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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】部品実装システム
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20240418BHJP
【FI】
H05K13/04 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022560612
(86)(22)【出願日】2020-11-06
(86)【国際出願番号】 JP2020041607
(87)【国際公開番号】W WO2022097288
(87)【国際公開日】2022-05-12
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三治 満
(72)【発明者】
【氏名】石川 浩平
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-71137(JP,A)
【文献】特開平11-177281(JP,A)
【文献】国際公開第2014/068712(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被装着部のいずれかに装着されたフィーダから供給される部品を取り出して実装する実装ジョブを実行する部品実装機を備え、前記部品実装機が実行すべき複数の実装ジョブを管理する部品実装システムであって、
想定される複数の順序でそれぞれ前記部品実装機が前記複数の実装ジョブを実行した場合に連続する前後の実装ジョブ同士で使用される部品が共通する割合の合計値または最低値を求め、前記複数の順序でそれぞれ求めた前記合計値または前記最低値に基づいて前記複数の実装ジョブの実行順序を決定する実行順序決定部と、
前記実行順序決定部により決定された実行順序で連続する前後の実装ジョブを切り替えるに際して、前の実装ジョブで使用された部品のうち後の実装ジョブで使用される部品に共通する部品を収容したフィーダを前記被装着部に保持し、前記後の実装ジョブで使用される部品のうち前記前の実装ジョブで使用された部品に共通しない部品を収容したフィーダを前記複数の被装着部のうち空いている被装着部である空き被装着部に装着するジョブ切替部と、
を備える部品実装システム。
【請求項2】
請求項1に記載の部品実装システムであって、
前記実行順序決定部は、前記複数の順序の中から前記合計値または前記最低値が最も大きい順序を前記実装ジョブの実行順序に決定する、
部品実装システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の部品実装システムであって、
前記部品実装機は、前記部品を撮像する撮像装置を有し、前記フィーダから取り出した部品を前記撮像装置で撮像した後、実装するものであり、
前記ジョブ切替部は、前記後の実装ジョブで使用される部品のうち前記前の実装ジョブで使用された部品に共通しない部品を収容したフィーダを、前記撮像装置に近い方の前記空き被装着部に装着する、
部品実装システム。
【請求項4】
請求項1ないし3いずれか1項に記載の部品実装システムであって、
前記ジョブ切替部は、前記後の実装ジョブで使用される部品のうち前記前の実装ジョブで使用された部品に共通しない部品を収容したフィーダを、当該前の実装ジョブの実行中に装着し、前記前の実装ジョブの実行が終了して前記後の実装ジョブの実行が開始されると、当該後の実装ジョブの実行中に前記前の実装ジョブで使用された部品のうち前記後の実装ジョブで使用されない部品を収容したフィーダを回収すると共に回収によって生じた空き被装着部を含む複数の空き被装着部の間で前記後の実装ジョブで使用される部品を収容したフィーダの装着位置を変更する、
部品実装システム。
【請求項5】
請求項1ないし4いずれか1項に記載の部品実装システムであって、
前記ジョブ切替部は、前記部品実装機の前記複数の被装着部に対して個別にフィーダを交換するフィーダ交換装置を有する、
部品実装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、部品実装システムについて開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数種類の基板の生産順序を設定し、設定した生産順序に従って基板をセットして部品を実装する表面実装機が知られている。例えば、特許文献1には、複数種類のプリント基板のうち最初に実装処理を行なうプリント基板を基準とし、それ以降に生産するプリント基板の種類を、先に実装処理を行なうプリント基板に対して実装部品に重複する部品の種類が多く、更にその重複する部品を供給するテープフィーダの位置に重複するものが多い順に設定するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-159160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、部品を実装する実装ジョブの実行順序(生産順序)を、先に実装処理を行なうプリント基板に対して実装部品に重複する部品の種類が多い順にすることが必ずしも適切な順序とならない場合がある。段取り替えは、例えば、実行中の実装ジョブが終了すると、実行中の実装ジョブで使用されたフィーダのうち次の実装ジョブで使用されるフィーダを部品実装機に保持すると共に次の実装ジョブで使用されない使用済みのフィーダを部品実装機から取り出し、次の実装ジョブで使用される新たなフィーダを部品実装機に取り付けることにより行なわれる。この場合、実装ジョブの実行順序を、前の実装ジョブに対して実装部品に重複する部品の種類が多い順にすると、最後の実装ジョブへの段取り替えに際しては、重複する部品の種類が最も少なくなるため、フィーダの交換本数が多くなり、生産開始までに長い待ち時間が発生するおそれがある。
