(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】メッシュネットワーク通信のためのモード選択
(51)【国際特許分類】
H04W 28/18 20090101AFI20240418BHJP
H04W 84/18 20090101ALI20240418BHJP
【FI】
H04W28/18 110
H04W84/18
(21)【出願番号】P 2021549808
(86)(22)【出願日】2020-02-21
(86)【国際出願番号】 US2020019284
(87)【国際公開番号】W WO2020176355
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2023-01-13
(32)【優先日】2019-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513113895
【氏名又は名称】ランディス・ギア イノベーションズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LANDIS+GYR INNOVATIONS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】ホルコム,マイケル ショーン
(72)【発明者】
【氏名】マシューズ,ジャスティン クリフォード
【審査官】米倉 明日香
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0258950(US,A1)
【文献】特表2016-527757(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0060064(US,A1)
【文献】特表2012-523184(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッシュネットワークにおける送信ノード及び受信ノードの間における通信のための通信モードを決定するための方法であって、上記方法は、
上記送信ノードによって、上記送信ノード及び上記受信ノードの通信状態を記述するモード選択データであって、上記受信ノードのSNR要件と、上記送信ノードのSNR要件と、上記受信ノードの最大伝送電力と、上記送信ノードの送信電力とを含むモード選択データにアクセスすることと、
上記送信ノードによって、上記受信ノードのSNR要件及び上記送信ノードの送信電力に少なくとも部分的に基づいて、データパケットを上記受信ノードに送信するために上記送信ノードによって使用可能であるモードの第1のモードリストを決定することと、
上記送信ノードによって、上記送信ノードのSNR要件及び上記受信ノードの最大伝送電力に少なくとも部分的に基づいて、肯定応答パケットを上記送信ノードに送信するために上記受信ノードによって使用可能であるモードの第2のモードリストを決定することと、
上記送信ノードによって、上記第1のモードリスト及び上記第2のモードリストの両方に含まれる通信モードを選択することと、
上記送信ノードによって、上記選択された通信モードを用いて上記データパケットを上記受信ノードに送信することとを含む、
方法。
【請求項2】
上記第1のモードリスト及び上記第2のモードリストの両方に含まれる通信モードを選択することは、上記第1のモードリスト及び上記第2のモードリストの両方に含まれる各モードの無線時間であって、上記送信ノードが当該モードを用いて上記受信ノードとの通信を完了するための時間長を含む無線時間を計算することを含み、通信を完了することは、上記データパケットを上記受信ノードに送信することと、上記受信ノードから上記肯定応答パケットを受信することとを含み、
上記第1のモードリスト及び上記第2のモードリストの両方に含まれる通信モードを選択することは、上記第1のモードリスト及び上記第2のモードリストの両方に含まれるモードから、最短の無線時間を有するモードを選択することで、上記通信モードを選択することを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
上記モードの無線時間を計算することは、
上記データパケットを上記受信ノードに送信して上記受信ノードから上記肯定応答パケットを受信するための時間長を計算することと、
上記送信ノードの基礎モードが上記モードとは異なると決定することと、
上記送信ノードの基礎モードが上記モードとは異なるという決定に応答して、上記モードの無線時間に、上記基礎モードから上記モードに切り換えるための第2の時間長を追加することとを含む、
請求項2記載の方法。
【請求項4】
上記第2の時間長は、上記送信ノードの基礎モードを用いてモード切り換えヘッダを上記受信ノードに送信するための時間と、上記基礎モードから上記モードに切り換えることで引き起こされた遅延とを含む、
請求項3記載の方法。
【請求項5】
上記送信ノードは複数の帯域をサポートし、
上記通信モードを選択することは、上記複数の帯域から、上記選択された通信モードの無線時間が最短になる帯域を選択することをさらに含み、
上記データパケットを上記受信ノードに送信することは、上記選択された通信モードを用いて、上記選択された帯域において、上記データパケットを上記受信ノードに送信することを含む、
請求項2記載の方法。
【請求項6】
上記モード選択データは、上記送信ノードの最大送信電力、上記受信ノードにおけるノイズフロア、上記送信ノードにおけるノイズフロア、又は上記送信ノード及び上記受信ノードの間における経路損失のうちの1つ又は複数をさらに含む、
請求項1記載の方法。
【請求項7】
上記第1のモードリストを決定することは、
上記送信ノードによってサポートされる複数のモードを決定することと、
上記データパケットを上記受信ノードに送信するための経路損失を決定することと、
上記複数のモードの各モードについて、
上記受信ノードのSNR要件及び上記送信ノードの送信電力に少なくとも部分的に基づいて、上記モードを用いて上記データパケットを上記受信ノードに送信するためのリンクバジェットを計算することと、
上記リンクバジェットが上記経路損失より高いと決定することと、
上記リンクバジェットが上記経路損失より高いという決定に応答して、上記モードを上記第1のモードリストに追加することとを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項8】
上記モードを用いて上記データパケットを上記受信ノードに送信するための上記リンクバジェットを計算することは、上記モードの送信電力と、上記受信ノードにおけるSNR要件及びノイズフロアの和との間の差を計算することを含む、
請求項7記載の方法。
【請求項9】
上記モードを用いて上記データパケットを上記受信ノードに送信するための経路損失は、上記受信ノードから受信された以前のデータパケットの送信電力と、上記送信ノードにおいて測定された上記以前のデータパケットの受信信号強度値との間の差を計算することで決定される、
請求項7記載の方法。
【請求項10】
上記第2のモードリストを決定することは、
上記受信ノードによってサポートされる2つ以上のモードを決定することと、
上記受信ノードから上記送信ノードに上記肯定応答パケットを送信するための経路損失を決定することと、
上記2つ以上のモードの各モードについて、
上記送信ノードのSNR要件及び上記受信ノードの最大送信電力に少なくとも部分的に基づいて、上記モードを用いて上記肯定応答パケットを上記受信ノードから上記送信ノードに送信するためのリンクバジェットを計算することと、
上記リンクバジェットが上記経路損失より高いと決定することと、
上記リンクバジェットが上記経路損失より高いという決定に応答して、上記モードを上記第2のモードリストに追加することとを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項11】
上記モードを用いて上記肯定応答パケットを送信するための上記リンクバジェットを計算することは、上記モードの送信電力と、上記送信ノードにおけるSNR要件及びノイズフロアの和との間の差を計算することを含む、
請求項10記載の方法。
【請求項12】
上記選択された通信モードを用いて上記データパケットを送信することに失敗したと決定することと、
上記選択された通信モードを用いて上記データパケットを送信することに失敗したという決定に応答して、
上記送信ノード及び上記受信ノードの間における推定された経路損失を増大させることにより上記モード選択データを変更することと、
上記変更されたモード選択データに基づいて上記第1のモードリスト及び上記第2のモードリストを更新することと、
上記更新された第1のモードリスト及び上記更新された第2のモードリストの両方に含まれる新たな通信モードを決定することと、
上記新たな通信モードを用いて、上記データパケットを上記受信ノードに送信することとを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項13】
コンピュータ可読命令を実行するように構成されたプロセッサと、上記コンピュータ可読命令を格納するように構成されたメモリとを備えるネットワークのノードであって、
上記コンピュータ可読命令は、上記プロセッサによって実行されたとき、上記プロセッサに以下のステップを含む動作を実行させ、
