(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
F25B 47/02 20060101AFI20240419BHJP
【FI】
F25B47/02 510K
F25B47/02 570W
(21)【出願番号】P 2020055235
(22)【出願日】2020-03-26
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】福榮 貴史
(72)【発明者】
【氏名】吉田 泉
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-075767(JP,A)
【文献】特開2000-241006(JP,A)
【文献】特開2009-243814(JP,A)
【文献】特開2017-055475(JP,A)
【文献】特開2008-289248(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 47/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒が内部を流通する熱交換器と、
前記熱交換器の内部を流通する前記冷媒と熱交換する空気を発生させる送風機と、
前記熱交換器に冷媒を搬送する圧縮機と、
前記送風機により空冷される位置に配置され、前記圧縮機に交流電力を供給するインバータと、
前記送風機により空冷される位置に配置され、交流電源を直流電力に変換して、前記インバータに供給する昇圧機能を有するコンバータと、
前記インバータおよびコンバータを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記コンバータの目標出力電圧を設定する目標電圧設定部と、
前記目標電圧設定部の設定値に基づき、前記コンバータを駆動させるコンバータ駆動信号生成部と、
前記圧縮機の目標回転数を設定する目標回転数設定部と、
前記インバータの目標変調率を設定する目標変調率設定部と、
前記目標回転数設定部及び前記目標変調率設定部で設定された設定値に基づき、前記インバータを駆動させるインバータ駆動信号生成部と、
前記コンバータに入力される電流を検出する入力電流検出部と、
前記入力電流検出部での検出電流値が、入力電流制限値を超過しないようにする入力電流制限部と、
前記圧縮機に流れる電流を検出する圧縮機電流検出部と、
前記圧縮機電流検出部での検出電流値が、圧縮機電流制限値を超過しないようにする圧縮機電流制限部と、
を有し、
前記熱交換器の除霜運転において、
前記除霜運転開始後に、前記送風機を停止し、前記送風機の停止時間が所定時間経過後に、
前記圧縮機電流制限部の前記圧縮機電流制限値を
前記所定時間経過前より低くする設定、前記入力電流制限部の前記入力電流制限値を
前記所定時間経過前より低くする設定、
前記目標電圧設定部の設定電圧を
前記所定時間経過前より低くする設定、
前記目標変調率設定部の設定変調率を
前記所定時間経過前より高くする設定、
のうち、少なくとも1つの設定を、
前記送風機の停止時間が
前記所定時間経過後に実行する冷凍サイクル装置。
【請求項2】
前記圧縮機電流制限部は、前記圧縮機電流検出部で検出される電流値が、前記圧縮機電流制限値を超過した場合、前記圧縮機電流制限値未満となるまで、前記目標変調率設定部の目標変調率を高くし、前記目標変調率が最大設定値に到達すると、前記目標回転数設定部の設定回転数を低くする請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項3】
前記入力電流制限部は、前記入力電流検出部で検出される電流値が、前記入力電流制限値を超過した場合、前記入力電流制限値未満となるまで、前記目標変調率設定部の目標変調率を高くし、前記目標変調率が最大設定値に到達すると、前記目標回転数設定部の設定回転数を低くする請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍サイクル装置における除霜運転に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、冷媒回路の除霜運転を開示する。この除霜運転が実行されるフローチャートを、
図13に示す。
【0003】
