(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】ジョイント
(51)【国際特許分類】
F16G 15/04 20060101AFI20240418BHJP
【FI】
F16G15/04 A
(21)【出願番号】P 2024033498
(22)【出願日】2024-03-06
【審査請求日】2024-03-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】322006490
【氏名又は名称】酒井 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100140671
【氏名又は名称】大矢 正代
(72)【発明者】
【氏名】酒井 俊明
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-292853(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0000809(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有している環状のジョイント本体と、該ジョイント本体に取付けられており前記開口部を閉鎖している閉鎖部材と、を具備しているジョイントであって、
前記ジョイント本体は、
環状の中心を間にして前記開口部とは反対側の部位に設けられている取付部と、
前記開口部を間にした二つの端面それぞれから凹んでおり前記開口部と前記取付部とを結んだ方向へ貫通している第一凹部、及び、該第一凹部における前記端面よりも離れた部位から凹んでおり少なくとも前記取付部とは反対側へ開放されている第二凹部、を有している連結凹部と、を備え、
前記閉鎖部材は、
前記ジョイント本体の二つの前記端面同士を繋ぐように前記開口部に挿入されており、外表面が前記ジョイント本体における前記連結凹部が設けられている部位の外表面の延長面と一致している棒状の閉鎖部と、
該閉鎖部の両端からそれぞれ突出しており前記第一凹部に挿入されている第一凸部、及び、該第一凸部から突出しており前記第二凹部に挿入されている第二凸部、を有している連結凸部と、
前記閉鎖部から前記取付部へ延出していると共に先端が該取付部に取付けられている梁部と、
前記第一凸部と前記梁部とを繋いでおり、前記第一凸部と同一面上に設けられている補強片と、を備えている
ことを特徴とするジョイント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チェーンやロープを繋ぐためのジョイントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
チェーンやロープを繋ぐためのジョイントとして、金属棒を環状に湾曲させて、二つの端面同士の間に開口部を形成したもの(所謂「ワリカン」)が知られている。このワリカンを使用してチェーンを繋ぐ場合は、開口部からチェーンの輪を通した上で、二つの端面同士が対面するように接近させて開口部が閉じられるように変形させた後、端面同士を溶接して接合することによりチェーンを繋ぐことができる。
【0003】
しかしながら、ワリカンを使用する場合、溶接する必要があると共に、溶接後に溶接ビードを磨く必要があり、手間がかかるという問題があった。
【0004】
ところで、開口部を有しているC字型の本体と、開口部を閉鎖するように本体に取付けられているT字型の閉鎖部材と、を備えたジョイントが提案されている(特許文献1)。詳述すると、本体には、開口部を間にした両側の端部それぞれに外方へ突出した凸部が設けられていると共に、本体において開口部とは反対側の部位(C字型の中間部)で凹んでいる取付凹部が設けられている。一方、閉鎖部材には、本体の凸部が挿入される凹部を両端に有し開口部を閉鎖している棒状の閉鎖部が設けられていると共に、閉鎖部における中央から取付凹部内へ延出している棒状の梁部が設けられている。
【0005】
この特許文献1の技術によれば、本体の凸部と閉鎖部材の凹部との係合により、繋がれたチェーンによって本体が引っ張られた時に開口部の開きが阻止されると共に、本体の取付凹部に閉鎖部材の梁部の先端を挿入してピンで取付けることにより、本体からの閉鎖部材の抜けが阻止される。これにより、ワリカンと比較して、溶接する必要がなく、チェーンを容易に繋ぐことが可能である。
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術では、閉鎖部材の凹部が、本体の端部において突出している凸部を挿入させるものであるため、必然的に閉鎖部材における閉鎖部の外径が本体の端部の外径よりも大きくなっており、本体から閉鎖部材の閉鎖部が外方に突出している。そのため、本体から突出している閉鎖部が他の部材に引っ掛かる問題があると共に、ジョイントの外観が悪いという問題があった。
【0007】