上記動作は、
上記ノード及び受信ノードの通信状態を記述するモード選択データであって、上記受信ノードのSNR要件と、上記ノードのSNR要件と、上記受信ノードの最大伝送電力と、上記ノードの送信電力とを含むモード選択データにアクセスするステップと、
上記受信ノードのSNR要件及び上記ノードの送信電力に少なくとも部分的に基づいて、データパケットを上記受信ノードに送信するために上記ノードによって使用可能であるモードの第1のモードリストを決定するステップと、
上記ノードのSNR要件及び上記受信ノードの最大伝送電力に少なくとも部分的に基づいて、肯定応答パケットを上記ノードに送信するために上記受信ノードによって使用可能であるモードの第2のモードリストを決定するステップと、
上記第1のモードリスト及び上記第2のモードリストの両方に含まれる通信モードを選択するステップと、
上記選択された通信モードを用いて上記データパケットを上記受信ノードに送信するステップとを含む、
ノード。
【請求項14】
上記モード選択データは、上記ノードの最大送信電力、上記受信ノードにおけるノイズフロア、上記ノードにおけるノイズフロア、又は上記ノード及び上記受信ノードの間における経路損失のうちの1つ又は複数をさらに含む、
請求項13記載のノード。
【請求項15】
上記動作は、
上記ネットワークに新たな近傍が加入したと決定することと、
上記ネットワークに新たな近傍が加入したという決定に応答して、上記新たな近傍に、上記ノードの上記最大送信電力及び上記SNR要件を送信することと、
上記新たな近傍から、上記新たな近傍の最大送信電力及びSNR要件を受信することと、
上記新たな近傍の上記最大送信電力及び上記SNR要件を含むように上記モード選択データを更新することとを含む、
請求項14記載のノード。
【請求項16】
上記データパケットはそれぞれ、対応するデータパケットを送信するために使用される送信電力と、上記ノードにおいて推定されたノイズフロアとを記述するフィールドを含む、
請求項14記載のノード。
【請求項17】
上記動作は、上記受信ノードから肯定応答パケットを受信することを含み、
上記肯定応答パケットはそれぞれ、対応する肯定応答パケットを送信するために上記受信ノードによって使用される送信電力と、上記受信ノードにおいて測定されたノイズフロアとを記述するフィールドを含み、
上記動作は、
上記受信された肯定応答パケットに基づいて受信信号強度値を決定することと、
上記受信ノードによって使用される送信電力と上記受信信号強度値との間の差を計算することで、更新された経路損失を計算することと、
上記更新された経路損失と上記受信ノードにおけるノイズフロアとを含むように上記モード選択データを更新することとを含む、
請求項14記載のノード。
【請求項18】
モードの第1のリスト及びモードの第2のリストの両方に載っている通信モードをそこにおいては選択することは、上記第1のモードリスト及び上記第2のモードリストの両方に含まれる各モードの無線時間であって、上記ノードが当該モードを用いて上記受信ノードとの通信を完了するための時間長を含む無線時間を計算することを含み、通信を完了することは、上記データパケットを上記受信ノードに送信することと、上記受信ノードから上記肯定応答パケットを受信することとを含み、
モードの第1のリスト及びモードの第2のリストの両方に載っている通信モードをそこにおいては選択することは、上記第1のモードリスト及び上記第2のモードリストの両方に含まれるモードから、最短の無線時間を有するモードを選択することで、上記通信モードを選択することを含む、
請求項13記載のノード。
【請求項19】
上記モードの無線時間を計算することは、
上記データパケットを上記受信ノードに送信して上記受信ノードから上記肯定応答パケットを受信するための時間長を計算することと、
上記ノードの基礎モードが上記モードとは異なると決定することと、
上記ノードの基礎モードが上記モードとは異なるという決定に応答して、上記モードの無線時間に、上記基礎モードから上記モードに切り換えるための第2の時間長を追加することとを含む、
請求項18記載のノード。
【請求項20】
ネットワークにおける送信ノードのための通信モードを決定するための方法であって、上記方法は、
上記送信ノードによって、受信ノードのSNR要件及び上記送信ノードの送信電力に少なくとも部分的に基づいて、データパケットを上記受信ノードに送信するために上記送信ノードによって使用可能であるモードの第1のモードリストを決定することと、
上記送信ノードによって、上記送信ノードのSNR要件及び上記受信ノードの最大伝送電力に少なくとも部分的に基づいて、肯定応答パケットを上記送信ノードに送信するために上記受信ノードによって使用可能であるモードの第2のモードリストを決定することと、
上記送信ノードによって、上記第1のモードリスト及び上記第2のモードリストの両方に含まれる通信モードを選択することと、
上記送信ノードによって、上記選択された通信モードを用いて上記データパケットを上記受信ノードに送信することとを含む、
方法。
【請求項21】
上記第1のモードリスト及び上記第2のモードリストの両方に含まれる通信モードを選択することは、上記第1のモードリスト及び上記第2のモードリストの両方に含まれる各モードの無線時間であって、上記送信ノードが当該モードを用いて上記受信ノードとの通信を完了するための時間長を含む無線時間を計算することを含み、通信を完了することは、上記データパケットを上記受信ノードに送信することと、上記受信ノードから上記肯定応答パケットを受信することとを含み、
上記第1のモードリスト及び上記第2のモードリストの両方に含まれる通信モードを選択することは、上記第1のモードリスト及び上記第2のモードリストの両方に含まれるモードから、最短の無線時間を有するモードを選択することで、上記通信モードを選択することを含む、
請求項20記載の方法。
【請求項22】
上記第1のモードリストを決定することは、
上記送信ノードによってサポートされる複数のモードを決定することと、
上記データパケットを上記受信ノードに送信するための経路損失を決定することと、
上記複数のモードの各モードについて、
上記受信ノードのSNR要件及び上記送信ノードの送信電力に少なくとも部分的に基づいて、上記モードを用いて上記データパケットを上記受信ノードに送信するためのリンクバジェットを計算することと、
上記リンクバジェットが上記経路損失より高いと決定することと、
上記リンクバジェットが上記経路損失より高いという決定に応答して、上記モードを上記第1のモードリストに追加することとを含む、
請求項20記載の方法。
【請求項23】
上記第2のモードリストを決定することは、
上記受信ノードによってサポートされる2つ以上のモードを決定することと、
上記受信ノードから上記送信ノードに上記肯定応答パケットを送信するための経路損失を決定することと、
上記2つ以上のモードの各モードについて、上記送信ノードのSNR要件及び上記受信ノードの最大送信電力に少なくとも部分的に基づいて、上記モードを用いて上記肯定応答パケットを上記受信ノードから上記送信ノードに送信するためのリンクバジェットを計算することと、
上記リンクバジェットが上記経路損失より高いと決定することと、
上記リンクバジェットが上記経路損失より高いという決定に応答して、上記モードを上記第2のモードリストに追加することとを含む、
請求項20記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、メッシュネットワークにおけるノード間の通信に関する。より詳しくは、本開示は、メッシュネットワークの受信ノードとの通信のために送信ノードによって通信モードを選択することに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークにおいて、メーター、ゲートウェイ、又はルータのようなインフラストラクチャノード(又は単に「ノード」)は、常に互いに通信して、例えば、メッセージを交換したりデータを送信したりする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、異なるノードは、異なるハードウェア及びソフトウェア構成を有し、従って、異なる通信モードをサポートする可能性がある。さらに、各ノードは、複数の通信モードをサポートする可能性がある。例えば、一部のノードは、直交周波数分割多重(orthogonal frequency-division multiplexing、「OFDM」)の所定の通信モードをサポートするように構成されてもよく、その一方、他のノードは、OFDM通信モードの他の集合をサポートするように構成される。一部のノードは、OFDMに加えて、周波数偏移変調(frequency-shift keying:FSK)に基づく通信モードをサポートするように構成されてもよい。そのため、データを送信する場合、送信ノードは、データを受信ノードに確実かつ効率的に送信できるように、サポートされた複数の通信モードの間で通信モードを選択する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ネットワークにおける送信ノードのための通信モードを選択するための装置及び処理について、複数の態様及び複数の実施例が開示される。例えば、ネットワークにおける送信ノード及び受信ノードの間における通信のための通信モードを決定するための方法は、送信側ノードによって、送信側ノード及び受信側ノードの通信状態を記述するモード選択データにアクセスすることを含む。モード選択データは、受信側ノードのSNR要件と、送信側ノードのSNR要件と、受信側ノードの最大伝送電力と、送信側ノードの送信電力とを含む。送信ノードは、受信ノードのSNR要件及び送信ノードの送信電力に基づいて、データパケットを受信ノードに送信するために送信ノードによって使用可能であるモードの第1のモードリストを決定する。送信ノードはさらに、送信ノードのSNR要件及び受信ノードの最大伝送電力に基づいて、肯定応答パケットを送信ノードに送信するために受信ノードによって使用可能であるモードの第2のモードリストを決定する。送信ノードは、第1のモードリスト及び第2のモードリストの両方に含まれる通信モードを選択し、選択された通信モードを用いてデータパケットを受信ノードに送信する。
