積重される板のダブルパンケーキ磁石組立体と同じまたは同様であり得る、スパイラル溝付きの積重される板のダブルパンケーキ磁石組立体の一部分の等角図である。
【
図1A】[0078]
図1Cにおいて示される、スパイラル溝付きの積重される板のダブルパンケーキ磁石組立体と同じまたは同様であり得る、スパイラル溝付きの積重される板のダブルパンケーキ磁石組立体の一部分の等角図である。
【
図1B】[0079]
図1Cにおいて示される、スパイラル溝付きの積重される板のダブルパンケーキ磁石組立体と同じまたは同様であり得る、スパイラル溝付きの積重される板のダブルパンケーキ磁石組立体の一部分の等角図である。
【
図1C】[0080]スパイラル溝付きの積重される板のダブルパンケーキ磁石組立体の等角図である。
【
図2】[0081]HTSテープに沿って延びる冷却剤チャンネルに対する選択案を示す、スパイラル溝付き板の一連の断面視図である。
【
図2A】HTSテープに沿って延びる冷却剤チャンネルに対する選択案を示す、スパイラル溝付き板の一連の断面視図である。
【
図3】[0082]内に設けられるスパイラル溝を有する2つの板の断面視図であり、上記板は、共有される冷却剤チャンネル板、または、伝導冷却される板に対して積重される。
【
図3A】[0083]内に設けられるスパイラル溝を有する2つの板の断面視図であり、上記板は、共有される冷却剤チャンネル板、または、伝導冷却される板に対して積重され、それらの2つの板の領域内に作製される、パンケーキの間の銅相互接続体を有する。
【
図4】[0084]液圧ブラダを有する磁石の断面視図である。
【
図5】[0085]磁石クエンチの熱付与域を制御するために使用され得る、共巻きされるテープ積重体およびスパイラル溝においての、材料、被覆物、および絶縁体の選定を例解する、磁石の一連の断面視図である。
【
図5A】磁石クエンチの熱付与域を制御するために使用され得る、共巻きされるテープ積重体およびスパイラル溝においての、材料、被覆物、および絶縁体の選定を例解する、磁石の一連の断面視図である。
【
図6】[0086]
図6Aにおいて示される、スパイラル溝付き板の線6-6をわたる方向においてとられるスパイラル溝付き磁石板組立体の断面視図である。
【
図6A】[0087]第1のスパイラル溝付き板の上面視図である。
【
図6B】[0088]内に設けられる絶縁の半径方向の冷却剤チャンネルを有するチャンネル板の上面視図である。
【
図6C】[0089]第2のスパイラル溝付き板の上面視図である。
【
図7】[0090]可変幅スパイラル溝付きの積重される板のダブルパンケーキ磁石組立体の上面視図である。
【
図7A】[0091]
図7の線A-Aをわたってとられる、
図7の可変幅スパイラル溝付きの積重される板のダブルパンケーキ磁石組立体の断面視図である。
【
図7B】[0092]
図7の線B-Bをわたってとられる、
図7の可変幅スパイラル溝付きの積重される板のダブルパンケーキ磁石組立体の断面視図である。
【
図7C】[0093]
図7の線C-Cをわたってとられる、
図7の可変幅スパイラル溝付きの積重される板のダブルパンケーキ磁石組立体の断面視図である。
【
図7D】[0094]
図7の線A-Aをわたってとられる、可変幅スパイラル溝付きの積重される板のダブルパンケーキ磁石組立体7の一部分の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0078】
[0095]本明細書において説明されるのは、高磁場磁石を可能なものにするための概念および技法である。本明細書において説明されるのは、相対的に小型のサイズおよび形状を有する高磁場磁石の設計および構築のための構造および技法である。説明される概念、構造、および技法は、従来技術高磁場磁石製作技法と比較して相対的に単純である製作技法を使用して、堅牢な高磁場超伝導磁石を構築するための手段をもたらす。さらにまた、説明される概念、構造、および技法は、商業化に向けて良好にスケーリングするモジュール式構成要素を利用することができる。説明される高磁場磁石組立体は、スパイラル溝付きの積重される板、および、非絶縁高温超伝導(HTS)テープを利用し得る。非絶縁テープは、電流が、巻回から超伝導体の外側のテープの巻回に流れることを可能とし、絶縁材料が、そうであることを必要とはしないが、ないことがある。そのような手法は、本来的に、構造的に強い磁石組立体を、結果的に生じさせることができ、そのことは、HTS技術によって利用可能な高い磁場の高い(および理想的には、最大の)利用を可能にする。さらにまた、スパイラル溝付きの積重される板、および、スパイラル溝の中に配設される非絶縁HTSテープ積重体(または、伝導材料、非伝導材料、および/もしくは半導電材料を伴う、HTSテープおよび共巻き積重体)の使用は、一部の事例においては最適化される冷却剤径路であり得る、冷却剤径路を含むことを可能とすることができる。
【0079】
[0096]HTSテープは、HTS材料を含む。本明細書において使用される際、語句「HTS材料」または「HTS超伝導体」は、自己磁場において30Kより上の臨界温度を有する超伝導材料を指す。HTS超伝導体の例は、希土類酸化物、そのような希土類バリウム銅酸化物(REBCO)を含むが、それらに制限されない。
【0080】
[0097]HTSが自己巻きされるパンケーキ組立体が提供される。スパイラル溝付き板と連関するHTSテープそれら自体(任意選択の共巻きを含む)は、高い磁場を発生させるために必要とされる機械的強度をもたらす。実施形態において、スパイラルには、当然のこととして、円形幾何学的形態が好都合である。HTSテープそれら自体が、必須の機械的強度をもたらすことの結果として、そのようなコイルは、構築しやすく、機械的に強い。例えば、8テスラダブルパンケーキ非絶縁(NI)HTSテープコイルが、6か月未満内に、設計され、構築され、成功裏に動作させられた。一部の実施形態において、NI HTSテープ(および、使用されるときの共巻き積重体)は、パンケーキ組立体の第1の最も外方の表面から、パンケーキ組立体の第2の反対側の最も外方の表面への連続的な経路を形成する。しかしながら、一部の実施形態において、1つの材料の経路は、中断させられ、連続的でないことがあるということが察知されるはずである。かくして、溝付き経路は、多少なりとも連続的であるが、溝付き経路内に配設される材料は、連続的でないことがあるということが察知されるはずである。
【0081】
[0098]NI HTSパンケーキは、特に関心を引くものであり、なぜならば、それらは、磁石クエンチの間の特有の電流分流特性/現象を有するからである。具体的には、HTSテープ(またはテープ積重体)は、絶縁されない、または、部分的に絶縁されるのみであるので、ジュール加熱が、巻線の全体を通して多少なりとも一様に分布させられ得る。高エネルギー密度において動作することができる、堅牢な、受動的に保護される磁石設計を考案することにより、この挙動を最適化し、十二分に活用することが望ましい。本明細書において説明されるスパイラル溝付き板組立体構成は、コイル構造の中の分布クエンチ駆動電流を制御し、電流分流電流の大きさおよび持続期間、ならびにそれゆえに、HTSテープ積重体それ自体のジュール加熱および温度上昇を低減する(および理想的には、最小化する)ことができる。さらにまた、電流は、スパイラル溝付き板、および、他の包囲する構造に電磁的に結合され、そのことは、磁石設計の慎重な選定により、一様な電流分布、および、低減される、ジュール加熱に起因する温度上昇にさらにつながることがあり、なぜならば、磁場エネルギーは、従来技術技法と比較してはるかに大きい体積の材料内で散逸させられ得るからである。
【0082】
[0099]加うるに、説明される概念、構造、および技法は、クエンチエネルギーを安全に散逸させ、一方で同時に、受け入れ可能な磁石充電時間を得るように、HTSテープ積重体、および、包囲する上部構造の中のクエンチ誘導電流分布の制御を可能なものにする。最終的な結果物は、クエンチ障害状況に対して受動的に保護される、構造的および熱的に堅牢な高磁場磁石組立体である。
【0083】
[00100]核融合発電施設(例えば、小型核融合発電施設)および核融合研究実験(例えば、SPARC)に関するものとしての、そのような高磁場磁石組立体の使用に対する言及が、本明細書において時々為されるが、そのような言及は、制限的であることを意図されず、制限的と解されるべきではない。本明細書において説明される概念によって可能なものにされる高磁場磁石組立体は、高エネルギー物理学の境域においての用途、医学および生命科学の境域においての用途、化学、生化学、および生物学の境域においての用途、粒子加速器および検出器の境域においての用途、高温水素プラズマの発生および制御のためのデバイスの境域においての用途、輸送機関の境域においての用途、電力発生および変換の境域においての用途、重工業においての用途、兵器および防衛においての用途、ならびに、高エネルギー粒子物理学の境域においての用途を含むが、それらに制限されない、多種多様な用途においての使用を見いだすということが察知される。
[00101]例えば、医学および生命科学分野において、本明細書において説明される概念によって可能なものにされる高磁場磁石は、磁気共鳴画像法(MRI)および分光法においての使用を見いだし得る。化学、生化学、および生物学分野において、本明細書において説明される概念によって可能なものにされる高磁場磁石は、核磁気共鳴(NMR)、NMR分光法、電子常磁性共鳴(EPR)、およびフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FT-ICR)においての使用を見いだし得る。粒子加速器および検出器の境域において、本明細書において説明される概念によって可能なものにされる高磁場磁石は、放射線療法に対する機器において、および、電荷粒子ビーム伝送(例えば、加速器から目標/患者への)においてなど、保健医療用途においての使用を見いだし得る。輸送機関の境域において、本明細書において説明される概念によって可能なものにされる高磁場磁石は、高出力密度モータ、発電機、およびMHD推進(例えば、電気航空機、磁気浮上式鉄道列車、ハイパーループ構想、鉄道エンジンおよび変圧器、船舶推進および発電機、ならびに乗物)においての使用を見いだし得る。公益事業体および電力用途の境域において、本明細書において説明される概念によって可能なものにされる高磁場磁石は、電気機械の機械類、電力発生および電力変換システム(例えば、風力発電機、変圧器、同期調相機、300MWまで、または300MWより大で生産するものなどの公益事業体発電機、超伝導エネルギー貯蔵、および、MHDエネルギー発生)においての使用を見いだし得る。本明細書において説明される概念によって可能なものにされる高磁場磁石は、重工業用途(例えば、大型産業用モータ、磁気分離、使い捨て混合システム、誘導加熱器)の境域においての使用を見いだし得る。兵器および防衛用途の境域において、本明細書において説明される概念によって可能なものにされる高磁場磁石は、推進モータおよび発電機、電磁パルス(EMP)発生、指向性エネルギー兵器電力供給部、ならびに、レールガン/コイルガンにおいての使用を見いだし得る。
