(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】油圧装置及び作動方法
(51)【国際特許分類】
F15B 11/00 20060101AFI20240418BHJP
【FI】
F15B11/00 V
(21)【出願番号】P 2023537993
(86)(22)【出願日】2022-09-13
(86)【国際出願番号】 JP2022034157
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】591105074
【氏名又は名称】株式会社ニチダイ
(74)【代理人】
【識別番号】110003155
【氏名又は名称】弁理士法人バリュープラス
(72)【発明者】
【氏名】前野 光義
(72)【発明者】
【氏名】上西 幸雄
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/179183(WO,A1)
【文献】特開2014-009805(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アキュムレータ、シリンダ、制御装置で制御される弁を備えた油圧回路によって作動する油圧装置であって、前記シリンダ
と前記アキュムレータ
の間を接続
する少なくとも2本の流路を設け、さらにこれら流路のうちの1本の途中箇所に前記アキュムレータに接続されたバイパスを設け、前記流路のそれぞれに前記制御装置により制御される弁をそれぞれ設けた油圧装置。
【請求項2】
アキュムレータ、シリンダ、制御装置で制御される弁を備えた油圧回路によって作動する油圧装置であって、前記シリンダ
と前記アキュムレータ
の間を接続
する少なくとも2本の流路を設け、さらにこれら流路のうちの1本の途中箇所に前記アキュムレータに接続されたバイパスを設け、前記流路のそれぞれに前記制御装置により制御される弁をそれぞれ設けた油圧装置の作動方法であって、シリンダストロークの下死点を迎える直前に前記弁により前記流路を前記アキュムレータに接続し、シリンダストロークの上死点に至る途中で前記弁により前記アキュムレータと前記シリンダとを前記バイパスを介して接続する油圧装置の作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長期に亘って安定動作が可能となると共に油圧装置全体の長寿命化を図ることができる油圧装置及びその作動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧回路、アキュムレータ、シリンダ、制御装置等で構成される油圧装置は、安定した大きな力を発生させることができるが、次のような問題があった。作動油の温度を上げ、作動油の参加、劣化の進行を早め、油圧機器、シール類の寿命を短くし、また、アキュムレータのガス温度上昇は封入ガス圧を上げ、成型力の精度を悪化させる。プレススライダの動きに合わせた成型時には、例えば鍛造設備に用いた場合の鍛造開始時の衝突サージ圧・離脱時の衝突荷重でシステム寿命を短くする。こうした課題を解決することで、長期に亘って安定動作が可能となると共に装置全体の長寿命化を図ることができる。
【0003】
従来、この既知の課題に対して様々なアプローチがなされており、例えば特許文献1(特開2014-9805号公報)においては、作動油の高温に対する対策と、衝撃抑制を図るべく、詳細には、衝撃抑制のためにアキュムレータを備えるとしても、アキュムレータに高温の作動油が蓄積されると、該アキュムレータの材質を劣化させて耐久寿命を短くすることになり、また、耐熱性を有した高価なアキュムレータを採用するとコスト高になるという問題を解決するために、次の構成を提案している。
【0004】
すなわち、特許文献1は、油圧アクチュエータと、該油圧アクチュエータから排出される油圧エネルギーを蓄積する一方、該蓄積した油圧エネルギーを油圧アクチュエータに供給するアキュムレータとを備えてなる作業機械の油圧回路において、アキュムレータへの作動油の流入油路に、アキュムレータの蓄圧容積に相当する容積を有する冷却用配管を配設し、該冷却用配管で冷却された作動油をアキュムレータに蓄積するというものである。
【0005】
ところで、油圧装置の用途は多岐に亘るが、例えば鍛造プレス装置の構成に用いられる場合、金型に働く力を強大かつ安定して付与する必要がある。この場合、高気密、高圧力下で作動油を流動させる必要があるので、極めて大きなサージ圧が発生し、また、発熱も大きい。