【0005】
もう1つの実施例では、ネットワークのノードは、コンピュータ可読命令を実行するように構成されたプロセッサと、コンピュータ可読命令を格納するように構成されたメモリとを含み、コンピュータ可読命令は、プロセッサによって実行された場合、プロセッサに以下の動作を実行させる。本動作は、送信ノード及び受信ノードの通信状態を記述するモード選択データにアクセスすることを含む。モード選択データは、受信側ノードのSNR要件と、送信側ノードのSNR要件と、受信側ノードの最大伝送電力と、送信側ノードの送信電力とを含む。本動作はさらに、受信ノードのSNR要件及び送信ノードの送信電力に基づいて、データパケットを受信ノードに送信するために送信ノードによって使用可能であるモードの第1のモードリストを決定することと、送信ノードのSNR要件及び受信ノードの最大伝送電力に基づいて、肯定応答パケットを送信ノードに送信するために受信ノードによって使用可能であるモードの第2のモードリストを決定することとを含む。本動作は、第1のモードリスト及び第2のモードリストの両方に含まれる通信モードを選択することと、選択された通信モードを用いてデータパケットを受信ノードに送信することとを含む。
【0006】
追加の実施例では、ネットワークにおける送信ノードのための通信モードを決定するための方法が提供される。本方法は、送信ノードによって、受信ノードのSNR要件及び送信ノードの送信電力に少なくとも部分的に基づいて、データパケットを受信ノードに送信するために送信ノードによって使用可能であるモードの第1のモードリストを決定することを含む。本方法はさらに、送信ノードによって、送信ノードのSNR要件及び受信ノードの最大伝送電力に少なくとも部分的に基づいて、肯定応答パケットを送信ノードに送信するために受信ノードによって使用可能であるモードの第2のモードリストを決定することを含む。送信ノードは、次いで、第1のモードリスト及び第2のモードリストの両方に含まれる通信モードを選択し、選択された通信モードを用いてデータパケットを受信ノードに送信する。
【0007】
これらの例示的な態様及び特徴は、本願で説明する主題を限定又は定義するためではなく、本願において説明する概念についての理解を支援する実施例を提供するために言及される。本願で説明する主題の他の態様、利点、及び特徴は、本願全体に目を通すことにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示のある実施例に係る、ネットワークにおける送信ノードのための通信モードを選択するための例示的な動作環境を示すブロック図である。
【
図2】本開示のある実施例に係る、受信ノードとの通信のための通信モードを選択するように構成された送信ノードの態様を示す図である。
【
図3】本開示のある実施例に係る、デュアルバンド送信ノードによってサポートされる異なるモードのための無線時間を計算する例を示す図である。
【
図4】本開示のある実施例に係る、送信ノードのための通信モードを選択し、選択されたモードを用いてデータを送信する処理の例である。
【
図5】本開示のある実施例に係る、モード選択データに基づいて、サポートされた複数の通信モードから1つの通信モードを選択する処理の例である。
【
図6】本開示のある実施例に係る、モード選択データに基づいてデータを成功裡に送信するために使用可能である通信モードのホワイトリストを決定する処理の例である。
【
図7】本願で提示される技術の態様を実装するのに適した計算システムの例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の詳細な説明が添付の図面を参照して読まれるとき、さらに理解される。
【0010】
メッシュネットワークにおいて送信ノードが受信ノードと通信するために通信モードを選択するためのシステム及び方法が提供される。例えば、送信ノードは、受信ノード及び送信ノードのSNR要件、送信ノード及び受信ノードの最大送信電力、受信ノード及び送信ノードにおけるノイズフロア、送信ノード及び受信ノードの間の推定された経路損失、及び他の情報のような、送信ノード及び受信ノードの通信状態を記述するモード選択データを収集してもよい。ネットワークに新たな近傍が加入する場合、また、データパケットが送信ノードによって送信又は受信される場合、モード選択データが更新されてもよい。
【0011】
モード選択データに基づいて、送信ノードは、送信ノードによってサポートされたモードリストから、モード選択データに基づいてデータパケットを受信ノードに成功裡に送信するために送信ノードによって使用可能であるモードの第1のモードホワイトリストを決定してもよい。例えば、サポートされたモードの各々について、送信ノードは、当該モードを用いてデータパケットを受信ノードに送信するためのリンクバジェットを計算してもよい。送信ノードはさらに、送信ノードから受信ノードへの経路損失を推定してもよい。リンクバジェットがモードの経路損失より高い場合、このモードは、データパケットの送信のためのモードのホワイトリストに追加される。
【0012】
送信ノードは、肯定応答パケットを送信ノードに成功裡に送信するために受信ノードによって使用可能であるモードの第2のモードホワイトリストを決定する。第1のモードホワイトリストを決定するための上述の実施例と同様に、送信ノードは、サポートされたモードを用いて受信ノードから送信ノードに肯定応答パケットを送信するためのリンクバジェット及び経路損失を計算する。リンクバジェットが、サポートされたモードを用いた場合の経路損失より高い場合、このモードは、肯定応答パケットの送信のためのモードの第2のモードホワイトリストに追加される。
【0013】
送信ノードはさらに、第1及び第2のモードホワイトリストの間で重複するモードを識別する。送信ノードは、次いで、データパケットを受信ノードに送信するために、重複したモードのうちの1つを選択してもよい。もう1つの実施例では、送信ノードはさらに、重複したモードの各々のための無線時間を計算する。モードの無線時間は、当該モードを用いて送信ノードが受信ノードとの通信を完了するための時間長であって、データパケットを受信ノードに送信して受信ノードから肯定応答パケットを受信することを含む時間長を含む。送信ノードがそのモードとは異なる基礎モードを有する場合、無線時間は、送信ノードを基礎モードから当該モードに切り換えるための時間長をさらに含む。計算された無線時間に基づいて、送信ノードはさらに、第1及び第2のホワイトリストの重複したモードから、受信ノードとの通信のための最短の無線時間を有する通信モードを選択してもよい。
【0014】
本開示で説明する技術は、ネットワークのノード間における通信の効率を向上させる。データパケット及び肯定応答パケットの両方の送信を考慮することで、送信ノードは、データパケットの送信のみを考慮するよりも、高い成功率の送信をもたらす通信モードを選択することができる。さらに、送信ノード及び受信ノードの間の通信に基づいてモード選択データを頻繁に更新することで、モード選択データは、送信ノード及び受信ノードの間の送信状態を正確に反映することができる。そのため、モード選択データに基づいて選択された通信モードは、送信ノード及び受信ノードの間の通信チャネルに適している。さらに、送信の無線時間に基づいて通信モードを選択することはさらに、通信の時間期間を低減し、それによって、ノード間でより多くの通信を行うことを可能にし、従って、ネットワークの通信効率を向上させる。
【0015】
図1は例示的なネットワーク100を示し、ここでは、ノードがネットワークにおける他のノードと通信するために使用される通信モードを決定することができる。
図1に示すネットワーク100は、複数のノード112A~112H(これらは、本願では、個別に又は集合的に、ノード112と呼ばれることがある)を含む。ノード112は、配備されたノードの各場所からデータを収集するための測定ノード、ノードにより利用可能なデータを処理するための処理ノード、ネットワーク100においてあるノードから受信されたデータを他のノードに転送するためのルータノード、又は、これらの機能の組み合わせを実行するように構成されたノードを含んでもよい。ノード112はさらに、メッセージ又はデータをノード112間で交換することができるように、互いに通信するように構成される。
【0016】
