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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】切断装置、および積層電極体の製造装置
(51)【国際特許分類】
   B26D 1/62 20060101AFI20240418BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20240418BHJP
   H01M 10/052 20100101ALN20240418BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALN20240418BHJP
【FI】
B26D1/62 A
H01M10/04 Z
H01M10/052
H01M10/0585
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021566928
(86)(22)【出願日】2020-11-19
(86)【国際出願番号】 JP2020043149
(87)【国際公開番号】W WO2021131433
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2023-09-11
(31)【優先権主張番号】P 2019236207
(32)【優先日】2019-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】松島 弘幸
【審査官】石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭64-045595(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0009883(US,A1)
【文献】特開平08-067378(JP,A)
【文献】特開2012-106370(JP,A)
【文献】特開2011-086508(JP,A)
【文献】特開2019-029267(JP,A)
【文献】特開2015-072786(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 1/62
H01M 10/04
H01M 10/052
H01M 10/0585
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの連続体を回転により搬送するドラム部と、
前記連続体を切断して複数のワークに個片化する切断部と、を備え、
前記ドラム部は、円周方向に配列され各ワークを保持しながら移動する複数の保持ヘッドを有し、
前記切断部は、前記ドラム部の回転により複数の前記保持ヘッドとともに移動する、前記保持ヘッドよりも少ない数のカッターユニットと、前記カッターユニットを複数の前記保持ヘッドとは独立に移動させるカッター駆動部と、を有し、
前記カッターユニットは、所定の切断開始位置から前記連続体と並走しながら前記連続体を切断し、
前記カッター駆動部は、前記連続体を切断した後の前記カッターユニットを前記切断開始位置に戻す、
切断装置。
【請求項2】
前記カッターユニットは、前記連続体に対して進退可能な切断刃を有し、
前記切断刃は、搬送される前記連続体と並走しながら前記連続体に向かって進出することで前記連続体を切断し、前記連続体を切断した後に前記連続体と並走しながら前記連続体から退避し、
前記カッター駆動部は、前記切断刃が退避した状態にある前記カッターユニットを前記切断開始位置に戻す、
請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
複数の第1極板の連続体を切断して複数の前記第1極板に個片化して搬送する第1極切断ドラムと、
複数の第2極板の連続体を切断して複数の前記第2極板に個片化して搬送する第2極切断ドラムと、
複数の第1セパレータが連続する第1セパレータ連続体、前記第1極切断ドラムから供給される複数の前記第1極板、複数の第2セパレータが連続する第2セパレータ連続体、および前記第2極切断ドラムから供給される複数の前記第2極板をこの順に積層して接着し、前記第1セパレータ、前記第1極板、前記第2セパレータおよび前記第2極板で構成される単位積層体が連続する連続積層体を形成する接着ドラムと、
前記連続積層体の前記第1セパレータ連続体および前記第2セパレータ連続体を切断して、複数の前記単位積層体に個片化するセパレータ切断ドラムと、
複数の前記単位積層体を積層ステージに積層して積層電極体を形成する積層ドラムと、を備え、
前記第1極切断ドラム、前記第2極切断ドラムおよび前記セパレータ切断ドラムの少なくとも1つは、請求項1または2に記載の切断装置で構成される、
積層電極体の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、切断装置、および積層電極体の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載用等の電池として、積層ラミネートタイプの電池が開発されている。この電池は、複数の正極と複数の負極とがセパレータを挟んで交互に積層された積層電極体と、電解液とが容器に収容された構造を有する。
【0003】
このような電池に関して特許文献1には、正極を破断線を介して連続形成した連続正極材、負極を破断線を介して連続形成した連続負極材、およびセパレータを破断線を介して連続形成した連続セパレータ材を素材として用いて、正極、負極およびセパレータを積層した積層電極体を製造する装置が開示されている。この製造装置は、各素材を重ね合わせた連続電池材を巻回ドラムに必要数巻きつけて、巻回ドラムの側周面の一部を半径方向に突出させることで連続電池材を破断線ごとに切断する構造を備えていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-86508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の製造装置では、連続電池材を破断線に沿って破ることで、個々の積層電極体を製造していた。このため、個片化された各電極の切断部にバリが生じるおそれがあった。電極の端部に発生するバリはショートの原因になり、積層電極体ひいては電池の品質低下につながる。
