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特許7474859ヘッドマウント可視化ユニット及び可視化システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】ヘッドマウント可視化ユニット及び可視化システム
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20240418BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20240418BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20240418BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20240418BHJP
   G02C 11/00 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02F1/1335 510
G02F1/13 505
G02B5/30
G02C11/00
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022552670
(86)(22)【出願日】2021-03-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-24
(86)【国際出願番号】 EP2021055034
(87)【国際公開番号】W WO2021175776
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】102020202624.6
(32)【優先日】2020-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102020131029.3
(32)【優先日】2020-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502303382
【氏名又は名称】カール ツアイス メディテック アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ハウガー
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ザウアー
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ シャエフ
【審査官】河村 麻梨子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-177405(JP,A)
【文献】特開2003-250812(JP,A)
【文献】特表2013-536449(JP,A)
【文献】特表2019-515749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01-27/02
A61B 1/00- 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科手術環境において手術部位(OP部位)を観察するための可視化システム(1000)であって、
ヘッドマウント可視化ユニット(1001)を有し、
少なくとも部分的に光を透過させる光学系(2000)を有し、
前記光学系(2000)が、前記ヘッドマウント可視化ユニット(1001)のユーザー(1002)の第1の目に割り当てられた第1の光チャネル(3100)、及び前記ユーザー(1002)の第2の目に割り当てられた第2の光チャネル(3200)を有し、
前記第1の光チャネル(3100)が第1の偏光が施された光放射に対して実質的に透過的且つ第2の偏光が施された光放射に対して実質的に非透過的であり、前記第1の偏光が前記第2の偏光にほぼ垂直であり、
前記第2の光チャネル(3200)が前記第2の偏光が施された光放射に対して実質的に透過的且つ前記第1の偏光が施された光放射に対して実質的に非透過的であり、
偏光子(3110、3210)及び光減衰器(3120、3220)が前記第1の光チャネル(3100)と前記第2の光チャネル(3200)に配置され、前記第1の光チャネル(3100)において当該偏光子(3110)は、前記第1の偏光が施された光放射に対して実質的に透過的且つ前記第2の偏光が施された光放射に対して実質的に非透過的であり、前記第2の光チャネル(3200)において当該偏光子(3210)は、前記第2の偏光が施された光放射に対して実質的に透過的且つ前記第1の偏光が施された光放射に対して実質的に非透過的であり、
前記光減衰器(3120)が前記ユーザー(1002)の第1の目に向かう方向で前記偏光子(3110)の下流に配置され、
画面(1003)を有し、前記画面(1003)が、サンプル画像を立体視的に再生するために前記第1の偏光が施された前記OP部位の第1の画像及び前記第2の偏光が施された前記OP部位の第2の画像を提示すべく構成される、可視化システム(1000)。
【請求項2】
前記偏光子(3110)が直線偏光フィルタ(3111)を含む、請求項1に記載の外科手術環境においてOP部位を観察するための可視化システム(1000)。
