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特許7474831特に表示デバイスのための、計時器用ムーブメントのための反対方向を向くタイプのフレキシブルガイドアセンブリー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】特に表示デバイスのための、計時器用ムーブメントのための反対方向を向くタイプのフレキシブルガイドアセンブリー
(51)【国際特許分類】
   G04B 19/00 20060101AFI20240418BHJP
【FI】
G04B19/00 Z
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022200997
(22)【出願日】2022-12-16
(65)【公開番号】P2023093377
(43)【公開日】2023-07-04
【審査請求日】2022-12-16
(31)【優先権主張番号】21216986.6
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504341564
【氏名又は名称】モントレー ブレゲ・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】マルク・ストランツル
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第3919988(EP,A1)
【文献】国際公開第2020/016131(WO,A1)
【文献】特開2019-20373(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に計時器用ムーブメントの表示デバイス(30)のための、計時器用ムーブメントのためのフレキシブルガイドアセンブリー(1、10、20)であって、
前記フレキシブルガイドアセンブリー(1、10、20)は、実質的に反対方向を向く形態で直列に配置される2つのフレキシブルガイドを備え、
前記2つのフレキシブルガイドは、前記アセンブリー(1)が休み位置にあるときに、互いに実質的に反対方向を向き、
第1のフレキシブルガイドは、支持体(2)と、前記支持体(2)に対して動くことができる第1の可動要素(3)と、第1の細長いフレキシブル体(6、26)と、を備え、
前記第1の細長いフレキシブル体(6、26)は、前記第1の細長いフレキシブル体(6、26)が曲がることによって前記第1の可動要素(3)が円弧状運動をするように動くことができるように、前記支持体(2)を前記第1の可動要素(3)に接続し、
第2のフレキシブルガイドは、前記第1の可動要素(3)に対して、かつ、前記第1のフレキシブルガイドの前記支持体(2)に対して、動くことができる第2の可動要素(4)と、第2の細長いフレキシブル体(5、25)と、を備え、
前記第2の細長いフレキシブル体(5、25)は、前記第2の細長いフレキシブル体(5、25)が曲がることによって前記第1の可動要素(3)に対して前記第2の可動要素(4)が円弧状運動をするように動くことができるように、前記第2の可動要素(4)を前記第1の可動要素(3)に接続し、
前記第1の細長いフレキシブル体(6、26)と前記第2の細長いフレキシブル体(5、25)は、同じ第1の平面内において延在しており、同じ第1の平面内においてフレキシブルである
ことを特徴とするフレキシブルガイドアセンブリー。
【請求項2】
前記第1のフレキシブルガイドは、第3の細長いフレキシブル体(8、28)を備え、
前記第2のフレキシブルガイドは、第4の細長いフレキシブル体(7、27)を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルガイドアセンブリー。
【請求項3】
前記第3の細長いフレキシブル体(8、28)と前記第4の細長いフレキシブル体(7、27)は、同じ第2の平面内において延在しており、同じ第2の平面内においてフレキシブルである
ことを特徴とする請求項2に記載のフレキシブルガイドアセンブリー。
【請求項4】
前記第2の平面は、前記第1の平面に対して実質的に平行である
ことを特徴とする請求項3に記載のフレキシブルガイドアセンブリー。
【請求項5】
前記第1の細長いフレキシブル体(6、26)と第3の細長いフレキシブル体(8、28)は、交差する
ことを特徴とする請求項3に記載のフレキシブルガイドアセンブリー。
【請求項6】