【0005】
本開示は、複数の実装ジョブを順次実行するものにおいて、実装ジョブの切り替えに際して一部の実装ジョブ間で長い待ち時間が発生するのを抑制して生産効率を向上させることができる部品実装システムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示の部品実装システムは、
複数の被装着部のいずれかに装着されたフィーダから供給される部品を取り出して実装する実装ジョブを実行する部品実装機を備え、前記部品実装機が実行すべき複数の実装ジョブを管理する部品実装システムであって、
想定される複数の順序でそれぞれ前記部品実装機が前記複数の実装ジョブを実行した場合に連続する前後の実装ジョブ同士で使用される部品が共通する割合の合計値または最低値を求め、前記複数の順序でそれぞれ求めた前記合計値または前記最低値に基づいて前記複数の実装ジョブの実行順序を決定する実行順序決定部と、
前記実行順序決定部により決定された実行順序で連続する前後の実装ジョブを切り替えるに際して、前の実装ジョブで使用された部品のうち後の実装ジョブで使用される部品に共通する部品を収容したフィーダを前記被装着部に保持し、前記後の実装ジョブで使用される部品のうち前記前の実装ジョブで使用された部品に共通しない部品を収容したフィーダを前記複数の被装着部のうち空いている被装着部である空き被装着部に装着するジョブ切替部と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本開示の部品実装システムでは、複数の実装ジョブを実行する場合に各実装ジョブ間で段取り替えに要する時間を平準化することができる。この結果、実装ジョブの切り替えに際して一部の実装ジョブ間で長い待ち時間が発生するのを抑制することができ、生産効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】部品実装システムの概略構成図である。
図2】部品実装機とフィーダの概略構成図である。
図3】フィーダの概略構成図である。
図4】ローダの概略構成図である。
図5】部品実装システムの電気的な接続関係を示すブロック図である。
図6】ジョブ実行順序決定処理の一例を示すフローチャートである。
図7】複数のジョブの実行順序の一例とその順序で複数のジョブを実行した場合の連続する前後2つのジョブ間で使用される部品の共通度とを示す説明図である。
図8】複数のジョブをグループ分けした場合のグループ毎のジョブを示す説明図である。
図9】グループ単位でフィーダを一括交換する場合のグループ毎のフィーダの配置の様子を示す説明図である。
図10】比較例の実行順序で複数のジョブを実行する場合にジョブの切り替えに必要なフィーダの交換本数を示す説明図である。
図11】本実施形態の実行順序で複数のジョブを実行する場合にジョブの切り替えに必要なフィーダの交換本数を示す説明図である。
図12】ジョブ切替処理の一例を示すフローチャートである。
図13】ジョブの切り替えの様子を示す説明図である。
図14】変形例のジョブ実行順序決定処理を示すフローチャートである。
図15】変形例のジョブ切替処理を示すフローチャートである。
図16】ジョブの実行中にフィーダを入れ替える様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本開示を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、部品実装システムの概略構成図である。図2は、部品実装機とフィーダの概略構成図である。図3は、フィーダの概略構成図である。図4は、ローダの概略構成図である。図5は、部品実装システムの電気的な接続関係を示すブロック図である。なお、図1および図2中、左右方向をX軸方向とし、前後方向をY軸方向とし、上下方向をZ軸方向とする。
【0012】
部品実装システム10は、半田が印刷された基板Sに部品を実装することで実装済み基板を生産するものであり、図1に示すように、印刷装置12と、印刷検査装置14と、複数の部品実装機20と、実装検査装置(図示せず)と、ローダ50と、フィーダ保管庫60と、システム全体を管理する管理装置80と、を備える。印刷装置12は、基板Sの表面に半田を印刷する。印刷検査装置14は、印刷装置12で印刷された半田の状態を検査する。部品実装機20は、フィーダ30から供給された部品を吸着ノズル(採取部材)でピックアップして基板Sに実装する。実装検査装置は、部品実装機20で実装された部品の実装状態を検査する。フィーダ保管庫60は、部品実装機20で使用予定のフィーダ30や使用済みのフィーダ30を保管する。印刷装置12と印刷検査装置14とフィーダ保管庫60と部品実装機20と実装検査装置は、基板Sの搬送方向に沿って上流からこの順に整列されて生産ラインを構成する。生産ラインには、基板Sの搬送レーンとして、平行に延びる2つの搬送レーンが設けられている。
