(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】シリアル化人工授精ストロー並びに認証システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61D 19/02 20060101AFI20240418BHJP
【FI】
A61D19/02
(21)【出願番号】P 2022543464
(86)(22)【出願日】2021-01-14
(86)【国際出願番号】 US2021013432
(87)【国際公開番号】W WO2021146419
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2022-07-15
(32)【優先日】2020-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510290603
【氏名又は名称】イングラン, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ギリガン, トーマス ボイド
【審査官】石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0046126(US,A1)
【文献】特開2006-350693(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0219925(US,A1)
【文献】国際公開第2018/051994(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0264207(US,A1)
【文献】特開2007-164290(JP,A)
【文献】特開2004-303091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61D 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリアル番号を符号化するバーコードを含む人工授精(AI)ストローであって、前記シリアル番号は
標準化マーケッティングコード(SMC)を含む第1組の文字
と、
印刷
実行番号(PRN)を含む第2組の文字
であって、前記PRNは、前記SMCへ割り当てられるPRNのリストから無作為に選択される、第2組の文字と、
無作為タグ(R-TAG)を含む第3組の文字
と
を含み、前記第1組の文字及び前記第2組の文字のコンカテマー
は、SMC-PRN組み合わせを構成する、人工授精(AI)ストロー。
【請求項2】
前記SMCへ割り当てられるPRNの前記リストは少なくとも999個の異なる番号で構成される、請求項
1に記載のAIストロー。
【請求項3】
前記R-TAGは少なくとも1000個の異なる番号を含む有効R-TAGのリストから選択される、請求項1に記載のAIストロー。
【請求項4】
有効R-TAGの前記リストは、前記SMC-PRN組み合わせへ割り当てられた少なくとも50,000個の異なる番号のリストから無作為に選択される番号で構成される、請求項
3に記載のAIストロー。
【請求項5】
前記第1組の文字は長さが少なくとも3文字である、請求項1に記載のAIストロー。
【請求項6】
前記第2組の文字は長さが少なくとも5文字である、請求項1に記載のAIストロー。
【請求項7】
前記第3組の文字は長さが少なくとも5文字である、請求項1に記載のAIストロー。
【請求項8】
前記バーコードは2次元バーコードである、請求項1に記載のAIストロー。
【請求項9】
前記2次元バーコードはデータ行列コードである、請求項
8に記載のAIストロー。
【請求項10】
AIストロー上のバーコード内のシリアル番号を認証する方法であって
有効VN又は有効TENのリストを生成すること
と、
前記シリアル番号からVNを計算する、又はTENを計算するためのアルゴリズムを提供すること
であって、前記シリアル番号は、標準化マーケッティングコード(SMC)へ割り当てられるPRNのリストから無作為に選択される印刷実行番号(PRN)と、無作為タグ(R-TAG)とで構成される、ことと、
計算されたVN
を有効VNの前記リストと比較すること又は計算されたTEN
を有効TENSの前記リスト
と比較すること
と、
前記計算されたVNが前記有効VNのうちの1つに整合するかどうか又は前記計算されたTENが前記有効TENのうちの1つに整合するかどうかを判断すること
と
を含む方法。
【請求項11】
前記バーコードはデータ行列コードである、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記シリアル番号は
、前記SMC
を含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項13】
前記計算されたTENが前記有効TENのうちの1つに整合すれば取引情報(TI)を受信及び処理する工程をさらに含む
、請求項
10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その開示全体を参照により本明細書に援用する2020年1月17日申請の米国特許仮出願第62/962,704号の便宜を主張する。
【背景技術】
【0002】
ロット又はバッチ番号を共有し得る個々に包装された製品をシリアル化するための一般的必要性が業界全体にわたって存在する。しかし、それぞれが限定数の配偶子を生成することができる非常に高い遺伝子学的メリット値動物間で交配がしばしば行われる畜産のための人工授精(AI:artificial insemination)業界内では、その必要性が特に差し迫っている。エンドユーザ(通常は、交配時に包装済み配偶子を利用する事業者又は個人)にとっては包装済み配偶子の信憑性及びそれらを生成した動物の識別が最も重要である。包装済み配偶子の生産者にとっては包装済み配偶子の使用を追跡する必要性が同等に重要である。これは、そうすることが、数ある中でも特に、製品在庫を管理しそして価値をエンドユーザへ提供する(例えばリベートの使用により)ことを可能にするためである。加えて、畜産におけるAIの費用及び複雑性は一般的に、発情期同期、発情期検出方法、ゲノム解析などの新技術の連続的採用に基づき上昇した。これは、家畜群の所有者にとっていつも明確だとは限らない(実際に測定されない仮定に基づく)やり方で、そして誤って使用されれば限定的又はさらには負の経済的価値を実際に提供し得るやり方で、発生した。したがって、大規模繁殖おいて使用される新しい方法は、利便性又は自動化に基づく特に強調でもって「少ないお金でより多く」を提供しなければならない。したがって、包装済み配偶子の使用だけでなくそれらの最終生産性(例えば達成された実際の成功裏の妊娠)も追跡する必要性がエンドユーザ及び生産者の両方にとって特に重要である。
【0003】
畜産における人工授精での使用のための精細胞を含む低温保存された人工授精(AI)ストローが、冷凍状態で長期間(例えば数年間)保持され得、国境を越えて出荷され得、そして精細胞の源(すなわち生産者)との直接コミュニケーションを取らない人工授精者により使用され得る。エンドユーザへの情報の一次源は今まで通常、AIストロー上に直接印刷された情報(読み易く且つ理解し易くなければならなくそしてストローの使用を追跡する任意のデータベースへ手動で転送されなければならない)に限定されてきた。しかし、印刷されたストローからコンピュータデータベースへの情報転送のこの方法はしばしば、ストローに関するデータの管理における人為的エラー又は無関心に基づく間違った又は不完全な情報を生じる。さらに、生産者は繁殖データセットから情報を取り出すことにより恩恵を受け得るが、一貫し且つ精確な情報を回収するのは困難である。個々の動物の繁殖経過を追跡することの制御の制限は多くのケースでは(データが望まれ且つ必要である場合ですら)データ収集の曖昧且つ信頼できない処理に至ってきた。加えて、様々なやり方で(様々な方法により)行われそして分割試料現地試験(split-sample field trial)において比較される繁殖用ドーズ(breeding dose)は、様々な処理を追跡するための異なるマーケティングコード又はストローカラーなどのドーズに関連付けられた追加属性を必要とし、データを収集することと複数の処理に関与する複雑な比較を使用することとを困難にする。この問題は、繁殖が大きな家畜群における場合(世界的な規範になりつつある)に特に顕著である。勤勉な畜産家は繁殖される雌及び使用されるAIストローをしっかり見張り得るが、実際の繁殖の正確な時間とさらにはマイクロジェオグラフィック(GPS解像度)位置とに関する情報は制限される。繁殖時のAIストローの使用の何か月後に子牛が生まれ、そして子牛が交配のために文書化された雄牛に一致しないということが表現型観察(phenotypic observation)又は遺伝子分析を介し発見されると、繁殖中にストローがどのように実際に取り扱われたかに関する証明の欠如は一当事者又は両当事者の苛立ち又はさらには怒りにすら至り得る。生まれたての子牛の所有者は、誤って識別された精細胞を販売する生産者に対し金銭的請求を行い得る一方で、生産者は、AIストロー自体から実際に生じる誤りの検証可能証拠の欠如に基づき自己弁護し得る(すなわち、誤りはエンドユーザ誤りのために発生したと)。加えて、AIストロー情報の入念な且つ一貫した文書は、手作業における追加時間を必要とし、ユーザに読み書きするための最小スキルを有することを要求し、そしていくつかのケースでは、AIストローは、その母国語が英数字文字を使用しなければそれらを理解しない人工授精者により使用される。これらの文字を知る人ですら、入力中に誤植し得る、又は同様な名前及び同様な番号を混同し得る。人工授精業界内の追加課題は、「雄の動物間の差分的遺伝子学的価値が、高価値雄及び低価値雄からの精液間の単価(ストロー当たり価格)差を生じ、日和見形式の偽造(ストローが低価値雄からの精液を実際に含むのに高価値雄の識別情報により印刷され得る)を助長し得る」ということである。
【0004】