前記第2の細長いフレキシブル体(5、25)と前記第4の細長いフレキシブル体(7、27)は、交差する
ことを特徴とする請求項3に記載のフレキシブルガイドアセンブリー。
【請求項7】
前記第2の可動要素(4)は、第1の休み位置と、前記支持体(2)に対して最大伸長する第1の最大伸長位置の間を動くことができる
ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルガイドアセンブリー。
【請求項8】
前記アセンブリー(1)が第1の休み位置にあるときに、前記支持体(2)と前記第2の可動要素(4)は、過半部分が重なり合っている
ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルガイドアセンブリー。
【請求項9】
前記支持体(2)と前記第2の可動要素(4)は、前記第2の可動要素が前記第1の最大伸長位置を超えて動くことを防ぐための第1の止め手段を備える
ことを特徴とする請求項7に記載のフレキシブルガイドアセンブリー。
【請求項10】
前記第1の可動要素(3)は、第2の休み位置と、前記支持体に対して前記第1の可動要素が最大伸長する第2の最大伸長位置の間を動くことができ、
前記アセンブリー(1)は、前記第2の可動要素(3)が前記第2の最大伸長位置を超えて動くことを防ぐための第2の止め手段を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルガイドアセンブリー。
【請求項11】
前記第2の可動要素(4)には、歯車(22)が前記第2の可動要素(4)を前記第1の可動要素(3)に対して、かつ、前記支持体(2)に対して、動かすことを可能にする噛み合い歯列(9)がある
ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルガイドアセンブリー。
【請求項12】
前記歯車(22)は、スプリアスな半径方向の運動が前記噛み合い歯列(9)の噛み合いに干渉しないように構成している
ことを特徴とする請求項11に記載のフレキシブルガイドアセンブリー。
【請求項13】
1つの層が他の層の上部に組み付けられるように少なくとも2つの重なり合い層(10a、10b、10c)を含み、
前記重なり合い層(10a、10b、10c)はそれぞれ、前記支持体(2)の一部と、前記第1の可動要素(3)の一部と、前記第2の可動要素(4)の一部と、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルガイドアセンブリー。
【請求項14】
前記重なり合い層(10a、10b、10c)の中の第1の層(10a)は、前記第1の細長いフレキシブル体(6)と前記第2の細長いフレキシブル体(5)を含み、
前記重なり合い層(10a、10b、10c)の中の第2の層(10c)は、第3の細長いフレキシブル体(8)第4の細長いフレキシブル体(7)を備える
ことを特徴とする請求項13に記載のフレキシブルガイドアセンブリー。
【請求項15】
前記細長いフレキシブル体(5、6、7、8、25、26、27、28)は、高剛性区画(23)がある、フレキシブルブレードである
ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルガイドアセンブリー。
【請求項16】
前記第2の可動要素(4)の角トラベルは、5°~90°の範囲内である
ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルガイドアセンブリー。
【請求項17】
前記第2の可動要素(4)の角トラベルは、10°~45°の範囲内である
ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルガイドアセンブリー。
【請求項18】
特に計時器用ムーブメントのための、逆行タイプの表示デバイス(30)であって、
請求項1に記載のフレキシブルガイドアセンブリー(1、10、20)を少なくとも1つ備える
ことを特徴とする表示デバイス(30)。
【請求項19】
請求項1に記載のフレキシブルガイドアセンブリー(1、10、20)を備える