【0013】
部品実装機20は、図2に示すように、基板SをX軸方向に搬送する基板搬送装置22と、ヘッド25と、ヘッド25を水平方向(XY軸方向)に移動させるヘッド移動装置24と、実装制御装置29(図5参照)と、を備える。基板搬送装置22は、2つの搬送レーンのそれぞれにおいて基板Sを搬送する。ヘッド25は、図示しないが、部品を吸着する吸着ノズルと、ボールねじ機構やモータなどにより当該吸着ノズルを昇降させる昇降装置と、を有する。ヘッド移動装置24は、ヘッド25が取り付けられるスライダ24aと、ボールねじ機構などを介してスライダ24aを水平方向(XY軸方向)に移動させる図示しないモータと、を有する。
【0014】
また、部品実装機20は、この他に、マークカメラ26やパーツカメラ27なども備える。マークカメラ26は、基板Sの位置を検知するために、基板Sに付された基準マークを上方から撮像するものである。パーツカメラ27は、吸着ミスや吸着ずれを検知するために、吸着ノズルに吸着された部品を下方から撮像するものである。
【0015】
実装制御装置29は、図5に示すように、周知のCPU29aやROM29b、HDD29c、RAM29dなどで構成される。実装制御装置29は、マークカメラ26やパーツカメラ27からの画像信号などを入力する。また、実装制御装置29は、基板搬送装置22やヘッド25、ヘッド移動装置24などに駆動信号を出力する。
【0016】
実装制御装置29のCPU29aは、部品を基板Sに実装するジョブ(実装ジョブ)を実行するに際して、フィーダ30から供給される部品の上方へヘッド25が移動するようヘッド移動装置24を制御する。続いて、CPU29aは、昇降装置により吸着ノズルを下降させて当該吸着ノズルに部品が吸着するようヘッド25を制御する。CPU29aは、吸着ノズルに吸着させた部品がパーツカメラ27の上方へ移動するようヘッド移動装置24を制御し、当該部品をパーツカメラ27で撮像する。CPU29aは、部品の撮像画像を処理して当該部品の吸着ずれ量を測定し、測定した吸着ずれ量に基づいて基板Sへの部品の実装位置を補正する。そして、CPU29aは、ノズルに吸着させた部品が補正した実装位置の上方へ移動するようヘッド移動装置24を制御し、昇降装置により吸着ノズルを下降させて部品が基板Sに実装されるようヘッド25を制御する。
【0017】
フィーダ30は、図3に示すように、矩形状のカセット式のテープフィーダであり、フィーダ台40に着脱可能に保持される。このフィーダ30は、テープリール32と、テープ送り機構33と、コネクタ35と、レール部材37と、フィーダ制御装置39(図5参照)と、を備える。テープリール32は、テープ31が巻回されている。テープ31には、その長手方向に沿って所定間隔置きにキャビティが形成されている。各キャビティには、部品が収容されている。これらの部品は、テープ31の表面を覆うフィルムによって保護されている。テープ送り機構33は、テープリール32からテープ31を引き出して部品供給位置へ送り出すものである。テープ31に収容された部品は、部品供給位置の手前でフィルムが剥がされることで部品供給位置にて露出した状態となり、ヘッド25(吸着ノズル)により吸着される。コネクタ35の両脇には、取付方向に突出する2本の位置決めピン34を有する。レール部材37は、フィーダ30の下端に設けられ、取付方向に延びている。フィーダ制御装置39は、周知のCPUやROM、RAMなどで構成され、テープ送り機構33(送りモータ)に駆動信号を出力する。また、フィーダ制御装置39は、コネクタ35を介してフィーダ30の取付先の制御部(実装制御装置29や管理装置80など)と通信可能となっている。
【0018】
フィーダ台40は、図2に示すように、側面視がL字状の台であり、スロット42と、2つの位置決め穴44と、コネクタ45と、を有する。スロット42には、フィーダ30のレール部材37が挿入される。2つの位置決め穴44には、フィーダ30の2本の位置決めピン34が挿入され、フィーダ30がフィーダ台40に位置決めされる。コネクタ45は、2つの位置決め穴44の間に設けられ、フィーダ30のコネクタ35と接続される。
【0019】
ローダ50は、図1に示すように、複数の部品実装機20の前面およびフィーダ保管庫60の前面に基板Sの搬送方向(X軸方向)に対して平行に設けられたガイドレール18に沿って移動し、各部品実装機20とフィーダ保管庫60との間でフィーダ30の交換を行なう。ローダ50は、図4に示すように、ローダ移動装置51とフィーダ移載装置53とを備える他、図5に示すように、位置センサ57や監視センサ58、ローダ制御装置59を備える。ローダ移動装置51は、ローダ50を移動させるための駆動用ベルトを駆動するX軸モータ52aと、ガイドレール18上を転動するガイドローラ52bと、を有する。
【0020】