そこで、本体においては、端部から所定範囲の外径を他の部位の外径よりも小さくすると共に、その端部の先端に他の部位の外径よりも小さく突出する凸部を設けた上で、閉鎖部材においては、閉鎖部の外径を本体における他の部位の外径と同じ大きさにすると共に凸部が挿入される凹部を設けることで、本体よりも閉鎖部が突出しないようにすることを想到し得る。しかしながら、この場合、凸部を設けた部位の外径が、元の外径よりも小さいため、繋いだチェーンにより引っ張られた時の強度が低下してしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、強度の低下を抑制しつつ外観が良いジョイントの提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明にかかるジョイントは、
「開口部を有している環状のジョイント本体と、該ジョイント本体に取付けられており前記開口部を閉鎖している閉鎖部材と、を具備しているジョイントであって、
前記ジョイント本体は、
環状の中心を間にして前記開口部とは反対側の部位に設けられている取付部と、
前記開口部を間にした二つの端面それぞれから凹んでおり前記開口部と前記取付部とを結んだ方向へ貫通している第一凹部、及び、該第一凹部における前記端面よりも離れた部位から凹んでおり少なくとも前記取付部とは反対側へ開放されている第二凹部、を有している連結凹部と、を備え、
前記閉鎖部材は、
前記ジョイント本体の二つの前記端面同士を繋ぐように前記開口部に挿入されており、外表面が前記ジョイント本体における前記連結凹部が設けられている部位の外表面の延長面と一致している棒状の閉鎖部と、
該閉鎖部の両端からそれぞれ突出しており前記第一凹部に挿入されている第一凸部、及び、該第一凸部から突出しており前記第二凹部に挿入されている第二凸部、を有している連結凸部と、
前記閉鎖部から前記取付部へ延出していると共に先端が該取付部に取付けられている梁部と、
前記第一凸部と前記梁部とを繋いでおり、前記第一凸部と同一面上に設けられている補強片と、を備えている」
ことを特徴とする。
【0011】
本構成のジョイントは、例えば、二つのチェーン同士を繋ぐ場合、ジョイント本体と閉鎖部材とが分離している状態で、二つのチェーンそれぞれの輪をジョイント本体の開口部から通した上で、開口部を間にして二つの端面が離隔している方向へ二つのチェーンを離隔させる。この状態で、閉鎖部材の連結凸部をジョイント本体の連結凹部に挿入させると共に、閉鎖部材における梁部の先端をジョイント本体の取付部に取付けて組立てる。これにより、ジョイント本体の開口部が、閉鎖部材の閉鎖部により閉鎖された状態となり、二つのチェーンを繋ぐことができる。一方、繋いだチェーンを取外せる仕様とした場合には、取付部と梁部の先端との取付けを解除してジョイント本体と閉鎖部材とを分離させることにより、チェーンを取外すことができる。
【0012】
本構成によれば、ジョイント本体と閉鎖部材とを組立てた状態では、ジョイント本体に設けられている二つの連結凹部に、閉鎖部材における閉鎖部の両端に設けられている連結凸部がそれぞれ挿入されている。これにより、連結凹部と連結凸部とが係合しているため、二つの端面同士が離れるような変形(開口部の開き)を阻止することができる。また、繋がれたチェーンによってジョイントが引っ張られたり捻じられた場合に、閉鎖部材を取外す方向には直接力がかかり難い構造であり、開口部が閉鎖部によって閉鎖されているため、ジョイント本体からチェーンが抜けることはない。
【0013】
また、組立てた状態では、閉鎖部の外表面が、ジョイント本体における連結凹部が設けられている部位の外表面の延長面と一致しているため、ジョイント本体と閉鎖部との間に段が無く、他の部材が引っ掛かる恐れがないと共に、ワリカンと同様の美観を有する外観の良いジョイントとすることができる。
【0014】
また、開口部を閉鎖している閉鎖部から延出している梁部の先端が、ジョイント本体における開口部とは反対側に設けられている取付部に取付けられているため、梁部によってジョイント本体の輪が二つに仕切られている。これにより、繋いでいるチェーン同士が接近して干渉し合うことが回避されている。
【0015】
更に、閉鎖部材において、連結凸部の第一凸部と梁部とを平板状の補強片で繋いでいるため、補強片によって第一凸部が補強されている。これにより、補強片によって連結凸部の強度を維持しつつ第一凸部の板厚を小さくすることが可能となる。一方、ジョイント本体側では、閉鎖部材における第一凸部の板厚を小さくするのに伴い、第一凸部が挿入される連結凹部の第一凹部も小さくすることが可能となる。そして、第一凹部を小さくすると、ジョイント本体における連結凹部が設けられている部位の肉厚が相対的に大きくなるため、当該部位における強度の低下を抑制させることが可能となる。このようなことから、閉鎖部材における連結凸部の第一凸部を適宜の板厚に設定することにより、ジョイント本体と閉鎖部との間に段差を生じさせることなく、連結凹部と連結凸部とによる連結強度の低下を抑制させることができる。
【0016】
