(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】テープガイド及び部品供給装置
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20240418BHJP
【FI】
H05K13/02 B
(21)【出願番号】P 2023529222
(86)(22)【出願日】2021-06-21
(86)【国際出願番号】 JP2021023435
(87)【国際公開番号】W WO2022269695
(87)【国際公開日】2022-12-29
【審査請求日】2023-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大森 哲也
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-103664(JP,A)
【文献】国際公開第2021/014503(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/168641(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を収納するキャビティが設けられたベーステープと、前記ベーステープの表面に前記キャビティを閉塞するように設けられたカバーテープと、を有するキャリアテープを搬送方向への搬送時にガイドするガイド本体部と、
前記ガイド本体部に上方からの外力付与により弾性変形可能に片持ち支持され、前記キャリアテープの搬送中に前記ベーステープと前記カバーテープとの間に挿入される舌部と、
前記舌部の下方に配置され、前記舌部が所定以上に弾性変形したときに前記舌部が当接するストッパ部と、
を備え、
前記ストッパ部及び前記舌部は、前記舌部の上面における外力が付与される外力付与位置に応じて、前記舌部が前記ストッパ部に当接する際の前記舌部の先端高さが変化するように形成されている、テープガイド。
【請求項2】
前記ストッパ部は、前記舌部の根元側から先端側にかけて上面高さが段階的に低くなるように形成された階段部を有している、請求項1に記載されたテープガイド。
【請求項3】
前記舌部は、前記舌部の根元側から先端側にかけて下面高さが段階的に高くなるように形成された階段部を有している、請求項1に記載されたテープガイド。
【請求項4】
前記ストッパ部の上面及び前記舌部の下面のうち一方は、平面状に形成され、
前記ストッパ部の上面及び前記舌部の下面のうち他方は、前記舌部の根元側から先端側にかけて円弧凸状に形成されている、請求項1に記載されたテープガイド。
【請求項5】
前記舌部の延在方向にスライド可能に保持され、前記ストッパ部と前記舌部とを上下方向で挟持する力を前記外力として発生するクランプ部を備え、
前記外力付与位置は、前記延在方向における前記クランプ部の保持位置に応じて変化する、請求項1に記載されたテープガイド。
【請求項6】
電子部品を収納するキャビティが設けられたベーステープと、前記ベーステープの表面に前記キャビティを閉塞するように設けられたカバーテープと、を有するキャリアテープを搬送方向への搬送時にガイドするガイド本体部と、
前記ガイド本体部に上方からの外力付与により弾性変形可能に片持ち支持され、前記キャリアテープの搬送中に前記ベーステープと前記カバーテープとの間に挿入される舌部と、
前記舌部の延在方向にスライド可能に保持され、前記舌部の上方から前記舌部の上面に前記舌部を弾性変形させる外力を付与するクランプ部と、
を備え、
前記舌部の先端高さは、前記舌部の上面における前記外力が付与される外力付与位置に応じて変化する、テープガイド。
【請求項7】
前記舌部の上面に視認可能に付され、前記外力付与位置と前記先端高さとの対応関係を示す目印表示部を備える、請求項1乃至6の何れか一項に記載されたテープガイド。
【請求項8】
前記キャリアテープを前記搬送方向へ搬送する搬送装置と、
請求項1乃至7の何れか一項に記載されたテープガイドを含み、前記舌部を前記ベーステープと前記カバーテープとの間に挿入させて前記キャビティ内の前記電子部品を露出させる部品露出装置と、
を備える、部品供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、テープガイド及び部品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品供給装置が備えるテープガイドが知られている(例えば、特許文献1参照)。部品供給装置は、電子部品がキャリアテープのキャビティに収納された状態でキャリアテープを搬送方向に搬送することにより電子部品を部品供給位置に供給する装置である。キャリアテープは、キャビティが設けられたベーステープと、ベーステープの表面に設けられてベーステープのキャビティを閉塞するカバーテープと、を有している。
【0003】
上記のテープガイドは、キャリアテープの搬送方向への搬送時にキャリアテープをガイドするガイド本体部と、ベーステープとカバーテープとの間に挿入されてキャビティ内の電子部品を露出させる舌部と、を有している。舌部は、ガイド本体部に溶接などで固定されており、搬送方向とは反対の反搬送方向に延びている。舌部は、その先端部が、ガイド本体部にガイドされているキャリアテープのベーステープとカバーテープとの間に挿入される高さ位置に固定されるように配置されている。舌部がベーステープとカバーテープとの間に挿入されると、その後に刃部がカバーテープを切断分割することなどにより、キャビティ内の電子部品が露出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記した特許文献1記載のテープガイドでは、上記の如く、舌部がガイド本体部に固定されており、舌部の先端部がキャリアテープのベーステープとカバーテープとの間に挿入される高さ位置(以下、挿入高さ位置と称す。)に固定されている。このため、キャリアテープの搬送中にキャリアテープの搬送方向先端が舌部の先端に到達して舌部の先端部がベーステープとカバーテープとの間に挿入された後も、舌部の先端部の下面がベーステープの上面に接する状態が維持されるので、舌部の先端部の角部にベーステープのキャビティ内の電子部品が接触する可能性が高くなる。
【0006】
一方、舌部の先端部の角部にベーステープのキャビティ内の電子部品を接触させ難くするためには、舌部の先端部を上記の挿入高さ位置よりも高い位置に固定する構造が考えられる。しかしながら、この構造では、キャリアテープの搬送方向先端のベーステープとカバーテープとの間に舌部の先端部を挿入させることが難しくなり、ひいては、ベーステープのキャビティ内の電子部品を適切に露出させることが困難となるおそれがある。
【0007】
そこで、上記の不都合を回避させるうえでは、舌部の先端部を高位置とその高位置よりも低い低位置との間で上下方向に移動できる構造とすることが考えられる。かかる構造において、舌部の先端部が高位置から低位置へ移動された状態でキャリアテープの搬送方向先端部でのベーステープとカバーテープとの間に挿入されると共に、その挿入後に舌部の先端部が低位置から高位置へ移動されてキャリアテープの搬送が行われれば、舌部の先端部をベーステープとカバーテープとの間に適切に挿入させつつ、その挿入後に舌部の先端部がベーステープのキャビティ内の電子部品に接触するのを回避させることができる。