フィーダ移載装置53は、ローダ50と部品実装機20のフィーダ台40とが向かい合う位置において、両者の間でフィーダ30を移載するものである。このフィーダ移載装置53は、フィーダ30をクランプするクランプ部54と、クランプ部54をY軸ガイドレール55bに沿って移動させるY軸モータ55aとを含むY軸スライダ55を有する。フィーダ30をローダ50から部品実装機20へ移載するに際して、フィーダ移載装置53は、ローダ50内のフィーダ30をクランプ部54でクランプし、Y軸モータ55aによりY軸スライダ55(クランプ部54)をフィーダ台40に近接する方向(図4中、後方)へスライドさせ、クランプ部54のクランプを解除する。これにより、フィーダ30は、そのレール部材37がフィーダ台40のスロット42に挿入されて、当該フィーダ台40に取り付けられる。また、フィーダ30を部品実装機20からローダ50へ移載するに際して、フィーダ移載装置53は、Y軸モータ55aによりY軸スライダ55をフィーダ台40に近接する方向へスライドさせ、当該フィーダ台40に取り付けられているフィーダ30をクランプ部54でクランプする。そして、フィーダ移載装置53は、Y軸モータ55aによりY軸スライダ55をフィーダ台40から離間する方向(図4中、前方)へスライドさせ、ローダ50内でクランプ部54のクランプを解除する。これにより、フィーダ30は、フィーダ台40から取り外されて、ローダ50内に回収される。
【0021】
位置センサ57は、ローダ50の左右方向(X軸方向)の移動位置を検出するエンコーダである。監視センサ58は、ローダ50の左右方向(X軸方向)における障害物(作業者)の有無を監視するものであり、例えばレーザスキャナとして構成される。ローダ制御装置59は、周知のCPUやROM、RAMなどで構成され、位置センサ57や監視センサ58から検知信号を入力し、ローダ移動装置51やフィーダ移載装置53に駆動信号を出力する。
【0022】
フィーダ保管庫60は、複数のフィーダ30を保管するために、上述した部品実装機20のフィーダ台40と同じ構成のフィーダ台40が、当該部品実装機20のフィーダ台40と同じ高さに設けられている。このため、ローダ50は、フィーダ保管庫60と向かい合う位置において、部品実装機20のフィーダ台40に対してフィーダ30を着脱するのと同じ動作で、フィーダ保管庫60のフィーダ台40に対してフィーダ30を着脱することができる。なお、フィーダ保管庫60の後方(背面側)には、印刷検査装置14から払い出された基板Sを複数の部品実装機20のうち最上流の部品実装機20へ受け渡すための基板搬送装置62が設けられている。
【0023】
ローダ50のローダ制御装置59は、フィーダ保管庫60におけるフィーダ30の保管位置と部品実装機20におけるフィーダ30の装着位置との指定を伴って段取り替えや部品切れしたフィーダ30の交換が指示されると、フィーダ保管庫60の指定された保管位置と向かい合う位置を目標位置として当該目標位置までローダ50が移動するようローダ移動装置51を制御する。ローダ50が目標位置に到着すると、ローダ制御装置59は、フィーダ保管庫60から指定された保管位置にあるフィーダ30をローダ50内に移載するようフィーダ移載装置53を制御する。次に、ローダ制御装置59は、部品実装機20の指定された装着位置と向かい合う位置を目標位置として当該目標位置までローダ50が移動するようローダ移動装置51を制御する。ローダ50が目標位置に到着すると、ローダ制御装置59は、フィーダ30を部品実装機20の指定された装着位置に装着するようフィーダ移載装置53を制御する。また、ローダ制御装置59は、必要に応じて部品実装機20から使用済みのフィーダ30を回収するようフィーダ移載装置53を制御する。なお、ローダ制御装置59は、ローダ50の走行中に監視センサ58により障害物が検知されると、障害物が検知されなくなるまで、走行を停止する。
【0024】
管理装置80は、汎用のコンピュータであり、図5に示すように、CPU81と、ROM82と、HDD83(記憶装置)と、RAM84と、を備える。管理装置80には、キーボードやマウスなどの入力デバイス85と、ディスプレイ86と、が電気的に接続される。HDD83には、生産スケジュールの他、生産に必要な各種情報として、フィーダ保有情報や、ジョブ(実装ジョブ)情報、ステータス情報などが記憶されている。これらの情報は、部品実装機20ごとに管理されている。ここで、生産スケジュールは、各部品実装機20において、どの基板Sにどの部品をどの順番で実装するか、また、そのように実装した基板S(製品)を何枚作製するかなどを定めたスケジュールである。また、フィーダ保有情報は、各部品実装機20やフィーダ保管庫60が保有するフィーダ30に関する情報である。このフィーダ保有情報には、フィーダ30の装着位置の位置情報(スロット番号)やフィーダ30のID情報、フィーダ30に収容されている部品種の情報、残り部品数の情報などが含まれ、これらの情報は、部品実装機20ごとに、互いに関連付けられてHDD83に記憶されている。フィーダ保有情報は、生産中に各部品実装機20の実装制御装置29から管理装置80に取得されて適宜更新される。ジョブ情報は、各部品実装機20に対する実装指示(基板種の生産指示)に関する情報である。このジョブ情報には、吸着ノズルの種類や実装する部品の種類(部品種)およびサイズ、実装位置などが含まれ、これらの情報は、ジョブごとに、互いに関連付けられてHDD83に記憶されている。ステータス情報は、各部品実装機20の動作状況を示す情報である。このステータス情報には、生産中や、段取り替え中、異常発生中などが含まれる。ステータス情報は、各部品実装機20から管理装置80に取得されて適宜更新される。
【0025】