【0084】
[00102]スパイラル溝またはチャンネル内に配設される、1つまたは複数の、HTSテープ積重体、または、HTS積重体および共巻きに対する言及が、本明細書において時々為される。本明細書において使用される際、用語「HTSテープ積重体」は、HTSテープの複数個の層、または、HTSテープの単一層のみを有し、および、場合により「共巻き」テープであると本明細書において称される非HTS材料から作製される1つまたは複数のテープを含む、「積重体」を含むということが察知されるはずである。任意の個別のHTSテープ積重体において使用するためのテープ層の数、サイズ、および型は、個別の用途の必要性によって選択される。例えば、低電流能力を要するのみであり、高インダクタンス特性を受け入れることができる用途においては、単一層テープ積重体が使用され得る。しかしながら、高電流/低インダクタンス用途(例えば、小型核融合用途)においては、HTSテープの、単一層または複数の個々の層から、多くの個々の層(例えば、10~1000層の範囲内、またはより多い)までから用意されるHTSテープ積重体が使用され得る。複数のHTSテープ層がHTSテープ積重体内に含まれる事例において、HTSテープの複数個の層は、単一HTSテープ層に相対的な、増大される電流搬送特性を有する構造を可能なものにするために、本質的に平行に結合される。
【0085】
[00103]類する要素が、いくつかの視図の全体を通して類する参照名称を有して与えられる、
図1~1Cを今から参照すると、一連の視図は、いわゆる一体式「ダブルパンケーキ組立体」100(
図1A)を形成するために使用される、スパイラル溝付きの積重される板概念の使用を例解する。説明および図面においての明確さを高めるために、電流リード接続部の詳細が省略されているということが察知されるはずである。
【0086】
[00104]全体的な概観において、
図1~1Cは、一体式のいわゆる「ダブルパンケーキ」組立体100を形成するように積重され得る、スパイラル溝付き板の例を例解する。この例解において、2つの(任意選択で同一の)スパイラル溝付き板(
図1)が、背部を向かい合わせて組み立てられ、絶縁材料が、それらの板の間に挿入される、または、他の形で配設される(
図1A)。共巻き材料を含み得るHTSテープ積重体が、上部板上の内に向かうスパイラル、下部板までのらせん、および、下部板上の外に向かうスパイラルを整え得る溝付きチャンネル(
図1B)内へと挿入される。一部の実施形態において、HTSテープ積重体は、パンケーキ組立体の上部表面から下部表面に連続的に(すなわち、中断部または細分化なしに)巻かれる。一部の実施形態において、NI HTSテープ(および、使用されるときの共巻き積重体)は、細分化され、または、他の形で、内に設けられる中断部を有し得る(例えば、1つの材料の経路は、中断させられ、連続的でないことがある)。溝付き経路は、(断面形状は溝付き経路の長さの全体を通して変化し得るとしても)多少なりとも連続的と説明されることがある一方で、溝付き経路内に詰め込まれる、または、他の形で配設される材料は、連続的であることがある、または、部分の形で設けられる(例えば、細分化される)ことがあるということが、かくして察知されるはずである。一部の実施形態において、2つ以上のHTSテープ積重体が、積重体の間に配設される材料を伴って溝内へと配設され得るものであり、その材料は、別個に、または、テープ積重体と連関して、スパイラル溝によってなどで、板と機械的に係合し得る。一部の実施形態において、共巻き材料の一部またはすべてが、別個に、または、テープ積重体と連関して、スパイラル溝によってなどで、機械的に板と係合するように配設され得る。
【0087】
[00105]共巻き材料および表面被覆物は、所望される(および理想的には、最適化される)磁石クエンチ挙動をもたらすように選定され得る。実施形態において、ブラダ要素が、さらには、はんだ付けより前に積重体に予荷重をかけるために、または、はんだ付けに対する必要性をなくすために、テープ積重体内に含まれ得る。銅(または、他の高い熱的伝導率材料)スパイラル蓋(
図1C)が、スパイラルの上部上に積重される冷却剤チャンネル板への熱除去を容易にすることの助けとなるように、テープ束にはんだ付けされ、または、他の形で結合され、もしくは固着させられ得る(下記で詳細に説明されることになる
図3および6を確認されたい)。別の実施形態は、内に向かうスパイラル溝付きパンケーキと、外に向かうスパイラル溝付きパンケーキとの間の銅相互接続部を使用する(
図3を確認されたい)。この銅相互接続部は、各々のスパイラル溝付き巻線板の内径(ID)および外径(OD)の両方において用いられ得る。この事例において、磁石組立体は、冷却剤チャンネル板と交互に配置される、一連のスパイラル溝付きのHTSを詰め込まれる板を互いに対して単純に積重することにより構築され得る(例えば、下記で
図6と連関して示され説明されるものと同様であるが、ダブルパンケーキの間の外部接続部がなくされている)。用途に依存して、冷却剤チャンネル板は、伝導冷却板により置換され、または、全くなくされ得る。
【0088】
[00106]例解的な積重される板のダブルパンケーキ磁石組立体100(
図1A)は、第1および第2の反対向きの両表面105a、105bと、溝125とを有する第1の板105(
図1)を含む。第1の板105は、例えば、金属もしくは合金を含む任意の導電性材料を含み、または、その導電性材料から形成され得る。そのような材料は、Inconel718およびHastelloyC276などのニッケル基超合金、オーステナイト系ステンレス鋼、ならびに、分散強化銅合金のうちの1つまたは複数を含むが、それらに制限されない。材料選択に影響力を及ぼす要因は、機械的強度、電気伝導率、熱的伝導率、および、熱的膨張の係数を含むが、それらに制限されない。異なる材料の複合材が用いられ得る。材料は、クエンチエネルギー付与の一様性、荷重のもとでの、および、通常から外れた状況のもとでの構造的完全性を最適化するように、ならびに、費用を最小化するように選択され得る。付加製造技法が、磁石が構築され得るもとの、用いられる板幾何学的形態を製作するために、たやすく用いられ得る。
【0089】
[00107]溝125が設けられ、その溝は、最初は、その溝が板に進入する際にらせん形状を、および次いで、板の中でスパイラル形状を有し得る。この例解的な実施形態において、スパイラルは、曲線状のスパイラル(すなわち、平坦な平面上の中心点の周りでの、または、円柱を形成するように軸の周囲でのいずれかの、実質的に連続的な、および、半径方向に広くなる、または引き締まる曲線をなす巻体)として設けられる。他の実施形態において、スパイラルに類する形状が使用され得る(すなわち、平坦な平面上の中心点の周りでの、または、軸の周囲でのいずれかの、全体的に広くなる、または引き締まる経路をなす巻体)ということが、当然ながら察知されるはずである。本明細書において使用される際、用語「スパイラル形状」は、「スパイラルに類する」形状を含む。例えば、一部の実施形態において、矩形のスパイラルに類する形状を利用することが望ましい、または必要であることがある。なおも他の実施形態において、三角形のスパイラルに類する形状を利用することが望ましい、または必要であることがある。なおも他の実施形態において、卵形のスパイラルに類する形状を利用することが望ましい、または必要であることがある。幾何学的に不規則な形状を含む、他のスパイラルに類する形状が、さらには使用され得る。本明細書において提供される開示を読む後で、当業者は、個別の用途において使用するために、個別のスパイラルまたはスパイラルに類する幾何学的形態/形状をどのように選択すべきかを察知することになる。スパイラルまたはスパイラルに類する溝は、一定のピッチ(すなわち、同じピッチ)を有して設けられ得るものであり、または、可変ピッチを有して設けられ得るということが、さらには察知されるはずである。可変ピッチは、例えば、パンケーキ板の間の冷却剤通路を受容するために巻体の間に空間を設ける、および/または、ある決まった区域においてパンケーキの強度を増大し、一方で総合的な磁石重量を低減する、および/または、より一様なクエンチエネルギー付与を可能なものにする、有意な設計柔軟性をもたらすことができる。
【0090】
[00108]第1の板105は、この例解的な実施形態において、第1の板105を第2の板(例えば、
図1Aの第2の板110)に固着させることにおいて一助となるように含まれる、任意選択の境界面開孔部120a-Nを含む。一部の実施形態において、固着させることは、一般的に知られているような従来型の締結具によって実行され得る。実施形態において、他の締結技法が、2つ以上の板を接合する、または、他の形で固着させるために使用され得る。そのような技法は、溶接、はんだ付け、およびろう付けを含むが、それらに制限されない。溶接リップ、フランジ、溶接逃げ(weld relief)、ねじ穴、リベット、および、特殊な締結点を含むが、それらに制限されない特徴部が、商業的生産環境において使用される締結技法を受容するために、板に付加され得る。
【0091】
[00109]下記の本明細書においての説明から明らかになることになるように、溝125(
図1)は、この実施形態において、高温超伝導体(HTS)テープ積重体(例えば、
図1CのHTSテープ積重体150)を受けるように構成される。HTSテープ積重体は、HTSテープから全体的に組成されることがあり、または、HTSテープの積重体の上部上に別個に差し挟まれる、および/もしくは積重される、「共巻き」テープ、すなわち、非HTS材料から全体的に作製されるテープを含み得る。共巻き材料は、伝導、絶縁、または半導電のものであり得る。一部の実施形態において、共巻き材料の電気特質は、クエンチ挙動を最適化することに対して有利であるように選定され得る。他の実施形態において、2つ以上の積重体が、溝内へと配設され得るものであり、分離する材料が、間に配置される。この事例において、分離する材料と係合するための2次的溝を内包し得る溝の寸法は、適切に修正される。共巻きテープは、さらには、下記でさらに説明されるような「ブラダ」を含み得る。HTSテープの特性を選択することにおいて考慮するいくらかの要因は、個々のテープの動作電流、テープ積重体において所望される総合的な電流、テープのひずみ特性、および、他の機械的特性を含むが、それらに制限されない。一部の用途において、費用、サイズ、および/または重量を節約するためなど、種々の理由の任意のもののために、径路に沿った場所によって積重体内のHTSテープの数、サイズ、および/または型を変動させることが望ましくあり得る。任意選択の共巻きを伴う積重される非絶縁HTSテープの電流分流属性は、この可能性を計算に入れたものである。例えば、低い磁場強度の領域において、積重体内のHTSテープの数は、低減されることが、残りのHTSテープ内の動作電流が増大され得るという事実の利点を活かして行われ得る。HTSテープ幅の選定に影響力を及ぼす要因は、テープ積重体上のローレンツ荷重がけ、および、溝付きチャンネルの側壁上の反作用荷重を含むが、それらに制限されない。よって、板内のスパイラル溝の寸法は、場所において変動し得るHTSテープ積重体の寸法を受容するように選択される。