【0008】
上記した舌部の先端部を高位置と低位置との間で上下方向に移動できる構造において、舌部の先端部が高位置から低位置へ移動された際にその舌部の先端部を正確に低位置に位置固定させるためには、舌部の先端部が低位置に達した際に舌部が当接して移動規制されるストッパ部を設けることが好適である。
【0009】
しかしながら、キャリアテープの種類や搬送方向先端の状態によっては、搬送中のキャリアテープの搬送方向先端におけるベーステープとカバーテープとの境界の高さが一定の高さに限られず上下に変動し得る。このため、舌部がストッパ部に当接する際の舌部の先端部の低位置が一つの高さ位置に限定される構造では、様々なキャリアテープに対応することができず、汎用性に欠け、作業性が低下する。一方、舌部を上方から押し下げる力の大きさを変えれば、舌部がストッパ部に当接する際の舌部の先端部の低位置を一つに限定することなく調整することは可能であるが、舌部の先端部を低位置に安定的に位置固定させることができなくなる。
【0010】
本明細書は、舌部を上方から押し下げる力の大きさによらず舌部の先端部の先端高さを変化させることで、様々なキャリアテープに対応して舌部の先端部をベーステープとカバーテープとの間に適切に挿入させることが可能なテープガイド及び部品供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書は、電子部品を収納するキャビティが設けられたベーステープと、前記ベーステープの表面に前記キャビティを閉塞するように設けられたカバーテープと、を有するキャリアテープを搬送方向への搬送時にガイドするガイド本体部と、前記ガイド本体部に上方からの外力付与により弾性変形可能に片持ち支持され、前記キャリアテープの搬送中に前記ベーステープと前記カバーテープとの間に挿入される舌部と、前記舌部の下方に配置され、前記舌部が所定以上に弾性変形したときに前記舌部が当接するストッパ部と、を備え、前記ストッパ部及び前記舌部は、前記舌部の上面における外力が付与される外力付与位置に応じて、前記舌部が前記ストッパ部に当接する際の前記舌部の先端高さが変化するように形成されている、テープガイドを開示する。
【0012】
本開示によれば、舌部がストッパ部に当接する際の舌部の先端高さを、舌部の上面における外力付与位置に応じて変化させることができる。従って、舌部を上方から押し下げる力の大きさによらず舌部の先端部の先端高さを変化させることで、様々なキャリアテープに対応して舌部の先端部をベーステープとカバーテープとの間に適切に挿入させることができる。
【0013】
本明細書は、電子部品を収納するキャビティが設けられたベーステープと、前記ベーステープの表面に前記キャビティを閉塞するように設けられたカバーテープと、を有するキャリアテープを搬送方向への搬送時にガイドするガイド本体部と、前記ガイド本体部に上方からの外力付与により弾性変形可能に片持ち支持され、前記キャリアテープの搬送中に前記ベーステープと前記カバーテープとの間に挿入される舌部と、前記舌部の延在方向にスライド可能に保持され、前記舌部の上方から前記舌部の上面に前記舌部を弾性変形させる外力を付与するクランプ部と、を備え、前記舌部の先端高さは、前記舌部の上面における前記外力が付与される外力付与位置に応じて変化する、テープガイドを開示する。
【0014】
本開示によれば、舌部の先端高さを、舌部の上面における外力付与位置に応じて変化させることができる。従って、舌部を上方から押し下げる力の大きさによらず舌部の先端部の先端高さを変化させることで、様々なキャリアテープに対応して舌部の先端部をベーステープとカバーテープとの間に適切に挿入させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】一実施形態に係るテープガイドを含む部品供給装置の構成図である。
【
図3】
図2に示すキャリアテープのIII-III断面図である。
【
図4】実施形態のテープガイドを含む部品供給装置の要部構成図である。
【
図5】実施形態のテープガイドの全体斜視図である。
【
図6】実施形態のテープガイドの全体側面図である。
【
図7】実施形態のテープガイドの要部斜視図である。
【
図8】実施形態のテープガイドの要部側面図である。
【
図9】実施形態のテープガイドの要部上面図である。
【
図10】
図9に示すテープガイドのX-X断面図である。
【
図11】実施形態のテープガイドにおいて舌部の先端高さが上段高さにあるときに舌部がキャリアテープのベーステープとカバーテープとの間に挿入された直後の状況を表した図である。
【
図12】実施形態のテープガイドにおいて舌部の先端高さが中段高さにあるときに舌部がキャリアテープのベーステープとカバーテープとの間に挿入された直後の状況を表した図である。
【
図13】実施形態のテープガイドにおいて舌部の先端高さが下段高さにあるときに舌部がキャリアテープのベーステープとカバーテープとの間に挿入された直後の状況を表した図である。
【
図14】第一変形形態に係るテープガイドの要部側面図である。
【
図15】第二変形形態に係るテープガイドの要部側面図である。
【
図16】第三変形形態に係るテープガイドの要部側面図である。
【
図17】
図16に示すテープガイドのXVII-XVII断面図である。
【
図18】第四変形形態に係るテープガイドの要部側面図である。
【
図19】
図18に示すテープガイドのXIX-XIX断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
1.テープガイドを含む部品供給装置の構成
一実施形態の部品供給装置1の構成について説明する。
部品供給装置1は、キャビティに電子部品を格納したキャリアテープを搬送方向Xに搬送することにより電子部品を部品供給位置Pへ供給するテープフィーダである。部品供給装置1は、基板生産ライン上に設けられて基板に電子部品を装着する部品装着機に組み込まれている。以下、部品供給装置1は、
図1に示す如きカセット型のテープフィーダであるものとする。
【0017】
キャリアテープ80は、電子部品2を部品供給装置に供給するための長尺状に形成されたテープ部材である。キャリアテープ80は、所定の幅寸法(すなわちテープ幅)を有している。一般的には、キャリアテープ80のテープ幅は、キャリアテープ80の種類或いは収納対象の電子部品2の大きさに応じて異なる。このテープ幅は、予め規格として定められており、例えば、4mmや8mm,12mm,16mm,24mm幅などである。電子部品2は、電子回路を構成するトランジスタやダイオード,抵抗などの部品である。尚、電子部品2は、例えば0201サイズ(0.2mm×0.1mm)などの微小部品を含んでいてもよい。
【0018】
キャリアテープ80は、
図2及び
図3に示す如く、ベーステープ81と、カバーテープ82と、を有している。ベーステープ81は、電子部品2を収納するキャビティ83が設けられたテープである。また、カバーテープ82は、ベーステープ81の表面(上面)にキャビティ83を閉塞するように設けられたテープである。