ステップS1で暖房運転を開始する。ステップS2で室外熱交換器の温度が第1閾値以下であるか否かを判定する。第1閾値以下であれば、室外熱交換器に着霜したと判断してステップS3に進む。第1閾値よりも大きければステップS2を繰り返す。
【0004】
ステップS3では、圧縮機の上限電流を低くする。これにより、除霜運転開始時など電流値が低い場合には、上限電流値を気にせず、任意の圧縮機回転数で除霜運転を実行できる。
【0005】
一方、除霜運転の終了前など電流値が高い場合には、上限電流値未満になるまで圧縮機の回転数を低くして、電装品の温度上昇の抑制を図る。
【0006】
このように除霜運転において、電装品の冷却を兼ねる室外ファンを停止させる場合に、予め上限電流値を低くしておくことで、電装品の温度上昇を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示は、コンバータやインバータの電装品の冷却を兼ねる送風機の停止時間に基づいて、電流制限値や各種設定値を切換えることで、着霜状態に合わせた除霜運転を実行することにより、除霜性能を高めつつ、電装品の温度上昇も抑制できる冷凍サイクル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示における冷凍サイクル装置は、冷媒が内部を流通する熱交換器と、前記熱交換器の内部を流通する前記冷媒と熱交換する空気を発生させる送風機と、前記熱交換器に冷媒を搬送する圧縮機と、前記圧縮機に交流電力を供給するインバータと、交流電源を直流電力に変換して、前記インバータに供給する昇圧機能を有するコンバータと、前記インバータおよびコンバータを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記コンバータの目標出力電圧を設定する目標電圧設定部と、前記目標電圧設定部の設定値に基づき、前記コンバータを駆動させるコンバータ駆動信号生成部と、前記圧縮機の目標回転数を設定する目標回転数設定部と、前記インバータの目標変調率を設定する目標変調率設定部と、前記目標回転数設定部及び前記目標変調率設定部で設定された設定値に基づき、前記インバータを駆動させるインバータ駆動信号生成部と、前記コンバータに入力される電流を検出する入力電流検出部と、前記入力電流検出部での検出電流値が、入力電流制限値を超過しないようにする入力電流制限部と、前記圧縮機に流れる電流を検出する圧縮機電流検出部と、前記圧縮機電流検出部での検出電流値が、圧縮機電流制限値を超過しないようにする圧縮機電流制限部と、を有し、前記熱交換器の除霜運転において、前記圧縮機電流制限部圧縮機電流の制限値を所定時間経過前より低くする設定、前記入力電流制限部の入力電流制限値を所定時間経過前より低くする設定、前記目標電圧設定部の設定電圧を所定時間経過前より低くする設定、前記目標変調率設定部の設定変調率を所定時間経過前より高くする設定、のうち、少なくとも1つの設定を、前記送風機の停止時間が所定時間経過後に実行する。
【発明の効果】
【0010】
本開示における冷凍サイクル装置は、コンバータやインバータの電装品の冷却を兼ねる送風機の停止時間に基づいて、電流制限値や各種設定値を切換えることで、着霜状態に合わせた除霜運転を実行することにより、除霜性能を高めつつ、電装品の温度上昇も抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1における圧縮機駆動装置の概略図
【
図2】実施の形態1における冷凍サイクル装置を示す概略図
【
図3】実施の形態1における除霜運転中の入力電流制限値を切換えるフローチャート
【
図4】実施の形態1における除霜運転中の圧縮機電流制限値を切換えるフローチャート
【
図5】実施の形態1における除霜運転中の目標電圧を切換えるフローチャート
【
図6】実施の形態1における除霜運転中の目標変調率を切換えるフローチャート
【
図7】実施の形態1における入力電流を制限するフローチャート
【
図8】実施の形態1における圧縮機電流を制限するフローチャート
【
図9】実施の形態1における電流制限値の切替えと各種温度の時間変化を示す図
【
図10】(a)実施の形態1における切替える電流制限値による各種温度の時間変化を示す図(b)従来の冷凍サイクル装置の除霜運転における切替える電流制限値による各種温度の時間変化を示す図
