(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】透過流パターン
(51)【国際特許分類】
B01D 63/00 20060101AFI20240418BHJP
B01D 61/10 20060101ALI20240418BHJP
B01D 63/10 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
B01D63/00 510
B01D61/10
B01D63/10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022142935
(22)【出願日】2022-09-08
(62)【分割の表示】P 2019515426の分割
【原出願日】2017-09-18
【審査請求日】2022-10-07
(32)【優先日】2016-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519350775
【氏名又は名称】アクア メンブレインズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ロデリック,ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ヘリントン,ロドニー
(72)【発明者】
【氏名】ウェインガート,ケンダル
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-277469(JP,A)
【文献】特表2016-508446(JP,A)
【文献】国際公開第2015/064752(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 29/00
B01D 61/00-71/82
C02F 1/44
C08J 5/00-24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆浸透フィルタ内で使用するように構成された透過スペーサであって、
一定の厚さだけ分離された、
第1の面及び前記第1の面に対向する第2の面を有し、長さ方向に一定の長さ及び幅方向に一定の幅で延在するメッシュ型材料の第1のシートであって
、前記第1のシートは、メッシュ透過性を有する第1の材料を含む、第1のシートと、
特徴の透過性を有する第2の材料を含む特徴であって、前記特徴は、前記メッシュ型材料内に配置され、前記第1のシートの第2の面から一定の距離だけ上で、第1の透過スペーサ層の厚みを通じて、前記第1の面から前記第2の面に延在し、前記特徴は、逆浸透フィルタ内で使用されるときに、前記特徴が前記第1のシート内の1つ以上の流体流れチャネルを画定するように構成されている、特徴と、
膜であって、
前記特徴が前記膜を浮き彫りにし、かつ、前記透過スペーサが螺旋状に巻かれたときに、隣接する膜間に流体が流れるための空間を提供するように、前記第1のシートの前記第2の面に隣接して配置されている膜と、
を備える透過スペーサ。
【請求項2】
請求項1に記載の透過スペーサであって、
メッシュ型材料の第2のシートを更に備え、前記第2のシートは、前記第1の材料を含み、前記第2のシートの厚みを通じて前記第2のシートの第1の面から延在する、前記第2のシートの前記メッシュ型材料内に配置された前記第2の材料を含む特徴を有し、
前記第1のシートの特徴は、前記第1のシートの第1の面を超えて延在し、又は前記第2のシートの特徴は、前記第2のシートの第1の面を超えて延在し、又は前記第1のシートの特徴は、前記第1のシートの第1の面を超えて延在するとともに、前記第2のシートの特徴は、前記第2のシートの第1の面を超えて延在し、
前記第2のシートは、前記第1のシートの特徴、又は前記第2のシートの特徴、又は前記第1のシートの特徴及び前記第2のシートの特徴が、前記第2のシートの前記第1の面を、前記第1のシートの前記第1の面から離間するように、前記第1のシートに隣接するように配置されている、透過スペーサ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の透過スペーサであって、
前記第2の材料の透過性は、前記第1の材料の透過性よりも低い、透過スペーサ。
【請求項4】
中央流体流れチャネルを中心に螺旋状に巻いた、請求項1に記載の透過スペーサを含む、逆浸透フィルタ要素。
【請求項5】
透過スペーサを作成する方法であって、