【0019】
ベーステープ81は、紙材や樹脂等の柔軟性を有する材料により構成されている。ベーステープ81は、キャビティ83を有している。キャビティ83は、電子部品2を収納する孔又は溝などの収納空間である。尚、キャリアテープ80は、ベーステープ81のキャビティ83が下方に突出したエンボス型のテープであってもよいし、或いは、表面に溝状のキャビティ83が設けられた紙テープであってもよい。
【0020】
キャビティ83は、ベーステープ81のテープ幅方向の略中央に設けられている。キャビティ83は、テープ長手方向に沿って複数設けられており、所定間隔で一列に並んで配置されている。尚、
図3に示す如く、キャビティ83がベーステープ81を貫通する孔であるときは、電子部品2の脱落を防止するため、更に、そのキャビティ83の底部を塞ぐボトムテープ84がベーステープ81の下面に接着される。このボトムテープ84は、透明又は半透明の紙材や高分子フィルムなどにより構成されればよい。
【0021】
ベーステープ81は、また、送り孔85を有している。送り孔85は、キャリアテープ80をテープ長手方向すなわち搬送方向Xに搬送するために設けられた貫通孔である。送り孔85は、部品供給装置1が有する後述のスプロケットの係合突起を係合させる係合孔である。送り孔85は、略円形或いは楕円形に形成されている。送り孔85は、ベーステープ81のテープ幅方向の一端部に設けられている。送り孔85は、テープ長手方向に沿って複数設けられており、所定間隔で一列に並んで配置されている。キャビティ83と送り孔85とは、テープ幅方向に二列に並びつつそれぞれテープ長手方向に沿うように配置されている。
【0022】
カバーテープ82は、ベーステープ81の表面に剥離可能に接着される。カバーテープ82は、ベーステープ81の表面に対してキャビティ83が設けられたテープ幅方向中央部を除いたテープ幅方向両端部それぞれに接着される。カバーテープ82は、ベーステープ81への接着固定によりキャビティ83の開口を覆って閉塞する。カバーテープ82は、キャビティ83に収納される電子部品2の外部への飛び出しを防止する機能を有している。カバーテープ82は、透明な高分子フィルムなどにより構成されている。
【0023】
尚、カバーテープ82は、ベーステープ81のテープ幅と略同じテープ幅を有していてもよいし、例えば
図3に示す如く、ベーステープ81に対して送り孔85が設けられた部分を除いた部分に接着されるものとし、ベーステープ81のテープ幅よりも小さいテープ幅を有していてもよい。また、カバーテープ82のテープ幅は、キャリアテープ80の種類すなわちベーステープ81のテープ幅に応じて異なっていてよい。
【0024】
部品供給装置1は、
図1及び
図4に示す如く、カセットケース10と、テープ装填部20と、搬送装置30と、部品露出装置40と、テープ排出部60と、を備えている。
【0025】
カセットケース10は、キャリアテープ80が巻回されたテープリール89を収容可能な空間が形成されたケース部材である。カセットケース10は、透明又は不透明のプラスチック板又は金属板により薄肉矩形状に形成されている。カセットケース10は、上記の空間を露出可能に開閉するカバー11を有している。カバー11は、例えばカセットケース10の側面に設けられている。
【0026】
テープ装填部20は、テープリール89を着脱可能に装填する部位である。テープ装填部20は、カセットケース10内に設けられている。テープ装填部20は、カセットケース10の内部でテープリール89を回転可能に支持する支持軸を有している。テープリール89は、カセットケース10のカバー11が開放された状態でテープ装填部20に着脱されると共に、支持軸に支持された状態でキャリアテープ80を引き出して搬送方向Xへ搬送するように回転する。
【0027】
搬送装置30は、テープ装填部20に装填されているテープリール89から引き出されたキャリアテープ80を搬送方向Xへ搬送する装置である。搬送装置30は、
図1及び
図4に示す如く、テープ搬送路31と、バックアップ板バネ32と、サポート板バネ33と、を有している。
【0028】
テープ搬送路31は、テープリール89から引き出されたキャリアテープ80を部品供給位置Pへ向けて搬送する搬送路である。テープ搬送路31は、カセットケース10内に設けられている。テープ搬送路31は、テープリール89におけるキャリアテープ80の引出口から部品供給位置Pへ向けて線状に延びている。テープ搬送路31は、キャリアテープ80の下面に当接してその下面を支持する。テープ搬送路31は、搬送方向Xの上流側から下流側にかけて位置が徐々に高くなるように傾斜する傾斜部と、最下流部で水平に延びる水平部と、を有するように形成されている。
【0029】
バックアップ板バネ32は、テープ搬送路31上のキャリアテープ80(具体的には、ベーステープ81)の下面を支持するバネ体である。バックアップ板バネ32は、テープ搬送路31上のキャリアテープ80を上方へ付勢してキャリアテープ80の上面を後述のテープガイド50に押し付ける付勢力を発生する。バックアップ板バネ32は、カセットケース10内に設けられており、テープ搬送路31に対して搬送方向Xの下流側に配置されている。バックアップ板バネ32は、テープ搬送路31に沿って搬送方向Xに延びており、一端でカセットケース10に弾性変形可能に支持されている。
【0030】
サポート板バネ33は、テープ搬送路31上のキャリアテープ80がエンボス型のテープである場合にそのキャリアテープ80のキャビティ83の下壁の下面を支持するバネ体である。サポート板バネ33は、テープ搬送路31上のキャリアテープ80のキャビティ83の下壁が自重で下がるのを抑える力を発生する。サポート板バネ33は、カセットケース10内に設けられており、テープ搬送路31に対して搬送方向Xの下流側に配置されている。
【0031】
テープ搬送路31は、エンボス型のキャリアテープ80における下方に突出するキャビティ83が係合可能な溝を有している。この溝は、キャビティ83が最大となるエンボス型のキャリアテープ80に対応した大きさに形成されている。サポート板バネ33は、上記の溝の下方に配設されている。サポート板バネ33は、一つ以上(
図4においては、三つ)設けられている。各サポート板バネ33は、テープ搬送路31に沿って搬送方向Xに延びており、一端でカセットケース10に弾性変形可能に支持されている。
【0032】
部品露出装置40は、テープ搬送路31に沿って搬送方向Xに搬送されているキャリアテープ80のベーステープ81からカバーテープ82を剥離して、ベーステープ81のキャビティ83内の電子部品2を露出させる装置である。部品露出装置40は、テープガイド50を含んでいる。
【0033】
テープガイド50は、テープ搬送路31上で搬送されるキャリアテープ80をガイドする部材である。テープガイド50は、テープ搬送路31の搬送方向Xの下流側に配置されている。テープガイド50は、カセットケース10の前端部に上下方向に揺動可能に支持されている。テープガイド50は、テープ搬送路31上のキャリアテープ80の上面を押さえることが可能である。特に、テープガイド50は、カセットケース10に対して下方に付勢され押圧されており、キャリアテープ80のテープ厚が変わってもそのキャリアテープ80の上面を押さえることで、そのキャリアテープ80の浮き上がりを防止して送り孔85をスプロケットに確実に係合させることが可能である。
