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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】ミーリングビット
(51)【国際特許分類】
   E01C 23/12 20060101AFI20240418BHJP
   E21C 35/18 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
E01C23/12 B
E21C35/18
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023011051
(22)【出願日】2023-01-27
(62)【分割の表示】P 2020557170の分割
【原出願日】2019-03-19
(65)【公開番号】P2023053987
(43)【公開日】2023-04-13
【審査請求日】2023-01-27
(31)【優先権主張番号】102018109150.8
(32)【優先日】2018-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512103321
【氏名又は名称】ベテック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Betek GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Sulgener Str. 21-23, D-78733 Aichhalden, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100217412
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 亜子
(72)【発明者】
【氏名】ハイコ フリードリヒス
(72)【発明者】
【氏名】ウルリッヒ クレマー
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-508579(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0073359(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 23/12
E21C 35/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミーリングビット、特に、切削要素として硬い材料で作られたビットチップ(30)を有するビットヘッド(40)を有するラウンドビットであって、さらに、前記ビットヘッド(40)に直接又は間接的に結合されたビットシャンク(10)が提供され、摩耗保護ディスク(20)が提供され、特に穿孔が前記ビットシャンク(10)に押し付けられ、
前記摩耗保護ディスク(20)が、前記ビットヘッド(40)に面する側に、前記ビットヘッド(40)のベアリング面(41)と接触するように設計された対向面(23)を有し、前記摩耗保護ディスク(20)が、前記対向面(23)に背く側に、前記対向面(23)と好ましくは平行な下側支持面(21)を有し、ディスク厚さ(d)が前記対向面(23)と前記支持面(21)との間に形成されるミーリングビットにおいて、
前記ディスクの厚さ(d)に対する切り欠き(25)の領域に配置される前記ビットシャンク(10)の直径の比率が1.5から3.75の範囲、好ましくは2から3の範囲にあり、
窪み(24)が前記対向面(23)に導入され、前記対向面(23)の第2の表面セグメント(23.2)が前記窪み(24)の間に形成され、前記第2の表面セグメント(23.2)が少なくともいくつかの領域において前記ビットヘッド(40)の前記ベアリング面(41)に当接し、
前記窪み(24)が前記対向面(23)に対してそれらの半径方向外側領域で最大の落ち込み度を有し、それらの半径方向内側領域で第1の表面セグメント(23.1)に合流することを特徴とするミーリングビット。
【請求項2】
前記ディスクの最小厚さに対する前記切り欠き(25)の領域に配置される前記ビットシャンク(11)の直径の比率が1.5~3.75の範囲、好ましくは2から3の範囲にあることを特徴とする、
請求項1に記載のミーリングビット。
【請求項3】
前記切り欠き(25)に隣接する前記対向面(23)が、前記切り欠き(25)の周囲に環状に延びる第1の表面セグメントを有し、前記第1の表面セグメント(23.1)は前記第2の表面セグメント(23.2)に隣接し、前記第1の表面セグメント(23.1)は少なくともいくつかの領域において前記ビットヘッド(40)の前記ベアリング面(41)に当接することを特徴とする、請求項1又は2に記載のミーリングビット。