【
図11】実施の形態1における目標電圧値の切替えと各種温度の時間変化を示す図
【
図12】実施の形態1における目標変調率の切替えと各種温度の時間変化を示す図
【
図13】従来の冷媒回路の除霜運転のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、冷媒回路において、暖房運転中より除霜運転中の上限電流値を低く設定することで、電装品の温度上昇を抑制している。
【0013】
しかしながら、着霜量が多く除霜完了までの時間が長い場合を想定して、上限電流値を低く設定すると、着霜量が少なく上限電流値を低くしなければ短時間で除霜運転が完了するような場合においても、必要以上に除霜運転完了までの時間が長くなってしまうという課題を発明者らは発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
□そこで本開示は、コンバータやインバータの電装品の冷却を兼ねる送風機の停止時間に基づいて、電流制限値や各種設定値を切換えることで、着霜状態に合わせた除霜運転を実行することにより、除霜性能を高めつつ、電装品の温度上昇も抑制できる冷凍サイクル装置を提供する。
【0014】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0015】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0016】
(実施の形態1)
[1-1.構成]
図1は、実施の形態1における圧縮機駆動装置の概略図、
図2は、実施の形態1における冷凍サイクル装置の概略図である。
【0017】
実施の形態1における冷凍サイクル装置は、少なくとも熱搬送用の冷媒が内部を流通する熱交換器21と、熱交換器21の内部を流通する冷媒と熱交換する空気を発生させる送風機22と、熱交換器21に冷媒を搬送するための圧縮機23と、を備えている。
【0018】
また、実施の形態1における冷凍サイクル装置は、送風機22により空冷される位置に配置され、圧縮機23に3相交流電力を供給して駆動させる複数のスイッチング素子で構成されるインバータ部4と、送風機22により空冷される位置に配置され、単相交流電源1からの交流電力を直流電力に変換してインバータ部4に供給する昇圧機能を有するダイオードやスイッチング素子で構成されるコンバータ部2と、を備えている。
【0019】
さらに、実施の形態1における冷凍サイクル装置は、コンバータ部2の目標出力電圧を設定する目標電圧設定部5と、目標電圧設定部5の設定値に基づきコンバータ部2を構成するスイッチング素子を駆動させるためにPWM信号などを生成するコンバータ駆動信号生成部6と、圧縮機23の目標回転数を設定する目標回転数設定部7と、インバータ部4の入出力電圧の比率で表される変調率の目標値を設定する目標変調率設定部8と、目標回転数設定部7及び目標変調率設定部8で設定された設定値に基づき、インバータ部4を構成する複数のスイッチング素子を駆動させるためにPWM信号などを生成するインバータ駆動信号生成部9と、コンバータ部2に入力される電流を検出する入力電流検出部10と、入力電流検出部10での検出電流値が設定される入力電流制限値を超過しないようにする入力電流制限部11と、圧縮機23に流れる電流を検出する圧縮機電流検出部12と、圧縮機電流検出部12での検出電流値が設定される圧縮機電流制限値を超過しないようにする圧縮機電流制限部13と、を有している。
【0020】
そして、実施の形態1における冷凍サイクル装置は、熱交換器21の除霜運転において、圧縮機電流制限部13の圧縮機電流制限値を所定時間経過前より低くする設定、入力電流制限部11の入力電流制限値を所定時間経過前より低くする設定、目標電圧設定部5の設定電圧を所定時間経過前より低くする設定、目標変調率設定部8の設定変調率を所定時間経過前より高くする設定、のうち、少なくとも1つの設定を、送風機22の停止時間が所定時間経過後に実行し、インバータ部4やコンバータ部2を制御するマイクロコンピュータ等で構成される制御部14を備えている。
【0021】
[1-2.動作]
以上のように構成された冷凍サイクル装置において、以下にその動作、作用を説明する。
【0022】
図3は除霜運転中に入力電流制限値を切換えるフローチャート、