【0034】
テープガイド50は、テープ搬送路31上のキャリアテープ80の上面を押さえた状態で、キャリアテープ80のベーステープ81とカバーテープ82との間に後述の舌部52を挿入することが可能であると共に、部品供給位置Pの直前でベーステープ81からカバーテープ82を剥離してキャビティ83内の電子部品2を露出させることが可能である。テープガイド50は、
図4、
図5、
図6、
図7、
図8、
図9、及び
図10に示す如く、ガイド本体部51と、舌部52と、刃部53と、ストッパ部54と、目印表示部55と、を有している。
【0035】
ガイド本体部51は、キャリアテープ80が搬送方向Xに搬送される時にキャリアテープ80をガイドする部位である。ガイド本体部51は、搬送方向Xに沿って延びており、断面U字状に形成されている。ガイド本体部51は、上壁部56と、一対の側壁部57と、を有している。
【0036】
上壁部56は、テープ搬送路31の上方に配置された部位であって、搬送方向Xに搬送されるキャリアテープ80の上面に対向する。上壁部56は、キャリアテープ80の上方への移動を規制してキャリアテープ80の浮き上がりを防止する機能を有している。一対の側壁部57はそれぞれ、上壁部56の幅方向端部から下方へ延びる部位であって、搬送方向Xに搬送されるキャリアテープ80の側面に対向する。側壁部57は、搬送方向Xに対する左側に配置されており、テープ搬送路31上におけるキャリアテープ80の左側方への移動を規制する機能を有している。側壁部57は、搬送方向Xに対する右側に配置されており、テープ搬送路31上におけるキャリアテープ80の右側方への移動を規制する機能を有している。
【0037】
舌部52は、キャリアテープ80の搬送中にベーステープ81とカバーテープ82との間に挿入される部位である。刃部53は、ベーステープ81とカバーテープ82との接着箇所に挿入されることにより、ベーステープ81からカバーテープ82を部分的に剥離してキャビティ83内の電子部品2を露出させる部位である。
【0038】
ガイド本体部51の上壁部56は、開口部56aを有している。開口部56aは、上壁部56の一部が切り欠かれるように形成されている。舌部52は、開口部56aの一部を塞ぎつつ外部に露出するように配置されている。舌部52は、搬送方向Xに沿って延びるように板状に形成されている。舌部52の下面は、段差なく略平面をなしている。舌部52は、その板面が略水平に或いは先端部52aを下方にした状態で傾斜するように保持されている。舌部52は、一端部すなわち搬送方向X下流側の端部でガイド本体部51に溶接などで固定されており、ガイド本体部51に片持ち支持されている。舌部52は、先端部52aを搬送方向X上流側に向けた状態で配置されている。
【0039】
舌部52は、一端部でガイド本体部51に支持された状態で、上方からの外力F付与により上下方向に弾性変形可能である。具体的には、舌部52は、常態で板面がガイド本体部51に対する支持点から略水平になるように保持されている。そして、舌部52は、開口部56aを通じて外部に露出する部分に対して作業者(オペレータ)による押圧によって外力Fが下方へ付与された場合に、
図11~
図13に示す如く、先端部52aが下方に撓むと共に、その押圧解除によってその外力Fの付与が解除された場合に、
図8に示す如く、先端部52aが元の状態に戻るように弾性変形する。
【0040】
舌部52の弾性変形は、少なくとも、キャリアテープ80の種類や搬送方向X先端の状態によってベーステープ81とカバーテープ82との境界の高さが変動する範囲に対応して、先端部52aがベーステープ81とカバーテープ82との間へ挿入されるように先端部52aの高さ位置(以下、先端高さと称す。)が上下する範囲で行われる。舌部52の先端部52aの先端高さは、常態で基準高さであり、舌部52の上面に付与される外力Fが大きくなるほどその基準位置よりも低くなる。そして、キャリアテープ80のベーステープ81とカバーテープ82との境界の高さが最低高さであるときは、その最低高さに合わせて舌部52が弾性変形されて、先端部52aがその最低高さに合わせた高さ(以下、最低先端高さと称す。)まで下動される。
【0041】
舌部52は、ガイド本体部51に片持ち支持された一端部から先端部52aにかけて所定長さを有している。この所定長さは、舌部52の先端部52aが上記の基準高さから上記の最低先端高さまで下動できる長さに設定されている。尚、作業者が舌部52の先端部52aを最低先端高さに位置させるために舌部52に付与する外力Fは、作業者の指の力でその舌部52の先端部52aを最低先端高さに位置させることができる力に設定されていればよい。
【0042】
舌部52は、キャリアテープ80のテープ幅方向において所定幅を有している。この所定幅は、キャリアテープ80のテープ幅よりも小さくなるように設定されている。舌部52は、
図9に示す如く、キャリアテープ80におけるベーステープ81にカバーテープ82が接着されているテープ幅方向両端部のうち一方のテープ幅方向端部側(具体的には、送り孔85が設けられた側とは反対側)に偏るように配置されている。
【0043】
舌部52は、幅方向中央部が幅方向端部よりも搬送方向X上流側に向けて突出するように山型に形成されていると共に、先端部52aが一方の幅方向端部(具体的には、送り孔85が設けられた幅方向端部)に偏るように形成されている。舌部52は、先端部52aがベーステープ81のキャビティ83の真上に位置するように配置されている。舌部52の先端部52aは、その下面が搬送方向X下流側から搬送方向X上流側にかけて上方へ傾斜するようにテーパ状に形成されている。尚、この先端部52aの下面は、ベーステープ81とカバーテープ82との間への先端部52aの挿入性向上のため、舌部52が下方に押圧されて弾性変形しその先端部52aが上記の最低先端高さに位置した際に水平になるものとしてもよい。
【0044】
刃部53は、部品供給位置Pよりも搬送方向X上流側で、キャリアテープ80の一方のテープ幅方向端部で互いに接着されているベーステープ81とカバーテープ82との間に挿入されて、カバーテープ82を部分的にベーステープ81から剥離して、ベーステープ81のキャビティ83内の電子部品2を露出させる部位である。刃部53は、舌部52の軸方向先端のうち幅方向の何れか偏った箇所、具体的には、キャリアテープ80のベーステープ81にカバーテープ82が接着されているテープ幅方向両端部のうち一方のテープ幅方向端部側(具体的には、送り孔85が設けられた側とは反対側)に対応して設けられている。
【0045】
ストッパ部54は、舌部52が所定以上に弾性変形したときに舌部52が当接する部位である。ストッパ部54は、舌部52の先端部52aが当接した後にその先端部52aが下方へ位置移動するのを規制する。ストッパ部54は、ガイド本体部51の一対の側壁部57のうち一方(具体的には、搬送方向Xに対する右側)の側壁部57の上部である。ストッパ部54は、上壁部56の開口部56aが設けられた箇所に隣接して設けられている。