ことを特徴とする計時器用ムーブメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に表示デバイスのための、計時器用ムーブメントのための反対方向を向く(head-to-tail)タイプのフレキシブルガイドアセンブリーに関する。本発明は、さらに、このようなフレキシブルガイドアセンブリーを備える計時器用ムーブメントに関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルガイドにおける革新のおかげで、計時器用ムーブメントの新たな展望が開かれている。これは、特に、フレキシブルガイドが戻しばねとしてはたらくためである。例えば、バランスをアクチュエートするために、フレキシブルガイドは、計時器用共振器機構においてバランスばねの代わりに用いられている。また、ストライク機構の分野において、特にハンマーをアクチュエートするための用途が知られている。
【0003】
計時器の複雑機構の愛好家は、計時器の表示の特定の動きを高く評価する。このような動きは、逆行性表示機構、ツールビヨン機構などによって提供されることがある。ツールビヨン機構には、姿勢の影響を受けない性能を向上させるという機能もある。
【0004】
計時器用の逆行性表示機構は、極位置に達した後、逆方向に進んで出発点に戻るものであると言われている。知られている計時器用の逆行性表示機構の中に、特に、逆行性日付表示機構がある。その例として、「1」~「31」の日付表示が表示されるインデックスに対向するように動く表示針によって与えられるものがある。表示針は、日付表示「1」から「31」を順に指し、月末に日付表示「31」に到達したときに、逆方向に動いて日付表示「1」に対向するようにされる。そして、表示針は動き始めて、再び日付表示「1」から「31」に対向するようになる。
【0005】
また、フレキシブルガイドのおかげで、表示デバイスにおける革新的な機構アーキテクチャーが可能になる。例えば、欧州特許文献EP3514633は、フレキシブルガイドを戻しばねとして用いる逆行性表示機構について記載している。
【0006】
しかし、フレキシブルガイドには、特定の課題が残っている。特に、存在する部品の数及びの組み付けの複雑さ、そして、動作阻止のリスクである。また、このようなフレキシブルガイド機構は、ムーブメント内で大きな体積を占めてしまう。具体的には、例えば、欧州特許文献EP3514633のフレキシブルガイドは、携行型時計(例、腕時計、懐中時計)の平面内において大きな面積を占める。欧州特許文献EP3637196A1は、直列に配置されるフレキシブルガイドの別のアセンブリーを開示している。Z字形の構成となるように複数のガイドが直列に積み重なり合って、フレキシブルガイドアセンブリーの角度的動作範囲を増大させている。しかし、これには、このようなデバイスの全体寸法を著しく大きくしてしまうという課題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような状況で、本発明の目的の1つは、上述の問題に悩まされないような、計時器用ムーブメントのための反対方向を向くタイプのフレキシブルガイドアセンブリーを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このために、本発明は、特に計時器用ムーブメントの表示デバイスのための、計時器用ムーブメントのためのフレキシブルガイドアセンブリーに関する。前記フレキシブルガイドアセンブリーは、実質的に反対方向を向く形態で直列に配置される2つのフレキシブルガイドを備える。第1のフレキシブルガイドは、支持体と、前記支持体に対して動くことができる第1の要素と、第1の細長いフレキシブル体と、を備え、前記第1の細長いフレキシブル体は、前記第1の細長いフレキシブル体が曲がることによって前記第1の要素が円弧状運動をするように動くことができるように、前記支持体を前記第1の要素に接続する。第2のフレキシブルガイドは、前記第1の要素に対して、かつ、前記第1のフレキシブルガイドの前記支持体に対して、動くことができる第2の要素と、第2の細長いフレキシブル体と、を備える。前記第2の細長いフレキシブル体は、前記第2の細長いフレキシブル体が曲がることによって前記第1の要素に対して円弧状運動をするように前記第2の要素が動くことができるように、前記第2の要素を前記第1の要素に接続する。
【0009】
このフレキシブルガイドアセンブリーは、第1の細長いフレキシブル体と第2の細長いフレキシブル体が、同じ第1の平面内において延在し、同じ第1の平面内においてフレキシブルであるという点で画期的である。
【0010】