【0006】
したがって、特許文献1は、油圧ショベル等のシリンダ装置を駆動するための油圧装置に特化、つまりシリンダストロークの突没駆動に供されるものであって、作動油の高温化問題と衝撃問題とをそれぞれ別構成で解決する構成であると共に、1本の管を、つづら折り、螺旋状、あるいは複数に区画したり、冷却手段を構成に加えたりしていたので、装置構成が大型化し、安定して大きな力を付与し続ける場合の油圧装置では期待する効果をもたらすものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする問題は、従来の単路の作動油冷却路とアキュムレータを用いた特許文献1を含め従来の構成では、衝突サージ圧抑制の構成と、作動油の冷却構成が別個であるために、比較的大型化する点、および一連のシリンダストローク中における作動油の温度上昇抑制はできず、安定して大きな力を付与し続ける場合の油圧装置では効果が期待できないといった点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、アキュムレータ、シリンダ、制御装置で制御される弁を備えた油圧回路によって作動する油圧装置であって、前記シリンダと前記アキュムレータの間を接続する少なくとも2本の流路を設け、さらにこれら流路のうちの1本の途中箇所に前記アキュムレータに接続されたバイパスを設け、前記流路のそれぞれに前記制御装置により制御される弁をそれぞれ設けることとした。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、上記構成により、少なくとも2本流路とバイパスを設けることで、衝撃回避と高温化抑制を別々の回路で行う必要がなくなるので小型化され、また、シリンダストロークサイクルにおいて、シリンダストロークの上死点及び下死点に至るまでのシリンダ速度の調整が可能となると共に作動油を循環させて冷却することが可能となり、よって、衝突サージ圧を抑制の及び作動油の高温化による装置の破損、故障が抑制され、長期に亘って安定動作が可能となると共に油圧装置全体の長寿命化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の油圧装置における油圧回路構成を示す図である。
【
図2】本発明の油圧装置における、プレス待機時の作動油の流動を示す図である。
【
図3】本発明の油圧装置における、下死点までの作動油の流動を示す図である。
【
図4】本発明の油圧装置における、ラム上昇時の作動油の流動を示す図である。
【
図5】本発明の油圧装置における、上死点までの作動油の流動を示す図である。
【
図6】本発明の油圧装置における、ストローク長とカムの回転角度、さらにストローク速度の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、作動油冷却路とアキュムレータを別々に用いた構成による不具合を、シリンダと前記アキュムレータの間を接続する少なくとも2本の流路を設け、さらにこれら流路のうちの1本の途中箇所に前記アキュムレータに接続されたバイパスを設け、前記流路のそれぞれに前記制御装置により制御される弁をそれぞれ設けて改善した。
【0013】
上記構成の油圧装置は、本発明の作動方法、すなわち、シリンダストロークの下死点を迎える直前に前記弁により前記流路を前記アキュムレータに接続し、シリンダストロークの上死点に至る途中で前記弁により前記アキュムレータと前記シリンダとを前記バイパスを介して接続する手順によって動作する。
【0014】
本発明では、シリンダとアキュムレータの間を接続する少なくとも2本の流路を設け、さらにこれら流路のうちの1本の途中箇所に前記アキュムレータに接続されたバイパスは、シリンダ内におけるロッドの往動室、復動室を介した循環経路を形成している。
【0015】
この循環経路は、作動油をその経路を外部に露出させて冷却させるというだけでなく、制御装置に制御される弁により、所定のシリンダストロークを行わせる状況と、この状況から切り替えて減圧しておいた作動油を送ってシリンダストロークの減速させるために、使い分けられる。
【0016】