【0046】
テープガイド50の舌部52は、上記の如く、開口部56aを通じて外部に露出するように配置されている。舌部52は、ストッパ部54に上下方向で対向する対向部位52bを有している。対向部位52bは、舌部52の本体部にその本体部からテープ幅方向へ突出するように一体形成されている。対向部位52bは、舌部52が外力F付与により弾性変形した際にストッパ部54に当接することで、舌部52がそれを超えて移動するのを規制する。
【0047】
ストッパ部54及び舌部52は、舌部52の上面における外力Fが付与される外力付与位置に応じて、舌部52の対向部位52bがストッパ部54に当接する際の舌部52の先端部52aの先端高さが変化するように形成されている。具体的には、舌部52(具体的には、対向部位52b)におけるストッパ部54に当接する下面は、平面状に形成されている。ストッパ部54における舌部52が当接する上面は、階段状に形成されている。
【0048】
ストッパ部54は、
図8に示す如く、階段部54aを有している。階段部54aは、舌部52の一端側すなわち根元側から先端側にかけてストッパ部54の上面高さが段階的に低くなるように形成されている。階段部54aは、
図8及び
図11~
図13に示す如く、略水平な平面部が例えば上・中・下の三つ設けられるように形成されている。以下、階段部54aが三つの平面部を有するものとし、これら三つの平面部を上段側から順に、上段部54aH、中段部54aM、及び下段部54aLと称す。
【0049】
例えば
図11に示す如く、外力Fが付与される外力付与位置が舌部52の根元側であるときは、舌部52は、対向部位52bがストッパ部54の階段部54aの上段部54aHに当接するまで撓んで弾性変形することができ、対向部位52bが上段部54aHに当接した後は外力Fが更に大きくなってもそれを超えて下方へ撓むことはできない。対向部位52bが上段部54aHに当接したとき、舌部52の先端部52aの先端高さは上段高さとなる。
【0050】
また
図12に示す如く、上記の外力付与位置が舌部52の根元側と先端側との中間であるときは、舌部52は、対向部位52bがストッパ部54の階段部54aの中段部54aMに当接するまで撓んで弾性変形することができ、対向部位52bが中段部54aMに当接した後は外力Fが更に大きくなってもそれを超えて下方へ撓むことはできない。対向部位52bが中段部54aMに当接したとき、舌部52の先端部52aの先端高さは中段高さとなる。
【0051】
更に
図13に示す如く、上記の外力付与位置が舌部52の先端側であるときは、舌部52は、対向部位52bがストッパ部54の階段部54aの下段部54aLに当接するまで撓んで弾性変形することができ、対向部位52bが下段部54aLに当接した後は外力Fが更に大きくなってもそれを超えて下方へ撓むことはできない。対向部位52bが下段部54aLに当接したとき、舌部52の先端部52aの先端高さは下段高さとなる。
【0052】
目印表示部55は、外力Fが付与される外力付与位置とその外力F付与により舌部52がストッパ部54に当接した際に舌部52の先端部52aが達する先端高さとの対応関係を示す目印である。目印表示部55は、舌部52の上面に作業者に視認可能に付されている。尚、目印表示部55は、舌部52の上面に接着されるシール式のもの、舌部52の上面に刻印されたものなど何れであってもよい。
【0053】
目印表示部55は、例えば
図7及び
図9に示す如く、その目印表示部55の表示位置に外力Fが付与されて舌部52がストッパ部54に当接したものとしたときの、舌部52が舌部52の上記の先端高さが上段高さであることを示す「H」、その先端高さが中段高さであることを示す「M」、及びその先端高さが下段高さであることを示す「L」などである。この場合、「H」は舌部52の上面における根元側の外力付与位置に付され、「M」は舌部52の上面における根元側と先端側との中間の外力付与位置に付され、「L」は舌部52の上面における先端側の外力付与位置に付される。尚、目印表示部55は、舌部52の上記の先端高さが取り得る高さに合わせて線状の目盛りや図形などが付されたものであってもよい。
【0054】
テープガイド50は、また、折返部59を備えている。折返部59は、舌部52の刃部53によりベーステープ81からカバーテープ82のテープ幅方向一端部が剥離された後、そのカバーテープ82の剥離側のテープ幅方向一端部を立ち上げて折り返す部位である。折返部59は、刃部53よりも搬送方向X下流側に配置されていると共に、部品供給位置Pよりも搬送方向X上流側に配置されている。折返部59は、板状に形成されており、開口部56aの一部を塞ぐように形成配置されている。折返部59は、搬送方向X上流側が尖っており、搬送方向X上流側から搬送方向X下流側にかけて幅が拡大するように形成されている。
【0055】
搬送装置30は、また、
図1に示す如く、手動用スプロケット35と、手動用ハンドル36と、自動用スプロケット37と、モータ(図示せず)と、を有している。
【0056】
手動用スプロケット35は、作業者の手動でキャリアテープ80をテープ搬送路31に沿って搬送方向Xに送る回転体である。手動用スプロケット35は、略円板状に形成されており、カセットケース10に対して回転可能に支持されている。手動用スプロケット35は、テープ搬送路31におけるテープガイド50の舌部52よりも搬送方向X上流側(具体的には、テープ搬送路31における搬送方向Xの上流側から下流側にかけて位置が徐々に高くなる傾斜部分)に配置されている。手動用スプロケット35は、カセットケース10に対してテープ搬送路31の下方に設けられた水平な支持軸を中心にして回転する。
【0057】
手動用スプロケット35は、径方向外側に向けて突出する外歯を有している。手動用スプロケット35の外歯は、キャリアテープ80の送り孔85の間隔に対応した角度間隔で複数設けられている。この外歯は、手動用スプロケット35の最上端付近に位置したときに、テープ搬送路31の貫通孔を通して上方へ突出する。外歯は、テープ搬送路31から上方へ突出した際にキャリアテープ80の送り孔85に係合する。また、手動用スプロケット35は、一体に設けられた手動用ハンドル36が作業者によって回転操作されることにより回転する。手動用スプロケット35の外歯がキャリアテープ80の送り孔85に係合した状態で手動用スプロケット35が回転すると、キャリアテープ80がテープ搬送路31に沿って搬送方向Xへ搬送される。
【0058】
自動用スプロケット37は、自動的にキャリアテープ80をテープ搬送路31に沿って搬送方向Xに送る回転体である。自動用スプロケット37は、略円板状に形成されており、カセットケース10に対して回転可能に支持されている。自動用スプロケット37は、テープ搬送路31におけるテープガイド50の舌部52よりも搬送方向X下流側(具体的には、部品供給位置P近傍)に配置されている。自動用スプロケット37は、カセットケース10に対してテープ搬送路31の下方に設けられた水平な支持軸を中心にして回転する。
【0059】