管理装置80は、実装制御装置29と有線により通信可能に接続され、各部品実装機20と各種情報のやり取りを行なう。管理装置80は、各部品実装機20から動作状況を受信してステータス情報を最新の情報に更新する。また、管理装置80は、各部品実装機20のフィーダ台40に取り付けられたフィーダ30のフィーダ制御装置39と実装制御装置29を介して通信可能に接続される。管理装置80は、フィーダ30が部品実装機20から取り外されたり、新たなフィーダ30が部品実装機20に取り付けられたりしたときに、対応する部品実装機20から着脱状況を受信してフィーダ保有情報を最新の情報に更新する。さらに、管理装置80は、ローダ制御装置59と無線により通信可能に接続され、ローダ50と各種情報のやり取りを行なう。また、管理装置80は、この他、印刷装置12や印刷検査装置14、実装検査装置の各制御装置とも通信可能に接続され、対応する機器からの各種情報のやり取りも行なう。
【0026】
次に、こうして構成された部品実装システム10の動作について説明する。特に、各部品実装機20が複数のジョブ(複数の基板種の生産)を実行する際の実行順序を決定する動作と、決定した実行順序に従って実行されるジョブを切り替える際の動作について説明する。図6は、管理装置80のCPU81により実行されるジョブ実行順序決定処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、入力デバイス85を介して複数のジョブの実行が要求されたときに実行される。
【0027】
ジョブ実行順序決定処理が実行されると、管理装置80のCPU81は、まず、実行すべき複数のジョブの実行順序として仮の実行順序を設定する(ステップS100)。続いて、CPU81は、仮の実行順序でジョブを実行した場合に連続する前後2つのジョブ間において使用される部品の共通度をジョブ毎に算出し(ステップS110)、算出した共通度の合計値を算出する(ステップS120)。ここで、共通度は、後のジョブで使用される部品(フィーダ)のうち前のジョブで使用された部品(フィーダ)と同一の部品種であるものの割合(%)を示すものであり、各ジョブに含まれる部品種の情報に基づいて求めることができる。
【0028】
次に、CPU81は、想定される全ての順序で共通度の合計値の算出が完了したか否かを判定する(ステップS130)。CPU81は、想定されるいずれかの順序で共通度の合計値の算出が完了していないと判定すると、ステップS100に戻り、別の仮の実行順序を設定して、その実行順序における共通度の算出とその合計値の算出とを繰り返し実行する。
【0029】
CPU81は、ステップS130において、想定される全ての順序で共通度の合計値の算出が完了したと判定すると、共通度の合計値が最も高かった順序をジョブの実行順序に決定して(ステップS140)、ジョブ実行順序決定処理を終了する。
【0030】
図7は、複数(6つ)のジョブの実行順序の一例とその順序で複数のジョブを実行した場合の連続する前後2つのジョブ間で使用される部品の共通度とを示す説明図である。6つのジョブJOB_A~JOB_Fの実行が要求されると、CPU81は、仮の実行順序を設定し、設定した仮の実行順序で連続する前後2つのジョブ間(図中、JOB_AとJOB_Bとの間、JOB_BとJOB_Cとの間、JOB_CとJOB_Dとの間、JOB_DとJOB_Eとの間およびJOB_EとJOB_Fとの間)で使用される部品の共通度を求め、その合計値を算出する。更に、CPU81は、想定される全ての実行順序において合計値の算出が完了するまで、順序を変えて、連続する前後2つのジョブ間で使用される部品の共通度を求め、その合計値を算出する。そして、CPU81は、全ての順序においてそれぞれ求めた合計値のうち最も値が高かった順序を、ジョブの実行順序に決定する。
【0031】
図8は、複数のジョブをグループ分けした場合のグループ毎のジョブを示す説明図である。図9は、グループ単位でフィーダを一括交換する場合のグループ毎のフィーダの配置の様子を示す説明図である。図10および図11は、それぞれ比較例、本実施形態の実行順序で複数のジョブを実行する場合にジョブの切り替えに必要なフィーダの交換本数を示す説明図である。比較例では、図8および図9に示すように、一括交換するフィーダ30群をグループとして、実行すべき6つのジョブJOB_A~JOB_Fを第1グループと第2グループの2つに分け、最初に実行する第1グループのジョブJOB_A~JOB_Cで使用されるフィーダ30群をフィーダ台40に取り付け、第1グループのジョブJOB_A~JOB_Cの実行が終了すると、フィーダ台40に取り付けた第1グループのフィーダ30群を取り外し、代わって第2グループのジョブJOB_D~JOB_Fで使用されるフィーダ30群をフィーダ台40に取り付ける。この場合、フィーダ30の交換本数は、同一グループ内でジョブを切り替える場合にはフィーダ30の交換が発生せず、生産中に部品切れした場合にのみフィーダ30の交換が発生する。一方で、グループを跨いでジョブを切り替える場合には、一度に大量のフィーダ30を交換しなければならない。このため、図10に示すように、ジョブ毎のフィーダ30の交換本数に大きな偏りが生じ、局所的にフィーダ30の交換に長い待ち時間が発生してしまう。本実施形態では、フィーダ30の交換作業は、ローダ50によって1本1本行なわれることから、局所的にフィーダ30の交換に長い待ち時間が発生すると、次のジョブの開始が大幅に遅れてしまう。これに対して、本実施形態では、6つのジョブJOB_A~JOB_Fの実行順序として全ての順序を想定し、それぞれの順序で求めた共通度の合計値が最も高かった順序を、ジョブの実行順序に決定する。これにより、図11に示すように、ジョブ毎のフィーダ30の交換本数が平準化されるため、ローダ50によりフィーダ30を1本1本交換するものとしても、フィーダ30の交換に局所的に長い待ち時間が発生するのが抑制され、ジョブをスムーズに切り替えることが可能となる。