「使用されたAIストロー」により消し込まれた「製造されたAIストロー」の棚卸資産会計は、コンピュータの使用により支援されてきたが、何百もの個々のAIストローを含む凍結コード(すなわちロット又はバッチ)が販売のための流通中に「バラバラにされる」一方で流通チェーンにおいて制約される所望レベルのデータセキュリティ及びプライバシーを許容又は増加するにもかかわらず加工流通過程の管理の追跡を可能にする世界的に調和された方法又はシステムを欠く。今日まで、ストロー印刷機は印刷された各ストロー上にシリアル番号(例えば1~N)を提供することを容易にするが、様々なバッチ(ロット番号又は凍結コード)からのストローは同一シリアル番号を有し得る。業界は、何兆もの異なる個別化されたストローシリアル番号のそれぞれが複製無しに発行されることを可能にする技術を実現していない。ほとんどの場合、シリアル番号は全く使用されない。生産者がリコールしたい低品質バッチを識別する(又は購入クレジット又はリファンドを与える)時折の事象では、既に使用されていたならばそれらのストローがどこにあるかを判断することは困難である。既存技術により、ほとんどの場合、フォント化(英数字及びロゴ)情報だけが低温保存ストロー上に印刷され、そしてシリアル化ストロー番号を有することは稀である。ストローがシリアル化されれば、それらの番号が文書化されることは稀である。いくつかのケースでは、ストローは1次元(1D)線形バーコードでもって印刷されるが、データ内容は、制限され(例えば10~16個の数字)、そして20個の数字で最大化される。したがって、使用される現在の制限されたバーコードはシリアル化方法を提供しない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態は、バーコードを含む人工授精(AI)ストローを含み、バーコードは、標準化マーケッティングコード(SMC:Standardized Marketing Code)を含む第1組の文字;印刷実行番号(PRN:Print Run Number)を含む第2組の文字;無作為タグ(R-TAG)を含む第3組の文字;並びにSMC-PRN組み合わせを構成する第1組の文字及び第2組の文字のコンカテマーを含むシリアル番号を符号化する。別の実施形態では、PRNはSMCへ割り当てられるPRNのリストから無作為に選択される。さらに別の実施形態では、SMCへ割り当てられるPRNのリストは少なくとも999個の異なる番号で構成される。別の実施形態では、R-TAGは、少なくとも1000個の異なる番号を含む有効R-TAGのリストから選択される。さらに別の実施形態では、有効R-TAGのリストは、少なくとも50,000個の異なる番号のリストから無作為に選択される番号で構成される。特定実施形態では、第1組の文字は長さが少なくとも3文字である。別の実施形態では、第2組の文字は長さが少なくとも5文字である。さらに別の実施形態では、第3組の文字は長さが少なくとも5文字である。追加実施形態ではバーコードは2次元バーコードであり、特定実施形態では2次元バーコードはデータ行列コードである。
【0006】
本発明の別の実施形態は、AIストロー上のバーコード内のシリアル番号を認証する方法を含み、本方法は、有効VN又は有効TENのリストを生成すること;シリアル番号からVNを計算する(又はTENを計算する)ためのアルゴリズムを提供すること;計算されたVNと有効VNのリストとを比較すること又は計算されたTENと有効TENSのリストとを比較すること;及び計算されたVNが有効VNのうちの1つに整合するかどうか又は計算されたTENが有効TENのうちの1つに整合するかどうかを判断することを含む。特定実施形態では、バーコードはデータ行列コードである。別の実施形態では、シリアル番号はSMC、PRN及びR-TAGを含む。さらに別の実施形態では、本方法はさらに、計算されたTENが有効TENのうちの1つに整合すれば取引情報(TI:Transactional Information)を受信及び処理する工程を含む。
【0007】
本発明の追加実施形態は、バーコードを含む人工授精(AI)ストローを含み、バーコードは、事業者を表す第1組の文字;AIストローのロット又はバッチを表す第2組の文字;及び第1の番号リストから無作為に選択される番号を含む第3組の文字を含むシリアル番号を符号化し、第1の番号リストは、第1組の文字及び第2組の文字を含むコンカテマーへ割り当てられる。特定実施形態では、第2組の文字は第2の番号リストから無作為に選択される番号を含み、第2の番号リストは第1組の文字へ割り当てられる。別の実施形態では、第2の番号リストは少なくとも999個の異なる番号で構成される。別の実施形態では、第1の番号リストは少なくとも1000個の異なる番号を含む。さらに別の実施形態では、第1の番号リストは第3の番号リストから無作為に選択される番号で構成され、第3の番号リストは、少なくとも第1組の文字及び第2組の文字を含むコンカテマーへ割り当てられる50,000個の異なる番号を含む。別の実施形態では、第1組の文字は長さが少なくとも3文字である;第2組の文字は長さが少なくとも5文字である;又は第3組の文字は長さが少なくとも5文字である。特定実施形態ではバーコードは2次元バーコードであり、さらに特定実施形態では2次元バーコードはデータ行列コードである。いくつかの実施形態では、事業者はAIストローの生産者、販売者又は流通業者である。追加実施形態は、シリアル番号を認証する方法を包含し、本方法は、有効検証番号のリストを生成すること;第3組の文字を使用することにより検証番号を計算するためのアルゴリズムを提供すること;計算された検証番号と有効検証番号のリストとを比較すること;及び計算された検証番号が有効検証番号の1つに整合するかどうかを判断することを含む。追加実施形態では、本方法はさらに、計算された検証番号が有効検証番号のうちの1つに整合すればAIストローのエンドユーザに関する情報を受信及び処理する工程を含む。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
シリアル番号を符号化するバーコードを含む人工授精(AI)ストローであって、前記シリアル番号は
標準化マーケッティングコード(SMC)を含む第1組の文字;
印刷試験番号(PRN)を含む第2組の文字;
無作為タグ(R-TAG)を含む第3組の文字;並びに
SMC-PRN組み合わせを構成する前記第1組の文字及び前記第2組の文字のコンカテマーを含む、人工授精(AI)ストロー。
(項目2)
前記PRNは前記SMCへ割り当てられるPRNのリストから無作為に選択される、項目1に記載のAIストロー。
(項目3)
前記SMCへ割り当てられるPRNの前記リストは少なくとも999個の異なる番号で構成される、項目2に記載のAIストロー。
(項目4)
前記R-TAGは少なくとも1000個の異なる番号を含む有効R-TAGのリストから選択される、項目1に記載のAIストロー。
(項目5)
有効R-TAGの前記リストは、前記SMC-PRN組み合わせへ割り当てられた少なくとも50,000個の異なる番号のリストから無作為に選択される番号で構成される、項目4に記載のAIストロー。
(項目6)
前記第1組の文字は長さが少なくとも3文字である、項目1に記載のAIストロー。
(項目7)
前記第2組の文字は長さが少なくとも5文字である、項目1に記載のAIストロー。
(項目8)
前記第3組の文字は長さが少なくとも5文字である、項目1に記載のAIストロー。
(項目9)
前記バーコードは2次元バーコードである、項目1に記載のAIストロー。
(項目10)
前記2次元バーコードはデータ行列コードである、項目9に記載のAIストロー。
(項目11)
AIストロー上のバーコード内のシリアル番号を認証する方法であって
有効VN又は有効TENのリストを生成すること;
前記シリアル番号からVNを計算する、又はTENを計算するためのアルゴリズムを提供すること;
計算されたVNと有効VNの前記リストと比較すること又は計算されたTENと有効TENSの前記リストとを比較すること;及び
前記計算されたVNが前記有効VNのうちの1つに整合するかどうか又は前記計算されたTENが前記有効TENのうちの1つに整合するかどうかを判断することを含む方法。
(項目12)
前記バーコードはデータ行列コードである、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記シリアル番号はSMC、PRN及びR-TAGを含む、項目11に記載の方法。
(項目14)
前記計算されたTENが前記有効TENのうちの1つに整合すれば取引情報(TI)を受信及び処理する工程をさらに含む項目11に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】SMC(番号1523からなる)、PRN(番号121212からなる)、及びR-TAG(番号939977からなる)で構成された16桁シリアル番号を符号化する8×32データ行列バーコードの画像である。
【
図2】SMC(番号523からなる)、PRN(番号12121からなる)及びR-TAG(番号39977からなる)で構成された13桁シリアル番号を符号化する8×32データ行列バーコードの画像である。
【
図3】本発明のシリアル番号、本発明の製品コード、VN及びTENの部品を描写するダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は以下のものを包含する:人工授精(AI)ストローを含む生物学的製品のシリアル化パッケージ;生物学的製品のパッケージをシリアル化するための方法及びシステム;生物学的製品のシリアル化パッケージを認証する方法;及び生物学的製品のシリアル化パッケージに関連付けられたデータ又は情報を2当事者(製品エンドユーザと製品の製造、販売又は流通に関与する商業的事業者とを含む)間で安全に送受信する方法。本発明の一態様は、AIストローなどの生物学的製品の個別パッケージ上に印刷される10~20個の数字又は20個以上の数字を保持することができるバーコード(例えばデータ行列コードなどの2Dバーコード)の使用及びこのようなバーコードを走査するためのバーコードスキャナ(又は撮像器)の使用を伴う。具体的には、本発明の一態様は、AIストローなどの生物学的製品のパッケージの一意的シリアル番号を、各バーコードで符号化されるデータ列として生成することを包含する。
【0010】
本明細書で使用される用語「生物学的製品」は限定しないが以下のものを含む:1)組織試料(例えば血液、皮膚及び他の細胞試料)などの生体試料(生体及び細胞培養から導出される試料を含む);2)受精卵、胚及び胎児(そのクローンを含む);3)配偶子。具体的には、本明細書で使用される用語「生物学的製品」は限定しないが畜産における人工授精に使用される精液又は精細胞を含む。本発明おいて使用される個々の生物学的製品は当該技術領域において知られた任意の好適なパッケージ(限定しないがガラス瓶、フラスコ、皿、管及びストローを含む)内に包装されるということが考えられる。本発明おいて使用される個々の生物学的製品は当該技術領域において知られた任意の好適なデバイス(限定しないがAIストロー充填及び密閉機(例えばMinitube SFS machine)を含む)又は方法を使用することにより包装されるということがさらに考えられる。本発明おいて使用される生物学的製品は出来立てであっても、低温保存されていても、ガラス状に又は溶融されていていても、処理済み(例えば性仕分けされた精細胞)又は未処理であっても、生きていても死んでいてもよいということも考えられる。
【0011】
畜産においてAIに使用される精細胞に関して、上に指摘したように、このような精細胞は通常、AIストロー内に包装される。AIストローは出来立て又は代替的に低温保存された(「すなわち凍結された」)精細胞を含み得る。AIストローはまた、性仕分けされた精細胞、「従来の」精細胞(すなわち支持媒体中で通常は懸濁された未仕分け精細胞)、又は未処理精液(すなわち、「生の射出精液」又は「牛精液」)を含み得る。畜産のためのAI業界では、AIストロー内に包装された低温保存精細胞は歴史的に、「凍結コード」を使用することにより追跡されてきた(各凍結コードは多数の定性的に同一なAIストローに対応する)。特定凍結コードはしばしば特定雄牛及び特定カレンダ日付けに関連付けられたので、同じ凍結コードを有する複数のAIストローがしばしば同一ラベル付けされることになる可能性があり、それらを区別することを不可能にする。対照的に、本発明は、以下に説明されるように、個々のAIストロー(又は生物学的製品の任意の他のタイプのパッケージ)の信頼可能なシリアル化を提供し、これは延いては各ストローの使用及びそれらの使用の文書に関する新規且つ貴重な実施を可能にする。
【0012】
本発明のシリアル番号
本発明の一実施形態は、個々に包装された生物学的製品へ割り当てられそしてバーコードを介しその上に符号化された「無作為TAG」(又は「R-TAG:Random TAG」)を含む無作為化されたシリアルコード(又はシリアル番号)を含む。「番号」又は「シリアル番号」は本発明の文脈では1つ又は複数の文字で構成され得る。本明細書で使用される用語「符号」は数字、文字又はシンボルを意味する。
