(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】ベルトコンベヤのスカート構造
(51)【国際特許分類】
B65G 21/20 20060101AFI20240419BHJP
B65G 15/08 20060101ALI20240419BHJP
【FI】
B65G21/20 B
B65G15/08 A
(21)【出願番号】P 2020060271
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2023-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】細川 正宏
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-221212(JP,A)
【文献】特開平11-299673(JP,A)
【文献】実開昭55-054223(JP,U)
【文献】特開2008-105823(JP,A)
【文献】特開2008-084819(JP,A)
【文献】米国特許第5048669(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/6403(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 21/20
B65G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送面が樋状に湾曲したベルトから搬送物が外側に漏れ出さないように、スカートを設けて前記ベルトに対向配置したベルトコンベヤのスカート構造であって、
前記スカートは、
前記ベルトの上方に配置すると共に、前記ベルトの幅方向に対向配置した一対のスカート板と、
前記スカート板の外面に対向配置した当て板と、
前記スカート板の外面と前記当て板で挟持し、前記ベルトの搬送面と前記スカート板の端縁の隙間を覆う平板状の第1スカートゴムと、を備え、
前記第1スカートゴムは、
前記スカート板の外面との摩擦抵抗を増加する凹凸状の襞を基端部側の両面に
形成し、
前記第1スカートゴムは、前記スカート板から交換容易に前記スカート板と別体で構成している、ベルトコンベヤのスカート構造。
【請求項2】
搬送面が樋状に湾曲したベルトから搬送物が外側に漏れ出さないように、スカートを設けて前記ベルトに対向配置したベルトコンベヤのスカート構造であって、
前記スカートは、
前記ベルトの上方に配置すると共に、前記ベルトの幅方向に対向配置した一対のスカート板と、
前記スカート板の外面に対向配置した当て板と、
前記スカート板の外面に保持し、前記ベルトの搬送面と前記スカート板の端縁の隙間を覆うL字状の第2スカートゴムと、を備え、
前記第2スカートゴムは、
前記スカート板の外面に沿って配置され、前記ベルトの搬送面に向かって垂設していると共に、前記スカート板の外面と前記当て板で挟持した垂直部と、
前記垂直部の基端部から略直角に屈曲し、前記ベルトの傾斜面に向かって延出した水平部と、を有し、
前記垂直部は、前記スカート板の外面との摩擦抵抗を増加する凹凸状の襞を両面に
形成し、
前記第2スカートゴムは、前記スカート板から交換容易に前記スカート板と別体で構成している、ベルトコンベヤのスカート構造。
【請求項3】
前記第2スカートゴムの水平部は、その端縁が前記ベルトの傾斜面に近接している、請求項2記載のベルトコンベヤのスカート構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトコンベヤのスカート構造に関する。特に、搬送面が樋状に湾曲したべルトから搬送物が外側に漏れ出さないように、スカートを設けてベルトに対向配置したベルトコンベヤのスカート構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、石炭などの搬送物を搬送するベルトコンベヤは、複数のローラに沿って張設された無端帯状のゴム製のベルトと、ベルトを駆動するモータなどの駆動部と、ベルトの上方に配置され、石炭などの搬送物が投入されるシュートと、を備えている。そして、シュートは、投入された搬送物をベルトに導入するための一対のスカートを下部に配置している。
【0003】
