IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社 日立産業制御ソリューションズの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】容器姿勢反転装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/248 20060101AFI20240418BHJP
【FI】
B65G47/248 D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023156488
(22)【出願日】2023-09-21
【審査請求日】2023-09-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000153443
【氏名又は名称】株式会社 日立産業制御ソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 裕
(72)【発明者】
【氏名】友部 耕佑
(72)【発明者】
【氏名】片根 忠弘
(72)【発明者】
【氏名】三村 三千男
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-192095(JP,A)
【文献】米国特許第06293387(US,B1)
【文献】特開2005-034735(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/248
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端にフランジ部を有する円筒状のシリンジ容器の搬送中に当該シリンジ容器の姿勢を倒立状態から起立状態へと反転させる容器姿勢反転装置であって、
鉛直方向に延びる主軸周りに回転自在に設けられる円盤状のホイール部材と、
当該ホイール部材の外周縁部に複数設けられ、前記シリンジ容器の保持部が備わる反転ブラケットと、
前記反転ブラケットの前記保持部によって保持された倒立状態にある前記シリンジ容器の姿勢を起立状態へと反転させる姿勢反転動作を行わせる反転作用部材と、を備え、
前記反転ブラケットは、前記主軸に係る放射方向において前記シリンジ容器の姿勢を倒立状態乃至起立状態にわたり回動可能に前記外周縁部に支持され、
前記反転ブラケットの前記保持部は、前記シリンジ容器を収容する半円筒状の収容溝と、当該シリンジ容器の前記フランジ部が係合する係合部と、を備え、
前記反転ブラケットの前記保持部に備わる前記収容溝は、前記反転ブラケットが倒立状態にある場合に前記主軸に係る放射方向の外側を指向する一方、前記反転ブラケットが起立状態にある場合に前記主軸に係る放射方向の内側を指向し、
前記反転作用部材は、前記主軸に係る軸方向から視て円弧状の軌跡を描く縦壁を有し、当該縦壁が、前記ホイール部材の外周縁部に対して外方側に位置するように配設され、前記縦壁の頂部には、前記主軸の側から視て山型にうねる案内面が形成され、
前記反転ブラケットは、前記ホイール部材の回転に伴って、前記保持部に係る背側面が前記案内面に摺り上がることでその姿勢を倒立状態から起立状態へと遷移させ、これをもって、倒立状態にある前記シリンジ容器の姿勢を起立状態へと反転させ、
前記反転作用部材は、楕円形状の平板の外周縁部に前記縦壁を設けて構成され、
前記平板の中心は、前記ホイール部材に係る前記主軸に対して偏芯している
ことを特徴とする容器姿勢反転装置。
【請求項2】
一端にフランジ部を有する円筒状のシリンジ容器の搬送中に当該シリンジ容器の姿勢を倒立状態から起立状態へと反転させる容器姿勢反転装置であって、
鉛直方向に延びる主軸周りに回転自在に設けられる円盤状のホイール部材と、
当該ホイール部材の外周縁部に複数設けられ、前記シリンジ容器の保持部が備わる反転ブラケットと、
前記反転ブラケットの前記保持部によって保持された倒立状態にある前記シリンジ容器の姿勢を起立状態へと反転させる姿勢反転動作を行わせる反転作用部材と、を備え、
前記反転ブラケットは、前記主軸に係る放射方向において前記シリンジ容器の姿勢を倒立状態乃至起立状態にわたり回動可能に前記外周縁部に支持され、
前記反転ブラケットの前記保持部は、前記シリンジ容器を収容する半円筒状の収容溝と、当該シリンジ容器の前記フランジ部が係合する係合部と、を備え、
前記反転ブラケットの前記保持部に備わる前記収容溝は、前記反転ブラケットが倒立状態にある場合に前記主軸に係る放射方向の外側を指向する一方、前記反転ブラケットが起立状態にある場合に前記主軸に係る放射方向の内側を指向し、
前記反転作用部材は、前記主軸に係る軸方向から視て円弧状の軌跡を描く縦壁を有し、当該縦壁が、前記ホイール部材の外周縁部に対して外方側に位置するように配設され、前記縦壁の頂部には、前記主軸の側から視て山型にうねる案内面が形成され、
前記反転ブラケットは、前記ホイール部材の回転に伴って、前記保持部に係る背側面が前記案内面に摺り上がることでその姿勢を倒立状態から起立状態へと遷移させ、これをもって、倒立状態にある前記シリンジ容器の姿勢を起立状態へと反転させ、
前記反転ブラケットは、
一端部を前記シリンジ容器の底部に対向させて設けられ、当該シリンジ容器の長手方向に沿って移動可能な可動ストッパと、
当該可動ストッパの前記一端部を当該シリンジ容器の底部に向かって移動させるカム機構と、をさらに備え、
前記シリンジ容器の底部には、円形状の凹部が設けられる一方、前記可動ストッパのうち前記一端部には、前記凹部に嵌まり合う突起部が設けられている
ことを特徴とする容器姿勢反転装置。
【請求項3】
