(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】規定のセル構造を有するオーセチックポリウレタンフォームの合成方法及びその方法で得られるオーセチックポリウレタンフォーム
(51)【国際特許分類】
C08G 18/00 20060101AFI20240418BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20240418BHJP
【FI】
C08G18/00 F
C08G101:00
(21)【出願番号】P 2022563023
(86)(22)【出願日】2021-04-15
(86)【国際出願番号】 EP2021059827
(87)【国際公開番号】W WO2021209568
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2022-10-21
(32)【優先日】2020-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522404502
【氏名又は名称】スマート・マテリアルズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SMART MATERIALS LIMITED
【住所又は居所原語表記】F15 St.Paul’s Court,Triq Piscopo Macedonia,St.Paul’s Bay,SPB 4235 Malta
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】キース・マリオ・アゾパルディ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・アンソニー・ズエレブ
(72)【発明者】
【氏名】ルーベン・ガット
【審査官】常見 優
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/014782(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第110041019(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G18/00- 18/87
C08G71/00- 71/04
C08L 1/00-101/16
C08K 3/00- 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
規定のセル構造を有するオーセチックポリウレタンフォームの合成方法であって、以下のステップ:
a.ポリオール試薬と発泡試薬を混合し、反応混合物Aを形成するステップ;
b.イソシアネートを反応混合物Aと混合し、反応混合物Bを形成するステップ;
c.内力及び/又は外力を適用することで、反応混合物Bを圧縮及び/又は収縮させるステップ;及び
d.圧縮
及び/又は収縮された反応混合物Bを硬化させるステップ
を含み、
前記発泡試薬は、発泡触媒、発泡剤、ゲル化触媒、界面活性剤、連鎖延長剤、架橋剤の群から選択される1つ以上であり、
オーセチックポリウレタンフォームの合成中の圧縮及び/又は収縮の結果として、内側及び/又は外側に突出するリブを有するポリウレタンフォームセルが生じ、
ステップc及びdは型内で実施され、それによってオーセチックポリウレタンフォームが提供される、方法。
【請求項2】
さらに、ステップbの前に、反応混合物Aに水を添加することを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
さらに、以下のステップ:
(i)反応混合物Bの反応を開始するステップであって、ステップcの前に行われるステップ;
(ii)開始された反応混合物Bを膨張させるステップ;及び
(iv)架橋及び硬化を終了するステップであって、ステップdのサブステップであるステップ
を含む、請求項1
又は2に記載の方法。
【請求項4】
さらに、反応混合物Bを連続ラインの一部として移動するコンベア上に注ぐステップを含む、請求項1~
3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ステップa及びbは、激しく攪拌することによって独立して実施され、激しく攪拌することは回転速度を含み、ステップa及びbのそれぞれの回転速度は、10rpm~5000rpmの範囲である、請求項1~
4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
ステップaは、最大8時間実施される、請求項1~
5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ステップaは、100℃未満の温度で実施される、請求項1~
6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ステップbは、1秒~130秒の間で実行される、請求項1~
7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
ステップbの前に、反応混合物Aに水を添加することは、1秒~40分の間、激しく攪拌しながら実施される、請求項
2に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリオール試薬は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリアミンポリオール、ポリアミドポリオール、ポリチオエステルポリオール、ポリチオエーテルポリオール、固体支持体ポリオールの群から選択される1つ以上である、請求項1~
9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
式Iのイソシアネートが提供される、請求項1~
10のいずれか1項に記載の方法。
【化1】
(式中、R
1は、アルキル基及び/又は芳香族基を含む。)
【請求項12】
前記イソシアネートは、トリレン-2,4-ジイソシアネート、トリレン-2,6-ジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、O-トリジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートの群から選択される1つ以上である、請求項1~
11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記発泡触媒は第三級アミンを含み、前記第三級アミンは、トリエチレンジアミン、1,3,5-トリス-(3-[ジメチルアミノ]プロピル)-ヘキサ-ヒドロ-1,3,5-トリアジン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N-ジメチルアミノエトキシエタノール、2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル、N,N’-ジメチルピペラジンの群から選択される1つ以上である、請求項
1に記載の方法。
【請求項14】
前記発泡剤は、水、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、炭化水素、イソペンタン、シクロペンタン、窒素、アルゴン、二酸化炭素、ヘリウム、キセノン、ネオン、空気の群から選択される1つ以上である、請求項
1に記載の方法。
【請求項15】
前記ゲル化触媒は、有機金属触媒を含み、前記ゲル化触媒は、オクタン酸第一スズ、ネオデカン酸第一スズ、ジブチルスズジラウレート、酢酸カリウムの群から選択される1つ以上である、請求項
1に記載の方法。
【請求項16】
前記界面活性剤は、シロキサン誘導体及び/又はオキシアルキレン誘導体である、請求項
1に記載の方法。
【請求項17】
前記連鎖延長剤及び/又は架橋剤は、アルコール、アミン、アルコキシシラン、チオール、チオエステルの群から選択される1つ以上である、請求項
1に記載の方法。
【請求項18】
連鎖延長剤及び/又は架橋剤は、グリセロール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンオキシドでキャップされたトリメチロールプロパン、2-(メチルアミノ)エタノール、エチレングリコール、メチルトリメトキシシラン、ジメトキシジメチルシランの群から選択される1つ以上である、請求項
17に記載の方法。
【請求項19】
-3~0の範囲のポアソン比を有するオーセチックポリウレタンフォーム基材が得られる、請求項1~
16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記オーセチックポリウレタンフォーム基材は、5~100cm
3g
-1の範囲の全細孔容積、及び0.001~5.0ミリメートルの範囲の全体平均セルサイズを含む、請求項