このようなスカートは、ベルトに沿って延びた状態で、シュートの下部に着脱自在に固定された帯状のゴム板、いわゆる、スカートゴムを備えている。一対のスカートゴムがプレート部材を介して、ベルトの両翼を囲うと共に、スカートゴムの先端縁をベルトの搬送面に近接配置することで、ベルトが駆動中に、搬送物がベルトの外側に漏れ出すことを抑制できる。
【0004】
しかし、従来のベルトコンベヤのスカート構造は、スカートゴムの先端縁とベルトの搬送面との隙間を小さくしているが、スカートゴムの先端縁をベルトに押し付ければ、スカートゴム又はベルトの摩耗が促進され、スカートゴム又はベルトの交換に多大な費用が発生するという不具合があった。一方、この隙間を大きくすると、特に、搬送物の粒度が小さい場合には、ベルトから搬送物が外側に漏れ出すという不具合があった。
【0005】
このような不具合に対して、スカートゴム又はベルトの摩耗を抑制し、かつ、搬送物の漏れ出しを防止するベルトコンベヤのスカート構造が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図5は、従来技術によるベルトコンベヤのスカート構造の構成を示す縦断面図である。
図6は、従来技術によるベルトコンベヤのスカート構造の要部の構成を示す縦断面図である。
【0008】
又、
図7は、従来技術によるベルトコンベヤのスカート構造の第1の作用を説明するための、要部を拡大した縦断面図である。
図8は、従来技術によるベルトコンベヤのスカート構造の第2の作用を説明するための、要部を拡大した縦断面図である。
【0009】
図5から
図8を参照すると、従来技術によるベルトコンベヤ9は、複数のローラRに沿って張設された無端帯状のゴム製のベルトBを備えている。ローラRは、中央ローラR1と一対の傾斜ローラR2・R2で構成している。中央ローラR1は、水平状態に配置されている。一対の傾斜ローラR2・R2は、中央ローラR1に向かって下り傾斜した状態で配置している(
図5参照)。
図6を参照すると、傾斜ローラR2は、中央ローラR1に対して、約35度の傾斜角度で配置されている。
【0010】
図5を参照して、水平状態に配置した中央ローラR1と下り傾斜した一対の傾斜ローラR2・R2でローラRを構成することで、ベルトBを樋状に湾曲できる。これにより、ベルトBで搬送される石炭などの搬送物CをベルトBの幅方向の中央部に集積できる。
【0011】
又、
図5を参照すると、ベルトコンベヤ9は、図示しないシュートの下部に固定した一対のスカート91・91を備えている。一対のスカート91・91は、シュートに投入された搬送物CをベルトBに導入できる。
【0012】
図5から
図8を参照すると、スカート91は、スカート板9bと板状のスカートゴム9sを備えている。スカート板9bは、側面部Sbとフランジ部9fを有している(
図5又は
図6参照)。一対の側面部Sb・Sbは、ベルトBの幅方向に互いに間隔を設けて対向配置されている。
【0013】
又、
図5又は
図6を参照すると、一対の側面部Sb・Sbは、ベルトBの上方に垂設している。フランジ部9fは、側面部Sbに対して略直角に屈曲している。一対のフランジ部9f・9fは、相反する向きに配置されている。一対のフランジ部9f・9fは、図示しないシュートの下部に着脱自在に固定できる。
【0014】
図5を参照すると、スカート板9bは、複数のアングル部材9aを備えている。アングル部材9aの一片は、その端部が溶接などで側面部Sbの外面に接合されている。複数のアングル部材9aは、スカート板9bの長手方向に沿って、相当数が適宜に配置されている。
【0015】
図5を参照すると、アングル部材9aの他片は、クランプ部材9cを支持している。クランプ部材9cは、V字状に開角したクランプ部91cを先端部に有している。クランプ部91cは、その基端部から軸部を延出している。クランプ部材9cは、その軸部をアングル部材9aの他片に挿入している。そして、コッタピンをクランプ部材9cの軸部に軸方向から圧入することで、クランプ部材9cをアングル部材9aの他片に支持できる。
【0016】
図5を参照すると、クランプ部91cは、スカート板9bの長手方向に沿って配置されている。又、スカート板9bは、クランプ部91cの長手方向に沿って配置された矩形の当て板9dを更に備えている。当て板9dは、スカート板9bの外面に対向配置されている。そして、スカートゴム9sは、当て板9dを介して、スカート板9bの側面部Sbとクランプ部91cで挟持されている。