つまり、本発明の油圧装置は、上記のように使い分けられる前記排出路により、減圧した流路で作動油を冷却させることができ、かつ、シリンダストロークの下死点に至る前には前記減圧されると共に冷却された作動油を使うことで、衝突サージ圧を抑制し、かつ高圧による作動油の高温化も抑制することができる。なお、冷却回路のリリーフ弁は減圧弁の設定圧力より高くし、冷却時には油圧ポンプが無駄に吐出しないように工夫してある。
【実施例】
【0017】
以下、
図1~
図6を参照して本発明の具体的実施形態について説明する。本発明の油圧装置は、例えば本例では、上下シリンダS1,S2により該シリンダに対して突出(上昇)と没入(下降)を行う上下ラムP1,P2を有し、また、上下シリンダS1,S2への作動油の注入によって上下ラムP1,P2の上昇又は下降させる不図示のカムとこのカムの回転角度を検出するセンサを設けた閉塞鍛造プレスに用いられる。
【0018】
本実施例における油圧回路において使用される各部材は、次のとおりである。図示において、1は油圧ポンプ、2はアキュムレータ、3はアンプ、4は比例弁、5は減圧弁、6a,6bはリリーフ弁、7は冷却ポンプ、8a,8bは電磁弁、9はチェック弁、10a,10b,10c,10dはロジック弁、11はオリフィス、12は冷却器、13はタンク、14a、14bは絞り弁である。さらに、本実施例の油圧回路は、ロジック弁10a,10b,10c,10dを含めて弁やポンプなど全体の駆動制御を行う不図示の制御装置を備えている。
【0019】
本実施例の油圧装置は、上記各要素を用いて次の回路構成としている。上下シリンダS1,S2にそれぞれ該上下シリンダS1,S2で折り返される一方路L1a,L2aと他方路L1b,L2bの循環経路が形成されている。
【0020】
一方路L1a,L2a、他方路L1b,L2bの上下シリンダS1,S2側と反対側は冷却回路とされ、一方路L1a、L2aの流路途中にそれぞれリリーフ弁6a,6bが設けられ、また、一方路L1a,L2a、他方路L1b,L2bのそれぞれに逆止弁Ca,Cb,Cc,Cdが設けられている。
【0021】
さらに、冷却回路における逆止弁Ca,Cb,Cc,Cdを介した、一方路L1a,L2aには電磁弁8aが、他方路L1b,L2bには電磁弁8bが、それぞれ設けられている。
【0022】
これら電磁弁8a,8bにより、後述するとおり、プレス待機中は、冷却器12、オリフィス11を介してタンク13に作動油を戻し、タンク13からチェック弁9を介した冷却ポンプ7によって作動油を送る流路を介して、一方路L1a,L2aの循環路と、他方路L1b,L2bの循環路とにおける作動油の冷却回路を形成する。
【0023】
また、電磁弁8a,8bは、後述するとおり、ラム下降開始から上昇終了までは、上下シリンダS1,S2側への流通を遮断し、タンク13及びチェック弁9を介した戻り油を冷却ポンプ7によって作動油を送る流路と、オリフィス11を介してタンク13に作動油を戻す流路とを接続した回路を形成する。このとき、一方路L1a,L2aの循環路と、他方路L1b,L2bの循環路は、上下シリンダS1,S2におけるシリンダ作動回路とされる。
【0024】
シリンダ作動回路は、上シリンダS1の一方路L1a及び他方路L1bの途中部位にそれぞれアキュムレータ2に繋がれた作動路M1a,M1bが、下シリンダS2の一方路L2a及び他方路L2bの途中部位のそれぞれにはアキュムレータ2に繋がれた作動路M2a,M2bが接続されている。
【0025】
作動路M1a,M1b,M2a,M2bの各々の途中には、それぞれロジック弁10a,10b,10c,10dが設けられ、作動路M1a,M1b,M2a,M2bの各々は、これらロジック弁10a,10b,10c,10dを介した一方路L1a及び他方路L1b、一方路L2a及び他方路L2bとの接続端と反対側にて合流してアキュムレータ2に接続されている。
【0026】
本例において、上シリンダS1においては、一方路L1aと作動路M1a、及び他方路L1bと作動路M1bの2本、下シリンダS2においては、一方路L2aと作動路M2a、及び他方路L2bとM2bの2本、がそれぞれ本発明で言う「シリンダとアキュムレータの間を接続する少なくとも2本の流路」に相当する。
【0027】
また、作動路M1aと作動路M2aの、ロジック弁10a,10cに至る途中部位にはそれぞれ減圧路G1,G2が接続され、さらに、減圧路G1,G2の各々の途中位置にはチェック弁Gc1,Gc2がそれぞれ接続されている。
【0028】
