(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】クリップシステム、およびアプリケータ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/128 20060101AFI20240418BHJP
A61B 17/122 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
A61B17/128
A61B17/122
(21)【出願番号】P 2023030459
(22)【出願日】2023-02-28
【審査請求日】2023-02-28
(32)【優先日】2022-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100207789
【氏名又は名称】石田 良平
(72)【発明者】
【氏名】上阪 健輔
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-163222(JP,A)
【文献】国際公開第2020/136701(WO,A1)
【文献】特表2009-538699(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/128
A61B 17/122
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シースと、
前記シースを挿通する動力伝達部材と、
前記動力伝達部材の基端部を長手方向に沿って進退させる操作部と、
前記動力伝達部材の前記基端部に摺動可能に取り付けられた摺動部材と、
開閉可能な複数のアームを有し、前記動力伝達部材の先端部と分離可能に連結するクリップと、
を備え、
前記動力伝達部材に対して前記摺動部材を摺動させるためには単位長さあたり所定の第一力量が必要であり、
前記操作部は、前記摺動部材より前記長手方向の先端側に、前記動力伝達部材が通過可能で、前記摺動部材が通過不能な第一係止部を有する、
クリップシステム。
【請求項2】
前記動力伝達部材の前記先端部を、前記クリップと連結するクリップ装填位置まで前進することによって、前記摺動部材は前記第一係止部と接触して基端側に摺動する、
請求項1に記載のクリップシステム。
【請求項3】
前記操作部は、前記摺動部材より前記長手方向の基端側に、前記動力伝達部材が通過可能で、前記摺動部材が通過不能な第二係止部を有する、
請求項1に記載のクリップシステム。
【請求項4】
前記動力伝達部材の前記先端部に装填された前記クリップを前記シースに収容するとき、前記摺動部材は前記第二係止部と接触して先端側に摺動する、
請求項3に記載のクリップシステム。
【請求項5】
前記シースに収容された前記クリップを突出させて開状態とするとき、前記摺動部材は前記第一係止部と接触して基端側に摺動する、
請求項4に記載のクリップシステム。
【請求項6】
前記開状態である前記クリップを閉じて掴み直し可能な状態を維持するとき、前記摺動部材は静止位置を維持する、
請求項5に記載のクリップシステム。
【請求項7】
閉状態である前記クリップを前記動力伝達部材から分離するとき、前記摺動部材は前記第二係止部と接触して先端側に摺動する、
請求項6に記載のクリップシステム。
【請求項8】
前記動力伝達部材の前記先端部と前記クリップとを分離可能に連結する連結部材をさらに備える、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のクリップシステム。
【請求項9】
前記動力伝達部材は、先端側に設けられた第一動力伝達部材と、基端側に設けられた第二動力伝達部材と、を有し、
前記第二動力伝達部材は、前記第一動力伝達部材より剛性が高く、
前記摺動部材は、前記第二動力伝達部材に摺動可能に取り付けられている、
請求項1に記載のクリップシステム。
【請求項10】
前記第一動力伝達部材は、ワイヤであり、
前記第二動力伝達部材は、パイプである、
請求項9に記載のクリップシステム。
【請求項11】
前記摺動部材は、前記動力伝達部材の外周部に取り付けられたリング状の部材である、
請求項1に記載のクリップシステム。
【請求項12】
前記摺動部材は、前記第一係止部と前記第二係止部との間に配置される、
請求項3に記載のクリップシステム。
【請求項13】
クリップを体内に導入するアプリケータであって、
シースと、
前記クリップと連結される先端部を有し、前記シースを挿通する動力伝達部材と、
前記動力伝達部材の基端部を長手方向に沿って進退させる操作部と、
前記動力伝達部材の前記基端部に摺動可能に取り付けられた摺動部材と、
を備え、
前記動力伝達部材に対して前記摺動部材を摺動させるためには単位長さあたり所定の第一力量が必要であり、
前記操作部は、前記摺動部材より前記長手方向の先端側に、前記動力伝達部材が通過可能で、前記摺動部材が通過不能な第一係止部を有する、