【請求項4】
前記窪み(24)が、傾斜した横方向の側面を介して前記第2の表面セグメント(23.2)に合流することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のミーリングビット。
【請求項5】
前記窪み(24)がそれらの半径方向外側領域で前記ディスク厚さ(d)の最大で半分、特に好ましくは前記ディスク厚さ(d)の最大30%の窪み寸法を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のミーリングビット。
【請求項6】
センタリング用アタッチメント(21.2)が前記摩耗保護ディスク(20)の下側から突出し、前記センタリング用アタッチメント(21.2)は前記切り欠き(25)の周囲に円周方向に配置され、少なくともいくつかの領域において前記支持面(21)を越えて突出することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のミーリングビット。
【請求項7】
前記センタリング用アタッチメント(21.2)が円錐状であるように設計されることを特徴とする、請求項6に記載のミーリングビット。
【請求項8】
前記センタリング用アタッチメント(21.2)が、前記支持面(21)に沈められた好ましくは円周方向の溝(21.1)に合流することを特徴とする、請求項6又は7に記載のミーリングビット。
【請求項9】
前記工具シャンク(10)の軸方向において、前記ディスク厚さ(d)に対する、前記溝(21.1)の溝底と前記センタリング用アタッチメント(21.2)の自由端との間の間隔の比率が理想的には30%から70%の範囲であることを特徴とする、請求項8に記載のミーリングビット。
【請求項10】
形状合致式の接続が、前記摩耗保護ディスク(20)と前記ビットヘッド(40)及び/又は前記ビットシャンク(10)との間で、円周方向において提供されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のミーリングビット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミーリングビット、特にビットヘッドと、切削要素として硬い材料で作られたビットチップを有するビットチップとを有するラウンドビットに関し、さらに、ビットシャンクがビットヘッドに直接又は間接的に結合されて提供され、摩耗保護ディスクが提供され、その切り欠き、特に穿孔がビットシャンクに押し付けられ、摩耗保護ディスクは、ビットヘッドに面する側に、ビットヘッドのベアリング面と接触するように設計された対向面を有し、摩耗保護ディスクは、対向面に背く側に、対向面と平行な下側支持面を有し、ディスク厚さが対向面と支持面との間に形成される。
【背景技術】
【0002】
このようなビットは、独国特許出願公開第10 2014 104 040 A1号明細書から知られている。切削要素を起点にして、ビットヘッドの直径は、ビットシャンクに隣接するカラーに向かって増大する。ビットホルダの保持アタッチメント内のビット受け入れ部内に円筒形に設計されたビットシャンクを保持するためにクランプスリーブが使用される。クランプスリーブによる不動化により、軸方向の動きを阻止しながら、ビットをその中心縦軸を中心に回転させることが可能になる。摩耗保護ディスクは、ビットヘッドと保持アタッチメントの間に配置され、その中央受け穴を通してビットシャンクが案内される。ビットヘッドに向かって、摩耗保護ディスクは、エッジで縁取られた窪みを有し、その底部は、ビットヘッドのベアリング面が載る支持面を形成する。工具ホルダに向かって、摩耗保護ディスクは座面を形成し、座面は摩耗保護ディスクの中心に向かって、ビットの中心縦軸に対して斜めに延びるセンタリング用アタッチメントのセンタリング面に合流する。センタリング面と座面の間の移行領域に溝が配置される。工具ホルダの保持アタッチメントの上側は、摩耗保護ディスクの下側に対応するようにビットヘッドに向かって成形される。それは摩耗保護ディスクの座面が載る摩耗面を有する。摩耗保護ディスクのセンタリング用アタッチメントは、保持アタッチメントのセンタリング受け入れ部内で半径方向に案内される。ビットを使用した工具配置の動作中の摩耗面の摩耗の結果、隆起が、摩耗保護ディスクの溝の領域において工具ホルダの摩耗面に形成され、溝と係合する。この係合は、摩耗保護ディスクに追加の横方向のガイダンスを提供する。同時に、溝とそれに係合する隆起は、ビットホルダの領域への廃棄材料の侵入を少なくとも減少し、かくしてビットの回転性が維持され、摩耗が低減される。