19に記載の方法。
【請求項21】
前記オーセチックポリウレタンフォーム基材は独立セルを含む、請求項
19又は
20に記載の方法。
【請求項22】
前記オーセチックポリウレタンフォーム基材は、最大180℃以下のガラス転移温度を有する、請求項
19~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記オーセチックポリウレタンフォーム基材の密度は、10kgm
-3~300kgm
-3の範囲である、請求項
19~22のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、規定のセル構造を有するオーセチックポリウレタンフォームの合成方法、及び本発明による方法によって得られるオーセチックポリウレタンフォーム基材に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンフォームは、最も広く普及している現代の素材の1つである。多くの用途で使用されており、特にクッション、衝撃緩和、フィルタリング、吸音、振動吸収が必要な場合に使用される。
【0003】
オーセチックポリウレタンフォームは、伸ばすと広くなり、つぶすと狭くなる素材である。オーセチックポリウレタンフォームを合成する従来の方法は、熱機械プロセスを含む。
【0004】
さらに、オーセチックポリウレタンフォームを製造するこれらの従来の方法は、変換ステップを含む。変換ステップは、従来のフォームブロックから始まり、次に熱機械的及び/又は化学機械的処理を受け、続いてフォームを二軸又は三軸で繰り返し圧縮、加熱及び冷却する。このようなプロセスには、軸圧に加えて溶媒も用いられる。両方の処理ステップは、フォームのセルに存在するストラットを座屈させる軸方向の圧力を使用し、フォームが冷却/乾燥している間に、セルの形状を変化させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
オーセチックポリウレタンフォームを合成する既知の方法の問題の1つは、それがスケーラブルな化学合成ではないことである。さらに、実際には、従来の熱機械プロセスでは、スケーラブルな合成の限界に直面している。
【0006】
本発明は、前述の問題の1つ又は複数を解決又は少なくとも低減する方法を提供し、規定のセル構造を有するオーセチックポリウレタンフォームの効率的かつ効果的な合成を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、以下のステップを含む、本発明による規定のセル構造を有するオーセチックポリウレタンフォームの合成方法により達成される:
a.ポリオール試薬と発泡試薬を混合し、反応混合物を形成すること;
b.イソシアネートを反応混合物と混合すること;
c.ステップbの反応混合物を圧縮及び/又は収縮させること;及び
d.ステップbの圧縮された反応混合物を硬化させること。
【発明の効果】
【0008】
オーセチック挙動は、合成中、例えば圧縮された反応混合物を硬化させる前のポリウレタンフォームの制御された収縮及び/又は圧縮の結果であることが理解される。ポリマー硬化が完了する前の制御された収縮及び/又は圧縮は、ポリウレタンフォームのセル構造に永久的な変化をもたらし、オーセチックポリウレタンフォームの規定のセル構造が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】
図2は、実験1によって達成されたオーセチックポリウレタンフォームの顕微鏡写真を示す。
【
図3】
図3は、実験1によって達成されたオーセチックポリウレタンフォームの横方向のひずみに対する軸方向のひずみを示す。
【
図4】
図4は、実験1によって達成されたオーセチックポリウレタンフォームの応力に対するひずみを示す。
【
図5】
図5は、実験2によって達成されたオーセチックポリウレタンフォームの顕微鏡写真を示す。
【
図6】
図6は、実験2によって達成されたオーセチックポリウレタンフォームの横方向のひずみに対する軸方向のひずみを示す。
【
図7】
図7は、実験2によって達成されたオーセチックポリウレタンフォームの応力に対するひずみを示す。
【
図8】
図8は、実験3によって達成されたオーセチックポリウレタンフォームの横方向のひずみに対する軸方向のひずみを示す。
【
図9】
図9は、実験3によって達成されたオーセチックポリウレタンフォームの応力に対するひずみを示す。
【
図10】
図10は、実験9によって達成されたオーセチックポリウレタンフォームの横方向のひずみに対する軸方向のひずみを示す。
【
図11】
図11は、実験10によって達成されたオーセチックポリウレタンフォームの顕微鏡写真を示す。
【
図12】
図12は、実験10によって達成されたオーセチックポリウレタンフォームの横方向のひずみに対する軸方向のひずみを示す。
【
図13】
図13は、実験10によって達成されたオーセチックポリウレタンフォームの応力に対するひずみを示す。
【
図14】
図14は、実験11によって達成されたオーセチックポリウレタンフォームの顕微鏡写真を示す。
【
図15】
図15は、実験11によって達成されたオーセチックポリウレタンフォームの横方向のひずみに対する軸方向のひずみを示す。
【
図16】
図16は、実験11によって達成されたオーセチックポリウレタンフォームの応力に対するひずみを示す。
【
図17】
図17は、実験12によって達成されたオーセチックポリウレタンフォームの横方向のひずみに対する軸方向のひずみを示す。
【
図18】
図18は、実験12によって達成されたオーセチックポリウレタンフォームの応力に対するひずみを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本出願において、「発泡試薬」とは、反応混合物が発泡することを可能にする試薬を指し、これは、それが泡の形成を促進し、したがって反応混合物の膨張及び重合を可能にすることを意味する。
【0011】
本出願において、「圧縮」は、反応混合物を圧縮することを指す。
【0012】
本出願において、「収縮」とは、ポリマーネットワークの結果として、(発泡した)混合物の冷却及び/又は(発泡した)混合物内の独立セルの存在により、反応混合物を収縮させることによってポリマーネットワークを形成することを指す。換言すれば、収縮は、外部装置を使用しない反応混合物の縮小に関連する。さらに、収縮は、反応混合物に外力を加えることなく達成される体積縮小に関連する。
【0013】
本出願において、「オーセチックポリウレタンフォーム」とは、負のポアソン比を示すことを可能にするセル構造を含むポリウレタンフォームを指す。
【0014】
本出願において、「反応混合物」は、物理的変化を受ける混合物を指す。換言すれば、反応混合物は、ポリマーが完全に化学的に架橋され、物理的に硬化される前の混合物のすべての段階を指す。
【0015】
本出願において、「規定セル構造」とは、オーセチックフォームのセル構造を指す。
【0016】
本出願において、「型」は、反応混合物が膨張できる容器を指す。
【0017】
本出願において、「混合容器」は、試薬が混合される容器を指し、反応容器、反応器、フラスコなどを含む。
【0018】
型は、反応混合物を収縮又は圧縮するために使用できることに留意されたい。
【0019】
規定のセル構造は、オーセチックポリウレタンフォームの合成中に適用される圧縮及び/又は収縮の結果として、内側及び/又は外側に突出するリブを有するポリウレタンフォームセルを含む。
【0020】
さらに、オーセチックな特性は、リブが一緒に変形するリブのよじれの結果である。ケルビン(Kelvin)セルを従来のポリウレタンフォームの代表として取り上げると、オーセチック特性を得るには、構成リブ内にねじれを与える必要がある。
【0021】
したがって、規定のセル構造は、座屈したリブを有するセルを含み、リブの座屈は、フォームの収縮、外力による圧縮、又は両方の組み合わせによって得ることができる。フォームの収縮は、フォームの冷却及び/又はフォーム内の独立セルの存在に起因する膨張応力、熱応力の緩和によって達成され得る。
【0022】
例えば、規定のセル構造は、オーセチックポリウレタンフォームの合成中に適用される圧縮及び/又は収縮の結果として、内側及び/又は外側に突出するセルリブ又はストラットを有するポリウレタンフォームセルを含む。セル構造は、曲がったり、ねじれたり、もつれたり、及び/又は座屈したりしていると言われている。したがって、本発明によるオーセチックポリウレタンフォームの規定のセル構造は、座屈したリブを有するセルを含み、リブの座屈は、フォームの収縮、外力による圧縮、又は両方の組み合わせによって得ることができる。
【0023】