ところで、特許文献1の技術において、本体よりも閉鎖部が突出しないように凸部と凹部とを形成する際に、閉鎖部材の凹部の部位の肉厚を薄くすると共に、凹部が設けられている部位に梁部と繋がる補強片を設けることにより、強度の低下を抑制させることが考えられる。しかしながら、この場合、閉鎖部材において凸部が通る空間が必要となることから、凸部よりも両外側の部位に補強片が設けられることとなるため、一つの補強片の板厚が薄くなり、本体の輪に挿入したチェーンが衝突すると破損し易い問題がある。また、二つの補強片の間に空間が形成されるため、その空間が他の部材との引っ掛かりとなる恐れがある。このような問題に対して、本構成のジョイントによれば、ジョイント本体に連結凹部を設けると共に、閉鎖部材に連結凸部を設けていることから、凹部を通るように補強片を一つ設ければ良いため、補強片を十分な強度を有する板厚とすることができ、チェーンが衝突しても破損し難い。また、補強片の部位に空間が形成されず、そして内側にあるため、他の部材が引っ掛かることはない。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、強度の低下を抑制しつつ外観が良いジョイントを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】(a)は第一実施形態のジョイントを正面側から示す斜視図であり、(b)は(a)のジョイントを背面側から示す斜視図であり、(c)は(a)のジョイントの分解斜視図である。
【
図2】(a)は第一実施形態のジョイントの平面図であり、(b)は(a)においてA-A線で切断して要部を示す拡大断面図であり、(c)は(a)においてB-B線で切断した拡大断面図であり、(d)は(a)においてC-C線で切断した拡大断面図である。
【
図3】(a)は
図1のジョイントにおける取付部と梁部との取付関係を示す説明図であり、(b)は(a)とは異なる取付部と梁部との取付関係を示す説明図であり、(c)は(a)及び(b)とは異なる取付部と梁部との取付関係を示す説明図であり、(d)は(a)~(c)とは異なる取付部と梁部との取付関係を示す説明図である。
【
図4】(a)は第二実施形態のジョイントの斜視図であり、(b)は(a)のジョイントの分解斜視図であり、(c)は(a)のジョイントの平面図である。
【
図5】(a)は第三実施形態のジョイントの斜視図であり、(b)は(a)のジョイントの分解斜視図である。
【
図6】(a)は第四実施形態のジョイントの分解斜視図であり、(b)は第五実施形態のジョイントの分解斜視図であり、(c)は第六実施形態のジョイントの分解斜視図である。
【
図7】(a)は第七実施形態のジョイントの分解斜視図であり、(b)は(a)のジョイントを組立てた状態で示す斜視図であり、(c)は(b)において取付部と梁部との取付部分を断面で示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の第一実施形態であるジョイント1について、
図1及び
図2を参照して詳細に説明する。ジョイント1は、C字型、すなわち開口部11を有している環状のジョイント本体10と、ジョイント本体10に取付けられており開口部11を閉鎖している閉鎖部材20と、を備えている。
【0020】
以下では、ジョイント本体10における開口部11を間にした二つの端面12同士が離隔している方向を第一方向、ジョイント本体10の環状の中心を間にして開口部11と開口部11とは反対側の部位とを結んだ方向を第二方向、第一方向及び第二方向と直交する方向を第三方向、と称して説明する(
図1(c)参照)。
【0021】
ジョイント本体10は、全体として、所定の線径の丸棒を二箇所においてU字状に湾曲させることにより全体をC字型にしたような形状である。ジョイント本体10は、環状の中心を間にして開口部11とは反対側の部位に設けられている取付部13と、二つの端面12それぞれにおいて凹んでいる連結凹部14と、取付部13へ向かってジョイント本体10を貫通している貫通孔15と、を備えている。貫通孔15は、取付部13における第一方向の中央において、第二方向へ貫通している。
【0022】
取付部13は、ジョイント本体10の外周面において内側を向いている面から第二方向へ凹んだ溝状に形成されている。取付部13の溝は、二つの端面12同士の間の距離よりも長く第一方向へ一定の幅で延出している。取付部13の第一方向の長さは、後述する二つの第一凹部14aそれぞれにおける第一方向の底同士の間の距離と同じである。
【0023】
連結凹部14は、それぞれの端面12から第一方向へ凹んでいると共に第二方向へ貫通している第一凹部14aと、第一凹部14aにおける端面12よりも離れた部位から第三方向へ凹んでいる第二凹部14bと、を有している。第一凹部14aは、第三方向の距離が、取付部13の溝の幅(第三方向の長さ)と同じである。第二凹部14bは、第一凹部14aを間にして第三方向の両側へ凹んでいる。本実施形態の第二凹部14bは、第二方向へは貫通しておらず、取付部13とは反対側へのみ開放されている。つまり、第二凹部14bの第二方向における取付部13に近い端部側は、堰部16により埋められている。この堰部16により、連結凹部14が設けられている部位の強度の低下が抑制されている。
【0024】
また、連結凹部14は、第二凹部14bにおけるジョイント本体10の外表面へ開放されている端部側と端面12とを繋ぐように凹んでいる第三凹部14cを有している。なお、連結凹部14では、第二凹部14bの内壁における端面12に近い側の壁を、第一凹部14aから離れるほど端面12に接近するように傾斜させたアリ壁14dとしている。
【0025】
閉鎖部材20は、棒状の閉鎖部21と、閉鎖部21の両端それぞれから突出している連結凸部22と、閉鎖部21から延出している梁部23と、梁部23と連結凸部22とを繋いでいる平板状の補強片24と、を有している。
【0026】
閉鎖部21は、ジョイント本体10の線径と同じ直径の円柱の棒状であり、ジョイント本体10における二つの端面12同士の間の距離と同じ長さである。