図4は除霜運転中に圧縮機電流制限値を切換えるフローチャート、
図5は除霜運転中に目標電圧を切換えるフローチャート、
図6は除霜運転中に目標変調率を切換えるフローチャート、
図7は入力電流制限を実行するフローチャート、
図8は圧縮機電流制限を実行するフローチャートである。
【0023】
また、
図9、
図10は電流制限値の切替えと各種温度の時間変化を示す図である。
【0024】
まず入力電流制限値を切換える場合の動作説明を行う。
【0025】
図3に示すように、ステップSA1で暖房運転を開始し、ステップSA2で熱交換器21の配管温度より除霜運転開始の有無を判別する。熱交換器21の配管温度が除霜開始温度より高い場合は暖房運転を継続し、熱交換器21の配管温度が除霜開始温度以下となるとステップSA3にて除霜運転を開始する。
【0026】
除霜運転中はステップSA4において送風機22の停止時間が所定時間以上であるかを判別し、送風機22の停止時間が所定時間未満であれば、入力電流制限部11における入力電流制限値の切替えは行わず、送風機22の停止時間が所定時間以上になると、ステップSA5にて低い入力電流制限値に切替える。
【0027】
次に、ステップSA6にて入力電流が入力電流制限値以上であるかを判別し、入力電流制限値以上であれば、ステップSA7で入力電流の制限を実行する。そして、ステップSA8で熱交換器21の配管温度が除霜完了判別温度以上であるかを判別し、除霜完了判別温度未満であれば、ステップSA4に戻り処理を繰り返し、除霜完了判別温度以上であれば終了する。
【0028】
ここで、ステップSA7における入力電流の制限は、
図7に示すように、ステップSE1で、入力電流検出部10により入力電流の検出を行い、ステップSE2で検出電流値が入力電流制限値以下であるかを判別する。
【0029】
入力電流制限値を超過している場合は、ステップSE3において、目標変調率設定部8で設定される目標変調率が、設定可能な最大値未満であるかを判別し、最大変調率未満であれば、ステップSE4にて目標変調率設定部8で設定される目標変調率を高くし、最大変調率に到達している場合は、ステップSE5にて目標回転数設定部7で設定される目標回転数を低くする。
【0030】
そしてステップSE1に戻り処理を繰り返す。ステップSE2で入力電流制限値以下であれば終了する。
【0031】
このときの送風機22の駆動状態、入力電流制限値、電装品温度、配管温度の時間変化を
図9に示す。
【0032】
暖房運転中に熱交換器21の配管温度が除霜開始判別温度Tms以下に到達すると、除霜運転が開始され、送風機22が停止する。送風機22が停止しても、停止時間がt1未満であれば、入力電流制限値Ilim1は低い入力電流制限値に切替えない。
【0033】
そのため、除霜運転は促進され、熱交換器21の配管温度が速やかに上がるとともに、電装品温度の上昇も速まる。
【0034】
送風機22の停止時間がt1以上になると、入力電流制限値をIlim1から低い入力電流制限値Ilim2に切替える。これにより電装品温度の上昇を緩やかにする。
【0035】
ここで、入力電流制限値を切換える時間t1、入力電流制限値Ilim1、Ilim2の設定は、送風機22が停止する最大時間t2に基づいて、電装品温度が許容温度Tmk以下で、除霜運転が完了するように設定する。
【0036】
このように設定することで、例えば着霜量が少なく、同一入力電流制限値における除霜運転開始後の配管温度の上昇傾きが大きくなる場合、
図10(b)に示す従来技術のように、除霜運転開始後、すぐに入力電流制限値をIlim1からIlim3(Ilim1>Ilim3)へ切替える場合と比較して、本実施の形態の
図10(a)に示すように、送風機22の停止時間t1経過後に、入力電流制限値をIlim1からIlim2(Ilim1>Ilim2)へ切替える場合、送風機22の停止時間t1経過までは、入力電流制限値をIlim1とすることで、除霜時間をt4からt3に短縮でき、除霜性能を向上することができる。
【0037】
特に、着霜量が多い状態の発生頻度が低く、また配管温度センサの故障等なく正常動作が確保されている場合、除霜運転中の送風機22の停止時間がt1未満となる場合が大半であれば、除霜性能を高めつつ、着霜量が多い状態など除霜運転時間が想定する最大時間となる場合においても、電装品の温度を許容温度Tmk以下に収めることができる。