【0092】
[00110]実施形態において、HTSテープ積重体は、スパイラル溝130(すなわち、いわゆる、内に向かうスパイラル溝130)の端部内へと送り込まれる、または、他の形で配設される。
【0093】
[00111]ここで示される実施形態において、位置合わせピン115a-Nが、第2の板(例えば、
図1Aの板110)と境界面で接続して、向きを維持するために使用される。
【0094】
[00112]
図1Aを手短に参照すると、積重される板のダブルパンケーキ磁石組立体100の第2の板110は、第1の板105の上方に配設されることが、それぞれの板105、110の各々内の設けられる溝125が位置合わせされるように行われる。
【0095】
[00113]2つのスパイラル溝付き板の、一組になる面は、板105および110が、HTSテープ積重体が一方の板から他方、125に移行する箇所を含む接触区域にわたってのみ電気的に接続するように、絶縁被覆物および/または絶縁板140(さらには、
図4において440として描写される)のあてがいにより、互いから部分的に電気的に絶縁され得る。
【0096】
[00114]第2の板110は、全体的にスパイラル形状を有する、内に向かうチャンネル136を規定する溝135を、内に形成して、または、他の形で設けている。溝125と連関して上述で触れられたように、溝135は、ここでは、全体的に曲線状のスパイラル形状を有して示されるが、正方形、矩形、三角形、または卵形の形状を含むが、それらに制限されない他のスパイラル形状が、さらには使用され得るということが察知されるはずである。ここで示される実施形態において、溝135の1つの端部は、板105と110との間を通過するらせんチャンネル137に接続する。
【0097】
[00115]それぞれの板内の溝が一緒に一組にされるとき、それらの溝は、内に向かうスパイラルチャンネル136などのチャンネルを形成し得る。内に向かうスパイラルチャンネル136は、らせんチャンネル137内へと送り込まれる、HTSテープおよび共巻き積重体(例えば、
図1CのHTSテープおよび共巻き積重体150)を受ける。らせんチャンネル137は、HTSテープ積重体が、第1の板105のらせん溝125内へと、らせんチャンネル137を通して送り込まれ(または、他の形で設けられ、もしくは方向設定され)得るように、第1の板105のらせん溝125に結合される。
【0098】
[00116]一部の実施形態において、らせんチャンネルを包囲する材料は、高い熱的および電気伝導率を有するように選定され、例えば銅であり得る。本概念は、この領域内の材料、ならびに、らせんチャンネルの幾何学的形態が形成され機械的および電気的に支持される特定の手立ての選定において、少なからぬ柔軟性を受容するということが察知されるはずである。
【0099】
[00117]一部の実施形態において、HTSテープおよび共巻き積重体は、HTSテープおよび共巻き積重体が、スパイラル溝付き板の各々上のチャンネルに進入し、抜け出る箇所を含み、途切れずに、スパイラル溝付き板の外側に、電流送り込み部(current feeder)接続部まで広がる、広範囲の領域にわたって、銅、または、他の場合での適した高電気伝導率材料内に埋め込まれる。このことは、磁石充電および磁石クエンチ事象の間に、HTSを過熱および損傷から保護することに役立つ。
【0100】
[00118]
図1Bを今から参照すると、共巻き材料を含み得るHTSテープ積重体150が、内に向かうスパイラル溝チャンネル135内に配設される。別個の冷却剤チャンネル(示されない)と接触している冷却剤チャンネル155または熱的伝導細長片155(
図1C)が、HTSテープ積重体の上部上に配設される。冷却剤チャンネルまたは熱的伝導細長片155(
図1C)は、局所的なジュール加熱がバイパス電流から生起することになる磁石充電を含むが、それに制限されない、磁気動作のすべての段階の間、磁石組立体100が妥当に冷却されることを可能とするように構成される。一部の実施形態において、冷却剤チャンネル155または熱的伝導細長片155はなくされる。
【0101】
[00119]
図1Cを今から参照すると、第2の板110は、内に配設されるHTSテープ積重体150を有する。HTSテープ積重体150は、スパイラル溝チャンネル135およびらせん溝137(
図1Bにおいて最も明確に可視である)内へと挿入され、または、他の形で配設され、そのらせん溝は、HTSテープ積重体150を第1の板105のスパイラル溝チャンネル135へと導き、または、他の形で方向設定する。
【0102】
[00120]実施形態において、第1および第2の板105、110は、Inconel718、HastelloyC276を含むが、それらに制限されない超合金、ならびに、316などのステンレス鋼、および、GRCop-84などの分散強化銅合金を含むが、それらに制限されない、多種多様の構造材料を含み、または、それらから形成され得る。実施形態において、材料層をチャンネル130、135の中で被覆する、または、他の形で配設することが望ましくあり得る。そのような材料は、製作の一助となるための電着させられるはんだ、クエンチ電流分布を制御するための種々の厚さの半導体被覆物、銅めっき/被覆物、および/またはセラミック被覆物を含み得るが、それらに制限されないことがある。
【0103】
[00121]一部の実施形態において、チャンネル130、135、および/または、全体の板組立体105、110は、3次元(3-D)プリンティングなどの付加製造技術によって形成され得る。そのような技術は、Inconel718、Inconel625などの超合金、ならびに、316ステンレス鋼および分散強化銅合金GRCop-84などの多種多様の構造材料を使用して、必要とされるサイズおよび形状の構造を製作する能力をすでに実証している。多種多様の付加製造技術が、多種多様の異なる材料を使用する製作に対して使用され得るということを言うにとどめる。
【0104】
[00122]意義深いことには、実施形態において、HTSテープ積重体および共巻き150は、絶縁されないことがあり、部分的に絶縁されることがあり、かつ/または、半導電材料を内包することがある。
【0105】
[00123]HTSテープ積重体は、HTSテープから全体的に組成されることがあり、または、HTSテープの積重体の上部上に別個に差し挟まれる、および/もしくは積重される、「共巻き」テープ、すなわち、非超伝導材料から全体的に作製されるテープを含み得る。共巻き材料は、クエンチ挙動を最適化することに対して有利であるように選定される電気特質を伴って、伝導、絶縁、または半導電のものであり得る。共巻きテープは、さらには、下記でさらに説明されるような「ブラダ」を含み得る。一部の実施形態において、HTSテープ積重体150は、チャンネルの外側で形成され、次いで、チャンネル内に配設され得る。他の実施形態において、共巻き材料を含むが、それに制限されない、HTSテープ積重体150の要素は、3Dプリンティング技法によってなどで、チャンネル130、155内へと直接的に形成され得る。
【0106】
[00124]一部の実施形態において、第1および第2の板内の溝の断面形状は、実質的に同一であり得る。他の実施形態において、第1および第2の板内の溝の断面形状は、(例えば、板に特有であり得る、構造要素などの特徴を受容するように)異なることがある。
【0107】
[00125]さらには、一部の実施形態において、第1および第2の板は、さらには、実質的に同一のスパイラル形状の溝を有することができ、板が組み立てられるときに、溝がチャンネルを形成するように、背部を向かい合わせて、すなわち、溝が反対向きの両表面上にある様態で、組み立てられ得る。他の実施形態において、各々の板内のスパイラル形状は異なり得る。
【0108】
[00126]実施形態において、チャンネルは、上部板上の内に向かうスパイラル、下部板までのらせん、および、下部板上の外に向かうスパイラルを形成する。HTSテープ積重体および共巻きは、チャンネル内へと挿入され得る。共巻き材料および表面被覆物は、構造の体積の中で磁石クエンチエネルギーを安全に分布させるように選択され得る。
【0109】
[00127]一部の用途(例えば、提案されるSPARC実験用のトロイダル磁場コイル)において、動作温度を維持するために、テープ積重体の領域内の体積源から発生させられる熱(例えば、中性子誘導加熱、銅連結部)を除去することが必要であり得る。スパイラル溝付きの積重される板手法は、いくつもの手立てで、このことをたやすく受容することができる。
図2および2Aは、テープ積重体に沿って配設される冷却剤チャンネルを伴う、2つの異なる実施形態を例解する。全体的に、冷却剤チャンネルは、主荷重経路(例えば、超伝導体)のわきに(例えば、それに近接して、それと隣り合って、または、それの近隣に)布置される。銅で被覆されるHTSテープ平面は、冷却剤チャンネルに直交して向きを定められ得るものであり、そのことは、熱伝達を最大化する。
図3は、反対向きの両パンケーキの間で共有される、積重体内の冷却剤チャンネル板を用いる代替の手法を例解する。
【0110】
[00128]
図2および2Aは、溝が板内の凹部に据えられる、板の断面を示す。この板は、溝の壁が板の主たる表面より上である、
図1~1Cの板と対照的である。
図2を今から参照すると、スパイラル溝付き板205aは、溝またはチャンネル230を含む。この例解的な実施形態において、チャンネル230は、矩形断面形状を有して設けられる。他の実施形態において、チャンネル230は、正方形、三角形、卵形の、もしくは、丸みのある、または、他の規則的な幾何学的形状を含むが、それらに制限されない、他の断面形状(すなわち、矩形以外)を有して設けられ得る。チャンネルの断面形状は、HTSテープの形状に相補的であるように選択され得るものであり、逆もしかりである。理想的には、ただし任意選択で、HTSテープ(または、HTSテープ、ならびに、共巻きおよび/もしくはシムおよび/もしくはブラダデバイスの組み合わせ)は、チャンネルの断面を実質的に占有する。一般的には、チャンネル230が、可能な限り多く(例えば、材料特性、ならびに/または、機械および/もしくは製造公差、ならびに/または、製造技法が可能とすることになる程度まで)、高い機械的強度、高い熱的熱容量、高い熱的伝導率を有する、および、磁石クエンチ応答を最適化した電気特質を伴う材料によって充填されることは、望ましいが任意選択のものである。