【0027】
連結凸部22は、閉鎖部21の両端面からそれぞれ延出している平板状の第一凸部22aと、第一凸部22aの先端から第一凸部22aの板面と交差する方向へ突出している第二凸部22bと、閉鎖部21と第二凸部22bとを繋ぐように第一凸部22aから突出している第三凸部22cと、を有している。
【0028】
第一凸部22aは、閉鎖部21の直径と同じ幅(第二方向の長さ)で第一方向へ突出している。また、第一凸部22aの板厚は、第一凹部14aにおける第三方向の距離と同じである。第一凸部22aの外形状は、第一凹部14aの内形状と一致している。
【0029】
第二凸部22bは、第一凸部22aにおける第二方向へ延びている先端辺に沿って、第一凸部22aの板面の両面からそれぞれ第三方向に突出している。この第二凸部22bは、第一凸部22aの先端辺において、梁部23側の端面は21の梁部側の端辺まで至らない長さに設けられている。従って、第二凸部22bは、梁部23側とは反対側の端部が閉鎖部21の外表面の延長面と一致しているのに対して、梁部23側の端面が閉鎖部21の外表面の延長面と一致していない。第二凸部22bの外形状は、第二凹部14bの内形状と一致している。
【0030】
第三凸部22cは、第二凸部22bにおける梁部23とは反対側の端部と、閉鎖部21とを繋ぐように設けられている。第三凸部22cの外形状は、第三凹部14cの内形状と一致している。この第三凸部22cにより、連結凸部22が補強されている。
【0031】
なお、連結凸部22では、第二凸部22bの外壁における閉鎖部21の端面と対面している壁を、第一凸部22aから離れるほど閉鎖部21に接近するように傾斜させたアリ壁22dとしている。この連結凸部22のアリ壁22dは、連結凹部14のアリ壁14dと対応するように設けられている。
【0032】
梁部23は、平板状に形成されていると共に、第一凸部22aと同一面上に設けられており、閉鎖部21の全長(第一方向の長さ)と同じ幅で閉鎖部21から第二方向へ延出している。梁部23の板厚は、第一凸部22aの板厚と同じであると共に、ジョイント本体10の取付部13の溝の幅(第三方向)と同じである。
【0033】
補強片24は、第一凸部22a及び梁部23と同一面上に設けられている。梁部23と補強片24の第一方向の長さは、閉鎖部材20をジョイント本体10に取付けた時に、ジョイント本体10の取付部13に挿入される長さである。従って、第一凸部22a、梁部23、及び補強片24は、互いに一体となって一枚の平板状に形成されている。従って、梁部23と補強片24の先端は、ジョイント本体10の取付部13に挿入させることが可能である。
【0034】
本実施形態では、一体の平板状となっている梁部23の先端と補強片24の先端とが、ジョイント本体10における取付部13の溝に挿入されることにより、ジョイント本体10に取付けられる。以下では、閉鎖部材20における取付部13に取付けられる部位を、単に「梁部23等の先端」と称して説明する。また、本実施形態では、取付部13の溝と梁部23等の先端とのはめあい公差を、ハンマーでの打込みや圧入が必要な「中間ばめ」又は「しまりばめ」の関係としている。なお、本実施形態では、
図3(a)に示すように、梁部23等の先端辺には面取りが施されており、取付部13の溝に挿入させ易くしている。
【0035】
また、本実施形態では、閉鎖部材20において、上述したように、補強片24によって第一凸部22aと梁部23とを繋いでいるため、補強片24により第一凸部22aが補強されている。これにより、補強片24によって連結凸部22の強度を維持しつつ第一凸部22aの板厚を小さくすることが可能となる。一方、ジョイント本体10側では、閉鎖部材20における第一凸部22aの板厚を小さくするのに伴い、第一凸部22aが挿入される連結凹部14の第一凹部14aも小さくすることが可能となる。そして、第一凹部14aを小さくすると、ジョイント本体10における連結凹部14が設けられている部位の肉厚が相対的に大きくなるため、当該部位における強度の低下を抑制させることが可能となる。このようなことから、本実施形態では、第一凸部22aの板厚は、ジョイント本体10における連結凹部14が設けられている部位が、十分な強度を有するような板厚に設定されている。
【0036】
なお、ジョイント1(ジョイント本体10及び閉鎖部材20)の材質としては、金属としても良いし、合成樹脂としても良いし、ナノセルロースとしても良い。
【0037】
続いて、ジョイント1の使用方法について説明する。例えば、二つのチェーン2(
図2(a)参照)同士を繋ぐ場合、ジョイント本体10と閉鎖部材20とが分離している状態で、二つのチェーン2それぞれの輪をジョイント本体10の開口部11から通した上で、開口部11を間にして第一方向へ離隔させる。この状態で、ジョイント本体10の開口部11よりも第二方向の外側の部位に、梁部23の先端をジョイント本体10側へ向けて閉鎖部材20を配置する(
図1(c)参照)。
【0038】