【0017】
図5を参照すると、スカートゴム9sは、その先端縁が僅かな隙間を設けて、ベルトBの搬送面に近接している。これにより、ベルトBから搬送物Cが外側に漏れ出すことを抑制できる。しかし、ベルトコンベヤ9を一定期間、稼働していると、スカートゴム9sの先端縁が摩耗してくる。この場合、スカートゴム9sの先端縁がベルトBの搬送面に近接するように、スカートゴム9sの取り付け位置を再設定することは可能であるが、ベルトコンベヤ9を長期間、稼働していると、スカートゴム9sを交換する必要があった。
【0018】
又、
図5又は
図6を参照すると、スカート板9bの側面部Sbは、その端縁がベルトBの搬送面と所定の隙間を設けて配置されている。スカートゴム9sは、側面部Sbの端縁とベルトBの搬送面の隙間を覆っている。
【0019】
図7を参照すると、ベルトコンベヤ9を稼働時は、スカート板9bとベルトBの隙間において、スカートゴム9sは、搬送物Cに押されて、上側に移動する力が発生する(図中上向き矢印参照)。又、ベルトコンベヤ9を稼働時は、ベルトBがバウンドすることで、スカートゴム9sは、上側に移動する力が発生する(図中上向き矢印参照)。
【0020】
図7を参照して、ベルトBに対して、スカートゴム9sが上側に移動することで、スカートゴム9sの端縁とベルトBの搬送面と隙間が大きくなり、粒度の小さい粉砕炭などの搬送物Cpは、ベルトBから外側に漏れ出すという問題があった。
【0021】
又、
図8を参照して、スカート板9bに対して、スカートゴム9sが上側に移動することに伴って、スカート板9bとスカートゴム9sの間に、粒度の小さい粉砕炭などの搬送物Cpが進入し易くなる。そして、これに起因して、スカートゴム9sの損傷が進行、又は、粒度の小さい粉砕炭などの搬送物CpがベルトBから外側に漏れ出すという問題があった。
【0022】
特許文献1によるベルトコンベヤのスカート構造は、厚板からなる第1のスカートゴムと、第1のスカートゴムの外側に配置した薄板からなる第2のスカートゴムで構成している。第1のスカートゴムは、ベルトとスカート板の隙間を塞いでいる。第2のスカートゴムは、ベルトへ向けて垂下している。
【0023】
特許文献1によるベルトコンベヤのスカート構造は、第1のスカートゴムとベルトとの隙間から搬送物が漏れ出しても、第2のスカートゴムが隙間なくベルトに当接することで搬送物がベルトの外側に漏れ出すことを防止できる、としている。又、第2のスカートゴムを垂下させた状態でベルトに当接させることで、ベルトとの間の摩擦抵抗を抑制できる、としている。
【0024】
しかしながら、特許文献1によるベルトコンベヤのスカート構造は、スカート板に対して、スカートゴムが上側に移動することを抑制することが困難であり、搬送物がベルトから外側に漏れ出すことを抑制することが容易でないという問題がある。
【0025】
搬送面が樋状に湾曲したべルトから搬送物が外側に漏れ出さないように、スカートを設けてベルトに対向配置したベルトコンベヤのスカート構造であって、スカート板に対して、スカートゴムが上側に移動することを抑制するベルトコンベヤのスカート構造が求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0026】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、ベルトから搬送物が外側に漏れ出さないように、スカートを設けてベルトに対向配置したベルトコンベヤのスカート構造であって、スカート板に対して、スカートゴムが上側に移動することを抑制するベルトコンベヤのスカート構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明者は、樋状に窪んだベルトコンベヤに設け、搬送物の漏れ出しを防止するスカートゴムであって、スカートゴムをスカート板の外面と当て板で挟持し、スカートゴムの両面に、スカート板の外面との摩擦抵抗を増加する凹凸状の襞を形成することで、スカート板に対して、スカートゴムが上側に移動することを抑制できると考え、これに基づいて、以下のような新たなベルトコンベヤのスカート構造を発明するに至った。
【0028】