本発明による規定のセル構造を有するオーセチックポリウレタンフォームの合成方法は、混合段階と硬化段階の2つの段階を含む。混合段階では、すべての試薬が混合され、規定のセル構造を持つオーセチックポリウレタンフォームの合成に寄与する。硬化段階は、規定のセル構造を有するオーセチックポリウレタンフォームの所望の微細構造を達成することを可能にする化学反応を含む。
【0024】
本発明による好ましい実施形態では、方法は、以下のステップをさらに含む:
(i)ステップbの反応混合物を開始するステップであって、ステップcの前に行われるステップ;
(ii)ステップ(i)の開始された反応混合物を膨張及び上昇させるステップ;及び
(iv)架橋及び硬化を終了するステップであって、ステップdのサブステップであるステップ。
【0025】
ステップb及びdのこれらのさらなるサブステップは、方法の効率及び有効性に寄与する。
【0026】
成形段階とも呼ばれる硬化段階は、次の1つ以上のステップを含む:
(i)ステップbの反応混合物を開始するステップ;
(ii)ステップ(i)の開始された反応混合物を膨張及び上昇させるステップ;
(iii)ステップ(i)及び/又は(ii)の反応混合物を圧縮及び/又は収縮させるステップであって、ステップ(c)とも呼ばれるステップ;及び
(iv)架橋及び硬化を終了するステップであって、ステップdのサブステップであるステップ。
【0027】
収縮は、外部装置を使用しない反応混合物の縮小に関連することが理解される。
【0028】
本発明による好ましい実施形態では、硬化段階は、反応混合物を連続ラインの一部として移動コンベア上に注ぐステップをさらに含む。前記ステップは、ステップ(iii)とステップ(iv)との間で実施される。
【0029】
反応を開始することは、フォーム合成の開始を含むことに留意されたい。さらに、混合段階と硬化段階が重なってもよいことに留意されたい。
【0030】
初期反応及び膨張及び上昇は、膨張及び/又は発泡プロセス、例えばワンショット発泡プロセスの発泡反応及びゲル化反応を構成し、したがって初期セル構造を形成する。換言すれば、これは、追加の後処理ステップを必要とせずに、単一のプロセスで、化学/発泡試薬から開始して、最終的な硬化オーセチックポリウレタンフォームに至るプロセスを定義する。後処理とは、硬化が完了した後にフォームをさらに処理することを意味する。
【0031】
本発明は、反応混合物の化学的架橋及び物理的硬化の終了の前に、所望の規定のセル構造を達成するための初期セル構造の圧縮及び/又は収縮プロセスを含む。本発明による好ましい実施形態において、セル構造の圧縮及び/又は収縮のこの順序は、オーセチックポリウレタンフォームの規定のセル構造の永久的な形成を提供する。
【0032】
本発明による方法のさらに別の利点は、本発明による方法がワンショット発泡プロセス又はワンショット発泡合成であり得ることである。換言すれば、発泡合成は単一の反応器内で行われる。これにより、(高価な)出発物質の流出が減少する。
【0033】
好ましい実施形態では、本発明による規定のセル構造を有するオーセチックポリウレタンフォームの合成方法は、ポリオール試薬と発泡試薬とを混合して反応混合物を形成することから始まる。ポリオール試薬と発泡剤を混合すると、均一な混合物が得られるという利点がある。規定のセル構造を有する効率的かつ効果的なオーセチックポリウレタンフォームを提供するために、均一な反応混合物が好ましい。
【0034】
反応混合物を形成するステップであるステップaの後にステップbが続き、ここでイソシアネートが反応混合物と混合される。ステップaの反応混合物とイソシアネートとを混合することは、オーセチックポリウレタンフォームを形成するのに適した反応混合物が得られるという利点を有する。
【0035】
ステップbの後にステップcが続き、ステップbの反応混合物を圧縮及び/又は収縮する。ステップbの反応混合物を型又は容器に注入するステップにより、ステップcを行う前に、反応混合物を型又は容器に注入してもよい。換言すれば、試薬は型又は容器内で混合されてもよい。反応混合物を圧縮及び/又は収縮させることにより、ステップbの反応混合物をステップdの間に硬化させ、ステップbの圧縮された反応混合物を硬化させることができ、本発明によるオーセチックポリウレタンフォームが得られる。
【0036】
反応混合物を圧縮及び/又は収縮させると、ポリウレタンフォームの最初のセル構造からオーセチックポリウレタンフォームの規定のセル構造への変化が誘発される。
【0037】
ステップbの反応混合物を圧縮及び/又は収縮させることは、内力及び/又は外力によって行うことができる。内力は、オーセチックポリウレタンフォームの合成中に発生し得る。外力は、圧縮装置、例えば、クランプ、型のシール、ガス圧縮機、独立して又は同時に動くことができる1つ以上の壁を有する型又は混合容器、ピストンなどによって加えることができる。外力は、加圧及び/又は真空引きされ得る型/容器を提供し得る。
【0038】
圧縮及び/又は収縮は、潤滑剤、剛毛、砕いた紙、オーセチック構造、折り紙構造などの摩擦低減装置を使用することによって補助できることが理解される。
【0039】
好ましくは、ステップbの反応混合物の圧縮及び/又は収縮は、内力によって行われる。これにより、追加の製造ステップ及び/又は追加の圧縮装置を使用することなく、所望の収縮が得られる。
【0040】
別の好ましい実施形態では、反応混合物の収縮及び/又は圧縮は、型又は容器の選択、及び反応混合物中の化学成分の選択によって制御することができる。この収縮に寄与する内力は、反応混合物の膨張中にポリマーとセルの界面で生じる内部応力及び/又は熱応力に起因し得る。これらの応力の伝達に起因する弾性エネルギーにより、柔軟なポリマー鎖がより好ましいコンフォメーションを達成し、最終的に初期のセル構造が規定のセル構造に変化し得る。
【0041】
さらに別の代替の好ましい実施形態では、本発明によるオーセチックポリウレタンフォームの合成中の収縮は、独立セルの存在によりフォーム内部に閉じ込められたガスを冷却することによって達成され得る。前記アプローチは、収縮を得るため、他の技術と組み合わせ、及び/又は圧縮装置によって(外部)圧縮を適用することができる。
【0042】
別の好ましい実施形態では、ステップbの反応混合物の圧縮は、外力又は内力と外力の組み合わせによって行われる。
【0043】
圧縮及び/又は収縮などの内力及び/又は外力を加える利点は、オーセチックポリウレタンフォームの合成の特性及び/又は性能を調整できることである。例えば、本発明による方法は、オーセチックポリウレタンフォームの特性及び/又は性能を調整して、所望のフォームを得ることを可能にする。さらに、反応混合物に適用される圧縮及び/又は収縮の程度は、規定のセル構造のもつれの程度に反映される。圧縮及び/又は収縮の制御により、オーセチックポリウレタンフォームの(最終)特性を調整することが可能になる。例えば、得られるオーセチックポリウレタンフォームのヤング率は、適用される圧縮及び/又は収縮の程度によって影響を受ける。したがって、本発明による方法は、様々な特性及び性能を有する広範囲のオーセチックポリウレタンフォーム基材を可能にする。前記ポリウレタンフォームは、特定の用途に使用することができる。その結果、必要に応じてオーセチックポリウレタンフォームを達成することができる。
【0044】
圧縮及び/又は収縮の程度は、膨張後のフォームの初期体積を記録し、圧縮後の最終体積を記録することによって得られる。これらの2つの値は、体積縮小のパーセンテージ、又は縮小及び/又は圧縮及び/又は収縮の「程度」を提供し得る。
【0045】
さらなる利点は、型又は混合容器の内側及び/又は外側で圧縮及び/又は収縮を可能にすることができることである。
【0046】
さらに好ましい実施形態において、外部圧縮は、追加の加圧ガスの導入、一軸/多軸応力の適用、及び/又は反応混合物を連続ラインに流す/押すことによって提供され得る。
【0047】
連続ラインは、元のオーセチックポリウレタンフォームよりも小さい容積を有するチャネルを含む。硬化プロセスが終了する前に、連続ラインを通る反応混合物の流動/押し込みが行われる。例えば、連続ラインは、容積が減少したトンネルだけではなく、一軸応力又は多軸応力が加えられる連続ラインであってもよい。
【0048】
追加の加圧ガスの導入、一軸/多軸応力の適用、及び/又は反応混合物を連続ラインに流す/押すことの利点は、内部収縮によって引き起こされる圧縮又は圧縮の補助が達成され、規定のセル構造を持つオーセチックポリウレタンフォームが得られることである。
【0049】
連続ラインプロセスの利点は、外部圧縮が、例えば、反応混合物の最初の体積よりも小さい体積を有するチャネルを通して反応混合物を流す及び/又は押すことによって提供され得ることである。硬化プロセスが終了する前に、連続ラインを通して反応混合物を流すこと及び/又は押すことを行ってもよい。
【0050】