そして、閉鎖部材20の連結凸部22が、ジョイント本体10の連結凹部14に挿入されるように、第一凹部14aに梁部23及び補強片24を通過させ、梁部23及び補強片24の先端を取付部13の溝にハンマーでの打込みや圧入してジョイント本体10に閉鎖部材20を取付ける。この際に、閉鎖部材20における閉鎖部21の外表面が、ジョイント本体10における連結凹部14が設けられている部位の外表面の延長面と一致するまで、梁部23等の先端を挿入する。これにより、ジョイント本体10の開口部11が閉鎖部材20の閉鎖部21により閉鎖されて、ジョイント本体10に閉鎖部材20が組立てられた状態となり、二つのチェーン2が繋がれた状態となる。
【0039】
一方、繋いだチェーン2を外す場合は、貫通孔15に棒状の工具を挿入し、その工具を介して梁部23の先端を叩くことで、梁部23等の先端が取付部13の溝から抜けるように閉鎖部材20を移動させて、ジョイント本体10に対する閉鎖部材20の取付を解除させる。これにより、ジョイント本体10と閉鎖部材20とを分離させることができ、開放された開口部11を通してチェーン2を外すことができる。なお、取付部13の溝と梁部23等の先端とのはめあい公差を適宜に設定することにより、ワリカンと同様にジョイント1を破壊しないとチェーン2を外せない仕様にしたり、ジョイント1を破壊しなくてもチェーン2を外せる仕様にしたりすることができる。
【0040】
このように、本実施形態によれば、ジョイント本体10の取付部13の溝に、閉鎖部材20の梁部23等の先端をハンマーでの打込みや圧入することで、二つのチェーン2を繋ぐことができると共に、梁部23等の先端を取付部13の溝から抜くことで、繋がれたチェーン2を外すことができる。従って、従来のワリカンを使用した場合と比較して、チェーン2を繋ぐ際に溶接したり溶接ビードを磨いたりする必要はない。
【0041】
また、本実施形態によれば、ジョイント本体10と閉鎖部材20とを組立てた状態では、ジョイント本体10の二つの連結凹部14に、閉鎖部材20における閉鎖部21の両端の連結凸部22がそれぞれ挿入され、連結凹部14と連結凸部22とが係合しているため、ジョイント本体10と閉鎖部材20との間にガタツキがないと共に、繋がれたチェーン2によってジョイント本体10が第一方向へ引っ張られた時に、二つの端面12同士が離れるような変形(開口部11の開き)を阻止することができる。また、開口部11が閉鎖部21によって閉鎖されているため、ジョイント本体10からチェーン2が抜けることはない。
【0042】
更に、本実施形態によれば、組立てた状態では、閉鎖部21の外表面が、ジョイント本体10における連結凹部14が設けられている部位の外表面の延長面と一致しているため、ジョイント本体10と閉鎖部21との間に段が無く、他の部材が引っ掛かる恐れがない。
【0043】
また、本実施形態によれば、閉鎖部材20において閉鎖部21から延出している梁部23等の先端を、ジョイント本体10における開口部11とは反対側の取付部13に取付けているため、梁部23によってジョイント本体10の輪が二つに仕切られている。これにより、繋いでいるチェーン2同士が接近して干渉し合うことが回避されている。また、ジョイント本体10におけるU字状に湾曲している部位でチェーン2が接触するため、接触する部位がズレて片寄ることはなく、ズレによる衝撃荷重がかかり難い。
【0044】
更に、本実施形態によれば、閉鎖部材20における第一凸部22aの板厚を、ジョイント本体10における連結凹部14が設けられている部位が、十分な強度を有するような板厚に設定しているため、ジョイント本体10と閉鎖部21との間に段差を生じさせることなく、連結凹部14と連結凸部22とによる連結強度の低下を抑制させることができる。
【0045】
また、本実施形態によれば、ジョイント本体10に第一方向へ延びている取付部13を設けていると共に、取付部13に取付けられている閉鎖部材20の梁部23を平板状としているため、第一方向に延びている軸芯周りに対して捻じれ難い。更に、本実施形態では、取付部13及び梁部23等の先端それぞれの第一方向の長さを、二つの第一凹部14aそれぞれにおける第一方向の底同士の間の距離と同じとしており、二つの端面12同士の間の距離(開口部11の幅)よりも長くしているため、開口部11の幅よりも小さい場合と比較して、捻じれに対する強度を高めることができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、組立てた状態では、連結凹部14のアリ壁14dと、連結凸部22のアリ壁22dとが係合しているため、第一凹部14aが拡張する方向への変形を阻止することができる。
【0047】
また、本実施形態によれば、ジョイント1を、ジョイント本体10と閉鎖部材20との二つの部品のみで構成しているため、ジョイント1にかかるコストの増加を抑制させることができる。
【0048】
上記の実施形態では、ジョイント本体10の取付部13を平行な内面を有する溝とすると共に、閉鎖部材20の梁部23等の先端を平行な面を有する平板状としたものを示したが、これに限定するものではない。例えば、
図3(b)に示すように、取付部13の溝と梁部23等の先端との両方をテーパーにして、テーパー同士の嵌合によって取付けるようにしても良い。この場合でも、はめあい公差を適宜に設定することにより、チェーン2を外せない仕様にしたり、チェーン2を外せる仕様にしたりすることができる。或いは、
図3(c)に示すように、溝状の取付部13の内壁に複数の凹凸を形成すると共に、梁部23等の先端を先細りのテーパー状にして複数の爪を鎧戸状に形成し、内壁の凹凸と爪との係合により取付けるようにしても良い。また、