請求項1に記載の容器姿勢反転装置であって、
前記反転ブラケットは、
一端部を前記シリンジ容器の底部に対向させて設けられ、当該シリンジ容器の長手方向に沿って移動可能な可動ストッパと、
当該可動ストッパの前記一端部を当該シリンジ容器の底部に向かって移動させるカム機構と、をさらに備え、
前記シリンジ容器の底部には、円形状の凹部が設けられる一方、前記可動ストッパのうち前記一端部には、前記凹部に嵌まり合う突起部が設けられている
ことを特徴とする容器姿勢反転装置。
【請求項4】
請求項2に記載の容器姿勢反転装置であって、
前記反転ブラケットは、前記ホイール部材の外周縁部に備わるステーの副軸を介して、前記主軸に係る放射方向における姿勢を倒立状態乃至起立状態にわたり回動可能に軸支され、
前記ステーのうち前記放射方向の外方側に存する先端部には、前記副軸を中心とする円弧状のカム面、及び当該カム面の切欠き部がそれぞれ形成され、
前記カム機構は、前記ステーの先端部に形成された前記カム面、当該カム面の切欠き部、及び前記可動ストッパの一端部に設けられた突起部の組み合わせにより構成され、
前記反転ブラケットが倒立状態から起立状態に至る過渡期にある際に、
前記可動ストッパに係る前記突起部の背側面が前記カム面と対峙している場合、前記シリンジ容器の底部に設けられた凹部と前記可動ストッパに係る突起部との間の係合状態が確立される一方、
前記可動ストッパに係る前記突起部の背側面が前記カム面の切欠き部と対峙している場合、前記シリンジ容器の底部に設けられた凹部と前記可動ストッパに係る突起部との間の係合状態が解除される
ことを特徴とする容器姿勢反転装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の姿勢を反転させる容器姿勢反転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療現場等で使用されるシリンジタイプの薬液容器(以下、シリンジ容器と呼ぶ場合がある。)では、製造工程及び出荷検査時等に、薬液が封入された状態でシリンジ容器の上下方向の姿勢を反転させる工程を要する場合がある。
【0003】
例えば、シリンジ容器に備わるバックストップと呼ばれるフランジ部が下側に位置した起立状態で所定の検査を行う際において、かかる検査工程の直前の工程でシリンジ容器のフランジ部が上側に位置した倒立状態でシリンジ容器が搬送されてくると、シリンジ容器の上下方向における姿勢の反転が必要になる。
【0004】
従来の容器姿勢反転装置の例として、特許文献1には、回転する連結ホイールにより搬送される容器を操作するために、連結ホイールをほぼ垂直に延びる回転軸線のまわりに移動させ、保持要素をほぼ水平方向に延びる回転軸線のまわりに回動させ且つ周期的にそれぞれ180゜往復回動させる技術が開示されている。
【0005】
特許文献2には、出入口が開放保持された箱を搬送ラインの箱出し操作部にて上下反転させ、箱外に出た横長姿勢の物品を、姿勢変換部において横長姿勢(起立状態)に姿勢変換する技術が開示されている。
【0006】
特許文献3には、容器を保持可能な保持部を周縁に複数持つ円錐台形状治具を2つ組み合わせることより容器を180°反転させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特表2005-526675号公報
【文献】特開2010-064765号公報
【文献】特開2004-018176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に係る技術では、姿勢反転構造部が姿勢変換を行う際に、一の容器の姿勢反転経路が他の容器の姿勢反転経路と重なる。そのため、1周分の容器の数を増やすことが難しい。また、姿勢反転動作に容器のチャッキング動作が含まれるため、搬送速度の高速化が難しいという課題がある。
【0009】
また、特許文献2に係る技術では、容器をベルトコンベアで搬送させる前提のため、細長く倒れ易い円筒形状で、かつ、一側が尖っている形態のシリンジ容器には対応し難いという課題がある。
【0010】
さらに、特許文献2、3に係る技術では、一度の姿勢変換の角度が約90°であり、容器の方向を180°反転させるには2つの機構の組み合わせを要する。そのため、特に搬送方向のサイズが大きくなる結果として、装置全体のサイズが大型化してしまうという課題があった。
【0011】
本発明は前記実情に鑑みてなされたものであり、省スペースにて複数の容器の姿勢反転を高速で遂行可能な容器姿勢反転装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る容器姿勢反転装置は、
一端にフランジ部を有する円筒状のシリンジ容器の搬送中に当該シリンジ容器の姿勢を倒立状態から起立状態へと反転させる容器姿勢反転装置であって、
鉛直方向に延びる主軸周りに回転自在に設けられる円盤状のホイール部材と、
当該ホイール部材の外周縁部に複数設けられ、前記シリンジ容器の保持部が備わる反転ブラケットと、
前記反転ブラケットの前記保持部によって保持された倒立状態にある前記シリンジ容器の姿勢を起立状態へと反転させる姿勢反転動作を行わせる反転作用部材と、を備え、
前記反転ブラケットは、前記主軸に係る放射方向において前記シリンジ容器の姿勢を倒立状態乃至起立状態にわたり回動可能に前記外周縁部に支持され、
前記反転ブラケットの前記保持部は、前記シリンジ容器を収容する半円筒状の収容溝と、当該シリンジ容器の前記フランジ部が係合する係合部と、を備え、
前記反転ブラケットの前記保持部に備わる前記収容溝は、前記反転ブラケットが倒立状態にある場合に前記主軸に係る放射方向の外側を指向する一方、前記反転ブラケットが起立状態にある場合に前記主軸に係る放射方向の内側を指向し、