アプリケータ。
【請求項14】
前記動力伝達部材の前記先端部を、前記クリップと連結するクリップ装填位置まで前進させるとき、前記摺動部材は前記第一係止部と接触して基端側に摺動する、
請求項13に記載のアプリケータ。
【請求項15】
前記操作部は、前記摺動部材より前記長手方向の基端側に、前記動力伝達部材が通過可能で、前記摺動部材が通過不能な第二係止部を有する、
請求項13に記載のアプリケータ。
【請求項16】
前記クリップが装填された前記動力伝達部材の前記先端部を、前記クリップと連結するクリップ装填位置から、前記クリップを前記シースに収容するクリップ収容位置まで後退させるとき、前記摺動部材は前記第二係止部と接触して先端側に摺動する、
請求項15に記載のアプリケータ。
【請求項17】
前記動力伝達部材の前記先端部を、前記クリップ収容位置から、前記クリップを突出させて開状態とするクリップ突出位置まで前進させるとき、前記摺動部材は前記第一係止部と接触して基端側に摺動する、
請求項16に記載のアプリケータ。
【請求項18】
前記動力伝達部材の前記先端部を、前記クリップ突出位置から、前記クリップを閉じて掴み直し可能な状態を維持する掴み直し可能位置まで後退させるとき、前記摺動部材は静止位置を維持する、
請求項17に記載のアプリケータ。
【請求項19】
前記動力伝達部材の前記先端部を、前記クリップ突出位置から、前記クリップを分離するクリップ留置位置まで移動させるとき、前記摺動部材は前記第二係止部と接触して先端側に摺動する、
請求項17に記載のアプリケータ。
【請求項20】
前記動力伝達部材の前記先端部が、前記クリップ突出位置から前記クリップを閉状態としてロックするクリップロック位置まで移動する長さは、前記第一係止部から前記第二係止部までの長さ以上である、
請求項17に記載のアプリケータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリップシステム、およびアプリケータに関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡的治療において、処置後の切除部等を結紮して止血等をサポートするクリップ装置が使用されている。クリップ装置は、切除部等を挟み込むクリップと、クリップを収容して閉状態にロックする押さえ管と、を備える。クリップ装置は、内視鏡のチャンネルを挿通可能なアプリケータによって処置位置に導入される。
【0003】
一つのアプローチによれば、クリップ装置は、開状態になるように付勢されて自己拡開力を有するクリップを備える。クリップが切除部等を挟んだ状態で押さえ管に収容し、かつ、クリップを閉状態にロックすると、使用者は、クリップを操作し開状態に戻して切除部等を掴み直すことができる。
【0004】
別のアプローチによれば、クリップ装置をアプリケータ(導入装置)にリロードすることができるカートリッジシステムを用いることができる。使用者は、カートリッジシステムを用いて、アプリケータのシースから先端側に突出させた位置(以降、「クリップ装填位置」ともいう)まで引き出した連結部に、クリップ装置をリロードすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のクリップシステムは、例えば、以前に組織に対して閉状態になってから、クリップが開状態に戻されて切除組織等を掴むとき、アプリケータの連結部が意図せずクリップ装填位置まで移動し、クリップ装置が連結部から意図しない方式で脱落する可能性がある。
【0007】
上記事情を踏まえ、本発明は、リローダブルであり、掴み、リリース、または掴み直し等の操作が容易であり、クリップが処置中に意図せず脱落することを抑制できるクリップシステム、およびアプリケータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様に係るクリップシステムは、シースと、前記シースを挿通する動力伝達部材と、前記動力伝達部材の基端部を長手方向に沿って進退させる操作部と、前記動力伝達部材の前記基端部に摺動可能に取り付けられた摺動部材と、開閉可能な複数のアームを有するクリップと、前記動力伝達部材の先端部と前記クリップとを分離可能に連結する連結部材と、を備え、前記操作部は、前記摺動部材より前記長手方向の先端側に、前記動力伝達部材が通過可能で、前記摺動部材が通過不能な第一係止部を有する。
【0009】
本発明の第二の態様に係るアプリケータは、クリップを体内に導入するアプリケータであって、シースと、前記クリップと連結される先端部を有し、前記シースを挿通するサイズおよび形状を有する動力伝達部材と、前記動力伝達部材の基端部を長手方向に沿って進退させる操作部と、前記動力伝達部材の前記基端部に摺動可能に取り付けられた摺動部材と、を備え、前記操作部は、前記摺動部材より前記長手方向の先端側に、前記動力伝達部材が通過可能で、前記摺動部材が通過不能な第一係止部を有する。
