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特許7474843停車位置制御方法、停車位置制御装置、及び停車位置制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】停車位置制御方法、停車位置制御装置、及び停車位置制御システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20240418BHJP
   G08G 1/123 20060101ALI20240418BHJP
   G06Q 50/40 20240101ALI20240418BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/123
G06Q50/40
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022516268
(86)(22)【出願日】2020-04-24
(86)【国際出願番号】 IB2020000406
(87)【国際公開番号】W WO2021214505
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】中村 誠秀
(72)【発明者】
【氏名】御厨 裕
(72)【発明者】
【氏名】高木 良貴
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 英城
(72)【発明者】
【氏名】明李 成博
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-176468(JP,A)
【文献】特開2009-190560(JP,A)
【文献】特開2020-027479(JP,A)
【文献】特開2002-149771(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 ~ 1/16
G06Q 50/40 ~ 50/47
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザを乗降させるための停車エリアに停車する複数の車両の停車位置を制御するコントローラを備える停車位置制御方法であって、
前記コントローラは、
前記複数の車両から位置情報を取得し、
前記複数の車両を利用する前記ユーザの位置情報または前記ユーザが予約した前記車両に関する予約情報を含むユーザ側情報を取得し、
前記複数の車両のうち、前記停車エリアに停車する予定の車両である、停車予定車両を抽出し、
少なくとも前記停車予定車両を利用する前記ユーザの前記ユーザ側情報、または前記停車予定車両の位置情報に基づいて前記停車予定車両が前記停車エリアに到着する到着時間を算出し、
前記到着時間と前記ユーザ側情報に基づいて、前記停車予定車両が前記停車エリアに停車した後に前記停車エリアから出発する順番を示す出発予定順番を算出し、
前記出発予定順番に基づいて、前記停車エリアの基準位置を基準とした前記停車予定車両の停車位置を算出し、
前記停車位置を示す情報を前記停車予定車両に送信する
ことを特徴とする停車位置制御方法。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記ユーザ側情報に基づいて前記ユーザが乗降に要する時間を算出し、
前記到着時間と前記乗降に要する時間とに基づいて、前記出発予定順番を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の停車位置制御方法。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記ユーザ側情報に含まれる乗降する前記ユーザの人数、または乗降する前記ユーザの荷物に関する情報を取得し、
前記人数または前記荷物に関する情報に基づいて、前記ユーザが乗降に要する時間を算出し、
前記到着時間と前記乗降に要する時間に基づいて、前記出発予定順番を算出する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の停車位置制御方法。
【請求項4】
前記コントローラは、前記出発予定順番が先となる停車予定車両の停車位置が、前記出発予定順番が後となる前記複数の車両の停車位置の前になるように前記停車位置を算出する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の停車位置制御方法。
【請求項5】
前記コントローラは、前記ユーザが前記停車エリアで前記停車予定車両に乗車する場合、前記ユーザの前記位置情報に基づいて前記出発予定順番を算出する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の停車位置制御方法。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記ユーザが前記停車エリアで前記停車予定車両に乗車する場合、前記ユーザ側情報に含まれる前記ユーザの利用履歴を参照して前記ユーザの移動速度、または、前記停車予定車両との待合せに対する傾向情報を取得し、
前記移動速度または前記傾向情報に基づいて前記出発予定順番を算出する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の停車位置制御方法。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記ユーザが前記停車エリアで前記停車予定車両から降車する場合、前記ユーザ側情報に含まれる降車するユーザの人数または降車するユーザの荷物に関する情報を取得し、
前記人数または前記荷物に関する情報に基づいて前記乗降に要する時間を算出し、
前記停車予定車両の到着時間及び前記乗降に要する時間に基づいて前記出発予定順番を算出する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の停車位置制御方法。
【請求項8】
前記コントローラは、前記停車予定車両の後部の開閉機構、または前記停車予定車両の寸法を用いて前記停車位置を算出する
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の停車位置制御方法。
【請求項9】
前記コントローラは、
前記停車予定車両が前記停車エリアに到着した際に前記停車エリアにすでに停車している基準車両が存在するか否かを判断し、
前記基準車両が存在するか否か及び前記出発予定順番に基づいて、前記停車位置を算出する
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の停車位置制御方法。
【請求項10】
前記コントローラは、
前記停車予定車両が前記停車エリアに到着した際に前記停車エリアにすでに停車している基準車両が存在するか否かを判定し、
前記基準車両が存在し、かつ、出発予定順番が前記停車予定車両と前記基準車両との間である他の停車予定車両がまだ停車エリアに到着していない場合、前記他の停車予定車両が停車可能となるように、前記基準車両から所定距離離れた位置を前記停車予定車両の停車位置として算出する
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の停車位置制御方法。
【請求項11】
前記出発予定順番が前後となる2台の停車予定車両のうち、前記出発予定順番が先となる停車予定車両は第1停車予定車両、前記出発予定順番が後となる停車予定車両は第2停車予定車両と定義され、
前記コントローラは、
前記第1停車予定車両が前記第2停車予定車両より早く前記停車エリアに到着する場合、前記第1停車予定車両と前記第2停車予定車両との間隔が、前記第1停車予定車両が前記第2停車予定車両より遅く前記停車エリアに到着する場合と比較して小さくなるように前記第2停車予定車両の停車位置を算出する
ことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の停車位置制御方法。
【請求項12】
前記コントローラは、前記停車位置が前となる停車予定車両が前記停車エリアから出発した場合、前記停車位置が後ろとなる停車予定車両の停車位置を前方に移動させる