一実施例では、ネットワーク100は、ユーティリティネットワークのようなリソース分配ネットワークに関連付けられ、リソース分配ネットワークにおいて取得された測定データを配送してもよい。この実施例では、ノード112は、電気メーター、ガスメーター、水道メーター、蒸気メーターなどのようなメーターを含んでもよく、リソース分配ネットワークの様々な動作特性を測定するように、また、収集されたデータを、ネットワーク100を介して、例えばルートノード114A及び114B(これらは、本願では、個別に又は集合的に、ルートノード114と呼ばれることがある)に送信するように実装されてもよい。
【0017】
ネットワーク100のルートノード114は、ノード112と通信して所定の動作、例えば、ノード112を管理すること、ノード112からデータを収集すること、また、ヘッドエンドシステム104にデータを転送することを行うように構成されてもよい。ルートノード114もまた、それ自体でデータを測定及び処理するノードとして機能するように構成されてもよい。ルートノード114は、ヘッドエンドシステム104と通信することができるパーソナルエリアネットワーク(PAN)コーディネータ、ゲートウェイ、又は他の任意の装置であってもよい。ルートノード114は、最終的に、生成及び収集されたデータを、1つ又は複数の追加のネットワーク(
図1に図示せず)を介してヘッドエンドシステム104に送信する。ヘッドエンドシステム104は、ルートノード114からデータストリーム又はメッセージを受信する中央処理システムとして機能してもよい。ヘッドエンドシステム104は、収集されたデータを処理してもよく、又は、収集されたデータを様々なアプリケーションのために処理させてもよい。
【0018】
ネットワーク100のノードが互いに通信するために、各ノードは、1つ又は複数の通信モードをサポートするように構成される。例えば、ノード112は、OFDMを異なる変調及び符号化方式(modulation and coding scheme:MCS)のレベルでサポートするように構成されてもよい。他のノードは、OFDM及びFSKの両方を様々なデータレートでサポートするように構成されてもよい。ネットワーク100の互いに異なる複数のノード、例えばノード112及びルートノード114を含むノードは、互いに異なって構成されてもよいので、通信モードをサポートするそれらの能力は互いに異なってもよい。一実施例では、ネットワークにおける各ノードは、通信の共通の基礎モードを有して構成される。この基礎モードは、配備の能力によって決定される。例えば、ノード配備は、いくつかのより古く、少ない能力を有するノードに加えて、より新しく、より多くの能力を有するノードを含んでもよい。この場合、ネットワークの基礎モードは、FSK変調のような、より古いノードがサポートできるモードであってもよい。より新しく、OFDM機能を有するノードは、マルチキャストメッセージのためにFSK基礎モードを使用し、モード切り換え動作を開始してもよい。さらに、この配備では、ノードは、ネットワークに加入するために必要な最小能力を有し、拡張能力を有するという肯定応答をそのノードから受信するまでは基礎ノードをサポートすると仮定されてもよい。一実施例では、この情報は、IEEE802.15.4標準に定義された情報要素を用いて共有されてもよい。
【0019】
すべてのノードが、OFDMをサポートすることのような拡張能力を有する他のノード配備では、ノードの各々は、基礎モードとして同じOFDMオプションを用いるように構成されてもよい。ネットワークにおけるノードが同時デュアルバンド動作を可能とする他の実施例において、1つの帯域(例えば900MHz帯域)の基礎モードはFSKであってもよく、一方、もう1つの帯域(例えば2.4GHz帯域)の基礎モードはOFDMであってもよい。
図3を参照して詳細に説明するように、デュアルバンドノードの場合、通信モードを決定することは、通信帯域を決定することも含む。
【0020】
一対のノードが互いに通信するために、データを送信するノード、本願では「送信ノード」とも呼ばれるノードは、データパケット122を他のノード、本願では「受信ノード」とも呼ばれるノードに成功裡に送信することができるように、通信モードを決定する必要がある。本開示のいくつかの態様によれば、選択された通信モードは、受信ノードによって肯定応答パケット124を送信ノードに成功裡に返信して、それがデータパケット122を受信したことを確認するために使用されてもよい。通信モードを選択する送信ノードに関する追加の詳細事項は、
図2~
図6を参照して以下に説明する。
【0021】
通信モードを選択するための本願で説明した機構は、ノード112又はルートノード114を含み、又は、ネットワークの他のノードと通信できるネットワーク100の他の任意のノードを含む、ネットワーク100における任意のノードによって利用されうることが認識されるべきである。さらに、
図1は特定のネットワークトポロジー(例えばDODAGツリー)を示すが、他のネットワークトポロジーもまた可能である(例えば、リングトポロジー、メッシュトポロジー、スタートポロジーなど)。
【0022】
ここで
図2を参照すると、
図2は、受信ノード212との通信のために通信モードを選択するように構成された送信ノード202の態様を示す。送信ノード202は、ノード112又はルートノード114であってもよく、又は、ネットワークにおける他のノードと通信できるネットワーク100の他の任意のノードであってもよい。受信ノード212は、送信ノード202の近傍、すなわち、送信ノード202が直接的に通信できるネットワーク100中の任意のノードである。さらに、送信ノード202及び受信ノード212の間の通信は、データ送信、すなわち、送信ノード202から受信ノード212にデータパケット122を送信することと、肯定応答送信、すなわち、受信ノード212から送信ノード202に肯定応答パケット124を返信することとを含む。選択された通信モードは、データ送信及び肯定応答送信の両方に使用される。
【0023】
送信ノード202は、通信モードを選択するように構成されたモード選択モジュール204を含んでもよく、これにより、送信ノード202は、選択された通信モードを用いて、受信ノード212との通信を成功裡に完了することができる。送信ノード202はさらに、モード選択データ206へのアクセスを含んでもよく、又は、有してもよい。モード選択データ206は、送信ノード202及び受信ノード212の通信状態を記述し、データ送信及び肯定応答送信のための通信モードを決定するために利用可能である。
図2は、モード選択データ206に含まれるデータエントリの例を示す。
【0024】
図2に示す実施例において、モード選択データ206は、データ送信のためのモード選択データと、肯定応答送信のためのモード選択データとを含む。データ送信では、送信ノード202から受信ノード212にデータパケット122を成功裡に送信するために、送信ノード202及び受信ノード212の間における通信チャネルによって導入された歪みの後でも、送信信号が受信ノード212においてなお認識可能であるように、送信信号は十分な強さを有するべきである。歪みは、送信ノード202及び受信ノード212の間の通信経路を介して伝搬するときにおける送信信号の電力減衰を含んでもよく、本願ではこれを「経路損失」とも呼ぶ。歪みはさらに、受信ノード212において観察されるノイズのような、その送信の間に送信信号に導入されたノイズを含んでもよい。
【0025】
その結果、受信ノード212においてデータパケット122を成功裡に受信するために、モード選択モジュール204は、様々な歪みから残存しうる電力強度を用いてデータパケット122が送信されるように、通信モードを選択することができる。このことを達成するために、データ送信のためのモード選択データは、データパケット122の送信のために使用される送信電力と、送信中にデータパケット122が受ける歪みとを記述するデータを含んでもよい。
図2に示す実施例において、データ送信のためのモード選択データは、各通信モードについて、送信ノード202の出力送信電力と、受信ノード212におけるSNR要件と、受信ノード212において観察されたノイズフロアと、送信ノード202及び受信ノード212も間における経路損失とを含む。選択されたモードの送信電力が最大出力電力を超過しないように、モード選択データはさらに、送信ノード202の最大出力電力を含んでもよい。
【0026】
モード選択データ206を用いて、モード選択モジュール204は、送信ノード202及び受信ノード212によってサポートされた通信モードの各々について、受信ノード212によってデータパケット122を成功裡に受信できるか否かを決定してもよい。一実施例では、この決定は、リンクバジェットを計算することと、リンクバジェットを、送信ノード202及び受信ノード212の間における経路損失と比較することとに基づいてもよい。より具体的には、データ通信に使用される通信モードiのリンクバジェットは、Li
DATで表され、次式で定義される。
【0027】
【0028】
ここで、
【数2】
は、通信モードiに係る送信ノード202の出力送信電力であり、S
i
RNは、受信ノード212における感度であり、次式で定義される。
【0029】
【0030】
F
i
RNは、通信モードiが送信に使用されるとき、受信ノード212において観察されるノイズフロアであり、
【数4】