【0006】
本開示はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的の1つは、積層電極体の品質向上を図る技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のある態様は、切断装置である。この切断装置は、ワークの連続体を回転により搬送するドラム部と、連続体を切断して複数のワークに個片化する切断部と、を備える。ドラム部は、円周方向に配列され各ワークを保持しながら移動する複数の保持ヘッドを有する。切断部は、ドラム部の回転により複数の保持ヘッドとともに移動する、保持ヘッドよりも少ない数のカッターユニットと、カッターユニットを複数の保持ヘッドとは独立に移動させるカッター駆動部と、を有する。カッターユニットは、所定の切断開始位置から連続体と並走しながら連続体を切断し、カッター駆動部は、連続体を切断した後のカッターユニットを切断開始位置に戻す。
【0008】
本開示の他の態様は、積層電極体の製造装置である。この製造装置は、複数の第1極板の連続体を切断して複数の第1極板に個片化して搬送する第1極切断ドラムと、複数の第2極板の連続体を切断して複数の第2極板に個片化して搬送する第2極切断ドラムと、複数の第1セパレータが連続する第1セパレータ連続体、第1極切断ドラムから供給される複数の第1極板、複数の第2セパレータが連続する第2セパレータ連続体、および第2極切断ドラムから供給される複数の第2極板をこの順に積層して接着し、第1セパレータ、第1極板、第2セパレータおよび第2極板で構成される単位積層体が連続する連続積層体を形成する接着ドラムと、連続積層体の第1セパレータ連続体および第2セパレータ連続体を切断して、複数の単位積層体に個片化するセパレータ切断ドラムと、複数の単位積層体を積層ステージに積層して積層電極体を形成する積層ドラムと、を備える。第1極切断ドラム、第2極切断ドラムおよびセパレータ切断ドラムの少なくとも1つは、上記態様の切断装置で構成される。
【0009】
以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、積層電極体の品質向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態に係る積層電極体の製造装置の模式図である。
図2】実施の形態に係る切断装置の一部を模式的に示す断面図である。
図3】実施の形態に係る切断装置を模式的に示す正面図である。
図4】連続体の切断行程のタイミングチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、本開示を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも本開示の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に「第1」、「第2」等の用語が用いられる場合には、特に言及がない限りこの用語はいかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0013】
図1は、実施の形態に係る積層電極体の製造装置の模式図である。積層電極体の製造装置1は、複数のドラムを組み合わせた連続ドラム式の製造装置である。電極体やセパレータの切断、加熱、接着、積層等の各工程をドラムで実行することで、高速且つ連続的に積層電極体を製造することができる。積層電極体は、例えばリチウムイオン二次電池に用いられる。
【0014】
製造装置1は、第1極切断ドラム2と、第1極加熱ドラム4と、第2極切断ドラム6と、第2極加熱ドラム8と、接着ドラム10と、セパレータ切断ドラム12と、積層ドラム14と、を備える。
【0015】
第1極切断ドラム2は、複数の第1極板の連続体を切断して複数の第1極板に個片化して搬送する。第1極切断ドラム2は、第1半径を有し、中心軸回りに第1角速度で回転する。本実施の形態では、第1極は負極である。第1極切断ドラム2には、複数の第1極板の連続体である、帯状の第1極連続体Nが供給される。第1極連続体Nは、第1極集電体と、第1極活物質層と、を有する。第1極活物質層は、第1極集電体上に積層される。本実施の形態では、第1極集電体の両面に第1極活物質層が積層されるが、第1極集電体の一方の面のみに第1極活物質層が積層されてもよい。
【0016】
第1極集電体および第1極活物質層は、いずれも公知の材料で構成することができ、いずれも公知の構造を有する。第1極集電体は、例えば、銅やアルミニウム等からなる箔や多孔体で構成される。第1極活物質層は、例えば第1極活物質、結着材および分散剤等を含む第1極合材スラリーを第1極集電体の表面に塗布し、塗膜を乾燥、圧延することで形成される。第1極集電体の厚さは、例えば3μm以上50μm以下である。第1極活物質層の厚さは、例えば10μm以上100μm以下である。
【0017】
第1極切断ドラム2は、ドラムの円周方向に配置される複数の保持ヘッドと、第1極連続体Nを切断して複数の第1極板に個片化する切断刃と、を有する。複数の保持ヘッドは、第1極連続体Nを吸着保持する保持面を有する。各保持ヘッドの保持面は、第1極切断ドラム2の外側を向く。第1極切断ドラム2に供給される第1極連続体Nは、複数の保持ヘッドの保持面に吸着保持された状態で、第1極切断ドラム2の回転によって搬送される。
【0018】