透過性メッシュ型材料であり、かつ、第1の材料を含む第1のシートを供給することと、
特徴を前記第1のシートに堆積することであって、前記第1のシートの前記特徴は、メッシュ透過性を有する第2の材料を含み、前記第1のシートの第2の面から一定の距離だけ上で、第1の透過スペーサ層の厚みを通じて、前記第1のシートの前記特徴は堆積される、ことと、
膜を提供することと、
前記第1のシートの特徴が前記膜を浮き彫りにし、かつ、前記透過スペーサが螺旋状に巻かれたときに、隣接する膜間に流体が流れるための空間を提供するように、前記膜を前記第1のシートの前記第2の面に隣接するように配置することと、
を含む方法。
【請求項6】
請求項5に記載の透過スペーサを作成する方法であって、
透過性メッシュ型材料であり、かつ、第1の材料を含む第2のシートを供給することと、
特徴を前記第2のシートに堆積することであって、前記第2のシートの前記特徴は、メッシュ透過性を有する第2の材料を含み、前記第1のシートの第2の面から一定の距離だけ上で、第1の透過スペーサ層の厚みを通じて、前記第2のシートの前記特徴は堆積される、ことと、
前記第1のシートの特徴を、前記第1のシートの前記第1の面を超えて延びさせることと、前記第2のシートの特徴を、前記第2のシートの前記第1の面を超えて延びさせることとのいずれか一方又は両方を行うことと、
第1の複数のスペーサ、又は第2の複数のスペーサ、又は前記第1の複数のスペーサ及び前記第2の複数のスペーサが、第2の透過スペーサ層の第1の面を前記第1のシートの前記第1の面から離間させるように、前記第2のシートを前記第1のシートに隣接して配置することと、
を更に含む、方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の
透過スペーサを作成する方法であって、
前記第2の材料の透過性は、前記第1の材料の透過性よりも少ない、方法。
【請求項8】
逆浸透フィルタを作成する方法であって、
請求項5に記載の透過スペーサを作成することと、
中央流体流れチャネルを中心に前記透過スペーサを螺旋状に巻くことと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
発明の分野
本主題発明は流体成分、詳細には螺旋状に巻いた膜の透過膜要素の分離のために利用される透過膜システムに関する。本発明は、2013年2月28日に出願された米国仮特許出願第61/771,041号及び国際特許出願第PCT/IB2014/060705号に記載された発明に関連し、それらは参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
当技術分野で周知の螺旋状に巻いた膜の濾過要素は、多孔透過スペーサに、又は多孔透過スペーサを中心に封止した膜シートから構成された積層構造からなり、多孔透過スペーサは膜を通過して中央チューブに流れる流体を除去するための経路を生成する一方で、この積層構造は、中央チューブを中心に螺旋状に巻き付けられ、要素を通る流体の軸流を可能にするために多孔供給スペーサでそれ自体から離間される。この供給スペーサは積層構造の間に開いた均一の軸流を維持するために必要である一方で、又この供給スペーサは、軸流チャネル内の流量制限及び圧力降下の源でもあり、又生体成長、スケール形成、及び粒子捕捉を介して膜の汚染に大きく影響する膜への流れ及び接触を制限する面積も提示する。浸透圧発電(PRO)(pressure retarded osmosis)、正浸透(FO)(forward osmosis)、及び逆浸透(RO)(reverse osmosis)の適用において、供給空間及び透過スペーサ内の流路は最適なシステム作動に有益であることが可能である。
【0003】
螺旋状に巻いた要素の設計の改善は、Bargerら及びBradfordらによって開示されており、それらは膜の外側又は活性表面上に直接堆積され、若しくは浮き彫りにされた島又は突出部が供給スペーサにとって代わる。この構成は、この構成が要素を通る軸流のための間隔を維持する一方で、流れチャネル内の障害を最小にするという点において好都合である。またこの構成は、個別の構成要素として多孔供給スペーサを取り除き、従って要素の製造を単純にする。参照により本明細書に組み込まれた、改良された螺旋状に巻いた要素構造(Improved Spiral Wound Element Construction)という名称の、米国特許出願公開第2016-0008763-A1号は、膜シートの活性表面の裏側、又は透過スペーサの表面に直接印刷したパターンの適用を教示している。