【請求項3】
前記偏光子(5110)がλ/4プレート(5112)を含み、
前記λ/4プレート(5112)が、前記ユーザーの第1の目に向かう方向で前記直線偏光フィルタ(5111)の上流に配置される、請求項2に記載の外科手術環境においてOP部位を観察するための可視化システム(1000)。
【請求項4】
前記光減衰器(3120)が制御可能な液晶層(3122)を含む、請求項1に記載の外科手術環境においてOP部位を観察するための可視化システム(1000)。
【請求項5】
前記光減衰器(3120)が制御可能な液晶層(3122)を含む、請求項2又は3に記載の外科手術環境においてOP部位を観察するための可視化システム(1000)。
【請求項6】
前記液晶層(3122)が個別に制御可能な1個以上の液晶画素を含む、請求項4に記載の外科手術環境においてOP部位を観察するための可視化システム(1000)。
【請求項7】
前記液晶層(3122)が個別に制御可能な1個以上の液晶画素を含む、請求項5に記載の外科手術環境においてOP部位を観察するための可視化システム(1000)。
【請求項8】
前記光減衰器(3120)が直線出力偏光フィルタ(3123)及び直線入力偏光フィルタ(3121)を有する、請求項4又は6に記載の外科手術環境においてOP部位を観察するための可視化システム(1000)。
【請求項9】
前記光減衰器(3120)が直線出力偏光フィルタ(3123)及び直線入力偏光フィルタ(3121)を有する、請求項5又は7に記載の外科手術環境においてOP部位を観察するための可視化システム(1000)。
【請求項10】
前記光減衰器(4120)の前記直線入力偏光フィルタ(4111)が偏光子(4110)の前記直線偏光フィルタ(4111)と同一である、請求項9に記載の外科手術環境においてOP部位を観察するための可視化システム(1000)。
【請求項11】
前記液晶層(3122)が追加的情報を前記第1の光チャネル(3100)に重ね合わせるべく形成される、請求項6又は7に記載の外科手術環境においてOP部位を観察するための可視化システム(1000)。
【請求項12】
前記ヘッドマウント可視化ユニット(1001)が前記第1の光チャネル(3100)の追加的情報を表示するためのディスプレイ装置(2021)を有する、請求項1~11のいずれか1項に記載の外科手術環境においてOP部位を観察するための可視化システム(1000)。
【請求項13】
前記ディスプレイ装置(2021)に表示された前記追加的情報を前記第1の光チャネル(3100)に重ね合わせるべくミラー(2022)が設けられ、
前記ミラー(2022)が前記ユーザー(1002)の第1の目に向かう方向で前記光減衰器(3120)の下流に配置される、請求項12に記載の外科手術環境においてOP部位を観察するための可視化システム(1000)。
【請求項14】
ディスプレイ装置(2011)に表示された追加的情報を前記第1の光チャネル(3100)に重ね合わせるべく導波管(2013)が設けられ、
前記導波管(2013)が前記ユーザーの第1の目に向かう方向で前記光減衰器(3120)の下流に配置される、請求項12又は13に記載の外科手術環境においてOP部位を観察するための可視化システム(1000)。
【請求項15】
前記第1の偏光及び前記第2の偏光が円偏光である、請求項1~14のいずれか1項に記載の外科手術環境においてOP部位を観察するための可視化システム(1000)。
【請求項16】
前記画面(1003)が、異なる偏光でラインごとに光を発すべく構成される、請求項1~14のいずれか1項に記載の外科手術環境においてOP部位を観察するための可視化システム(1000)。
【請求項17】
外科用顕微鏡(1004)又は内視鏡を有し、
前記外科用顕微鏡(1004)又は内視鏡が、サンプル画像を立体視的に記録するための画像記録装置を有する、請求項1~14のいずれか1項に記載の外科手術環境においてOP部位を観察するための可視化システム(1000)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドマウント可視化ユニット、及びそのようなヘッドマウント可視化ユニットを含む可視化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
顕微鏡手術では外科用顕微鏡が用いられ、これにより医師は外科手術部位(OP部位)とも称する手術部位をより高い拡大率で観察することができる。拡大に加えて、OP部位を立体的に見せることが外科的手技を成功させるために極めて重要性である。顕微手術では立体視用光学部品を有するアナログ外科用顕微鏡及び接目レンズを介した観察が通常用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
最新の外科用顕微鏡により、代替的又は追加的手段としてOP部位のデジタル3次元撮像が可能な場合がある。得られた3次元画像データは次いで、画面、特に3Dモニタ又はヘッドマウントディスプレイ(HMD)に表示することができる。動作環境での使用に適したHMDもまた外科用ヘッドマウントディスプレイと称する場合がある。
【0004】