減圧路G1,G2はチェック弁Gc1,Gc2を介した減圧路G1,G2における作動路M1a,M2aの接続側と反対側において合流し、減圧弁5を介して作動路M1a,M1b,M2a,M2bのアキュムレータ2に接続される合流路に接続されている。
【0029】
本例において、減圧路G1,G2が、「これら流路のうちの1本の途中箇所に前記アキュムレータに接続されたバイパス」に相当する。これら流路のうちの1本とは、本例では、シリンダS1における上記2本の「流路」のうちの一方路L1aと作動路M1aの1本について減圧路G1が、シリンダS2における上記2本の「流路」のうちの一方路L2aと作動路M2aの1本について減圧路G2が、接続されていることを意味する。
【0030】
さらに、前記の作動路M1a,M1b,M2a,M2bのアキュムレータ2に接続される合流路には、タンク13からの作動油をアンプ3及び比例弁4を介して設けた油圧ポンプ1によって所定圧力として送る注油路Iが接続されている。
【0031】
上記構成の油圧装置は、次のように動作する。
1(プレス待機時)
図2に示すように、成型圧を維持した状態の際にはシリンダ回路が冷却される。油圧ポンプ1により作動油はアキュムレータ2に蓄圧される。アキュムレータ2に蓄圧されるときの圧力は、比例弁4、アンプ3によって予め設定されている。
【0032】
本実施例において、上下ラムP1,P2の上シリンダS1、下シリンダS2には減圧弁5及びリリーフ弁6a,6bにより予め設定された低い圧力が供給され、低圧プリロード状態としている。減圧弁5の設定圧は、リリーフ弁6a,6bの設定圧よりも低くし、油圧ポンプ1によってアキュムレータ2へ送られる作動油を無駄に消費しないようにしている。
【0033】
一方、冷却回路は、冷却ポンプ7によりタンク13中の作動油を電磁弁8a,8bを経由し、それぞれ上シリンダS1、下シリンダS2と電磁弁8a,8bを介して形成された、タンク13から冷却ポンプ7を介して上下シリンダS1,S2に向かう他方路L1b,L2bと、冷却器12を介してタンク13へ向かう一方路L1a,L2aによる循環路で全体を冷却する。
【0034】
すなわち、電磁弁8a,8bをONにすると、他方路L1b,L2bに冷却ポンプ7からの流路が形成されると共に、一方路L1a,L2に冷却器12介してタンクへ戻る流路が形成される。作動油は、冷却ポンプ7の吸込部付近のチェック弁9の手前でオリフィス11により規制された一部の作動油がタンク13に戻され、大部分は冷却ポンプ7の吸い込みに戻される。このようにすることで、タンク13内での撹拌流量を少なくしてタンク13容量の小型化を図ることができる。
【0035】
2(成型初期:下死点まで)
図3に示すように、上下ラムP1,P2のストローク長において下死点に至るまでは、上下ラムP1,P2が上下シリンダS1,S2内で没入(以下、下降という)し、この上下ラムP1,P2の下降に合わせて上下シリンダS1,S2内の作動油が排出される。
【0036】
下死点に至る直前に、ロジック弁10a,10b(上シリンダS1)、ロジック弁10c,10d(下シリンダS2)により、作動油は、上下シリンダS1,S2からの排出油を一方路L1a,L2a及び他方路L2a,L2bから、作動路M1a,M1b,M2a,M2bを経由してアキュムレータ2に作動油が注入される経路に切り替わり、成型圧が確保されると共にラムP1,P2の下降速度が減速し、
図6に示すように下死点では速度が0となる。これにより下死点に至る衝突サージ圧は抑制される。
【0037】
一方、冷却回路では、電磁弁8a,8bをOFFとして、一方路L1a,L2a及び他方路L2a,L2bに至る流路を切断して、冷却ポンプ7からの流路を該電磁弁8a,8bで折り返して冷却器12介してタンク13へ戻る流路を形成する。
【0038】
3(成型中:ラム上昇中)
図4に示すように、上下ラムP1,P2のストローク長において下死点に至り、その後、成型のために上下ラムP1,P2が上下シリンダS1,S2内から突出(以下、上昇という)し、この上下ラムP1,P2の上昇に合わせて、ロジック弁10a~10dにより、アキュムレータ2に蓄圧された作動油を、作動路M1a,M1b,M2a,M2bを経由して一方路L1a,L2a及び他方路L2a,L2bのそれぞれから上下シリンダS1,S2内に注入し、上下ラムP1,P2を上昇させる。
【0039】
一方、冷却回路では、上記ラム下死点までの状態と同じく、電磁弁8a,8bをOFFとして、一方路L1a,L2a及び他方路L2a,L2bに至る流路を切断して、冷却ポンプ7からの流路を該電磁弁8a,8bで折り返して冷却器12介してタンク13へ戻る流路を形成する。