ステップbの反応混合物の硬化は、圧縮及び/又は収縮の前に起こり始め、主に収縮後に起こる。好ましくは、ステップbの反応混合物の硬化は、実質的に圧縮及び/又は収縮の後に起こる。圧縮及び/又は収縮後の実質的な硬化は、規定のセル構造が永久的であるオーセチックポリウレタンフォームが得られるという利点を有する。
【0051】
本発明によるオーセチックポリウレタンフォームの合成方法は、重合が完全に行われてポリマーが完全に硬化される前に、フォームの構造が実質的に形成されるフォームの合成を提供する。
【0052】
ステップdの後、オーセチックポリウレタンフォームは、張力又は圧縮力から解放されると、実質的に元の形状に戻る。さらなる利点は、衝撃時にポリウレタンフォームの材料が衝撃のゾーンに向かって移動し、その領域でフォームをより密にすることである。
【0053】
規定のセル構造を有するオーセチックポリウレタンフォームの合成方法の利点は、変換フォームを製造するために使用される熱可塑性プロセスが回避されることである。熱可塑性プロセスには、熱機械変換プロセス及び化学機械変換プロセスが含まれる。その結果、従来のポリウレタンフォームの購入及び/又は製造、フォームの指定された寸法への切断、フォームの型へのはめ込みによる圧縮、熱の適用及び/又は溶媒への浸漬、並びに冷却及び/又は乾燥などのさらなる製造プロセスの必要が避けられる。さらに、本発明による方法は、圧縮及び加熱を提供する。その結果、外部加熱及び/又は冷却などの外部機器の使用が減少する。
【0054】
規定のセル構造を有するオーセチックポリウレタンフォームの合成方法の別の利点は、この方法が、オーセチックポリウレタンフォームのサイズ制限、例えば製造プロセスによるサイズ制限を排除することである。その結果、フォームの異なる形状及び寸法を実現することができ、規定のセル構造を有するオーセチックポリウレタンフォームを弾丸、マットレス、硬質プラスチック、詰め物などに適用することができる。さらに、本発明による方法は、規定のセル構造を有するオーセチックポリウレタンフォームの経済的、効果的かつ効率的な合成を提供する。
【0055】
本発明による方法のさらに別の利点は、プロセス後の加熱及び圧縮ステップがワンショット発泡プロセスに統合されることである。したがって、ポリウレタンフォームの合成後に冗長なステップを実行する必要性が減少し、そして、より経済的な方法が達成される。
【0056】
さらに、本発明による方法は、オーセチックポリウレタンフォームのスケーラブルな化学合成を提供することが見出された。これは主に、このプロセスが、プロセス後の加熱及び圧縮のステップを不要にする、及び/又は製造におけるサイズ制限が不要になるという事実によるものである。これにより、本発明によるポリウレタンフォームの大規模な合成が可能になる。さらに、本発明による方法は、オーセチックポリウレタンフォームの大規模な合成を可能にする。
【0057】
ステップ(ii)の後、ステップ(i)の開始された反応混合物の膨張及び上昇、反応混合物の圧縮及び/又は収縮が行われる。反応混合物の圧縮及び/又は収縮により、最初のセル構造のセルリブ又はストラットが均一に曲がったり、よじれたり、もつれたり、及び/又は座屈したりして、最終的なオーセチックポリウレタンフォームの規定のセル構造を形成することができることに留意されたい。圧縮及び/又は収縮は、架橋及び/又は硬化のプロセスが進行している間に行うことができる。これにより、圧縮された反応混合物が、本発明によるポリウレタンフォーム内に永久的で均質な規定のセル構造を達成することが可能になる。
【0058】
本発明によるさらに別の好ましい実施形態では、本発明による方法は、圧縮及び/又は収縮後に実質的に硬化することを可能にする。結果として、ポリマー鎖間の分子間秩序は、圧縮及び/又は収縮の適用前に、完全に又は部分的に破壊される。これにより、ポリウレア鎖の相分離を制限又は回避することができ、これらのポリマー鎖が反応混合物のソフトセグメントに溶解又は部分的に溶解したままになる。さらに、本発明によるオーセチックポリウレタンフォームの合成方法は、濃度、分子量の増加、及びポリウレアのハードセグメントドメインへの順序付けを制限する。
【0059】
好ましくは、本発明による方法は、規定のセル構造を有するオーセチックポリウレタンフォームを提供し、オーセチックポリウレタンフォームの規定のセル構造は、水銀ポロシメトリー又はガス物理吸着に従って測定された最大50%の独立セル含有量を含む。さらに好ましい実施形態では、オーセチックポリウレタンフォームの規定のセル構造は、水銀ポロシメトリー又はガス物理吸着に従って測定された、最大30%の独立セル含有量、より好ましくは10%の独立セル含有量を含む。
【0060】
本発明によるオーセチックポリウレタンフォームの合成方法の別の利点は、ポリマー鎖間の分子間秩序が乱されることである。その結果、ポリマー鎖は、オーセチックポリウレタンフォームのソフトセグメントに長期間溶解することができる。ポリマー鎖は、例えばポリウレタンであってもよい。
【0061】
さらに、本発明によるオーセチックポリウレタンフォームの合成方法は、ポリウレアの濃度及び分子量を制限する。
【0062】
本発明によるオーセチックポリウレタンフォームの合成方法の別の利点は、フォームの内部に閉じ込められたガスを冷却することによって、規定のセル構造を達成できることである。発泡体の内部に閉じ込められたガスを冷却すると、目的の体積縮小が得られる。
【0063】
規定のセル構造は、光学顕微鏡及び走査型電子顕微鏡によって分析される。
【0064】
本発明による別の好ましい実施形態において、発泡体のポリマーリブのゲル化のレベルは、セルのもつれを提供し、ここで、ポリマーは流動することができず、膨張を提供している。好ましくは、リブは、フォームの膨張中にポリマーとセルの界面で生じる内部応力に耐えるのに十分強い。これらの表面応力はポリマーに伝達され、座屈を引き起こす。
【0065】
本発明による別の好ましい実施形態では、ポリオール試薬と発泡試薬とを混合するステップであるステップaの後に、ステップbが続き、イソシアネートを添加して反応混合物を形成する。ステップaの反応混合物を混合することは、均質なオーセチックポリウレタンフォームを形成するのに適した反応混合物が得られるという利点を有する。このステップに続いて、反応混合物が上昇し(これは混合物の発泡によって引き起こされる)、ポリウレタンフォームの最初のセル構造を形成する。
【0066】
本発明による好ましい実施形態では、発泡試薬は、発泡触媒、発泡剤、ゲル化触媒、界面活性剤、連鎖延長剤、架橋剤の群から選択される1つ以上である。
【0067】
本出願を通して、連鎖延長剤及び架橋剤は交換可能に使用できることが理解される。好ましくは、架橋剤は3つ以上の反応部位を含み、連鎖延長剤は2つ以上の反応部位を含む。したがって、連鎖延長剤の一部は架橋剤として分類される場合がある。
【0068】
発泡触媒、発泡剤、ゲル化触媒、界面活性剤、連鎖延長剤、架橋剤の群から選択される1つ以上を提供することは、要求に応じて、所望の特性を有するオーセチックポリウレタンフォームを達成できるという利点を有する。さらに、これは適用される温度、湿度、及び型材料によってさらに改善される。
【0069】
好ましい実施形態では、発泡剤は、界面活性剤及び発泡剤を含む。実験は、そのような組み合わせが良好なオーセチックポリウレタンフォームを提供することを示した。
【0070】
あるいは、発泡剤は、界面活性剤、発泡剤、及び発泡触媒を含む。実験は、そのような組み合わせが良好なオーセチックポリウレタンフォームを提供することを示した。
【0071】
別の代替実施形態では、発泡剤は、発泡触媒、発泡剤、ゲル化触媒、界面活性剤、連鎖延長剤、及び架橋剤を含む。実験は、そのような組み合わせが良好なオーセチックポリウレタンフォームを提供することを示した。連鎖延長剤は、2つ以上の官能基を含むことが好ましい。
【0072】
さらに、発泡剤は、着色剤、難燃剤、セル粗大化剤などの添加剤をさらに含んでいてもよい。添加剤を添加することで、顧客が要求する外観と感触を備えたオーセチックポリウレタンフォームが得られる。例えば、オーセチックポリウレタンフォームの色をカスタマイズすることができ、又はオーセチックポリウレタンフォームに難燃性を付与することができる。
【0073】
本発明によるさらに好ましい実施形態では、この方法は、ステップbの前に反応混合物に水を添加することを含む。
【0074】
ステップbの前に反応混合物に水を添加する利点は、イソシアネートと水が互いに反応することである。この反応の反応生成物の1つが二酸化炭素(CO2)である。CO2は、現場で生成された発泡剤として使用することができる。結果として、(外部)添加の発泡剤の量を減らすことができる。好ましくは、ステップbの前に反応混合物に添加される水は超純水である。
【0075】
さらに、水は発泡剤として作用することがある。したがって、費用対効果が高く、容易に入手できる発泡剤を含むポリウレタンフォームが得られる。