【0013】
特定実施形態では、本発明のシリアル番号は3つの連結された組の文字を含む。第1組の文字は、本発明のいくつかの実施形態では長さが少なくとも3文字であり得る「標準化マーケッティングコード」(又は「SMC」)を含む。本明細書で使用されるように、「標準化マーケッティングコード」は、生物学的製品のサプライチェーンにおける事業者などの特定事業者(限定しないが生産者、販売者又は流通業者を含む)へ割り当てられる番号である。第2組の文字は、本発明のいくつかの実施形態では長さが少なくとも5文字であり得る「印刷実行番号」(又は「PRN」)を含む。本明細書で使用されるように、「印刷実行番号」は、処理及び/又は包装された生物学的製品(AIストロー内に包装された低温保存精細胞など)の特定バッチ又はロットへ割り当てられる番号である。第3組の文字は、本発明のいくつかの実施形態では長さが少なくとも5文字であり得るR-TAGを含む。本明細書で使用されるように、「R-TAG」は、特定SMC-PRN組み合わせ(すなわち、特定SMC及び特定PRNで構成されたコンカテマー)へ割り当てられる番号のリストから無作為に選択される番号である。上述の3組のデータは互いに対し任意の順番でコンカテマー内に配置され得る。例えば、一実施形態では、本発明のシリアル番号は、読み取ると又は左から右への順番で、SMC、PRN及びR-TAGを含むコンカテマーを含み得る。代替実施形態では、本発明のシリアル番号は、読み取ると又は左から右への順番で、例えば以下のものを含むコンカテマーを含む:PRN、R-TAG及びSMC;PRN、SMC及びR-TAG;SMC、R-TAG及びPRN;R-TAG、SMC及びPRN;又はR-TAG、PRN及びSMC。
【0014】
本発明の一実施形態では、特定事業者は1つ又は複数のSMCを割り当てられ得、そして異なる事業者は同じSMCを割り当てられ得ない。本発明の別の実施形態では、SMC及びそれらの対応する割り当てられた事業者のリストが公開されてもよいしそうでなければ公的に入手可能にされてもよい。さらに別の実施形態では、生産国から製品のエンドユーザが位置する国へのシリアル化生物学的製品のより迅速な且つ合理化された移動を容易にし得る一組又は一群のSMCが、特定国内又は地理的領域内に位置する事業者へ割り当てられ得る又はそれらのために予約され得る。
【0015】
包装済み生物学的製品(例えば精細胞を含むAIストロー)毎の本発明の個別シリアル番号は、PRN及び一意的R-TAGの無作為化の構造化システムを使用することにより生成される。以下にさらに詳細に説明されるように、第1の無作為化は、新しいPRN(特定バッチ、ロット又は凍結コードにおけるすべての包装済み生物学的製品により共有される単一数値)を生成するが、1つのSMC-PRNの組み合わせの知識を有する当事者は、同じSMCの他のPRNを容易に推測し得ないように、SMCへ割り当てられる様々な番号の大きなプール(999,999個の異なる番号など)から無作為にPRNを導出する。これは、割り当て済みであるが未選択のPRNの大きな集合が残されたままであるためである。例えば、本発明の一実施形態では、PRNはSMCへ割り当てられるPRNのリストから無作為に選択され、SMCへ割り当てられるPRNのリストは少なくとも999個の異なる番号で構成される。本発明の別の実施形態では、追加SMCを正しく推測するための当事者の能力はさらに、割り当てられたPRNのリスト内のPRNの非作為グループを確立することにより低減され得る。例えば、我々は、シリアル化製品が出荷される管轄区又は領域に基づきPRNをグループ分けすることによりPRNの非無作為グループを確立する可能性がある。SMC割り当ての公開リストが、世界的に認められた組織により管理され得る。牛(牛類)繁殖の場合の例はVia Savoia 78,sc.A int.3,00198 Roma(Italy)に位置する動物記録国際委員会(International Committee for Animal Recording :ICAR)である。国際的に販売される雄の牛(雄牛)の所有者は通常、精液収集センター(Semen Collection Center:SCC)又はAI Marketing Organizationへ割り当てられ得る種馬コード(マーケッティングコード)をICARから確保し得る。このような種馬コードは本発明において説明されるようなSMCの一実施形態を表す。
【0016】
同様な無作為化過程は、本発明のシリアル番号が生成され得る「有効」R-TAGのリストを生成するために使用され得る。例えば、特定SMC-PRN組み合わせへ割り当てられる一連の100万の異なる番号から「有効」R-TAGの限定番号(5000など)が無作為に選択される。バーコード印刷処理中、バーコードが印刷される各包装済み生物学的製品は有効R-TAGを割り当てられる。有効R-TAGがバーコードへ符号化されてそして包装済み生物学的製品上へ印刷されると、当該R-TAG(又はR-TAGを含むシリアル番号)は「割り振り済み」R-TAGのリスト(又は割り振り済みシリアル番号のリスト)上に置かれる、又は有効R-TAGのリスト内の「割り振り済み」R-TAGとして指定される(又は有効シリアル番号のリスト内の割り振り済みシリアル番号として指定される)。一旦割り振られると、特定SMC-PRN組み合わせのR-TAG(又はR-TAGを含むシリアル番号)は再び割り当て又は印刷されなくてもよい。これは、2つの同一バーコードが本発明により決して印刷されないということを保証する、又はより具体的には、個々に包装された生物学的製品はそれぞれ、決して複製されない一意的シリアル番号を有するということを保証する。したがって、割り振り済みR-TAGを含む本発明のシリアル番号自体はまた、「有効」又は「割り振り済み」として指定される。1ロット又はバッチ(又は1凍結コード)の製品の印刷が完了した後、割り当て済み又は未割り当てR-TAGSの両方を含む当該SMC-PRN組み合わせの有効R-TAGのリストは固定される(すなわち、変化しない)。
【0017】
本発明の特定実施形態では、特定SMCが割り当てられた事業者だけが、SMCを含むすべてのシリアル番号(すべての有効且つ割り振り済みシリアル番号を含む)を含むリストを保有し得る。本質的に、事業者は、本発明のシリアル番号が有効であるかそして割り振られているか又は割り振られていないかを判断するために使用され得る秘密且つ安全なリストを有する。したがって、リストがいかなる第三者とも共有されない限り、SMCが割り当てられた事業者へ要求を提出するいかなる第三者も、信憑性のある要求と考えられる有効且つ割り振り済みシリアル番号を提示しなければならない。本発明の特定実施形態では、特定SMCが割り当てられた事業者は、提出されたシリアル番号を、提出されたシリアル番号と本発明の有効且つ割り振り済みシリアル番号を含むリストとを比較することにより第三者により検証又は認証し得る。別の実施形態では、提出されたシリアル番号がリスト上のシリアル番号に整合すれば、提出されたシリアル番号は信憑性がある。さらに別の実施形態では、提出されたシリアル番号は、信憑性があると考えられる本発明の割り振り済みシリアル番号と整合しなければならない。
【0018】
本発明のバーコード
本発明のシリアル番号が生成されると、本発明の別の実施形態は、シリアル番号を符号化するバーコードを含む。1D及び2Dのバーコードを含む当該技術領域において知られた任意の好適なバーコード記号論が本発明のシリアル番号を符号化するために使用され得るということが考えられる。
【0019】
本発明の一実施形態は本発明のシリアル番号を2Dバーコードにより符号化することを含む。2Dバーコードのグラフィック外観は点、正方形、円、六角形、又は他の幾何学的形状の様々なパターンを使用することにより生成される。
【0020】
特定実施形態では、本発明のシリアル番号はデータ行列コードにより符号化される。データ行列は、点又は「セル」、場所を判断しそしてシンボルを復号する際にバーコードスキャナを支援する一意的周縁パターンを有する正方形モジュールのエリアを使用するよく知られている2Dバーコード記号論である。データの文字、番号、テキスト及び実際のバイトはユニコード文字及び写真を含むデータ行列コードにより符号化され得る。
【0021】
次の表は、様々なデータ行列フォーマットのサイズ及び容量を列挙する。
【0022】
【0023】
データ行列バーコードを生成するための当該技術領域において知られた任意の好適なソフトウェアが本発明のシリアル番号を符号化するために使用され得るということが考えられる。
【0024】
別の実施形態では、本発明のシリアル番号は別のタイプの2Dバーコードである迅速応答(QR:Quick Response)コードにより符号化される。
【0025】
次の表はQRコード(登録商標)の最大容量を列挙する。
【0026】
【0027】
QRバーコードを生成するための当該技術領域において知られた任意の好適なソフトウェアが本発明のシリアル番号を符号化するために使用され得るということが考えられる。
【0028】
本発明のバーコードの印刷
本発明の別の態様は、本発明のシリアル番号を符号化するバーコードをAIストローなどの個々に包装された生物学的製品上に印刷することを包含する。本明細書で使用されるように、用語「印刷」は、限定しないが、エッチングすること、マーキングすること、溶融すること、色付けすること、噴霧すること、彫刻すること、転写すること、へこませること、彫ること、加圧成形すること、塗装すること、成形すること、及び鋳造することを含む。当該技術領域において知られた任意の好適な方法又はデバイスが本発明のシリアル番号を個々に包装された生物学的製品上に符号化するバーコードを印刷するために使用され得るということが考えられる。
【0029】
例えば、レーザを使用することによりAIストロー上にバーコードを印刷する方法は、米国特許第9,358,092号明細書に開示されており、その全体を参照により本明細書に援用する。インクジェットプリンタ(例えばMinitube MiniJetプリンタ)又は熱転写プリンタ(例えばMinitube EasyCoder)が本発明のシリアル番号を符号化するバーコードを印刷するために使用され得るということもAIストローに関して考えられる。
【0030】
本発明のバーコードの走査又は撮像
本発明の別の態様は、本発明のシリアル番号を符号化するバーコードを走査又は撮像デバイスにより走査又は撮像することを包含する。当該技術領域において知られた任意の好適な走査又は撮像デバイスが本発明のシリアル番号を符号化するバーコードを走査又は撮像するために使用され得るということが考えられる。例えば、Zebra MT2070スキャナ(Zebra Technologies Corp.,Lincolnshire,Illinois)が本発明の1D又は2Dのバーコードを走査又は撮像するために使用され得る。一般的に、2Dバーコードは読み取られそして復号されるために撮像デバイスを必要とすることになる。
【0031】
本発明のシリアル化及び包装済み生物学的製品の認証