【0004】
それぞれが参照により本明細書に組み込まれた以下の参考文献、すなわち米国特許第3962096号、米国特許第4476022号、米国特許第4756835号、米国特許第4834881号、米国特許第4855058号、米国特許第4902417号、米国特許第4861487号、米国特許第6632357号、及び米国特許出願第2016-0008763-A1号により、本発明の理解を促すことができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の説明
上に一覧にされたプロパテントなどにおけるような一連の要素の透過スペーサ層を通る直列流れに関与する、一部の螺旋状に巻いた膜の分離適用では、好都合なことに従来の織透過スペーサ布によって提示されるものより流れへの抵抗が低い一方で、高い外圧による変形への抵抗を含む他の特性を維持する。追加として、透過スペーサ内で恣意的な形状の流れチャネルを調整する機能は、透過スペーサ層を通る流れの分配を制御可能にすることができる。本発明の実施形態は、透過スペーサ内に正供給チャネルを生成するために多孔透過スペーサ上に印刷し、堆積し、又は多孔透過スペーサに一体化した特徴を提供する。追加の例示的実施形態では、チャネルを生成する材料は、感光性樹脂、ホットメルトポリオレフィン、硬化性重合体若しくは接着剤、又は他の材料を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図面の簡単な説明
【
図1】透過スペーサメッシュの間質空間の中に印刷された種々の特徴、並びにメッシュの中及びメッシュの上部上の両方に印刷された種々の特徴の上面図並びに側面図を示す。
【
図2】隣接した層の間に従来の供給スペーサを備えた、透過スペーサの間質空間内の3D印刷材料の断面図である。
【
図3】間質空間、及び従来の供給スペーサの代わりに流れチャネルを形成するために膜シートを浮き彫りにする透過スペーサの上の突出部内の3D印刷材料の断面図である。
【
図4】間質空間、及び隣接した層の間に従来の供給スペーサを備えた、隣接した透過スペーサシートの間により自由な流路を生成する、供給スペーサの2つの挟まれたシートの間の透過スペーサを通る突出部内の3D印刷材料の断面図である。
【
図5】間質空間、及び隣接した透過スペーサシートの間により自由な流路を生成する、供給スペーサの2つの挟まれたシートの間の透過スペーサの上の突出部内の3D印刷材料の断面図である。膜シートに隣接した突出部は、従来の供給スペーサの代わりに流れチャネルを形成するために膜を浮き彫りにする。
【
図6】螺旋状に巻いたPRO膜要素内の透過スペーサの間質空間に堆積された流れ制御特徴の図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
発明を実施するための形態及び産業上の利用可能性
まず
図1を参照すると、ポスト線、島線、直線、曲線、若しくは傾斜線区分又は実線、或いは他の複雑な形状などの単一の堆積特徴又は複数の堆積特徴10は、透過スペーサメッシュ12の中16に、若しくは透過スペーサメッシュ12を通って、及び透過スペーサメッシュ12の表面上に堆積することができ、又は透過スペーサ内に恣意的な流路14を生成するために透過スペーサの間質空間の中に印刷若しくは別法により適用することができ、又は多孔透過スペーサ層の製造工程の間に透過スペーサの中に導入することができる。又透過スペーサ内に生成した流れチャネルは、透過スペーサ18の上部上に突出部を生成するために透過スペーサの表面の上に突出する特徴を組み込むこともできる。
図3に示されたように、このような突出部は、隣接した層の平底膜22を備えた膜とスペーサとの間に分離を生成するために、透過スペーサ20に隣接した膜シートの表面を浮き彫りにする30作用に使用することができる。突出部は透過キャリアメッシュを通して直接流す26ために使用することができ、
図4に示されたように、この透過スペーサを積み重ねた層を通る流体流れ40への抵抗を下げるために、透過スペーサの隣接した積み重ねたシートの間のスペーサとして使用することもできる。追加として、より厚い2層の透過スペーサは、透過スペーサの層の上部上のスペーサ内に、又はスペーサを通って、及びスペーサの上に印刷した特徴を備えた1層を積み重ねることによって生み出すことができ、透過スペーサの層は、
図4及び