【0003】
工具がその中心縦軸の周りを回転できることを確実にするために、工具ホルダ内の工具の限定された軸方向の遊びが望ましい。小さなビットよりも大きなビットの方が、より大きな遊びが提供される。軸方向の遊びがセンタリング用アタッチメントの高さを越えると、摩耗保護ディスクはセンタリング用アタッチメントによってもはや横方向に案内されない。これにより、摩耗保護ディスクと工具ホルダの両方の摩耗が増大する。
【0004】
このため、独国実用新案第20 2017 006 713 U1号明細書はこの解決策を採用し、摩耗保護ディスクと工具ホルダのより良い連動を提案している。この対策を使用して、横方向の支持挙動を改善することができる。全体的に見て、半径方向に作用する力を、このようにして、ミーリングビットから工具ホルダにより効率的に伝達できる。さらに、ビットヘッドとビットシャンクとの間の移行領域において、より大きな負荷を伝達することができる。しかしながら、負荷が増大すると、この地点でシャフトが破損するリスクも増加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、耐破壊性が改善された、上記のタイプのミーリングビットを提供するという問題に取り組む。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この任務は、ディスクの厚さ(d)に対する切り欠きの領域に配置されたビットシャンクの直径の比率が1.5から3.75の範囲、好ましくは2から3の範囲にあることによって解決される。
【0007】
このようにして、摩耗保護ディスクの厚さを増大するためにビットヘッドの長さを短くする一方で、ミーリングビットの従来の設計と同じビットチップの自由端の工具ホルダを越える絶対的な突出を維持することができる。ビットヘッドの長さが短いほど、ビットヘッドとビットシャンクの間の移行領域で発生する曲げ応力が低くなり、シャフトが破損するリスクが軽減される。1.5から3.75の指定範囲は、道路建設で、特に道路ミーリングマシン及びスタビライザーで通常使用されるミーリングビットで発生する応力及びひずみを最適化された方法で許容する。道路舗装の部分的又は完全な除去或いは路面の微細なミーリングに使用される道路ミーリングマシンの場合、2~3の好ましい範囲比が適している。
【0008】
最新のミーリングビットは、断面形状が均一でない摩耗保護ディスクがよく使用される。本発明によれば、特に、ディスクの最小厚さ(d)に対する切り欠き領域に配置されたビットシャンクの直径の比率は、1.5から3.75の範囲、好ましくは2から3の範囲にあることが提供される。
【0009】
本発明の好ましい変形形態は、窪みが対向面に導入され、対向面の第2の表面セグメントが窪みの間に形成され、第2の表面セグメントが少なくともいくつかの領域においてビットヘッドのベアリング面に当接する。動作中、ミーリングビットは摩耗保護ディスクに対して回転する。ミーリングビットが、作業すべき地面/路床に貫入すると、粉砕材料が除去される。この粉砕された材料は、ビットヘッドと摩耗保護ディスクの間の領域に入り、次にミーリングビットが取り付けられている工具ホルダの受け穴の領域に入る可能性がある。時折、この粉砕された材料が受け穴に蓄積し、ミーリングビットの自由回転を制限したり阻止したりする。窪みは、窪みに対向して隆起した領域と協力して、一種の破砕ミルを形成する。これを使用して、侵入する粒子を粉砕することができる。次に、より細かい構成要素は、工具ホルダの受け穴の領域に達しないように半径方向外側に除去される。
【0010】
特に、切り欠きに隣接する対向面は、切り欠きの周囲に環状に延びる第1の表面セグメントを有し、第1の表面セグメントは第2の表面セグメントに隣接し、第1の表面セグメントは少なくともいくつかの領域においてビットヘッドのベアリング面に当接することが提供され得る。環状の表面セグメントは一種のシールセグメントを形成し、これがまた粉砕された微粒子が受け穴の領域に侵入することを防ぐ。
【0011】
本発明のさらに好ましい変形形態によれば、傾斜した横方向の側面を介して窪みが第2の表面セグメントに合流することが提供され得る。これにより粉砕効果が改善される。
【0012】
貫入又は粉砕された粒子の除去を改善するために、窪みが対向面に対してそれらの半径方向外側領域で最大の落ち込み度を有し、それらの半径方向内側領域で第1の表面セグメントに合流することが提案され得る。摩耗保護ディスクの安定性を許容できない程度に低下させないために、窪みの半径方向外側領域が、ディスク厚さの最大で半分、特に好ましくはディスク厚さの最大30%の窪み寸法を有することが推奨される。