前記反転作用部材は、前記主軸に係る軸方向から視て円弧状の軌跡を描く縦壁を有し、当該縦壁が、前記ホイール部材の外周縁部に対して外方側に位置するように配設され、前記縦壁の頂部には、前記主軸の側から視て山型にうねる案内面が形成され、
前記反転ブラケットは、前記ホイール部材の回転に伴って、前記保持部に係る背側面が前記案内面に摺り上がることでその姿勢を倒立状態から起立状態へと遷移させ、これをもって、倒立状態にある前記シリンジ容器の姿勢を起立状態へと反転させ、
前記反転作用部材は、楕円形状の平板の外周縁部に前記縦壁を設けて構成され、
前記平板の中心は、前記ホイール部材に係る前記主軸に対して偏芯している
ことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る容器姿勢反転装置によれば、省スペースにて複数の容器の姿勢反転を高速で遂行することができる。
上記以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態で詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A】本発明の実施形態に係る容器姿勢反転装置を含む容器検査装置の概略構成を表す斜視図である。
図1B図1Aに示す容器検査装置の概略構成を表す上面図である。
図2】本発明の実施形態に係る容器姿勢反転装置の概略構成を表す斜視図である。
図3A図2に示す容器姿勢反転装置に備わる第1反転ブラケット周辺の概略構成を表す斜視図である。
図3B図3Aに示す第1反転ブラケットにシリンジ容器が保持された状態を表す斜視図である。
図3C図3Aに示す第1反転ブラケットにシリンジ容器が保持された状態を表す斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る容器姿勢反転装置に備わる反転作用部材の概略構成を表す斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係る容器姿勢反転装置の動作説明に供する斜視図である。
図6A】本発明の実施形態に係る容器姿勢反転装置の上面図である。
図6B図6Aに示す容器姿勢反転装置のVIB-VIB線に沿う矢視断面図である。
図7A】本発明の実施形態に係る容器姿勢反転装置の下面図である。
図7B図7Aに示す容器姿勢反転装置のVIIB-VIIB線に沿う矢視断面図である。
図8A】容器姿勢反転装置に備わる第2反転ブラケットの概略構成を表す斜視図である。
図8B】容器姿勢反転装置に備わる第2ステーに回動可能に支持される第2反転ブラケットの概略構成を表す斜視図である。
図9A】容器姿勢反転装置に備わる第2ステーに回動可能に支持される第2反転ブラケットの側面図である。
図9B】容器姿勢反転装置に備わる第2ステーに回動可能に支持される第2反転ブラケットの側面図である。
図9C】容器姿勢反転装置に備わる第2ステーに回動可能に支持される第2反転ブラケットの側面図である。
図9D】容器姿勢反転装置に備わる第2ステーに回動可能に支持される第2反転ブラケットの側面図である。
【発明の実施の形態】
【0015】
本発明の実施形態に係る容器姿勢反転装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る容器姿勢反転装置の説明において、共通の機能を有する構成部材には共通の符号を付し、その重複した説明を省略する。
【0016】
〔容器姿勢反転装置11を含む容器検査装置10の概略構成〕
はじめに、本発明の実施形態に係る容器姿勢反転装置11を含む容器検査装置10の概略構成について、図1A図1Bを参照して説明する。
図1Aは、容器姿勢反転装置11を含む容器検査装置10の概略構成を表す斜視図である。図1Bは、図1Aに示す容器検査装置10の概略構成を表す上面図である。
【0017】
容器検査装置10は、図1A図1Bに示すように、薬液等が封入されたシリンジ容器(本発明の「容器」に相当する)21の上下位置に係る姿勢反転を行う容器姿勢反転装置11、倒立状態のシリンジ容器21を容器姿勢反転装置11に供給する容器供給装置13、及び、容器姿勢反転装置11によって姿勢反転された起立状態のシリンジ容器21を受け取る容器受取装置15を備えて構成されている。
容器検査装置10は、容器姿勢反転装置11によって姿勢反転された起立状態のシリンジ容器21について、封入されている薬液の量が所定の基準を満たしているか、薬液中に異物が混入していないか、その外観に傷や割れ等の瑕疵がないか、などの検査を行う。
【0018】
シリンジ容器21は、一端にバックストップと呼ばれるフランジ部23(図3B参照)を有する一方、他端に尖鋭部25を有する円筒状の容器である。ただし、例えば図3B図3Cに示す例では、尖鋭部25は円筒状のカバーによって覆われている。なお、本発明の実施形態に係る容器姿勢反転装置11の説明において、図1Aに示すように、便宜上、シリンジ容器21のフランジ部23が上側に位置した状態を倒立状態22aと呼ぶ一方、フランジ部23が下側に位置した状態を起立状態22bと呼ぶ。
【0019】
容器姿勢反転装置11は、図1A図1Bに示すように、シリンジ容器21の搬送中にこのシリンジ容器21の姿勢を倒立状態22aから起立状態22bへと反転させる役割を果たす。
容器姿勢反転装置11の構成について、詳しくは後記する。
【0020】
容器供給装置13は、鉛直方向に延びる第1回転軸81周りに回転自在に設けられる円盤状の第1搬送部材83と、第1搬送部材83の外周縁部83aに所定の間隔を置いて複数設けられ、シリンジ容器21を保持する第1保持部85と、を備えて構成されている。