は、通信モードiを用いる受信ノード212によってデータパケット122を復号するために必要とされる最小SNRである。
【0031】
次いで、モード選択モジュール204は、リンクバジェットLi
DATを、送信ノード202及び受信ノード212の間における経路損失と比較する。ここで、経路損失をPLで表す。リンクバジェットLi
DATが経路損失PLより高い場合、モード選択モジュール204は、データパケット122を送信するために通信モードiを利用可能であると決定し、通信モードiをデータ送信のためのモードのホワイトリストに追加する。そうでない場合、通信モードiはデータ送信のために利用することができない。
【0032】
上述したデータ送信の処理と同様に、モード選択モジュール204は、肯定応答送信のためのモード選択データにアクセスして、肯定応答送信のためのモードのホワイトリストを決定してもよい。肯定応答送信のためのモード選択データは、肯定応答パケット124の送信のために使用される送信電力と、送信中に肯定応答パケット124が受ける歪みとを記述するデータを含んでもよい。
図2に示す実施例において、肯定応答送信のためのモード選択データは、各通信モードについて、受信ノード212の出力送信電力と、送信ノード202におけるSNR要件と、送信ノード202において観察されたノイズフロアと、送信ノード202及び受信ノード212も間における経路損失とを含む。選択されたモードの送信電力が受信ノード212の最大出力電力を超過しないように、肯定応答送信のためのモード選択データはさらに、受信ノード212の最大出力電力を含んでもよい。
【0033】
肯定応答送信のためのモード選択データに基づいて、モード選択モジュール204は、送信ノード202及び受信ノード212によってサポートされた通信モードの各々について、受信ノード212から送信ノード202に肯定応答パケット124を成功裡に送信できるか否かを決定してもよい。一実施例では、この決定は、リンクバジェットを計算することと、リンクバジェットを、受信ノード212及び送信ノード202の間における経路損失と比較することとに基づいてもよい。より具体的には、肯定応答送信に使用される通信モードjのリンクバジェットは、Lj
ACKで表され、次式で定義される。
【0034】
【0035】
ここで、
【数6】
は、通信モードjに係る受信ノード212の出力送信電力であり、S
j
TNは、送信ノード202における感度であり、次式で定義される。
【0036】
【0037】
F
j
TNは、通信モードjが肯定応答送信に使用されるとき、送信ノード202において観察されるノイズフロアであり、
【数8】
は、通信モードjを用いる送信ノード202によって肯定応答パケット124を復号するために必要とされる最小SNRである。
【0038】
次いで、モード選択モジュール204は、リンクバジェットLj
ACKを経路損失PLと比較する。リンクバジェットLj
ACKが経路損失PLより高い場合、モード選択モジュール204は、肯定応答パケット124を送信するために通信モードjを利用可能であると決定し、通信モードjを肯定応答送信のためのモードのホワイトリストに追加する。そうでない場合、通信モードjは肯定応答送信のために利用することができない。
【0039】
モード選択モジュール204は、2つのホワイトリストの重複したモード、すなわち、データ送信のためのモードのホワイトリストと、肯定応答送信のためのモードのホワイトリストとの両方に含まれるモードを調べることで通信モードを決定してもよい。重複されたモードの各々は、送信ノード202によって受信ノード212との通信を完了するために、すなわち、データパケット122を受信ノード212に送信して受信ノード212から肯定応答パケット124を受信するために利用可能である。
【0040】
高い通信効率を達成するために、送信ノード202はさらに、重複したモードから、最短の無線時間を有する通信モードを選択してもよい。本願で使用されるように、モードの無線時間は、当該モードを用いて送信ノード202が受信ノード212との通信を完了するための時間長であって、データパケット122を受信ノード212に送信して受信ノード212から肯定応答パケット124を受信することを含む時間長を含む。送信ノード202がそのモードとは異なる基礎モードを有する場合、無線時間は、送信ノードを基礎モードから当該モードに切り換えるための時間長をさらに含む。一実施例では、送信ノード202の基礎モードは、送信ノード202が動作するデフォルトモードである。
図3を参照して、ある通信モードの無線時間を計算する追加の実施例について説明する。
【0041】
上で説明したように、モード選択データ206に基づいて2つのモードホワイトリストが決定される。送信ノード202の最大送信電力、送信電力、SNR要件、及びノイズフロアを含む、
図2に示した送信ノード202のデータのような、モード選択データ206におけるデータの一部は、送信ノード202において利用可能であるか又はローカルに取得可能である。受信ノード212の最大送信電力、送信電力、SNR要件、及びノイズフロアを含む受信ノードのデータのような、モード選択データ206の他のデータが、受信ノード212から取得される必要がある。送信ノード202において及び受信ノード212から取得されたデータに基づいて、送信ノード202及び受信ノード212の間における経路損失のようなデータが推定されてもよい。
【0042】
例えば、各モードに係る送信ノード202の最大送信電力及びSNR要件のようなデータは、送信ノード202の装置能力によって決定され、時間的に変化することはない。従って、これらの静的データは、モード選択データ206にロードされ、モード選択モジュール204によって利用可能にされてもよい。同様に、各モードに係る受信ノード212の最大送信電力及びSNR要件は、受信ノード212の装置能力によって決定され、これもまた静的なままである。受信ノード212のこれらの静的データは、データパケット122に係る通信前における所定時点において、受信ノード212によって送信ノード202に送信されてもよい。例えば、受信ノード212が、まずネットワーク100に加入し、送信ノード202が受信ノード212の近傍にあることを検出した場合、受信ノード212は、受信ノードの静的なデータに212を、他の情報とともに、送信ノード202に送信してもよい。同様に、送信ノード202は、例えば、受信ノード212がネットワークに加入したことを検出したとき、最大送信電力及びSNR要件のその静的なデータを受信ノード212に送信してもよく、これにより、受信ノード212は、その通信モードの選択のためにこれらのデータを使用することができる。
【0043】
ノイズフロア及び経路損失のようなデータは、時間的に変化する。送信ノード202は、時々、これらの動的なデータを取得してもよく、さもなければ推定してもよい。例えば、送信ノード202は、送信ノード202において受信されたパケットの未使用スロットに基づいて受信信号強度値(received signal strength indicator:RSSI)を推定することで、そのノイズフロアを推定してもよい。送信ノード202は、受信ノード212との通信により、受信ノード212のノイズフロアを取得してもよい。いくつかの実施例において、送信ノード202及び受信ノード212は、それらの各ノイズフロアを推定し、送信ノード202及び受信ノード212の間で通信されるデータパケット122及び肯定応答パケット124に各ノイズフロアを挿入する。このように、送信ノード202及び受信ノード212は、他のノードの最新のノイズフロア情報を取得することができる。
【0044】
推定されたノイズフロアにおける不正確性の影響を低減するために、送信ノード202は、受信ノード212から受信されたノイズフロア値を用いる代わりに、受信ノード212に係る平滑化されたノイズフロアを生成してもよい。例えば、送信ノード202は、受信ノード212から受信されたノイズフロアの複数の値を重み付け機構に従って平均し、平滑化されたノイズフロアを生成してもよい。重み付け機構は、例えば、より新しいノイズフロア値がより古いノイズフロア値より大きな重みを有するように変化する重みを用いて、ノイズフロア値の加重平均を計算することを含んでもよい。受信ノード212の平滑化されたノイズフロアは、モード選択データ206に含まれてもよい。受信ノード212から新たなパケットが受信されたとき、送信ノード202は、新たなパケットにおいて受信されたノイズフロア値を用いて、平滑化されたノイズフロアを更新してもよい。送信ノード202におけるノイズフロアが推定され、同様に、異なる時点において推定されたノイズフロアに対して加重平均機構を適用することで、平滑化されたノイズフロアを生成してもよい。
【0045】
経路損失は、送信ノード202によって、受信ノード212から受信された以前のパケットに基づいて推定されてもよい。一実施例では、送信ノード202は、送信ノード202及び受信ノード212の間の経路損失PLを次式のように推定してもよい。
【0046】
【0047】