本発明のおかげで、コンパクト性を保持しつつ、十分な角トラベルを有するフレキシブルガイドアセンブリーを得ることができる。特に、2つのフレキシブルガイドが直列に配置されていることによって、角トラベルを大きくすることができる。それにもかかわらず、2つのフレキシブルガイドの反対方向を向く構成のおかげで、アセンブリーの広がりの増加をいずれも避けることができる。また、2つの細長いフレキシブル体が同じ平面内にあることによって、細長いフレキシブル体が異なる平面に属さないために、アセンブリーの厚みをさらにコンパクトにすることができる。このように、2つのフレキシブルガイドは、空間を節約するように互いに入れ子状になっている。
【0011】
1つの特定の実施形態において、前記第1のフレキシブルガイドは、第3の細長いフレキシブル体を備え、前記第2のフレキシブルガイドは、第4の細長いフレキシブル体を備える。
【0012】
1つの特定の実施形態において、前記第3の細長いフレキシブル体と前記第4の細長いフレキシブル体は、同じ第2の平面内において延在しており、同じ第2の平面内においてフレキシブルである。
【0013】
1つの特定の実施形態において、前記第2の平面は、前記第1の平面に対して実質的に平行である。
【0014】
1つの特定の実施形態において、前記第1の細長いフレキシブル体と第3の細長いフレキシブル体は、交差する。
【0015】
1つの特定の実施形態において、前記第2の細長いフレキシブル体と前記第4の細長いフレキシブル体は、交差する。
【0016】
1つの特定の実施形態において、前記第2の可動要素は、第1の休み位置と、前記支持体に対して最大伸長する第1の最大伸長位置の間を動くことができる。
【0017】
1つの特定の実施形態において、前記アセンブリーが第1の休み位置にあるときに、前記支持体と前記第2の可動要素は、過半部分が重なり合っている。
【0018】
1つの特定の実施形態において、前記支持体と前記第2の可動要素は、前記第2の可動要素が前記第1の最大伸長位置を超えて動くことを防ぐための第1の止め手段を備える。
【0019】
1つの特定の実施形態において、前記第1の可動要素は、第2の休み位置と、前記支持体に対して前記第1の可動要素が最大伸長する第2の最大伸長位置の間を動くことができ、前記アセンブリーは、前記第2の可動要素が前記第2の最大伸長位置を超えて動くことを防ぐための第2の止め手段を備える。
【0020】
1つの特定の実施形態において、前記第2の可動要素には、歯車が前記第2の可動要素を前記第1の可動要素に対して、かつ、前記支持体に対して、動かすことを可能にする噛み合い歯列がある。
【0021】
1つの特定の実施形態において、前記歯車は、スプリアスな半径方向の運動が前記噛み合い歯列の噛み合いに干渉しないように構成している。
【0022】
1つの特定の実施形態において、1つの層が他の層の上部に組み付けられるように少なくとも2つの重なり合い層を含み、前記重なり合い層はそれぞれ、前記支持体の一部と、前記第1の可動要素の一部と、前記第2の可動要素の一部と、を含む。
【0023】
1つの特定の実施形態において、前記第1の層は、前記第1の細長いフレキシブル体と前記第3の細長いフレキシブル体を含み、前記第2の層は、前記第2の細長いフレキシブル体と前記第4の細長いフレキシブル体を備える。
【0024】
1つの特定の実施形態において、前記細長いフレキシブル体は、場合によっては高剛性区画がある、フレキシブルブレードである。
【0025】
1つの特定の実施形態において、前記第2の可動要素の角トラベルは、5°~90°、好ましくは10°~45°、の範囲内である。
【0026】
本発明は、さらに、特に計時器用ムーブメントのための、逆行タイプの表示デバイスであって、本発明に係るフレキシブルガイドアセンブリーを少なくとも1つ備えるものに関する。
【0027】
本発明は、さらに、前記のようなフレキシブルガイドアセンブリーを備える計時器用ムーブメントに関する。
【0028】
添付の図面を参照しながらいくつかの実施形態についての説明を読むことによって、本発明の目的、利点及び特徴が明らかになる。これらの実施形態は、説明のためにのみ提供されるものであり、本発明の範囲を限定するためのものではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】休み位置における本発明の第1の実施形態に係るフレキシブルガイドアセンブリーを上から見た概略図である。
図2】最大伸長位置におけるフレキシブルガイドアセンブリーの第1の実施形態を上から見た概略図である。
図3】休み位置におけるフレキシブルガイドアセンブリーの第1の実施形態の概略斜視図である。