複数の保持ヘッドは、それぞれ第1極切断ドラム2の中心軸回りに回転するとともに、他の保持ヘッドに対して互いに独立にドラムの円周方向に移動することができる。各保持ヘッドの相対的な移動は、第1極切断ドラム2を回転させるモータとは別のモータが各保持ヘッドに搭載されることで実現される。例えば、円周方向に隣り合う2つの保持ヘッドを第1保持ヘッドおよび第2保持ヘッドとすると、第1保持ヘッドおよび第2保持ヘッドは、第1極切断ドラム2の回転によってドラムの中心軸の回りに一定の速度で回転する。また、保持ヘッドのモータの駆動によって、ドラムの円周上の所定区間において2つの保持ヘッドの相対速度が変更される。
【0019】
例えば、あるタイミングでは第1保持ヘッドおよび第2保持ヘッドはともに一定の速度で回転して相対速度は0であるが、別のタイミングでは第1保持ヘッドが後続の第2保持ヘッドから離れる方向に増速して有限の相対速度となる。このような保持ヘッドの独立駆動により、切断刃による第1極連続体Nの切断位置の調整や、個片化された第1極板の位置調整等が可能となる。なお、各保持ヘッドが第1極切断ドラム2の中心軸回りに等速で回転する際は、各保持ヘッドのモータの駆動による各保持ヘッドの等速移動が、第1極切断ドラム2の回転による移動に上乗せされてもよい。
【0020】
第1極切断ドラム2は、供給される第1極連続体Nを吸着保持して回転搬送し、図1に模式的に示す切断位置16において第1極連続体Nを切断して第1極板を生成する。第1極連続体Nは、隣り合う保持ヘッドの間の位置で切断刃により切断されて、複数の第1極板に個片化される。得られた各第1極板は、各保持ヘッドに吸着保持された状態で搬送される。第1極切断ドラム2は、各種のカメラを備えてもよい。これらのカメラにより、生成される複数の第1極板の位置を監視することができる。なお、一例として、切断前の第1極連続体Nの位置は、第1極切断ドラム2よりも上流の搬送ローラにおいて監視される。また、第1極切断ドラム2は、保持ヘッド等の位置を監視する、カメラ以外のセンサを備えてもよい。
【0021】
第1極加熱ドラム4は、第1極切断ドラム2に近接配置される。第1極加熱ドラム4は、第2半径を有し、中心軸回りに第2角速度で回転する。第1極加熱ドラム4の第2半径は、第1極切断ドラム2の第1半径と同じでも異なってもよい。第1極加熱ドラム4の第2角速度は、第1極切断ドラム2の第1角速度とは異なる。また、第1極加熱ドラム4の第2角速度は、その線速度が後述する接着ドラム10の線速度と略同一になるように設定される。
【0022】
一例として、第2半径と第1半径とは同一であり、第2角速度は第1角速度よりも高速に設定される。この場合、第1極加熱ドラム4の線速度>第1極切断ドラム2の線速度となる。このため、第1極切断ドラム2の保持ヘッドは、第1極加熱ドラム4との近接位置の手前において、第1極加熱ドラム4の線速度と略同一になるまで一時的に増速する。これにより、保持ヘッドは、第1極加熱ドラム4との相対速度が略ゼロになる。保持ヘッドは、相対速度が略ゼロになったタイミングで、吸着保持していた第1極板を第1極加熱ドラム4側に排出する。保持ヘッドは、第1極板を排出した後に増速前の速度に戻される。
【0023】
第1極加熱ドラム4は、第1極切断ドラム2から排出された第1極板を吸着保持しながら回転し、内蔵するヒータで第1極板を予備加熱する。予備加熱は、後の接着工程においてセパレータと第1極板とを熱接着するために実施される。本実施の形態では、加熱位置18において第1極板を加熱するが、これに限らず、例えば第1極加熱ドラム4の円周方向の全域で第1極板を加熱してもよい。
【0024】
第2極切断ドラム6は、複数の第2極板の連続体を切断して複数の第2極板に個片化して搬送する。第2極切断ドラム6は、第3半径を有し、中心軸回りを第3角速度で回転する。本実施の形態では、第2極は正極である。第2極切断ドラム6には、複数の第2極板の連続体である、帯状の第2極連続体Pが供給される。第2極連続体Pは、第2極集電体と、第2極活物質層と、を有する。第2極活物質層は、第2極集電体上に積層される。本実施の形態では、第2極集電体の両面に第2極活物質層が積層されるが、第2極集電体の一方の面のみに第2極活物質層が積層されてもよい。
【0025】
第2極集電体および第2極活物質層は、いずれも公知の材料で構成することができ、いずれも公知の構造を有する。第2極集電体は、例えば、ステンレス鋼やアルミニウム等からなる箔や多孔体で構成される。第2極活物質層は、例えば第2極活物質、結着材および分散剤等を含む第2極合材スラリーを第2極集電体の表面に塗布し、塗膜を乾燥、圧延することで形成される。第2極集電体の厚さは、例えば3μm以上50μm以下である。第2極活物質層の厚さは、例えば10μm以上100μm以下である。
【0026】
第2極切断ドラム6は、ドラムの円周方向に配置される複数の保持ヘッドと、第2極連続体Pを切断して複数の第2極板に個片化する切断刃と、を有する。複数の保持ヘッドは、第2極連続体Pを吸着保持する保持面を有する。各保持ヘッドの保持面は、第2極切断ドラム6の外側を向く。第2極切断ドラム6に供給される第2極連続体Pは、複数の保持ヘッドの保持面に吸着保持された状態で、第2極切断ドラム6の回転によって搬送される。
【0027】
複数の保持ヘッドは、それぞれ第2極切断ドラム6の中心軸回りに回転するとともに、他の保持ヘッドに対して互いに独立にドラムの円周方向に移動することができる。各保持ヘッドの相対的な移動は、第2極切断ドラム6を回転させるモータとは別のモータが各保持ヘッドに搭載されることで実現される。例えば、円周方向に隣り合う第1保持ヘッドおよび第2保持ヘッドは、第2極切断ドラム6の回転によってドラムの中心軸回りに一定の速度で回転する。また、保持ヘッドのモータの駆動によって、ドラムの円周上の所定区間において2つの保持ヘッドの相対速度が変更される。第1保持ヘッドおよび第2保持ヘッドの相対速度の変化や、第2極切断ドラム6の回転と保持ヘッドに設けられるモータの駆動との組み合わせは、第1極切断ドラム2の場合と同様である。