自動用スプロケット37は、径方向外側に向けて突出する外歯を有している。自動用スプロケット37の外歯は、キャリアテープ80の送り孔85の間隔に対応した角度間隔で複数設けられている。この外歯は、自動用スプロケット37の最上端付近に位置したときに、テープ搬送路31の貫通孔を通して上方へ突出する。外歯は、テープ搬送路31から上方へ突出した際にキャリアテープ80の送り孔85に係合する。また、自動用スプロケット37は、ギアを介して係合するモータが一駆動当たり所定角度だけ回転するように間欠駆動されることにより回転する。自動用スプロケット37の外歯がキャリアテープ80の送り孔85に係合した状態で自動用スプロケット37が回転すると、キャリアテープ80がテープ搬送路31に沿って搬送方向Xへピッチ送りされて搬送される。
【0060】
テープ排出部60は、ベーステープ81のキャビティ83から電子部品2が取り出されたキャリアテープ80をカセットケース10の外部へ排出する排出通路である。テープ排出部60は、カセットケース10内に設けられている。テープ排出部60は、カセットケース10内の前側(具体的には、部品供給位置Pよりも搬送方向X下流側)おいて上部から下部に延びるように配置形成されている。キャリアテープ80は、部品供給位置Pでベーステープ81のキャビティ83から電子部品2が取り出された後、ベーステープ81とカバーテープ82とがテープ幅方向他端部で互いに接着した状態のままテープ排出部60に案内されて、カセットケース10の下部から外部へ排出される。
【0061】
2.部品供給装置及びテープガイドの動作
部品供給装置1において、テープガイド50は、
図8に示す如く、作業者により舌部52に対して何ら外力Fが付与されていない常態時は、舌部52の先端部52aの先端高さが基準高さである状態にある。
【0062】
作業者は、部品供給装置1のテープ入口に挿入したキャリアテープ80の搬送方向X先端がテープガイド50の舌部52に達する前に、テープガイド50の開口部56aを通じて舌部52を上方から下方へ外力Fで押圧して、舌部52の先端部52aの先端高さを基準高さよりも低い位置へ移行させる。
【0063】
具体的には、作業者は、手動用ハンドル36を操作して手動用スプロケット35を回転させることで、部品供給装置1のテープ入口に挿入したキャリアテープ80を搬送方向Xへ搬送させながら、開口部56aに到達したキャリアテープ80の搬送方向先端を目視してベーステープ81とカバーテープ82との境界高さ位置やベーステープ81に対するカバーテープ82の状態などを確認する。そして、作業者は、上記の境界高さ位置などに合わせて、外力Fを付与すべき外力付与位置を舌部52の上面における目印表示部55のうちから選択し、その選択した位置に対して外力Fを付与して先端部52aの先端高さを基準高さよりも低くする。
【0064】
上記の外力Fの付与は、舌部52の対向部位52bがストッパ部54に当接するまで行われると共に、キャリアテープ80の搬送方向X先端のベーステープ81とカバーテープ82との間に舌部52の先端部52aが挿入されるタイミングまで、その当接状態が維持されるように継続される。
【0065】
例えば、上記の境界高さ位置が比較的高いことが確認されたときは、外力付与位置として「H」の目印表示部55の位置が選択され、その位置に対して外力Fが付与され、舌部52がストッパ部54の上段部54aHに当接する。また、上記の境界高さ位置が比較的低いことが確認されたときは、外力付与位置として「L」の目印表示部55の位置が選択され、その位置に対して外力Fが付与され、舌部52がストッパ部54の下段部54aLに当接する。舌部52がストッパ部54に当接している状態では、外力Fが更に大きくなっても、舌部52が更に下方へ位置移動することは規制される。
【0066】
外力F付与により舌部52がストッパ部54に当接した状態で手動用スプロケット35が更に回転されてキャリアテープ80が搬送方向Xへ搬送されると、キャリアテープ80の搬送方向X先端のベーステープ81とカバーテープ82との間に舌部52の先端部52aが挿入される。このため、ベーステープ81とカバーテープ82との境界高さ位置やベーステープ81に対するカバーテープ82の状態などが変化するときにも、その境界高さ位置などに合わせて舌部52の先端部52aの先端高さが変化されることで、キャリアテープ80の搬送方向X先端のベーステープ81とカバーテープ82との間への舌部52の先端部52aの挿入を適切に行うことができる。
【0067】
作業者は、キャリアテープ80の搬送方向X先端のベーステープ81とカバーテープ82との間にテープガイド50の舌部52の先端部52aが挿入された後、その舌部52の下方への外力F付与を解除する。かかる外力F付与が解除されると、舌部52が下方へ弾性変形した状態から元の略水平な状態に戻るように変形して先端部52aの先端高さが基準高さに戻る。
【0068】
上記の如く外力F付与の解除により舌部52の先端部52aの先端高さが基準高さに戻った状態で、手動用スプロケット35又は自動用スプロケット37の回転によりキャリアテープ80が搬送方向Xへ搬送されると、ベーステープ81とカバーテープ82との間に舌部52が挿入された状態が維持されつつ、刃部53がベーステープ81とカバーテープ82とが接着されているテープ幅方向一端部でその接着部に挿入される。このため、舌部52の先端部52aの先端高さが基準高さに戻った状態で、刃部53を用いてベーステープ81からカバーテープ82を剥離させることでベーステープ81のキャビティ83内の電子部品2を露出させることができる。
【0069】
このように、テープガイド50においては、ストッパ部54及び舌部52は、舌部52の上面における外力Fが付与される外力付与位置に応じて、舌部52の対向部位52bがストッパ部54に当接する際の舌部52の先端部52aの先端高さが変化するように形成されている。具体的には、舌部52(具体的には、対向部位52b)におけるストッパ部54に当接する下面は、平面状に形成されていると共に、ストッパ部54における舌部52が当接する上面は、階段状に形成されている。すなわち、ストッパ部54は、舌部52の一端側すなわち根元側から先端側にかけてストッパ部54の上面高さが段階的に低くなるように形成された階段部54aを有している。
【0070】
かかる構成においては、舌部52の上面における外力Fが付与される外力付与位置が舌部52の延在方向で変わることで、舌部52がストッパ部54に当接する際の舌部52の先端部52aの先端高さを上下に変化させることができる。このため、舌部52がストッパ部54に当接する際の舌部52の先端部52aの先端高さが一つに限定される構造と異なり、様々なキャリアテープ80に対応して舌部52の先端部52aの先端高さを変えることができるので、その先端部52aをベーステープ81とカバーテープ82との間に適切に挿入させることができる。
【0071】
また、上記した舌部52の先端部52aの先端高さの可変は、舌部52の上面に付与される外力Fの大きさを変えることによって実現されるものではなく、舌部52の上面における外力Fが付与される外力付与位置を舌部52の延在方向で変えつつその外力F付与によって舌部52が当接するストッパ部54の階段部54aの当接位置を変えることによって実現される。
【0072】