本発明の個別シリアル番号は、PRN及び一意的R-TAGの構造化無作為化システムを使用することにより生成され、特定SMCが割り当てられた事業者は、提出されたシリアル番号を、提出されたシリアル番号と本発明の有効且つ割り振り済みシリアル番号を含むリストとを比較することにより第三者により検証又は認証し得る。本発明の別の実施形態は、特定SMCが割り振られた事業者が、一意的「取引及び交換番号」(TEN:Transaction and Exchange Number)を生成するためにエンドユーザへ提供されるコンピュータプログラム又はアプリケーションを介し、提出されたシリアル番号をエンドユーザにより安全に認証することとTENに関連付けられた一意的情報(例えば生物学的製品が使用されたやり方に関する情報(例えば時間及び場所))及びエンドユーザに関する情報を安全に送受信することとを可能にする。本明細書で使用される用語「アプリケーション」はアプリケーションソフトウェア(限定しないがモバイルアプリケーション及びウェブアプリケーションを含む)を意味する。
【0032】
本発明の別の実施形態は、検証番号(VN:Verification Number)を生成するエンドユーザへ提供されるアプリケーション又はソフトウェアプログラムを使用することにより製品上のバーコードを走査又は撮像することによりエンドユーザが包装済み生物学的製品を安全に認証することとVNに関連付けられた又はそれへリンクされた公的に入手可能な情報を検索することとを可能にする。
【0033】
VNを使用する認証方法
本明細書で使用される「検証番号」(すなわち「VN」)は、SMCを含む第1組の文字と、PRNを含む第2組の文字と、R-TAGの派生物又はR-TAGの一部の派生物を含む第3組の文字とを含むコンカテマーである。本発明の一実施形態では、VN内のR-TAGの派生物又はR-TAGの一部の派生物はVNを生成するためのアルゴリズムにより生成される。本発明の別の実施形態では、VNを生成するためのアルゴリズムはハッシュ関数で構成される。本発明の特定実施形態では、VNは、R-TAGを符号化するバーコードが走査又は撮像されるたびに本発明のシリアル化及び包装済み生物学的製品の安全な認証をエンドユーザへ提供する(すなわち、バーコード付き製品が本物であって偽物でなないということを証明する)ためにR-TAG又はR-TAGの一部から導出される「ハッシュキー」で構成され、そして走査又は撮像デバイスにより使用される。したがって、例え第三者がVNを知っていても、第三者は、本発明のシリアル番号を推測、計算、そうでなければリバースエンジニアリングするためにVNを使用することができない。
【0034】
本発明の特定実施形態では、所与のSMC-PRN組み合わせへ割り当てられる各有効R-TAGから生成されるVNのリストは、所与のSMC-PRN組み合わせを含む割り振り済みシリアル番号を又は所与のSMC-PRN組み合わせのための割り振り済みR-TAGを提示する人なら誰へでも安全に提供される。したがって、この実施形態におけるVNは「公開キー」と考えられ得る。
【0035】
本発明の一実施形態は、受信されたVNと受信されたVNと同じSMC-PRN組み合わせを含むVNのリスト上のVNとを比較することを含み、ここで、「受信されたVN」は走査又は撮像されたバーコードから生成されるVNである。別の実施形態は、受信されたVNがリスト上のVNの1つと整合するということを判断すること、そして次に、SMC-PRN組み合わせに関連付けられた又はそれへリンクされたデータ又は情報を送信すること、リリースすること、又はそれへのアクセスを許容することを含む。精細胞を含むAIストローの文脈では、特定SMC-PRN組み合わせに関連付けられた又はそれへリンクされた情報は、限定しないが精細胞が取得された動物に関する情報(その名称、出生日、品種、育種価及び業界登録番号、凍結日、及び凍結場所を含む)を含み得る。
【0036】
VNは当該技術領域において知られた任意の好適なアルゴリズム又はハッシュ関数により生成され得るということが考えられる。VNに関して、16桁シリアル番号のVNを生成するための特定公開アルゴリズムは次のように説明される。
1.それぞれが100超且つ1000未満である3つの素数を選択し、それらを乗算し、結果の最後の3桁を採用し、そしてそれを維持し、これへ1を加算して偶数にする。これは「素数派生値」である。公開キー(VN)に関して、このアルゴリズムは同じ3つの素数を常に使用する。
2.シリアル番号の最後の8桁を識別し、個々の桁を合算して2桁番号(常に72未満)にする。
3.ストローシリアル番号の最後の8桁により表される数と工程2において生成された2桁番号とを加算して新しい8桁番号を生成する。
4.工程3からの新しい8桁番号と「素数派生値」とを乗算して10又は11桁番号を生成する。
5.工程4からの10又は11桁番号の最後の5桁を識別する。
6.工程5からの識別された桁とシリアル番号のSMC及びPRNとを含むコンカテマーを生成する。このコンカテマーはVNを構成する。任意選択的に、コンカテマーはさらに、シリアル番号のようなVNが16桁(15以下の桁の代わりに)で構成されるように「0」などの1つ又は複数の文字を含み得る。
【0037】
TENを使用する認証方法
本発明の追加実施形態は取引情報の安全な送受信を容易にする。本明細書で使用される「取引情報」(又は「TI」)は、物品の購入者又はエンドユーザが事業者(物品の生産者、販売者又は流通業者を含む)へ提供する情報又はデータであり、そして限定しないが物品の使用に関する情報(例えば使用の時間及び使用の場所)及び購入者又はエンドユーザに関する情報(例えば購入者又はエンドユーザの名前及びアドレス)を含む。一般的に、本発明の文脈では、TIは物品のエンドユーザにより価値と交換に受信事業者へ提供される。例えば、物品の生産者はリベートを物品の購入者へ提供することを望むかもしれない。この例では、TIは、購入者に関する情報(その名前及びアドレス及び物品の場所及び使用方法など)を含み得る。
【0038】
エンドユーザにより送信されるTIのために適切な値が交換されるということを生産者などの事業者が保証するために(例えば、複数のリベートが同じ物品のために発行されないということを保証するために、又は特定物品に関連する生産者により追跡される情報が二重カウントされないということを保証するために)、本発明は、エンドユーザによる「取引及び交換番号」(「秘密」キー)の生成を可能にする。本明細書で使用される「取引及び交換番号」(すなわち「TEN」)は、SMCを含む第1組の文字と、PRNを含む第2組の文字と、取引情報へリンクされた又はそれに関連付けられたR-TAGの派生物又はR-TAGの一部の派生物を含む第3組の文字とを含むコンカテマーである。本発明の一実施形態では、TEN内のR-TAGの派生物又はR-TAGの一部の派生物は、TENを生成するためのアルゴリズムにより生成される。本発明の別の実施形態では、TENを生成するためのアルゴリズムはハッシュ関数で構成される。本発明の特定実施形態では、TENはR-TAG又はR-TAGの一部から導出される「ハッシュキー」で構成される。
【0039】
上に指摘したように、所与のSMC-PRN組み合わせへ割り当てられる各有効R-TAGから生成されるVNは、所与のSMC-PRN組み合わせを含む割り振り済みシリアル番号を又は所与のSMC-PRN組み合わせのための割り振られたR-TAGを提示する人なら誰へでも安全に提供され、そしてこのようにしてVNは「公開キー」と考えられ得る。さらに、単一VNは複数回使用(すなわち、提出/送信)され得る。VNとは対照的に、TENは一意的番号であり、単一回だけ使用され得る。したがってTENは「秘密」キーと考えられ得る。この特徴は、生産者などの事業者がエンドユーザにより送信されるTIのために適切な値が交換されるということを保証すること(例えば、複数のリベートは同じ物品のために発行されないということを保証すること)を可能にする。
【0040】
したがって、本発明の一実施形態は以下のことを含む:1)価値の取引又は交換に関連付けられたシリアル番号のリストを確立すること;2)受信されたVNと同じSMC-PRN組み合わせを含むVNのリスト上のVNと受信されたVNとを比較することにより、価値の取引又は交換に関連付けられたシリアル番号の1つを含む包装済み生物学的製品を認証すること、3)受信されたVNがリスト上のVNの1つと整合するということを判断すること;4)TEN及びTIを受信すること、及び4)価値の取引又は交換に関連付けられたシリアル番号のリストから価値の取引又は交換に関連付けられたシリアル番号の1つを除去すること又は代替的にTIが、価値の取引又は交換に関連付けられたシリアル番号の1つのために提出されたということを特記又は指定することのいずれか。当該の価値の取引又は交換に関連付けられたシリアル番号のリストから特定価値の取引又は交換に関連付けられたシリアル番号を除去することにより、又は代替的に、TIがシリアル番号のために提出されたということを特記又は指示することにより、事業者は、特定シリアル番号に関連付けられたTIが2回以上提出される又は二重カウントされるのを防止し得る。
【0041】
TENは当該技術領域において知られた任意の好適なアルゴリズム又はハッシュ関数により生成され得るということが考えられる。TENに関して、16桁シリアル番号のTENを生成するための特定秘密アルゴリズムは以下のように説明される。
1.それぞれが100超且つ1000未満である3つの素数を選択し、それらを乗算し、結果の最後の3桁を取り、そしてそれを維持し、これへ1を加算して偶数にする。これは「素数派生値」である。秘密キー(TEN)に関して、3つの一意的素数の組み合わせがインスタンス毎に使用される。
2.シリアル番号の最後の8桁を識別し、個々の桁を合算して2桁番号(常に72未満)にする。
3.ストローシリアル番号の最後の8桁により表される番号と工程2において生成された2桁番号とを加算して新しい8桁番号を生成する。
4.10又は11桁番号を生成するために工程3からの新しい8桁番号と「素数派生値」とを乗算する。
5.工程4からの10又は11桁番号の最後の5桁を識別する。
6.工程5からの識別された桁とシリアル番号のSMC及びPRNとを含むコンカテマーを生成する。このコンカテマーがTENを構成する。任意選択的に、コンカテマーはさらに、シリアル番号のようなTENが16桁(15桁以下の代わりに)で構成されるように「0」などの1つ又は複数の文字を含み得る。
【0042】
上記秘密アルゴリズムでは、価値の特定取引又は交換に関連付けられたシリアル番号毎に3つの素数が受信事業者(例えばSMCを割り当てられた生産者又は事業者)により選択される。3つの素数を選択すると、事業者はこれらをエンドユーザへ送信する。次に、上記アルゴリズムを含むコンピュータプログラム又はアプリケーションを備えたエンドユーザは、受信事業者により送信された3つの素数を使用することにより「素数派生値」を計算することにより工程1だけでなく工程2~6も完了する。
【0043】
シリアル化AIストローに関する情報の安全な認証及び転送のためのシステム
一態様では、本発明は、精細胞を含むAIストローなどのシリアル化及び包装済み生物学的製品の安全な認証のためのシステムを包含する。本発明の特定システムは以下のものを含み得る:シリアル化AIストロー;シリアル番号をAIストロー上に印刷するための印刷デバイス;シリアル番号、R-TAG、VN、TEN又はTIだけでなくそのリスト、VN又はTENを生成するためのアルゴリズム、及び/又は特定SMC-PRN組み合わせに関連付けられた又はそれへリンクされた情報(その精細胞が取得された動物に関する情報(その名前、出生日、品種、育種価及び業界登録番号、凍結日及び凍結場所を含む)を含む)を含むコンピュータ可読媒体;シリアル番号を符号化するバーコードを走査又は撮像するための走査又は撮像デバイス;VN又はTENを生成し、TI又はシリアル化AIストローに関連付けられた他のデータを受信又は送信するコンピュータプログラム又はアプリケーションを含むスマートフォンなどの携帯デバイス;シリアル番号、SMC、PRN、R-TAGS、SMCが割り当てられた事業者、事業者関連情報、及び動物関連情報を含む情報又はデータを入力するためのプリンタへ接続される入力デバイス(コンピュータ又はキーボードを含む)。