【0010】
本発明の第三の態様に係るクリップシステムの操作方法は、開閉可能な複数のアームを有するクリップと、前記クリップと連結される先端部を有する動力伝達部材と、前記動力伝達部材の基端部を長手方向に沿って進退させる操作部と、を備えるクリップシステムの操作方法であって、前記動力伝達部材の前記先端部を所定範囲より先端側または基端側に移動させる単位長さあたりの第一力量は、前記動力伝達部材の前記先端部を所定範囲内において移動させる単位長さあたりの第二力量より大きい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のクリップシステム、およびアプリケータは、リローダブルであり掴み直しおよびリリース等の操作が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第一実施形態に係るクリップデリバリデバイスのクリップ導入装置の一例を示す図である。
【
図2】同クリップ導入装置の操作部の一例の断面図である。
【
図3】同クリップデリバリデバイスのクリップ装置の一例の斜視図である。
【
図4】押さえ部材を透過表示させた同クリップ装置の一例の斜視図である。
【
図5】同クリップ装置の同押さえ部材の一例の長手方向における断面図である。
【
図6】同クリップ装置の連結部材の一例の斜視図である。
【
図7】同クリップ装置を装填前の同クリップ導入装置の一例を示す断面図である。
【
図8】同クリップ装置が装填された同クリップデリバリデバイスの一例を示す断面図である。
【
図9】同クリップ装置がシースに収容した同クリップデリバリデバイスの一例を示す断面図である。
【
図10】同クリップ装置が同シースから突出したクリップデリバリデバイスの一例を示す断面図である。
【
図11】同クリップ装置のクリップが牽引された同クリップデリバリデバイスの一例を示す断面図である。
【
図12】同クリップがさらに牽引された同クリップデリバリデバイスの一例を示す断面図である。
【
図13】同クリップ装置の同連結部材がリリースされた同クリップデリバリデバイスの一例を示す断面図である。
【
図14】同クリップ導入装置の摺動部材の別態様の一例を示す断面図である。
【
図15】同クリップ導入装置の摺動部材の別態様の一例を示す断面図である。
【
図16】同クリップ導入装置の摺動部材の別態様の一例を示す断面図である。
【
図17】同クリップ導入装置の摺動部材の別態様の一例を示す断面図である。
【
図18】同クリップ導入装置の摺動部材の別態様の一例を示す断面図である。
【
図19】同クリップ導入装置の摺動部材の別態様の一例を示す断面図である。
【
図20】同クリップ導入装置の摺動部材の別態様の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態に係るクリップデリバリデバイス300について、
図1から
図13を参照して説明する。
【0014】
[クリップデリバリデバイス300]
クリップデリバリデバイス(クリップシステム)300は、クリップ導入装置(アプリケータ)200と、クリップ装置1と、を備える。クリップ装置1は、クリップ導入装置200に装填される。
【0015】
[クリップ導入装置200]
図1は、クリップ導入装置200を示す図である。
クリップ導入装置(アプリケータ)200は、クリップ装置1のクリップ2を体内に導入する装置である。クリップ導入装置200は、シース220と、操作ワイヤ230と、操作部240と、を備える。
【0016】
以降の説明において、クリップデリバリデバイス300の長手方向Aにおけるクリップ装置1側をクリップデリバリデバイス300の先端側(遠位側)A1とし、クリップ導入装置200の操作部240側をクリップデリバリデバイス300の基端側(近位側)A2とする。
【0017】
クリップ導入装置200は、例えば内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿通され、内視鏡と組み合わせて使用される。そのため、シース220は、内視鏡の処置具挿通チャンネルの長さよりも十分に長く形成されている。シース220は、可撓性を有しており、内視鏡の挿入部の湾曲に合わせて湾曲する。
【0018】
シース220は、先端チップ221と、先端側コイル222と、手元側コイル224と、を備え、全体として細長い管状に形成されている。先端側コイル222は、シース220の先端側A1に配置されている。先端チップ221は、先端側コイル222の先端部に配置されている。
【0019】
図2は、操作部240の断面図である。
操作ワイヤ(動力伝達部材)230は、
図1および
図2に示すように、クリップ装置1に接続される円錐保持部(接続部)231と、円錐保持部231を操作するワイヤ232と、ワイヤ232の基端部に取り付けられたシリンダー233と、Oリング234と、を備える。
【0020】