【0021】
容器受取装置15は、鉛直方向に延びる第2回転軸91周りに回転自在に設けられる円盤状の第2搬送部材93と、第2搬送部材93の外周縁部93aに所定の間隔を置いて複数設けられ、シリンジ容器21を保持する第2保持部95と、を備えて構成されている。
【0022】
〔容器姿勢反転装置11の概略構成〕
次に、容器姿勢反転装置11の概略構成について、図2図3A図3C図4図5を適宜参照して説明する。
図2は、容器姿勢反転装置11の概略構成を表す斜視図である。図3Aは、図2に示す容器姿勢反転装置11に備わる第1反転ブラケット37周辺の概略構成を表す斜視図である。図3B図3Cは、図3Aに示す第1反転ブラケット37にシリンジ容器21が保持された状態を表す斜視図である。図4は、容器姿勢反転装置11に備わる反転作用部材39の概略構成を表す斜視図である。図5は、容器姿勢反転装置11の動作説明に供する斜視図である。図6Aは、容器姿勢反転装置11の上面図である。図6Bは、図6Aに示す容器姿勢反転装置11のVIB-VIB線に沿う矢視断面図である。図7Aは、容器姿勢反転装置11の下面図である。図7Aでは、第1反転ブラケット37の動き観察の便宜を図るため、楕円形状の平板40の一部を切り欠いて表示してある。図7Bは、図7Aに示す容器姿勢反転装置11のVIIB-VIIB線に沿う矢視断面図である。
【0023】
容器姿勢反転装置11には、図1A図2に示すように、鉛直方向に延びる主軸31周りに回転自在に設けられる円盤状のホイール部材33と、ホイール部材33の外周縁部33aにおいて周方向に所定の間隔を置いて複数設けられ、シリンジ容器21の保持部35が備わる第1実施例に係る第1反転ブラケット37(図3B参照)と、第1反転ブラケット37の保持部35によって倒立状態22aに保持されたシリンジ容器21(図1A図2参照)の姿勢反転動作を行わせる反転作用部材39と、を備えて構成されている。
【0024】
ホイール部材33の主軸31は、モータ、減速機等からなる回転駆動機構(いずれも不図示)に接続されている。ホイール部材33及び回転駆動機構により搬送機構が構成される。
【0025】
ホイール部材33の外周縁部33aには、図1A図2に示すように、周回状の容器ステー34が設けられている。容器ステー34の外周縁部34aには、シリンジ容器21を収容可能な凹部34bが、周方向に所定の間隔を置いて複数設けられている。また、容器ステー34に係る外周縁部34aの外方側であって、周方向において反転作用部材39に隣接する部位には、外周縁部34aと対向する容器ガイド36(図1A図1B参照)が設けられている。
容器ガイド36は、ホイール部材33の回転に伴って、容器ステー34の凹部34a及び容器ガイド36(図1A図1B参照)の間に、起立状態22bのシリンジ容器21を挟み込むことによって、シリンジ容器21を起立状態22bで搬送する役割を果たす。
【0026】
また、ホイール部材33の外周縁部33aには、図1A図2に示すように、主軸31に係る周方向に所定の間隔を置いて複数の第1実施例に係る第1ステー41が取り付けられている。
【0027】
〔第1実施例に係る第1反転ブラケット37及び第1ステー41の概略構成〕
次に、第1実施例に係る第1反転ブラケット37及び第1ステー41の概略構成について、適宜の図面を参照して説明する。
第1ステー41は、図3Aに示すように、主軸31に係る放射方向内側に位置し、ホイール部材33の外周縁部33aに取付けられる第1基端部43と、主軸31に係る放射方向外側に位置する第1先端部45とを有して構成されている。
【0028】
第1ステー41の第1先端部45のうち、主軸31に係る放射方向外側の上部には、凹状の段部45aが形成されている。また、第1ステー41の第1先端部45には、主軸31に係る円周に対する接線方向に沿う軸孔47が開設されている。この軸孔47に挿通される第1ピン49を介して、第1ステー41の第1先端部45に対して第1反転ブラケット37が、主軸31に係る放射方向においてその姿勢を倒立状態22a乃至起立状態22bにわたり回動可能に支持されている。
【0029】
第1反転ブラケット37は、図3B図3Cに示すように、第1ピン49を介して第1ステー41の第1先端部45に軸支される第1片持ちアーム51と、前記保持部35と、を備えて構成されている。第1反転ブラケット37に備わる保持部35は、シリンジ容器21を収容する半円筒状の収容溝53と、シリンジ容器21のフランジ部23が係合する凹形状の係合部55と、を備える。
【0030】
第1反転ブラケット37の保持部35に備わる収容溝53は、第1反転ブラケット37が倒立状態にある場合(図2の符号37a参照)に、主軸31に係る放射方向の外側を指向する一方、第1反転ブラケット37が起立状態にある場合(図2の符号37b参照)に、主軸31に係る放射方向の内側を指向するように構成されている。
【0031】
第1反転ブラケット37の保持部35に備わる凹形状の係合部55は、第1反転ブラケット37が倒立状態37aにある場合(図2参照)、倒立状態37aから起立状態37bに遷移している場合(図3B図3C参照)において、シリンジ容器21のフランジ部23を受け止めて脱落を防止する役割を果たす。
【0032】
第1反転ブラケット37の保持部35のうち収容溝53の背面側35a(図3A参照)は、かまぼこ状に形成されている。ホイール部材33の回転に伴って、かまぼこ状の背面側35aが、反転作用部材39の案内面57(図5参照)に当接しつつ摺り上げられる。これにより、倒立状態37aの第1反転ブラケット37が起立状態37bへと姿勢反転する。これについて、詳しくは後記する。
【0033】