【0038】
ここで
図9、
図10では、暖房運転中と除霜運転中のt1未満の入力電流制限値を同一設定としているが、異なる設定にしても構わない。
【0039】
次に、圧縮機電流制限値を切換える場合の動作説明を行う。
図4に示すように、ステップSB1で暖房運転を開始し、ステップSB2で熱交換器21の配管温度より除霜運転開始の有無を判別する。
【0040】
熱交換器21の配管温度が除霜開始温度より高い場合は暖房運転を継続し、熱交換器21の配管温度が除霜開始温度以下となると、ステップSB3にて除霜運転を開始する。
【0041】
除霜運転中は、ステップSB4において、送風機22の停止時間が所定時間以上であるかを判別し、送風機22の停止時間が所定時間未満であれば、圧縮機電流制限値の切替えは行わず、送風機22の停止時間が所定時間以上になると、ステップSB5にて低い圧縮機電流制限値に切替える。
【0042】
次に、ステップSB6にて、圧縮機電流が圧縮機電流制限値以上であるかを判別し、圧縮機電流制限値以上であれば、ステップSB7で圧縮機電流の制限を実行する。
【0043】
そして、ステップSB8で、熱交換器21の配管温度が除霜完了判別温度以上であるかを判別し、除霜完了判別温度未満であれば、ステップSB4に戻り処理を繰り返し、除霜完了判別温度以上であれば終了する。
【0044】
ここで、ステップSB7における圧縮機電流の制限は
図8に示すように、ステップSF1で圧縮機電流検出部12により圧縮機電流の検出を行い、ステップSF2で検出電流値が制限値以下であるかを判別する。
【0045】
圧縮機電流制限値を超過している場合は、ステップSF3において、目標変調率設定部8で設定される目標変調率が設定可能な最大値未満であるかを判別し、最大変調率未満であれば、ステップSF4にて、目標変調率設定部8で設定される目標変調率を高くし、最大変調率に到達している場合は、ステップSF5にて目標回転数設定部7で設定される目標回転数を低くする。
【0046】
そしてステップSF1に戻り処理を繰り返す。ステップSF2で制限値以下であれば終了する。
【0047】
このときの送風機22の駆動状態、圧縮機電流制限値、電装品温度、配管温度の時間変化は、
図9、
図10に示す入力電流制限値の切替えの場合と同様であるため説明は省略する。
【0048】
次に目標電圧を切換える場合の動作説明を行う。
図5に示すように、ステップSC1で暖房運転を開始し、ステップSC2で熱交換器21の配管温度より除霜運転開始の有無を判別する。
【0049】
熱交換器21の配管温度が除霜開始温度より高い場合は暖房運転を継続し、熱交換器21の配管温度が除霜開始温度以下となると、ステップSC3にて除霜運転を開始する。
【0050】
除霜運転中はステップSC4において、送風機22の停止時間が所定時間以上であるかを判別し、送風機22の停止時間が所定時間未満であれば、目標電圧の切替えは行わず、送風機の停止時間が所定時間以上になると、ステップSC5にて低い目標電圧に切替える。
【0051】
次に、ステップSC6で、熱交換器21の配管温度が除霜完了判別温度以上であるかを判別し、除霜完了判別温度未満であれば、ステップSC4に戻り処理を繰り返し、除霜完了判別温度以上であれば終了する。
【0052】
このときの送風機22の駆動状態、目標電圧、電装品温度、配管温度の時間変化を
図11に示す。暖房運転中に熱交換器の配管温度が除霜開始判別温度Tms以下に到達すると、除霜運転が開始され送風機22が停止する。
【0053】
送風機22が停止しても停止時間がt1未満であれば、目標電圧DCV1は低い電圧に切替えない。送風機22の停止時間がt1以上になると、目標電圧をDCV1からそれより低い電圧DCV2に切替える。
【0054】
これにより、t1未満では目標電圧低下による圧縮機23の回転数低下を抑制することで除霜性能の低下を抑制できる。t1以上ではコンバータ部2の昇圧損失を抑制し、電装品の温度上昇を緩やかにすることができる。
【0055】
次に、目標変調率を切換える場合の動作説明を行う。
図6に示すように、ステップSD1で暖房運転を開始し、ステップSD2で熱交換器21の配管温度より除霜運転開始の有無を判別する。
【0056】
熱交換器21の配管温度が、除霜開始温度より高い場合は暖房運転を継続し、熱交換器21の配管温度が除霜開始温度以下となると、ステップSD3にて除霜運転を開始し、ステップSD4にて目標変調率を低くする。