ことを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の停車位置制御方法。
【請求項13】
前記コントローラは、
前記停車予定車両が前記停車エリアに到着した際に前記停車エリアにすでに停車している車両によって少なくとも1つの車列が形成されており、前記車列の最後尾に停車している車両の出発予定順番が前記停車予定車両の出発予定順番より先である場合、前記車列の最後尾に停車している前記車両の後ろとなる位置を前記停車予定車両の停車位置として算出し、
前記車列の最後尾に停車している車両の出発予定順番が前記停車予定車両の出発予定順番より後である場合、前記車列から所定距離離れた位置を前記停車予定車両の停車位置として算出し、かつ算出した停車位置を新たな車列の先頭位置として設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の停車位置制御方法。
【請求項14】
ユーザを乗降させるための停車エリアに停車する複数の車両の停車位置を制御するコントローラを備える停車位置制御装置であって、
前記コントローラは、
前記複数の車両から位置情報を取得し、
前記複数の車両を利用する前記ユーザの位置情報または前記ユーザが予約した前記車両に関する予約情報を含むユーザ側情報を取得し、
前記複数の車両のうち、前記停車エリアに停車する予定の車両である、停車予定車両を抽出し、
少なくとも前記停車予定車両を利用する前記ユーザの前記ユーザ側情報、または前記停車予定車両の位置情報に基づいて前記停車予定車両が前記停車エリアに到着する到着時間を算出し、
前記到着時間と前記ユーザ側情報に基づいて、前記停車予定車両が前記停車エリアに停車した後に前記停車エリアから出発する順番を示す出発予定順番を算出し、
前記出発予定順番に基づいて、前記停車エリアの基準位置を基準とした前記停車予定車両の停車位置を算出し、
前記停車位置を示す情報を前記停車予定車両に送信する
ことを特徴とする停車位置制御装置。
【請求項15】
ユーザを乗降させるための停車エリアに停車する複数の車両の停車位置を制御する停車位置制御システムであって、
前記ユーザが所持する端末及び前記車両と通信可能なコントローラを備え、
前記コントローラは、
前記複数の車両から位置情報を取得し、
前記複数の車両を利用する前記ユーザの位置情報または前記ユーザが予約した前記車両に関する予約情報を含むユーザ側情報を取得し、
前記複数の車両のうち、前記停車エリアに停車する予定の車両である、停車予定車両を抽出し、
少なくとも前記停車予定車両を利用する前記ユーザの前記ユーザ側情報、または前記停車予定車両の位置情報に基づいて前記停車予定車両が前記停車エリアに到着する到着時間を算出し、
前記到着時間と前記ユーザ側情報に基づいて、前記停車予定車両が前記停車エリアに停車した後に前記停車エリアから出発する順番を示す出発予定順番を算出し、
前記出発予定順番に基づいて、前記停車エリアの基準位置を基準とした前記停車予定車両の停車位置を算出し、
前記停車位置を示す情報を前記停車予定車両に送信する
ことを特徴とする停車位置制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、停車位置制御方法、停車位置制御装置、及び停車位置制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、駐車スペースを検出し、検出した駐車スペースに車両を駐車させるための支援を行う発明が知られている(特許文献1)。特許文献1に記載された方法は、駐車スペースの障害物を検出し、検出した障害物が乗員の乗降、トランクの開閉の障害とならないように駐車位置を決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-190560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された方法は、障害物を考慮するものの、停車エリア(複数の車両が停車可能なエリア)の効率性を考慮していない。したがって、特許文献1に記載された方法では停車エリアを効率よく利用できないおそれがある。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みて成されたものであり、その目的は、停車エリアを効率よく利用することが可能な停車位置制御方法、停車位置制御装置、及び停車位置制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る停車位置制御方法は、複数の車両から位置情報を取得し、複数の車両を利用するユーザの位置情報またはユーザが予約した車両に関する予約情報を含むユーザ側情報を取得し、複数の車両のうち、停車エリアに停車する予定の車両である、停車予定車両を抽出し、少なくとも停車予定車両を利用するユーザのユーザ側情報、または停車予定車両の位置情報に基づいて停車予定車両が停車エリアに到着する到着時間を算出し、到着時間とユーザ側情報に基づいて停車予定車両が停車エリアに停車した後に停車エリアから出発する順番を示す出発予定順番を算出し、出発予定順番に基づいて停車予定車両の停車位置を算出し、停車位置を示す情報を停車予定車両に送信する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、停車エリアを効率よく利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る停車位置制御システムの全体概略図である。
図2図2は、本発明の第1実施形態に係るコントローラ、車両、及び端末装置の機能ブロック図である。
図3図3は、本発明の第1実施形態に係る停車位置制御方法の一例を説明する図である。
図4図4は、本発明の第1実施形態に係る停車位置制御方法の他の例を説明する図である。
図5図5は、本発明の第1実施形態に係る停車位置制御方法の他の例を説明する図である。
図6図6は、本発明の第1実施形態に係る停車位置制御方法の他の例を説明する図である。
図7図7は、本発明の第1実施形態に係る停車位置制御方法の他の例を説明する図である。
図8図8は、停車位置の移動について説明する図である。
図9図9は、本発明の第1実施形態に係るコントローラの一動作例を説明するフローチャートである。
図10図10は、本発明の第1実施形態に係るコントローラの一動作例を説明するフローチャートである。
図11図11は、本発明の第1実施形態に係る車両の一動作例を説明するフローチャートである。
図12図12は、本発明の第1実施形態に係るコントローラの一動作例を説明するフローチャートである。
図13図13は、本発明の第1実施形態に係る車両の一動作例を説明するフローチャートである。
図14図14は、本発明の第2実施形態に係る停車位置制御方法の一例を説明する図である。
図15図15は、本発明の第2実施形態に係る停車位置制御方法の他の例を説明する図である。
図16図16は、本発明の第2実施形態に係る停車位置制御方法の他の例を説明する図である。
図17図17は、本発明の第2実施形態に係る停車位置制御方法の他の例を説明する図である。
図18図18は、本発明のその他の実施形態に係る停車位置制御方法の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
(停車位置制御システムの構成例)
図1~2を参照して、第1実施形態に係る停車位置制御システム10の構成例を説明する。第1実施形態に係る停車位置制御システム10は、ユーザから配車リクエストを受け付けた場合に車両を配車して、停車エリアにおける車両の停車位置を算出する。
【0011】
図1に示すように、停車位置制御システム10は、コントローラ20と、通信ネットワーク30と、車両40~42と、ユーザ50と、ユーザ50が保持する端末装置60と、ユーザ51と、ユーザ51が保持する端末装置61とを含む。なお、図1において、車両は3台存在するが、これに限定されない。停車位置制御システム10は、4台以上の車両を含んでもよい。また、図1において、ユーザは二人であるが、図示しない多数のユーザが存在する。そして図示しない多数のユーザも、ユーザ50及びユーザ51と同様に端末装置を所持する。