図4】最大伸長位置におけるフレキシブルガイドアセンブリーの第1の実施形態の概略斜視図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係る、少なくとも2つの層を含むフレキシブルガイドアセンブリーの概略分解斜視図である。
図6】組み付けられた状態における本発明の第2の実施形態に係るフレキシブルガイドアセンブリーの概略斜視図である。
図7】本発明の第3の実施形態に係るフレキシブルガイドアセンブリーを上から見た概略図である。
図8a図8a~8eは、本発明に係る、2つのガイドアセンブリーを備える表示機構を上から見た概略図である。
図8b図8a~8eは、本発明に係る、2つのガイドアセンブリーを備える表示機構を上から見た概略図である。
図8c図8a~8eは、本発明に係る、2つのガイドアセンブリーを備える表示機構を上から見た概略図である。
図8d図8a~8eは、本発明に係る、2つのガイドアセンブリーを備える表示機構を上から見た概略図である。
図8e図8a~8eは、本発明に係る、2つのガイドアセンブリーを備える表示機構を上から見た概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1~4は、特に計時器用ムーブメントの表示デバイスのための、計時器用ムーブメントのためのフレキシブルガイドアセンブリー1を示している。このフレキシブルガイドアセンブリーは、例えば、計時器用ムーブメントのプレート上に配置される。
【0031】
アセンブリー1は、実質的に反対方向を向く形態で直列に配置される2つのフレキシブルガイドを備える。したがって、アセンブリー1が休み位置にあるときに、2つのフレキシブルガイドどうしは、実質的に反対方向を向いている。また、2つのフレキシブルガイドは、少なくとも部分的に重なり合う。
【0032】
第1のフレキシブルガイドは、支持体2と、支持体2に対して動くことができる第1の可動要素3と、第1の細長いフレキシブル体6と、を含み、この第1の細長いフレキシブル体6は、第1の細長いフレキシブル体6が曲がることによって第1の可動要素3が支持体2に対して円弧状運動をするように動くことができるように、支持体2を第1の可動要素3に接続する。支持体2は、好ましくは、プレートに対して動くことができない。
【0033】
第2のフレキシブルガイドは、第1の可動要素3に対して、かつ、第1のフレキシブルガイドの支持体2に対して、動くことができる第2の可動要素4を含む。第2のフレキシブルガイドには、第2の細長いフレキシブル体5があり、この第2の細長いフレキシブル体5は、第2の細長いフレキシブル体5が曲がることによって円弧状運動をするように第1の可動要素3に対して第2の可動要素4が動くことができるように、第2の可動要素4を第1の可動要素3に接続する。また、第2の可動要素4は、支持体2に対しても動く。
【0034】
第1のフレキシブルガイドには、支持体2を第1の可動要素3に接続する第3の細長いフレキシブル体8があり、第2のフレキシブルガイドには、第2の可動要素4を第1の可動要素3に接続する第4の細長いフレキシブル体7がある。
【0035】
これらの細長いフレキシブル体5、6、7、8は、好ましくは、フレキシブルブレードである。第1及び第3の細長いフレキシブル体6、8は、フレキシブルな交差ブレードガイドを形成するように交差している。第2及び第4の細長いフレキシブル体5、7は、フレキシブルな交差ブレードガイドを形成するように交差している。
【0036】
第2の可動要素4は、第1の休み位置と、支持体2に対して第2の可動要素4が最大伸長する第1の最大伸長位置の間を動くことができる。第1の可動要素3は、第2の休み位置と、支持体2に対して第1の可動要素3が最大伸長する第2の最大伸長位置の間を動くことができる。
【0037】
支持体2、第1の可動要素3、及び第2の可動要素4はそれぞれ、外側エッジが実質的に曲がっている円弧状の形状である実質的に平坦な形を有する。支持体2、第1の可動要素3、及び第2の可動要素4は、実質的に寸法が同じである。
【0038】
2つのフレキシブルガイドは、コンパクト化のために部分的に互いに重なり合う。したがって、支持体2と第2の可動要素4は、アセンブリーが休み位置にあるときに、過半部分が互いに重なり合っている。好ましくは、第2の可動要素4は、支持体2の上を動く。
【0039】