図5に示されたように、透過スペーサメッシュ自体を通る流れより透過スペーサの間のこれらの空間を通るはるかに自由な流れを可能にするように、間質空間42を生成するために層を通って、且つ層の上に印刷された特徴を有する。
【0008】
図6を参照すると、螺旋状に巻いたPRO要素の一部の設計では、流れ分離器62を含有する中央チューブ60は、入口流68から入口孔70を通って透過スペーサメッシュの中への液体流れを促進する。印刷された特徴は、戻る透過流が中央チューブ内の出口孔64を通って戻り、中央チューブからの出口流66に合流する前に、透過スペーサ及びクロスフローの供給部内の液体の間の流れ及び質量移動を最適にするために、透過スペーサを通る流れを方向付け、調節するために使用される。2層のスペーサメッシュが1層上の上昇した特徴によって分離するように使用される場合、層の間の空間は流れに対する抵抗が低い経路を生成し、従って経路に沿った圧力降下を下げる一方で、依然として適正な質量移動を提供するために透過スペーサを通って膜表面に適切に流すことができる。
【0009】
一例示的実施形態では、堆積した特徴は透過スペーサを通る任意の流路を形成するために使用され、従来の供給スペーサメッシュは螺旋状に巻いた要素内の隣接した層を分離するために使用される。
【0010】
一例示的実施形態では、堆積した特徴は透過スペーサを通る任意の流路を形成するために使用され、浮き彫りにした特徴はブライン供給チャネル内に空間を生成し、そうでなければ螺旋状に巻いた膜要素を製造する分野で現在使用されている供給スペーサメッシュ材料に取って代わる。
【0011】
一例示的実施形態では、2層の透過スペーサは単一層を使用する代わりに互いの上部に積み重ねられ、透過スペーサを通る任意の流路を形成する堆積した特徴及び一方又は両方の層の上に堆積した突出部は、層の間に空間を生成し、空間は透過スペーサ材料自体より流体流れに対してはるかに低い抵抗を生成する一方で、従来の供給スペーサメッシュは、螺旋状に巻いた要素内の隣接した層を分離するために使用される。
【0012】
一例示的実施形態では、2層の透過スペーサは単一層を使用する代わりに互いの上部に積み重ねられ、透過スペーサを通る任意の流路を形成する堆積した特徴及び一方又は両方の層の上に堆積した突出部は、層の間に空間を生成し、空間は透過スペーサ材料自体より流体流れに対してはるかに低い抵抗を生成する一方で、浮き彫りにした特徴はブライン供給チャネル内に空間を生成し、そうでなければ螺旋状に巻いた膜要素を製造する分野で現在使用されている供給スペーサメッシュ材料に取って代わる。
【0013】
特徴の高さ及び形状は、個々の流動様式で自由に流れるように適した浮き彫りにした、又は突出する特徴のために、透過スペーサ及び間隔内に流路を提供するように構成することができる。特徴は全体が中実である必要はなく、使用される印刷材料及び技法に依存して、ある程度の透過性を含有することができる。パターンは流れを方向付けるために作られるが、流れを完全に分離する必要はないので、ある程度の透過性で容認できる。総体流に実質的に影響を与えないパターンを横切る少量の流れ又は拡散は、一部の適用に容認できる。
【0014】
特徴は、分離された流体、及びこれに限定されないが、熱可塑性プラスチック、反応性ポリマ、ワックス、又は樹脂を含む透過スペーサと互換性がある様々な材料から構成することができることが当業者には認識される。追加として、分離された流体と互換性があるが、これに限定されないが、高温熱可塑性プラスチック、金属、又は陶磁器を含む透過スペーサへの直接堆積と互換性がない材料は、適切な寸法に予備形成し、鋳造し、又は切断し、透過スペーサと互換性がある接着剤で透過スペーサの表面に接着することができる。
【0015】
特徴は種々の技法によって堆積できることが当業者には認識される。オフセット印刷、グラビア印刷、及びスクリーン印刷などの従来の印刷技法が適することが可能であるが、これらの堆積技法では厚さ及び幾何学に限度がある可能性がある。より厚い特徴は、マイクロ分注、インクジェット印刷、熱溶解積層法によって、又はシートのロール移載若しくは個別の特徴のピックアンドプレースを含むことができる接着剤を使用する適用を介して堆積することができる。
【0016】
本発明は、様々な例示的実施形態に関連して記載された。上の記載は本発明の原理の適用の例示に過ぎず、本発明の範囲は本明細書に照らして見た特許請求の範囲によって決定されるべきであることが理解されよう。本発明の他の変形形態及び修正形態が当業者には明らかになろう。