円錐保持部(先端部)231は、クリップ装置1と係合する略円錐形状の係合部231aと、係合部231aの基端に設けられたワイヤ接続部231bとを備える。円錐保持部231は、例えばステンレス鋼材等の金属材により形成されている。
【0021】
ワイヤ(第一動力伝達部材)232は、シース220に対して進退自在に挿通されている。ワイヤ232の先端部は、ワイヤ接続部231bの基端に例えば溶接によって固定されている。
【0022】
シリンダー(第二動力伝達部材)233は、金属等により円筒状に形成されており、ワイヤ232の基端外周部に取り付けられている。
【0023】
Oリング(摺動部材)234は、弾性材で形成されたリング部材であり、パイプ(第二動力伝達部材)233の外周部に長手方向Aに沿って摺動可能に取り付けられている。Oリング234の内径は、シリンダー233の外周部の外径と略等しい。ここで、シリンダー233の外周部を長手方向Aに沿ってOリング234を摺動させるために必要な単位長さあたり力量を「第一力量」と定義する。なお、複数のOリング(摺動部材)234がシリンダー233の外周部に摺動可能に取り付けられていてもよい。複数のOリングを用いることで、クリップ装置1やクリップ導入装置200の設計(寸法や材質)や使用者の好みにあわせて第一力量を柔軟かつ手軽に調整できる。なお、摺動部材234は必ずしもリング状でなくてもよく、例えばC字状の部材であってもよい。
【0024】
操作部(ハンドル)240は、
図1に示すように、操作部本体241と、スライダ242と、サムリング248と、を備える。操作部本体241は、例えば樹脂材によって射出成型されている。操作部本体241は、スリット部241aと、先端側に回転グリップ241bとを備える。スリット部241aは、スライダ242を進退可能に支持する。
【0025】
操作部本体241は、
図2に示すように、長手方向Aに沿って延びる内部空間243を有する。内部空間243には、シリンダー233が長手方向Aに進退可能に挿通しており、内部空間を挿通するシリンダー233の外周部にはOリング234が配置されている。
【0026】
スライダ242は、
図2に示すように、操作部本体241に対して長手方向Aに進退可能に取り付けられており、ワイヤ232の基端が取り付けられている。スライダ242が長手方向Aに進退することで、ワイヤ232がシース220に対して進退し、円錐保持部231が進退する。
【0027】
内部空間243は、先端側A1に第一係止部244と、基端側A2に第二係止部245と、を有する。Oリング234は、先端側A1の第一係止部244と、基端側A2の第二係止部245と、に挟まれて配置されている。第一係止部244は、シリンダー233が通過可能であり、Oリング234が通過不能である部材であり、例えばシリンダー233が通過可能な穴が形成された内部空間243の前壁である。第二係止部245は、シリンダー233が通過可能であり、Oリング234が通過不能である部材であり、例えばシリンダー233が通過可能な穴が形成された内部空間243の後壁である。
【0028】
シリンダー233は、スライダ242を長手方向Aに沿って進退させた場合であっても、内部空間243の第一係止部244および第二係止部245を通過する十分な長さを有する。そのため、内部空間243を挿通するシリンダー233は、スライダ242の進退位置に関わらず撓むことが防止される。なお、ワイヤ232が拘束される場合、操作ワイヤ(動力伝達部材)230はシリンダー233を有さなくてもよい。
【0029】
サムリング248は、操作部本体241の基端に、操作部本体241の長手軸周りに回転可能に取り付けられている。
【0030】
[クリップ装置1]
図3は、クリップ装置1の斜視図である。
図4は、押さえ部材3を透過表示させたクリップ装置1の斜視図である。クリップ装置1は、クリップ2と、押さえ部材3と、連結部材4と、を備える。
【0031】
クリップ2は、中央部で折り曲げた金属製板材を有する。クリップ2は、開閉可能な一対のアーム21と、一対のアーム21を接続する基端部28と、を有する。クリップ2の基端側A2は、押さえ部材3の内部空間38に挿入されている。
【0032】
一対のアーム21は、第一アーム211と第二アーム212とを有する。第一アーム211と第二アーム212とは、クリップ装置1の長手方向Aにおける中心軸線O1に対して対称に配置される。なお、クリップ2は3つ以上のアームを有してもよい。
【0033】
第一アーム211は、先端側A1から基端側A2に向かって組織把持部22と、平板状の把持部23と、摺動部24と、係合部25と、を有する。組織把持部22は、第一アーム211の先端を内側に向かって折り曲げられた湾曲によって定義される。摺動部24は、一対のアーム21が押さえ部材3に引き込まれる際に弾性変形する部分である。
【0034】
第二アーム212は、先端側A1から基端側A2に向かって組織把持部22と、平板状の把持部23と、摺動部24と、係合部25と、を有する。