(1)本発明によるベルトコンベヤのスカート構造は、搬送面が樋状に湾曲したベルトから搬送物が外側に漏れ出さないように、スカートを設けて前記ベルトに対向配置したベルトコンベヤのスカート構造であって、前記スカートは、前記ベルトの上方に配置すると共に、前記ベルトの幅方向に対向配置した一対のスカート板と、前記スカート板の外面に対向配置した当て板と、前記スカート板の外面と前記当て板で挟持し、前記ベルトの搬送面と前記スカート板の端縁の隙間を覆う平板状の第1スカートゴムと、を備え、前記第1スカートゴムは、前記スカート板の外面との摩擦抵抗を増加する凹凸状の襞を基端部側の両面に形成している。
【0029】
(2)本発明によるベルトコンベヤのスカート構造は、搬送面が樋状に湾曲したベルトから搬送物が外側に漏れ出さないように、スカートを設けて前記ベルトに対向配置したベルトコンベヤのスカート構造であって、前記スカートは、前記ベルトの上方に配置すると共に、前記ベルトの幅方向に対向配置した一対のスカート板と、前記スカート板の外面に対向配置した当て板と、前記スカート板の外面に保持し、前記ベルトの搬送面と前記スカート板の端縁の隙間を覆うL字状の第2スカートゴムと、を備え、前記第2スカートゴムは、前記スカート板の外面に沿って配置され、前記ベルトの搬送面に向かって垂設していると共に、前記スカート板の外面と前記当て板で挟持した垂直部と、前記垂直部の基端部から略直角に屈曲し、前記ベルトの傾斜面に向かって延出した水平部と、を有し、前記垂直部は、前記スカート板の外面との摩擦抵抗を増加する凹凸状の襞を両面に形成している。
【0030】
(3)前記第2スカートゴムの水平部は、その端縁が前記ベルトの傾斜面に近接していることが好ましい。
【発明の効果】
【0031】
本発明によるベルトコンベヤのスカート構造は、ベルトの上方に配置すると共に、ベルトの幅方向に対向配置した一対のスカート板と、スカート板の外面に対向配置した当て板と、スカート板の外面と当て板で挟持し、ベルトの搬送面とスカート板の端縁の隙間を覆う平板状の第1スカートゴムと、を備え、第1スカートゴムは、スカート板の外面との摩擦抵抗を増加する凹凸状の襞を基端部側の両面に形成しているので、スカート板に対して、第1スカートゴムが上側に移動することを抑制できる。
【0032】
又、本発明によるベルトコンベヤのスカート構造は、ベルトの上方に配置すると共に、ベルトの幅方向に対向配置した一対のスカート板と、スカート板の外面に対向配置した当て板と、スカート板の外面に保持し、ベルトの搬送面とスカート板の端縁の隙間を覆うL字状の第2スカートゴムと、を備え、第2スカートゴムは、スカート板の外面と当て板で挟持した垂直部を有し、垂直部は、スカート板の外面との摩擦抵抗を増加する凹凸状の襞を両面に形成しているので、第2スカートゴムが上側に移動することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の第1実施形態によるベルトコンベヤのスカート構造の構成を示す縦断面図である。
【
図2】第1実施形態によるベルトコンベヤのスカート構造に備わる第1スカートゴムの構成を示す図であり、
図2(A)は、第1スカートゴムを正面側及び右側面側から観た斜視図、
図2(B)は、第1スカートゴムを正面側及び左側面側から観た斜視図、
図2(C)は、第1スカートゴムの右側面図である。
【
図3】本発明の第2実施形態によるベルトコンベヤのスカート構造の構成を示す縦断面図である。
【
図4】第2実施形態によるベルトコンベヤのスカート構造に備わる第2スカートゴムの構成を示す図であり、
図4(A)は、第2スカートゴムを正面側及び右側面側から観た斜視図、
図4(B)は、第2スカートゴムを正面側及び左側面側から観た斜視図、
図4(C)は、第2スカートゴムの右側面図である。
【
図5】従来技術によるベルトコンベヤのスカート構造の構成を示す縦断面図である。
【
図6】従来技術によるベルトコンベヤのスカート構造の要部の構成を示す縦断面図である。
【
図7】従来技術によるベルトコンベヤのスカート構造の第1の作用を説明するための、要部を拡大した縦断面図である。
【
図8】従来技術によるベルトコンベヤのスカート構造の第2の作用を説明するための、要部を拡大した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0035】