【0028】
第2極切断ドラム6は、供給される第2極連続体Pを吸着保持して回転搬送し、図1に模式的に示す切断位置20において第2極連続体Pを切断して第2極板を生成する。第2極連続体Pは、隣り合う保持ヘッドの間の位置で切断刃により切断されて、複数の第2極板に個片化される。得られた各第2極板は、各保持ヘッドに吸着保持された状態で搬送される。第2極切断ドラム6は、各種のカメラを備えてもよい。これらのカメラにより、生成される複数の第2極板の位置を監視することができる。なお、一例として、切断前の第2極連続体Pの位置は、第2極切断ドラム6よりも上流の搬送ローラにおいて監視される。また、第2極切断ドラム6は、保持ヘッド等の位置を監視する、カメラ以外のセンサを備えてもよい。
【0029】
第2極加熱ドラム8は、第2極切断ドラム6に近接配置される。第2極加熱ドラム8は、第4半径を有し、中心軸回りに第4角速度で回転する。第2極加熱ドラム8の第4半径は、第2極切断ドラム6の第3半径と同じでも異なってもよい。第2極加熱ドラム8の第4角速度は、第2極切断ドラム6の第3角速度とは異なる。また、第2極加熱ドラム8の第4角速度は、その線速度が接着ドラム10の線速度と略同一になるように設定される。
【0030】
一例として、第4半径と第3半径は同一であり、第4角速度は第3角速度よりも高速に設定される。この場合、第2極加熱ドラム8の線速度>第2極切断ドラム6の線速度となる。このため、第2極切断ドラム6の保持ヘッドは、第2極加熱ドラム8との近接位置の手前において、第2極加熱ドラム8の線速度と略同一になるまで一時的に増速する。これにより、保持ヘッドは、第2極加熱ドラム8との相対速度が略ゼロになる。保持ヘッドは、相対速度が略ゼロになったタイミングで、吸着保持していた第2極板を第2極加熱ドラム8側に排出する。保持ヘッドは、第2極板を排出した後に増速前の速度に戻される。
【0031】
第2極加熱ドラム8は、第2極切断ドラム6から排出された第2極板を吸着保持しながら回転し、内蔵するヒータで第2極板を予備加熱する。予備加熱は、後の接着工程においてセパレータと第2極板とを熱接着するために実施される。本実施の形態では、加熱位置22において第2極板を加熱するが、これに限らず、例えば第2極加熱ドラム8の円周方向の全域で第2極板を加熱してもよい。
【0032】
接着ドラム10は、第1セパレータ、第1極板、第2セパレータおよび第2極板で構成される単位積層体が連続する連続積層体を形成する。接着ドラム10は、第1極加熱ドラム4および第2極加熱ドラム8に近接配置される。接着ドラム10は、第5半径を有し、中心軸回りに第5角速度で回転する。接着ドラム10には、複数の第1セパレータが連続する、帯状の第1セパレータ連続体S1と、複数の第2セパレータが連続する、帯状の第2セパレータ連続体S2とが供給される。第1セパレータ連続体S1および第2セパレータ連続体S2のそれぞれの表面には、熱接着層が設けられる。熱接着層は、室温では接着性を発現しないが、加熱により接着性を発現する性質を有する。例えば熱接着層は、熱可塑性ポリマーを含有する熱可塑性層であり、加熱による熱可塑性ポリマーの塑性変形に基づいて接着性を発現する。
【0033】
また、接着ドラム10には、第1極加熱ドラム4を介して第1極切断ドラム2から複数の第1極板が供給され、第2極加熱ドラム8を介して第2極切断ドラム6から複数の第2極板が供給される。第1極板は、第1極加熱ドラム4で予備加熱されながら回転搬送され、第1極加熱ドラム4と接着ドラム10との近接位置において接着ドラム10側に排出される。第2極板は、第2極加熱ドラム8で予備加熱されながら回転搬送され、第2極加熱ドラム8と接着ドラム10との近接位置において接着ドラム10側に排出される。
【0034】
接着ドラム10に対する第1セパレータ連続体S1、第1極板、第2セパレータ連続体S2および第2極板の供給位置は、接着ドラム10の回転方向の上流側から、列挙した順に並ぶ。したがって、まず所定位置において、接着ドラム10に第1セパレータ連続体S1が供給される。第1セパレータ連続体S1は、接着ドラム10に吸着保持されて、回転搬送される。続いて、第1セパレータ連続体S1の供給位置よりも下流側において、第1極加熱ドラム4から接着ドラム10に第1極板が供給され、第1セパレータ連続体S1の上に載置される。複数の第1極板は、第1セパレータ連続体S1の搬送方向に所定の間隔をあけて第1セパレータ連続体S1の上に配列される。
【0035】
続いて、第1極板の供給位置よりも下流側において、接着ドラム10に第2セパレータ連続体S2が供給され、複数の第1極板の上に載置される。続いて、第2セパレータ連続体S2の供給位置よりも下流側において、第1セパレータ連続体S1、複数の第1極板および第2セパレータ連続体S2が熱圧着ローラ24によって加圧される。これにより、第1セパレータ連続体S1、各第1極板および第2セパレータ連続体S2が接着される。続いて、熱圧着ローラ24による圧着位置よりも下流側において、第2極加熱ドラム8から接着ドラム10に第2極板が供給され、第2セパレータ連続体S2の上に載置される。複数の第2極板は、第2セパレータ連続体S2の搬送方向に所定の間隔をあけて第2セパレータ連続体S2の上に配列される。また、第2極加熱ドラム8の押圧力によって、複数の第2極板は第2セパレータ連続体S2に接着される。
【0036】
以上の工程により、第1セパレータ連続体S1、複数の第1極板、第2セパレータ連続体S2および複数の第2極板がこの順に積層され、接着されて、連続積層体26が形成される。連続積層体26は、第1セパレータ、第1極板、第2セパレータおよび第2極板で構成される単位積層体が、第1セパレータ連続体S1および第2セパレータ連続体S2でつながれて連続する構造を有する。連続積層体26は、接着ドラム10からセパレータ切断ドラム12に搬送される。なお、第2極切断ドラム6側から第2極板が供給されないことで、一定個数毎に、第2極板を含まない3層構造の単位積層体が生成されてもよい。また、供給されない電極板は第1極板であってもよい。