【0035】
第一アーム211の組織把持部22と第二アーム212の組織把持部22とは、中心軸線O1に対して非対称な形状に形成されている。そのため、使用者は、クリップ2を連結部材4に取り付ける際に、連結部材4に対してクリップ2を取り付ける向きを把握しやすい。
【0036】
係合部25は、押さえ部材3の締付部材32と係合可能な部材である。係合部25の先端側A1は長手方向Aに対して鈍角な斜面、基端側A2は長手方向Aに対して鋭角な斜面に形成されている。
【0037】
基端部28は、第一アーム211と第二アーム212とを連結する。基端部28により連結された第一アーム211と第二アーム212とは、先端側A1に向かって開閉自在に設けられている。基端部28は、折り曲げられてU字状に形成されており、連結部材4のフック41fと連結される。基端部28は一対のアーム21が開状態になるように付勢されている。そのため、クリップ2の一対のアーム21は開閉方向Pに対する自己拡開力を有する。
【0038】
基端部28と連結部材4のフック41fとは、
図4に示すように、U字状に形成された基端部28に連結部材4のフック41fが挿入されて連結される。
【0039】
図5は、押さえ部材3の長手方向Aにおける断面図である。
押さえ部材(管状部材)3は、クリップ2の少なくとも一部を格納可能な円管状の部材である。押さえ部材3は、クリップ2が長手方向Aに進退する内部空間38を有する。押さえ部材3は、内部空間38に引き込んだクリップ2を閉じた状態に固定できる。押さえ部材3は、基端側A2に設けられた押さえ管3Aと、先端側A1に設けられた押さえシリンダー3Bと、を有する。
【0040】
押さえ管(第二管状部材)3Aは、筒状に形成された押さえ管本体30と、突没ウイング31と、締付部材32と、を有する。
【0041】
押さえ管本体30は、クリップ2よりも柔らかい材質、例えば、PPA(ポリフタルアミド)、PA(ポリアミド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、LCP(液晶ポリマー)等の適度な弾性を有する熱可塑性樹脂を射出成形することにより形成されている。なお、押さえ管本体30は、熱可塑性樹脂ではなく、金属によって形成されていてもよい。
【0042】
突没ウイング31は、押さえ管本体30の外周面30aに対して突没する一対の凸部である。突没ウイング31は、中心軸線O1を挟んで両側に設けられている。突没ウイング31は、外周面30aに対して径方向Rの外側に突出する突状態を基本姿勢とする。突没ウイング31は、径方向Rの外側から内側に向かう力を受けることで、外周面30aに対して没入する没状態となる。上記の力が解除されることで、突没ウイング31は没状態から突状態に戻る。
【0043】
締付部材32は、押さえ管3Aの内部空間38に設けられた、リング状の部材である。締付部材32は、金属により形成されている。なお、締付部材32は、押さえ管本体30よりも硬くなるように形成されていればよく、例えば金属ではなく熱可塑性樹脂によって形成されていてもよい。
【0044】
締付部材32は、締付部材32の中心軸が中心軸線O1と略一致するように配置されている。締付部材32は突没ウイング31よりも基端側A2に配置されている。締付部材32は、例えばインサート成形により、押さえ管本体30に組み込まれている。締付部材32は、押さえ管本体30の内周面から径方向Rの内側に突出する位置に配置されている。
【0045】
押さえシリンダー(第一管状部材)3Bは、金属製の円筒部材である。押さえシリンダー3Bは、押さえ管3Aの先端部に圧入されている。押さえ管3Aと押さえシリンダー3Bとは、熱溶着、接着またはねじ止めにより連結されていてもよい。
【0046】
図6は、連結部材4の斜視図である。
連結部材4は、クリップ2の基端部28に分離可能に連結される。また、連結部材4は、シース220内を挿通する円錐保持部231に分離可能に連結される。すなわち、連結部材4は、クリップ2と円錐保持部231とを連結する。連結部材4は、押さえ部材3の内部空間38に挿入される挿入部41と、挿入部41の基端に設けられた連結部42と、を備える。
【0047】
挿入部41は、先端部にフック41fを有する。フック41fは、中心軸線O1と垂直な方向に延びるフックであり、略円柱棒状に形成されている。フック41fには、クリップ2の基端部28が引っ掛けられる。フック41fは、基端部28が基端側に牽引されることによって所定のリリース力量が加えられたときにリリースする。
【0048】
連結部42は、クリップ導入装置200の円錐保持部231が係合(連結)される係合部である。連結部42は、連結部本体43と、弾性アーム部44と、を有する。
【0049】