第1反転ブラケット37は、反転作用部材39の働きによって起立状態37bになった後において、シリンジ容器21を起立状態22b(図2参照)に保持したままで、起立状態37bから倒立状態37a(図2参照)へと再び戻るように構成されている。かかる作用は、ホイール部材33の回転に伴って、容器ステー34の凹部34a及び容器ガイド36(図1A図1B参照)の間に、起立状態22bのシリンジ容器21が挟み込まれることで実現される。
【0034】
反転作用部材39は、図1A図1B図4図5図7A図7Bに示すように、楕円形状の平板40(図4図7A参照)の外周縁部40bの一部に、主軸31に係る軸方向から視て略円弧状の軌跡を描く縦壁56を設けて構成されている。反転作用部材39は、縦壁56が、ホイール部材33の外周縁部33aに対して外方側に位置するように配設されている。平板40の中心40aは、図4に示すように、ホイール部材33に係る主軸31に対して偏芯している。
【0035】
反転作用部材39に備わる平板40は、図4に示すように、第1反転ブラケット37が倒立状態37a及び起立状態37bになる地点を結んだ第1仮想線VL1が短軸となる一方、第1仮想線VL1と直交する第2仮想線VL2が長軸となるように形成されている。
【0036】
反転作用部材39に備わる平板40を楕円形状に形成することで、反転作用部材39として比較的単純な構成をもって、第1反転ブラケット37が倒立状態37a乃至起立状態37bになる過程での動作を円滑に行わせることができる。その結果、容器姿勢反転装置11に係る容器搬送及び姿勢反転動作を高速かつ的確に遂行することができる。
【0037】
反転作用部材39に備わる縦壁56の頂部には、図4図5に示すように、主軸31の側から視て山型にうねる案内面57が形成されている。縦壁56の案内面57は、起立始点gp1から起立終点gp2を経て最頂点gp3へと縦壁56の高さ寸法が徐々に大きくなるように連なる起立案内面57aと、最頂点gp3から倒立始点gp4を経て倒立終点gp5へと縦壁56の高さ寸法が徐々に小さくなるように連なる倒立案内面57bと、を有する。
【0038】
容器姿勢反転装置11に備わる反転作用部材39の動作について、第1反転ブラケット37が倒立状態37aから起立状態37b(図2参照)へと遷移する起立過渡ステージと、第1反転ブラケット37が起立状態37bを安定して保つ起立安定ステージと、第1反転ブラケット37が起立状態37bから倒立状態37aへと遷移する倒立過渡ステージと、に分けて説明する。
【0039】
図5図6A図6B図7A図7Bに示すように、前記起立過渡ステージでは、ホイール部材33が例えば時計回り(図5参照)に回転中において、第1反転ブラケット37に備わる保持部35に係る背側面35aは、縦壁56の案内面57のうち起立始点gp1から起立終点gp2に至る起立過渡領域に当接している。
【0040】
この起立過渡領域では、第1反転ブラケット37は、ホイール部材33に係る回転角度の増大に応じて、その姿勢を倒立状態37aから起立状態37bへと漸次遷移させる。ここで、第1反転ブラケット37に備わる保持部35には、シリンジ容器21が保持されている。
【0041】
したがって、起立過渡ステージ(保持部35に係る背側面35aが縦壁56の案内面57のうち起立過渡領域に当接する区間)では、第1反転ブラケット37の姿勢と同様、倒立状態22a(図1A図2参照)にあったシリンジ容器21の姿勢を起立状態22b(図1A図2参照)へと遷移させることができる。
【0042】
前記起立安定ステージでは、ホイール部材33が時計回りに回転中において、第1反転ブラケット37に備わる保持部35に係る背側面35aは、縦壁56の案内面57のうち起立終点gp2から最頂点gp3を経て倒立始点gp4に至る起立安定領域に当接している。
【0043】
この起立安定領域では、第1反転ブラケット37は、ホイール部材33に係る回転角度の増大に関わらず、その姿勢を起立状態37bに保つ。図5図6Aに示す例では、起立安定ステージにおいて、3つの第1反転ブラケット37がその姿勢を起立状態37bに保っている。なお、起立状態37bの第1反転ブラケット37では、図6Bに示すように、保持部35に係る背側面35aが縦壁56の内側面55aに当接している。
ここで、第1反転ブラケット37に備わる保持部35には、シリンジ容器21が保持されている。
【0044】
したがって、起立安定ステージ(保持部35に係る背側面35aが縦壁56の案内面57のうち起立安定領域に当接する区間)では、第1反転ブラケット37の姿勢と同様、シリンジ容器21の姿勢を起立状態22b(図1A図2図6B参照)に保つことができる。
【0045】
一方、前記倒立過渡ステージでは、ホイール部材33が時計回りに回転中において、第1反転ブラケット37に備わる保持部35に係る背側面35aは、縦壁56の案内面57のうち倒立始点gp4から倒立終点gp5に至る倒立過渡領域に当接している。
【0046】
この倒立過渡領域では、第1反転ブラケット37は、ホイール部材33に係る回転角度の増大に応じて、その姿勢を起立状態37bから倒立状態37aへと漸次遷移させる。なお、倒立状態37aの第1反転ブラケット37では、図6Bに示すように、保持部35に係る背側面35aが平板40の外周縁部40bに当接している。
ここで、第1反転ブラケット37に備わる保持部35に保持されていたシリンジ容器21は、第1反転ブラケット37による保持から離れて、ホイール部材33の回転に伴って、容器ステー34の凹部34a及び容器ガイド36(図1A図1B参照)の間に、起立状態22bのシリンジ容器21が挟み込まれる。
【0047】