【0032】
図12は、管理装置80のCPU81により実行されるジョブ切替処理の一例を示すフローチャートである。管理装置80のCPU81は、まず、今回のジョブが終了したか否かを判定する(ステップS200)。この処理は、ステータス情報を調べることにより行なわれる。続いて、CPU81は、今回のジョブが終了したと判定すると、今回のジョブで使用されたフィーダ30のうち次のジョブで使用されないフィーダ30を回収対象フィーダに設定する(ステップS210)。次に、CPU81は、次のジョブで使用されるフィーダ30のうち今回のジョブで使用されなかったフィーダ30を供給対象フィーダに設定すると共に(ステップS220)、供給対象フィーダの装着位置を設定する(ステップS230)。ステップS230の処理は、回収対象フィーダの回収によって空くスロットを含むフィーダ台40の空きスロットのうちパーツカメラ27に近い位置を供給対象フィーダの装着位置に設定することにより行なわれる。そして、CPU81は、回収対象フィーダの回収指示と設定した装着位置への供給対象フィーダの装着指示とをローダ50(ローダ制御装置59)に送信して(ステップS240)、ジョブ切替処理を終了する。
【0033】
図13は、ジョブの切り替えの様子を示す説明図である。図示するように、ジョブをジョブJOB_EからジョブJOB_Dへ切り替える場合、ローダ50(ローダ制御装置59)は、ジョブJOB_Eで使用されたフィーダ30のうち、次のジョブJOB_Dで使用されるフィーダ30を当該フィーダ30の装着位置にそのまま保持しつつ、次のジョブJOB_Dで使用されないフィーダ30を回収対象フィーダとして回収する。そして、ローダ50(ローダ制御装置59)は、次のジョブJOB_Dで使用される新たなフィーダ30を、回収対象フィーダの回収により空いたスロットを含む空きスロットのうちでパーツカメラ27に近いスロットに取り付ける。上述したように、実装処理では、ヘッド25は、部品の吸着位置からパーツカメラ27の上方を経由して基板Sの実装位置へ移動する。このため、フィーダ30をパーツカメラ27に近づけて配置することで、ヘッド25の移動距離を短縮することができ、実装効率をより高めることができる。
【0034】
ここで、本実施形態の主要な要素と請求の範囲の欄に記載した主要な要素との対応関係について説明する。即ち、本実施形態のフィーダ台40の各スロット42が本開示の被装着部に相当し、部品実装機20が部品実装機に相当し、ジョブ実行順序決定処理を実行する管理装置80のCPU81が実行順序決定部に相当し、ジョブ切替処理を実行する管理装置80のCPU81とローダ50とがジョブ切替部に相当する。また、パーツカメラ27が撮像装置に相当する。また、ローダ50がフィーダ交換装置に相当する。
【0035】
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0036】
例えば、上述した実施形態では、CPU81は、ジョブ実行順序決定処理において、全ての順序で連続する前後2つのジョブ間で使用される部品の共通度を算出し、共通度の合計値が最も高かった順序をジョブの実行順序に決定した。しかし、CPU81は、何からの制約により特定順序の使用が禁止される場合には、特定順序を除いて想定される順序のうち共通度の合計値が最も高い順序をジョブの実行順序に決定してもよい。
【0037】
上述した実施形態では、CPU81は、図6のジョブ順序決定処理を実行することでジョブの実行順序を決定するものとした。しかし、CPU81は、図6に代えて図14のジョブ実行順序決定処理を実行することでジョブの実行順序を決定してもよい。この変形例のジョブ実行順序決定処理のうち図6の処理と同一の処理については同一のステップ番号を付し、その説明は、重複するから省略する。変形例のジョブ実行順序決定処理では、CPU81は、ステップS100,S110で設定した仮の実行順序において連続する前後2つのジョブ間で使用される部品の共通度を算出した後、共通度の最低値を導出する(ステップS120B)。そして、CPU81は、ステップS130において想定される全ての順序で共通度の算出を完了したと判定するまで、上記ステップS100,S110,S120Bを繰り返す。そして、CPU81は、全ての順序で共通度の算出を完了すると、共通度の最低値が最も高い順序をジョブの実行順序に決定して(ステップS140B)、ジョブ実行順序決定処理を終了する。これにより、本実施形態と同様に、ジョブ毎のフィーダ30の交換本数が平準化されるため、フィーダ30の交換に局所的に長い待ち時間が発生するのが抑制され、ジョブをスムーズに切り替えることが可能となる。尚、CPU81は、全ての順序で連続する前後2つのジョブ間の部品の共通度を算出し、共通度の最低値が最も高かった順序をジョブの実行順序に決定した。しかし、CPU81は、何からの制約により特定順序の使用が禁止される場合には、特定順序を除いて想定される順序のうち共通度の最低値が最も高い順序をジョブの実行順序に決定してもよい。