【0040】
4(成形後:上死点まで)
図5に示すように、下死点を経て上下ラムP1,P2のストローク長の上死点に至る直前の予め設定した位置に上下ラムP1,P2が上昇したことを図示しないカムに設けたセンサが検知すると、センサからのその旨の出力信号を受けてロジック弁10a~10dによりアキュムレータ2における蓄圧された作動油を上下シリンダS1,S2内へ注入するのを停止すると共に、減圧弁5によって低圧とした作動油を減圧路G1,G2を経由して、一方路L1a,L2aから注入する。
【0041】
上記タイミングでロジック弁10a~10dにより減圧弁5によって低圧とした作動油を減圧路G1,G2を経由して、一方路L1a,L2aから注入することで、上下シリンダS1,S2の戻り端を迎える際には、
図6に示すように、速度が減速され、これにより上死点に至る衝突サージ圧は抑制される。
【0042】
一方、冷却回路では、上記ラム下死点までの状態と同じく、電磁弁8a,8bをOFFとして、一方路L1a,L2a及び他方路L2a,L2bに至る流路を切断して、冷却ポンプ7からの流路を該電磁弁8a,8bで折り返して冷却器12介してタンク13へ戻る流路を形成する。
【0043】
図6には、上記1~4の動作を上下ラムP1,P2、例えば上ラムP1のストローク長とカムの回転角度、さらにストローク速度を示している。この
図6に示すように、本発明は、ラムの下死点に至る所定ポイントで、上記のとおり減速すなわち低圧化して下死点では、スライド速度が0.00m/secとなっている。
【0044】
図3を用いて上記を繰り返すと、本発明を実施した本例では、下死点に至る直前の所定ポイントで、上下シリンダS1,S2からの排出される作動油を、ロジック弁10a~10dを開いて、一方路L1a,L2a及び他方路L1b,L2bから作動路M1a,M1b,M2a,M2bを経由してフリーフローで通過させ、アキュムレータ2で吸収することで、減速、低圧化を図っている。
【0045】
また、上死点に至る際には、上死点に至る所定タイミングで、ロジック弁10a~10dを閉じて、待機時に予め減圧弁5によって低圧とした油で上下ラムP1,P2を戻すようにしている。
図6においては、スライドストロークの上死点では、スライド速度が0.00m/secとなっていることが示されている。
【0046】
このように、本発明構成とすることで、成型中の今油圧駆動に必要な作動油を、流路内で使い分けて循環させることができるので、油温の冷却も可能となり、また、衝突サージ圧の抑制が可能となり、これにより金型も長寿命化できる。
【0047】
さらに、本発明は、上記循環経路に冷却回路を設けているので、油圧駆動に必要な作動油を大気中で冷却させる一方、油圧駆動に今現在不要な作動油を冷却器12により積極的に冷却することが可能となる。なお、タンク13において作動油は循環している。また、このように今必要な作動油とそうでない作動油を大気中冷却と積極的な冷却とが可能なように分けているので、冷却回路で全ての作動油を冷却する必要がないのでタンクの小型化を図ることができ、ひいては全体構成の小型化が可能となる。
【符号の説明】
【0048】
1 油圧ポンプ
2 アキュムレータ
5 減圧弁
8a,8b 電磁弁
10a,10b,10c,10d ロジック弁
S1 上シリンダ
S2 下シリンダ
L1a,L2a 一方路
L1b,L2b 他方路
M1a,M1b,M2a,M2b 作動路
G1,G2 減圧路
【要約】
【課題】単路の作動油冷却路とアキュムレータを用いた構成では、衝突サージ圧抑制の構成と、作動油の冷却構成が別個であるために、比較的大型化する点、および一連のシリンダストローク中における作動油の温度上昇抑制はできず、安定して大きな力を付与し続ける場合の油圧装置では効果が期待できないといった点を改善する。
【解決手段】本発明の油圧装置は、シリンダの作動油排出側にアキュムレータに接続された少なくとも2本の流路を設け、さらにこれら流路のうちの1本の途中箇所にアキュムレータに接続されたバイパスを設け、流路のそれぞれに制御装置により制御される弁をそれぞれ設けた。
【効果】衝撃回避と高温化抑制を別々の回路で行う必要がなくなるので小型化され、シリンダストロークの上死点及び下死点に至るまでのシリンダ速度の調整が可能となると共に作動油を循環させて冷却することが可能となる。
【選択図】
図1