【0012】
コントローラ20(停車位置制御装置)は、通信ネットワーク30を介して車両40~42及び端末装置60~61と通信する。コントローラ20は、CPU(Central Processing Unit)21と、メモリ22と、通信I/F23と、ストレージ24とを備え、これらの構成要素が図示しないバスなどを介して電気的に接続されている。コントローラ20の設置場所は特に限定されないが、例えばコントローラ20は車両40~42を運用する会社に設置される。
【0013】
CPU21は、ストレージ24などに記憶されている様々なプログラムをメモリ22に読み込んで、プログラムに含まれる各種の命令を実行する。メモリ22は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などの記憶媒体である。ストレージ24は、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶媒体である。なお、以下で説明するコントローラ20の機能を含む停車位置制御システム10の一部(または全部)は、通信ネットワーク30上に配置されたアプリケーション(Software as a Service(SaaS)など)によって提供されてもよい。また、コントローラ20は、サーバであってもよい。
【0014】
通信I/F23は、ネットワークアダプタなどのハードウェア、各種の通信用ソフトウェア、及びこれらの組み合わせとして実装され、通信ネットワーク30などを介した有線または無線の通信を実現できるように構成されている。
【0015】
通信ネットワーク30は、無線または有線の何れかの方式、あるいは両方の方式によって構成されてもよく、通信ネットワーク30には、インターネットが含まれてもよい。第1実施形態では、コントローラ20、車両40~42、及び端末装置60~61は、無線通信方式によって通信ネットワーク30と接続する。
【0016】
車両40~42は、運転者が存在する車両でもよく、運転者が存在しない自動運転車両でもよい。第1実施形態では、車両40~42は、運転者が存在しない自動運転車両として説明する。車両40~42は特に限定されないが例えばタクシーである。
【0017】
なお、自家用車をタクシーとして使用することが法律で認められていれば(現在の法律で認められていなくても改正により将来認められれば)、車両40~42は自家用車であってもよい。
【0018】
ユーザ50は、端末装置60を用いて車両をリクエスト(予約)する。端末装置60には、車両の予約に用いられる配車アプリケーション(以下単に配車アプリと称する)がインストールされており、ユーザ50は、配車アプリを使って車両をリクエストする。ユーザ51も同様に、端末装置61を用いて車両をリクエストする。このような車両のリクエストを、以下では配車要求と称する場合がある。
【0019】
次に、図2を参照して、コントローラ20、車両40、端末装置60の詳細について説明する。なお、図2において、車両41~42、及び端末装置61は省略するが、車両41~42は車両40と同様の構成を有し、端末装置61は端末装置60と同様の構成を有する。
【0020】
端末装置60は、通信I/F601と配車アプリ602を備える。通信I/F601は、通信I/F23と同様の構成を備えており、通信ネットワーク30を介してコントローラ20と通信する。端末装置60は、例えば、スマートフォン、タブレットなどである。また、端末装置60は、ウェアラブル型の装置であってもよい。なお、端末装置61(図示省略)は、配車アプリ603(図示省略)を備える。
【0021】
配車アプリ602は、上述したように車両のリクエストに用いられる。配車アプリ602は、ユーザ50が車両をリクエストする際のユーザインタフェースとして機能する。配車アプリ602は、端末装置60に設けられたCPUが、端末装置60に設けられたストレージから、専用のアプリケーションプログラムを読み出して実行することで実現する。ユーザ50が車両をリクエストする際、ユーザ50は希望する乗車場所、希望する乗車時間、希望する降車場所などを配車アプリ602に入力し、車両をリクエストする。配車アプリ602は、ユーザ50の入力に従って、コントローラ20に配車要求を送信する。また、端末装置60は、配車要求に対してコントローラ20から返信される信号に含まれる各種情報(配車要求受領、到着予定時刻、走行予定経路など)を、端末装置60が備えるディスプレイ上に表示する。ただし、配車アプリ602の実現方法は、これに限定されない。例えば、端末装置60が、配車アプリ602の機能を提供するサーバにアクセスして機能提供を受け、サーバから送信される機能の実行結果をブラウザに表示するようにしてもよい。
【0022】
また、ユーザ50が配車アプリ602に入力する情報には、乗車する人数、荷物の有無、車椅子の有無などが含まれる。荷物に関する情報には、荷物の数、大きさなどが含まれる。
【0023】
コントローラ20のCPU21は、図2のブロック図に示すように、複数の機能の一例として、配車受付部211と、割当部212と、経路算出部213と、到着時間算出部214と、抽出部215と、出発時間算出部216と、停車位置算出部217を備える。コントローラ20のストレージ24には、図2のブロック図に示すように、ユーザデータベース242が格納されている。
【0024】
配車受付部211は、ユーザ50からのリクエストを、端末装置60を介して受け付ける。また、配車受付部211は、ユーザ50からのリクエストを受け付けた旨、乗車場所への到着予定時刻、乗車場所への走行予定経路など端末装置60に通知する機能を有する。また、配車受付部211は、ユーザ51からのリクエストを、端末装置61を介して受け付ける。
【0025】
割当部212は、受け付けたリクエストに基づいて、複数の車両40~42の中から適切な車両を割り当てる。例えば、割当部212は、効率化のために、複数の車両40~42の中から、ユーザ50が希望する乗車場所に最も近い空車の車両40を割り当てることができる。また、割当部212は、ユーザ50が車種を指定した場合、指定された車種を割り当てる。なお、車両40~42には、GPS受信機が設置されており、車両40~42の位置情報は、任意のタイミングでコントローラ20に送信されるものとする。
【0026】
経路算出部213は、車両40の現在地からユーザ50が希望する乗車場所までの経路を算出し、算出した経路に沿ってユーザ50が希望する乗車場所まで走行するように車両40に対して指令を送る。経路算出部213が算出する経路は、例えば、車両40の現在地からユーザ50が希望する乗車場所までもっとも短い時間で到着できる経路である。
【0027】
到着時間算出部214は、車両40がユーザ50が希望する乗車場所に到着する時間を算出する。換言すれば到着時間算出部214は、経路算出部213によって算出された経路に沿ってユーザ50が希望する乗車場所まで走行した際に要する時間を算出する。
【0028】
抽出部215は、車両40~42の中からユーザ50を乗降させるための停車エリアに停車する予定の車両を抽出する。抽出部215は、ユーザ50の予約情報を参照して、配車要求に係る乗車場所が停車エリアに設定されている場合、抽出部215は割り当てられた車両を停車エリアに停車する予定の車両として抽出する。以下では、停車エリアに停車する予定の車両を、停車予定車両と表現する場合がある。
【0029】
出発時間算出部216は、ユーザの予約情報、ユーザデータベース242などを参照して、停車エリアに停車中の車両が停車エリアから出発する時間(出発予定時間)を算出する。出発時間算出部216は、ユーザが乗降を開始した時刻から乗降が終了した時刻までの乗降に要する時間を算出する。乗降に要する時間は、乗車に要する時間と降車に要する時間に分類される。停車エリアでユーザが車両に乗車する場合、出発予定時間はユーザが停車エリアに到着する時刻に、乗車に要する時間を加算ことにより算出される。ここで、乗車に要する時間について説明する。一般に、乗車する人数が多いほど、乗車に時間がかかる。また、スーツケースなどの荷物が多いほど荷物の積み込みに時間がかかるため、乗車に時間がかかる。また、雨が降っていれば、晴れと比較して、傘を閉じるなどの動作が増えるため、乗車に時間がかかる。また、車椅子を利用するユーザの場合、乗車に時間がかかる。また、車両を初めて利用するユーザの場合、車両を頻繁に利用するユーザと比較して、乗車に時間がかかる。降車に要する時間は後述する。