[第1実施形態]
(ベルトコンベヤのスカート構造の構成)
最初に、本発明の第1実施形態によるベルトコンベヤのスカート構造の構成を説明する。なお、従来技術で付した符号と同じ符号を付した構成品は、その作用を同じにするので以下説明を省略することがある。
【0036】
図1を参照すると、本発明の第1実施形態によるベルトコンベヤ10は、複数のローラRに沿って張設された無端帯状のゴム製のベルトBを備えている。水平状態に配置した中央ローラR1と下り傾斜した一対の傾斜ローラR2・R2でローラRを構成することで、ベルトBを樋状に湾曲している。
【0037】
図1を参照すると、ベルトコンベヤ10は、図示しないシュートの下部に固定した一対のスカート1・1を備えている。一対のスカート1・1は、シュートに投入された石炭などの搬送物CをベルトBに導入できる。
【0038】
図1を参照すると、スカート1は、スカート板1bと平板状の第1スカートゴム1sを備えている。スカート板1bは、側面部Sbとフランジ部1fを有している。一対の側面部Sb・Sbは、ベルトBの幅方向に互いに間隔を設けて対向配置されている。又、一対の側面部Sb・Sbは、ベルトBの上方に垂設している。フランジ部1fは、側面部Sbに対して略直角に屈曲している。一対のフランジ部1f・1fは、相反する向きに配置されている。一対のフランジ部1f・1fは、図示しないシュートの下部に着脱自在に固定できる。
【0039】
図1を参照すると、スカート板1bは、複数のアングル部材9aを備えている。アングル部材9aの一片は、その端部が溶接などで側面部Sbの外面に接合されている。複数のアングル部材9aは、スカート板1bの長手方向に沿って、相当数が適宜に配置されている。
【0040】
図1を参照すると、アングル部材9aの他片は、クランプ部材9cを支持している。クランプ部材9cは、V字状に開角したクランプ部91cを先端部に有している。クランプ部91cは、その基端部から軸部を延出している。クランプ部材9cは、その軸部をアングル部材9aの他片に挿入している。そして、コッタピンをクランプ部材9cの軸部に軸方向から圧入することで、クランプ部材9cをアングル部材9aの他片に支持している。
【0041】
図1を参照すると、クランプ部91cは、スカート板1bの長手方向に沿って配置されている。又、スカート板1bは、クランプ部91cの長手方向に沿って配置された矩形の当て板1dを更に備えている。当て板1dは、スカート板1bの外面に対向配置されている。そして、第1スカートゴム1sは、当て板1dを介して、スカート板1bの側面部Sbとクランプ部91cで挟持されている。
【0042】
又、
図1を参照すると、スカート板1bの側面部Sbは、その端縁がベルトBの搬送面と所定の隙間を設けて配置されている。第1スカートゴム1sは、側面部Sbの端縁とベルトBの搬送面の隙間を覆っている。
【0043】
図2を参照すると、第1スカートゴム1sは、凹凸状の襞Coを基端部側の両面に形成している。これらの襞Coは、第1スカートゴム1sの長手方向に沿って延びている。襞Co付きの第1スカートゴム1sをスカート板1bの側面部Sbとクランプ部91cで挟持することで、スカート板1bの外面との摩擦抵抗を増加できる(
図1参照)。
【0044】
(ベルトコンベヤのスカート構造の作用)
次に、第1実施形態によるベルトコンベヤのスカート構造の作用及び効果を説明する。
図1を参照すると、スカート1は、ベルトBの上方に配置すると共に、ベルトBの幅方向に対向配置した一対のスカート板1b・1bと、スカート板1bの外面に対向配置した当て板1dと、スカート板1bの外面と当て板1dで挟持し、ベルトBの搬送面とスカート板1bの端縁の隙間を覆う平板状の第1スカートゴム1sと、を備えている。
【0045】
図1又は
図2を参照すると、第1スカートゴム1sは、スカート板1bの外面との摩擦抵抗を増加する凹凸状の襞Coを基端部側の両面に形成しているので、スカート板1bに対して、第1スカートゴム1sが上側に移動することを抑制できる。
【0046】
図1又は
図2を参照して、第1スカートゴム1sは、