【0111】
[00129]この例解的な実施形態において、板205aは、約15mmの幅233を有する。チャンネル230は、板205a内への約11mmの深さを有する。チャンネルは、さらには、約9mmの長さ234を有する。チャンネル230の中に挿入される、または、他の形で配設されるのが、約6mmの幅231と、約8.33mmの長さ232とを有するHTSテープ積重体250である。ここではくさび形状を有するシム235が、HTSテープ積重体250が溝の側壁に対して押し付けられるように、溝230内へと挿入される、または、他の形で配置構成される。この例解的な実施形態において、チャンネルのうちの1つは、板205aの表面から約4.25mmの距離239に形成される、または、他の形で設けられる。しかしながら、これらの寸法は、ただ単に例解としてのものであり、なぜならば、本明細書において説明される構造は、種々の適した寸法の任意のものを有し得るからである。
【0112】
[00130]実施形態において、磁石組立体は、1つまたは複数の冷却剤チャンネルをさらに備えることができる。実施形態において、1つまたは複数の冷却剤チャンネルは、第1および第2の板の1つまたは両方内に設けられ得る。実施形態において、1つまたは複数の冷却剤チャンネルは、HTSテープ積重体に近接して配設される1つまたは複数の冷却剤径路を含むことができる。他の実施形態において、1つまたは複数の冷却剤チャンネルは、高磁場磁石組立体を成り立たせる複数の板の間に差し挟まれる、または、他の形で分散配置される、1つまたは複数の冷却チャンネル板を含むことができる。
【0113】
[00131]冷却剤チャンネル215が、HTSテープ積重体250に近接して設けられる。この例解的な実施形態において、冷却剤チャンネル215は、HTSテープ積重体250の上部上に位置設定され、C形状を有する熱的伝導性部材210(例えば、C形状のチャンネル部材210)により形成される、または、他の形で規定される。この例解的な実施形態において、冷却剤チャンネルは、約30mm2の面積を有して設けられる。しかしながら、この面積は、ただ単に例解としてのものであり、なぜならば、任意の適した冷却剤チャンネル面積が使用され得るからである。熱的伝導性部材210は、銅、銅合金、および、高い熱的伝導率材料のうちの1つまたは複数を含み得る。冷却剤チャンネル215は、板205a上へと固着させられる(例えば、溶接される、または、他の形で固着させられる)蓋220を使用して、覆われる、または、他の形で閉じられる(または、蓋をされる)。蓋220は、溝230の中にHTSテープ積重体250および冷却剤チャンネル215を封じ込めるように構成される。一実施形態において、約8mmの長さを有するテープ積重体が、各々6mm幅の約190個のHTSテープから用意され得る。実施形態において、超合金(例えば、Hastelloy)が、低減される数のHTSテープによって上記8mm長さを達成するために、共巻き材料として使用され得る。
【0114】
[00132]実施形態において、複数のスパイラル溝付き板が使用され得るものであり、高磁場磁石を構築するための方法は、冷却剤チャンネル板の間に積重される、一連の、HTSを詰め込まれる、スパイラル溝付き板を組み立てるステップを含み、1つまたは複数のパンケーキ間電気接続部を形成するステップであって、1つまたは複数のパンケーキ間接続部の各々は、結果として生じるジュール加熱が冷却剤体系により受容され得るように、低電気抵抗特性を有する、形成するステップを含む。実施形態において、1つまたは複数のパンケーキ間接続部を形成するステップは、1つまたは複数の他のパンケーキ間接続部を自動的に形成するステップを含むことができる。
【0115】
[00133]
図2Aは、スパイラル溝付き板205bの断面視図である。スパイラル溝付き板205bは、板205aと実質的に同様であり得る。この実施形態において、溶接蓋は、HTSテープ積重体250および冷却剤チャンネル215を封じ込めるために使用されない。冷却剤チャンネル215は、矩形冷却剤管240により被包される。矩形冷却剤管は、銅、銅合金、または、前に述べられた材料と同様の、もしくは、それらの材料より大である熱的伝導率特性を有する任意の他の材料のうちの、1つまたは複数を含むことができる。
【0116】
[00134]
図2~2Aにより例解される例において、HTSテープ積重体250は、冷却剤チャンネル215に直交して向きを定められる。この向きは、熱伝達を増大する(および理想的には、最大化する)ように選択され得る。当業者は、他の向きが使用され得るということを理解する。
【0117】
[00135]上述で触れられたように、
図3および3Aは、反対向きの両パンケーキ330、335の間で、共有される冷却剤チャンネル340を用いる代替の手法を例解する。実施形態において、このことは、反対向きの両パンケーキ330、335の間で共有される、積重体内の冷却剤チャンネル板によって達成され得る。一部の実施形態において、溝が、冷却剤チャンネルを形成するように、反対向きの両パンケーキ330および335の表面内へと切り込み加工される(
図3A)。
図3および3Aは、2つのスパイラル溝付き板の、それらの板を(例えば、共有される冷却剤チャンネル板、もしくは、伝導冷却される板による、または、整合する溝を、スパイラル溝付き板の表面、ならびに、HTS積重体および共巻きを覆う銅蓋内に切り込み加工することによる)共有される冷却剤チャンネルに対して積重することの選択案を示す断面視図である。所望されるならば、パンケーキの間の銅相互接続体が、この領域内に作製され得る。
図3および3Aの類する要素は、類する参照名称を有して与えられるということが留意されるべきである。
【0118】
[00136]この「冷却剤チャンネル板」概念は、冷却剤径路の改善(および理想的には、その最適化)のための有意な柔軟性をもたらす。このことは、SPARCトロイダル磁場コイルなどの一部の用途において、有用な特徴であり得る。代替案として、伝導冷却される板が、低い水準の内部体積加熱を有する設計および用途を受容して、冷却剤チャンネル板に代わって使用され、または、全くなくされ得る。
【0119】
[00137]クエンチ動態を制御するために、および、クエンチの間のHTSテープの温度上昇を減ずることの助けとなるために、伝導板(例えば、銅)が、ダブルパンケーキの間に挿入され得るものであり、1つの知見は、クエンチ誘導渦電流が、これらの構造内で優先的に引き起こされることになり、そのことが、磁気の貯蔵されるエネルギー付与を、HTSテープから熱的および電気的に切り離される領域に局在化させるということである。そのような構造は、当然のこととして、スパイラル溝付きの積重される板設計概念により受容され、それらの構造は、パンケーキから電気的に隔離され、冷却剤と良好に熱的に接触している、冷却剤チャンネル板設計内へと直接的に組み込まれ得る。
【0120】
[00138]クエンチ動態を制御するために、および、クエンチの間のHTSテープの温度上昇を減ずることの助けとなるために、高電気伝導率被覆物(例えば、銅)および/または絶縁被覆物(例えば、アルミナ)が、板の溝付き側部、および、板の非溝付き側部を含むが、それらに制限されない、スパイラル溝付き板の選択される区域にあてがわれ得るものであり、1つの知見は、クエンチ誘導電流密度、分布、および、結果として生じるジュール加熱が、磁石構造内の主要な電気径路の抵抗を仕立てることにより制御され得るということである。
【0121】
[00139]この積重される板幾何学的形態は、さらには、当然のこととして、
図3Aにおいて示されるように、所望されるならば、パンケーキの間の銅相互接続部を受容する。同時に、溝付き板/冷却剤チャンネル板組立体が、隣り合うパンケーキ巻線の間の、相対的に高い抵抗の電気接続部を維持するために、材料の適した選択によって設計され得るものであり、そのことは、この非絶縁超伝導磁石設計において磁石充電時間を低減するために用いられ得る。
【0122】
[00140]はんだ付けより前に溝内のテープ積重体に予荷重をかけること、または、全くはんだ付けに対する必要性をなくす、予荷重をかける機構を用いることが有利であり得る。
図2および5は、このことを受容するための「くさびシム」の使用を例解するが、液圧ブラダの使用が、さらには可能であり(
図4)、多くの手立てにおいて好まれる。
【0123】
[00141]
図3は、内に設けられるスパイラル溝320を有する2つの板330、335の断面視図である。板330、335は、それらの板の間に、共有される冷却剤組立体340を有し、その組立体は、上述で触れられたように、(例えば、冷却剤チャンネル板内に設けられ、ならびに/または、溝を、スパイラル溝付き板の上部表面内と、HTS積重体および共巻きを覆う銅内とに切り込み加工することにより容易にされ得るような)冷却剤チャンネル、または、伝導冷却される板であり得る。スパイラル溝付き板330、335および冷却剤組立体340から用意されるダブルパンケーキ構造は、約20mmの幅341を有し得るが、この幅は、ただ単に例解としてのものである。
図3の例解的な実施形態において、スパイラル溝320は、任意選択の共巻き材料を伴うHTSテープ積重体305と、銅、または、他の熱的伝導性材料から構成され得る蓋板310とを含む。他の実施形態において、蓋板310は、HTS積重体および共巻きを、冷却剤に直接的に、または、伝導板に直接的にさらすように、なくされ得る。この例解的な実施形態において、板は、約14mmの長さ336を有し、テープおよびチャンネル320は、約4mmの幅337、約4.5mmの長さ338を有して設けられ、チャンネルのうちの1つ(ここでは、チャンネル320aとして例解される)は、板335の表面から約2.5mmの距離339に形成される、または、他の形で設けられる。しかしながら、これらの寸法は、ただ単に例解としてのものであり、なぜならば、本明細書において説明される構造は、種々の適した寸法の任意のものを有し得るからである。
【0124】
[00142]冷却剤組立体340が板330、335の間の冷却剤チャンネルである一実施形態において、チャンネルにより確立される冷却剤経路は、HTS積重体に沿って流れるように制約されず、それゆえに、熱除去に対して最適化され得る。例えば、巻回を横切って、より効果的に熱を拡散させる、HTS積重体を横切る短い半径方向の径路が使用され得る。このことは、磁石巻線の高い水準の内部体積加熱が生起することがある用途(例えば、SPARC用のトロイダル磁場磁石)に対して有用であり得る。加うるに、冷却剤速度および駆動圧力要件を低減する、複数個の冷却剤環状管が用いられ得る。最終的には、冷却剤通路は、可変のサイズを有することができ、それらの通路が必要とされる場合にのみ、構造要素に対して巻線部内に、より多くの体積をわきに付けて実現され得る。より低い水準の内部体積加熱を有する実施形態において、伝導冷却手法が妥当であり得る。この事例において、冷却剤チャンネル板は、伝導冷却される板によって置換されることがあり、または、なくされることさえある。