【0037】
セパレータ切断ドラム12は、連続積層体26の第1セパレータ連続体S1および第2セパレータ連続体S2を切断して、複数の単位積層体に個片化する。セパレータ切断ドラム12は、第6半径を有し、中心軸回りを第6角速度で回転する。セパレータ切断ドラム12は、ドラムの円周方向に配置される複数の保持ヘッドと、連続積層体26を切断して複数の単位積層体に個片化する切断刃と、を有する。複数の保持ヘッドは、連続積層体26を吸着保持する保持面を有する。各保持ヘッドの保持面は、セパレータ切断ドラム12の外側を向く。セパレータ切断ドラム12に供給される連続積層体26は、複数の保持ヘッドの保持面に吸着保持された状態で、セパレータ切断ドラム12の回転によって搬送される。
【0038】
複数の保持ヘッドは、それぞれセパレータ切断ドラム12の中心軸回りに回転するとともに、他の保持ヘッドに対して互いに独立にドラムの円周方向に移動可能であってもよい。各保持ヘッドの相対的な移動は、セパレータ切断ドラム12を回転させるモータとは別のモータが各保持ヘッドに搭載されることで実現される。例えば、円周方向に隣り合う第1保持ヘッドおよび第2保持ヘッドは、セパレータ切断ドラム12の回転によってドラムの中心軸回りに一定の速度で回転する。また、保持ヘッドのモータの駆動によって、ドラムの円周上の所定区間において2つの保持ヘッドの相対速度が変更される。第1保持ヘッドおよび第2保持ヘッドの相対速度の変化や、セパレータ切断ドラム12の回転と保持ヘッドに設けられるモータの駆動との組み合わせは、第1極切断ドラム2の場合と同様である。
【0039】
セパレータ切断ドラム12は、供給される連続積層体26を吸着保持して回転搬送し、図1に模式的に示す切断位置28において連続積層体26を切断して単位積層体を生成する。連続積層体26は、隣り合う保持ヘッドの間の位置で切断刃により切断されて、複数の単位積層体に個片化される。このとき、連続積層体26は、連続積層体26の搬送方向で隣り合う電極板の間において、第1セパレータ連続体S1および第2セパレータ連続体S2が切断される。得られた各単位積層体は、各保持ヘッドに吸着保持された状態で搬送される。保持ヘッドは、吸着保持していた単位積層体を積層ドラム14側に排出する。セパレータ切断ドラム12は、各種のカメラを備えてもよい。これらのカメラにより、生成される複数の単位積層体の位置を監視することができる。なお、一例として、切断前の連続積層体26の位置は、セパレータ切断ドラム12よりも上流の搬送ローラにおいて監視される。また、セパレータ切断ドラム12は、保持ヘッドの位置等を監視する、カメラ以外のセンサを備えてもよい。
【0040】
積層ドラム14は、複数の単位積層体を積層ステージ30に積層して積層電極体を形成する。積層ドラム14は、第7半径を有し、中心軸回りに第7角速度で回転する。積層ドラム14の線速度は、セパレータ切断ドラム12の線速度と略同一となるように調整される。積層ドラム14は、ドラムの円周方向に配置される複数の積層ヘッドを有する。各積層ヘッドは、単位積層体を吸着保持する保持面を有する。各積層ヘッドの保持面は、積層ドラム14の外側を向く。
【0041】
複数の積層ヘッドは、それぞれ積層ドラム14の中心軸回りに回転するとともに、他の積層ヘッドに対して互いに独立にドラムの円周方向に移動することができる。各積層ヘッドの相対的な移動は、例えば、積層ドラム14に設けられるカムによって実現される。例えば、円周方向に隣り合う第1積層ヘッドおよび第2積層ヘッドは、積層ドラム14の回転によってドラムの中心軸回りに一定の速度で回転するとともに、ドラムの円周上の所定区間において互いの相対速度が変更される。
【0042】
例えば、あるタイミングでは第1積層ヘッドおよび第2積層ヘッドはともに一定の速度で回転して相対速度は0であるが、別のタイミングでは第1積層ヘッドが後続の第2積層ヘッドから離れる方向に増速して有限の相対速度となる。このような積層ヘッドの独立駆動により、一定の角速度での積層ドラム14の回転を維持しつつ、積層ステージ30と対向する積層位置において各積層ヘッドを停止状態とすることが可能となる。積層ステージ30と対向する位置で積層ヘッドを停止状態にすることで、この積層ヘッドが吸着保持する単位積層体を高い位置精度で積層ステージ30の上に排出することができる。
【0043】
積層ステージ30は、積層ドラム14の直下に配置される。積層ステージ30には、積層ドラム14から排出される単位積層体が順次積層される。これにより、積層電極体が形成される。積層ステージ30は、互いに直交するX軸方向およびY軸方向に駆動可能である。また、積層ステージ30は、X―Y平面上における傾き角を調整可能である。これにより、積層ステージ30に既に積層されている単位積層体に対する、積層ドラム14から排出される単位積層体のX軸方向およびY軸方向の位置、および傾き角が調整される。積層ステージ30は4隅に爪を備え、積層された複数の単位積層体はこれらの爪で押圧固定される。また、積層された複数の単位積層体は、加圧および/または加熱され、互いに接着される。
【0044】
第1極切断ドラム2、第2極切断ドラム6およびセパレータ切断ドラム12の少なくとも1つは、以下に説明する本実施の形態に係る切断装置100で構成される。以下では、一例として第1極切断ドラム2が切断装置100で構成される場合を例に挙げて、切断装置100の構造を説明する。図2は、実施の形態に係る切断装置100の一部を模式的に示す断面図である。図3は、実施の形態に係る切断装置100を模式的に示す正面図である。図2は、切断装置100の断面の半分を図示している。図3は、図2の矢印A方向から観察した切断装置100を図示している。また、図3では、各部の図示を適宜簡略化あるいは省略している。
【0045】