従って、舌部52を押し下げて弾性変形させる外力Fの大きさによらず、舌部52の先端部52aの先端高さを変化させることができるので、その先端高さを各高さ位置に安定して維持固定させることができる。このため、テープガイド50によれば、様々なキャリアテープ80に対応して舌部52の先端部52aをベーステープ81とカバーテープ82との間に精度良く適切に挿入させることができる。
【0073】
また、テープガイド50の舌部52の先端部52aは、キャリアテープ80のベーステープ81とカバーテープ82との間への挿入直前に基準高さよりも低い先端高さに位置されると共に、その挿入後は基準高さに戻される。かかる構成においては、舌部52の先端部52aの先端高さがキャリアテープ80のベーステープ81とカバーテープ82との間への挿入後も基準高さよりも低い状態に維持される構造に比べて、キャリアテープ80のベーステープ81とカバーテープ82との間への舌部52の先端部52aの挿入後、舌部52の先端部52aとベーステープ81のキャビティ83内の電子部品2との上下方向の高度差を大きくすることができる。このため、舌部52の先端部52aの角部に電子部品2が接触するのを抑えることができる。
【0074】
従って、テープガイド50によれば、キャリアテープ80の搬送方向X先端のベーステープ81とカバーテープ82との間に舌部52を適切に挿入させつつ、その挿入後に舌部52の先端部52aにベーステープ81のキャビティ83内の電子部品2が接触するのを抑制することができる。このため、舌部52の先端部52aがキャリアテープ80の搬送方向X先端のベーステープ81とカバーテープ82との間に挿入されかつ刃部53がベーステープ81からカバーテープ82を剥離してベーステープ81のキャビティ83内の電子部品2を露出させた後、その電子部品2に舌部52との接触に起因した傷が付くのを防止することができる。
【0075】
また、ストッパ部54は、ガイド本体部51の側壁部57の上部である。このため、ガイド本体部51とは別の部品を用意することなく簡易に、舌部52の位置移動を規制する構造を実現することができる。
【0076】
更に、舌部52の上面には、作業者により外力Fが付与される外力付与位置とその外力F付与により舌部52がストッパ部54に当接した際に先端部52aが達する先端高さとの対応関係を示した目印表示部55が付されている。このため、作業者に、舌部52が当接するストッパ部54が階段状に形成されてストッパ部54との当接時における舌部52の先端部52aの先端高さが上下に可変されることを間接的に知らせることができると共に、舌部52の先端部52aの先端高さを基準高さから所望の高さ位置へ移行させるうえで舌部52の上面のどこを押し下げたら良いかの指標を判り易く伝えることができる。従って、作業者がテープガイド50の舌部52を弾性変形させてキャリアテープ80のベーステープ81とカバーテープ82との間に挿入させるために舌部52の上面に外力Fを付与するうえで利便性を向上させることができる。
【0077】
3.変形形態
ところで、上記の実施形態においては、ベーステープ81にカバーテープ82が接着されてキャビティ83内の電子部品2がカバーテープ82で覆われた状態から、部品露出装置40の刃部53がベーステープ81とカバーテープ82との接着部に挿入されてベーステープ81からカバーテープ82を部分的に剥離することで、その電子部品2が露出することとしている。
【0078】
しかしながら、本開示は、これに限定されるものではなく、キャビティ83内の電子部品2を露出させるうえで、接着部においてカバーテープ82をベーステープ81から剥離させることなくカバーテープ82を開放させる構成に適用することとしてもよい。例えば、舌部52に設けられた刃部53がカバーテープ82をベーステープ81から剥離することに代えて、上下方向に刃を向けたカッタを用いてカバーテープ82をテープ幅方向に二分割して、キャビティ83内の電子部品2を露出させることとしてもよい。
【0079】
また、上記の実施形態においては、ストッパ部54における舌部52が当接する上面が階段状に形成されており、ストッパ部54が、三つの平面部からなる階段部54aを有することとしている。しかし、本開示は、これに限定されるものではなく、ストッパ部54が、二つ又は四つ以上の平面部からなる階段部54aを有することとしてもよい。
【0080】
また、上記の実施形態においては、舌部52の上面における外力付与位置に応じて、舌部52がストッパ部54に当接する際の舌部52の先端部52aの先端高さを変化させるうえで、舌部52におけるストッパ部54に当接する下面を平面状に形成すると共に、ストッパ部54における舌部52が当接する上面を階段状に形成することとしている。
【0081】
しかしながら、本開示はこれに限定されるものではなく、逆に、ストッパ部54における舌部52が当接する上面を平面状に形成すると共に、舌部52におけるストッパ部54の上面に当接する下面を階段状に形成することとしてもよい。この変形形態において、舌部52は、舌部52の根元側から先端側にかけて下面高さが段階的に高くなるように形成された階段部52cを有する。階段部52cは、
図14に示す如く、略水平な平面部が例えば上・中・下の三つ設けられるように形成される。これら三つの平面部は、上段側から順に、上段部52cH、中段部52cM、及び下段部52cLである。尚、階段部52cは、舌部52がストッパ部54に当接する対向部位52bに形成されればよい。
【0082】
上記の変形形態においては、外力Fが付与される外力付与位置が舌部52の根元側であるときは、舌部52は、下段部52cLがストッパ部54に当接するまで撓んで弾性変形することができ、その当接後は外力Fが更に大きくなってもそれを超えて下方へ撓むことはできない。この当接状態では、舌部52の先端部52aの先端高さは上段高さとなる。また、上記の外力付与位置が舌部52の根元側と先端側との中間であるときは、舌部52は、中段部52cMがストッパ部54に当接するまで撓んで弾性変形することができ、その当接後は外力Fが更に大きくなってもそれを超えて下方へ撓むことはできない。この当接状態では、舌部52の先端部52aの先端高さは中段高さとなる。更に、上記の外力付与位置が舌部52の先端側であるときは、舌部52は、上段部52cHがストッパ部54に当接するまで撓んで弾性変形することができ、その当接後は外力Fが更に大きくなってもそれを超えて下方へ撓むことはできない。この当接状態では、舌部52の先端部52aの先端高さは下段高さとなる。
【0083】
上記の変形形態においても、舌部52の上面における外力Fが付与される外力付与位置が舌部52の延在方向で変わることで、舌部52がストッパ部54に当接する際の舌部52の先端部52aの先端高さを上下に変化させることができ、これにより、上記の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0084】
また、上記の実施形態においては、舌部52の上面における外力付与位置に応じて、舌部52がストッパ部54に当接する際の舌部52の先端部52aの先端高さを変化させるうえで、舌部52におけるストッパ部54に当接する下面を平面状に形成すると共に、ストッパ部54における舌部52が当接する上面を階段状に形成することとしている。しかしながら、本開示はこれに限定されるものではなく、