【0038】
上述した実施形態やその変形例では、CPU81は、想定される複数の順序において共通度の合計値や最低値を求め、それぞれの順序で求めた合計値や最低値のうち最も高い順序をジョブの実行順序に決定した。しかし、CPU81は、ジョブ毎のフィーダ30の交換本数を平準化する上で合計値や最低値が最適となる順序を、遺伝的アルゴリズム等の最適化アルゴリズムを用いて導出するようにしてもよい。
【0039】
上述した実施形態では、部品実装機20のフィーダ台40には、実行中のジョブで使用されるフィーダ30のみが取り付けられるものとした。しかし、フィーダ台40には、空きスロットに余裕があれば、実行中のジョブで使用されるフィーダ30に加えて、次に実行するジョブで使用されるフィーダ30も予め装着しておくものとしてもよい。この場合のジョブ切替処理の一例を示すフローチャートを図15に示す。図示するように、ジョブ切替処理では、CPU81は、まず、実行中のジョブの終了前所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS300)。CPU81は、終了前所定時間が経過していないと判定すると、ジョブ切替処理を終了する。一方、CPU81は、終了前所定時間が経過したと判定すると、次のジョブで使用されるフィーダ30を、フィーダ台40の空きスロットに供給(装着)するよう供給指示をローダ制御装置59に送信する(ステップS310)。ここで、終了前所定時間は、供給すべきフィーダ30の本数等に基づいてローダ50が当該本数のフィーダ30をフィーダ台40に取り付けるのに要する所要時間を予め求めることにより、その所要時間に基づいて定めることができる。
【0040】
次に、CPU81は、実行中のジョブの開始後所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS320)。ここで、開始後所定時間は、実行中のジョブが開始した直後のタイミングや、ジョブが開始してから所定時間が経過したタイミングとなるように定められる。CPU81は、開始後所定時間が経過していないと判定すると、ジョブ切替処理を終了する。一方、CPU81は、開始後所定時間が経過したと判定すると、前のジョブで使用されたフィーダ30の回収指示をローダ制御装置59に送信する(ステップS330)。そして、CPU81は、実行中のジョブで使用されるフィーダ30の装着位置を、生産に最適な配置、例えばパーツカメラ27近傍の配置となるように入れ替える入替指示をローダ制御装置59に送信して(ステップS340)、ジョブ切替処理を終了する。
【0041】
入替指示に基づくフィーダ30の入れ替えは、ジョブの実行中に行なわれる。例えば、フィーダ30の入れ替えは、ジョブの実行中に一の基板Sに対して一のフィーダ30の部品の供給が終了してから、当該一のフィーダ30が次の基板Sに対して部品の供給を開始するまでの間に、当該一のフィーダ30の配置を変更するように行なうことができる。また、フィーダ30の入れ替えは、複数(2つ)の搬送レーンに異なる基板種の基板Sをそれぞれ搬送し、単一のヘッド25で順次、実装処理を行なうものにおいて、複数の搬送レーンのうち一方のレーンで実装処理が行なわれている間に、他方のレーンでのみ使用されるフィーダ30の配置を変更するようにして行なうことができる。これにより、ジョブの実行を阻害することなくフィーダ30を効率良く入れ替えることができる。
【0042】
図16は、ジョブの実行中にフィーダを入れ替える様子を示す説明図である。図示するように、変形例では、第1ジョブの実行中に次の第2ジョブで使用されるフィーダ30をフィーダ台40に取り付けておくため、段取り替えに要する時間を短縮することができる。しかし、実行中の第1ジョブで使用されるフィーダ30はフィーダ台40に取り付けられており、次の第2ジョブで使用されるフィーダ30は、フィーダ台40の空きスロット42に取り付けられる。このため、次の第2ジョブで使用されるフィーダ30の配置は、必ずしも、生産に最適な配置とはなっていない。そこで、変形例では、ローダ50(ローダ制御装置59)は、第1ジョブの実行が終了して次の第2ジョブが実行中のジョブに切り替わった際、直前の第1ジョブで使用されたフィーダ30を回収し、その後に、当該実行中の第2ジョブで使用されるフィーダ30を最適な配置に入れ替える。これにより、段取り替えの時間短縮と生産の効率化とを両立させることができる。なお、第2ジョブの実行中に第2ジョブの終了前所定時間が経過すると、ローダ50(ローダ制御装置59)は、次の第3ジョブで使用されるフィーダ30をフィーダ台40の空きスロット42に取り付ける。
【0043】
上述した実施形態では、ヘッド25は、ノズルを昇降可能な昇降装置を備えるものとした。しかし、ヘッド25は、所定の間隔をおいてそれぞれノズルを昇降可能な複数の昇降装置を備えてもよい。この場合、図12のジョブ切替処理のステップS230や図15のジョブ切替処理のステップS340において、複数のフィーダ30は、複数の昇降装置によりそれぞれ昇降させられるノズルの間隔と略同じ間隔で部品を供給可能に配置されてもよい。こうすれば、複数のフィーダ30から供給される複数の部品を複数のノズルで略同時に吸着することが可能となり、実装効率をより高めることができる。