【0030】
乗車する人数、荷物、車椅子などの情報は、ユーザの予約情報を参照することにより得られる。車両の利用履歴はユーザデータベース242を参照することにより得られる。天気情報は、インターネットを参照することにより得られる。ユーザデータベース242に格納される利用履歴には、ユーザの移動速度、予約した車両との待合せに対する傾向情報などが含まれる。
【0031】
出発時間算出部216は、出発予定時間の他に、車両が停車エリアに停車した後に停車エリアから出発する順番を示す出発予定順番を算出する。出発予定順番は出発予定時間を時間順に並べた順番である。
【0032】
停車位置算出部217は、出発時間算出部216によって算出された出発予定順番に基づいて、停車エリアにおける車両の停車位置を算出する。
【0033】
車両40は、通信I/F401と車両ECU(Electronic Control Unit)402を備える。通信I/F401は、通信I/F23及び通信I/F601と同様の構成を備えており、通信ネットワーク30を介してコントローラ20と通信する。車両ECU402は、車両40を制御するためのコンピュータである。車両ECU402は、コントローラ20からの指令に基づいて各種のアクチュエータ(ブレーキアクチュエータ、アクセルアクチュエータ、ステアリングアクチュエータなど)を制御する。
【0034】
なお、第1実施形態において、停車とはユーザを乗降させるために行われる一時的な停車を意味する。
【0035】
次に、図3を参照して、停車予定車両が1台のときの停車位置制御方法の一例について説明する。
【0036】
図3に示すシーンは、ユーザ50が配車アプリ602を利用して車両を予約し、車両を待っているシーンである。ユーザ50が指定した予約時間は10:00、ユーザ50が指定した乗車場所は停車エリア70とする。停車エリア70は、複数の車両が停車可能な乗降場所であり、例えば、駅前のロータリー、空港のタクシーゾーンなどである。
【0037】
図3において、ユーザ50に割り当てられた車両は、車両40である。抽出部215は、ユーザ50の予約情報を参照して、停車エリア70に停車する予定の車両40を抽出する。ユーザ50の予約情報には乗車場所が含まれているため、抽出部215は、ユーザ50の予約情報を参照することにより、任意の停車エリア(図3に示す例では停車エリア70)に停車する予定の車両を抽出することができる。抽出タイミングは、特に限定されない。抽出部215は割当部212が車両を割り当てたときに、停車エリア70に停車する予定の車両40を抽出してもよい。また、抽出部215は、車両40が停車エリア70に到着する前に、停車エリア70に停車する予定の車両として車両40を抽出してもよい。車両40が停車エリア70に到着する前とは、例えば車両40が停車エリア70に向かって走行しているときである。
【0038】
図3において、停車エリア70に停車する予定の車両として、車両40のみ抽出されたとする。また、停車エリア70には車両40以外の他の車両は存在しないとする。なお、車両40は停車エリア70に到着する前に抽出されたものとする。
【0039】
車両40が抽出されたことを示す信号を受信した出発時間算出部216は、車両40が停車エリア70に停車した後に停車エリア70から出発する出発予定時間を算出する。出発予定時間は、ユーザ50が停車エリア70に到着する時刻に、乗車に要する時間を加算ことにより算出される。
【0040】
ユーザ50が停車エリア70に到着する時刻を取得する、あるいは推定する方法は、複数ある。例えば、出発時間算出部216は、ユーザ50の予約時間である10:00をユーザ50が停車エリア70に到着する時刻とみなしてもよい。一般にユーザは指定した予約時間に停車エリア70に到着すると考えられるためである。あるいは、出発時間算出部216は、ユーザ50が所持する端末装置60の位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて、ユーザ50が停車エリア70に到着する時刻を推定してもよい。ユーザ50が所持する端末装置60の位置情報は、ユーザ50自身の位置情報とみなせる。得られたユーザ50の位置情報と、ユーザ50の歩行速度(移動速度)を組み合わせれば、ユーザ50が停車エリア70に到着する時刻が得られる。ユーザ50の歩行速度はユーザデータベース242に格納されているため、出発時間算出部216は、ユーザデータベース242を参照することにより、ユーザ50の歩行速度を取得できる。
【0041】
また、出発時間算出部216は、車両40が停車エリア70に到着する時間(到着時間)をユーザ50が停車エリア70に到着する時刻とみなしてもよい。理由は、到着時間はユーザ50の予約情報に基づいて算出されるからである。上述したように、到着時間は到着時間算出部214によって算出される。図3では、到着時間は10:00と算出され、実際に車両40は10:00に停車エリア70に到着したものとする。
【0042】
図3では、出発時間算出部216は、ユーザ50が停車エリア70に到着する時刻は10:00(予約時間と同じ)であると推定したものとする。
【0043】
出発時間算出部216は、ユーザ50の予約情報、ユーザデータベース242などを参照して、ユーザ50の乗車に要する時間を算出する。乗車に要する時間は上述したように、乗車する人数、荷物、車椅子などの情報に基づいて算出される。図3では、乗車に要する時間は、5分と算出されたとする。したがって、出発予定時間は、ユーザ50の到着時間である10:00に5分を足して、10:05となる。出発時間算出部216は、出発予定順番も算出する。図3では、停車エリア70に停車する予定の車両は1台(車両40のみ)であるため、車両40の出発予定順番は1番目となる。
【0044】
停車位置算出部217は、出発予定順番を示す信号を受信し、受信した信号に基づいて車両40の停車位置を算出する。車両40の出発予定順番は1番目であり、かつ他の車両は存在しないため、停車位置算出部217は停車エリア70の先端位置P1を車両40の停車位置として算出する。コントローラ20は、停車位置を示す情報を車両40に送信する。停車位置を示す情報は、座標情報(世界座標系)でもよく、画像情報でもよい。あるいは、停車位置を示す情報は、車両の進行方向をX軸と定義した場合における、X軸上の座標位置であってもよい。車両40は、受信した情報に基づいて先端位置P1で停車する。
【0045】
次に、図4を参照して、停車予定車両が2台のときの停車位置制御方法の一例について説明する。
【0046】
図4のユーザ50に関しては、図3と同様である。すなわち、ユーザ50は配車アプリを利用して車両を予約し、車両を待っている。ユーザ50が指定した予約時間は10:00、ユーザ50が指定した乗車場所は停車エリア70である。
【0047】
図4図3と異なるのは、ユーザ51の存在である。図4においてユーザ51もユーザ50と同様に配車アプリを利用して車両を予約し、車両を待っている。ユーザ51が指定した予約時間は10:05、ユーザ51が指定した乗車場所は停車エリア70とする。
【0048】
図4において、ユーザ50に割り当てられた車両は車両40であり、ユーザ51に割り当てられた車両は車両41である。また、停車エリア70には車両40、41以外の他の車両は存在しないとする。
【0049】
車両40、41が抽出されたことを示す信号を受信した出発時間算出部216は車両40、41が停車エリア70に停車した後に停車エリア70から出発する出発予定時間を算出する。出発予定時間の算出方法は図3と同様である。なお、ユーザによっては、予約時間に遅れて停車エリア70に到着したり、予約時間より早く停車エリア70に到着したりする場合がある。すなわち、予約時間のみを考慮して出発予定順番を算出した場合、精度が悪くなる可能性がある。そこで、予約時間の他に、ユーザ50、51の位置情報を考慮してもよい。これにより、後述の出発予定順番を精度よく算出することが可能となる。また、出発時間算出部216は、ユーザ50、51の利用履歴(ユーザデータベース242)を参照してユーザ50、51の移動速度、または、車両40、41との待合せに対する傾向情報を取得してもよい。車両40、41との待合せに対する傾向情報は、予約時間に遅れる傾向があるのか、予約時間より早く来る傾向があるのか、を示す情報である。出発時間算出部216は、取得した移動速度または傾向情報に基づいて、出発予定順番を算出してもよい。これにより、出発予定順番を精度よく算出することが可能となる。