図3(d)に示すように、溝状の取付部13の内壁に開口側が狭くなるような段差を形成すると共に、梁部23等の先端を先細りのテーパー状にした上で外形を不連続にすることによって爪を形成し、段差の段と爪との係合により取付けるようにしても良い。
【0049】
次に、第一実施形態のジョイント1とは異なる実施形態について、
図4~
図7を参照して説明する。以下では、第一実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。まず、第二実施形態のジョイント1Aについて、
図4を参照して説明する。ジョイント1Aは、ジョイント本体10Aと、閉鎖部材20Aと、を備えている。
【0050】
ジョイント本体10Aは、第一方向の長さが、第一実施形態のジョイント1におけるジョイント本体10の第一方向の長さよりも短い。また、ジョイント本体10Aの取付部13は、第一方向の長さが開口部11を間にした二つの端面12同士の間の距離と同じである。なお、ジョイント本体10Aにおけるその他の構成については、第一実施形態のジョイント本体10と同じである。
【0051】
閉鎖部材20Aは、梁部23と第一凸部22aとを繋いでいる補強片24が、梁部23の先端側へ向かうほど、梁部23の側辺へ円弧状に接近するように設けられている。つまり、閉鎖部材20Aの補強片24は、閉鎖部21の近傍にのみ設けられており、梁部23の先端までは延出していない。なお、閉鎖部材20Aにおけるその他の構成については、第一実施形態の閉鎖部材20と同じである。
【0052】
第二実施形態のジョイント1Aによれば、第一実施形態のジョイント1と同様の作用効果を奏する。また、補強片24を梁部23の側辺に沿ってその先端まで延出させていないため、取付部13と閉鎖部21との間に架け渡される部位における第一方向の長さが、第一実施形態のジョイント1における該当部分の長さよりも短い。これにより、ジョイント本体10Aにおける第一方向の長さが短くても、チェーン2を通すための空間を確保することができ、第一方向の長さが短いチェーンに対応することができ、ワリカンと同様の美観を有する外観の良いジョイント1とすることができる。また、本実施形態によれば、例えば、「JIS F2016」に規格されているようなチェーン(ロングリンクチェーン)と同じ線径・外径(第一方向及び第二方向それぞれの長さ)にすることができるため、チェーン同士の接続に違和感がない。
【0053】
次に、第三実施形態のジョイント1Bについて、
図5を参照して説明する。ジョイント1Bは、ジョイント本体10Bと、閉鎖部材20Bと、を備えている。ジョイント本体10Bは、第二実施形態のジョイント本体10Aと同じである。
【0054】
閉鎖部材20Bは、第二実施形態の閉鎖部材20Aに対して、梁部23が閉鎖部21から円柱状に第二方向へ延出しており、その先端に取付部13の溝に挿入される平板状の挿入部25が設けられている。挿入部25は、取付部13の溝とのはめあい公差が、「中間ばめ」又は「しまりばめ」の関係に形成されている。なお、閉鎖部材20Bにおけるその他の部位の構成は、第二実施形態の閉鎖部材20Aと同じである。
【0055】
第三実施形態のジョイント1Bによれば、第二実施形態のジョイント1Aと同様の作用効果を奏する。また、ジョイント1Bによれば、梁部23が円柱状であるため、平板状のものよりも剛性が高められており、ジョイント1Aよりも強度が高い。
【0056】
次に、第四実施形態のジョイント1Cについて、
図6(a)を参照して説明する。ジョイント1Cは、ジョイント本体10Cと、閉鎖部材20Cと、取付ネジ30と、を備えている。ジョイント本体10Cは、取付部13に向かって第二方向へ貫通している貫通孔15において、取付部13(開口部11)とは反対側の部位に、貫通孔15の内径よりも大きい座グリ15aが設けられている。なお、ジョイント本体10Cにおけるその他の構成は、第一実施形態のジョイント本体10と同じである。
【0057】
閉鎖部材20Cは、梁部23の先端面に、取付ネジ30が螺合されるネジ孔26が設けられている。なお、閉鎖部材20Cにおけるその他の構成は、第一実施形態の閉鎖部材20と同じである。また、第四実施形態では、取付部13の溝と梁部23等の先端とのはめあい公差を、手で容易に抜き差しできるような「すき間ばめ」の関係としている。
【0058】
第四実施形態のジョイント1Cは、ジョイント本体10Cにおける取付部13の溝に、閉鎖部材20Cにおける梁部23等の先端を挿入した上で、貫通孔15を通して取付ネジ30をネジ孔26にねじ込んで締付けることにより、ジョイント本体10Cに閉鎖部材20Cを取付けることができる。この状態では、取付ネジ30の頭部が貫通孔15の座グリ15a内に位置しており、取付ネジ30の頭部がジョイント本体10Cの外表面から突出していない。従って、取付ネジ30に他の部材が引っ掛かる恐れはないと共に、ジョイント1Cの外観が悪化することはない。ジョイント本体10Cと閉鎖部材20Cとを分離させる場合は、取付ネジ30を外した上で、閉鎖部材20Cを取外す方向へ引っ張ることにより容易に分離させることができる。
【0059】
第四実施形態のジョイント1Cによれば、第一実施形態のジョイント1と同様の作用効果を奏する。また、取付ネジ30を回すドライバーが有れば、容易に組立てたり分解したりすることができる。