【0076】
別の実施形態では、ステップbの前に、水と一緒に、又は水の代わりに、ジクロロメタンを反応混合物に添加する。実験は、効率的かつ効果的なオーセチックポリウレタンフォームが達成されることを示した。
【0077】
本発明によるさらに好ましい実施形態では、ステップa及びbは、激しく撹拌することによって独立して実施される。ここで、激しく攪拌することは回転速度を含み、ステップa及びbのそれぞれの回転速度は、毎分の回転(rpm)が10~5000rpmの範囲、好ましくは20rpm~4000rpmの範囲、より好ましくは30rpm~3000rpmの範囲である。
【0078】
激しく攪拌することによって独立してステップa及びbを実施することにより、均一な反応混合物が提供される。その結果、均一で均質なオーセチックポリウレタンフォームが得られる。
【0079】
試薬の混合は、インペラー、例えば4枚羽根のインペラー、スターラーバー、シェーカーなどを使用して行うことができる。
【0080】
異なる試薬をポリオール試薬に別々に添加できることは理解される。
【0081】
本発明によるさらに好ましい実施形態では、ステップc及びdは型内で実施され、それによってオーセチックポリウレタンフォームが提供される。
【0082】
ステップb及びcを型内で実施することにより、所望の形状が得られ、ステップbの反応混合物を圧縮し、圧縮された反応混合物を硬化させることができる。型は、単一の容器であってもよいし、連続(圧縮性)ラインなどの連続プロセスにおける領域であってもよい。
【0083】
さらに別の好ましい実施形態では、ステップbの反応混合物を型に移すか、又は混合容器内に残して、混合容器内にオーセチックポリウレタンフォームを提供することができる。
【0084】
すなわち、混合容器と型は一体であり、同一である。
【0085】
型又は混合容器は、反応混合物のための制御された環境(すなわち、混合容器及び/又は型の内部空間の制御)を提供するために、意図的に開発、成形及び/又は適合され得る。そのために、成形型又は混合容器は、発泡ポリスチレンなどの断熱材又はその他の断熱材から構築することができる。これは、加熱及び/又は冷却装置を使用して達成することもできる。加熱器及び/又は冷却器を使用する利点は、所望の温度プロファイルを達成及び/又は維持するために温度を経時的に変化させることができることである。所望の温度プロファイルは、例えば、反応混合物のコアと反応混合物のエッジとの間の熱平衡であり得る。さらに、潤滑剤、剛毛、折り紙構造、折り畳み構造、オーセチック構造、ボールベアリングなどの摩擦低減装置を使用すると、オーセチックポリウレタンフォームの品質をさらに改善することができる。型の設計は、本発明によるオーセチックポリウレタンフォームの規定のセル構造の均質性を達成するために最も重要である。
【0086】
本発明によるさらに好ましい実施形態では、ステップaは最大8時間、好ましくは最大4時間、より好ましくは最大1時間行われ、ステップaは100℃未満、好ましくは80℃未満、より好ましくは20℃~80℃の範囲の温度で行われる。
【0087】
実験は、ステップaを最大で8時間、好ましくは最大で4時間、より好ましくは最大で1時間行い、ステップaを100℃未満、好ましくは80℃未満、より好ましくは20℃~80℃の範囲の温度で行うと、良好な結果が得られることを示した。
【0088】
更なる実験は、ステップaが-10℃~80℃の範囲の温度でも実施できることを示した。
【0089】
本発明によるさらに好ましい実施形態では、ステップbは、1秒~130秒の間、好ましくは2秒~120秒の間で行われる。
【0090】
ステップbを1秒~130秒の間、好ましくは2秒~120秒の間行うことにより、ステップbの反応混合物が効率的かつ効果的に得られた。
【0091】
本発明によるさらに好ましい実施形態では、1秒~40分の間、好ましくは2秒~35分の間、より好ましくは3秒~30分の間、激しく攪拌しながら行われる。
【0092】
ステップbの前の反応混合物への水の添加を、1秒~40分の間、好ましくは2秒~35分の間、より好ましくは3秒~30分の間、激しく攪拌しながら行うことは、添加水を含むステップaの良好な反応混合物を提供したことが確認された。
【0093】
別の実施形態では、ステップbの前の反応混合物への水の添加は、3秒~10分間激しく攪拌しながら行われる。ステップbの前の反応混合物への水の添加を、代わりに激しく攪拌しながら3秒~10分の間行うことにより、添加水を含むステップaの良好な反応混合物が得られることが確認された。
【0094】
本発明によるさらに好ましい実施形態では、ポリオール試薬は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリアミンポリオール、ポリアミドポリオール、ポリチオエステルポリオール、ポリチオエーテルポリオール、固体支持体ポリオールの群から選択される1つ以上である。
【0095】
別の実施形態では、ポリオール試薬は、ポリオール試薬を有する上記の群、及び/又はポリブタジエンポリオール、ポリシロキサンポリオール、植物油ポリオール、大豆ポリオール、難燃性ポリオール、ポリウレア分散(PHD)ポリオールやポリイソシアネート重付加(PIPA)ポリオールなどの固体グラフト化ポリオールの群から選択される1つ以上である。難燃性ポリオールは、塩素、臭素及び/又はリンを含んでもよい。
【0096】
実験は、ポリオール試薬が、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリアミンポリオール、ポリアミドポリオール、ポリチオエステルポリオール、ポリチオエーテルポリオール、固体支持体ポリオールの群から選択される1つ以上である場合、所望のオーセチックポリウレタンフォームを提供することを示した。
【0097】
本発明によるさらに好ましい実施形態では、式Iのイソシアネートが提供される。
【化1】
式中、R
1は、アルキル基及び/又は芳香族基を含む。イソシアネートは、トリレン-2,4-ジイソシアネート、トリレン-2,6-ジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、O-トリジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートの群から選択される1つ以上である。
【0098】
式Iによるイソシアネートを提供すること、好ましくは、トリレン-2,4-ジイソシアネート、トリレン-2,6-ジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、O-トリジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートの群から選択される1つ以上のイソシアネートを提供することで、発泡試薬とイソシアネートの間の良好な反応性を提供した。
【0099】
実験は、好ましい実施形態が水及び式Iのイソシアネート(好ましくは、トリレン-2,4-ジイソシアネート、トリレン-2,6-ジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、O-トリジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートの群から選択される1つ以上のイソシアネート)を含むことを示した。これらの実験により、所望のオーセチックポリウレタンフォームが得られた。
【0100】
本発明によるさらに好ましい実施形態では、発泡触媒は第三級アミンを含み、第三級アミンは、トリエチレンジアミン、1,3,5-トリス-(3-[ジメチルアミノ]プロピル)-ヘキサ-ヒドロ-1,3,5-トリアジン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N-ジメチルアミノエトキシエタノール、2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル、N,N’-ジメチルピペラジンの群から選択される1つ以上である。
【0101】
第三級アミンとして、トリエチレンジアミン、1,3,5-トリス-(3-[ジメチルアミノ]プロピル)-ヘキサ-ヒドロ-1,3,5-トリアジン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N-ジメチルアミノエトキシエタノール、2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル、N,N’-ジメチルピペラジンの群から選択される1つ以上の第三級アミンを含む発泡触媒が、所望のオーセチックポリウレタンフォームを提供することが確認された。
【0102】