本発明によると、第1の細長いフレキシブル体6と第2の細長いフレキシブル体5は、同じ第1の平面内において延在し、同じ第1の平面内においてフレキシブルである。また、第3の細長いフレキシブル体8と第4の細長いフレキシブル体7は、同じ第2の平面内において延在しており、同じ第2の平面内においてフレキシブルである。
【0040】
第2の平面は、第1の平面に対して実質的に平行である。このように、2つのフレキシブルガイドのブレードはすべて、2つの平面にのみ属し、したがって、アセンブリーの厚みが過大となることを防ぐ。
【0041】
特に、フレキシブルガイドアセンブリー1が休み位置にあるときに、2つのフレキシブルガイドの交差するブレードは、対をなして互いに実質的に平行である。第1の細長いフレキシブル体6と第2の細長いフレキシブル体5は、フレキシブルガイドアセンブリー1が休み位置にあるときに、実質的に平行である。第3の細長いフレキシブル体7と第4の細長いフレキシブル体8は、フレキシブルガイドアセンブリー1が休み位置にあるときに、実質的に平行である。
【0042】
また、フレキシブルガイドアセンブリー1は、第2の可動要素4が第1の最大伸長位置を超えて動くことを防ぐための第1の止め手段を含む。第1の止め手段には、支持体から垂直に延在している第1のねじ11がある。第1の止め手段には、さらに、第2の可動要素4を貫通するように形成される第1の開口12がある。第1のねじ11は、第2の可動要素4が支持体2に対して動くことを可能にしつつ第2の可動要素4の最大伸長位置に第2の可動要素4を保持するように、第1の開口12と連係する。
【0043】
このために、前記第1の開口12は、第2の可動要素4の長手方向において実質的に曲がった細長い形状であり、第1のねじ11の幅に実質的に対応する幅を有する。したがって、第1のねじ11は、第1の開口12内において横方向にて保持される。第1の開口12は、第1の休み位置と第1の最大伸長位置の間にて、支持体2に対する第2の可動要素4の角トラベルに対応する長さを有する。休み位置においては、第1のねじ11は、第1の開口12の近位端18に近いが、最大伸長位置においては、第1のねじ11は、第1の開口12の遠位端17に近い。第1のねじ11は、2つの端17、18の間で、第1の開口12に沿って摺動する。このようにして、遠位端17又は近位端18は、所望のトラベルを超えないかぎり、第1のねじ11と接触することはない。もし所望のトラベルを超えると、第1のねじ11は、遠位端17又は近位端18と接触する。このように、この第1のねじ11は、まったく接触しない。
【0044】
アセンブリー1は、第2の可動要素4が第2の最大伸長位置を超えて動くことを防ぐための第2の止め手段を含む。第2の止め手段には、第1の可動要素3にて形成される第2の開口14と、ムーブメントのプレート上に配置されるように意図された第2のねじ13がある。第2の開口は、第1の止め手段の形と同様に第2のねじ13と連係する形を有する。第2の開口14は、第1の可動要素3の長手方向において実質的に曲がった細長い形状であり、第2のねじ13の幅に対応する幅を有し、第2の休み位置と、第1の可動要素3が最大伸長する第2の最大伸長位置の間における支持体2に対する第1の可動要素3の角トラベルに対応する長さを有する。
【0045】
アセンブリー1をアクチュエートするために、第2の可動要素4には、噛み合い歯列9があり、この噛み合い歯列9は、第1の可動要素3に対して、かつ、支持体2に対して、歯車が第2の可動要素4を動かすことを可能にする。噛み合い歯列9は、第2の可動要素4の外側エッジに沿って延在している。したがって、第2の可動要素4の噛み合い歯列9と歯車が噛み合って、第2の可動要素4を支持体2に対して動かす。図面において、第2の可動要素4は、噛み合い歯列9がアクチュエートされたときに、横方向に支持体2から離れる。
【0046】
図2及び4は、第1の可動要素3と第2の可動要素4がそれぞれ最大伸長位置に配置されているアセンブリー1を示している。この状況において、各止め手段のねじ11、13は、対応する開口12、14内における遠位位置17にある。フレキシブルブレードは、第1の可動要素3と第2の可動要素4の運動が発生させる力によって、第1の平面又は第2の平面内において曲がっている。
【0047】
この最大伸長の構成において、第1の細長いフレキシブル体6と第2の細長いフレキシブル体5は、第1の細長いフレキシブル体6については第1の可動要素3から開始して支持体2までの間、そして、第2の細長いフレキシブル体5については第1の可動要素3から開始して第2の可動要素4までの間で、互いに離れる。第3の細長いフレキシブル体8と第4の細長いフレキシブル体7は、第4の細長いフレキシブル体7については第1の可動要素3から開始して第4の可動要素4までの間、そして、第3の細長いフレキシブル体8については第1の可動要素3から開始して支持体2までの間で、互いに離れる。