【0013】
本発明の考えられる変形形態によれば、センタリング用アタッチメントが摩耗保護ディスクの下側から突出し、このセンタリング用アタッチメントは切り欠きの周囲に円周方向に配置され、少なくとも部分的に支持面を越えて突出することが提供され得る。センタリング用アタッチメントは、工具ホルダに対して半径方向の摩耗保護ディスクの横方向の案内と支援を改善する。工具ホルダに対する摩耗保護ディスクの正確な案内は、センタリング用アタッチメントが円錐形の設計であるという簡単な方法で達成される。
【0014】
ミーリングビットの好ましい設計は、センタリング用アタッチメントが、支持面に沈められる、好ましくは円周方向の溝に合流するようなものである。動作中、摩耗保護ディスクは工具ホルダの割り当てられた表面にそれ自体をめり込ませる。この際、環状及び隆起状のアタッチメントが、この表面の円周方向の溝の領域に形成される。溝及びセンタリング用アタッチメントと連携して、これは工具ホルダに対する半径方向の摩耗保護ディスクの改善された横方向の支援をもたらす。一般的な道路ミーリング用途では、工具シャンクの軸方向において、ディスク厚さに対する、溝の溝底とセンタリング用アタッチメントの自由端との間の間隔の比率が理想的には30%から70%の範囲であることが示されている。
【0015】
本発明の可能な変形形態によれば、形状合致式の接続が、摩耗保護ディスクとビットヘッド及び/又はビットシャンクとの間で、円周方向において提供され得る。
【0016】
本発明は、図面に示される例示的な実施形態に基づいて、以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】ミーリングビットの第1の実施形態の斜視側面図を示す。
図2】ミーリングビットの第2の実施形態の斜視側面図を示す。
図3図1又は2のミーリングビットのうちの一方で使用するためのビットチップ(30)の側面図を示す。
図4図3のビットチップ(30)の部分的に切断された側面図を示す。
図5図1又は2のミーリングビットのうちの一方で使用するための摩耗保護ディスク(20)の上からの斜視図を示す。
図6図5の摩耗保護ディスク(20)の斜視底面図を示す。
図7】比較位置にあるビットチップ(30)の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1はミーリングビット、この例ではラウンドビットを示す。このミーリングビットは、ビットヘッド40が一体的に成形されたビットシャンク10を有する。ビットヘッド40がビットシャンク10に一体に成形されておらず、別個の構成要素として製造され、ビットシャンク10に接続されている実施形態の変形も考えられる。
【0019】
ビットシャンク10は、第1のセグメント12及び端部セグメント13を有する。円周方向の溝11が、第1のセグメント12と端部セグメント13との間に延びる。第1のセグメント12及び端部セグメント13は両方とも円筒形である。溝11は、ビットシャンク10の自由端の領域に配置されている。
【0020】
この場合、クランプスリーブの形態を有するクランプ要素14が、ビットシャンク10に取り付けられる。また、別のクランプ要素14をビットシャンク10に取り付けることも考えられる。クランプ要素14はミーリングビットを工具ホルダの受け穴に固定するために使用される。クランプスリーブは、クランプスリーブの外周がクランプ式に受け穴の内壁に密接するように、ミーリング工具を工具ホルダの受け穴の中に固定するために使用することができる。
【0021】
クランプ要素14は、保持要素15を有する。これらの保持要素15は、円周方向の溝11と係合する。したがって、ミーリングビットは、クランプ要素14内で円周方向に自由に回転することができるが、軸方向に拘束されている。
【0022】
前述のように、クランプ要素14は、クランプスリーブとして設計することができる。この目的のために、クランプスリーブは圧延板金セグメントからなることができる。保持要素15は、溝11の方向に突出して、板金セグメントにスタンプすることができる。保持要素は、板金セグメントの材料から部分的に切断され、溝11の方向に曲げられることも考えられる。
【0023】
摩耗保護ディスク20が、ビットシャンク10に取り付けられる。摩耗保護ディスク20は、クランプ要素14の割り当てられた端部とビットヘッド40との間の領域に配置される。摩耗保護ディスク20は、クランプ要素14及びビットヘッド40の両方に対して回転することができる。
【0024】