したがって、倒立過渡ステージ(保持部35に係る背側面35aが縦壁56の案内面57のうち倒立過渡領域に当接する区間)では、第1反転ブラケット37の姿勢とは異なって、起立状態22b(図1A図2図6B参照)にあるシリンジ容器21の姿勢をそのまま保持することができる。
【0048】
〔容器姿勢反転装置11を含む容器検査装置10の動作〕
次に、容器検査装置10の動作について説明する。
前提として、容器供給装置13に係る第1搬送部材83に備わる第1保持部85には、図1A図1Bに示すように、倒立状態22aの複数のシリンジ容器21が予め保持されているものとする。
【0049】
図1A図1Bに示すように、いま、容器供給装置13に係る第1搬送部材83が、反時計回りに回転したとする。すると、容器供給装置13に係る第1搬送部材83によって倒立状態22aで搬送されてきたシリンジ容器21は、容器姿勢反転装置11に備わるホイール部材33に順次供給される。このとき、容器姿勢反転装置11に備わるホイール部材33は、容器供給装置13に係る第1搬送部材83の回転速度と同期して時計回りに回転している。
【0050】
容器姿勢反転装置11に備わるホイール部材33に供給された倒立状態22aのシリンジ容器21は、第1ステー41を介してホイール部材33に設けた第1反転ブラケット37の保持部35に保持された状態で搬送される。
【0051】
容器姿勢反転装置11に備わるホイール部材33が時計回りに回転すると、倒立状態22aのシリンジ容器21を保持している、第1反転ブラケット37に備わる保持部35に係る背側面35aが、反転作用部材39に備わる縦壁56の案内面57のうち起立案内面57aに当接するに至る。これにより、第1反転ブラケット37は、ホイール部材33に係る回転角度の増大に応じて、倒立状態37aから起立状態37bへとその姿勢を反転させる。ここで、第1反転ブラケット37に備わる保持部35には、シリンジ容器21が保持されている。そのため、第1反転ブラケット37の姿勢反転に伴って、シリンジ容器21も起立状態22bへとその姿勢を反転させる。
【0052】
第1反転ブラケット37に備わる保持部35に保持されていた起立状態22bのシリンジ容器21は、第1反転ブラケット37による保持から離れて、ホイール部材33の回転に伴って、容器ステー34の凹部34a及び容器ガイド36(図1A図1B参照)の間に挟み込まれつつ搬送される。
【0053】
容器姿勢反転装置11において姿勢反転された起立状態22bのシリンジ容器21は、半時計回りに回転中の容器受取装置15に係る第2搬送部材93へと受け渡される。容器受取装置15では、起立状態22bのシリンジ容器21を対象として、封入されている薬液の量が所定の基準を満たしているか、薬液中に異物が混入していないか、その外観に傷や割れ等の瑕疵がないか、などの検査を行う。
【0054】
本発明の実施形態に係る容器姿勢反転装置11によれば、前後にそれぞれ設けた容器供給装置13及び容器受取装置15と協調して複数のシリンジ容器21の搬送動作及び姿勢反転動作を連続して行うため、省スペースにて複数のシリンジ容器21の搬送及び姿勢反転動作を高速かつ的確に遂行することができる。
【0055】
また、第1反転ブラケット37は、主軸31に係る放射方向においてシリンジ容器21の姿勢を倒立状態22a乃至起立状態22bにわたり回動可能にホイール部材33の外周縁部33aに支持されるため、シリンジ容器21の搬送及び姿勢反転中に、複数の第1反転ブラケット37同士が互いに干渉する事態を未然に回避することができる。
【0056】
また、本発明の実施形態に係る容器姿勢反転装置11では、容器は、例えば、一端にフランジ部23を有する円筒状のシリンジ容器21であり、第1反転ブラケット37に備わるシリンジ容器21の保持部35は、シリンジ容器21を収容する半円筒状の収容溝53と、シリンジ容器21のフランジ部23が係合する係合部55と、を備えるため、シリンジ容器21の搬送及び姿勢反転中に、仮に容器姿勢反転装置11に対して振動等の外乱が生じた場合であっても、第1反転ブラケット37に係る保持部35に対するシリンジ容器21の脱落を未然に抑制することができる。
さらに、シリンジ容器21の搬送及び姿勢反転動作中において、シリンジ容器21の傷付きを防止することができる。
【0057】
また、本発明の実施形態に係る容器姿勢反転装置11では、第1反転ブラケット37の保持部35に備わる収容溝53は、第1反転ブラケット37が倒立状態37aにある場合に主軸31に係る放射方向の外側を指向する一方、第1反転ブラケット37が起立状態37bにある場合に主軸31に係る放射方向の内側を指向する構成を採用したため、前後にそれぞれ設けた容器供給装置13及び容器受取装置15と協調して複数のシリンジ容器21の搬送動作及び姿勢反転動作を連続して行う上で好適な装置構成を具現化することができる。
【0058】
また、本発明の実施形態に係る容器姿勢反転装置11では、反転作用部材39は、主軸31に係る軸方向から視て円弧状の軌跡を描く縦壁56を有し、縦壁56が、ホイール部材33の外周縁部33aに対して外方側に位置するように配設され、縦壁56の頂部には、主軸31の側から視て山型にうねる案内面57が形成され、第1反転ブラケット37は、ホイール部材33の回転に伴って、保持部35に係る背側面35aが案内面57に摺り上がることでその姿勢を倒立状態37aから起立状態37bへと遷移させ、これをもって、倒立状態22aにあるシリンジ容器21の姿勢を起立状態22bへと反転させるため、比較的簡易な構成をもって、シリンジ容器21の搬送及び姿勢反転を高速かつ的確に行わせることができる。
【0059】