第1極切断ドラム2を構成する切断装置100は、ドラム部102と、切断部104と、を備える。ドラム部102は、ドラム駆動部106と、回転軸部108と、第1円盤部110と、第2円盤部112と、複数のヘッド駆動部114と、複数の保持ヘッド116と、を有する。ドラム駆動部106は、公知のモータ等で構成される。回転軸部108は、円筒状もしくは円柱状であり、一端がドラム駆動部106に連結される。回転軸部108は、第1極切断ドラム2の中心軸に相当する。回転軸部108は、ドラム駆動部106の駆動によって回転する。ドラム駆動部106は、回転軸部108を第1角速度で回転させる。
【0046】
第1円盤部110および第2円盤部112は、それぞれの中心が回転軸部108の他端側に連結される。第1円盤部110および第2円盤部112は、同一形状を有し、互いに平行に広がる。第1円盤部110は、第2円盤部112よりもドラム駆動部106から遠い側に配置される。第1円盤部110および第2円盤部112は、回転軸部108の外周面から突出して回転軸部108の軸方向に対して垂直に広がる。第1円盤部110の周縁部には、円弧ガイド118が敷設される。第2円盤部112の周縁部には、円弧ガイド119が敷設される。円弧ガイド118および円弧ガイド119は、互いに平行に延びる。
【0047】
複数のヘッド駆動部114は、第1円盤部110の円周方向に配列される。各ヘッド駆動部114は、ブラケット120と、モータ122と、小歯車124と、を有する。ブラケット120は、断面視で略U字状であり、円弧ガイド118を介して第1円盤部110の縁を挟み込む。モータ122は、ブラケット120に支持される。モータ122には、公知のものを用いることができる。小歯車124は、モータ122の回転軸に連結され、モータ122の駆動によって回転する。小歯車124は、第1円盤部110側に固定される大歯車126と噛み合う。本実施の形態の大歯車126は、回転軸部108の外周面に固定されている。大歯車126は、回転軸部108の全周にわたって設けられる。モータ122が駆動すると、小歯車124と噛み合う大歯車126に駆動トルクが伝達される。これにより、各ヘッド駆動部114は、それぞれ独立に、円弧ガイド118に沿って第1円盤部110の円周上を移動することができる。
【0048】
複数の保持ヘッド116は、それぞれヘッド駆動部114に支持される。したがって、複数の保持ヘッド116は、第1円盤部110の円周方向に配列される。各保持ヘッド116は、第1円盤部110の回転によって回転軸部108を中心に回転するとともに、ヘッド駆動部114によって第1円盤部110の回転による移動とは別に移動することができる。
【0049】
各保持ヘッド116は、第1円盤部110の突出方向、つまりドラム部102の円周の外側を向く保持面128を有する。保持面128は、回転軸部108の中心から第1半径の位置に配置される。保持面128には、ワークWの連続体Wa、および連続体Waから個片化されたワークWを吸着保持するための吸着穴(図示せず)が設けられる。吸着穴から空気が吸引されることで、その吸引力によって連続体WaあるいはワークWが吸着保持される。ワークWは、電極板、セパレータ、単位積層体等である。第1極切断ドラム2の場合、連続体Waは第1極連続体Nであり、ワークWは第1極板である。連続体Waは、複数の保持ヘッド116の保持面128に吸着保持された状態で、第1円盤部110の回転によって搬送される。
【0050】
切断部104は、連続体Waを切断して複数のワークWに個片化する。切断部104は、カッターユニット130と、カッター駆動部132と、を有する。カッターユニット130は、ドラム部102の回転により複数の保持ヘッド116とともに移動し、連続体Waを切断する。カッター駆動部132は、カッターユニット130を複数の保持ヘッド116とは独立に移動させる。切断部104は、保持ヘッド116よりも少ない数のカッターユニット130を有する。本実施の形態の切断装置100は、一例として15個の保持ヘッド116に対して3個のカッターユニット130を有する。隣り合うカッターユニット130の間隔は、その間に1つの保持ヘッド116あるいは1つのワークWが収まる寸法に定められる。
【0051】
カッター駆動部132は、各カッターユニット130に設けられる。各カッター駆動部132は、第2円盤部112の円周方向に配列される。各カッター駆動部132は、ブラケット134と、モータ136と、小歯車138と、を有する。ブラケット134は、断面視で略U字状であり、円弧ガイド119を介して第2円盤部112の縁を挟み込む。モータ136は、ブラケット134に支持される。モータ136には、公知のものを用いることができる。小歯車138は、モータ136の回転軸に連結され、モータ136の駆動によって回転する。小歯車138は、第2円盤部112側に固定される大歯車140と噛み合う。本実施の形態の大歯車140は、回転軸部108の外周面に固定されている。大歯車140は、少なくとも後述の切断開始位置T1から退避終了位置T3の範囲に設けられる。モータ136が駆動すると、小歯車138と噛み合う大歯車140に駆動トルクが伝達される。これにより、各カッター駆動部132は、それぞれ独立に、円弧ガイド119に沿って第2円盤部112の円周上を移動することができる。
【0052】
各カッターユニット130は、カッター駆動部132に支持される。したがって、各カッターユニット130は、第2円盤部112の円周方向に配列される。各カッターユニット130は、第2円盤部112の回転によって回転軸部108を中心に回転するとともに、カッター駆動部132によって第2円盤部112の回転による移動とは別に移動することができる。
【0053】