摩耗保護ディスク20の設計は、図5及び6で見ることができる。これらの図が示すように、摩耗保護ディスク20は、環状にデザインすることができる。摩耗保護ディスク20は、穿孔として設計することができる中央切り欠き25を有する。多角形の切り欠きも考えられる。
【0025】
摩耗保護ディスク20は、上部対向面23と、対向面23に背く下面に支持面21とを有する。支持面21は、対向面23と平行に整列させることができる。また、これらの2つの面が互いに角度を持っていることも考えられる。窪み24を対向面23から切り取る、又は対向面23に沈めることもできる。本実施形態では、窪み24は、円周方向に同じ区画グリッドで等距離に配置される。可変区画が提供されることも考えられる。窪み24は、対向面23を個々の表面セグメント23.1、23.2に分割する。まず、環状で切り欠き25の周りに延びる第1の表面セグメント23.1が形成される。第1の表面セグメント23.1は第2の表面セグメント23.2に半径方向に隣接する。窪み24は、第2の表面セグメント23.2を互いに距離を置いて離間するために使用される。図5に示されるように、窪み24は、側面セグメント24.1を介して隣接する第2の表面セグメント23.2に合流することができる。側面24.1は、第2の表面セグメント23.2に対して傾斜して鈍角で延びている。図5にさらに示されるように、窪み24は、第1の表面セグメント23.1に向かって連続的に延びている。表面セグメント23.1、23.2は、ビットヘッド40のためのベアリング面を形成する。
【0026】
図6は、摩耗保護ディスク20の下側を示している。ここでは、支持面21をはっきりと見ることができる。円周方向の溝21.1が支持面21に沈められている。円周方向の溝21.1は、センタリング用アタッチメント21.2に直接又は間接的に隣接している。センタリング用アタッチメント21.2は円錐形であるように設計される。それは、穿孔のように成形された切り欠き25の周りに円周方向に配置されている。
【0027】
その外周で摩耗保護ディスク20は環状の円周方向リム22によって区切られている。
【0028】
摩耗保護ディスク20の切り欠きは、ビットシャンク10に滑り込ませることができる。取り付けられた状態で、図1及び2に示されているように、摩耗保護ディスク20の切り欠き25は、ミーリングビットの円筒形セグメントを取り囲む。この円筒形セグメントは、ビットシャンク10の第1のセグメント12によって形成することができる。しかしながら、好ましくは、円筒形セグメントを形成するさらなるセグメントが、第1のセグメント12に接続される。円筒形セグメントは、第1のセグメント12と比較して直径が拡大され、それと同心円状に配置される。
【0029】
摩耗保護ディスク20を組み立て補助具として使用することも考えられる。この場合、摩耗保護ディスク20は、クランプ要素14の外周に取り付けられる。本実施形態では、クランプ要素14は、長手方向にスロットが付けられたクランプスリーブとして設計される。切り欠き25は、図1及び2に示されるそのばね荷重状態においてクランプスリーブよりも小さい直径を有する。摩耗保護ディスク20の切り欠き25が、次にクランプスリーブの外周に取り付けられると、それはプリテンション状態になる。このプリテンション状態は、クランプスリーブを工具ホルダの受け穴にほとんど又はまったく力を入れずに挿入できるように選択される。次に、工具ホルダへの挿入運動は、摩耗保護ディスク20によって制限される。次に、摩耗保護ディスクの底面の支持面21は、工具ホルダの割り当てられた摩耗面と衝突する。次に、ミーリングビットは、例えば小槌を使用して打つことによって、工具ホルダの受け穴にさらに押し込むことができる。摩耗保護ディスクは、図1又は2に示される位置に達するまでクランプスリーブから押し出される。次に、クランプスリーブは半径方向においてより自由にばね作用で開くことができ、この際クランプスリーブはミーリング工具を受け穴内にクランプするために使用される。この状態で、クランプスリーブは、受け穴内でミーリング工具にクランプされる。次いで、工具シャンク10は、クランプスリーブ内で円周方向に自由に回転させることができる。保持要素15は、それを軸方向に拘束するために使用される。
【0030】