本発明によるさらに好ましい実施形態では、発泡剤は、水、クロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、炭化水素、イソペンタン、シクロペンタン、窒素、アルゴン、二酸化炭素、ヘリウム、キセノン、ネオン、空気の群から選択される1つ以上である。
【0103】
現場で生成された二酸化炭素に加えて、又はその代わりに、発泡剤は、1つ又は複数の発泡試薬であり、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、炭化水素、イソペンタン、シクロペンタン、窒素、アルゴン、二酸化炭素、ヘリウム、キセノン、ネオン、空気であり得る。このような発泡剤を添加することにより、本発明によるオーセチックポリウレタンフォームをもたらす硬化プロセスを制御することができる。
【0104】
発泡剤は、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタン、例えばペンタン、例えばジクロロメタン及び1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン、(CFC)例えばトリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタンの群から選択される1つ以上であり得る。
【0105】
本発明によるさらに好ましい実施形態では、ゲル化触媒は、有機金属触媒を含み、有機金属触媒は、オクタン酸第一スズ、ネオデカン酸第一スズ、ジブチルスズジラウレート、酢酸カリウムの群から選択される1つ以上である。好ましくは、界面活性剤は、シロキサン誘導体及び/又はオキシアルキレン誘導体である。
【0106】
本発明によるさらに好ましい実施形態では、連鎖延長剤及び/又は架橋剤は、アルコール、アミン、アルコキシシラン、チオール及びチオエステルの群から選択される1つ以上である。好ましくは、連鎖延長剤及び/又は架橋剤は、グリセロール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンオキシドでキャップされたトリメチロールプロパン、2-(メチルアミノ)エタノール、エチレングリコール、メチルトリメトキシシラン、ジメトキシジメチルシランの群から選択される1つ以上である。
【0107】
上述のように、連鎖延長剤と架橋剤は同じであってもよい。
【0108】
本発明は、本発明による方法によって得られるオーセチックポリウレタンフォーム基材にも関し、オーセチックポリウレタンフォームは、-3~0の範囲、好ましくは-2~0の範囲、より好ましくは-1~0の範囲のポアソン比を含む。
【0109】
本発明による方法によって得られるオーセチックポリウレタンフォーム基材は、本発明による独立セル構造を有するオーセチックポリウレタンフォームの合成方法に関して記載したのと同様の効果及び利点を提供する。
【0110】
ポアソン比は、-3から実質的に0の範囲、好ましくは-2から実質的に0の範囲、より好ましくは-1から実質的に0の範囲を含み得ることが理解される。
【0111】
フォームサンプルのポアソン比は、100kgFロードセル(S/N31,931)を有し、適切に校正されたカメラビデオ伸び計(Messphysik社、ドイツ)を備えた引張り荷重機(Testometric社、英国)を使用して決定/測定された。引張ひずみと圧縮ひずみの両方を、10mm・min-1の速度でひずみ速度制御を使用して実行した。ビデオ伸び測定により、フォームの長さ(l)と幅(t)を測定し、Messphysikパターン認識ソフトウェア用に適切にマークした。ビデオ伸び測定により、フォームの長さ(l)と幅(t)を測定し、Messphysikパターン認識ソフトウェア用に適切にマークした。各フォームサンプルについて、3つの横幅(w1-w3)と1つの軸方向の長さ(l1)が記録された。可能な限り、存在するエッジ効果を減らすために、横幅の測定値は試験片の中心から取得された。次に、工学横ひずみが計算され、平均化され、軸ひずみに対してプロットされた。これにより、単一の工学横ひずみと軸ひずみが得られ、そこから、初期領域の線形性を仮定して、グラフの勾配の負の値として初期ひずみの工学ポアソン比が計算された。初期ポアソン比については、ピアソンの積率相関係数の2乗(R2)も計算された。
【0112】
本発明による好ましい実施形態では、オーセチックポリウレタンフォームは、5~100cm3g-1の範囲、好ましくは5~50cm3g-1の範囲、より好ましくは5~25cm3g-1の範囲の全細孔容積、及び0.001~5.0ミリメートルの範囲、好ましくは0.01~2.0ミリメートルの範囲、より好ましくは0.01~1.5ミリメートルの範囲の全体平均セルサイズを含む。
【0113】
本発明による方法によるポリウレタンフォームの全細孔容積は、光学顕微鏡又は走査型電子顕微鏡画像の分析によって導き出される。
【0114】
本発明によるオーセチックポリウレタンフォーム基材の利点は、フォームの仕様をカスタマイズできること、及びオーセチックポリウレタンフォーム基材が等方性ではない(非等方性)又は等方性であることである。本発明の方法に従って製造されたオーセチックポリウレタンフォーム基材のポアソン比は、必要に応じてフォームの配向に応じて変化し得ることが見出された。
【0115】
本発明による好ましい実施形態では、オーセチックポリウレタンフォーム基材は独立セルを含み、好ましくは、オーセチックポリウレタンフォームは0%~30%の独立セルを含み、より好ましくは、オーセチックポリウレタンフォームは0%~10%の独立セルを含む。好ましくは、オーセチックポリウレタンフォーム基材は、最大180℃以下のガラス転移温度、好ましくは最大140℃以下のガラス転移温度、より好ましくは最大100℃以下のガラス転移温度、最も好ましくは最大80℃以下のガラス転移温度を有する。
【0116】
本発明によるオーセチックポリウレタンフォーム基材の利点は、ポリウレアネットワークの形成が防止されることである。結果として、最大180℃以下のガラス転移温度、好ましくは最大140℃以下のガラス転移温度、より好ましくは最大100℃以下のガラス転移温度、より好ましくは最大100℃以下のガラス転移温度、最も好ましくは80℃以下のガラス転移温度になる。
【0117】
本発明による好ましい実施形態では、オーセチックポリウレタンフォーム基材の密度は、10kgm-3~300kgm-3の範囲であり、より好ましくは、オーセチックポリウレタンフォーム基材の密度は、20kgm-3~200kgm-3の範囲であり、さらにより好ましくは、オーセチックポリウレタンフォーム基材の密度は、30kgm-3~180kgm-3の範囲であり、最も好ましくは、オーセチックポリウレタンフォーム基材の密度は、50kgm-3~150kgm-3の範囲である。
【0118】
本発明による好ましい実施形態では、オーセチックポリウレタンフォーム基材の重量平均分子量は、10000g・mol-1~1000000g・mol-1の範囲であり、好ましくは、オーセチックポリウレタンフォーム基材の重量平均分子量は、10000g・mol-1~500000g・mol-1の範囲であり、より好ましくは、オーセチックポリウレタンフォーム基材の重量平均分子量は、20000g・mol-1~250000g・mol-1の範囲であり、最も好ましくは、オーセチックポリウレタンフォーム基材の重量平均分子量は、30000g・mol-1~150000g・mol-1の範囲である。
【0119】
本発明は、本発明による方法によって得られるオーセチックポリウレタンフォーム基材の使用にも関する。オーセチックポリウレタンフォーム基材は、個人用保護具(例えば、ヘルメットパッド、膝パッド、肘パッドなどの衝撃吸収及び/又はクッション器具)、ピーク圧力分散、着座とクッションのサポートのためのフットウェアパッドとして使用できる。
【0120】
さらに、本発明による方法によって得られるオーセチックポリウレタンフォーム基材は、ベッドマットレス(床ずれに対する)用のフォーム、プリンターのインクカートリッジ用フォーム、自動車製造用(例えば、サルーンボルスタリング)用のフォーム、フィルター用、及び吸音用のフォームとして使用され得る。
【0121】
本発明のさらなる利点、特徴、及び詳細は、その好ましい実施形態に基づいて解明され、添付の図面が参照される。
【実施例】
【0122】
方法10(
図1)は、規定のセル構造を有するオーセチックポリウレタンフォームの合成を含む。方法10は、ステップaとも呼ばれるステップ12を含み、ステップ12は、ポリオール試薬と発泡試薬とを混合し、反応混合物を形成することを含む。ステップ12の後にステップ14が続き、ステップ14は、ステップb前に反応混合物に水を加えることを含む。
【0123】
ステップ12又はステップ14の後に、ステップbとも呼ばれるステップ16が続き、ステップ16は、イソシアネートを反応混合物と混合することを含む。ステップ16の反応混合物は、適切な型又は容器内で上昇する。さらに、ステップ16の反応混合物はステップ18(ステップcとも呼ばれる)で圧縮され、ここでステップbの反応混合物の圧縮が行われる。