3Dモニタでは、例えば、第1の偏光が施された第1の画像を表示する共に、第2の偏光が施された第2の画像を同時に表示することができ、第1の偏光は第2の偏光に対してほぼ垂直である。第1の目には第1の偏光が施された光だけを、及び第2の目には第2の偏光が施された光だけを透過させるヘッドマウント可視化ユニットを用いる場合、3Dモニタの使用者に立体画像の印象を与える。
【0005】
更に、手術を行う外科医が画面から目を離しても知覚できるように追加的情報を光学的に提供したいとの要望が多い。この目的のため、例えば独国特許発明第102017123894B3号明細書では、ペイン及び当該ペインに画像を生成する装置を含むヘッドマウント可視化ユニット、特に(HMD)を提案している。
【0006】
3次元画像データの表示にHMDを用いる場合、ユーザーの各目に至る二つの光路に異なる画像を重ね合わせることにより立体画像の印象を生じさせることができる。例えば、米国特許出願公開第2019/0339528A1号明細書はHMDを複合現実ディスプレイとも称する拡張現実HMD(ARHMD)の形式で開示している。ARHMDとは、ユーザーが重ね合わされた画像データと自然な環境の両方を見ることができるHMDであると理解されたい。明るい環境における重ね合わされた画像の視認性を向上させるべく、各目への光路に画像を重ね合わせる前にHMDのユーザーの自然な視野の部分領域を選択的に暗くする。
【0007】
3Dモニタは3次元画像データのディスプレイと比較して解像度が高く、且つ待ち時間が短いため、3次元画像データの提示に好適であることが分かっている。しかし同時に、干渉する光源を遮蔽すべく、又は重ね合わされる追加的情報の視認性を向上させるべく、ヘッドマウント可視化ユニットのユーザーの自然な視野の部分領域を暗くしたい要望がある。
【0008】
上記から、本発明の目的は改良されたヘッドマウント可視化ユニット及び改良された可視化システムを記述することである。
【0009】
上述の目的は、主請求項及び等位請求項の主題により実現された。当該目的を実現するための有利な改良は従属請求項に記述されている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
少なくとも部分的に光を透過させる光学系を有するヘッドマウント可視化ユニットを提案する。光学系は、ヘッドマウント可視化ユニットのユーザーの第1の目に割り当てられた第1の光チャネル、及びユーザーの第2の目に割り当てられた第2の光チャネルを有している。第1の光チャネルは第1の偏光が施された光放射に対して実質的に透過的且つ第2の偏光が施された光放射に対して実質的に非透過的であり、第1の偏光は第2の偏光にほぼ垂直である。第2の光チャネルは第2の偏光が施された光放射に対して実質的に透過的且つ第1の偏光が施された光放射に対して実質的に非透過的である。偏光子及び光減衰器が少なくとも第1の光チャネルに配置されている。光減衰器はここではユーザーの第1の目に向かう方向で偏光子の下流に配置されている。
【0011】
異なる偏光に対する透過性により、ヘッドマウント可視化ユニットのユーザーは、対応する偏光された画像を左目又は右目にいずれかにより知覚できるようになるため、立体的な印象が得られる。垂直な偏光は直線偏光、例えば水平及び垂直偏光であっても、又は円形偏光、例えば左円及び右円環偏光であってもよい。光減衰器を偏光子の下流に配置することにより、立体的知覚に必要なチャネル分離に影響することなく自然な視野の一部を遮蔽することが可能になる。
【0012】
ヘッドマウント可視化ユニットは特に、外科的手技中の使用に適している場合がある。この文脈において、ヘッドマウント可視化ユニットは外科用HMDと称し得る。特に、ヘッドマウント可視化ユニットは、外科的手技の後で容易に消毒可能なように設計することができる。更に、提案するヘッドマウント可視化ユニットは、立体画像をヘッドマウント可視化ユニット自体で生成する必要が無いため、より軽量化することが可能である。ヘッドマウント可視化ユニットは従って、公知のヘッドマウント可視化ユニットよりもエネルギー消費を低減させることができ、同じ電池容量で手術中により長時間使用でき、又はより軽量なヘッドマウント可視化ユニットを提供することができる。
【0013】
例示的な一実施形態において、偏光子は直線偏光フィルタを有している。例えば、偏光フィルタは垂直偏光された光だけを透過させるべく構成することができる。
【0014】
別の構成によれば、偏光子はλ/4プレートを含み、当該λ/4プレートはユーザーの第1の目に向かう方向で直線偏光フィルタの上流に配置されている。後続の直線偏光フィルタの配置に関連してλ/4プレートの速軸の向きに応じて、偏光子は左円偏光された又は右円偏光された光を透過させるべく並んでいてよく、直線偏光フィルタの下流の光は直線偏光されている。
【0015】
光減衰器は制御可能な液晶層を有していてもよい。液晶層は、1個以上の制御可能な液晶画素を含んでいてもよい。このように、液晶層の異なる複数の点の、入射光線に対する効果に影響を及ぼし得るようにすることができる。
【0016】