【0125】
[00143]クエンチ動態を制御するために、および、クエンチの間のHTSテープ積重体305の温度上昇を減ずることの助けとなるために、伝導板(例えば、銅)が、冷却剤チャンネル領域340内で板330、335の間に挿入され得る。よって、クエンチ誘導渦電流が、伝導板内で優先的に引き起こされることになり、そのことが、磁気の貯蔵されるエネルギー散逸を、HTSテープ305から熱的および電気的に切り離される領域に局在化させる。
【0126】
[00144]
図3Aは、内に設けられる溝320を有する2つの板330、335の断面視図である。板330、335は、冷却剤チャンネル板、板の上部表面内の溝、または、伝導冷却される板であり得る、共有される冷却剤組立体340に対して積重される。相互接続体350が、板330、335の間の領域内に配設される。この相互接続体は、磁気組立体内の隣り合う板の最も内方の巻回の間の電流経路を橋渡しすることに役立つ(
図6においての621、
図6Aにおいての621a、および、
図6Cにおいての720bを参照されたい)。例解的な実施形態において、相互接続体350は、接続部を橋渡しするために境界面層によって(例えば、インジウムまたはインジウム合金境界面層を使用して)HTS積重体にはんだ付けされる銅(例えば、高い熱的および電気伝導率銅)を含むことができる。適した低い溶融温度ではんだ付けされる接続部が、さらには使用され得る。板330、335の間の総体的な電気接続部と組み合わされる相互接続体350は、磁気充電の間に流れるバイパス電流を受容するように構成され、一方でさらには、板330、335の間の電気抵抗を増大し(および理想的には、最大化し)、そのことは、磁石充電時間を低減する(および理想的には、最小化する)。
【0127】
[00145]
図4は、第1の板430と、第2の板435とを備える磁石400の断面視図である。絶縁体440が、板430、445の間に配設される。この実施形態において、絶縁体440は、磁石充電から生出するバイパス電流が、板430および435にわたって直接的に流れることを抑止する(および理想的には、防止する)。代わりに、そのような電流は、板に沿って流れ、その実施形態においての板間相互接続体(例えば、
図3Aにおいての相互接続部350)の近傍において、または、その実施形態においてのらせんHTSテープ積重体相互接続体(例えば、
図1においての溝125)の近傍においてのみで、板をわたって伝搬する(または、飛び移る)ことを強制される。絶縁体は、繊維ガラス複合材、鉱物絶縁物(例えば、雲母)、アルミナ、または、アルミナなどの絶縁被覆物から構成され得るが、それらに制限されない。
【0128】
[00146]スパイラル溝420が、板430、435内に設けられる。共巻き材料を含み得るHTSテープ積重体405が、溝420内へと挿入され、蓋組立体410(例えば、銅蓋組立体として設けられ得る)が、HTSテープ積重体および共巻き405の上部上に配設される。
【0129】
[00147]ブラダ要素415(または、より単純に、ブラダ415)が、溝420の側壁411に対して積重体405を圧縮するために、溝(または、チャンネル)内に配設される。実施形態において、ブラダ415は、液圧流体が、圧縮をもたらすために加えられ得る、液圧ブラダであり得る。一部の実施形態において、ブラダ415は、テープ積重体405が主荷重支え側壁に対して圧縮されるように位置設定される。この例において、テープ積重体は、約4mmの幅412、約4.5mmの長さ413を有して設けられ、
図4においての主荷重(すなわち、主ローレンツ力(IxB)荷重)の方向は、参照番号416により指定され、そのことは、側壁411が主荷重支え側壁に対応することを結果的に示す。ブラダ415は、ローレンツ力(IxB)荷重の衝撃が循環的に加えられ解放されることが、低減され(および理想的には、最小化され)得るように、HTSテープ積重体405を圧縮する。この例解的な実施形態において、チャンネルのうちの1つ(ここでは、チャンネル420a)は、板435の表面から約2.5mmの距離439に形成される、または、他の形で設けられる。しかしながら、これらの寸法は、ただ単に例解としてのものであり、なぜならば、本明細書において説明される構造は、種々の適した寸法の任意のものを有し得るからである。
【0130】
[00148]実施形態において、ブラダ要素が、HTSテープ積重体内に共巻き要素として(すなわち、HTSテープ積重体の部分として)含まれ得る。ブラダ要素は、所望される位置においてHTSテープ積重体を固着させることにより、はんだ付け工程を容易にするように、はんだ付けより前にHTSテープ積重体に予荷重をかけるように、HTSテープ積重体内で構成され得る。実施形態において、ブラダ要素は、さらには、はんだ付けに対する必要性をなくすように、HTSテープ積重体内で構成され得る。ブラダ要素は、さらには、少なくとも1つのスパイラル溝の荷重支え側壁に対してHTSテープ積重体を予め圧縮するように構成され得る。
【0131】
[00149]一部の例において、HTSテープ積重体405がはんだ付けされる後で、液圧流体が、除去され得るものであり、不活性気体によってさらに置換され得る。ブラダ415が空である事例において、ブラダは、HTS積重体および共巻き剥離損傷の危険性を低減するために、磁石冷却および昇温期間の間の、溝付き板430、435に相対的な、はんだ付けされたHTS積重体405の、差異のある熱的収縮を受容するためのばねとして働く。
【0132】
[00150]他の例において、液圧流体が保持されるならば、HTSテープ積重体405上の圧縮力は、その積重体が十二分に不動化されるように維持され得る。液圧流体は、それが、磁石動作温度において凍結して、液圧圧力を能動的に維持することの必要性をなくすことになるように選択され得る。
【0133】
[00151]一部の事例において、ブラダ要素は、組立ての間は液体であるが、磁石動作温度においては固体である材料を内包する(例えば、その材料によって充填される、または、他の形で、その材料を内に配設している)ことがある。1つのそのような材料は、ガリウムを含むが、それに制限されない。この材料と関連付けられる融解熱は、クエンチ事象の間のテープ積重体405の温度上昇を制限する、すなわち、ガリウムの事例において摂氏29.8度の溶融温度以下であるようにHTS積重体温度を制限するための大きい熱的貯蔵器として働くことができる。
【0134】
[00152]これらの実施形態のすべてにおいて、組立体においての、材料、被覆物、導体、半導体、および絶縁体の選定は、磁石クエンチ事象に応答した電流分流および渦電流径路を改善して(および理想的には、最適化して)、大きい体積にわたって磁石クエンチエネルギーを安全に分布させるために使用され得る。
【0135】
[00153]類する要素が、類する参照名称を有して与えられる、
図5~5Aを今から参照すると、示されるのは、どのように、共巻きされるテープ積重体およびスパイラル溝付き板においての、材料、被覆物、導体、半導体、および絶縁体の選定が、本明細書において説明される実施形態による磁石クエンチエネルギー熱付与クエンチの域を制御するために使用され得るかの例を例解する、磁石の断面視図である。
図5~5Aにおいて参照番号510により指定される矢印は、クエンチ事象により駆動される電流分流電流の流れを表す。この例において、電流は、第1の(または、下側)HTSテープ積重体505aから、第2のHTS積重体505b(ここでは、その積重体505aの最も近い隣505b)に駆動される。テープ積重体505aについて例解的であるように、テープ積重体505bの構成を取り上げると、テープ積重体505bは、板530内に設けられる溝506内に配設される。くさびシム508(または代替案として、ブラダ)が、テープ積重体505bと隣り合って溝506内に配設される。C形状の部材520により規定される冷却剤チャンネル515が、テープ積重体505bと熱的に接触して配設される。蓋525が、冷却剤チャンネルの上方に配設される。くさびシム508、冷却剤チャンネル515、C形状の部材520、および蓋525は、
図2~4と連関して上述で本明細書において説明された、くさびシム(またはブラダ)、冷却剤チャンネル、C形状の部材、および蓋と、(構造および機能の両方において)同じまたは同様であり得る。
【0136】
[00154]クエンチ電流に起因するスパイラル溝付き板においての体積熱発生の割合は、ηj
2として定量化され得るものであり、ここで、jは、電流分流電流密度であり、ηは、その電流が流れる材料の電気抵抗率である。
図5Aにおいて、絶縁体540が、HTS積重体の基礎部において共巻き材料として挿入され、一方で
図5において、そのような絶縁体は存在しない。絶縁体が
図5Aにおいて存在するので、クエンチ電流は、
図5においての実施形態と比較して、溝付き板530の背骨部(backbone)内へとより深く、および、より長い距離にわたって流れる。かくして、クエンチエネルギーが散逸させられる体積は、
図5と比較して、
図5Aにおいて、より大きい。代替案として、または加うるに、スパイラル溝付き板の非溝付き側部が、高電気伝導率材料(例えば、銅)によって被覆されることが、電流分流電流がスパイラル溝付き板の背骨部内へと深く流れることを助長し、そのことにより、クエンチエネルギーが散逸させられる材料の体積を増大するために行われ得る。
【0137】
[00155]概観において、
図6~6Cは、どのように、スパイラル溝付きの、HTSを詰め込まれる板、および、冷却剤チャンネル板の交互の積重体(ことによると、スパイラル溝板の表面内へと切り込み加工される冷却剤チャンネル溝により改良される)が、高磁場磁石を形成するために組み立てられ得るかを例解する。これらの例解において、パンケーキの間の相互接続体選択案(例えば、
図3において説明される銅相互接続体など)が示されるということが察知されるはずである。しかしながら、
図1と連関して上述で説明されたような、らせんテープ相互接続体選択案が、さらには用いられ得るものであり、一部の用途(例えば、小型核融合用途)において好まれるということが理解されるべきである。一実施形態において、H=160mmのラジアルビルド(radial build)、幅W=140mm、および、クリアボア(clear bore)径S=100mmを伴う磁石が、既存の市販で入手可能なHTSテープを使用して、軸上で約20テスラを生み出すことが予期される。スパイラル溝付き板は、市販で入手可能な方法を使用して、Inconel625などの超合金において、付加製造技法(例えば、3Dプリンティング)により製作され得る。支持板の中の応力は、Inconel625から作製される3Dプリンティングされた部品に対して、許容可能な限度の中に十分にあることが予期される。
【0138】