摩耗保護ディスク20は、支持面21と対向面23との間にディスク厚さdを有する。このディスク厚さd対切り欠き25の直径又は切り欠き25に関連付けられるビットシャンク10の円筒セグメントの直径の比は、2から4.5の範囲にある。この例示的実施形態では、7mmのディスク厚さdについて、この比は2.8である。ディスク厚さdは、好ましくは4.4mmから9.9mmの範囲で選択される。そのようなディスク厚さdの場合、従来技術から知られているミーリングビットと比較して、改善を達成することができる。特に、ミーリングビットのヘッド40は、ミーリングビットの軸方向においてより短くすることができ、この際ビットヘッド40の短縮は、摩耗保護ディスク20のより厚い厚さによって補償される。しかしながら、より短いビットヘッド40は、その基部42の領域で一定の外径を有するように設計することができる。ビットヘッドの短縮化された設計は、ビットヘッドとビットシャンク10の間の破損のリスクがある領域においてより低い曲げ応力をもたらす。したがって、等価張力はここで、改善されたヘッド及びシャフト破壊挙動を受け入れて同じく低減される。
【0031】
支持面21の領域に配置された円周方向の溝21.1は、改善された横方向の支持挙動を提供する。動作中、支持面21は、工具ホルダの割り当てられたベアリング面に作用する。円周方向の溝21.1の領域において、円周方向の溝21.1に対応するように、円周方向の隆起がネガのように工具ホルダに形成される。新品の場合、対応する隆起を有するベアリング面を工具ホルダに最初に設けることも考えられる。すなわち、次に、センタリング用アタッチメント21.2が、工具ホルダの対応するセンタリング用受け入れ部と係合する。円周方向の溝21.1は、隆起の領域で静止する。これにより、改善された横方向の支持挙動がもたらされる。改善された横方向の支持とは、表面圧力が、クランプスリーブの上部領域、すなわちビットヘッド40に面する領域において低下することを意味する。これにより、この領域でクランプスリーブの過度の摩耗が防止される。本発明者らは、過度の摩耗は、クランプスリーブのプリテンションの喪失をもたらし得ると認識している。このプリテンションの喪失の結果として、ミーリングビットは、工具ホルダの受け穴から不注意に滑り落ちて、失われる恐れがある。センタリング用アタッチメント21.2及び円周方向の溝21.1による半径方向の横方向の改善された支持は、したがって、ミーリングビットのより長い工具寿命をもたらす。道路ミーリングマシンでミーリングビットを使用する場合、上記のディスク厚さdの範囲が有利であることが証明されている。その場合、摩耗保護ディスク20は、ミーリングビットの全体の延長された耐用年数にわたってそれらの機能を確実に果たし、工具は、摩耗したクランプスリーブのために時期尚早に交換する必要がない。
【0032】
上記のように、円周方向の溝21.1は、動作中の摩耗保護ディスク20のより良い横方向の支持挙動をもたらす。これはまた、より大きな力が、摩耗保護ディスク20と工具ホルダとの間で半径方向に伝達され得ることを意味する。上記の態様のより大きなディスク厚さdは、摩耗保護ディスク20の切り欠きがビットシャンク10により大きな接触面を提供することを意味する。指定されたディスク厚さd及び摩耗保護ディスク20の下側の円周方向の溝21.1と併せて、現在の技術に基づいて可能であるよりも大きな横方向の力を伝達することができる。しかしながら、ビットヘッドのより短い設計と併せて、これはまた、新しい実施形態がより高い前進速度の達成を可能にすること、又は代わりに、ビットヘッド又はビットシャンク10を材料の節約のために最適化された張力レベルで設計できることを意味する。
【0033】
保持要素15とビットシャンク10との間の寸法関係は、保持要素15に対するビットシャンク10の限定された軸方向オフセットが可能であるように設定される。これにより、動作中にミーリングビットの軸方向のポンピング効果が生じる。粉砕された材料が、動作中にビットヘッド40のベアリング面41と対向面23との間の領域に入ると、環状の第1の表面セグメント23は、廃棄材料が保持要素15の領域に侵入するリスクを最小限に抑える一種のシーリング領域を形成する。一種のミル効果が、ビットヘッド40のベアリング面41と表面セグメント23.2との間に、及び側面24.1に関連して形成される。侵入するより大きな粒子は砕かれ、窪み24の傾斜した形状を介して除去される。これにより、ビットシャンク10の領域から除去された材料が工具に侵入するリスクも低減される。
【0034】