【0060】
次に、第五実施形態のジョイント1Dについて、
図6(b)を参照して説明する。ジョイント1Dは、ジョイント本体10Dと、閉鎖部材20Dと、取付ネジ31と、を備えている。ジョイント本体10Dは、取付部13へ向かったネジ孔17が、平板状の梁部23の板面に垂直な方向(第三方向)へ貫通している。このネジ孔17は、取付部13を通過した反対側へは貫通していない。なお、ジョイント本体10Dにおけるその他の構成は、第一実施形態のジョイント本体10と同じである。
【0061】
閉鎖部材20Dは、梁部23の先端側におけるジョイント本体10Dのネジ孔17と対応する部位に、止孔27が形成されている。止孔27の開口端には皿座グリ状の面取りが施されている。なお、閉鎖部材20Dにおけるその他の構成は、第一実施形態の閉鎖部材20と同じである。また、取付部13の溝と梁部23等の先端との関係は、手で容易に抜き差しできるような「すき間ばめ」の関係としている。取付ネジ31は、六角穴付き止ねじのようなイモネジである。
【0062】
第五実施形態のジョイント1Dは、ジョイント本体10Dにおける取付部13の溝に、閉鎖部材20Dにおける梁部23等の先端を挿入してネジ孔17と止孔27とを一致させた上で、ネジ孔17に取付ネジ31をねじ込んでその先端部分を梁部23の止孔27に挿入させる。これにより、梁部23が取付部13から抜ける方向への移動が規制され、ジョイント本体10Dに閉鎖部材20Dが取付けられた状態となる。この際に、取付ネジ31の一部がネジ孔17から突出しないようにねじ込んでおくことで、取付ネジ31に他の部材が引っ掛かる恐れはないと共に、ジョイント1Dの外観が悪化することはない。ジョイント本体10Dと閉鎖部材20Dとを分離させる場合は、取付ネジ31を外した上で、閉鎖部材20Dを取外す方向へ引っ張ることにより容易に分離させることができる。
【0063】
第五実施形態のジョイント1Dによれば、第一実施形態のジョイント1と同様の作用効果を奏する。また、取付ネジ31を回すための六角レンチのような工具が有れば、容易に組立てたり分解したりすることができる。
【0064】
次に、第六実施形態のジョイント1Eについて、
図6(c)を参照して説明する。ジョイント1Eは、ジョイント本体10Eと、閉鎖部材20Eと、テーパーピン32と、を備えている。ジョイント本体10Eは、取付部13へ向かって貫通している貫通孔15Eが、平板状の梁部23の板面に垂直な方向(第三方向)へ反対側まで貫通している。この貫通孔15Eは、テーパー孔である。なお、ジョイント本体10Eにおけるその他の構成は、第一実施形態のジョイント本体10と同じである。
【0065】
閉鎖部材20Eは、梁部23の先端側におけるジョイント本体10Eの貫通孔15Eと対応する部位に、第三方向へ貫通している貫通孔28が形成されている。この貫通孔28は、貫通孔15Eと一致させた時に、貫通孔15Eと連続するテーパー孔である。閉鎖部材20Eにおけるその他の構成は、第一実施形態の閉鎖部材20と同じである。また、取付部13の溝と梁部23等の先端との関係は、手で容易に抜き差しできるような「すき間ばめ」の関係としている。テーパーピン32は、ジョイント本体10Eの線径よりも長さが短い。
【0066】
第六実施形態のジョイント1Eは、ジョイント本体10Eにおける取付部13の溝に、閉鎖部材20Eにおける梁部23等の先端を挿入して貫通孔15Eと貫通孔28とを一致させた上で、貫通孔15Eにテーパーピン32を打込むように挿入する。これにより、梁部23が取付部13から抜ける方向への移動が規制され、ジョイント本体10Eに閉鎖部材20Eが取付けられた状態となる。この際に、テーパーピン32は、その長さがジョイント本体10Eの線径よりも短いため、ジョイント本体10Eの外表面から突出しておらず、テーパーピン32に他の部材が引っ掛かる恐れはないと共に、ジョイント1Eの外観が悪化することはない。ジョイント本体10Eと閉鎖部材20Eとを分離させる場合は、貫通孔15Eにテーパーピン32を挿入した側とは反対側から、棒状の工具を貫通孔15Eに挿入し、叩く等してテーパーピン32を抜いた上で、閉鎖部材20Eを取外す方向へ引っ張ることにより容易に分離させることができる。
【0067】
第六実施形態のジョイント1Eによれば、第一実施形態のジョイント1と同様の作用効果を奏する。また、貫通孔15Eにテーパーピン32を挿入しているため、テーパーピン32が貫通孔15Eから抜け難い。
【0068】
次に、第七実施形態のジョイント1Fについて、
図7を参照して説明する。ジョイント1Fは、ジョイント本体10Fと、閉鎖部材20Fと、ジョイント本体10Fから閉鎖部材20Fを取外すための工具33と、を備えている。ジョイント本体10Fの取付部13Fは、第二方向へ貫通した孔であり、その内部において内表面から内方に向かって突出している二つの突起13aを有している。二つの突起13aは、第二方向の中央において第一方向へ離隔して設けられている。なお、ジョイント本体10Fにおけるその他の構成は、第一実施形態のジョイント本体10と同じである。
【0069】