[00156]
図6は、605と全体的に表象される6つのスパイラル溝付きダブルパンケーキ605a~605fの積重体を備える高磁場コイル600の断面視図であり、それらのダブルパンケーキは各々、その間に挿入される、または、他の形で配設される、冷却剤チャンネル板606a~606fを伴う。上述で触れられたように、一実施形態において、高磁場コイル600は、本明細書において説明される実施形態によって、既存の市販で入手可能なHTSテープを使用して、軸上で約20テスラを成し遂げることが予期される。
【0139】
[00157]この実施形態において、電流は、外部送り込み部615を経て、
図6の上部においての各々のダブルパンケーキ605内へと、および、そのダブルパンケーキから外に流れる。電流は、各々の板のスパイラル溝に巻き付いて、635および630の断面視図を交互に通過する。この事例において、内部相互接続部(621と全体的に表象される)が、
図3Aと連関して上述で説明された内部接続部350と同様に、最も内方の巻回、スパイラル巻線にわたって電気径路を接続するために使用される。かくして、スパイラル溝付き板の接続される対は、6つのダブルパンケーキ部分組立体605a~605fを効果的に形成する。
【0140】
[00158]この実施形態において、620と全体的に表象される送り込み部が、ダブルパンケーキ組立体の中間に布置される冷却剤チャンネル板622a~622f内への冷却剤を送出し受けるように構成される。
【0141】
[00159]
図6Aは、その断面視図が
図6において示される、例解的な磁石組立体600の第1のスパイラル溝付き板705aの上面視図である。板705aは、金属または合金を含む任意の導電性材料706から用意され得る。そのような材料は、Inconel718およびHastelloyC276などのニッケル基超合金、オーステナイト系ステンレス鋼、ならびに、分散強化銅合金のうちの1つまたは複数を含むが、それらに制限されない。材料選択に影響力を及ぼす要因は、機械的強度、電気伝導率、熱的伝導率、および、熱的膨張の係数を含むが、それらに制限されない。実施形態において、板材料706は、異なる材料の複合材を含み得る。材料は、クエンチエネルギー付与の一様性、荷重のもとでの、および、通常から外れた状況のもとでの構造的完全性を最適化するように、ならびに、費用を最小化するように選択され得る。上述で触れられたように、付加製造技法が、磁石が構築され得るもとの、用いられる板幾何学的形態を製作するために、たやすく用いられ得る。
【0142】
[00160]第1の板705aは、HTSテープ積重体710aを受けるように構成される入口715aを含む。HTSテープ積重体710aは、第1の板705aの溝チャンネル(例えば、
図1の溝またはチャンネル130)内へと送り込まれる。この実施形態において、第1の板705aは、
図3Aにおいて例解される350と同様に、最も内方の巻回において電気相互接続体621aを含む。この事例において、電気相互接続体構成要素は、円形輪の形状をとる。第1の板705aは、第2の板(例えば、
図6Cの第2の板705b)上に積重され、冷却板730(例えば、
図6Bにおいて示される絶縁の半径方向の冷却剤チャンネル板))が、2つのスパイラル溝付き板705a、705bの間に挿入される。かくして、この例解的な実施形態において、スパイラル溝付き板705a、705bおよび冷却板730は、ダブルパンケーキ構造を形成する。
【0143】
[00161]一部の実施形態において、HTSテープおよび共巻き積重体は、HTSテープおよび共巻き積重体が、スパイラル溝付き板の各々上のチャンネルに進入し(715a)、抜け出る(715b)箇所を含み、途切れずに、スパイラル溝付き板の外側に、電流送り込み部接続部まで広がる、広範囲の領域にわたって、銅、または、他の場合での適した高電気伝導率材料内に埋め込まれる。このことは、磁石充電および磁石クエンチ事象の間に、HTSを過熱および損傷から保護することに役立つ。
【0144】
[00162]一部の実施形態において、2つ以上のHTSテープ積重体が、溝付きチャンネル内に配設され得るものであり、別個の構造および/または共巻き材料が、テープ積重体の間に配設され、チャンネル溝の寸法は、これらの材料を受容するように、および/または、2次的スパイラル溝によってなどで、機械的にそれらの材料と係合するように、適切に修正される。一部の実施形態において、共巻き材料の一部またはすべてが、スパイラル溝によってなどで、機械的に板と係合するように配設され得る。
【0145】
[00163]おそらくはこの例事例において円形輪の形状をとる、内部電気相互接続体が、さらには、ダブルパンケーキ組立体の間で接続するために、最も外方の巻回上で使用され得るということが留意されるべきである。
【0146】
[00164]
図1~1Cのダブルパンケーキ実施形態が使用されたならば、ここで示される最も内方の巻回においての内部相互接続部を用いることの必要性は存しないことになるということが留意されるべきである。代わりに、HTSテープ積重体および共巻きは、スパイラル溝付き板705aから板705cへと連続的に接続することになる。この事例において、冷却剤チャンネル板は、各々のダブルパンケーキ組立体のわきに、むしろ、ここで描写されるような、ダブルパンケーキ組立体を形成する2つの板の間に布置されることになる。
【0147】
[00165]
図6Bは、内に設けられる絶縁の半径方向の冷却剤チャンネル735を有する冷却チャンネル板730の上面視図である。冷却チャンネル板730は、冷却剤入口組立体745a-Nを経て冷却流体を受けるように構成される。この実施形態において、冷却チャンネル板内への、および、冷却チャンネル板から外への冷却剤の4つの別個の流れ経路が、矢印によって描写される。冷却チャンネル板は、それが、組立体内に配置されるときに、スパイラル溝板705aおよび705bから電気的に絶縁されるように構築される。この特徴は、磁石充電から生出するバイパス電流が、冷却剤チャンネル板を通って板705aと705bとの間を流れることを阻止する。この機能は、繊維ガラス複合材などの、ただしそれに制限されない、非導電材料から板を作製すること;絶縁被覆物を、他の場合での導電基礎材料にあてがうことにより、または、何らかの他の適した手段により成し遂げられ得る。一部の実施形態において、冷却剤チャンネル板は、冷却剤チャンネルの側壁のみを形成し、隣り合うHTS積重体およびスパイラル溝付き板が、残りの壁を形成する。この事例において、冷却剤は、HTS積重体および共巻きと直接的に接触している。他の実施形態において、溝が、冷却剤チャンネルとして役立つように、隣り合うスパイラル溝付き板の表面、および、銅蓋材料内へと切り込み加工され得る。溝は、冷却を容易にし、冷却剤通路長さを最適化し、圧力降下を最小化するために必要とされるように、HTS積重体に沿って、または、HTS積重体を横切って延びることができる。
【0148】
[00166]
図6Bにおいて示される冷却剤径路は、例解のためだけのものであるということが理解されるべきである。これらの径路は、磁石組立体の熱除去および構造的完全性の考慮などの、磁石設計においての必要性および制約によって仕立てられ得る。冷却剤チャンネル板は、伝導冷却される板により置換され得るものであり、または、単純な絶縁材料により置換されて、全くなくされ得る。後者の事例において、冷却剤チャンネル通路は、溝を、スパイラル溝付き板の表面、および、銅蓋材料内へと切り込み加工することにより形成され得る。
【0149】
[00167]
図6Cは、第2のスパイラル溝付き板705bの上面視図である。第2の板705bは、HTSテープ積重体710bを受けるように構成される入口715bを含む。HTSテープ積重体710bは、第2の板705bの溝チャンネル(例えば、
図1Aの溝チャンネル135)内へと送り込まれる。HTSテープ積重体710aは、第2の板705bの溝チャンネル(例えば、
図1Aの溝チャンネル135)内へと送り込まれる。この実施形態において、第2の板705bは、第1の板715aの電気相互接続体720aと整合し、その電気相互接続体と一組になる、電気相互接続体720bを含む。
【0150】
[00168]概観において、
図7~7Dは、HTSテープ積重体が、いくつかの回数直接的に、その積重体自体に対して、いくらかの区間または溝内で巻かれる、スパイラル溝付きの積重される板のダブルパンケーキ組立体の代替的実施形態を例解する。
図7~7Dは、さらには、コイルの外径の周辺部の一部分、および、コイルの内径の全周辺部にまたがる導電性端子ブロックを例解する。一部の実施形態において、内側および外側伝導性端子ブロックは、一部分のみ、それらのそれぞれの周辺部にまたがり、または、コイルのそれらの全体の周辺部にまたがる。実施形態において、伝導性端子ブロックは、銅端子ブロックとして設けられるが、適切な電気伝導率を有する任意の材料が使用され得る。スパイラル溝付き板は、上述で説明された技法によって製作され得る。
図7~7Dの実施形態において、HTS積重体は、上述で説明されたような共巻き材料を含み得るものであり、電流密度、磁場集中、およびクエンチ挙動に対して最適化するように、その積重体の長さに沿って、その積重体の厚さおよび組成を変化させ得るということが察知される。
【0151】
[00169]可変幅スパイラル溝の使用は、いくつかの利点を有するということが察知される。溝の幅を変動させることにより、HTS積重体(および共巻き)は、直接的にそれ自体上に、所与の数の回数、各々の半径方向の溝内で巻かれ得る。そのようにすることは、巻線内の電流密度分布に対する精細な制御を可能とし、そのことは、自己磁場に起因するHTSテープ内の磁場強度変動および集中を低減するために使用され得る。磁場は、組立体800の中心からの増大する距離とともに、大きさにおいて減少することになるという想定のもとに、HTS積重体は、組立体の中心からの増大する半径方向の距離とともに、各々の溝内の、より大である数の自己巻きに耐えることができることになるということが察知される。
【0152】
[00170]その上、可変幅スパイラル溝の使用は、HTSテープ積重体の全体の長さに対して、板内に「細い溝」を切り込み加工する(または、他の形で形成する、もしくは設ける)ことの必要性をなくす。本開示の目的のために、溝は、その深さがその幅の2倍より多いときに「細い」と考えられる。かくして、内に設けられる可変幅スパイラル溝を有する板を使用することは、細い溝を使用することの必要性なしに、細いHTSテープ積重体の使用を可能とする。設計は、さらには、コイルおよびその構造が、磁場発生、HTSテープにより経験される自己磁場、ならびに、機械的荷重、すなわち、構造剛性、溶接および締結具に対する場所、板の間のチャンネルを含む冷却剤チャンネルに対する場所に関して別個に最適化されることを可能とする。
【0153】
[00171]類する要素が、いくつかの視図の全体を通して類する参照名称を有して与えられる、