【0050】
図4では、出発時間算出部216は、ユーザ50が停車エリア70に到着する時刻は10:00(予約時間と同じ)であると推定したものとする。また、出発時間算出部216は、ユーザ51が停車エリア70に到着する時刻は10:05(予約時間と同じ)であると推定したものとする。
【0051】
出発時間算出部216は、ユーザ50、51の予約情報、ユーザデータベース242などを参照して、ユーザ50、51の乗車に要する時間を算出する。乗車に要する時間の算出方法は図3と同様である。図4では、ユーザ50の乗車に要する時間は、5分と算出されたとする。したがって、車両40の出発予定時間は10:00に5分を足して、10:05となる。また、ユーザ51の乗車に要する時間も、5分と算出されたとする。したがって、車両41の出発予定時間は10:05に5分を足して、10:10となる。
【0052】
出発時間算出部216は、出発予定時間を時間順に並べて出発予定順番を算出する。図4では、車両40の出発予定順番は1番目となり、車両41の出発予定順番は2番目となる。つまり、出発予定順番は、車両40、車両41の順となる。図4では、停車エリア70に到着した順で出発することになる。
【0053】
停車位置算出部217は、出発予定順番を示す信号を受信し、受信した信号に基づいて車両40、41の停車位置を算出する。車両40の出発予定順番は1番目であり、かつ他の車両は存在しないため、停車位置算出部217は停車エリア70の先端位置P1を車両40の停車位置として算出する。
【0054】
また、車両41の出発予定順番は2番目であるため、停車位置算出部217は車両41の停車位置が車両40の後ろとなるように停車位置を算出する。例えば、停車位置算出部217は、車両40から距離L1だけ離れた位置P2を停車位置として算出することができる。距離L1は、車両41が車両40を避けて出発することが可能な距離であればよく、車両41の寸法を用いて算出される。車両41の寸法には、車両41の全長、車両41の回転半径、車両41のフロントホイールとリアホイールとの中心間の距離などが含まれる。また、距離L1は、車両40の後部の開閉機構が利用可能となる距離であってもよい。後部の開閉機構は、トランク、バックドアなどである。距離L1は、ユーザ50が車両40のバックドアを開けて荷物を入れる際の安全を確保できる距離であればよい。
【0055】
コントローラ20は、停車位置を示す情報を車両40、41に送信する。車両40は、受信した情報に基づいて先端位置P1で停車する。車両41は、受信した情報に基づいて位置P2で停車する。
【0056】
なお、図4では出発予定順番は、ユーザ50、51の予約時間に乗車に要する時間を足して算出されたが、これに限定されない。出発予定順番は、車両40、41が停車エリア70に到着する時間(到着時間)に乗車に要する時間を足して算出されてもよい。
【0057】
次に、図5を参照して、停車予定車両が2台のときの停車位置制御方法の他の例について説明する。
【0058】
図5に示す例では、図4と異なり、停車エリア70に到着した順番と、出発する順番が異なる。つまり、図5では、車両40は車両41より先に停車エリア70に到着するが、車両40は車両41が出発した後に停車エリア70を出発する。図4と重複する説明は省略する。
【0059】
車両40、41が抽出されたことを示す信号を受信した出発時間算出部216は車両40、41が停車エリア70に停車した後に停車エリア70から出発する出発予定時間を算出する。
【0060】
出発時間算出部216は、ユーザ50、51の予約情報、ユーザデータベース242などを参照して、ユーザ50、51の乗車に要する時間を算出する。図5では、ユーザ50の乗車に要する時間は、10分と算出されたとする。したがって、車両40の出発予定時間は10:00に10分を足して、10:10となる。また、ユーザ51の乗車に要する時間も、3分と算出されたとする。したがって、車両41の出発予定時間は10:05に3分を足して、10:08となる。このように、図5では、車両40は車両41が出発した後に停車エリア70を出発する。
【0061】
出発時間算出部216は、出発予定時間を時間順に並べて出発予定順番を算出する。図5では、車両40の出発予定順番は2番目となり、車両41の出発予定順番は1番目となる。つまり、出発予定順番は、車両41、車両40の順となる。
【0062】
停車位置算出部217は、出発予定順番を示す信号を受信し、受信した信号に基づいて車両40、41の停車位置を算出する。車両40の出発予定順番は2番目であり、かつ車両41はまだ到着していない。そこで、停車位置算出部217は、後から到着する車両41が停車するためのスペースを確保して車両40の停車位置を算出する。具体的には図5に示すように、停車位置算出部217は、先端位置P1から距離L3だけ離れた位置P2を車両40の停車位置として算出する。距離L3は、車両41の全長を示す距離L2と、距離L1とを足した距離である。先端位置P1を基準とする理由は、車両41の出発予定順番が1番目だからである。
【0063】
車両41の出発予定順番は1番目であるため、停車位置算出部217は停車エリア70の先端位置P1を車両41の停車位置として算出する。
【0064】
コントローラ20は、停車位置を示す情報を車両40、41に送信する。図5に示すように車両40は、受信した情報に基づいて位置P2で停車する。車両40が位置P2に停車した後に車両41が停車エリア70に到着する。そして、車両41は、受信した情報に基づいて先端位置P1で停車する。
【0065】
このように第1実施形態によれば、停車エリア70に到着した順番ではなく、停車エリア70から出発する順番となるように停車位置が算出される。これにより、第1実施形態によれば、従来技術のようにバラバラに停車する場合と比較して、停車エリア70を効率よく利用することが可能となる。
【0066】
なお、図5では、位置P2を算出するために車両41の全長の情報が必要となるが、停車位置算出部217はデータベースなどを参照することにより車両41の全長の情報を取得可能である。また全長だけでなく、停車位置算出部217はその他の車体に関する情報も取得可能である。さらに、停車位置算出部217は車両41だけでなく、第1実施形態に登場する他の車両の情報も取得可能である。
【0067】
次に、図6を参照して、停車位置制御方法の他の例について説明する。
【0068】
図6に示すシーンは、車両44が停車エリア70に到着したときに、すでに車両40が先端位置P1で停車しているシーンである。また、車両41、42、43は、車両44が停車エリア70に到着したときにはまだ停車エリア70に到着していないが、車両41、42、43の出発予定順番は車両44より先である。
【0069】
図6において、出発予定順番は、車両40、41、42、43、44の順である。停車位置算出部217は、出発予定順番を示す信号を受信し、受信した信号に基づいて車両44の停車位置を算出する。車両41、42、43はまだ停車エリア70に到着していないため、停車位置算出部217は車両41、42、43が車両44より前で停車可能となるように車両44の停車位置を算出する。例えば図6に示すように、停車位置算出部217は、車両40から距離L10だけ離れた位置P3を車両44の停車位置として算出することができる。図6において車両40は、停車位置を算出する際の基準となる車両(以下、基準車両と呼ぶ)である。
【0070】
距離L10は、距離L1、L4、L5、L6、L7、L8、L9を足した距離である。距離L5は車両41の全長である。距離L6は車両42の全長である。距離L9は車両43の全長である。距離L4は車両42が車両41を避けて出発することが可能な距離である。距離L6は車両43が車両42を避けて出発することが可能な距離である。距離L8は車両44が車両43を避けて出発することが可能な距離である。