【0044】
本発明は、ストロープリンタがAIストロー上の規定場所においてバーコード(例えば1D又は2Dバーコード)を印刷するAIストロー印刷システムを包含する。バーコードはAIストローの使用(すなわち授精)の時点で走査され得る。本システムは、すべてのストローが一意的シリアル番号を有するということを保証する。一実施形態では、生産者により生成される凍結コードは、ストロープリンタにより、1つの無作為に選択されたPRNへ割り当てられる。SMCと組み合わされると、SMC-PRN組み合わせは、バーコードの走査を支援するコンピュータデータベース、ネットワーク及びハードウェアが適切な生産者又はマーケティング組織と通信することを可能にする固有ロット又はバッチ番号であってストロー容積及びカラー、雄牛登録番号、動物の品種、生産の日時、精液のタイプ(性仕分けされた又は従来の)、又は他の重要情報などの適切なロット固有情報を備える固有ロット又はバッチ番号を生成する。次に、この情報は支援農場経営システム(アプリケーション及び動物管理コンピュータネットワークツール)へ提供され得る。このシステムでは、特定ストローにより繁殖された特定雌の識別は、交配が計画されそしてその後交配シーケンス中に確認され得るように正確になされる。
【0045】
各シリアル番号は、VNを生成するために指定アルゴリズム(例えば、生産者データセット内及び/又はスキャナ又はスマートフォンソフトウェア内に規定される)により使用され得る。VNは、走査されるストローのシリアル番号がVNと特定SMC-PRN組み合わせの有効VNのリストとを比較することにより信憑性があるということを検証するために授精の時点にエンドユーザ制御型デバイスにより使用され得る。一実施形態では、VNのリストは生産者からエンドユーザのシステム(例えばコンピュータ、デバイスアプリケーションなど)へのコンピュータファイル転送を介しエンドユーザへ生産者により提供される。VNはまた、VN内のそれぞれ識別されたSMC-PRNの有効VNのリストを要求するために、又はVNに関連付けられたロットに関するより多くの情報の要求を生産者へ提供するためにエンドユーザから生産者へ提供される情報として使用され得る。一実施形態では、生産者は、要求は信憑性があるという合理的な証明を提供することとして通信において使用されるVNは割り振られたVNである(ストロー上に実際に印刷されたシリアル番号に対応することを意味する)ということに依存し得る。
【0046】
一実施形態では、生産者は、有効VNを受信すると、VNに整合するTENを戻す通信を要求するVNの送信側へ秘密アルゴリズムを送信し得る。VN及びTENの使用は、安全且つ信憑性がある(両当事者が正真正銘なものである)関係を有するという保証を通信の両側(人工授精ストローのエンドユーザ及び人工授精ストローの生産者)で増加する。このような場合、互いに保証された正真正銘な状態が生成されると、貴重且つ秘密な取引情報(TI)が安全に伝達され得る。
【0047】
本発明の1つの特徴は、SMCが割り当てられた事業者(AIストローの文脈では、ストロー内の精細胞の識別と製品の品質とに概して責任がある当事者)と、人工授精においてストローを使用しそして一意的な個々のストローシリアル番号を保有するエンドユーザ個人との間で直接コミュニケーションが確立されることを可能にするということである。バーコード無しでは、AIストロー上に印刷される情報は、エンドユーザが雄牛の所有者又はマーケッティングコードと接触することを可能にするには不十分かもしれない。対照的に、本発明により、各ストロー上のバーコードを走査することはコンピュータプロセッサを有するデバイス(例えばスマートフォン又はタブレット又は専用携帯型走査又は撮像デバイス)及びインターネット接続により行われるので、スキャナを実行するアプリケーションは、SMCが割り当てられた事業者との直接コミュニケーションをエンドユーザが行うことを選択すればアプリケーションが何を行うべきかを判断する命令セットによりロードされ得る。最も単純な場合、本アプリケーションは、走査済みAIストローに関連付けられた特定SMC-PRN組み合せのVNリストを要求するためにSMCが割り当てられた事業者と接触し得、これによりエンドユーザがストローの信憑性をリアルタイムで検証することを可能にする。加えて、SMC-PRN情報はロット番号として直接識別されるので、エンドユーザが関連雄牛に関する情報を取得したければ、本アプリケーションは、SMCが割り当てられた事業者に直接接触することを可能にしなければならない。より高度な場合、エンドユーザにより所有されるアプリケーションにより生成されるTENの使用により、エンドユーザは、SMCが割り当てられた事業者へ、各ストローに関するデータ((通常は、授精事象に対応する)雌の識別子、走査の正確な日、時間及び場所を含む)と、他の情報システムを介し繁殖結果(例えば無返答情報、確認された妊娠情報、分娩情報など)とを提供する。本発明はまた、TENSの使用により、走査されたストローから入る情報が各雄牛に関する残り在庫のリアルタイム解析とさらにはより多くの精液の再発注とを生成するために使用される在庫補充配置を可能にする。
【0048】
本発明の一実施形態では、SMCが割り当てられた事業者は、有効シリアル番号及び割り振り済みシリアル番号(すなわちAIストロー上に実際に印刷されたシリアル番号)のリストを保有し得る及び/又はその流布を制御し得る。これは、これらの番号の各番号の知識が重要な価値を有し得、そしてリストが第三者へ広範に広められれば本発明の偽造防止利点が損なわれ得るためである。有効シリアル番号のリストは、流通業者又はエンドユーザなどのSMC-PRN組み合わせへアクセスする任意の当事者へ又は政府規制当局へ供給され得る公開VNリストを生成するために使用され得る。
【0049】
概して、本発明の前は、AIストローの各ロット及び使用される各ストローに関する情報は一方向(すなわち生産者からエンドユーザ)だけへ流れていた。対照的に、本発明は、エンドユーザから生産者(及び、例えばそれらの流通チェーン)へ戻る情報の信頼可能且つ安全且つリアルタイムな流れを容易にする。加えて、本発明は、単一エンドユーザに供給し得る多数のSMCを追跡する安全な方法を提供するので、エンドユーザの繁殖事業における各個々のストローの使用のデータ分析はエンドユーザが所定時刻におけるそのAIストロー供給者が誰かを迅速に判断すること、具体的にはストローが購入された時だけでなく各ストローの使用時の情報も取得することを可能にする。本発明はまた、人工授精ストローの大きな世界的供給者などの単一企業体が複数のSMCコードを使用することによりそれらの全生産量を様々な方法又は規制ガイドラインに従って生成される製品ロットのグループへ分割することを可能にする。例えば、同じ生産者から、1つ又は複数のSMCは製品が性仕分け方法により生成されたということを指定する可能性がある一方で、異なるSMCは製品が性仕分けされていないということを指示する可能性がある。関連して、CSS証明書(米国内)又はEU証明書(ヨーロッパ内生産又はヨーロッパへの輸出のための)などの重要な世界的に認識された輸出ガイドラインは個々のSMCへ一意的に割り当てられ得るプロトコル(方法)を表し得る。
【0050】
本発明の安全な且つシリアル化されたAIストローにより提供される独自特徴は、SMCが割り当てられる事業者がリベート、購入ポイント、宝くじ型オプションなどの直接購入インセンティブをエンドユーザへ提供し得るということである。この場合、関連SMC-PRN組み合わせの有効TENを提供する第1の当事者は、有効購入権を保証される一方で、任意のその後の(例えば、第2又は第3の)提出は、使用され廃棄されたストローの走査により生成される可能性があるので無効である。この場合、使用中にストローを走査しないエンドユーザですら、異なる方法によりストローを走査するまでストローを保持することを選択し得る。しかし、各ストローへ或るタイプの非現金経済的価値を割り当てる能力は当然、バーコードを付けられたAIストローを走査することをエンドユーザに奨励することになる。この特徴は、AIストロー上の微小バーコードのための現在の走査技術が凍結ストロー(液体窒素又は冷窒素蒸気内のストロー)を走査する能力を含まないので、高価値を有する。ほとんどの場合、符号化された固有シリアル番号を識別する固有ストローの走査はストローが解凍された(適切な手段により周囲温度へ持って来られるということを意味する)場合にだけ可能である。ほとんどの場合、ストローはAIにおける使用に先立って瞬間的に解凍されるので、少なくともシリアル番号を文書化することができるデバイスによる使用時における適切な走査が考えられる。いくつかのケースでは、AIストローの品質が意図せぬ解凍事象により損なわた又は台無しにされたかもしれない場合、本発明及び関連VN、TEN及びTI部品は、生産者(又はロジスティックスチェーン内の関連流通業者)がエンドユーザにすべての個別ストロー(エンドユーザがストローの価値のクレジットを求め得る又は交換を申請し得る)を走査することを要求することを可能にし得る。
【0051】
生産者が、特定凍結コードを有するAIストローに関する情報を個々の当事者と交換したい限り、生産者は、TENを生成するためのアルゴリズムを特定凍結コードを有するシリアル番号へ適用することによりTENの秘密リストを生成し得る。具体的には、エンドユーザがAIストローを走査することにより生産者へ有効且つ割り振り済みVNを送信すると仮定すると、生産者は、TENを生成するためにアルゴリズムおいて使用される3つの一意的素数をエンドユーザへ提供する。エンドユーザは、TENを生成するためのアルゴリズムを含むアプリケーションを使用することにより、走査されたAIストローのシリアル番号のTENを生成するための3つの素数を使用し、TENは次に生産者へ返信される。いくつかのケースでは、一意的アルゴリズムはシリアル化ストロー毎に使用され得る。他のケースでは、同時に提供される一群のVNが、TENを生成するために同じアルゴリズムへ提出され得る。最後に、生産者は、受信されたTENと、特定凍結コード(すなわちSMC-PRN組み合わせ)を含むシリアル番号のTENの既に生成されたリストとを照査し得る。このようにして、生産者は、任意の個々のAIストローの公開キー及び秘密キーの両方をエンドユーザに提供させることにより真のエンドユーザを認証し得、そしてエンドユーザは当該の実際のシリアル番号のうちの任意のもの(又はすべて)を提供する必要無しに安全なやり方で生産者と通信し得る。
【0052】