各カッターユニット130は、ホルダー142と、モータ144と、切断刃146と、を有する。ホルダー142は、ブラケット134に支持される。ホルダー142は、連続体Waが延びる方向と略直交する方向、言い換えればドラム部102の円周方向と略直交する方向にスライド可能である。ホルダー142は、第1円盤部110および第2円盤部112が並ぶ方向に延びて、第1円盤部110側の端部において切断刃146を支持する。また、ホルダー142における、切断刃146を支持する端部とは反対側の領域には、ラックレール148が設けられる。ラックレール148は、第1円盤部110および第2円盤部112が並ぶ方向に延びる。
【0054】
モータ144は、ブラケット134に支持される。モータ144には、公知のものを用いることができる。モータ144の回転軸にはピニオン150が連結される。ピニオン150は、ホルダー142のラックレール148に噛み合わされる。ラックレール148およびピニオン150はラックアンドピニオン機構を構成し、モータ144の駆動によってピニオン150が回転することで、ラックレール148に駆動トルクが伝達されて、ホルダー142がスライドする。ホルダー142のスライドにより、ホルダー142に支持される切断刃146を連続体Waに対して進出および退避させることができる。図2では、連続体Waに対して退避した位置にある切断刃146を実線で図示し、連続体Waに対して進出した位置にある切断刃146を破線で図示している。
【0055】
切断刃146は、連続体Waを切断して複数のワークWに個片化する。本実施の形態の切断刃146は、一対の丸刃152a,152bで構成される。丸刃152aおよび丸刃152bは、連続体Waの厚さ方向に配列され、連続体Waに対して進退する際に両刃の間を連続体Waが通るように、保持面128に対して位置が定められる。ホルダー142がスライドして切断刃146が連続体Waに対して進出すると、丸刃152aおよび丸刃152bの回転によって連続体Waが切断される。切断刃146は、隣り合う2つの保持ヘッド116の間を通って連続体Waに対して進退する。
【0056】
ホルダー142は、丸刃152aと丸刃152bとの間に、ホルダー142のスライド方向に延びるスリット154を有する。切断刃146が進出位置に変位する際、切断されたワークWの端部はスリット154に進入する。これにより、ホルダー142とワークWとの干渉が回避される。
【0057】
ドラム駆動部106、ヘッド駆動部114、カッター駆動部132およびカッターユニット130の動作は、制御装置156によって制御される。制御装置156は、ハードウェア構成としてはコンピュータのCPUやメモリをはじめとする素子や回路で実現され、ソフトウェア構成としてはコンピュータプログラム等によって実現されるが、図2では、それらの連携によって実現される機能ブロックとして描いている。この機能ブロックがハードウェアおよびソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には当然に理解されるところである。
【0058】
制御装置156は、第1極切断ドラム2を撮像するカメラから画像データを受領し、画像データから導出される各保持ヘッド116、およびカッターユニット130の位置等に基づいて、各部の動作を制御することができる。なお、制御装置156は、カメラ以外のセンサからも情報を取得して各部の動作を制御してもよい。また、制御装置156は、予め設定された動作プログラムに基づいて、各部の動作を制御することもできる。
【0059】
連続体Waの切断行程において、各部の動作は以下のように制御される。図4は、連続体Waの切断行程のタイミングチャートを示す図である。ドラム駆動部106は、常時回転するように制御される。これにより、連続体Waは、ドラム部102の回転に起因する各保持ヘッド116の移動によって搬送され続ける。
【0060】
カッターユニット130は、所定の切断開始位置T1にあり(0cycle)、切断開始位置T1から連続体Waと並走しながら連続体Waを切断する(0.5cycle~1.0cycle)。具体的には、カッターユニット130は、搬送される連続体Waと並走しながら、切断刃146を連続体Waに向かって進出させる。これにより、連続体Waが切断される。連続体Waの切断が終了した時点で、カッターユニット130は切断終了位置T2に到達する。
【0061】
カッターユニット130は、ドラム部102の回転によって連続体Waと並走することができる。なお、ドラム部102の回転による連続体Waの搬送に加えて、連続体Waは各ヘッド駆動部114の駆動によっても搬送されてもよい。この場合、ヘッド駆動部114の駆動分に対応するカッターユニット130の移動は、カッター駆動部132の駆動によって補われる。
【0062】
連続体Waを切断した後のカッターユニット130は、連続体Waと並走しながら、切断刃146を連続体Waから退避させる(1.5cycle~2.0cycle)。切断刃146の退避が終了した時点で、カッターユニット130は退避終了位置T3に到達する。続いて、カッター駆動部132は、連続体Waを切断した後のカッターユニット130を切断開始位置T1に戻す(2.5cycle~3.0cycle)。具体的には、カッター駆動部132は、切断刃146が退避した状態にあるカッターユニット130をドラム部102の回転とは逆方向に移動させて、切断開始位置T1に復帰させる。以降は、上述した0cycle~3.0cycleの動作が繰り返される。したがって、カッターユニット130は、ドラム部102の全周のうち切断開始位置T1~退避終了位置T3の範囲で往復移動する。
【0063】
上述の説明では、第1極切断ドラム2が切断装置100で構成される場合を説明しているが、第2極切断ドラム6やセパレータ切断ドラム12が切断装置100で構成されてもよい。第2極切断ドラム6が切断装置100で構成される場合、連続体Waは第2極連続体Pであり、ワークWは第2極板である。セパレータ切断ドラム12が切断装置100で構成される場合、連続体Waは連続積層体26であり、ワークWは単位積層体である。
【0064】