ここで、P’outは、以前のパケットを送信ノード202に送信するために受信ノード212によって使用された電力である。いくつかの実施例において、P’outは、送信されたパケットにおいて、例えば送信されたパケットの指定されたフィールドを用いて指定される。RSSI’は、送信ノード202において測定された、受信されたパケットの受信信号強度値(RSSI)である。ノイズフロアと同様に、経路損失もまた、例えば加重平均法を用いて、送信ノード202によって所定時間にわたって平滑化され、平滑化された経路損失を生成してもよい。新たな経路損失は、受信ノード212から新たなパケットが受信されるごとに推定され、平滑化された経路損失を更新するために利用されてもよい。
【0048】
図2に示す例示的なモード選択データ206において、ハッチングつきの部分におけるデータは、受信ノード212から取得されるデータを表し、ハッチングなしの部分におけるデータは、送信ノード202において取得又は生成される。モード選択データ206が、
図2に示すもの以外のデータ要素を含んでもよく、
図2に示すすべてのデータ要素を含まないかもしれないことが理解されるべきである。さらに、モード選択データ206におけるデータ要素は、
図2に示す構造とは異なって配置されてもよい。例えば、
図2は、送信ノード202の最大送信電力が各モードのモード選択データに現れることを示しているが、複数のモードが最大送信電力を共用してもよいので、このデータ要素は、特定の通信モードではモード選択データとは別々に格納されてもよい。同様に、複数のモードが同じ経路損失推定値を共用してもよいので、経路損失もまた、特定の通信モードではモード選択データとは別々に格納されてもよい。
【0049】
同様に、あるモードのモード選択データ206が、データ送信のためのモード選択データと、肯定応答送信のためのモード選択データとに分割されているが、モード選択データ206は他の方法で分割されてもよい。例えば、モード選択データ206は、ノードの最大送信電力及びSNR要件を含む静的なモード選択データと、ノイズフロア、経路損失、及び送信電力などを含む動的なモード選択データとに分割されてもよい。モード選択データ206を組織化する様々な他の方法を利用可能である。
【0050】
図2に示すモード選択データ206が、テーブル、メモリに格納されたオブジェクト、プログラム構造、又は当該技術において一般的に知られた他の任意のデータコンテナを表してもよいことがさらに理解されるべきである。このデータ構造に含まれた各データ要素は、テーブルの1つ又は複数のフィールド又は列、オブジェクトの1つ又は複数の属性、プログラム構造の1つ又は複数のメンバー変数、又は当該技術において一般的に知られたデータ構造の他の任意のデータ単位を表してもよい。実装は選択の問題であり、データ構造が実装されるノードの技術、性能、及び他の要件に依存しうる。
【0051】
ここで
図3を参照して、デュアルバンド送信ノードによってサポートされる通信モードのための無線時間を計算する実施例について説明する。
図3は、異なる帯域を用いた送信ノード202から受信ノード212までの通信のためのタイムラインを示す。
図3に示す実施例において、送信ノード202は、2つの伝送帯域、すなわち、低周波帯域(例えば900MHz帯域)において動作する帯域0と、高頻度帯域(例えば2.4GHz帯域)において動作する帯域1とをサポートする。
【0052】
一実施例では、送信ノード202の帯域0は、低データレート変調方式のみをサポートするノードと通信するために、FSK 50Kbpsのような低データレート変調方式の基礎モードを有して構成される。帯域0は、OFDM 2.4Mbpsのような高データレート変調方式の通信モードもサポートし、これにより、送信ノード202は、この高データレート方式をサポートするノードと通信することができる。送信ノード202が、高データレート変調方式の通信モードを用いて帯域0を介してデータを送信することになっている場合、送信ノード202は、高データレートモードに切り換える前に、基礎モードを用いてモード切り換えヘッダを受信ノード212に送信する必要がある。送信ノード202の帯域1は、低データレート変調方式をサポートせず、従って、常に、高データレート変調方式の通信モードを用いてデータを送信する。
【0053】
図3は、OFDMの通信モードを用いた送信ノード202及び受信ノード212の間における通信の無線時間を示す。帯域0のために選択された通信モードは、OFDM 2.4Mbpsであり、帯域1で使用される通信モードはOFDM 1.6Mbpsである。
図3に示すように、帯域0を用いる通信の無線時間は、基礎モードでモード切り換えヘッダを送信するための時間T_MSと、基礎モードから選択されたOFDM 2.4Mbpsのモードに切り換えることで引き起こされた遅延DELAY_MSと、選択されたモードを用いてデータパケット122を送信するための時間T_DATと、肯定応答パケット124を生成する受信ノード212によって引き起こされた遅延DELAY_TRと、肯定応答パケット124を送信ノード202に返信するための時間T_ACKとを含む。
【0054】
一方、帯域1を用いる通信の無線時間は、選択されたモードOFDM 1.6Mbps用いてデータパケット122を送信するための時間と、肯定応答パケット124を生成する受信ノード212によって引き起こされた遅延DELAY_TRと、肯定応答パケット124を送信ノード202に返信するための時間T_ACKとのみを含む。基礎モードから選択されたモードに切り換えることで引き起こされた遅延と、低データレートモードを用いてモード切り換えヘッダを送信することにかかった時間とに起因して、帯域0の通信のための無線時間は、帯域1の選択されたモードのデータレート、すなわち1.6Mbpsが、帯域0の選択されたモードのデータレート、すなわち2.4Mbpsより低い場合であっても、帯域1のものより長くなる可能性がある。他のシナリオでは、帯域1の選択モードの低いデータレートに起因して、帯域1の通信の無線時間が帯域0の通信より長くなる可能性がある。通信の無線時間が短くなるほど、所与の時間期間内でより多くのデータパケットを受信ノード212に送信することができ、従って、ネットワーク効率がより高くなる。
【0055】
従って、送信ノード202は、2つのモードホワイトリストの重複したモードのうちで、送信ノード202のための通信モードとして、最短の無線時間をもたらす通信モードを選択してもよい。上述の開示からは、
図3に示すデュアルバンド送信ノードのようなマルチバンド送信ノードの場合、上述した処理を用いて、通信モードとともに、通信に使用される帯域を選択できることがさらにわかる。言いかえると、マルチバンド送信ノードは、通信モード及び帯域の組み合わせを選択することで、通信のための通信モード及び帯域を選択することができ、これにより、モード選択データ206に基づいて、データパケット122を受信ノード212に成功裡に送信することができ、肯定応答パケット124を送信ノード202により成功裡に受信することができ、また、サポートされたモードの間で通信の無線時間を最小化する。
【0056】
図4は、本開示のある実施例に係る、送信ノード202のための通信モードを選択する処理400の例である。ネットワーク100の1つ又は複数のノード(例えば、ノード112又はルートノード114)は、適切なプログラムコードを実行することで、
図4に示す動作を実施する。例示の目的で、処理400について、図面に示す所定の実施例を参照して説明する。しかしながら、他の実施例も可能である。
【0057】
ブロック401において、処理400は、送信ノード202において利用可能であるモード選択データ206を取得することを含む。例えば、送信ノード202は、送信ノード202の最大出力電力と、送信ノード202の各サポートされた通信モードに必要とされる最小SNRのようなSNR要件とを含む装置能力を保持する。さらに、送信ノード202は、各サポートされた通信モードについて送信ノード202におけるノイズフロアを測定し、送信ノード202の現在の出力送信電力の設定を記録する。
【0058】
ブロック402において、処理400は、モード選択データ206を送信ノード202の近傍に通信することを含む。いくつかの実施例において、送信ノード202は、データパケットを近傍に送る場合のような、近傍との各ユニキャスト送信において、モード選択データ206の動的データを含んでもよい。動的データは、送信ノード202において測定されたノイズフロアと、送信ノード202の出力送信電力の設定とを含んでもよい。送信ノード202の最大出力電力及びSNR要件のような、モード選択データ206における静的データについて、例えば、ネットワークに新たな近傍が加入したことを送信ノード202が最初に検出又は発見した場合、送信ノード202は、これらのタイプのデータを各近傍にただ一度だけ送信することを必要とする。同様に、送信ノード202がこれらの近傍ノードに関連付けられたモード選択データ206を受信できるように、送信ノード202の近傍は、同様の方法で、それらの各モード選択データ206を送信ノード202に送信してもよい。
【0059】
ブロック404において、処理400は、送信ノード202の近傍から受信されたデータに基づいてモード選択データ206を更新することを含む。例えば、送信ノード202は、近傍から受信されたパケットのRSSIを記録してもよく、また、近傍の最大出力電力及びSNR要件、近傍において測定されたノイズフロア、及び近傍の出力送信電力の設定のような、ブロック402に関して上で説明したパケットに含まれるモード選択データを復号してもよい。復号されたデータは、記録されてもよく、モード選択データ206におけるこの特定の近傍に関連付けられてもよい。