図15に示す如く、舌部52におけるストッパ部54に当接する下面を平面状に形成すると共に、ストッパ部54における舌部52が当接する上面を舌部52の根元側から先端側にかけて円弧凸状に形成することとしてもよい。また逆に、ストッパ部54における舌部52が当接する上面を平面状に形成すると共に、舌部52におけるストッパ部54に当接する下面を舌部52の根元側から先端側にかけて円弧凸状に形成することとしてもよい。この構成においても、上記の変形形態と同様の効果を得ることができる。
【0085】
また、上記の実施形態においては、舌部52の上面に付与される外力Fが作業者による押圧力であるものとしている。しかしながら、本開示はこれに限定されるものではなく、
図16及び
図17に示す如く、テープガイド50が、舌部52の上面に付与する外力Fを発生するクランプ部58を備えることとしてもよい。
【0086】
上記の変形形態において、クランプ部58は、ストッパ部54と舌部52とを上下方向で挟持する力を上記の外力Fとして発生する。クランプ部58は、断面コの字状に形成されており、側壁部58aと、側壁部58aの下端から延びる下壁部58bと、側壁部58aの上端から延びて下壁部58bに対向する上壁部58cと、を有している。クランプ部58は、下壁部58bと上壁部58cとの間で弾性変形可能であり、下壁部58bと上壁部58cとが所定距離を超えて離れた場合に両壁部58b,58c同士を狭めるように弾性変形する。
【0087】
テープガイド50のガイド本体部51は、クランプ部58を舌部52の延在方向にスライド可能に保持するクランプガイド部57aを有している。クランプガイド部57aは、側壁部57に設けられており、舌部52の延在方向すなわち搬送方向Xに沿ってレール状に延びている。クランプガイド部57aは、舌部52の根元側から先端側にかけて位置が低くなるように傾斜して若しくは湾曲して形成されている。
【0088】
クランプ部58は、舌部52の延在方向にスライド可能に保持されている。クランプ部58の下壁部58bは、クランプガイド部57aの下側においてクランプガイド部57aに沿うように支持されている。また、クランプ部58の上壁部58cは、舌部52の上側において舌部52の上面に沿うように支持されている。クランプ部58は、下壁部58bと上壁部58cとの間で舌部52をストッパ部54に押し付けて舌部52とストッパ部54とを挟持する外力Fを発生する。
【0089】
舌部52の延在方向におけるクランプ部58が保持される保持位置が変化すると、クランプ部58により舌部52の上面に外力Fが付与される外力付与位置が変化して、舌部52が当接するストッパ部54の階段部54aの位置が変化し、舌部52がストッパ部54に当接する際の舌部52の先端部52aの先端高さが変化する。従って、かかる変形形態においても、上記の変形形態と同様の効果を得ることができる。
【0090】
尚、上記の変形形態においては、ストッパ部54及び舌部52が、舌部52の上面における外力Fが付与される外力付与位置に応じて、舌部52がストッパ部54に当接する際の舌部52の先端部52aの先端高さが変化するように形成されている。具体的には、ストッパ部54が階段部54aを有し、クランプ部58を用いて舌部52がストッパ部54の階段部54aに押し付けられるものとし、舌部52の延在方向におけるクランプ部58の保持位置が変化することで、舌部52が当接するストッパ部54の階段部54aの位置が変化するものとしている。
【0091】
しかしながら、本開示はこれに限定されるものではなく、舌部52が弾性変形時に当接するストッパ部54を設けることなく、舌部52の上面における外力Fが付与される外力付与位置に応じて、舌部52の先端部52aの先端高さが変化するものであってもよい。例えば
図18及び
図19に示す如く、テープガイド50が、舌部52の上面に舌部52を弾性変形させる外力Fを付与するクランプ部90を備えることとしてもよい。
【0092】
上記の変形形態において、クランプ部90は、断面コの字状に形成されており、側壁部90aと、側壁部90aの下端から延びる下壁部90bと、側壁部90aの上端から延びて下壁部90bに対向する上壁部90cと、を有している。クランプ部90は、下壁部90bと上壁部90cとの間で弾性変形することなくすなわち両壁部90b,90c間の距離が変わらないように構成されている。
【0093】
テープガイド50のガイド本体部51は、クランプ部58を舌部52の延在方向にスライド可能に保持するクランプガイド部57bを有している。クランプガイド部57bは、側壁部57に設けられており、舌部52の延在方向すなわち搬送方向Xに沿ってレール状に延びている。クランプガイド部57bは、舌部52の根元側から先端側にかけて位置が低くなるように傾斜して若しくは湾曲して形成されている。
【0094】
クランプ部90は、舌部52の延在方向にスライド可能に保持されている。クランプ部90の下壁部90bは、クランプガイド部57bの下側においてクランプガイド部57bに沿うように支持されている。また、クランプ部90の上壁部90cは、舌部52の上側において舌部52の上面に沿うように支持されている。クランプ部90の下壁部90bと上壁部90cとの離間距離は、弾性変形が生じていない常態時の舌部52の上面とクランプガイド部57bの下面との距離に比して小さくなるように設定されている。クランプ部90は、下壁部90bでクランプガイド部57bに支持されながら、上壁部90cで舌部52の上面に舌部52を弾性変形させる外力Fを付与する。クランプ部90が舌部52に付与する外力Fは、舌部52の弾性変形に伴う反力である。
【0095】
舌部52の延在方向におけるクランプ部90が保持される保持位置が変化すると、クランプ部90により舌部52の上面に外力Fが付与される外力付与位置が変化して、舌部52の先端部52aの先端高さが変化する。具体的には、舌部52の先端部52aの先端高さは、外力付与位置が舌部52の先端側になるほど低くなる。従って、かかる変形形態においても、上記の変形形態と同様の効果を得ることができる。
【0096】
更に、上記の実施形態においては、部品供給装置1が、本体がカセットケース10に覆われたカセット式テープフィーダである。しかし、本開示は、これに限定されるものではなく、部品供給装置1がカセット式テープフィーダ以外のテープフィーダに適用されることとしてもよい。
【0097】
尚、本開示は、上述した実施形態や変形形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0098】
1:部品供給装置、2:電子部品、10:カセットケース、20:テープ装填部、30:搬送装置、31:テープ搬送路、40:部品露出装置、50:テープガイド、51:ガイド本体部、52:舌部、52a:先端部、52b:対向部位、52c:階段部、53:刃部、54:ストッパ部、54a:階段部、55:目印表示部、56:上壁部、56a:開口部、57:側壁部、57a,57b:クランプガイド部、58:クランプ部、80:キャリアテープ、81:ベーステープ、82:カバーテープ、83:キャビティ、85:送り孔、90:クランプ部。