【0044】
以上説明したように、本開示の部品実装システムは、複数の被装着部のいずれかに装着されたフィーダから供給される部品を取り出して実装する実装ジョブを実行する部品実装機を備え、前記部品実装機が実行すべき複数の実装ジョブを管理する部品実装システムであって、想定される複数の順序でそれぞれ前記部品実装機が前記複数の実装ジョブを実行した場合に連続する前後の実装ジョブ同士で使用される部品が共通する割合の合計値または最低値を求め、前記複数の順序でそれぞれ求めた前記合計値または前記最低値に基づいて前記複数の実装ジョブの実行順序を決定する実行順序決定部と、前記実行順序決定部により決定された実行順序で連続する前後の実装ジョブを切り替えるに際して、前の実装ジョブで使用された部品のうち後の実装ジョブで使用される部品に共通する部品を収容したフィーダを前記被装着部に保持し、前記後の実装ジョブで使用される部品のうち前記前の実装ジョブで使用された部品に共通しない部品を収容したフィーダを前記複数の被装着部のうち空いている被装着部である空き被装着部に装着するジョブ切替部と、を備えることを要旨とする。
【0045】
これにより、複数の実装ジョブを実行する場合に各実装ジョブ間で段取り替えに要する時間を平準化することができる。この結果、実装ジョブの切り替えに際して一部の実装ジョブ間で長い待ち時間が発生するのを抑制することができ、生産効率を向上させることができる。
【0046】
こうした本開示の部品実装システムにおいて、前記実行順序決定部は、前記複数の順序の中から前記合計値または前記最低値が最も大きい順序を前記実装ジョブの実行順序に決定するものとしてもよい。こうすれば、段取り替えに要する時間をより適正に平準化することができる。
【0047】
また、本開示の部品実装システムにおいて、前記部品実装機は、前記部品を撮像する撮像装置を有し、前記フィーダから取り出した部品を前記撮像装置で撮像した後、実装するものであり、前記ジョブ切替部は、前記後の実装ジョブで使用される部品のうち前記前の実装ジョブで使用された部品に共通しない部品を収容したフィーダを、前記撮像装置に近い方の前記空き被装着部に装着するものとしてもよい。こうすれば、段取り替えに要する時間を適正に平準化しつつ、実装効率(生産効率)をより高めることができる。
【0048】
さらに、本開示の部品実装システムにおいて、前記ジョブ切替部は、前記後の実装ジョブで使用される部品のうち前記前の実装ジョブで使用された部品に共通しない部品を収容したフィーダを、当該前の実装ジョブの実行中に装着し、前記前の実装ジョブの実行が終了して前記後の実装ジョブの実行が開始されると、当該後の実装ジョブの実行中に前記前の実装ジョブで使用された部品のうち前記後の実装ジョブで使用されない部品を収容したフィーダを回収すると共に回収によって生じた空き被装着部を含む複数の空き被装着部の間で前記後の実装ジョブで使用される部品を収容したフィーダの装着位置を変更するものとしてもよい。こうすれば、段取り替えに要する時間の短縮とフィーダの配置の最適化とを両立させることができ、生産効率を更に高めることができる。
【0049】
また、本開示の部品実装システムにおいて、前記ジョブ切替部は、前記部品実装機の前記複数の被装着部に対して個別にフィーダを交換するフィーダ交換装置を有するものとしてもよい。こうすれば、フィーダの交換を自動化することができ、作業者の負担をより軽減することができる。また、フィーダ交換装置を用いて個別にフィーダを交換する場合において、一部の実装ジョブ間で長い待ち時間が発生するのを抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本開示は、部品実装システムの製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0051】
10 部品実装システム、12 印刷装置、14 印刷検査装置、18 ガイドレール、20 部品実装機、22 基板搬送装置、24 ヘッド移動装置、24a スライダ、25 ヘッド、26 マークカメラ、27 パーツカメラ、29 実装制御装置、30 フィーダ、31 テープ、32 テープリール、33 テープ送り機構、34 位置決めピン、35 コネクタ、37 レール部材、39 フィーダ制御装置、40 フィーダ台、42 スロット、44 位置決め穴、45 コネクタ、50 ローダ、51 ローダ移動装置、52a X軸モータ、52b ガイドローラ、53 フィーダ移載装置、54 クランプ部、55 Y軸スライダ、55a Y軸モータ、55b Y軸ガイドレール、57 位置センサ、58 監視センサ、59 ローダ制御装置、60 フィーダ保管庫、80 管理装置、81 CPU、82 ROM、83 HDD、84 RAM、85 入力デバイス、86 ディスプレイ、S 基板。
図1
図2
図3
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図5
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図10
図11
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図16