【0060】
さらに、送信ノード202は、受信パケットを利用して、送信ノード202及び近傍の間における経路損失を推定してもよい。例えば、送信ノード202は、上で説明した式(5)を用いて、受信パケットの出力送信電力と、送信ノード202において測定されたRSSIとの間の差として経路損失を決定してもよい。送信ノード202は、推定された経路損失を利用して、モード選択データ206に記録された平滑化された経路損失を更新してもよく、例えば、特定の重み付け方式を用いて、以前に推定された経路損失と現在の推定された経路損失との平均を計算することで経路損失を更新してもよい。
【0061】
ブロック406において、処理400は、送信ノード202が、近傍、すなわち受信ノード212に送信されるデータを有するか否かを決定することを含む。送信ノード202が、その近傍に送信されるデータが存在しないと決定した場合、処理400はブロック401に戻り、ここで、送信ノード202は、現在のノイズフロアを測定することなどによって、モード選択データ206の現在の値を取得する。送信ノード202が、送信ノード202に送信すべきデータが存在すると決定した場合、処理400はブロック408に進み、ここで、送信ノード202は、モード選択データ206に基づいて、データを受信ノード212に通信するための通信モードを選択する。この選択は、通信のデータ送信及び通信の肯定応答送信の両方を考慮することで行われる。
図5を参照して、通信モードを選択する処理の一例について以下で説明する。
【0062】
ブロック410において、処理400は、選択された通信モードを用いて、データを受信ノード212に送信することを含む。ブロック412において、処理400は、送信に成功したか否かを決定することを含む。一実施例では、送信ノード202は、受信ノード212から肯定応答パケット124が成功裡に受信されたか否かに基づいて、そのような決定を行う。そうであれば、処理400はブロック404に進み、ここで、送信ノード202は、肯定応答パケット124を介して収集されたデータに基づいてモード選択データ206を更新する。例えば、肯定応答パケット124は、受信ノード212によって対応する肯定応答パケットを送信するために使用される送信電力を含んでもよい。送信ノード202は、受信された肯定応答パケットの受信信号強度値を決定し、次いで、送信電力及び受信信号強度値の間の差を計算することで、更新された経路損失を計算してもよい。さらに、肯定応答パケット124は、受信ノード212において測定されたノイズフロアを含んでもよい。これらのタイプの情報を受信した後に、送信ノード202は、それに応じて、モード選択データ206を更新してもよい。
【0063】
ブロック412において通信に失敗したと決定された場合、処理400はブロック414に進み、ここで、送信ノード202はモード選択データ206を調整する。通信が失敗した理由は、データパケット122が受信ノード212によって成功裡に受信されなかったこと、及び、肯定応答パケット124が送信ノード202によって成功裡に受信されなかったことを含んでもよい。いずれの場合でも、送信ノード202は、肯定応答パケット124を受信しなかったと決定することで、通信に失敗したと決定する。通信の失敗は、ブロック408において通信モードを選択しながら行われた分析が不正確であったかもしれないことを示す。例えば、受信ノード212における経路損失推定値又はノイズフロア推定値が不正確であるかもしれず、その結果、不十分な送信電力を有する通信モードが選択され、データパケットの送信時に使用されることになる。この問題に対処するために、送信ノード202は、送信に失敗するごとに、経路損失推定値を所定量、例えば1dBずつ増大させることで、モード選択データ206を調整してもよい。送信ノード202は、モード選択データ206を他の方法で調整してもよく、例えば、受信ノード212のノイズフロア推定値を増大させることにより、また、平滑化されたノイズフロア、平滑化された経路損失、又は上述のものの任意の組み合わせを生成する際に用いる重み付け方式を調整することにより調整してもよい。処理400は次いでブロック408に進み、調整されたモード選択データ206に基づいて通信モードを再び選択する。
【0064】
ここで
図5を参照し、モード選択データ206に基づいて、送信ノード202のサポートされた複数の通信モードから1つの通信モードを選択する処理500の一例を提示する。
図6に関連して
図5を説明し、
図6では、本開示のある実施例に係る、モード選択データに基づいてデータを成功裡に送信するために使用可能である通信モードのホワイトリストを決定する処理の例を提示する。
【0065】
ブロック502において、処理500は、送信ノード202のモード選択データ206にアクセスすることを含む。モード選択データ206は、送信ノード202によってサポートされた通信モードの各々について、データ送信、すなわち、データパケット122を送信ノード202から受信ノード212に送信するためのモード選択データと、肯定応答送信、すなわち、肯定応答パケット124を受信ノード212から送信ノード202に返信するためのモード選択データとを含んでもよい。
【0066】
ブロック504において、処理500は、データ送信のためのモード選択データに基づいて、データ送信のためのモードのホワイトリストを決定することを含む。モードのホワイトリストを決定することは、データパケット122の送信電力と、送信ノード202から受信ノード212までの経路損失、送信ノード202におけるノイズ、などのような、送信中に導入される歪みとを比較することに基づいて行われてもよい。
【0067】
図6は、モードのホワイトリストを決定する例示的な処理600を示す。ブロック602において、処理600は、通信の送信機、この場合は送信ノード202によってサポートされたモードのリストにアクセスすることを含む。ブロック604において、処理600は、検査する現在のモードとして、リストにおける次のモードを調べる。現在のモードについて、ブロック606において、処理600は、現在のモードを用いるデータ送信のリンクバジェットを計算することを含む。リンクバジェットは、送信ノード202が現在のモードを用いて受信ノード212とどの程度の距離まで確実に通信できるかを示す。送信ノード202は、データパケット122の送信電力、受信ノード212のSNR要件、及び受信ノード212におけるノイズフロアのような、モード選択データ206に含まれる情報を用いて、リンクバジェットを計算してもよい。例えば、送信ノード202は、上で説明した式(1)及び式(2)によりリンクバジェットを計算してもよい。
【0068】
ブロック606において、処理600は、データ送信のリンクバジェットが、現在のモードを用いる送信ノード202及び受信ノード212の間における経路損失より高いか否かを決定することを含む。経路損失データは、送信ノード202のモード選択データ206から取得されてもよい。リンクバジェットが経路損失より高いと送信ノード202が決定した場合、ブロック610において、送信ノード202は、現在のモードをモードのホワイトリストに追加し、そうでなければ、処理600は、ブロック612において、調べるべきより多くのモードが存在するか否かをさらに決定することを含む。そうであれば、処理600はブロック604に進み、ここで、次のモードが上で説明したように調べられる。調べるべき他のモードが存在しない場合、ブロック614において、処理600は、モードのホワイトリストを出力することを含む。
【0069】
再び
図5を参照すると、ブロック506において、処理500は、肯定応答送信のためのモード選択データに基づいて、肯定応答送信のためのモードのホワイトリストを決定することを含む。ブロック504と同様に、肯定応答送信のためのモードのホワイトリストを決定するために、
図6に示す処理600を利用してもよい。この場合、処理600の送信機は受信ノード212であり、処理600の受信機は送信ノード202であり、送信されるデータは肯定応答パケット124である。式(3)及び式(4)を利用して、肯定応答送信のためのリンクバジェットを決定し、経路損失と比較することで、あるモードが肯定応答送信のためのモードのホワイトリストに含まれるべきか否かを決定してもよい。
【0070】
ブロック508において、処理500は、データ送信のためのモードのホワイトリストと、肯定応答送信のためのモードのホワイトリストとの間の重複を決定することを含む。この重複は、両方のモードホワイトリストに含まれる1つ又は複数のモードを含んでいてもよい。ブロック510において、処理500は、重複したモードの各々に係る無線時間であって、送信ノード202がデータパケット122を受信ノード212に送信し、受信ノード212から肯定応答パケット124を受信するための時間長を含む無線時間を計算することを含む。送信ノード202が、重複したモードとは異なる基礎モードを有する場合、無線時間は、送信ノード202を基礎モードから当該重複したモードに切り換えるための時間長をさらに含む。これは、基礎モードを用いてモード切り換えヘッダを受信ノード212に送信することを含む。ブロック512において、処理500は、重複したモードから、送信ノード202のための最短の無線時間を有する通信モードを選択することを含む。
【0071】
通信モード選択の例.