図7~7Dを今から参照すると、可変幅スパイラル溝付きの積重される板のダブルパンケーキ磁石組立体800は、板802を含み、その板内に配設されるのが、伝導性(例えば、銅)端子ブロック804およびHTSテープ積重体806であり、そのHTSテープ積重体は、変動する幅のいくつかの溝の中に内包され、各々のそのような溝の空間を占有するように(および理想的には、完全に占有する - すなわち、「充填する」ように)、その積重体自体に対して巻かれる。特に、磁石組立体800は、HTS積重体806(および任意の共巻き)によって充填される様々な溝を規定する壁810、812、814、816、および818を含む。磁石組立体800は、その組立体の内径に沿った、第2の任意選択の銅端子ブロック820をさらに含む。磁石組立体800は、さらには、積重される板802と同じ材料から作製され得る、外方構造部材822と、内方構造部材824とを有する。
【0154】
[00172]可変幅スパイラル溝付きの積重される板のダブルパンケーキ磁石組立体内の溝の数(ゆえに、壁の数)は、意図される使用によって変動し得るということが察知される。各々の溝の中のHTSテープ積重体および/または共巻きの巻きの数は、同じように、意図される使用によって変動し得るということが、さらには察知される。かくして、
図7は、単に例解的であり、本明細書において提供される説明を読む後で、当業者は、他の実施形態を形成するために、本明細書において説明される概念、技法、および構造をどのように適合させるべきかを察知することになる。
【0155】
[00173]各々の壁810、812、814、816、および818は、上述で説明されたような冷却手段を含み、または、HTSテープ積重体806により経験される磁力に対する構造支持をもたらし、または、その両方であり得る。
【0156】
[00174]壁810、812、814、816、および818の各々は、磁石組立体800に、1つまたは複数の回数(すなわち、それらの壁の一部分)、実質的に巻き付き得る。さらにまた、
図7Dにおいて最も明確に確認され得るように、壁の一部(または、すべてでさえも)は、異なる角度位置において、変動する(すなわち、先細になる)厚さを有する(例えば、壁一部分818a、818bを含む壁818を確認されたい)。かくして、同じ連続する壁は、任意の所与の断面において、変動する壁厚さのいくつかの一部分を有するように出現し得る。
【0157】
[00175]所与の断面に沿った所与の壁の総合的な幅は、断面において出現するその壁の一部分の各々の半径方向の広がりの総和として算出され得る。この総合的な幅は、異なる実施形態において、異なる壁に対して等しいことがあり、または、等しくないことがあり、所与の壁の総合的な幅は、それぞれの断面の角度位置の関数として変動し得る。
【0158】
[00176]
図7A~7Cは、
図7の磁石組立体800の、それぞれ、線A-A、B-B、およびC-Cに沿ってとられる断面視図であり、一方で
図7Dは、磁石組立体800の一部分の斜視図を示す。
【0159】
[00177]
図7Aを今から参照すると、板802が、左下側においての磁石組立体800の外径(近接する参照番号822)、および、右上側においての磁石組立体800の内径(近接する参照番号824)を伴って表示される。銅端子ブロック804は、左下部において、HTSテープ積重体806の一部分806aを2つの側部で包囲するように表示される。テープ積重体一部分806aの第3の内面側の側部は、壁810と境を接し、一方で、テープ積重体一部分806aの第4の側部は、本明細書において開示される概念、技法、および構造によれば、その第4の側部に対して積重される(示されない)別のスパイラル溝付き磁石組立体と境を接し得る。
【0160】
[00178]
図7および7Aを参照すると、磁石組立体800の個別の断面A-Aにおいて、HTSテープ積重体806の4つの層が、壁810、および、壁812の一部分812aにより規定され、それらの壁810と一部分812aとの間に走る溝内で、それらの層自体に対して巻かれる。HTSテープ積重体806の2つのそのような層806bおよび806cが、
図7Aにおいて表示される。HTSテープ積重体806をそれ自体に対して(例えば、層806bおよび806cの形で)層状にすることは、有利には、個別の用途によって所望されるように、磁石組立体800の中の自己磁場強度を分布させ得るということが察知される。
【0161】
[00179]HTSテープ積重体806の層が、一部分812aと、壁812の一部分812bとの間に表示される。上述で指摘されたように、壁812は、磁石組立体800に2回以上、回るように絡み付き、かくして、その壁の2つの一部分812aおよび812bが、個別の断面A-Aにおいて出現する。これらの一部分812aと812bとの間のチャンネルは、壁810および812aにより規定される大きい溝と、壁812bおよび814aにより規定される大きい溝との間の、単一HTSテープ積重体806の近隣の巻線を許すように設けられる。かくして、磁石組立体800の実施形態は、単一の細い積重体を含み得るが、それでも、高インダクタンス巻線を可能にし得るということが察知される。
【0162】
[00180]上述で説明されたパターンにしたがって、壁812の一部分812bは、HTSテープ積重体806の層806dと境を接する。積重体の6つの層が、一部分812b、および、壁814の一部分814aにより規定される溝内で、互いに対して巻かれる。チャンネルが、一部分814aと、同じ壁814の一部分814bとの間に設けられ、そのチャンネルを通して巻かれるのが、層806eとして壁814の他方の側部に出現する、HTSテープ積重体806の層である。積重体の3つの層が、壁814の一部分814b、および、壁816の一部分816aにより規定される溝内で、互いに対して巻かれる。チャンネルが、一部分816aと、同じ壁816の一部分816bとの間に設けられ、そのチャンネルを通して巻かれるのが、層806fとして壁816の他方の側部に出現する、HTSテープ積重体806の層である。積重体の3つの層が、壁816の一部分816b、および、壁818の一部分818aにより規定される溝内で、互いに対して巻かれる。チャンネルが、一部分818aと、同じ壁818の一部分818bとの間に設けられ、そのチャンネルを通して巻かれるのが、HTSテープ積重体806の層である。
【0163】
[00181]磁石組立体800の最も内方の一部分は、
図7Aにおいて表示されるように、第2の任意選択の銅端子ブロック820により占有され得る。この非超伝導端子ブロック820は、一部の実施形態において、電流を超伝導HTSテープ積重体806から(または、その積重体内へと)移行させるために使用され得る。端子ブロック820は、電気接触の外部点を設けるために、板802を完全に貫いて伸長し得るということに留意されたい。代替で、HTSテープ積重体806は、上述で説明された概念、技法、および構造によって、その積重体の巻線を、最も内方の層806gから、境を接する積重される磁石組立体内へと継続し得る。内方壁(例えば、壁818)と内径(例えば、部材824)との間の空間の他の構成が、様々な実施形態において使用され得るということが察知される。
【0164】
[00182]
図7Bは、線B-Bに沿った
図7の断面であり、左においての磁石組立体800の外径、および、右においての内径を伴う同様のパターンを表示する。かくして、上述のように、外方部材822が示され、次いで、板802より上の端子ブロック804、次いで、端子ブロック804と壁810との間のチャンネルを通って巻き付くHTSテープ積重体806の層806aが示される。次に示されるのは、壁810と、壁812の外方一部分812aとの間の溝内の積重体の4つの層、次いで、壁812の一部分812aと812bとの間のチャンネル内の積重体の層である。
【0165】
[00183]特に留意すべきは、
図7Bにおいて示されるような一部分812aは、
図7Aにおいて示されるような同じ壁812の対応する一部分812aより半径方向に厚いということである。かくして、これらの図の断面の間の違いは、どのように壁812が、磁石組立体800の方々で、異なる角度方向によって、変動する厚さを有するかを例解し、特に、壁812の先細にされる形状を例解する。逆に、
図7Bにおいて示されるような一部分812bは、
図7Aにおいて示されるような同じ壁812の対応する一部分812bより半径方向に薄い。しかしながら、一部分812aおよび812bの半径方向の厚さの総和 - すなわち、この断面に沿った壁812の「総合的な厚さ」 - は、両方の図において同じであり、断面の角度方向によって変動しない。
【0166】
[00184]不変の総合的な厚さを有することが、一部の実施形態において有利であり得るものであり、例えば、各々の一部分812aおよび812bが、磁力が振り向けられる何らかの構造支持をもたらすという程度に、この構造支持は、一様であり、角度方向によって変動しない。しかしながら、上述で解説されたように、一部の実施形態において、壁812の総合的な厚さは、角度方向によって変動し得る。その上、一部の実施形態において、テープ積重体の幅は、積重体に沿った距離によって変動し得るものであり、そのことは、壁厚さが、それに応じて調整されることを要する。
【0167】
[00185]
図7Bの説明に関して半径方向に内向きに継続すると、壁812の一部分812bは、HTSテープ積重体806の層806dと境を接する。積重体の6つの層が、一部分812b、および、壁814の一部分814aにより規定される溝内で、互いに対して巻かれる。チャンネルが、一部分814aと、同じ壁814の一部分814bとの間に設けられ、そのチャンネルを通して巻かれるのが、層806eとして壁814の他方の側部に出現する、HTSテープ積重体806の層である。留意すべきは、まさに上述で説明された理由のために、一部分814aは、
図7Aにおいてよりも
図7Bにおいて厚く、一方で、一部分814bは、
図7Aにおいてよりも
図7Bにおいて薄いが、これらの一部分の総合的な厚さは同じであるということである。
【0168】
[00186]積重体の3つの層が、壁814の一部分814b、および、壁816の一部分816aにより規定される溝内で、互いに対して巻かれる。チャンネルが、一部分816aと、同じ壁816の一部分816bとの間に設けられ、そのチャンネルを通して巻かれるのが、層806fとして壁816の他方の側部に出現する、HTSテープ積重体806の層である。一部分816aは、
図7Aにおいてよりも
図7Bにおいて厚く、一方で、一部分816bは、
図7Aにおいてよりも
図7Bにおいて薄いが、これらの一部分の総合的な厚さは同じである。
【0169】