光減衰器は、直線出力偏光フィルタ及び直線入力偏光フィルタを有していてもよい。例示的な複数の実施形態において、光減衰器の入力偏光フィルタは偏光子の直線偏光フィルタと同一であってよい。このように、光学系の光学素子を必要に応じて省略することができる。これによりヘッドマウント可視化ユニットを軽量化し、恐らくより高い費用対効果で製造することができるようになる。
【0017】
液晶層を形成して追加的情報を第1のチャネルに重ね合わせることができる。例えば、液晶画素は、ヘッドマウント可視化ユニットのユーザーに追加的なパラメータを表示すべく異なる仕方で制御することができる。
【0018】
ヘッドマウント可視化ユニットの複数の構成において、第1のチャネルで追加的情報を表示可能なディスプレイ装置を提供する。
【0019】
ヘッドマウント可視化ユニットは、ディスプレイ装置に表示された追加的情報を第1のチャネルに重ね合わせるミラーを含んでいてよく、当該ミラーはユーザーの第1の目に向かう方向で光減衰器の下流に配置されている。
【0020】
ディスプレイ装置に表示された追加的情報を第1のチャネルに重ね合わせるべく導波管を提供することも考えられ、当該導波管はユーザーの第1の目に向かう方向で光減衰器の下流に配置されている。その結果、光減衰器により、特に極めて明るい環境内で追加的情報を知覚し易くすることができる。
【0021】
上述のようなヘッドマウント可視化ユニット及び画面を有する可視化システムを更に提案するものであり、当該画面はサンプル画像を立体視的に再生すべく第1の偏光が施された第1の画像及び第2の偏光が施された第2の画像を提示すべく構成されている。例えば、異なる偏光でラインごとに光を発する画面を用いることができる。
【0022】
一構成において、可視化システムは外科用顕微鏡又は内視鏡を有しており、外科用顕微鏡又は内視鏡はサンプル画像を立体視的に記録する画像記録装置を有している。
【0023】
本発明の複数の態様について図面を参照しながら以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】可視化システムを示す。
図2】ヘッドマウント可視化ユニットを示す。
図3】光学系を示す。
図4】光学系を示す。
図5】光学系を示す。
図6】光学系を示す。
図7】光学系を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1に、OP部位(図示せず)の3次元画像データを記録できる外科用顕微鏡1004を含む可視化システム1000を示す。外科用顕微鏡1004は制御装置1005に接続されている。制御装置1005は、外科用顕微鏡1004から3次元画像データを受信して、例えば3Dモニタ1003に表示することができる。外科医1002は、ヘッドマウント可視化ユニット1001を用いて、3Dモニタ1003に表示された画像を立体視的に知覚することができる。ヘッドマウント可視化ユニットは、制御装置1005との間で追加的情報を交換すべく構成することができる。必要ならば、当該追加的情報を外科医1002に追加的に提示することができる。
【0026】
図2に、可視化ユニット1001の更なる詳細を一例として示す。特に、可視化ユニット1001は、部分的に光を透過させる光学系2000を有していてもよい。ヘッドマウント可視化ユニットのユーザー1002の第1の目に第1のチャネルを割り当て、ユーザー1002の他方の目に第2のチャネルを割り当てることができる。
【0027】
図2に、例示的に、追加的情報を各チャネルに重ね合わせることができる二つの変型例を示す。例えば、部分的に透過するミラー2022を介してディスプレイ装置2021からの画像を一つのチャネルに重ね合わせることが考えられる。しかし、ディスプレイ装置2011、ミラー2012、及び導波管2013を用いて、追加的情報を光チャネルに重ね合わせることも可能であり得る。
【0028】
図3に、ヘッドマウント可視化ユニットの素子をより詳細に示す。ヘッドマウント可視化ユニットは、ユーザー1002の第1の目に割り当てられた第1の光チャネル3100、及びユーザー1002の第2の目に割り当てられた第2の光チャネル3200を有している。画面1003は、第1の偏光及び第2の偏光が施された画像を提示することができる。第1の偏光は、例えば、図3の上向きの矢印で示すような垂直偏光、図3の円で示すような水平偏光であってよい。ヘッドマウント可視化ユニットは、第1の光チャネル3100内に偏光子3110を、及び偏光子3110とユーザー1002の目の間に光減衰器3120を有している。偏光子3110は、垂直に偏光する光だけを通過させる直線偏光フィルタ3111を含んでいる。光減衰器3120は、入力偏光フィルタ3121及び出力偏光フィルタ3123を有している。個別に制御可能な複数の液晶画素(図示せず)を有する液晶層3122が、入力偏光フィルタ3121と出力偏光フィルタ3123の間に配置されている。液晶層3122は垂直偏光を回転させ、その結果液晶層の下流に垂直及び水平偏光の線形結合が生じる。この場合、液晶層3122を適切に制御することにより回転の程度を変えることができる。出力偏光フィルタ3123は、垂直偏光された光だけを確実に透過させる。従って、液晶層3122は入力偏光フィルタ3121及び出力偏光フィルタ3123との組み合わせにより光を減衰させる。
【0029】