上記のように、ミーリングビットはビットヘッド40を有する。ビットヘッド40は下方に接触面41を有する。ビットヘッドのこの接触面41は、対向面23に載ることができる。接触面41は、図1及び2に示すように、環状の第1の表面セグメント23.1及び第2の表面セグメント23.2を少なくとも部分的に覆う。ビットヘッド40は、ベアリング面41に隣接する基部42を有する。本例示的実施形態では、基部42は、より膨らんだ形状である。しかしながら、他の形状も考えられる。例えば、基部42に円筒形状、円錐台形状又は同様の形状を提供することが考えられる。この基部42は摩耗面43に隣接している。本例示的実施形態では、摩耗面43は、摩耗を最適化するように、少なくとも一部の領域において凹状の設計を有する。摩耗面43は、ビットヘッド40の端部領域に合流し、端部領域はビットチップ30の受け入れ部45を形成する。図面に示すように、ビットヘッド40の端部領域は、受け入れ部45の形態のキャップ形状の窪みを有することができる。ビットチップ30は、キャップ形状の窪みに取り付けることができる。ビットチップ30を取り付けるためにろう付け接合を使用することが考えられる。
【0035】
ビットチップ30の形状は、図3及び4に詳述されている。これらの図が示すように、ビットチップ30は、取り付けセグメント31を有する。この例示的実施形態では、それはビットチップ30の下面31として設計される。図4に示されるように、この下面に窪み31.1を設けることができ、これは特にトラフ型にすることができる。窪み31.1は、過剰なはんだ材料が蓄積できるリザーバを形成する。さらに、窪み31.1は、ビットチップ30を製造するために必要な材料の量を削減する。ビットチップ30は通常、硬い材料、特にカーバイドで作られる。これは比較的高価な材料である。したがって、窪み31.1を使用して、必要な部品を製造するための労力及び費用を低減することができる。
【0036】
ビットチップ30の下側の領域では、アタッチメント32が取り付けセグメント31に提供される。これらのアタッチメント32を使用して、平面取り付けセグメント31とビットヘッド40の割り当てられた表面との間のはんだギャップの厚さを調整することができる。
【0037】
取り付けセグメント31は、面取り部33を介してカラー34に合流する。取り付けセグメント31からカラー34までの異なる移行も考えられる。特に、取り付けセグメント31からカラー34への直接移行が提供されてもよい。この実施形態では、カラー34は円筒形である。カラー34を、例えば、凸状に湾曲させる、及び/又はより膨らませることも考えられる。カラー34は、直接又は間接的に凹面領域36に合流することができる。図面に示される例示的実施形態では、間接移行の設計が示されている。したがって、カラー34は、円錐形又は凸状に湾曲した移行セグメント35を介して凹面領域36に合流する。
【0038】
凹面領域36は、直接又は間接的に接続セグメント38に合流することができる。この例では、接続セグメント38への直移行の設計が選択された。接続セグメント38は、本例示的実施形態に示すように、円筒形とすることができる。接続セグメント38のために円錐台形状を選択することも考えられる。接続セグメント38のわずかに凸状又は凹状の形状を使用することもできる。円筒形の接続セグメント38は、材料と強度の点で最適化された設計の利点を有する。さらに、接続セグメント38は、動作中に低減された摩耗領域を形成する一方で、ビットチップ30は摩耗する。この点で、一定の切削効果が、接続セグメント38の円筒形の設計によって達成される。
【0039】
接続セグメント38は端部セグメント39に直接又は間接的に隣接する。この例では、間接移行が選択され、ここで移行部は面取りされた輪郭39.3によって形成される。端部セグメント39は、テーパーセグメント39.1及びエンドキャップ39.2を有する。テーパーセグメント39.1を起点として、ビットチップ30の断面は、エンドキャップ39.2に向かって先細になっている。この点で、特にエンドキャップ39.2は、ビットチップ30のアクティブな切削要素である。
【0040】
本例示的実施形態では、エンドキャップの外側輪郭は球形ドームによって形成される。この球形ドームのベースサークルは直径306を有する。可能な限り鋭い切削効果を達成すると同時に、ビットチップ30の耐破損性設計を達成するために、ベースサークルの直径306が1から20mmの範囲で選択されると有利である。
【0041】
テーパーセグメント39.1の第1の端部領域は、ビットヘッド40に面する最大の第1の半径方向範囲e1を有する。ビットヘッド40に背く端部において、テーパーセグメント39.1は、第2の最大半径方向範囲e2を有する。図3は、第1の最大範囲e1の地点から第2の最大範囲e2の地点までの接続線を破線で示している。この接続線は、ビットチップ30の中心縦軸Mに対して45°から52.5°の角度β/2にある。50°の角度が好ましくは選択される。
【0042】
この例では、テーパーセグメント39.1の球体の形状が選択された。しかしながら、エンドキャップ39.2に向かって先細になるわずかに凸状又は凹状の形状を選択することも考えられる。
【0043】