本発明の一実施形態では、一群のAIストローが走査されると、走査又は撮像デバイスへリンクされたアプリケーションが、走査されたシリアル番号のログを生成することになる。秘密キー(すなわちTEN)の使用は、エンドユーザから生産者への直接コミュニケーションが必要である場合(特に、安全な方法が、生産者が信用するための正しいエンドユーザを識別するために必要であれば)重要である可能性がより高い。具体的には、走査されたシリアル番号が例えば購入証明、現金又はリベートポイント、クーポンなどの価値を有すれば、本アプリケーションは、ストローに関し生産者と安全に通信するために上述のようなTENを生成し得る。加えて、エンドユーザは、精液の在庫及び在庫補充を制御するために、繁殖からのいくつかの詳細(例えば授精の日時、GPS場所、人工授精者名など)をAIストローの供給者、流通業者又は生産者へ安全に送信する際に利点を見出す。生産者(又は供給者又は流通業者)は、雄牛を識別するために公開又は秘密キーからのSMC-PRN組み合わせを使用し得る。加えて、エンドユーザにより提出される秘密キーの場合、生産者は、AIストローのその在庫を追跡するためにこのような秘密キーを使用し得る。エンドユーザが第三者人工授精者であれば、秘密キーはまた、各雄牛から使用されるAIストローの数を受精される雌の所有者へそして第三者人工授精者により制御されるAIストローの在庫を追跡するデータベースへ送信するために授精サービスを管理するコンピュータプログラムにより使用され得る。
【0053】
例えば、酪農グループ内の1つ又は複数の場所にわたり多くの雄牛のAIストローを使用する繁殖の週の終わりに、AIストローのエンドユーザは、リベートを取得するためにバッチ要求を生産者へ提示し得る。リベートの量及びタイプは雄牛に又は精液のタイプに依存して異なり得る(例えば、従来型対性仕分け型、又は90%性仕分け対65%性仕分け)ので、エンドユーザの管理コンピュータは一群の個々の公開キー(すなわちVN)を生産者へ提示し得る。次に、生産者はそれらのキーをログ記録し、そして(一意的秘密キーの生成毎に又はTENの生成毎に)3つの素数の1つ又は複数の一意的集合をエンドユーザへ送信し得る。次に、エンドユーザは、それぞれが次に元の公開キーに関連付けられる対応TENキーを導出するために秘密キーを使用する。生産者は、どのシリアル番号が各SMC-PRN組み合わせの割り振り済みシリアル番号(すなわちロット番号)であるかを知る唯一の当事者であるので、生産者は、秘密キーを導出するためのアルゴリズムにおいて使用されると素数グループのグループ毎に生成されるすべての秘密TENの秘密試験リストを導出し得る。この場合、生産者はストロー毎にVN及び1つ又は複数の秘密キーを受信することになり、そしてこれらのキーのすべては試験リスト内で一致することになる。したがって、いかなる単一キーもシリアル番号を一意的に判断し得ないとしても、完全な一連の整合は1つのシリアル番号だけを伴う。この時、生産者は「償還」されたシリアル番号を指示又は指定することにより有効ストローシリアル番号リストを修正し得る。この手法は、同じストローの2つ以上の価格を請求する又は保有しないストローの価格を請求する無断又は偽試みから償還過程(ストロー価格転移)を保護する。
【0054】
本発明の一実施形態では、AIストロー上の使用のためのバーコードは13個の数字を含み得る。本発明の一実施形態では、AIストロー上の使用のためのバーコードは16~20個の文字を含み得る。別の実施形態では、AIストロー上の使用のためのバーコードは15個以下の数字を含み得る。本発明のさらに別の実施形態では、AIストロー上の使用のためのバーコードは32又は44個の数字を含み得る。シリアル番号に加えて、例えば、このようなバーコードで符号化された情報もまた、生産国、雄牛の品種、性比及びストローカラーを含み得る。
【0055】
本発明の一態様では、バーコードは現地で走査又は撮像デバイスにより走査され得る(例えば授精の時点に)ということが考えられる。このとき、走査又は撮像デバイスは、SMCが割り当てられた事業者と接触することによりAIストローに関する追加情報を検索するためにストローシリアル番号を使用し得る。走査又は撮像デバイスは、追加情報が検索されるネットワークと通信状態にあるソフトウェア(電話又はタブレットアプリケーションなど)を含み得る、又は代替的に、走査又は撮像デバイスは、シリアル番号により符号化された情報をネットワークと通信状態にあるソフトウェアを含むコンピュータ可読媒体(例えばコンピュータ、電話又はタブレット内の)へ送信し得る。本発明の一態様では、走査又は撮像デバイスは、「どのロット番号(SMC-PRN)が、スキャナへ提示され得る在庫へ購入されたか」に関する情報を有するこのようなリストを関連ネットワークから走査デバイスへ供給させることにより、走査される可能性がある有効VNのリストなどの情報によりロードされ得る(走査することに先立って)。この場合、雄牛の識別は走査の時点に判断され得、雌毎の繁殖計画は、各授精時に、繁殖計画に対する完全な遵守を容易にし得るやり方でストローにおいて雄牛を確認し得る又はそれと矛盾し得る。加えて、ストローの信憑性は繁殖の時点に判断され得る。
【0056】
本発明の一実施形態では、シリアル番号の3つのフォーマットが考えられる。すべての3つのシリアル番号フォーマットはSMC、PRN及びR-TAGを含むが、代表的シリアル番号における桁の数の観点で3つの異なるサイズがある。これらのフォーマットのすべての3つはインクジェットプリンタ又は熱接触プリンタにより使用され得るということが考えられる。各フォーマットは、シリアル番号への接頭辞としてのバーコード内の第1の文字であり得る1文字(例えば、任意の文字が指定され得るがA、B及びC)指定を有する(1文字フォーマット指定とシリアル番号とが併せて製品コードを構成する)。アルファベット文字は通常、1D又は2Dバーコードを使用する際に2つの番号のディジタル空間を必要とするので、各バーコードの長さは、文字が接頭辞として使用されれば2だけ増加される。このような接頭文字を使用することにより、バーコードと共に製造されてそして販売されるAIストローは、データフォーマットの構造がその後変更されたとしても走査されそして処理され得る。本発明の一実施形態では、「A」フォーマットシリアル番号は16数字桁を含む(接頭辞により、製品コードは18数字桁に等価である)。この量のデータは1Dバーコード内に置かれ得るが、印刷されたバーコードの長さは、1D/2D混合走査機能のために規定された走査又は撮像デバイスにより容易に走査するには余りに長過ぎるかもしれない。この理由のため、特定実施形態では、16桁「A」フォーマットシリアル番号が2Dバーコード(例えば、8×32以上のデータ行列)により符号化される。「B」フォーマットシリアル番号は13数字桁を含み、そしてバーコード長さの観点での中間フォーマットを表す。「C」フォーマットは、13未満の数字桁(例えば10数字桁)を含み、そして1D/2D混合走査機能のために規定された走査又は撮像デバイスにより容易に走査可能である一方で、1Dバーコードにより符号化されるにはサイズの点で十分に小さい。比較的短い長さのために、Cフォーマットは1Dバーコードにより符号化され得る。本発明のシリアル番号フォーマットがAI業界全体にわたって採用されれば、いかなる2個のAIストローも同じシリアル番号により印刷されることは決してないということが可能である。例えば、10,000の可能なマーケッティングコード、100万の可能な凍結コード、及び凍結コード当たり100万個の可能な個々のストローを有するAフォーマットのシリアル番号は、1京個のシリアル化AIストローを可能にするだろう。
【0057】
本発明の一実施形態を描写する
図3を参照すると、シリアル番号6はSMC 2、PRN 3及びR-TAG 4で構成される。一方、製品コード5はフォーマット接頭辞1、SMC 2、PRN 3及びR-TAG 4で構成される。この実施形態におけるVN 9は桁ホルダー7、SMC 2、PRN 3及び公開ハッシュキー8で構成され、桁ホルダー7は数値的プレースホルダーであり、VN又はTENの長さを対応シリアル番号の長さ(すなわち数字桁の数)に等しくする1つ又は複数の零を含む。この実施形態におけるTEN 11は、桁ホルダー7、SMC 2、PRN 3及び秘密ハッシュキー10で構成される。
【0058】
本発明の一態様は、本発明のシリアル番号の使用を管理するためのソフトウェアを含むAIストロープリンタと、有効又は割り振り済みシリアル番号(限定しないがSMC、PRN、SMC-PRN組み合わせ、R-TAG及びSMC-PRN-R-TAG組み合わせを含む)のリスト又は有効又は割り振り済みシリアル番号の一部のリストを含むファイルを格納するためのコンピュータ可読媒体とを含む。このようなプリンタはさらに、データを手動入力するためのキーボードなどの入力デバイスと、プリンタを他のデバイスへ接続するためのネットワークデバイス又はデータポートとを含み得る。しかし、本発明のシリアル番号の使用を管理するための上に列挙された特徴(すなわちプリンタソフトウェア、コンピュータ可読体、キーボードなど)は任意選択的にパーソナルコンピュータなどの別個のデバイスに含まれ得、別個のデバイスはAIストロープリンタへ直接(有線又は無線で)又はネットワークを介し接続され得るということを理解すべきである。
【0059】
同じシリアル番号フォーマットを使用するすべての事業者を保護するために、SMCは単一運営組織により排他的に割り当てられ得る。本発明の特定実施形態では、動物記録国際委員会(ICAR:International Committee for Animal Recording)などの適切な世界的に認識された組織が、SMCのリストを割り当てそして対応する割り当てられた事業者を維持し得る。本発明の一実施形態は、印刷デバイスにより使用されるSMCを指定する安全な入力ファイルを含むコンピュータ可読媒体を含む。本発明の一実施形態では、コンピュータ可読媒体上の各SMCは、SMCに関連付けられた有効且つ割り振り済みストローシリアル番号リストを含む専用ファイル又はホルダーを有する。本発明の別の実施形態では、SMCは、ソフトウェアのパスワード保護済み制御エリアを介し、コンピュータ可読媒体へ追加され得る若しくはそれから除去され得る、又は活性化若しくは非活性化され得るだけである。
【0060】
AIストローに関して、SMC-PRN組み合わせは、「凍結コード」、「ロット番号」、又は「バッチ番号」(すなわち精細胞を含むそれぞれが実質的に同一である多くのAIストロー)を構成する。一般的に、これは、同じSMC-PRN組み合わせを有するAIストローが同じ雄牛からのそして同じ処置又は処理を受けそして同時に凍結された精細胞を含むということを意味する。凍結コード指定の最も一般的な工業規格は、NAABコード又は国際動物コードなどの雄牛IDと凍結日との組み合わせである。バーコードを使用して凍結コードを指定することに関し、マーケッティングコード及びシリアル番号を含む方法は受容可能な代案である。本発明の一実施形態は、特定SMCに関し「閉鎖」されたPRNのリストを含むコンピュータ可読媒体を含む。「閉鎖された」SMC-PRN組み合わせはシリアル番号内で再度利用されないかもしれない。SMC-PRN組み合わせは、SMC-PRN組み合わせの有効且つ割り振り済みシリアル番号の最終リストが生成された後に例えばプリンタソフトウェア内で「閉鎖された」ものとしてオペレータにより手動で指定され得る、又は代替的に、SMC-PRN組み合わせは、SMC-PRN組み合わせを担持する第1のストローが印刷された時刻から一定時間(例えば24時間)の経過後にプリンタソフトウェアにより閉鎖されたものとして自動的に指定され得る。本発明の一実施形態では、閉鎖されたPRNのリストを含むファイルはまた、PRNが確立された日時、PRNが閉鎖された日時及びこの時刻にAIストロープリンタへ割り当てられたIPアドレス、並びに印刷デバイスID番号などのメタデータを含む。したがって、本発明を利用する際、様々な雄牛からの精細胞又は異なるやり方で処置又は処理された精細胞を含むAIストローは同一SMC-PRN組み合わせ(すなわち凍結コード又はロット又はバッチ番号)を決して有することはない。