閉鎖部材20Fの梁部23は、その先端において第二方向と平行な両側辺から凹むように切欠かれている二つの切欠部23aと、切欠部23aにおける第一方向を向いている面から突出するように設けられている弾性爪23bと、弾性爪23bを収容可能に凹んでいる収容凹部23cと、を有している。切欠部23aは、第二方向に対して、取付部13における突起13aの第二方向の突出長さと同じ距離で切欠かれている。弾性爪23bは、梁部23の先端側から閉鎖部21へ向かうほど外方へ延出するように形成されている。弾性爪23bは、その先端と切欠部23aにおける第二方向を向いている面との間が、取付部13Fにおける突起13aの第二方向の長さと同じ距離となるように設けられている。
【0070】
なお、閉鎖部材20Fにおけるその他の構成は、第一実施形態の閉鎖部材20と同じである。また、取付部13Fの溝と梁部23等の先端との関係は、手で容易に抜き差しできるような「すき間ばめ」の関係である。
【0071】
工具33は、棒状の本体33aと、本体33aの両端から突出している二つの解除片33bと、を有している。二つの解除片33bは、梁部23先端の二つの切欠部23a同士の間隔と同じ間隔で離隔している。また、二つの解除片33bは、取付部13Fに梁部23等の先端を挿入した時に、取付部13Fの内表面と梁部23の切欠部23aの外表面とにより形成される空間と同じ形状にそれぞれが形成されている。
【0072】
第七実施形態のジョイント1Fは、ジョイント本体10Fにおける取付部13Fの孔に、閉鎖部材20Fにおける梁部23等の先端を挿入すると、弾性爪23bが取付部13Fの突起13aに接触し、梁部23の移動に伴って収容凹部23cへ収容されるように変形する。そして、梁部23の移動により弾性爪23bが突起13aを通り過ぎると、弾性爪23bが弾性力により収容凹部23cから突出して元の状態となる。この状態では、切欠部23aにおける第二方向を向いている面と弾性爪23bとの間に突起13aが位置していると共に、切欠部23aの当該面と弾性爪23bの先端とがそれぞれ突起13aに当接している。つまり、梁部23の第二方向への移動が規制された状態となる。これにより、梁部23が、取付部13Fに対して、これ以上挿入される方向への移動と、抜ける方向への移動とがそれぞれ規制されているため、ジョイント本体10Fに対して閉鎖部材20Fが取付けられた状態となる。
【0073】
ジョイント本体10Fから閉鎖部材20Fを取外す場合は、工具33の二つの解除片33bを、取付部13Fと梁部23における切欠部23aとの間に空間に挿入すると、弾性爪23bが解除片33bに押されて収容凹部23cに収容された状態となる。この状態で閉鎖部材20Fを取外す方向へ引っ張ると、取付部13Fから梁部23等の先端が抜けて、ジョイント本体10Fから閉鎖部材20Fを容易に分離させることができる。
【0074】
第七実施形態のジョイント1Fによれば、第一実施形態のジョイント1と同様の作用効果を奏する。
【0075】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0076】
例えば、上記の実施形態では、連結凹部14の第二凹部14bが堰部16により第二方向へは貫通しておらず取付部13とは反対側へのみ開放されているものを示したが、これに限定するものではなく、第二方向へ貫通して両側へ開放されているものとしても良い。この場合、連結凸部22では、連結凹部14に挿入して組立てた時に、第二凸部22bにおける梁部23側の端面が、ジョイント本体の外表面と同一面上となるように形成することが望ましい。これにより、ジョイントの外観を良くすることができる。
【0077】
また、上記の実施形態では、連結凹部14に第三凹部14cを設けると共に、連結凸部22に第三凸部22cを設けたものを示したが、これに限定するものではなく、第三凹部14c及び第三凸部22cが設けられていないものとしても良い。
【0078】
また、上記の実施形態では、取付部13の溝に梁部23等の先端を挿入してハンマーでの打込みや圧入やネジ等により取付けるものを示したが、これに限定するものではなく、取付部13を第一方向へ延出している面とすると共に、梁部23等の先端に取付部13の面に対して面接触する部位を設けた上で、取付ネジやイモネジなどにより梁部23を取付部13に取付けるようにしても良い。
【符号の説明】
【0079】
1~1F ジョイント
10~10F ジョイント本体
11 開口部
12 端面
13 取付部
14 連結凹部
14a 第一凹部
14b 第二凹部
15 貫通孔
20~20F 閉鎖部材
21 閉鎖部
22 連結凸部
22a 第一凸部
22b 第二凸部
23 梁部
24 補強片
【要約】
【課題】強度の低下を抑制しつつ外観が良いジョイントを提供する。
【解決手段】開口部11を有する環状のジョイント本体10と、閉鎖部材20とを具備しているジョイント1であり、ジョイント本体10には、開口部11とは反対側の部位に設けられている取付部13と、開口部11を間にした二つの端面12それぞれから凹んでいる第一凹部14a及び第一凹部14aから凹んでいる第二凹部14b、を有している連結凹部14と、を備え、閉鎖部材20には、開口部11に挿入されている棒状の閉鎖部21と、閉鎖部21の両端からそれぞれ突出している第一凸部22a及び第一凸部22aから突出している第二凸部22b、を有している連結凸部22と、閉鎖部21から延出しており先端が取付部13に取付けられている梁部23と、第一凸部22aと梁部23とを繋いでいる補強片24と、を備える。
【選択図】
図1