【0124】
オーセチックポリウレタンフォームの合成は、ステップ18に続くステップ20(ステップdとも呼ばれる)をさらに含む。ステップ20は、ステップbの圧縮された反応混合物を硬化させることを含む。
【0125】
実験及び本出願全体を通して、Arcol1107は、ヒドロキシル価が46~50mgKOH/gで分子量が3500Daの三官能性不活性プロピレンオキシド/エチレンオキシドポリエーテルポリオールを含み、Kosmos29は、スズ-(II)-イソオクトエートを含み、tegoamine33は、ジエチレングリコールに溶解した33%のトリエチレンジアミンを含み、Desmodur T80は、2つの異性体のブレンドを含む:80重量%の2,4-トルエンジイソシアネート及び20重量%の2,6-トルエンジイソシアネート。
【0126】
図2と5の画像では、ZEISS Merlin42-16走査型電子顕微鏡が使用された。サンプルはカミソリで切断し、観察前に金の薄層でスパッタコーティングされた。使用された倍率は70~80倍で、電子ビームのエネルギーは8kVであった。
【0127】
本発明による好ましい実施形態では、実験1が実施された。使用した試薬と量を表1に示す。
【0128】
ポリオール、界面活性剤、ゲル化触媒、発泡触媒、及び連鎖延長剤を、25℃で1リットルのビーカーに加えて、反応混合物を提供した。発泡剤を反応混合物に添加し、25℃で500rpm、5分間撹拌した。得られた反応混合物にイソシアネートを添加し、混合物を25℃で500rpm、20秒間攪拌した。
【0129】
得られた混合物を、発泡ポリスチレン製で、寸法が20cm×20cm×30cm、壁厚が3.5cmの型に注いだ。混合物を型内で24時間放置し、硬化させるために型の外で4日間放置した。反応混合物の外部圧縮は行わずに収縮させた。収縮は、フォーム内のポリマーネットワークの形成(フォームの縮小につながる)によって達成された。
【0130】
得られたオーセチックポリウレタンフォーム基材は、完全な縮小及び硬化後のフォームの外寸が15.5cm×15.5cm×20cmであり、密度が145kgm-3であり、圧縮時のポアソン比が0.54±0.09であり、10%のひずみまでのストリップのポアソン比が-0.44±0.05であり、引張り時のヤング率が15.63kPaであり、5%ひずみまでの圧縮時のヤング率が17.19kPaであった。
【0131】
【0132】
図2は、実験1で得られたオーセチックポリウレタンフォームの顕微鏡写真を示す。
【0133】
図3は、実験1によって達成されたオーセチックポリウレタンフォームの横方向のひずみに対する軸方向のひずみを示し、
図4は、実験1によって達成されたオーセチックポリウレタンフォームの応力(kPa)に対するひずみを示す。kPaはキロパスカルを表す。
【0134】
本発明による好ましい実施形態では、実験2が行われた。使用した試薬と量を表2に示す。
【0135】
ポリオール、界面活性剤、ゲル化触媒、発泡触媒、及び連鎖延長剤を、25℃で1リットルのビーカーに加えて、反応混合物を提供した。発泡剤を反応混合物に添加し、25℃で500rpm、5分間撹拌した。得られた反応混合物にイソシアネートを添加し、混合物を25℃で500rpm、20秒間攪拌した。
【0136】
得られた混合物を、発泡ポリスチレン製で、寸法が20cm×20cm×30cm、壁厚が3.5cmの型に注いだ。混合物を型内で24時間放置し、硬化させるために型の外で4日間放置した。反応混合物の外部圧縮は行わずに収縮させた。収縮は、フォーム内のポリマーネットワークの形成(フォームの縮小につながる)によって達成された。
【0137】
得られたオーセチックポリウレタンフォーム基材は、完全な縮小及び硬化後のフォームの外寸が12cm×12cm×20.5cmであり、密度が205kgm-3であり、10%のひずみまでのストリップのポアソン比が-0.28±0.02であり、引張り時のヤング率が13.66kPaであった。
【0138】
【0139】
図5は、実験2で得られたオーセチックポリウレタンフォームの顕微鏡写真を示す。
【0140】
図6は、実験2によって達成されたオーセチックポリウレタンフォームの横方向のひずみに対する軸方向のひずみを示し、
図7は、実験2によって達成されたオーセチックポリウレタンフォームの応力(kPa)に対するひずみを示す。kPaはキロパスカルを表す。
図7は、式y=14.8x+0.00322、R
2=0.996の近似直線を含む。
【0141】
本発明による好ましい実施形態では、実験3が行われた。使用した試薬と量を表3に示す。
【0142】
ポリオール、界面活性剤、ゲル化触媒、発泡触媒、及び連鎖延長剤を、25℃で1リットルのビーカーに加えて、反応混合物を提供した。発泡剤を反応混合物に添加し、25℃で500rpm、5分間撹拌した。得られた反応混合物にイソシアネートを添加し、混合物を25℃で500rpm、20秒間攪拌した。
【0143】
得られた混合物を、発泡ポリスチレン製で、寸法が20cm×20cm×30cm、壁厚が3.5cmの型に注いだ。混合物を型内で24時間放置し、硬化させるために型の外で4日間放置した。反応混合物の外部圧縮は行わずに収縮させた。収縮は、フォーム内のポリマーネットワークの形成(フォームの縮小につながる)によって達成された。
【0144】
得られたオーセチックポリウレタンフォーム基材は、完全な縮小及び硬化後のフォームの外寸が15.5cm×15.5cm×21cmであり、密度が117kgm-3であり、15%のひずみまでの圧縮時のポアソン比が-0.43であり、10%のひずみまでのストリップのポアソン比が-0.177±0.006であり、5%ひずみまでの圧縮時のヤング率が32.72kPaであり、引張り時のヤング率が19.36kPaであった。
【0145】
【0146】
図8は、実験3によって達成されたオーセチックポリウレタンフォームの横方向のひずみに対する軸方向のひずみを示し、
図9は、実験3によって達成されたオーセチックポリウレタンフォームの応力(kPa)に対するひずみを示す。kPaはキロパスカルを表す。
図9は、式y=17.034x+0.0834、R
2=0.998の近似直線を含む。
【0147】
本発明による好ましい実施形態では、実験4が行われた。使用した試薬と量を表4に示す。
【0148】
ポリオール、界面活性剤、ゲル化触媒、発泡触媒、及び連鎖延長剤を、50rpmで1時間、60℃~70℃の間の温度で混合し、反応混合物を提供した。発泡剤を反応混合物に添加し、25℃で70rpm、2分間撹拌した。得られた反応混合物にイソシアネートを加え、混合物を25℃で70rpm、20秒間攪拌した。
【0149】
得られた混合物を、木製で、寸法が16cm×16cm×16cm、壁厚が1.5cmの型に注いだ。混合物を型内で10分間放置し、硬化させるために型の外で24時間放置した。反応混合物の外部圧縮は行わずに収縮させた。収縮は、フォーム内のポリマーネットワークの形成(フォームの縮小につながる)によって達成された。
【0150】
得られたオーセチックポリウレタンフォーム基材は、完全な縮小及び硬化後のフォームの外寸が11.5cm×11.5cm×8cmであり、ポアソン比が-3~0の範囲であった。
【0151】
【0152】
本発明による好ましい実施形態では、実験5が行われた。使用した試薬と量を表5に示す。
【0153】
ポリオール、界面活性剤、ゲル化触媒、発泡触媒、及び連鎖延長剤を、50rpmで1時間、60℃~70℃の間の温度で混合し、反応混合物を提供した。発泡剤を反応混合物に添加し、25℃で150rpm、5分間撹拌した。得られた反応混合物にイソシアネートを加え、混合物を25℃で150rpm、15秒間攪拌した。
【0154】
得られた混合物を、木製で、寸法が16cm×16cm×16cm、壁厚が3.5cmの型に注いだ。混合物を型内で10分間放置し、硬化させるために型の外で24時間放置した。反応混合物の外部圧縮は行わずに収縮させた。収縮は、フォーム内のポリマーネットワークの形成(フォームの縮小につながる)によって達成された。
【0155】
得られたオーセチックポリウレタンフォーム基材は、ポアソン比が-3~0の範囲であった。
【0156】
【0157】
本発明による好ましい実施形態では、実験6が行われた。使用した試薬と量を表6に示す。
【0158】
ポリオール、界面活性剤、ゲル化触媒、発泡触媒、及び連鎖延長剤を、100rpmで1時間、60℃~70℃の間の温度で混合し、反応混合物を提供した。発泡剤を反応混合物に添加し、25℃で150rpm、5分間撹拌した。得られた反応混合物にイソシアネートを加え、混合物を25℃で150rpm、15秒間攪拌した。
【0159】