【0048】
図5及び6は、アセンブリー10を形成するように互いに組み付けられる3つの重なり合う層10a、10b、10cを含むアセンブリー10の第2の実施形態を示している。各層10a、10b、10cは、異なる平面内にて延在し、それらの平面どうしは、好ましくは、平行である。各層10a、10b、10cは、支持体2、第1の可動要素3及び第2の可動要素4の一部を含む。
【0049】
第1の層10aは、支持体2の半分未満部分2aと、第1の可動要素3の全体3aと、第2の可動要素4の過半部分4aと、第1の細長いフレキシブル体6と、第2の細長いフレキシブル体5と、を含む。
【0050】
過半部分は、例えば、前記層の要素の3分の2や4分の3を占め、半分未満部分は、前記層の要素の3分の1や4分の1を占める。
【0051】
第2の層10cは、支持体2の過半部分2cと、第1の可動要素3の全体3cと、第2の可動要素4の半分未満部分4cと、第3の細長いフレキシブル体8と、第4の細長いフレキシブル体7と、を含む。2つの層10a、10cは、好ましくは、一体化されており、又はさらには、同じ材料、例えば、ケイ素、又はLIGAタイプの電気メッキ又はワイヤ切断によって得られる金属合金、によって作られる。
【0052】
第1の層10aは、アセンブリー10の上層を形成し、第2の層10cは、アセンブリー10の下層を形成する。
【0053】
この実施形態において、アセンブリー10には、第1の層10aと第2の層10cの間にて、可動要素3、4と支持体2を形成する中間層10bがある。この中間層10bは、2つの層10a、10cを離間させて、2つの異なる平面に属するフレキシブルブレードの対を互いにさらに離間させる機能を有する。これによって、特に、2つの異なる平面内において互いに交差するブレードどうしがノックし合うリスクを避ける。
【0054】
中間層10bには、支持体2の過半部分2bと、第2の可動要素の半分未満部分4bと、第1の可動要素3の過半部分3bと、を含む材料の厚みがある。
【0055】
第1の層10a、中間層10b及び第2の層10cは、組み付け手段を用いて重なり合うように互いに組み付けられる。組み付け手段は、例えば、異なる層10a、10b、10cに形成された穴21に埋め込まれたスタッド19である。各スタッド19は、穴21と連係して、3つの層10a、10b、10cの部分どうしを保持して一緒にする。
【0056】
第3のねじ29は、支持体2の半分未満部分2aを支持体2の他の部分2b、2cに組み付けるために用いられる。第1のねじ11、第2のねじ13及び第3のねじ29は、アセンブリー10の層10a、10b、10cを上方から通り抜けるように配置され、第1のねじ11、第2のねじ13及び第3のねじ29はそれぞれ、アセンブリー10の下に配置される異なるナット24と連係して保持される。
【0057】
アセンブリー10をアクチュエートするために、第2の可動要素4には、噛み合い歯列9があり、これによって、歯車22が、第1の可動要素3に対して、かつ、支持体2に対して、第2の可動要素4を動かすことができる。
【0058】
第2の可動要素4は、回転によって動き、また、ほとんどのフレキシブルガイドが行うスプリアスな半径方向の運動によって動く。第2の可動要素4に対する歯車22の位置は、噛み合い歯列9の噛み合いとスプリアス運動が干渉しないように選択される。
【0059】
図6は、3つの層4a、4b、4cが組み付けられた、アセンブリー10の第2の実施形態を示している。
【0060】
図7における第3の実施形態は、第1の実施形態と同様のフレキシブルガイドアセンブリー20を示しており、アセンブリー20は、その中央に、細長いフレキシブル体としてはたらく高剛性区画23があるフレキシブルブレードを含む。高剛性区画23は、フレキシブル体の剛性を、その対応する平面から外れた方向に調整することを可能にする。また、高剛性区画の間の小さなフレキシブルブレードをフレキシブルカラー(flexible collar)に置き換えることもできる。
【0061】