【0057】
除霜運転中は、ステップSD5において、送風機22の停止時間が所定時間以上であるかを判別し、送風機22の停止時間が所定時間未満であれば、目標変調率の切替えは行わず、送風機22の停止時間が所定時間以上になると、ステップSD6にて高い目標変調率に切替える。
【0058】
次に、ステップSD7で熱交換器21の配管温度が除霜完了判別温度以上であるかを判別し、除霜完了判別温度未満であれば、ステップSD5に戻り処理を繰り返し、除霜完了判別温度以上であれば終了する。
【0059】
このときの送風機22の駆動状態、目標変調率、電装品温度、配管温度の時間変化を
図12に示す。
【0060】
暖房運転中に熱交換器21の配管温度が除霜開始判別温度Tms以下に到達すると、除霜運転が開始され送風機22が停止し、目標変調率をMR1と低くする。
【0061】
送風機22が停止しても、停止時間がt1未満であれば、目標変調率MR1は高い目標変調率に切替えない。
【0062】
送風機22の停止時間がt1以上になると、目標変調率をMR1からそれより高い目標変調率MR2に切替える。
【0063】
これによりt1未満では、モータ電流増加による圧縮機23を構成するモータでのヒーター効果により除霜性能が高まる。t1以上では目標変調率が高くなることで、モータ電流が減少し、電装品の温度上昇を緩やかにすることができる。
【0064】
[1-3.効果]
以上のよう実施の形態1における冷凍サイクル装置は、熱交換器21の除霜運転において、圧縮機電流制限部13の圧縮機電流制限値を所定時間経過前より低くする設定、入力電流制限部11の入力電流制限値を所定時間経過前より低くする設定、目標電圧設定部5の設定電圧を所定時間経過前より低くする設定、目標変調率設定部8の設定変調率を所定時間経過前より高くする設定、のうち、少なくとも1つの設定を、送風機22の停止時間が所定時間経過後に実行することで、除霜運転中の送風機22の停止時間に基づいて、圧縮機電流制限値、入力電流制限値、目標電圧設定値、目標変調率設定値のうち、少なくとも1つの設定を切替えることになり、これにより、除霜性能を高めつつ、電装品の温度上昇を抑制することができる。
【0065】
また、着霜状態が比較的軽い場合の除霜性能を高めつつ、着霜量が多い状態や配管温度センサの故障などで送風機22の停止時間が想定する最大時間となった場合でも、電装品の温度を許容範囲内に抑制した除霜運転を実現することができる。
【0066】
さらに、圧縮機電流制限部13は、圧縮機電流検出部12で検出される電流値が、圧縮機電流制限値を超過した場合、圧縮機電流制限値未満となるまで、目標変調率設定部8の目標変調率を高くし、目標変調率が最大設定値に到達すると、目標回転数設定部7の設定回転数を低くすることで、除霜運転中の冷媒の循環量を可能な限り維持でき、除霜性能の低下を抑制しながら、電装品の温度上昇を抑制することができる。
【0067】
さらに、入力電流制限部11は、入力電流検出部10で検出される電流値が、入力電流制限値を超過した場合、入力電流制限値未満となるまで、目標変調率設定部8の目標変調率を高くし、目標変調率が最大設定値に到達すると、目標回転数設定部7の設定回転数を低くすることで、除霜運転中の冷媒の循環量を可能な限り維持でき、除霜性能の低下を抑制しながら、電装品の温度上昇を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本開示は、除霜運転中の送風機の停止時間により、各種制限値や設定値を切替えるため、着霜状態に合わせて除霜性能を高めつつ、電装品の温度を許容範囲内に抑制した除霜運転を実現することができる。このため地域や季節により着霜状態が大きく異なる冷凍サイクル装置の除霜運転に適用可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 単相交流電源
2 コンバータ部
4 インバータ部
5 目標電圧設定部
6 コンバータ駆動信号生成部
7 目標回転数設定部
8 目標変調率設定部
9 インバータ駆動信号生成部
10 入力電流検出部
11 入力電流制限部
12 圧縮機電流検出部
13 圧縮機電流制限部
14 制御部
21 熱交換器
22 送風機
23 圧縮機