以上説明したように、本実施の形態に係る切断装置100は、ワークWの連続体Waを回転により搬送するドラム部102と、連続体Waを切断して複数のワークWに個片化する切断部104と、を備える。ドラム部102は、円周方向に配列され各ワークWを保持しながら移動する複数の保持ヘッド116を有する。切断部104は、ドラム部102の回転により複数の保持ヘッド116とともに移動する、保持ヘッド116よりも少ない数のカッターユニット130と、カッターユニット130を複数の保持ヘッド116とは独立に移動させるカッター駆動部132と、を有する。カッターユニット130は、所定の切断開始位置T1から連続体Waと並走しながら連続体Waを切断する。カッター駆動部132は、連続体Waを切断した後のカッターユニット130を切断開始位置T1に戻す。
【0065】
本実施の形態に係る切断装置100では、連続体Waと並走させた状態にあるカッターユニット130によって連続体Waを切断している。これにより、カッターユニット130と連続体Waとの相対速度が略ゼロの状態で連続体Waを切断することができる。よって、高い位置精度で連続体Waを切断することができる。また、破断線に沿って連続体Waを破ることでワークWに個片化する場合に比べて、個片化されたワークW中の各電極板の切断部にバリが生じることを回避できる。よって、積層電極体の品質向上を図ることができる。また、連続体Waの搬送を停止せずに連続体Waを切断することができるため、スループットの低下も抑制することができる。
【0066】
また、カッターユニット130を連続体Waと並走させながら連続体Waを切断する場合、保持ヘッド116毎にカッターユニット130を設ける構造も考えられる。しかしながら、この場合はカッターユニット130の数が多くなり、ワークWの品質ばらつきをなくす上で必要となる切断刃146の位置決めや状態管理といったセッティングやメンテナンスの工数が増えて、切断装置の製造コストや管理コストが増大してしまう。これに対し、本実施の形態に係る切断装置100では、保持ヘッド116の数に対してカッターユニット130の数を減らしているため、これらのコスト上昇を抑制することができる。よって、本実施の形態の切断装置100によれば、積層電極体の品質向上を図りやすくすることができる。
【0067】
また、カッターユニット130は、連続体Waに対して進退可能な切断刃146を有する。切断刃146は、搬送される連続体Waと並走しながら連続体Waに向かって進出することで連続体Waを切断し、連続体Waを切断した後に連続体Waと並走しながら連続体Waから退避する。カッター駆動部132は、切断刃146が退避した状態にあるカッターユニット130を切断開始位置T1に戻す。これにより、切断刃146を退避させる際に、連続体WaおよびワークWの搬送を停止することなく、且つ切断刃146と連続体WaおよびワークWとの干渉を回避しながら切断刃146を退避させることができる。よって、ワークWの品質向上とスループットの低下抑制を図ることができる。
【0068】
また、本実施の形態の積層電極体の製造装置1は、複数の第1極板の連続体を切断して複数の第1極板に個片化して搬送する第1極切断ドラム2と、複数の第2極板の連続体を切断して複数の第2極板に個片化して搬送する第2極切断ドラム6と、複数の第1セパレータが連続する第1セパレータ連続体S1、第1極切断ドラム2から供給される複数の第1極板、複数の第2セパレータが連続する第2セパレータ連続体S2、および第2極切断ドラム6から供給される複数の第2極板をこの順に積層して接着し、第1セパレータ、第1極板、第2セパレータおよび第2極板で構成される単位積層体が連続する連続積層体26を形成する接着ドラム10と、連続積層体26の第1セパレータ連続体S1および第2セパレータ連続体S2を切断して、複数の単位積層体に個片化するセパレータ切断ドラム12と、複数の単位積層体を積層ステージ30に積層して積層電極体を形成する積層ドラム14と、を備える。そして、第1極切断ドラム2、第2極切断ドラム6およびセパレータ切断ドラム12の少なくとも1つは、本実施の形態に係る切断装置100で構成される。これにより、積層電極体ひいては電池の品質向上とスループット向上との両立を図ることができる。
【0069】
以上、本開示の実施の形態について詳細に説明した。前述した実施の形態は、本開示を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施の形態の内容は、本開示の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された本開示の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。設計変更が加えられた新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形それぞれの効果をあわせもつ。前述の実施の形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「本実施の形態の」、「本実施の形態では」等の表記を付して強調しているが、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。以上の構成要素の任意の組み合わせも、本開示の態様として有効である。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本開示は、切断装置、および積層電極体の製造装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 製造装置、 2 第1極切断ドラム、 6 第2極切断ドラム、 10 接着ドラム、 12 セパレータ切断ドラム、 14 積層ドラム、 26 連続積層体、 30 積層ステージ、 100 切断装置、 102 ドラム部、 104 切断部、 116 保持ヘッド、 130 カッターユニット、 132 カッター駆動部、 146 切断刃。
図1
図2
図3
図4