【0061】
AIストローが印刷されるほとんどの場合、包装済み生物学的製品の生産者は、各凍結コードに関する情報(射出精液量及び品質情報、処理(性仕分けされた精細胞又は従来の精細胞など)、ドーズ(ストロー内の数百万の精子)などを含む)を管理する別個のコンピュータを有する。これは、ストロープリンタを操作している生産者により所有されるコンピュータ内に既に在る一意的生産者規定凍結番号(MSFN:Manufacturer Specified Freeze Number)を生産者が有することになるということを意味する。本発明の一実施形態では、ストロープリンタは、直接(有線又は無線で)又はネットワークを介しのいずれかでMSFNを含む生産者のコンピュータへ接続される。新しいPRNを生成する際、オペレータは新しいPRNをプリンタソフトウェア内のMSFNへ手動で割り当てる、又は代替的にプリンタは新しいPRNをMSFNへ自動的に割り当てる。特定実施形態では、MSFNは、新しいPRNが生成されそしてMSFNへ割り当てられ得る前に、プリンタソフトウェアへ(生産者のコンピュータシステムへ直接接続又はネットワークを介しのいずれかで)生産者により提供されなければならない。これらのコンピュータをストロープリンタへ接続することができないそれらの生産者に関し、MSFNはプリンタソフトウェアへ手動で入力され得る。本発明の特定実施形態では、SMC、PRN、又はSMC-PRN組み合わせのリストを含む印刷出力ファイルはまた、割り当てられたMSFNを含むメタデータを含む。より具体的な実施形態では、印刷出力ファイル名は割り当てられたMSFNを含み得る。
【0062】
可能なPRNの数はPRN内の桁の数により判断される。2つ以上のAIストロープリンタが同じシリアル番号フォーマット(例えば上述のA、B又はCフォーマット)及び同じSMCを使用している状況の措置として、所与のSMCのPRNの特定グループ(PRNグループ)が各プリンタへ割り振られ又は割り当てられ得る。一例として、6桁PRNを有する上述のAフォーマットは、それぞれが異なるプリンタへ割り当てられる以下の10個のPRNグループを含み得る:
PRNグループ1:最小PRN=100,000及び最大PRN=199,999
PRNグループ2:最小PRN=200,000及び最大PRN=299,999
PRNグループ3:最小PRN=300,000及び最大PRN=399,999
PRNグループ4:最小PRN=400,000及び最大PRN=499,999
PRNグループ5:最小PRN=500,000及び最大PRN=599,999
PRNグループ6:最小PRN=600,000及び最大PRN=699,999
PRNグループ7:最小PRN=700,000及び最大PRN=799,999
PRNグループ8:最小PRN=800,000及び最大PRN=899,999
PRNグループ9:最小PRN=900,000及び最大PRN=999,999
PRNグループ10:最小PRN=000001及び最大PRN=99,999
【0063】
一例として、5桁PRNを有する上述のBフォーマットは、それぞれが異なるプリンタへ割り当てられる以下の10個のPRNグループを含み得る:
PRNグループ1:最小PRN=10,000及び最大PRN=19,999
PRNグループ2:最小PRN=20,000及び最大PRN=29,999
PRNグループ3:最小PRN=30,000及び最大PRN=39,999
PRNグループ4:最小PRN=40,000及び最大PRN=49,999
PRNグループ5:最小PRN=50,000及び最大PRN=59,999
PRNグループ6:最小PRN=60,000及び最大PRN=69,999
PRNグループ7:最小PRN=70,000及び最大PRN=79,999
PRNグループ8:最小PRN=80,000及び最大PRN=89,999
PRNグループ9:最小PRN=90,000及び最大PRN=99,999
PRNグループ10:最小PRN=000001及び最大PRN=9,999
【0064】
7桁PRNの場合、それぞれが10,000よりむしろ100万のPRNを含む10個のPRNグループが割り振られ得る。いずれの場合も、PRNグループ1はデフォルトPRNとして指定され得る。特定実施形態では、PRNグループ2からのPRNの使用は、PRNグループ1内のすべての番号が使用されると自動的に発生する。代替的に、オペレータが異なるPRNグループへ手動で切り替われば、すべての新しいシリアル番号は当該新PRNグループへ割り振られるPRNを含むことになる。特定実施形態では、特定プリンタに関して、ただ1つのPRNグループが常に使用され得る。別の実施形態では、そのPRNグループが任意の時点で活性状態又は非活性状態である管理は、プリンタソフトウェア内のパスワード保護済み制御エリア内で行われ得る。小さい番号を有するPRNを含むPRNグループは多くの零を有するシリアル番号を生成することになり、これは望ましくないかもしれない。したがって、特定実施形態では、最小PRNを有するPRNグループが、使用される最後又は最終PRNグループとして(例えば上記例ではグループ10として)指定される。
【0065】
本発明の一態様では、PRNはSMCへ割り当てられたPRNのリストから無作為に選択される。関連して、指定範囲内のPRNの無作為化マスターリストは、プリンタが無作為リストから次のPRNを単純に選択することができ、したがっていかなる無作為選択も行うことを要求されないように予め生成され得る。PRNグループが実現される限り、使用されるいかなる新しいPRNも、それぞれのSMCの当該プリンタ上の活性PRNグループ内から無作為に選択される。番号を無作為に選択又は生成するための当該技術領域におけるいかなる方法、デバイス又はソフトウェアも本発明おいて使用され得る。
【0066】
一般的に、本発明のシリアル番号をAIストロー上に生成又は印刷するための以下の工程が考えられそして単に一例として提示される:
1.新しいPRNが、SMCの活性PRNグループ内のPRNから無作為に選択される。代替的に、PRNの既存無作為化リスト内の次のPRNが選択される。
2.SMC-PRN組み合わせは、SMC-PRN組み合わせが以前に使用されていないということを保証するために、既に使用されたSMC-PRNのリストと比較される。
3.プリンタはSMC-PRN組み合わせをMSFN番号(生産者のコンピュータから取得される)へ自動的に又は手動で割り当てる。
4.SMC-PRN組み合わせのためのデータベースホルダーが生成されそして名付けられる(ホルダーの名称は例えば「A_SMC_PRN_MSFN.abc」であり、ここで、Aはシリアル番号フォーマットであり、SMC_PRNはロット番号であり、MSFNは凍結コードの生産者ロット番号であり、そしてabcはデータベースフォーマットのタイプを指定する)。
5.5000個の有効R-TAGのリストが5000個の有効な個々のストローシリアル番号のリストを生成するために使用され、ここで、各シリアル番号はSMC_PRN_R-TAGのコンカテマーである。
6.生産者は印刷されるべきストローの数を規定する。
7.有効シリアル番号のうちの1つは2Dバーコードへ符号化され、そしてAIストロー上に印刷される。任意選択的に、有効シリアル番号はまた、適切なフォントでストロー上に印刷され得る。
8.印刷されたバーコードで符号化されたシリアル番号は割り振り済みシリアル番号のリストへ追加される。
9.オペレータは必要に応じ、追加のストローが印刷されることを要求し続け得、そして追加の有効ストローシリアル番号が一旦印刷されそして適切なリストへ追加されると割り振り済みシリアル番号として指定される。
10.PRNは、プリンタが同じSMC-PRNによりそれ以上のストローを決して印刷しない(すなわち、SMC-PRNに関連付けられた追加のシリアル番号を決して発行しない)ようにPRNが閉鎖される前に、オペレータにより先に閉鎖されなければ長時間(例えばデフォルト=24時間)の間「開放」なままである。
11.PRNが閉鎖されると、関連SMC-PRNホルダーは、有効シリアル番号のリスト及び割り振り済みシリアル番号のリストを含む最終データベースファイル(又はファイル群)により更新される(ファイルの名称は例えば「A_SMC_PRN_MSFN_V_A.abc」であり、ここで、Vは有効ストローシリアル番号の数(通常5000)であり、そしてAは割り振り済みストローの数である)。
12.次に、最終データベースファイル及びSMC-PRNホルダーは変更を防止するために「書き込み保護」されるが、複製されることを許容する。任意選択的に、最終データベースファイル及びSMC-PRNホルダーは同様に、当該技術領域において知られた任意の好適な暗号化方法を使用することにより暗号化される(各ストロープリンタはすべての有効且つ割り振り済みシリアル番号のアーカイブされた複製を含むので、プリンタはさらに、ネットワークへ接続されれば暗号化インターフェースを含み得る)。
【0067】
本発明の別の態様は、複数のプリンタの監督及び管理システムを包含する。約300ストロー/分のインクジェット速度を使用するとともに典型的バッチサイズが1000個未満のストローであるストロー印刷により、数時間で且つ単一プリンタにより大生産者のストローの全生産の印刷を支援することが可能である。しかし、熱転写方法を使用するプリント速度は一般的には約5~8倍遅いかもしれなく、したがってインクジェット方式を使用する出力と整合するために複数のプリンタを必要とする。複数のプリンタが生産者により使用される場合、本発明の一実施形態は、有効且つ割り振り済みシリアル番号のリストを含むファイル又はデータ(例えば指定時間にプリンタにより開始されるファイル転送プロトコルにより送信された)を各プリンタが中央又は共有コンピュータへ送信することを伴う。追加実施形態では、本発明は、有効且つ割り振り済みシリアル番号のリストへのアクセスを必要とすることなくアクセスされ得る二次システム(各ストロープリンタ上の単一ホルダーに基づく)を包含する。例えば、各プリンタ上のファイル(例えばCSV(Comma Separated Values)ファイル又は.csvファイル)はPRNが閉鎖されるたびに更新される。次にこのファイルはいくつかの時点に送信される可能性がある(1又は複数回/1日24時間)、又はそれぞれのホルダーのプリンタへ安全にアクセスするだろうサーバからファイル転送プロトコルにより要求される可能性がある。このようなPRN履歴ファイルは“PRN_History_1234567”_Date.csv”などの名称を有し得、ここで1234567はストロープリンタのデバイス識別番号である。このようなファイルは、当日の現地時間23:59により閉鎖されたPRNからの任意の新しいPRNデータを含む可能性がある。
【0068】
他の情報の中でも、PRN履歴ファイル内の各ラインは以下のものを提供する可能性がある:
ストローが印刷されたデバイス識別番号;
PRNが閉鎖された時点のストロー印刷デバイスのIPアドレス;
ロット番号(凍結番号)、すなわちSMC-PRN組み合わせ;
PRNの開放日時;
PRN内の有効ストローの数(例えば5000);
印刷された「試験ストロー」の印刷日時及び数(すなわち試験印刷履歴);
任意の義務的試験走査の日時及びそれらの結果(合否、又は入力された又は読み取られた結果);
最初の印刷要求内の開始判断及び終了判断及びストローの数(第1組の割り振り済みストローシリアル番号内のストローの数);
任意のその後の印刷要求内の開始日時及び終了日時及びストローの数(すなわち第1組の割り振り済みストローシリアル番号内のストローの数);