弾性アーム部44は、連結部本体43の基端に設けられており、二股状に分岐している。弾性アーム部44は、連結部本体43に対して弾性変形可能であり、連結部本体43に対して開閉可能である。弾性アーム部44には、円錐保持部231の係合部231aを把持して収納する切欠部44mが形成されている。切欠部44mは、円錐保持部231の係合部231aの外周面に密着する形状に形成されている。
【0050】
[クリップデリバリデバイス300の動作および作用]
次に、
図7から
図13を参照して、クリップデリバリデバイス300の動作および作用について説明する。
【0051】
図7は、クリップ装置1を装填前のクリップ導入装置200を示す断面図である。
クリップ装置1を装填する前において、スライダ242は最も基端側A2に配置されることができ、円錐保持部231はシース220の内部に配置されている。Oリング234は、内部空間243において第二係止部245と接する第一位置P1に配置される。
【0052】
図8は、クリップ装置1が装填されたクリップデリバリデバイス300を示す断面図である。使用者は、クリップ導入装置200の円錐保持部231にクリップ装置1を装填するため、スライダ242を前進させて、円錐保持部231をシース220から先端側A1に突出させてクリップ装填位置PAまで前進させる。
【0053】
円錐保持部231がシース220の内部からクリップ装填位置PAまで移動する長さは、第一係止部244から第二係止部245までの長さL1よりも長い。そのため、シリンダー233が前進するに伴って、Oリング234は、第一係止部244と当接して第一位置P1より基端側A2の第二位置P2まで摺動する。使用者は、円錐保持部231をシース220から先端側A1に突出させる場合において、Oリング234を第一位置P1から第二位置P2まで摺動させるとき、単位長さあたり第一力量以上の力量でスライダ242を前進させる。
【0054】
図9は、クリップ装置1がシース220に収容したクリップデリバリデバイス300を示す断面図である。使用者は、装填されたクリップ装置1をシース220に収容するため、スライダ242を後退させ、円錐保持部231をクリップ収容位置PBまで後退させる。突没ウイング31を没状態とすることでクリップ装置1はシース220に収容される。
【0055】
円錐保持部231がクリップ装填位置PAからクリップ収容位置PBまで移動する長さは、第一係止部244から第二係止部245までの長さL1よりも長い。そのため、シリンダー233が後退するに伴って、Oリング234は、第二係止部245と当接して第二位置P2より先端側A1の第三位置P3まで摺動する。使用者は、円錐保持部231をシース220に収容する場合において、Oリング234を第二位置P2から第三位置P3まで摺動させるとき、単位長さあたり第一力量以上の力量でスライダ242を後退させる。
【0056】
使用者は、クリップ導入装置200に装填されたクリップ装置1を内視鏡のチャンネルCを経由して体内に導入する。
【0057】
図10は、クリップ装置1がシース220から突出したクリップデリバリデバイス300を示す断面図である。使用者は、スライダ242を前進させ、円錐保持部231をクリップ突出位置PCまで前進させることにより、クリップ2等をシース220から突出させて、クリップ2を開状態にして使用可能状態にする。使用者は、突没ウイング31がシース220から出るまで、クリップ装置1を前進させる。突没ウイング31は、先端側がシース220から出ることにより、没状態から突状態に戻る。
【0058】
円錐保持部231がクリップ収容位置PBからクリップ突出位置PCまで移動する長さは、第一係止部244から第二係止部245までの長さL1よりも長い。そのため、シリンダー233が前進するに伴って、Oリング234は、第一係止部244と係合して第三位置P3より基端側A2の第四位置P4まで摺動する。使用者は、クリップ装置1をシース220から突出させる場合であって、Oリング234を第三位置P3から第四位置P4まで摺動させるとき、単位長さあたり第一力量以上の力量でスライダ242を前進させる。
【0059】
図11は、クリップ2が牽引されたクリップデリバリデバイス300を示す断面図である。使用者は、スライダ242を後退させることで、円錐保持部231を掴み直し可能位置PDまで後退させる。掴み直し可能位置PDは、クリップ突出位置PCと後述するクリップロック位置PEとの間の位置であればよく、
図11は、掴み直し可能位置PDにある円錐保持部231の一例である。円錐保持部231に連結された連結部材4は、クリップ2を牽引する。一対のアーム21は、基端側A2に牽引されることにより、押さえ部材3の先端開口3aを基端側A2に押す。突状態である突没ウイング31は、シース220と係合するため、シース220の内部に引き込まれない。そのため、連結部材4により牽引されたクリップ2は、押さえ部材3に引き込まれる。
【0060】
連結部材4によりクリップ2の基端部28が押さえ部材3の基端側A2に牽引されることで、一対のアーム21が押さえ部材3に引き込まれ、一対のアーム21が徐々に閉じる。円錐保持部231が例えば