得られた混合物を、木製で、寸法が16cm×16cm×16cm、壁厚が1.5cmの型に注いだ。混合物を型内で10分間放置し、硬化させるために型の外で24時間放置した。反応混合物の外部圧縮は行わずに収縮させた。収縮は、フォーム内のポリマーネットワークの形成(フォームの縮小につながる)によって達成された。
【0160】
得られたオーセチックポリウレタンフォーム基材は、ポアソン比が-3~0の範囲であった。
【0161】
【0162】
本発明による好ましい実施形態では、実験7が行われた。使用した試薬と量を表7に示す。
【0163】
ポリオール、界面活性剤、ゲル化触媒、発泡触媒、及び連鎖延長剤を、100rpmで1時間、60℃~70℃の間の温度で混合し、反応混合物を提供した。発泡剤を反応混合物に添加し、25℃で150rpm、5分間撹拌した。得られた反応混合物にイソシアネートを加え、混合物を25℃で150rpm、15秒間攪拌した。
【0164】
得られた混合物を、木製で、寸法が16cm×16cm×16cm、壁厚が1.5cmの型に注いだ。混合物を型内で10分間放置し、硬化させるために型の外で24時間放置した。反応混合物の外部圧縮は行わずに収縮させた。収縮は、フォーム内のポリマーネットワークの形成(フォームの縮小につながる)によって達成された。
【0165】
得られたオーセチックポリウレタンフォーム基材は、完全収縮及び硬化後のフォームの外寸が10.5cm×10.5cm×7cmであり、ポアソン比が-3~0の範囲であった。
【0166】
【0167】
本発明による好ましい実施形態では、実験8が行われた。使用した試薬と量を表8に示す。
【0168】
ポリオールの第1部分、界面活性剤、ゲル化触媒、発泡触媒、及び連鎖延長剤を、100rpmで1時間、60℃~70℃の間の温度で混合し、反応混合物を提供した。ポリオールの第2部分及び発泡剤を反応混合物に添加し、25℃で300rpm、5分間撹拌した。得られた反応混合物にイソシアネートを加え、混合物を25℃で300rpm、15秒間攪拌した。
【0169】
得られた混合物を、厚紙製で、寸法が21cm×21cm×20cmの型に注いだ。混合物を型内で10分間放置し、硬化させるために型の外で48時間放置した。反応混合物の外部圧縮は行わずに収縮させた。収縮は、フォーム内のポリマーネットワークの形成(フォームの縮小につながる)によって達成された。
【0170】
得られたオーセチックポリウレタンフォーム基材は、完全な縮小及び硬化後のフォームの外寸が12cm×12cm×4.5cmであり、ポアソン比が-3~0の範囲であった。
【0171】
【0172】
本発明による好ましい実施形態では、実験9が行われた。使用した試薬と量を表9に示す。
【0173】
ポリオールの第1部分、界面活性剤、ゲル化触媒、発泡触媒、及び連鎖延長剤を、100rpmで1時間、60℃~70℃の間の温度で混合し、反応混合物を提供した。ポリオールの第2部分及び発泡剤を反応混合物に添加し、25℃で300rpm、5分間撹拌した。得られた反応混合物にイソシアネートを加え、混合物を25℃で300rpm、15秒間攪拌した。
【0174】
得られた混合物を、厚紙製で、寸法が21cm×21cm×20cmの型に注いだ。混合物を型内で30分間放置し、硬化させるために型の外で48時間放置した。反応混合物の外部圧縮は行わずに収縮させた。収縮は、フォーム内のポリマーネットワークの形成(フォームの縮小につながる)によって達成された。
【0175】
得られたオーセチックポリウレタンフォーム基材は、完全な縮小及び硬化後のフォームの外寸が12cm×12cm×9.5cmであり、20%までの引張ひずみでポアソン比が-0.24であった。
【0176】
【0177】
図10は、実験9によって達成されたオーセチックポリウレタンフォームの横方向のひずみに対する軸方向のひずみ(kPa)を示す。kPaはキロパスカルを表す。
図10は、式y=0.2414x+0.0011、R
2=0.9963の近似直線を含む。
【0178】
本発明による好ましい実施形態では、実験10が行われた。使用した試薬と量を表10に示す。
【0179】
ポリオール、界面活性剤、ゲル化触媒、発泡触媒、及び連鎖延長剤を、25℃で600ミリリットルのビーカーに加えて、反応混合物を提供した。発泡剤を反応混合物に添加し、25℃で500rpm、2分間撹拌した。得られた反応混合物にイソシアネートを添加し、混合物を25℃で500rpm、10秒間攪拌した。
【0180】
得られた混合物を、木製で、寸法が16.5cm×16.5cm×16.5cm、壁厚が2.5cmの型に注いだ。混合物を型内で30分間放置し、硬化させるために型の外で48時間放置した。反応混合物の外部圧縮は行わずに収縮させた。
【0181】
得られたオーセチックポリウレタンフォーム基材は、完全な縮小及び硬化後のフォームの外寸が12cm×12cm×7cmであり、密度が112kgm-3であり、50%ひずみの圧縮時のポアソン比が-0.156であり、y軸で圧縮した場合、5%ひずみまでの圧縮時のヤング率は28.973kPaであった。あるいは、x軸で圧縮された場合、オーセチックポリウレタンフォームは、50%ひずみまでの圧縮時のポアソン比が-0.043であり、5%ひずみまでの圧縮時のヤング率が19.50kPaであった。
【0182】
図11に、実験10で得られたオーセチックポリウレタンフォームの顕微鏡写真を示す。
【0183】
【0184】
図12は、実験10によって達成されたオーセチックポリウレタンフォームの両方の荷重方向における横方向のひずみに対する軸方向のひずみを示し、
図13は、実験10によって達成されたオーセチックポリウレタンフォームの軸方向の応力(kPa)に対するひずみを示す。
【0185】
本発明による好ましい実施形態では、実験11が行われた。使用した試薬と量を表11に示す。
【0186】
ポリオール、界面活性剤、ゲル化触媒、発泡触媒、及び連鎖延長剤を、25℃で1リットルのビーカーに加えて、反応混合物を提供した。発泡剤を反応混合物に添加し、25℃で500rpm、5分間撹拌した。得られた反応混合物にイソシアネートを添加し、混合物を25℃で500rpm、20秒間攪拌した。
【0187】
得られた混合物を、発泡ポリスチレン製で、寸法が20cm×20cm×30cm、壁厚が3.5cmの型に注いだ。混合物を型内で24時間放置し、硬化させるために型の外で4日間放置した。反応混合物の外部圧縮は行わずに収縮させた。
【0188】
得られたオーセチックポリウレタンフォーム基材は、完全な縮小及び硬化後のフォームの外寸が14.5cm×14.5cm×21cmであり、密度が160kgm-3であり、20%のひずみまでのポアソン比が-0.639であり、5%ひずみまでの圧縮時のヤング率が23.93kPaであった。
【0189】
【0190】
図14は、実験11で得られたオーセチックポリウレタンフォームの顕微鏡写真を示す。
【0191】
図15は、実験11によって達成されたオーセチックポリウレタンフォームの横方向のひずみに対する軸方向のひずみを示し、
図16は、実験11によって達成されたオーセチックポリウレタンフォームの応力(kPa)に対するひずみを示す。
【0192】
本発明による好ましい実施形態では、実験12が行われた。使用した試薬と量を表12に示す。
【0193】
ポリオール、界面活性剤、ゲル化触媒、発泡触媒、及び連鎖延長剤を、25℃で1リットルのビーカーに加えて、反応混合物を提供した。発泡剤を反応混合物に添加し、25℃で900rpm、2分間撹拌した。得られた反応混合物にイソシアネートを添加し、混合物を25℃で900rpm、15秒間攪拌した。
【0194】
得られた混合物を、発泡ポリスチレン製で、寸法が20cm×20cm×30cm、壁厚が5cmの型に注いだ。混合物を型内で24時間放置し、硬化させるために型の外で4日間放置した。反応混合物の外部圧縮は行わずに収縮させた。
【0195】
得られたオーセチックポリウレタンフォーム基材は、完全な縮小及び硬化後のフォームの外寸が17cm×17cm×27cmであり、密度が52.5kgm-3であった。y方向に荷重を加えると、得られたオーセチックポリウレタンフォームサンプルは、15%のひずみまでの圧縮時のポアソン比が-0.205であり、5%ひずみまでの圧縮時のヤング率が21.9kPaであった。z方向に荷重を加えると、得られたオーセチックポリウレタンフォームサンプルは、35%のひずみまでの圧縮時のポアソン比が-0.253であり、5%ひずみまでの圧縮時のヤング率が24.3kPaであった。
【0196】
【0197】
図17は、実験12によって達成されたオーセチックポリウレタンフォームの両方の荷重方向における横方向のひずみに対する軸方向のひずみを示し、
図18は、実験12によって達成されたオーセチックポリウレタンフォームの両方の荷重方向における応力(kPa)に対するひずみを示す。kPaはキロパスカルを指す。
【0198】
本発明は、上記の好ましい実施形態及び/又はその実験に決して限定されない。求められる権利は、多くの変更が想定できる範囲内で、以下の請求項によって定義される。