【0071】
このように、停車位置算出部217は基準車両から距離L10だけ離れた位置を停車位置として算出する。コントローラ20は、停車位置を示す情報を車両44に送信する。図6に示すように車両44は、受信した情報に基づいて位置P3で停車する。これにより、後から停車エリア70に到着する車両41、42、43は、出発する順番で停車することが可能となる。このように第1実施形態によれば、停車エリア70に到着した順番ではなく、停車エリア70から出発する順番となるように停車位置が算出される。これにより、停車エリア70を効率よく利用することが可能となる。
【0072】
次に、図7を参照して、停車位置制御方法の他の例について説明する。
【0073】
図7に示すシーンは、車両44が停車エリア70に到着したときに、他の全ての車両がまだ停車エリア70に到着していないシーンである。つまり、図7に示すシーンは、図6と比較して、車両40(基準車両)がまだ停車エリア70に到着していないシーンである。
【0074】
図7でも図6と同様に、出発予定順番は、車両40、41、42、43、44の順である。車両40、41、42、43はまだ停車エリア70に到着していないため、停車位置算出部217は車両40、41、42、43が車両44より前で停車可能となるように車両44の停車位置を算出する。例えば、停車位置算出部217は先端位置P1を、停車位置を算出するための基準位置として設定する。停車位置算出部217は、図7に示すように基準位置(先端位置P1)から距離L11だけ離れた位置P3を車両44の停車位置として算出することができる。
【0075】
距離L11は、距離L1、L2、L4、L5、L6、L7、L8、L9を足した距離である。図6のような基準車両が存在しない場合、停車位置算出部217は先端位置P1を基準として停車位置を算出することができる。
【0076】
次に、図8を参照して、停車位置の移動について説明する。
【0077】
図8に示すように、出発予定順番が1番目である車両40が出発したことを示す信号を受信した停車位置算出部217は、車両41~44の停車位置を距離L3(距離L1+L2)だけ前方に移動させる。これにより、車両41~44は、距離L3だけ前方に移動することになる。これにより、停車エリア70を効率よく利用することが可能となる。
【0078】
次に、図9のフローチャートを参照して、コントローラ20の一動作例を説明する。
【0079】
ステップS101において、配車受付部211は、ユーザからのリクエストを、ユーザが所持する端末装置を介して受け付ける。処理はステップS103に進み、割当部212は、受け付けたリクエストに基づいて、複数の車両の中から適切な車両を割り当てる。例えば割当部212は、ユーザが車種を指定した場合、指定された車種を割り当てる。また、割当部212は、ユーザが車種を指定していない場合、ユーザが希望する乗車場所に最も近い空車の車両を割り当てることができる。
【0080】
処理はステップS105に進み、経路算出部213は、車両の現在地からユーザが希望する乗車場所までの経路を算出し、算出した経路に沿ってユーザが希望する乗車場所まで走行するように車両に対して指令を送る。処理はステップS107に進み、到着時間算出部214は、車両がユーザが希望する乗車場所に到着する時間を算出する。
【0081】
処理はステップS109に進み、抽出部215は、ユーザの予約情報を参照して、停車エリアに停車する予定の車両を抽出する。処理はステップS111に進み、車両が抽出されたことを示す信号を受信した出発時間算出部216は、車両が停車エリアに停車した後に停車エリアから出発する出発予定時間を算出する。出発予定時間は、一例として、ユーザが停車エリアに到着する時刻に、乗車に要する時間を加算ことにより算出される。また、出発時間算出部216は、出発予定時間の他に、車両が停車エリアに停車した後に停車エリアから出発する順番を示す出発予定順番を算出する。出発予定順番は出発予定時間を時間順に並べた順番である。
【0082】
処理はステップS113に進み、停車位置算出部217は、出発予定順番を示す信号を受信し、受信した信号に基づいて車両の停車位置を算出する。処理はステップS115に進み、コントローラ20は、停車位置を示す情報を車両に送信する。車両は、受信した情報に基づいて停車位置で停車する。
【0083】
次に、図10のフローチャートを参照して、停車位置算出部217の一動作例を説明する。図10のフローチャートは、図9のステップS113を詳細に説明するものである。
【0084】
停車エリアに到着した車両の出発予定順番が1番目である場合(ステップS201でYES)、処理はステップS203に進み、停車位置算出部217は停車エリアの先端位置を車両の停車位置として算出する。具体的には図4に示すように、停車エリア70に到着した車両40の出発予定順番が1番目である場合、停車位置算出部217は停車エリア70の先端位置P1を車両40の停車位置として算出する。
【0085】
一方、停車エリアに到着した車両の出発予定順番が1番目でない場合(ステップS201でNO)、処理はステップS205に進む。車両が停車エリアに到着したとき、出発予定順番が先となる他の車両がすでに停車している場合(ステップS205でYES)、処理はステップS207に進む。ステップS207において、停車位置算出部217はすでに停車している車両を、停車位置を算出するための基準車両として設定する。具体的には図6に示すように、停車位置算出部217は、すでに停車エリア70に停車している車両40を、車両44の停車位置を算出するための基準車両に設定する。処理はステップS209に進み、停車位置算出部217は、他の車両41~43の情報(全長など)を取得する(図6参照)。
【0086】
処理はステップS211に進み、停車位置算出部217は、後から停車エリア70に到着する車両41~43が出発する順番で停車することが可能となるように、距離L4、L6、L8を算出する(図6参照)。処理はステップS213に進み、停車位置算出部217は、基準車両(車両40)から距離L10だけ離れた位置P3を車両44の停車位置として算出する(図6参照)。
【0087】
車両が停車エリアに到着したとき、出発予定順番が先となる他の車両が停車していない場合(ステップS205でNO)、処理はステップS215に進む。ステップS215において、停車位置算出部217は先端位置を、停車位置を算出するための基準位置として設定する。具体的には図7に示すように、停車位置算出部217は先端位置P1を、停車位置を算出するための基準位置として設定する。処理はステップS217に進み、停車位置算出部217は、他の車両40~43の情報(全長など)を取得する(図7参照)。
【0088】
処理はステップS219に進み、停車位置算出部217は、後から停車エリア70に到着する車両40~43が出発する順番で停車することが可能となるように、距離L1、L4、L6、L8を算出する(図7参照)。処理はステップS221に進み、停車位置算出部217は、基準位置(先端位置P1)から距離L11だけ離れた位置P3を車両44の停車位置として算出する(図7参照)。
【0089】
次に、図11のフローチャートを参照して、車両側の一動作例を説明する。
【0090】
ステップS301において、車両はコントローラ20から停車エリアで停車するための位置情報を受信する。なお、車両が位置情報を受信するタイミングは特に限定されないが、このフローチャートにおいて車両が位置情報を受信するタイミングは、車両が停車エリアに到着する前である。
【0091】
車両が停車エリアに到着し(ステップS303でYES)、停車位置が先端位置である場合(ステップS305でYES)、車両は先端位置で停車する(ステップS313)。一方、停車位置が先端位置ではなく(ステップS305でNO)、先端位置から所定距離離れた位置でもない場合(ステップS307でNO)、車両は基準車両を検出する(ステップS309)。ステップS309は、図6に示すように、コントローラ20から距離L10が送信されたことを意味する。つまり、車両44の停車位置(位置P3)は基準車両(車両40)から距離L10だけ離れた位置である。ステップS309において、車両44が基準車両(車両40)を検出する理由は、実際に基準車両(車両40)が停車しているか否かを確認するためである。なお、基準車両(車両40)の検出にはカメラ、レーダなどが用いられる。