図11に示す掴み直し可能位置PDにあるとき、一対のアーム21は略閉状態となり、組織を保持可能な程度に閉じることができる。円錐保持部231が掴み直し可能位置PDにあるとき、係合部25は締付部材32より先端側A1に位置しており、一対のアーム21が閉状態にロックされていない。
【0061】
円錐保持部231をクリップ突出位置PCから掴み直し可能位置PDまで移動させる長さは、第一係止部244から第二係止部245までの長さL1よりも短い。そのため、シリンダー233が後退しても、Oリング234は、第二係止部245と接触せず、第四位置P4を維持する。その結果、使用者は、第一力量と比較して小さい第二力量でスライダ242を後退させることができる。
【0062】
円錐保持部231が掴み直し可能位置PDにある状態で、スライダ242を後退させる牽引力が解除されると、一対のアーム21の自己拡開力により、クリップ2は先端側A1に移動しながら
図10に示す開状態に戻る。なお、術者の操作に基づくスライダ242の前進によって、クリップ2が開状態に戻ってもよい。Oリング234は、第四位置P4から移動しない。使用者は、一対のアーム21を開状態に戻して組織を掴み直すことができる。
【0063】
図12は、クリップ2がさらに牽引されたクリップデリバリデバイス300を示す断面図である。使用者は、スライダ242を後退させることで、円錐保持部231をクリップロック位置PEまで後退させる。基端部28が押さえ部材3の基端側A2にさらに牽引されることで、係合部25が締付部材32より基端側A2に引き込まれる。係合部25が締付部材32より基端側A2まで引き込まれると、係合部25と締付部材32とが係合する。その結果、クリップ2は押さえ部材3に対する先端側A1への移動が規制され、一対のアーム21が閉状態にロックされる。一対のアーム21が閉状態にロックされると、一対のアーム21は開状態に戻ることはできない。
【0064】
円錐保持部231がクリップ突出位置PCからクリップロック位置PEまで移動する長さL2(
図10、
図12参照)は、第一係止部244から第二係止部245までの長さL1と略同じである。または、長さL2は長さL1よりも長い。
【0065】
図13は、クリップ装置1の連結部材4がリリースされたクリップデリバリデバイス300を示す断面図である。使用者は、スライダ242を後退させることで、円錐保持部231をクリップ留置位置PFまで後退させる。連結部材4のフック41fに対して所定のリリース力量が加えられ、フック41fはリリースされる。使用者は、シース220を後退させ、組織を結紮した状態であるクリップ2を体内に留置する。なお、連結部材4はフック41fを変形させることによって、クリップ2と円錐保持部231との連結を解除してもよい。
【0066】
シリンダー233が後退するに伴って、Oリング234は、第二係止部245と係合して第四位置P4より先端側A1の第五位置P5まで摺動する。使用者は、フック41fをリリースする場合であって、Oリング234を第四位置P4から第五位置P5まで摺動させるとき、単位長さあたり第一力量以上の力量でスライダ242を後退させる。このとき、Оリング234を摺動させる第一力量は、クリップ2と円錐保持部231との連結を解除するための力量よりも十分小さいため、術者はОリング234の摺動によって過度の操作感(例えば、摺動抵抗)を受けずにクリップ2と円錐保持部231との連結を解除することができる。
【0067】
本実施形態に係るクリップデリバリデバイス300およびクリップ導入装置200によれば、クリップ2が開状態となるクリップ突出位置PCと、クリップ2が閉状態となりロックされるクリップロック位置PEとの間(所定範囲)を円錐保持部231が移動するとき(すなわち円錐保持部231が掴み直し可能位置PDに位置するとき)、第一力量と比較して小さい第二力量でスライダ242を進退させることができ、クリップ2が開状態とロックされる閉状態との間の状態(掴み直し可能な状態)であることをスライダ242の操作感から把握でき、組織の掴み直し操作を実施しやすい。
【0068】
クリップ突出位置PCからクリップ装填位置PAまで円錐保持部231を移動させるとき、使用者は単位長さあたり第一力量以上の力量でスライダ242を前進させる。一方で、組織の掴み直し操作を行うとき、特に掴み直し可能位置PDからクリップ突出位置PCまで円錐保持部231を移動させるとき、使用者は第一力量と比較して小さい第二力量でスライダを前進させればよい。そのため、使用者が組織の掴み直し操作を行うとき、意図せず円錐保持部231をクリップ装填位置PAまで移動させてしまい、クリップ装置1が連結部材4から脱落することを抑制できる。
【0069】
クリップロック位置PEからクリップ留置位置PFまで円錐保持部231を移動させるとき、使用者は単位長さあたり第一力量以上の力量でスライダ242を後退させる。そのため、使用者は、組織の掴み直し操作を行うとき、意図せず円錐保持部231をクリップ留置位置PFまで移動させてしまい、クリップ2が誤ってロックされることを抑制できる。