PRNの閉鎖時間、PRN内の割り振り済みストローの数(すなわち印刷されるAIストローの数);
有効且つ割り振り済みシリアル番号のPRN特定リストを有する安全なファイルがネットワークへ送信された日時;及び、
有効且つ割り振り済みシリアル番号の安全な複製が送信されたということをネットワークが確認(すなわち受信確認)した日時。
【0069】
AIストロー業界では、オペレータは通常、すべてのストローの印刷に先立っていくつかのストローを試験印刷する。これは、インクジェット印刷に関して特に当てはまる。試験印刷する理由は、どのようにストローが見えるかを理解する(印刷されたフォント情報を検査する)ことだけでなく、バーコードに関し、オペレータはまた、印刷されたバーコードが走査又は撮像デバイスにより正しく走査又は撮影されることができるかを知りたいかもしれない。本発明の一実施形態では、AIストロープリンタは、有効シリアル番号が印刷され得る前に試験ストローの成功裏の走査又は撮像を必要とし得る。別の実施形態では、この特徴はプリンタソフトウェアのパスワード保護済み制御エリア内で無効にされ得る。例えば、新しいSMC-PRN(凍結コード番号)が生成され、そしてオペレータが正しい雄牛を関連付け(手動ドロップダウンにより)そしてMSFNを追加すると、試験印刷は8~10個のストローを生成する可能性がある。これらのストローは、各バーコード内に特殊コード(試験印刷システムにより生成されるシリアル化試験番号)を含み、2ラインシステムを利用する、ここで、ライン1はストロー上に印刷されるだろうもの(バーコードを含む)を含み、ライン2は例えばSMC-PRN番号及びMSFN番号を示すだろう追加試験ラインを含む。
【0070】
本発明の特定実施形態では、各PRNグループ内の1つのPRNが、試験印刷のためだけに使用されそして有効シリアル番号のリスト及び割り振り済みシリアル番号のリストから除外されるTEST-PRNとして指定される。例えば、Aフォーマットに関して、PRN番号111,111(グループ1)、222,222(グループ2)、333,333(グループ3)などは、これらの9つのPRNが有効又は割り振り済みシリアル番号を生成するために決して使用されることがないようにTEST-PRNとして指定されるだろう。どのようにこれが達成され得るかの一例は、ストロープリンタの新しいSMCが認可されるたびに、使用されるPRNのファイルをこれらの9つの番号と共に取り込むことを含む。重要なことには、世界的に使用されるすべてのストロープリンタがまた、この示唆された試験印刷方法を使用すれば、走査又は撮像デバイス及びアプリは、ストローが印刷されると実際に試験ストローだったということ容易に判断し得る。
【0071】
例1
本発明の16桁シリアル番号から公開キー(すなわちVN)を生成するためのアルゴリズム(具体的にはSMC=1523、PRN=121212及びR-TAG=939977を有するシリアル番号1523121212939977;このシリアル番号を符号化するデータ行列バーコードの画像に関しては、
図1を参照)が以下のように単に一例として提示される:
1.100を超える最初の3つの素数(すなわち101、103及び107)を選択する。以下の表3の行A、B及びCを参照。
2.上記工程1において選択された3つの素数を乗算し、その結果の最後の3桁を取り、そしてそれを維持し、これへ1を加算して偶数にする。これは素数派生値であり、公開キーに関して常に122である。以下の表3の行Gを参照。
3.シリアル番号の最後の8桁(すなわち12939977)を識別する。以下の表3内の行Mを参照。
4.シリアル番号の最後の8桁を合算する。以下の表3の行Nを参照(合計は常に72未満になる)。
5.新しい8桁番号(すなわち12940024)を生成するためにシリアル番号の最後の8桁により表される番号を合算する(すなわち12,939,977(以下の表3内の行Mを参照)と上記工程4において生成された2桁番号(以下の表3の行Nを参照)とを)。以下の表3内の行Oを参照。
6.10~11桁番号を生成するために上記工程5からの新しい8桁番号(以下の表3内の行Oを参照)と3桁素数派生値(以下の表3内の行Gを参照)とを乗算する、すなわち1578682928。以下の表3内の行Pを参照。
7.上記工程6からの10-11桁番号の最後の5桁を識別する、すなわち82928。以下の表3内の行Qを参照。
8.SMC(以下の表3内の行Iを参照)、PRN(以下の表3内の行Jを参照)、0及び上記工程7内で識別された5桁により表された数を含むコンカテマーをこの順番で生成する(以下の表3内の行Qを参照)、これはVN又は公開キー(すなわち1523121212082928)を構成する。以下の表3内の行Rを参照。
【0072】
【0073】
例2
上記例1おいて使用された本発明の16桁シリアル番号から秘密キー(すなわちTEN)を生成するためのアルゴリズムが(具体的には、SMC=1523、PRN=121212及びR-TAG=939977を有するシリアル番号1523121212939977;このシリアル番号を符号化するデータ行列バーコードの画像に関しては
図1を参照)が以下のように単に一例として提示される:
1.それぞれが100より大きく1000より小さい3つの素数を選択する。表4の以下の行D、E及びFを参照。
2.上記工程1において選択された3つの素数を乗算し(以下の表4内の行D、E及びFを参照)、結果の最後の3桁を採用し、そしてそれを維持し、これへ1を加算して偶数(すなわち702)にする、これは素数派生値である。以下の表4の行Hを参照。
3.シリアル番号の最後の8桁(すなわち12939977)を識別する。以下の表4内の行Mを参照。
4.シリアル番号の最後の8桁を合算する。以下の表4の行Nを参照(合計は常に72未満になる)。
5.新しい8桁番号(すなわち12940024)を生成するためにシリアル番号の最後の8桁により表された数(すなわち12,939,977(以下の表4内の行Mを参照)と上記工程4において生成された2桁番号(以下の表4の行Nを参照)とを)を合算する。以下の表4内の行Oを参照。
6.10-11桁番号を生成するために上記工程5からの新しい8桁番号(以下の表4内の行Oを参照)と3桁素数派生値(以下の表4内の行Hを参照)とを乗算する、すなわち9083896848。以下の表4内の行Pを参照。
7.上記工程6からの10-11桁番号の最後の5桁を識別する、すなわち96848。以下の表4内の行Qを参照。
8.SMC(以下の表4内の行Iを参照)、PRN(以下の表4内の行Jを参照)、0及び上記工程7内で識別された5桁により表された数を含むコンカテマーをこの順番で生成する(以下の表4内の行Qを参照)、これはシリアル番号のTEN又は秘密キーを構成する、すなわち1523121212096848。以下の表4内の行Rを参照。
【0074】
【0075】
例3
本発明の13桁シリアル番号から公開キー(すなわちVN)を生成するためのアルゴリズム(具体的に、はSMC=523、PRN=12121及びR-TAG=39977を有するシリアル番号5231212139977;このシリアル番号を符号化するデータ行列バーコードの画像に関しては、
図2を参照)が以下のように単に一例として提示される:
1.100を超える最初の3つの素数(すなわち101、103及び107)を選択する。以下の表5の行A、B及びCを参照。
2.上記工程1において選択された3つの素数を乗算し、その結果の最後の3桁を取り、そしてそれを維持し、これへ1を加算して偶数にする。これは素数派生値であり、公開キーに関して常に122である。以下の表5の行Gを参照。
3.シリアル番号の最後の8桁(すなわち12139977)を識別する。以下の表5内の行Mを参照。
4.シリアル番号の最後の8桁を合算する。以下の表5の行Nを参照(合計は常に72未満になる)。
5.新8桁番号(すなわち12140016)を生成するためにシリアル番号の最後の8桁により表された数(すなわち12,139,997(以下の表5内の行Mを参照)と上記工程4において生成された2桁番号(以下の表5の行Nを参照)とを)を合算する。以下の表5内の行Oを参照。
6.10-11桁番号(すなわち1481081952)を生成するために上記工程5からの新8桁番号(以下の表5内の行Oを参照)と3桁素数派生値(以下の表5内の行Gを参照)とを乗算する。以下の表5内の行Pを参照。
7.上記工程6から10-11桁番号の最後の5桁(すなわち81952)を識別する。以下の表5内の行Qを参照。
8.SMC(以下の表5内の行Iを参照)、PRN(以下の表5内の行Jを参照)、及び上記工程7内で識別された5桁により表された数を含むコンカテマーをこの順番で生成する(以下の表5内の行Qを参照)、これはVN又は公開キー(すなわち5231212181952)を構成する。以下の表5内の行Rを参照。
【0076】
【0077】
例4
上記例3おいて使用された本発明の13桁シリアル番号から秘密キー(すなわちTEN)を生成するためのアルゴリズム(具体的に、はSMC=523、PRN=12121及びR-TAG=39977を有するシリアル番号5231212139977;このシリアル番号を符号化するデータ行列バーコードの画像に関しては、
図2を参照)が以下のように単に一例として提示される:
1.それぞれが100より大きく1000より小さい3つの素数を選択する。以下の表6の行D、E及びFを参照。
2.上記工程1において選択された3つの素数を乗算し(以下の表6内の行D、E及びFを参照)、結果の最後の3桁を採用し、そしてそれを維持し、これへ1を加算して偶数(すなわち702)にする。これは素数派生値である。以下の表6の行Hを参照。
3.シリアル番号の最後の8桁(すなわち1213997)を識別する。以下の表6内の行Mを参照。
4.シリアル番号の最後の8桁を合算する。以下の表6の行Nを参照(合計は常に72未満になる)。
5.新8桁番号(すなわち12140016)を生成するためにシリアル番号の最後の8桁により表された数(すなわち12,139,977(以下の表6内の行Mを参照)と上記工程4において生成された2桁番号(以下の表6の行Nを参照)とを)を合算する。以下の表6内の行Oを参照。
6.10-11桁番号(すなわち8522291232)を生成するために上記工程5からの新8桁番号(以下の表6内の行Oを参照)と3桁素数派生値(以下の表6内の行Hを参照)とを乗算する。以下の表6内の行Pを参照。
7.上記工程6からの10-11桁番号の最後の5桁(すなわち91232)を識別する。以下の表6内の行Qを参照。
8.SMC(以下の表6内の行Iを参照)、PRN(以下の表6内の行Jを参照)、及び上記工程7内で識別された5桁により表された数(以下の表6内の行Qを参照)を含むコンカテマーをこの順番で生成する、これはシリアル番号のTEN又は秘密キー(すなわち5231212191232)を構成する。以下の表6内の行Rを参照。
【0078】
【0079】
以上から当業者により容易に理解され得るように、本発明の基本概念は多様なやり方で具現化され得る。したがって、上記説明により開示された又は本出願に付随する図面又は表内に示される本発明の特定実施形態又は要素は、制限するように意図されていなく、むしろ本発明により包含される無数の及び多様な実施形態の例示又はその任意の特定要素に関して包含された等価物の例示であるように意図されている。加えて、本発明の単一実施形態又は要素の特定説明は、可能な実施形態又は要素のすべてを明示的に説明しないかもしれなく、そして当業者により理解され得るように多くの代案が本明細書及び図面により暗黙的に開示される。