機械加工作業中に、ビットチップ30が摩耗し、中心縦軸Mの方向に短くなる。道路ミーリング用途では、ここで選択されたミーリングビットの設定角度が与えられる場合、ミーリングビットが取り付けられるミーリングドラムと比較して、接続線の既存角度範囲が特に有利であることが証明されていることが示されている。より大きな角度が選択されると、ミーリングプロセス中に貫通に対する抵抗が大きくなりすぎる。これにより、ミーリング機械に必要な駆動力が大きくなる。さらに、接続セグメント38とテーパーセグメント39.1との間の移行領域における摩耗作用のための主圧力点は、ビットチップ30に作用する。その結果、ビットチップ30のエッジの破損及び早期の故障のリスクが高まる。より小さな角度が選択されると、ビットチップ30は切削において最初に非常に効果的で、その結果、大きな初期縦方向摩耗が生じる。これにより、最大限可能な耐用年数が短くなる。本発明による角度範囲では、ミーリングプロセス中の圧力作用は、テーパーセグメント39.1及びエンドキャップ39.2の表面全体に均一に分散される。これは、ビットチップの理想的な工具寿命をもたらし、同時にミーリングビットチップ30の十分な切削効果をもたらす。
【0044】
ビットチップ30は、10から30mmの範囲で、中心縦軸Mの方向に軸方向範囲309を有する。この範囲領域は道路ミーリング用途に最適化されている。主摩耗領域を形成する接続セグメント38は、2.7から7.1mmの範囲の軸方向範囲を有することができる。
【0045】
ビットチップ30の凹面領域36は、楕円形の輪郭を有する。楕円輪郭を形成する楕円Eは、図3に破線で示されている。楕円Eは、楕円Eの大きな半軸302及びビットチップ30の中心縦軸Mが鋭角αを形成するように配置されている。本例示的実施形態では、角度αは、30°から60°、好ましくは40°から50°の範囲で選択され、その角度は、ここに示すように、特に好ましくは45°である。したがって、凹面領域は、楕円Eを辿る形状を有する。長半径302の長さは、好ましくは、8mmから15mmの範囲で選択される。図3に示す形態では、長半径302の長さは12mmである。短半径の長さは、5mmから10mmの範囲で選択される。図3では、9mmの長さが短半径301に対して選択される。
【0046】
図3に示すように、楕円Eの中心Dは、好ましくは、中心縦軸Mの方向において、凹面領域36と接続セグメント38との間の移行点から離され、ここで中心Dはビットヘッド40の方向において、この接続点からオフセットされる。これにより、凹面領域36の摩耗が最適化された形状が得られる。
【0047】
図7は楕円Eの傾きの効果を示す。図7はビットチップ30を示し、ここで独国特許出願公開第10 2007 009 711 A1号明細書から知られている従来技術によれば、凹状輪郭がビットチップ30の凹面領域36で選択され、ここで形成された楕円Eの長半径はビットチップ30の中心縦軸Mと平行に配置される。楕円Eの傾きの結果、追加の円周方向材料領域Bがもたらされる。この追加の円周方向材料領域Bは、ビットチップ30の最も応力のかかる領域において、ビットチップ30の輪郭を補強する。これは、最大の等価張力が発生する領域である。したがって、形成された楕円Eの傾いた位置により、ビットチップ30は、かなり大量の材料を必要とすることなく、関連する領域で補強される。ビットチップ30はスリムなままであり、その切削効果を保持する。
【0048】
対照的に、図7の左側に、凹面領域36の輪郭が示され、これはビットチップ30の反対側に追加の円周方向材料領域Cを有する。この追加の円周方向材料領域Cの輪郭は、半径により成形された形状、すなわち円によって形成される。ビットチップ30が材料領域Bと比較して著しく厚くなっていることが明らかである。この結果、材料領域Bを有する形態(傾けられた楕円E)と比較して、ビットチップ30の重要な領域の強度が改善されないかほんのわずか改善される。しかしながら、同時に、かなり大量の高価な硬い材料が必要とされ、ビットチップ30はその切削効果を失う。
【0049】
図7は、ビットチップ30の断面において、第1の最大範囲e1の地点から第2の最大範囲e2の地点までの接続線が、ビットチップ30の中心縦軸Mに対して45°から52.5°の角度β/2にあることが提供される上記の特徴も示している。図が示すように、接続線をある角度で位置づけることにより、追加の円周方向材料領域Aが形成される。この追加の材料領域Aは、一方で、主も応力のかかる切削領域に追加の摩耗量を追加し、他方で、上記の利点を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7