【0070】
以上、本発明の第一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態および以下で示す変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0071】
(変形例1)
上記実施形態において、操作ワイヤ(動力伝達部材)230は、ワイヤ(第一動力伝達部材)232と、ワイヤ232の基端部に取り付けられたパイプ(第二動力伝達部材)233と、を有しているが、操作ワイヤ(動力伝達部材)230の態様はこれに限定されない。操作ワイヤ(動力伝達部材)230は、先端側A1に配置された第一ワイヤ(第一動力伝達部材)と、基端側A2に配置された第一ワイヤより剛性が高い第二ワイヤ(第二動力伝達部材)と、を有していてもよい。Oリング234は、第二ワイヤ(第二動力伝達部材)の外周部に長手方向Aに沿って摺動可能に取り付けられている。すなわち、操作ワイヤ(動力伝達部材)230のうち、内部空間243を挿通する第二動力伝達部材が、他の部分より相対的に剛性が高く、撓みにくいことが望ましい。
【0072】
(変形例2)
上記実施形態において、摺動部材はOリング234であるが、摺動部材の態様はこれに限定されない。
図14から
図20は、摺動部材の別態様の例である摺動部材235の断面図である。
図14は、上記実施形態における
図7に相当する断面図である。
図15は、上記実施形態における
図8に相当する断面図である。
図16は、上記実施形態における
図9に相当する断面図である。
図17は、上記実施形態における
図10に相当する断面図である。
図18は、上記実施形態における
図11に相当する断面図である。
図19は、上記実施形態における
図12に相当する断面図である。
図20は、上記実施形態における
図13に相当する断面図である。
【0073】
摺動部材235は、シリンダー233に固定された突起236と、内部空間243に収容された摺動筒237と、を有する。摺動筒237は、内部空間243の内壁と接触している。ここで、内部空間243の内壁を長手方向Aに沿って摺動筒237を摺動させるために必要な単位長さあたり力量を「第一力量」と定義する。摺動筒237は、長手方向Aにおいて、L1と略同様の長さを有する。
【0074】
シリンダー233は、摺動筒237を長手方向Aにおいて貫通しており、突起236は、摺動筒237の内部に配置されている。突起236は、摺動筒237を基本的に通過不能である。突起236は、摺動筒237と接触することにより、摺動筒237を長手方向Aに沿って進退させることができる。
【0075】
図14に示すように、クリップ装置1を装填する前において、摺動部材235は、内部空間243において第二係止部245と接する第一位置P1に配置される。
【0076】
図15に示すように、使用者は、クリップ装置1を装填するために、摺動筒237を第一位置P1から第二位置P2まで摺動させるとき、単位長さあたり第一力量以上の力量でスライダ242を前進させる。
【0077】
図16に示すように、使用者は、クリップ装置1をシース220に収容するために、摺動筒237を第二位置P2から第三位置P3まで摺動させるとき、単位長さあたり第一力量以上の力量でスライダ242を後退させる。
【0078】
図17に示すように、使用者は、クリップ2等をシース220から突出させるために、摺動筒237を第三位置P3から第四位置P4まで摺動させるとき、単位長さあたり第一力量以上の力量でスライダ242を前進させる。
【0079】
図18および
図19に示すように、使用者は、クリップ2を閉じて掴み直し可能な状態を維持するとき、第一力量と比較して小さい第二力量でスライダ242を後退させることができる。
【0080】
図20に示すように、使用者は、フック41fをリリースするために、摺動部材235を第四位置P4から第五位置P5まで摺動させるとき、単位長さあたり第一力量以上の力量でスライダ242を後退させる。
【符号の説明】
【0081】
300 クリップデリバリデバイス(クリップシステム)
200 クリップ導入装置(アプリケータ)
230 操作ワイヤ(動力伝達部材)
231 円錐保持部(先端部)
234 Oリング(摺動部材)
240操作部(ハンドル)
243 内部空間(摺動空間)
244 第一係止部
245 第二係止部
1 クリップ装置(内視鏡用処置具)
2 クリップ
21 一対のアーム
25 係合部
28 基端部
3 押さえ部材(管状部材)
3A 押さえ管
30 押さえ管本体
31 突没ウイング
32 締付部材
38 内部空間
3B 押さえシリンダー
4 連結部材
PA クリップ装填位置
PB クリップ収容位置
PC クリップ突出位置
PD 掴み直し可能位置
PE クリップロック位置
PF クリップ留置位置