図7に示すように、搬送物Cに押されて、上側に移動する力が発生しても、スカート板1bの外面との摩擦抵抗を増加する凹凸状の襞Coを基端部側の両面に形成しているので、スカート板1bに対して、第1スカートゴム1sが上側に移動することを抑制できる。そして、第1スカートゴム1sが上側に移動することを抑制できるので、第1スカートゴム1sの端縁とベルトBの搬送面の隙間が拡がることを抑制でき、搬送物Cの漏れ出しを制限できる。
【0047】
又、
図1又は
図2を参照して、スカート板1bに対して、第1スカートゴム1sが上側に移動することが抑制できるので、スカート板1bと第1スカートゴム1sの間に、粒度の小さい粉砕炭などの搬送物Cpが進入し難くなる(
図8参照)。これにより、第1スカートゴム1sの損傷が進行することを防止でき、搬送物Cの漏れ出しを制限できる。
【0048】
[第2実施形態]
(ベルトコンベヤのスカート構造の構成)
次に、本発明の第2実施形態によるベルトコンベヤのスカート構造の構成を説明する。なお、第1実施形態で付した符号と同じ符号を付した構成品は、その作用を同じにするので以下説明を省略することがある。
【0049】
図3を参照すると、本発明の第2実施形態によるベルトコンベヤ20は、複数のローラRに沿って張設された無端帯状のゴム製のベルトBを備えている。水平状態に配置した中央ローラR1と下り傾斜した一対の傾斜ローラR2・R2でローラRを構成することで、ベルトBを樋状に湾曲している。
【0050】
図3を参照すると、ベルトコンベヤ20は、図示しないシュートの下部に固定した一対のスカート2・2を備えている。一対のスカート2・2は、シュートに投入された石炭などの搬送物CをベルトBに導入できる。
【0051】
図3を参照すると、スカート2は、スカート板1bとL字状の第2スカートゴム2sを備えている。スカート板1bは、側面部Sbとフランジ部1fを有している。一対の側面部Sb・Sbは、ベルトBの幅方向に互いに間隔を設けて対向配置されている。又、一対の側面部Sb・Sbは、ベルトBの上方に垂設している。フランジ部1fは、側面部Sbに対して略直角に屈曲している。一対のフランジ部1f・1fは、相反する向きに配置されている。一対のフランジ部1f・1fは、図示しないシュートの下部に着脱自在に固定できる。
【0052】
図3を参照すると、スカート板1bは、複数のアングル部材9aを備えている。アングル部材9aの一片は、その端部が溶接などで側面部Sbの外面に接合されている。複数のアングル部材9aは、スカート板1bの長手方向に沿って、相当数が適宜に配置されている。
【0053】
図3を参照すると、アングル部材9aの他片は、クランプ部材9cを支持している。クランプ部材9cは、V字状に開角したクランプ部91cを先端部に有している。クランプ部91cは、その基端部から軸部を延出している。クランプ部材9cは、その軸部をアングル部材9aの他片に挿入している。そして、コッタピンをクランプ部材9cの軸部に軸方向から圧入することで、クランプ部材9cをアングル部材9aの他片に支持している。
【0054】
又、
図3を参照すると、スカート板1bの側面部Sbは、その端縁がベルトBの搬送面と所定の隙間を設けて配置されている。第2スカートゴム2sは、側面部Sbの端縁とベルトBの搬送面の隙間を覆っている。
【0055】
図3又は
図4を参照すると、第2スカートゴム2sは、垂直部Vaと水平部Haを有している。垂直部Vaは、スカート板1bの外面に沿って配置され、ベルトBの搬送面に向かって垂設している(
図3参照)。水平部Haは、垂直部Vaの基端部から略直角に屈曲し、ベルトBの傾斜面に向かって延出している(
図3参照)。一対の水平部Ha・Haは、相反する向きに延出している(
図3参照)。
【0056】
図4を参照すると、第2スカートゴム2sの垂直部Vaは、凹凸状の襞Coを基端部側の両面に形成している。これらの襞Coは、第2スカートゴム2sの長手方向に沿って延びている。襞Co付きの第2スカートゴム2sの垂直部Vaをスカート板1bの側面部Sbとクランプ部91cで挟持することで、スカート板1bの外面との摩擦抵抗を増加できる(
図3参照)。
【0057】
[ベルトコンベヤのスカート構造の作用]
次に、第2実施形態によるベルトコンベヤのスカート構造の作用及び効果を説明する。
図3を参照すると、スカート2は、ベルトBの上方に配置すると共に、ベルトBの幅方向に対向配置した一対のスカート板1b・1bと、スカート板1bの外面に保持され、ベルトBとスカート板1bの隙間を覆うL字状の第2スカートゴム2sを備えている。そして、第2スカートゴム2sは、ベルトBの搬送面に向かって垂設した垂直部Vaと、ベルトBの傾斜面に向かって延出した水平部Haと、を有している。又、水平部Haは、その端縁がベルトBの傾斜面に近接している。