また、本発明の実施形態に係る容器姿勢反転装置11では、反転作用部材39は、楕円形状の平板40の外周縁部40bに縦壁56を設けて構成され、平板40の中心40aは、ホイール部材33に係る主軸31に対して偏芯しているため、反転作用部材39として比較的単純な構成の採用をもって、第1反転ブラケット37が倒立状態37a乃至起立状態37bになる過程での姿勢反転動作を円滑に行わせることができる。その結果、容器姿勢反転装置11に係る容器搬送及び姿勢反転を高速かつ的確に遂行することができる。
【0060】
〔第2実施例に係る第2反転ブラケット61及び第2ステー71の概略構成〕
次に、第2実施例に係る第2反転ブラケット61及び第2ステー71の概略構成について、図8A図8Bを適宜参照して説明する。
図8Aは、容器姿勢反転装置11に備わる第2反転ブラケット61の概略構成を表す斜視図である。図8Bは、容器姿勢反転装置11に備わる第2ステー71に回動可能に支持される第2反転ブラケット61の概略構成を表す斜視図である。
【0061】
第1実施例に係る第1反転ブラケット37及び第1ステー41と、第2実施例に係る第2反転ブラケット61及び第2ステー71とは、基本的な構成が共通している。そこで、前記両者の相違点に注目して説明することで、第2実施例に係る第2反転ブラケット61及び第2ステー71の説明に代えることとする。
【0062】
前記両者の相違点は、第1反転ブラケット37では、第1ピン49を介して第1ステー41の第1先端部45に軸支される第1片持ちアーム51と、シリンジ容器21の保持部35と、を備える構成を採用しているのに対し、第2反転ブラケット61では、第2ピン70(本発明の「副軸」に相当する。)を介して第2ステー71に係る第2先端部73に軸支される第2片持ちアーム63、を備える構成を採用している点である。
【0063】
ただし、第2反転ブラケット61は、シリンジ容器21の保持部35を備え、保持部35は、シリンジ容器21を収容する半円筒状の収容溝53と、シリンジ容器21のフランジ部23が係合する凹形状の係合部55とを備える点で、第1反転ブラケット37と同じである。
【0064】
特に、第2反転ブラケット61は、図8A図8Bに示すように、一端部65aをシリンジ容器21の底部21aに対向させて設けられ、シリンジ容器21の長手方向(図8Aの矢印参照)に沿って移動可能な可動ストッパ65と、可動ストッパ65の前記一端部65aをシリンジ容器21の底部21aに向かって移動させるカム機構75と、をさらに備え、シリンジ容器21の底部21aには、円形状の凹部24が設けられる一方、可動ストッパ65のうち前記一端部65aには、前記凹部24に嵌まり合う突起部67が設けられている。
【0065】
可動ストッパ65は、第2片持ちアーム63に対してシリンジ容器21の長手方向に沿って移動可能に設けられる。また、カム機構75を構成する円弧状のカム面77が、第2ステー71に係る第2先端部73のうち主軸31に係る放射方向の外方側に形成されている。なお、可動ストッパ65は、通常時において、内蔵されたバネ等の付勢部材の働きによって、第2反転ブラケット61の保持部35に備わる係合部55に対して離れる方向に付勢力が付与されている。
【0066】
すなわち、第2反転ブラケット61は、ホイール部材33の外周縁部33aに備わる第2ステー71の第2ピン(副軸)70を介して、主軸31に係る放射方向における姿勢を倒立状態乃至起立状態にわたり回動可能に軸支される。第2ステー71のうち放射方向の外方側に存する第2先端部73には、第2ピン(副軸)70を中心とする円弧状のカム面77、及びカム面77の切欠き部79がそれぞれ形成されている。
【0067】
詳しく述べると、第2ステー71に係る第2先端部73に備わるカム面77には、上下方向にわたり一対の切欠き部79が設けられている。一対の切欠き部79は、第2ピン70周りに形成された円弧状のカム面77に係る半径と比べて小さくなるように、第2ステー71に係る第2先端部73に設けられている。
ただし、図8B図9A図9Dに示す例では、一対の切欠き部79のうち、第2ステー71に係る第2先端部73に備わるカム面77の下部に設けられた切欠き部79は、第2先端部73それ自体の上下方向の寸法を、第2ピン70周りに形成された円弧状のカム面77に係る半径と比べて小さくなるように調整することで設定されている。
【0068】
これにより、第2反転ブラケット61が主軸31に係る軸方向を指向した(第2反転ブラケット61が倒立状態又は起立状態にある)際に、可動ストッパ65が前記付勢力に従って退避するように引っ込む。すると、シリンジ容器21の底部21aに設けられた凹部24と可動ストッパ65に係る突起部67との間の係合状態が解除される。
【0069】
カム機構75は、第2ステー71に係る第2先端部73に形成されたカム面77、カム面77の切欠き部79、及び可動ストッパ65の一端部65aに設けられた突起部67の組み合わせにより構成される。
【0070】
要するに、第2実施例に係る第2反転ブラケット61及び第2ステー71の組み合わせでは、第2反転ブラケット61が倒立状態から起立状態に至る過渡期にある際に、可動ストッパ65に係る突起部67の背側面67aがカム面77と対峙している場合、シリンジ容器21の底部21aに設けられた凹部24と可動ストッパ65に係る突起部67との間の係合状態が確立される一方、可動ストッパ65に係る突起部67の背側面67aがカム面77の切欠き部79と対峙している場合、シリンジ容器21の底部21aに設けられた凹部24と可動ストッパ65に係る突起部67との間の係合状態が解除されるように動作する。
【0071】
次に、第2実施例に係る第2反転ブラケット61及び第2ステー71の組み合わせを採用した容器姿勢反転装置11の動作について、図9A図9Dを適宜参照して説明する。