同様に、第2の光チャネル3200は、直線偏光フィルタ3211を有する偏光子3210と、入力偏光フィルタ3221、液晶層3222、及び出力偏光フィルタ3223を有する光減衰器3220とを含んでいる。第1のチャネル3100とは対照的に、第2のチャネル3200は水平偏光された光だけを透過させる。従って、画面1003に表示された画像をヘッドマウント可視化ユニットのユーザーが立体視的に知覚できるようにするチャネル分離が生じる。
【0030】
図4に、第1のチャネル4100及び第2のチャネル4200を有する部分的に光を透過させる光学系を更に示す。第1のチャネルは偏光子4110と、その後段に配置された光減衰器4120を有している。偏光子4110の直線偏光フィルタ4111は従って光減衰器4120の入力偏光フィルタと同一である。光減衰器4120は更に、液晶層4122及び出力偏光フィルタ4123を有している。
【0031】
チャネル4100もまた、垂直偏光された光に対して実質的に透過的である。光学系は更に、偏光子4210及び光減衰器4220を有する第2のチャネル4200を有している。偏光子4210の直線偏光フィルタ4211もまた、光減衰器4220の入力偏光フィルタと同一である。光減衰器4220はまた、液晶層4222及び出力偏光フィルタ4223を有している。第1のチャネル4100とは対照的に、第2のチャネル4200は水平偏光された光だけに対して実質的に透過的である。
【0032】
図4の光学系により、図3の光学系と比較して、第1及び第2のチャネル両方の直線偏光フィルタを省略することが可能になる。
【0033】
図5に、左円偏光及び右円偏光された画像を生成する3Dモニタに適した更なる光学系を示す。円偏光を使用することにより、ヘッドマウント可視化ユニットのユーザーは、たとえ頭部を傾けても、各ケースで左右のチャネルに割り当てられた画像を依然として明瞭に分離できる利点が得られる。
【0034】
図5による光学系は、第1のチャネル5100及び第2のチャネル5200を有している。偏光子5110及び光減衰器5120は第1のチャネル5100に配置されている。偏光子は直線偏光フィルタ5111及びλ/4プレート5112を含んでいる。直線偏光フィルタ5111はλ/4プレート5112とヘッドマウント可視化ユニットのユーザー1002の目の間に配置されている。偏光子5110は右円偏光された光だけを透過させるが、これは垂直偏光された光が偏光子5110の下流にあることを意味する。入力偏光子5121、液晶層5122及び出力偏光フィルタ5123の支援により、光減衰器5120の前に到着する光を減衰させる。
【0035】
同様に、第2のチャネル5200は偏光子5210及び光減衰器5220を有している。偏光子5210はλ/4プレート5212を含み、λ/4プレート5212とヘッドマウント可視化ユニットのユーザー1002の目の間に配置された直線偏光フィルタ5211を有している。偏光子5210は、左円光だけを偏光子5210を通過させて、水平偏光された光として偏光子5210の下流に存在させる効果を有している。水平偏光された光は次いで、入力偏光フィルタ5221、液晶層5222、及び出力偏光フィルタ5223により減衰される。
【0036】
図6に、円偏光と合わせて用いることができるヘッドマウント可視化ユニットの更なる例を示す。ヘッドマウント可視化ユニットの光学系はこの場合も第1のチャネル6100及び第2のチャネル6200を有している。
【0037】
第1のチャネル6100の偏光子6110及び第2のチャネル6200の偏光子6210は、同一のλ/4プレート6112/6212を共有している。更に、光減衰器6120の入力偏光フィルタは偏光子6110の直線偏光フィルタ6111と同一であり、光減衰器6220の入力偏光フィルタ6211は偏光子6210の直線偏光フィルタ6211と同一である。λ/4プレート6112/6212の速軸に対する光減衰器6120及び6220の並びが異なるため、右円光だけが第1のチャネル6100を通過でき、左円光だけが第2のチャネル6200を通過できる。
【0038】
図7に、ヘッドマウント可視化ユニットの更なる詳細を示す。
【0039】
光減衰器4120の入力偏光フィルタが図4の偏光子4110の直線偏光フィルタ4111と同一であるのと同様に、図7に従う例示的な実施形態において、光減衰器7120の入力偏光フィルタ7111は偏光子7110の直線偏光フィルタと同一であり、光減衰器7220の入力偏光フィルタは偏光子7210の直線偏光フィルタ7211と同一である。第1のチャネル7100の光減衰器7120は、第2のチャネルの光減衰器7220と同一である。直線偏光フィルタ7111/7211に対するλ/4プレート7112及び7212の並びが異なるため、右円偏光されてλ/4プレート7112に入射した第1のチャネル7100内の光は第1のチャネル7100を通過でき、左円偏光されてλ/4プレート7212に入射した光は第2のチャネル7200を通過できる。従って、図7による光学系もまたチャネル分離を可能にし、その結果ヘッドマウント可視化ユニットのユーザーは画面に表示された3次元画像データを立体視的に知覚することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7