[00187]積重体の3つの層が、壁816の一部分816b、および、壁818の一部分818aにより規定される溝内で、互いに対して巻かれる。チャンネルが、一部分818aと銅端子ブロック820との間に設けられ、そのチャンネルを通して巻かれるのが、HTSテープ積重体806の層である。端子ブロック820は、電気接触の外部点を設けるために、板802を完全に貫いて伸長し得るということに留意されたい。さらに留意すべきは、壁818は、
図7Bにおいて例解される断面B-Bにおいて、単一の一部分818aのみを内包するということである。最終的には、材料824が、磁石組立体800の最内径に沿って出現する。
【0170】
[00188]
図7Cは、線C-Cに沿った
図7の断面であり、上部においての磁石組立体800の外径、および、下部においての内径を伴う同様のパターンを表示する。かくして、外方部材822が示され、次いで、壁810の一部分810aが示される。端子ブロック804は、下記で論考される理由のために、この断面において存在しないということに留意されたい。次に、HTSテープ積重体806の層806aが、一部分810aと、同じ壁810の一部分810bとの間のチャンネルを通って巻き付く。
【0171】
[00189]次に示されるのは、層806bと806cとを含む、壁810と、壁812の外方一部分812aとの間の溝内のHTSテープ積重体806の4つの層である。その下手に示されるのは、壁812の一部分812aと812bとの間のチャンネル内の積重体の層である。
【0172】
[00190]
図7Cにおいて示されるような一部分812aは、
図7Aおよび7Bにおいて示されるような同じ壁812の対応する一部分812aより半径方向に厚いということに留意されたい。かくして、これらの図の断面の間の違いは、どのように壁812が、磁石組立体800の方々で、異なる角度方向によって、変動する厚さを有するかを例解し、特に、壁812の先細にされる形状を例解する。逆に、
図7Cにおいて示されるような一部分812bは、
図7Aおよび7Bにおいて示されるような同じ壁812の対応する一部分812bより半径方向に薄い。しかしながら、断面C-Cに沿った壁812の総合的な厚さは、すべての3つの図において同じであり、断面の角度方向によって変動しない。
【0173】
[00191]
図7Cの説明に関して半径方向に内向きに(すなわち、下向きに)継続すると、壁812の一部分812bは、HTSテープ積重体806の層806dと境を接する。積重体の6つの層が、一部分812b、および、壁814の一部分814aにより規定される溝内で、互いに対して巻かれる。チャンネルが、一部分814aと、同じ壁814の一部分814bとの間に設けられ、そのチャンネルを通して巻かれるのが、層806eとして壁814の他方の側部に出現する、HTSテープ積重体806の層である。再び留意すべきは、上述のように、一部分814aは、
図7Aおよび7Bにおいて、より厚く、一方で、一部分814bは、
図7Aおよび7Bにおいて、より薄いが、これらの一部分の総合的な厚さは同じであるということである。
【0174】
[00192]積重体の3つの層が、壁814の一部分814b、および、壁816の一部分816aにより規定される溝内で、互いに対して巻かれる。チャンネルが、一部分816aと、同じ壁816の一部分816bとの間に設けられ、そのチャンネルを通して巻かれるのが、層806fとして壁816の他方の側部に出現する、HTSテープ積重体806の層である。一部分816aは、
図7Aおよび7Bにおいてよりも
図7Cにおいて厚く、一方で、一部分816bは、
図7Aおよび7Bにおいてよりも
図7Cにおいて薄いが、これらの一部分の総合的な厚さは同じである。
【0175】
[00193]積重体の3つの層が、壁816の一部分816b、および、壁818の一部分818aにより規定される溝内で、互いに対して巻かれる。はめ込みチャンネルが、(銅端子ブロック820から除去される材料により)一部分818aと銅端子ブロック820との間に設けられ、そのチャンネルを通して巻かれるのが、HTSテープ積重体806の層である。端子ブロック820は、電気接触の外部点を設けるために、板802を完全に貫いて伸長し得るということに留意されたい。さらに留意すべきは、壁818は、
図7Cにおいて例解される断面C-Cにおいて、単一の一部分818aのみを内包するということである。最終的には、材料824が、磁石組立体800の最内径に沿って出現する。
【0176】
[00194]はめ込まれる伝導性細長片または板804は、とりわけ、伝導性端子と、背部板802を備える相対的に低い伝導度材料との間に、および、HTSテープ積重体806と伝導性端子との間に、大きい接触区域をもたらす。実施形態において、伝導性端子は、銅端子として設けられ、はめ込まれる伝導性細長片804は、はめ込まれる銅細長片804として設けられる。そのような伝導性細長片の使用は、HTS積重体テープ806と銅端子との間の低い接合抵抗の成し遂げを容易にする。
【0177】
[00195]この特徴は、磁石が充電されているとき、および、通常から外れた事象の間に有用であり得る。接触区域は、銅と背部板材料802との間の境界面においての電流密度が、材料それら自体に対して、および、材料の間の接触抵抗に対しての両方で、受け入れ可能な限度(例えば、受け入れ可能なジュール加熱)の範囲内であるということを確実にするように十分に大きいように選定される。このことは、通常から外れた事象の間の過熱からの潜在的可能性の損傷の設計考慮、ならびに、充電の間の背部板802内のジュール加熱分布、および、冷却要件へのそのジュール加熱分布の影響の考慮を含む。
【0178】
[00196]銅板804は、積重体を受け入れ、沿って局在的加熱影響を配分するための追加的な表面区域をもたらすために、積重体深さまたは高さより深い。かくして、例えば、
図7Aにおいて、一部分806aは、その側部のうちの2つに沿って銅板804と接触し、
図7Cにおいて、一部分806gは、その側部のうちの2つに沿って銅端子ブロック820と接触する。
【0179】
[00197]本明細書において開示される概念の様々な実施形態は、関係付けられる図面を参照して説明されるということが理解されるべきである。代替的実施形態が、本明細書において説明される幅広い概念の範囲から逸脱することなく考案され得る。様々な接続および位置的関係性(例えば、上方、下方、隣り合う、その他)が、後に続く説明において、および、図面において、要素の間で論述されるということが留意される。これらの接続および/または位置的関係性は、別段に明記されない限り、直接的または間接的であり得るものであり、本発明は、この点において制限的であることを意図されない。よって、実体の結合は、直接的結合または間接的結合のいずれかを指し得るものであり、実体の間の位置的関係性は、直接的位置的関係性または間接的位置的関係性であり得る。間接的位置的関係性の例として、層または要素「A」を層または要素「B」の上方に配設することに対する本説明においての言及は、1つまたは複数の中間層または要素(例えば、層または要素「C」)が、層/要素「A」と層/要素「B」との間にある情況を含み、そのことは、層/要素「A」および層/要素「B」の、重要性のある特性および機能性が、上記中間層により実質的に変化させられない限りにおいてのものである。
【0180】
[00198]後に続く定義および略語が、特許請求の範囲および本明細書の解釈に対して使用されることになる。本明細書において使用される際、用語「備える(三人称単数現在形)」、「備える(現在分詞)」、「含む(三人称単数現在形)」、「含む(現在分詞)」、「有する(三人称単数現在形)」、「有する(現在分詞)」、「内包する(三人称単数現在形)」、もしくは「内包する(現在分詞)」、または、それらの任意の他の変化形は、非排他的な含みを対象とすることを意図される。例えば、列挙の要素を備える、組成物、混合物、工程、方法、物品、または装置は、それらの要素のみに必ずしも制限されるのではなく、明示的に列挙されない、または、そのような組成物、混合物、工程、方法、物品、もしくは装置に本来備わる、他の要素を含むことができる。
【0181】
[00199]加うるに、用語「例示的」は、「例、実例、または例解として役立つ」を意味するように本明細書において使用される。「例示的」と本明細書において説明されるいかなる実施形態または設計も、必ずしも、他の実施形態または設計にまさって、好まれる、または有利であると解されることにはならない。用語「1つまたは複数」および「1つまたは複数」は、1以上の任意の整数の数、すなわち、1、2、3、4、その他を含むと理解される。用語「複数」は、2以上の任意の整数の数、すなわち、2、3、4、5、その他を含むと理解される。用語「接続」は、間接的「接続」および直接的「接続」を含むことができる。
【0182】
[00200]「1つの実施形態」、「一実施形態」、「例実施形態」、その他に対する本明細書においての言及は、説明される実施形態は、個別の特徴、構造、または特性を含むことができるが、あらゆる実施形態は、上記個別の特徴、構造、または特性を含むことができるということを示唆する。その上、そのような語句は、同じ実施形態に必ずしも言及していない。さらに、個別の特徴、構造、または特性が、一実施形態に関するものとして説明されるとき、明瞭に説明されていようと、そうでなかろうと、そのような特徴、構造、または特性を、他の実施形態に関するものとして好んで用いることは、当業者の知識の範囲内であるということが具申される。
【0183】
[00201]本明細書において提供される説明の目的のために、用語「上側」、「下側」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「上部」、「下部」、および、それらの派生語は、図面の図において向きを定められるように、説明される構造および方法に関係するものとする。用語「上方にある」、「頂上に」、「上部上に」、「上に位置設定される」、または「頂上に位置設定される」は、第1の構造などの第1の要素が、第2の構造などの第2の要素上に存在し、その場合、境界面構造などの介在要素が、第1の要素と第2の要素との間に存在することができるということを意味する。用語「直接的接触」は、第1の構造などの第1の要素、および、第2の構造などの第2の要素が、2つの要素の境界面において、いかなる中間の伝導層、絶縁層、または半導体層もなしに接続されるということを意味する。
【0184】
[00202]当業者は、本明細書において説明される概念、構造、デバイス、および技法が、それらの趣旨、または、本質的な概念もしくは特性から逸脱することなく、他の特定の形式で実施され得るということに気付くことになる。前述の実施形態は、それゆえに、すべての点において、保護されることを求められる幅広い概念について、制限的であるよりむしろ例解的であると考えられるべきである。概念の範囲は、かくして、前述の説明によってよりむしろ、添付される特許請求の範囲により指示され、特許請求の範囲の均等性の意味合いおよび範囲の中にあるすべての変化は、それゆえに、特許請求の範囲に包含されることを意図される。