図9A図9Dは、容器姿勢反転装置11に備わる第2ステー71に回動可能に支持される第2反転ブラケット61の側面図である。
【0072】
第2反転ブラケット61が倒立状態(図9A参照)又は起立状態(図9D参照)にあるケースでは、可動ストッパ65に係る突起部67は、第2ステー71に係る第2先端部73に形成されたカム面77の切欠き部79と対峙しており、カム面77それ自体とは対峙していない。そのため、可動ストッパ65が前記付勢力に従って退避するように引っ込む。すると、シリンジ容器21の底部21aに設けられた凹部24と可動ストッパ65に係る突起部67との間の係合状態が解除される。このとき、容器姿勢反転装置11では、容器供給装置13、容器受取装置15との間でシリンジ容器21の受け渡しが可能となる。
【0073】
第2反転ブラケット61が倒立状態乃至起立状態の過渡期(図9B図9C参照)にあるケースでは、可動ストッパ65に係る突起部67は、第2ステー71に係る第2先端部73に形成されたカム面77と対峙している。そのため、可動ストッパ65が前記付勢力に抗して進出するようにせり出す。すると、シリンジ容器21の底部21aに設けられた凹部24と可動ストッパ65に係る突起部67との間の係合状態が確立される。
その結果、容器姿勢反転装置11では、第2反転ブラケット61が倒立状態乃至起立状態の過渡期にあるケースにおいて、第2反転ブラケット61の保持部35に対するシリンジ容器21の保持強度を一層高めることができる。
【0074】
第2実施例に係る第2反転ブラケット61及び第2ステー71の組み合わせを採用した容器姿勢反転装置11によれば、第1実施例に係る第1反転ブラケット37及び第1ステー41の組み合わせを採用した容器姿勢反転装置11と比べて、第2反転ブラケット61が倒立状態から起立状態に至る過渡期にある際に、比較的簡素な構成をもって、第2反転ブラケット61の保持部35に対するシリンジ容器21の保持強度を一層高めることができる。
その結果、容器搬送及び姿勢反転に係る動作中において、仮に、容器姿勢反転装置11に振動等の外乱が生じた場合でも、第2反転ブラケット61の保持部35に対するシリンジ容器21の脱落を未然に抑止する効果を期待することができる。
【0075】
〔その他の実施形態〕
以上説明した実施形態は、本発明の具現化の例を示したものである。従って、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならない。本発明はその要旨又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形態で実施することができるからである。
【0076】
また、ここで説明した実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることは可能であり、さらに、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
【0077】
例えば、本発明の実施形態に係る本発明の実施形態に係る容器姿勢反転装置1の説明において、容器としてシリンジ容器21を対象として本発明を適用する例をあげて説明したが、本発明はこの例に限定されない。本発明は、シリンジ容器以外のその他の容器にも適用可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0078】
11 容器姿勢反転装置
21 シリンジ容器(容器)
21a 底部(シリンジ容器の底部)
22a 倒立状態(シリンジ容器の倒立状態)
22b 起立状態(シリンジ容器の起立状態)
23 フランジ部
24 凹部(シリンジ容器の底部に設けられる凹部)
31 主軸(ホイール部材の主軸)
33 ホイール部材
33a 外周縁部(ホイール部材の外周縁部)
35 保持部(シリンジ容器の保持部)
35a 背側面(保持部の背側面)
37 第1反転ブラケット(反転ブラケット)
37a 倒立状態(第1反転ブラケットの倒立状態)
37b 起立状態(第1反転ブラケットの起立状態)
39 反転作用部材
40 平板
40a 平板の中心
40b 外周縁部(平板の外周縁部)
41 第1ステー(ステー)
49 第1ピン
51 第1片持ちアーム
53 収容溝(保持部の収容溝)
55 係合部(保持部の係合部)
56 縦壁
57 案内面
61 第2反転ブラケット(反転ブラケット)
63 第2片持ちアーム
65 可動ストッパ
65a 一端部(可動ストッパの一端部)
67 突起部(可動ストッパの一端部に設けた突起部)
71 第2ステー(ステー)
73 第2先端部
75 カム機構
77 カム面
79 切欠き部(カム面の切欠き部)
【要約】
【課題】省スペースにて複数の容器の姿勢反転を高速で遂行可能な容器姿勢反転装置を提供する。
【解決手段】容器21の搬送中に容器21の姿勢を倒立状態22aから起立状態22bへと反転させる容器姿勢反転装置11であって、鉛直方向に延びる主軸31周りに回転自在に設けられるホイール部材33と、ホイール部材33の外周縁部33aに複数設けられ、容器21の保持部35が備わる第1反転ブラケット37と、第1反転ブラケット37の保持部35によって保持された容器21の姿勢反転動作を行わせる反転作用部材39と、を備える。第1反転ブラケット37は、主軸31に係る放射方向において容器21の姿勢を倒立状態乃至起立状態にわたり回動可能にホイール部材33の外周縁部33aに支持される。反転作用部材39は、倒立状態にある容器21の姿勢を起立状態へと反転させる。
【選択図】 図1A
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D