【0058】
図3を参照すると、第2実施形態によるベルトコンベヤのスカート構造は、ベルトBの搬送面とスカート板1bの端縁の隙間に搬送物Cが進入してくると、搬送物Cに押されて、第2スカートゴム2sの水平部Haが上側に屈曲する。これにより、ベルトBの傾斜面と第2スカートゴム2sの水平部Haの端縁が離間することで、ベルトB及び第2スカートゴム2sの水平部Haの磨耗を低減できる。
【0059】
図3を参照すると、このように、第2実施形態によるベルトコンベヤのスカート構造は、第2スカートゴム2sの水平部Haが搬送物Cにより上側に押されても、水平部Haの端縁がベルトBから離れる方向に変形でき、ベルトBへの接触を低減できる。これにより、第2スカートゴム2s及びベルトBの摩耗を抑制できる。
【0060】
又、
図3を参照すると、第2実施形態によるベルトコンベヤのスカート構造は、搬送物Cの外側への力Pが分散されるため、第2スカートゴム2sへ掛かる力を抑制できる。これにより、第2スカートゴム2sの摩耗を抑制できる。更に、第2実施形態によるベルトコンベヤのスカート構造は、搬送物Cに押されて、ベルトBの傾斜面と第2スカートゴム2sの水平部Haの端縁が離間するので、第2スカートゴム2sの端縁とベルトBの間に、搬送物Cが食い込むことを抑制できる。又、第2スカートゴム2sの垂直部Vaは、後述するように、上側に移動することが抑制されているので、ベルトBの傾斜面と第2スカートゴム2sの水平部Haの端縁が必要以上に離間することを防止できる。
【0061】
又、
図3を参照すると、スカート2は、ベルトBの上方に配置すると共に、ベルトBの幅方向に対向配置した一対のスカート板1b・1bと、スカート板1bの外面に対向配置した当て板1dと、スカート板1bの外面と当て板1dで挟持し、ベルトBの搬送面とスカート板1bの端縁の隙間を覆うL字状の第2スカートゴム2sと、を備えている。
【0062】
図3を参照すると、第2スカートゴム2sは、スカート板1bの外面と当て板1dで挟持した垂直部Vaを有し、垂直部Vaは、スカート板1bの外面との摩擦抵抗を増加する凹凸状の襞Coを両面に形成しているので(
図4参照)、第2スカートゴム2sが上側に移動することを抑制できる。
【0063】
図3又は
図4を参照して、第2スカートゴム2sは、
図7に示すように、搬送物Cに押されて、上側に移動する力が発生しても、スカート板1bの外面との摩擦抵抗を増加する凹凸状の襞Coを垂直部Vaの両面に形成しているので、スカート板1bに対して、第2スカートゴム2sが上側に移動することを抑制できる。そして、第2スカートゴム2sが上側に移動することを抑制できるので、第2スカートゴム2sの端縁とベルトBの搬送面の隙間が拡がることを抑制でき、搬送物Cの漏れ出しを制限できる。
【0064】
又、
図3又は
図4を参照して、スカート板1bに対して、第2スカートゴム2sが上側に移動することが抑制できるので、スカート板1bと第2スカートゴム2sの垂直部Vaの間に、粒度の小さい粉砕炭などの搬送物Cpが進入し難くなる(
図8参照)。これにより、第2スカートゴム2sの損傷が進行することを防止でき、搬送物Cの漏れ出しを制限できる。
【0065】
第2実施形態によるベルトコンベヤのスカート構造は、第2スカートゴムの磨耗を抑制するために、第2スカートゴムをL形に形成してもよく、L形の第2スカートゴムを底面側から覆うL型鋼板を追加してもよく、L形の第2スカートゴムを底面側から覆う延長部を有するスカート板を用いることもできる。
【0066】
本発明によるベルトコンベヤのスカート構造は、石炭などの搬送物が投下されるシュートの下部に設置することができる。又、本発明によるベルトコンベヤのスカート構造は石炭などの搬送物を搬送するベルトコンベヤに設置してもよく、この場合、ベルトコンベヤの幅方向に一対の側壁を設け、これらの側壁を利用して、ベルトコンベヤの全長に亘り、スカートを設置することもできる。
【符号の説明】
【0067】
1 スカート
1b スカート板
1d 当て板
1s 第1スカートゴム
10 ベルトコンベヤ
B ベルト
C 搬送物
Co 襞