【0092】
処理はステップS311に進み、車両44は検出した基準車両(車両40)から距離L10だけ離れた位置P3に停車する(図6参照)。
【0093】
一方、停車位置が先端位置から所定距離離れた位置である場合(ステップS307でYES)、車両44は先端位置P1から距離L11だけ離れた位置P3に停車する(図7参照)。
【0094】
次に、図12、13のフローチャートを参照して、コントローラ20及び車両の一動作例を説明する。
【0095】
図12のステップS401において、コントローラ20は、停車エリアから車両が出発したか否かを判定する。この判定には、車両の位置情報、車両に乗車するユーザの位置情報などが用いられる。あるいは、コントローラ20は、出発したことを示す信号を車両から受信し、受信した信号に基づいて出発したか否かを判定してもよい。
【0096】
停車エリアから車両が出発した場合(ステップS401でYES)、コントローラ20は、出発した車両に関係する停車距離を他の車両に送信する。具体的には、図8に示すように、コントローラ20は、出発した車両40に関係する距離L3(距離L1+L2)を他の車両41~44に送信する。
【0097】
図13のステップS501において、車両41~44はコントローラ20から距離L3を受信する。車両41~44は、前の車両(車両41の場合は車両40、以下同じ)が移動したか検出する。前の車両が移動した場合(ステップS503でYES)、車両41~44は、距離L3だけ前方に移動する(ステップS505、図8参照)。
【0098】
(作用効果)
以上説明したように、第1実施形態に係る停車位置制御システム10によれば、以下の作用効果が得られる。
【0099】
抽出部215は、停車エリア70に停車する予定の車両である、複数の車両40、41(停車予定車両)を複数抽出する(図5参照)。出発時間算出部216は、少なくともユーザ50、51が予約した車両40、41に関する予約情報、または車両40、41が停車エリア70に到着する到着時間のいずれか一方に基づいて、車両40、41が停車エリア70に停車した後に停車エリア70から出発する順番を示す出発予定順番を算出する。図5に示す例では、出発予定順番は、車両41が1番目であり、車両40が2番目である。停車位置算出部217は、出発予定順番を示す信号を受信し、受信した信号に基づいて車両40、41の停車位置を算出する。図5に示す例では、車両40の停車位置は、位置P2として算出される。車両41の停車位置は、先端位置P1として算出される。このように停車エリア70から出発する順となるように停車位置が算出されるため、停車エリア70を効率よく利用することが可能となる。
【0100】
また、図5に示すように、出発予定順番が先となる車両41の停車位置(先端位置P1)は、出発予定順番が後となる車両40の停車位置(位置P2)の前になるように停車位置が算出される。このように停車エリア70から出発する順となるように停車位置が算出されるため、停車エリア70を効率よく利用することが可能となる。
【0101】
また、ユーザ50、51が停車エリア70で車両40、41に乗車する場合、出発時間算出部216は、ユーザ50、51が所持する端末(端末装置60、61)の位置情報を取得してもよい。そして、出発時間算出部216は、取得した位置情報に基づいて、出発予定順番を算出してもよい。ユーザ50、51の位置情報と、ユーザ50、51の歩行速度(移動速度)を組み合わせれば、ユーザ50、51が停車エリア70に到着する時刻が得られる。ユーザによっては、予約時間に遅れて停車エリア70に到着したり、予約時間より早く停車エリア70に到着したりする場合がある。ユーザの位置情報を考慮することによりユーザの到着時間を精度よく算出することが可能となる。
【0102】
また、ユーザ50、51が停車エリア70で車両40、41に乗車する場合、出発時間算出部216は、ユーザ50、51の利用履歴(ユーザデータベース242)を参照してユーザ50、51の移動速度、または、車両40、41との待合せに対する傾向情報を取得してもよい。車両40、41との待合せに対する傾向情報は、予約時間に遅れる傾向があるのか、予約時間より早く来る傾向があるのか、を示す情報である。出発時間算出部216は、取得した移動速度または傾向情報に基づいて、出発予定順番を算出してもよい。これにより、出発予定順番を精度よく算出することが可能となる。
【0103】
停車位置算出部217は、車両40、41の後部の開閉機構(トランク、バックドア)、または車両40、41の寸法(全長、回転半径、フロントホイールとリアホイールとの中心間の距離など)を用いて停車位置を算出してもよい。これにより、車両の特性により駐車スペースの大きさを設定することができ、停車エリア70を効率よく利用することが可能となる。
【0104】
停車位置算出部217は、車両44が停車エリア70に到着した際に停車エリア70にすでに停車している基準車両40が存在するか否かを判定してもよい。図6に示すように、基準車両40が存在し、かつ、車両44より出発予定順番が先で基準車両40より出発予定順番が後である他の車両41、42、43がまだ停車エリア70に到着していない場合、停車位置算出部217は、他の車両41、42、43が停車可能となるように、基準車両40から距離L10だけ離れた位置P3を車両44の停車位置として算出してもよい。これにより、停車エリア70に到着した順番ではなく、停車エリア70から出発する順番となるように停車位置が算出される。これにより、停車エリア70を効率よく利用することが可能となる。
【0105】
また、出発予定順番が停車予定車両と基準車両40との間である他の停車予定車両がまだ停車エリア70に到着していない場合、コントローラ20は他の停車予定車両が停車可能となるように、基準車両40から所定距離離れた位置を停車予定車両の停車位置として算出してもよい。
【0106】
出発予定順番が1番目である車両40(第1停車予定車両)が停車エリア70から出発した場合、図8に示すように、停車位置算出部217は出発予定順番が2番目である車両42(第2停車予定車両)の停車位置を前方に移動させてもよい。また、車両42の移動に合わせて、停車位置算出部217は車両43~44の停車位置を前方に移動させてもよい。これにより、停車エリア70を効率よく利用することが可能となる。
【0107】
コントローラ20は、ユーザを乗降させるための停車エリアに停車する複数の車両の停車位置を制御する。コントローラ20は複数の車両から位置情報を取得する。コントローラ20は複数の車両を利用するユーザの位置情報またはユーザが予約した車両に関する予約情報を含むユーザ側情報を取得する。コントローラ20は複数の車両のうち、停車エリアに停車する予定の車両である、停車予定車両を抽出する。コントローラ20は少なくとも停車予定車両を利用するユーザのユーザ側情報、または停車予定車両の位置情報に基づいて停車予定車両が停車エリアに到着する到着時間を算出する。コントローラ20は到着時間と乗降に要する時間に基づいて、停車予定車両が停車エリアに停車した後に停車エリアから出発する順番を示す出発予定順番を算出する。コントローラ20は出発予定順番に基づいて停車予定車両の停車位置を算出する。コントローラ20は停車位置を示す情報を停車予定車両に送信する。ユーザ側情報には、予約に関する情報及びユーザデータベース242に格納されている情報が含まれる。
【0108】
(第2実施形態)
次に、図14図17を参照して、第2実施形態について説明する。第2実施形態が第1実施形態と異なるのは、停車エリア70に車列が形成されることである。第1実施形態と重複する構成については符号を引用してその説明は省略する。以下、相違点を中心に説明する。図14図17において符号の70は省略する。
【0109】
図14を参照して、第2実施形態に係る車列について説明する。第2実施形態において車列とは、同じ方角を向いて停車している車両の列である。図14に示すように、停車エリア70に2つの車列(車列C1、C2)が形成される。