以下では、ゲートウェイノード114がエンドノード112と通信するために通信モードを選択する例を提示する。この実施例では、ゲートウェイは送信ノード202であり、エンドノードは受信ノード212である。ゲートウェイノード114及びノード112の両方は、8つの異なる通信モードをサポートし、それらの関連付けられたモード選択データを表1及び表2に示す。
【0072】
【0073】
データ送信のためのモードのホワイトリストは、上述した処理を用いて決定されてもよい。表3は、データ送信について8つのモードの各々のリンクバジェットを示し、また、関連付けられたモードがデータ送信のためのモードのホワイトリストに含まれるか否かを示す。
【0074】
【0075】
同様に、肯定応答送信のためのモードのホワイトリストは、上述した処理を用いて決定されてもよい。表4は、肯定応答送信について8つのモードの各々のリンクバジェットを示し、また、関連付けられたモードが肯定応答送信のためのモードのホワイトリストに含まれるか否かを示す。
【0076】
【0077】
表3及び4に示す2つのホワイトリストに基づいて、ゲートウェイは、重複したモードがモード1~4であると決定することができる。ゲートウェイはさらに、モード1-4の無線時間を計算することができ、通信モードとして、最短の無線時間をもたらす1つのモードを選択することができる。
【0078】
例示的なノード.
図7は、本願において説明した通信モード選択を実施するために使用可能である、ノード112又はルートノード114のような例示的なノード700を示す。ノード700は、バス710を介して通信可能にそれぞれ接続された、プロセッサ702、メモリ804、及び送受信装置720を含んでもよい。ノード700の構成要素は、A/C電源によって、又は、バッテリー(図示せず)のような小エネルギー源によって、電力供給を受けてもよい。送受信装置720は、他のノードと通信するためのアンテナ708を含んでもよい(又は通信可能に接続されてもよい)。いくつかの実施例において、送受信装置は、信号を無線で送信及び受信する無線周波数(radio-frequency:「RF」)送受信機である。
【0079】
プロセッサは、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit:「ASIC」)、状態機械、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate arrayy:「FPGA」)、又は他の適切な計算装置を含んでもよい。プロセッサは、任意個数の計算装置を含んでもよく、メモリ704のようなコンピュータ可読媒体に通信可能に接続されてもよい。プロセッサ702は、本願において説明したモード選択モジュール204及びモード選択データ206のような、コンピュータ実行可能なプログラム命令を実行するか、又は、動作を実行するためにメモリに格納された情報にアクセスすることができる。命令は、任意の適切なコンピュータプログラミング言語で書かれたコードからコンパイラ及び/又はインタプリタによって生成されたプロセッサ固有の命令を含んでもよい。モード選択モジュール204において提供されたような命令が実行されるとき、当該命令は、本願において説明した動作のうちの任意のものを実行するようにノード700を構成してもよい。
図7において、プロセッサ、メモリ、バス、及び送受信装置は、互いに通信する別個の構成要素として示すが、他の実装もまた可能である。本願で説明されたシステム及び構成要素は、任意の特定のハードウェアアーキテクチャ又は構成に限定されない。
【0080】
全体考察.
特許請求の範囲に記載された主題についての詳細な理解を提供するために、本明細書において多数の特定の詳細事項を述べている。しかしながら、当業者は、特許請求の範囲に記載された主題がこれらの特定の詳細事項なしで実施されてもよいことを理解するであろう。他の例では、特許請求の範囲に記載された主題を不明瞭にしないように、通常の技術を有する者によって知られるであろう方法、装置、又はシステムについては詳述していない。
【0081】
本願において説明した特徴は、任意の特定のハードウェアアーキテクチャ又は構成に限定されない。計算装置は、1つ又は複数の入力を条件とした結果を提供する構成要素からなる任意の適切な装置を含んでもよい。適切な計算装置は、格納されたソフトウェア(すなわち、コンピュータシステムのメモリ上に格納されたコンピュータ可読命令)にアクセスする多目的のマイクロプロセサに基づくコンピュータシステムを含み、このソフトウェアは、汎用の計算装置から本願の主題の1つ又は複数の態様を実装する特別な計算装置になるように計算システムをプログラミング又は構成する。計算装置のプログラミング又は構成に使用されるソフトウェアにおいて、本願に含まれる開示内容を実装するために、任意の適切なプログラミング、スクリプティング、他のタイプの言語、又は言語の組み合わせが使用されてもよい。
【0082】
本願において開示した方法の態様は、そのような計算装置の動作において実行されてもよい。上述の実施例において提示したブロックの順序は変更されてもよく、例えば、ブロックが並べかえられてもよく、組み合わされてもよく、及び/又はサブブロックに分割されてもよい。所定の複数のブロック又は複数の処理を並列に実行してもよい。
【0083】
本願における「~ように適応化される」又は「~ように構成される」の使用は、追加のタスク又はステップを実行するように適応化又は構成された装置を除外しない、オープンかつ包括的な用語を意図している。さらに、「~に基づく」の使用は、記載された1つ又は複数の条件又は値「に基づく」処理、ステップ、計算、又は他の動作が、実際に、記載したものを越える追加の条件又は値に基づいてもよいという点で、オープンかつ包括的であることを意図している。本願に含まれた見出し、リスト、及び番号は、説明の簡単化のみを目的とし、限定を意図していない。
【0084】
本願の主題をその特定の態様に関して詳述したが、当業者は、上述したことを理解することにより、そのような態様の変更、変形、及び等価物を容易に作成しうることが認識されるであろう。従って、本開示が限定ではなく例示の目的で提示され、当業者に容易に明らかになるように、本願の主題に係るそのような変更、変形、及び/又は追加を含むことを除外しないことは理解されるべきである。