図8a~8eは、本発明に係る2つのフレキシブルガイドアセンブリー35、36を含む月相タイプの表示デバイス30へのフレキシブルガイドアセンブリーの適用を示している。表示デバイス30は、月31を表す装飾部品と、月31を順次的に隠したり見せたりして対応する月の相を示すように構成している可動カバー32と、を含む。この表示デバイス30において、月31は表盤に対して動くことができず、可動カバー32は月31の上を動く。月31と可動カバー32はそれぞれ、実質的に等しい直径の円盤のような形を有する。可動カバー32は、高剛性ロッド33によって支持され、この高剛性ロッド33は、各フレキシブルガイドアセンブリー35、36に、好ましくは、各フレキシブルガイドアセンブリー35、36の第2の可動要素によって接続される。
【0062】
可動カバー32をアクチュエートするために、表示デバイス30は、第1の高剛性可動アーム37と第2の高剛性可動アーム38を備え、これらの各アームは、フレキシブルガイドアセンブリー35、36のうちの1つに、好ましくは支持体を介して、接続されている。表示デバイス30のこの実施形態において、各フレキシブルガイドアセンブリー35、36の支持体は、固定されておらず、各アーム37、38とともに動くことができる。
【0063】
第1の可動アーム37には、可動カバー32の運動をアクチュエートするための自由端39がある。
【0064】
第2の可動アーム38は、第1の端において、交差ブレード42、43があるフレキシブルガイド41を利用して不動支持体40に接続され、第2の端は、第2のフレキシブルガイドアセンブリー36に接続される。交差ブレード42、43があるフレキシブルガイド41は、第2のアーム38が回転中心を中心に回転することを可能にする。
【0065】
各フレキシブルガイドアセンブリー35、36は、ロッド33への関節としてはたらき、可動カバー32を月31の上で動かす。
【0066】
この表示デバイス30のおかげで、ヘケンズ(Hoeckens)、トチェビチェフ(Tchebytchev)、ロバーツ(Roberts)、クラン(Klann)の関節機構の原理などに従う運動の変換を可能にする2つのフレキシブルガイドアセンブリー35、36を用いる。このような機構の運動は、一般的には(xとyの)2方向における平面内において行われるが、前記のような関節には1つの自由度しかない。機構における特定の点は、必然的に所定の軌道を移動することとなる。すなわち、その軌道は捕捉され、この特定の点には、この軌道に沿った、ただ1つの真の自由度があるにすぎない。
【0067】
本発明のものとは異なる関節がある関節機構の例は、欧州特許出願EP3919988に記載されており、その動作の特徴を参考のために本出願に組み入れる。
【0068】
このように、可動カバー32は、単一の自由度しかない月31の上の軌道を追従する。表示デバイス30の第1のアーム37をアクチュエートすることによって、可動カバー32は、直線44に沿って単一の自由度で軌道に沿って動く。
【0069】
この表示デバイス30において、2つのフレキシブルガイドアセンブリー35、36が、単一の自由度の軌道に沿って、ロッド33と可動カバー32の運動をガイドする。図8a~8dの矢印で示すように、第1のアーム37の自由端39をアクチュエートすることによって、可動カバー32が動く。
【0070】
当然、自由端39を反対方向にアクチュエートすることによって、可動カバー32は、直線44に沿った反対方向の軌道に従う。
【0071】
図8aにおいて、可動カバー32は、月31の右側にあり、月31を完全に視認することができる。単一の自由度で軌道を追従することによって、可動カバー32は、図8bの月31を部分的に覆い、そして、図8cにおいて月31を完全に覆い隠す。図8dにおいて、可動カバー32は、月32の一部を見えるようにし、最終的に図8eにおいて完全に見えるようにする。図8eにおいて、可動カバー32は月31の左側にある。
【0072】
当然、本発明は、図面を参照しながら説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく他の実施形態を考えることができる。
【符号の説明】
【0073】
1、10、20 フレキシブルガイドアセンブリー
2 支持体
3 第1の可動要素
4 第2の可動要素
5、25 第2の細長いフレキシブル体
6、26 第1の細長いフレキシブル体
7、27 第4の細長いフレキシブル体
8、28 第3の細長いフレキシブル体
9 噛み合い歯列
10a、10b、10c 層
22 歯車
23 高剛性区画
30 表示デバイス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図8c
図8d
図8e