【0110】
車列C1は、車両40~42を含む。車両40~42は、停車エリア70から出発する順番で停車している。車列C2は、車両43~44を含む。車両43~44は、停車エリア70から出発する順番で停車している。図14において、車両43の出発予定時間は10:10であるため、車両40と車両41との間に停車することが望ましい。しかしながら、ユーザの予約タイミング、抽出部215による抽出タイミングなどによっては、車両43が車両40と車両41との間に停車できない場合が考えられる。一例として、すでに車両40と車両41が停車エリア70で停車している場合である。このような場合、車列C1では、出発する順番で停車することができない。そこで、車両43の出発予定順番が1番目となるように新しい車列C2が形成される。なお、車列C1、C2に係る停車位置は、停車位置算出部217によって算出される。
【0111】
次に、図15~17を参照して、車列C1、C2が形成された後に、新たな車両45が停車エリア70に到着した場合について説明する。
【0112】
図15に示す車両45の出発予定時間は10:24と算出されたとする。すなわち、車両45は車両42より早く出発し、車両44の後に出発する。この場合、車両45の停車位置は、2つ考えられる。車両41と車両42との間、車両44の後ろ、の2つである。ただし、図15に示すように車両41と車両42との間で停車することはできないため、車両45の停車位置は車両44の後ろとなる。つまり図15では、車両45が停車エリア70に到着した際に停車エリア70にすでに停車している車両40~44によって複数の車列が形成されている。具体的には、車両40~42によって車列C1が形成されており、車両43~44によって車列C2が形成されている。図15において、車両45の出発予定順番は、車列C1の最後尾に停車している車両42より先であり、車列C2の最後尾に停車している車両44より後である。この場合、停車位置算出部217は車列C2の最後尾(車両44の後ろ)を車両45の停車位置として算出する。これにより、停車エリア70を効率よく利用することが可能となる。
【0113】
一方、図16に示す車両45の出発予定時間は10:30と算出されたとする。この場合、車両45の停車位置は車両42の後ろでもよく、車両44の後ろでもよい。つまり図16でも図15と同様に、車列C1、C2が形成されている。図16において、車両45の出発予定順番は、複数の車列(車列C1、C2)の最後尾に停車しているそれぞれの車両(車両42、44)の出発予定順番より後である。この場合、停車位置算出部217はいずれかの車列の最後尾(車両42の後ろ、または車両44の後ろ)を車両45の停車位置として算出する。これにより、停車エリア70を効率よく利用することが可能となる。
【0114】
一方、図17に示す車両45の出発予定時間は10:14と算出されたとする。この場合、車両45の停車位置は、2つ考えられる。車両40と車両41との間、車両43と車両44との間、の2つである。ただし、図17に示すように車両40と車両41との間で停車することはできず、車両43と車両44との間で停車することもできない。この場合、停車位置算出部217は、車列C1、C2から所定距離離れた位置を車両45の停車位置として算出し、かつ算出した停車位置を新たな車列C3の先頭位置として設定する。つまり図17でも図15、16と同様に、車列C1、C2が形成されている。図17において、車両45の出発予定順番は、複数の車列(車列C1、C2)の最後尾に停車しているそれぞれの車両(車両42、44)の出発予定順番より先である。この場合、停車位置算出部217は、複数の車列から所定距離離れた位置を車両45の停車位置として算出し、かつ算出した停車位置を新たな車列の先頭位置として設定する。これにより、停車エリア70を効率よく利用することが可能となる。
【0115】
なお、車列が一つであっても同様の処理が適用される。
【0116】
上述の実施形態に記載される各機能は、1または複数の処理回路により実装され得る。処理回路は、電気回路を含む処理装置等のプログラムされた処理装置を含む。処理回路は、また、記載された機能を実行するようにアレンジされた特定用途向け集積回路(ASIC)や回路部品等の装置を含む。
【0117】
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0118】
上述した実施形態では、ユーザが停車エリアで車両に乗車する例を説明したが、ユーザが停車エリアで車両から降車する場合についても本発明は適用できる。ユーザが停車エリアで車両から降車する場合、出発時間算出部216は、降車するユーザの人数または降車するユーザの荷物に関する情報を取得し、取得した人数または荷物に関する情報に基づいて、出発予定順番を算出すればよい。これにより、降車する場合においても停車エリア70を効率よく利用することが可能となる。なお、降車の場合、出発予定時間は、一例として車両の到着時間にユーザの降車に要する時間を加算することにより算出される。降車に要する時間も乗車に要する時間と同様に降車する人数が多いほど、降車に時間がかかる。また、スーツケースなどの荷物が多いほど荷物の取り出しに時間がかかるため、降車に時間がかかる。また、車椅子を利用するユーザの場合、降車に時間がかかる。
【0119】
コントローラ20は、ユーザが停車エリアで停車予定車両から降車する場合、ユーザ側情報に含まれる降車するユーザの人数または降車するユーザの荷物に関する情報を取得する。コントローラ20は取得した人数または荷物に関する情報に基づいて乗降に要する時間を算出する。コントローラ20は停車予定車両の到着時間及び乗降に要する時間に基づいて出発予定順番を算出する。
【0120】
また、停車位置が前後となる2台の車両のうち、停車位置が前となる車両が停車位置が後ろとなる車両より早く停車エリアに到着する場合、停車位置算出部217は、次のように停車位置を算出してもよい。すなわち、停車位置算出部217は、停車位置が前となる車両と停車位置が後ろとなる車両との間隔(車間距離)が小さくなるように停車位置が後ろとなる車両の停車位置を算出してもよい。具体例を図18を参照して説明する。
【0121】
図18では、車両40の到着時間は10:00であり、車両41の到着時間は10:05である。また、車両40の出発予定時間は10:05であり、車両41の出発予定時間は10:10である。つまり、出発予定順番は、車両40、車両41の順となる。車両41の出発予定順番は、車両40の出発予定順番より後であるため、停車位置算出部217は車両41の停車位置が車両40の後ろとなるように停車位置を算出する。図18では、停車位置が前後となる2台の車両(車両40、41)のうち、停車位置が前となる車両40が停車位置が後ろとなる車両41より早く停車エリア70に到着する。この場合、停車位置算出部217は、停車位置が前となる車両40と停車位置が後ろとなる車両41との間隔(距離L1)が小さくなるように停車位置が後ろとなる車両41の停車位置(位置P2)を算出してもよい。理由は、車両40が車両41より先に出発することが判明しているからである。図18に示すように間隔を小さくすることにより、停車エリア70を効率よく利用することが可能となる。なお、間隔を小さくする程度は特に限定されないが、例えば、図4で説明したバックドアなどを考慮した距離より小さくしてもよい。なお、前方の車両40にユーザ50が乗車したことをカメラなどで確認した後に、車両41は間隔を小さくするために前方に移動してもよい。なお、間隔が小さくなるとは車両40が車両41より遅く停車エリア70に到着する場合と比較して小さくなることを意味する。
【符号の説明】
【0122】
10 停車位置制御システム
20 コントローラ
211 配車受付部
212 割当部
213 経路算出部
214 到着時間算出部
215 抽出部
216 出発時間算出部
217 停車位置算出部
242 ユーザデータベース
40~45 車両
50~51 ユーザ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
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図18