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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】ジャイロスコープシステム
(51)【国際特許分類】
   H03F 1/26 20060101AFI20240419BHJP
   H03F 3/45 20060101ALI20240419BHJP
   H03F 1/56 20060101ALI20240419BHJP
   G01C 19/5776 20120101ALI20240419BHJP
【FI】
H03F1/26
H03F3/45
H03F1/56
G01C19/5776
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021545864
(86)(22)【出願日】2020-03-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-23
(86)【国際出願番号】 JP2020010038
(87)【国際公開番号】W WO2020195752
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-09-02
(31)【優先権主張番号】16/361,675
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】リプカ ロナルド ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ラウト サロジェ
【審査官】▲高▼橋 徳浩
(56)【参考文献】
【文献】特開昭50-010538(JP,A)
【文献】特開2012-052961(JP,A)
【文献】特開2013-150274(JP,A)
【文献】実開昭52-079843(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C19/00-G01C19/72
H03F1/00-H03F3/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微小電子機械システムジャイロスコープと、前記微小電子機械システムジャイロスコープに接続された電子回路を含むジャイロスコープシステムであって、前記電子回路は、電流バッファと、前記電流バッファに結合されたトランスインピーダンス増幅器と、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、第1の抵抗器Aと、第1の抵抗器Bと、を含み、前記電流バッファの反転入力端子が、前記第1の抵抗器Aの一端と接続され、前記電流バッファの非反転入力端子が、前記第1の抵抗器Bの一端と接続され、前記第1のトランジスタは、ソースが前記電流バッファの前記反転入力端子に接続されて、ドレインが前記トランスインピーダンス増幅器の反転入力端子に接続され、ゲートが前記電流バッファの出力に接続されており、前記第2のトランジスタは、ソースが前記電流バッファの前記非反転入力端子に接続されて、ドレインが前記トランスインピーダンス増幅器の非反転入力端子に接続され、ゲートが前記電流バッファの出力に接続されており、前記第1の抵抗器Aの他端がアースに接続され、前記第1の抵抗器Bの他端がアースに接続され、前記微小電子機械システムジャイロスコープは、前記第1の抵抗器Aの一端および前記第1の抵抗器Bの一端に接続され、前記電流バッファが、前記微小電子機械システムジャイロスコープと前記トランスインピーダンス増幅器の間に設けられることにより、前記微小電子機械システムジャイロスコープ内の負荷を前記トランスインピーダンス増幅器から隔離するように構成された、ジャイロスコープシステム。
【請求項2】
第3の抵抗器Aと第3の抵抗器Bを含み、前記第3の抵抗器Aは、一端が前記トランスインピーダンス増幅器の出力と接続され他端が前記トランスインピーダンス増幅器の反転入力端子と接続され、前記第3の抵抗器Bは、一端が前記トランスインピーダンス増幅器の出力と接続され他端が前記トランスインピーダンス増幅器の非反転入力端子と接続された、請求項1に記載のジャイロスコープシステム。
【請求項3】
前記電子回路の入力側のインピーダンスと前記電子回路の出力側のインピーダンスが異なる、請求項1に記載のジャイロスコープシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
少なくとも1つの例示的実施形態は、微小電子機械システムジャイロスコープのための電子回路に関し、より詳細には、電流バッファの後にトランスインピーダンス増幅器を有する微小電子機械システムジャイロスコープのための電子回路に関し、電流バッファは、微小電子機械システムジャイロスコープの負荷をトランスインピーダンス増幅器から隔離する。
【背景技術】
【0002】
微小電子機械システム(MEMS)ジャイロスコープのための従来の電子回路は、抵抗器フィードバックアーキテクチャ(図1)を有する単一オペアンプと、調整共通ゲート(RCG)入力を備えた開ループトランスインピーダンス増幅器アーキテクチャ(図2)とを有する。
【0003】
しかしながら、単一オペアンプアーキテクチャにおいて、最大トランスインピーダンス増幅器利得は、MEMS ASIC(特定用途向け集積回路)の信号対ノイズ比(SNR)を小さくするMEMSの容量性負荷によって制限される。更に、単一オペアンプアーキテクチャは、過度の電力を消費する。
【0004】
調整共通ゲート入力を有する開ループトランスインピーダンス増幅器アーキテクチャでは、入力容量性負荷効果は最小にされるが、トランスインピーダンス増幅器利得は正確ではない。即ち、利得は、トランジスタ出力インピーダンスにある程度依存する。
【0005】
したがって、低い入出力インピーダンスと正確な利得を有する極めて低ノイズで高利得帯域幅のトランスインピーダンス増幅器を作成する微小電子機械システムジャイロスコープのための電子回路を実現することが急務である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第9,804,190号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様により、微小電子機械システムジャイロスコープのための電子回路が提供される。電子回路は、電流バッファ、電流バッファと結合されたトランスインピーダンス増幅器、及び複数のトランジスタを含みうる。電流バッファの反転入力端子と電流バッファの非反転入力端子は、複数の第1の抵抗器と接続されうる。電流バッファの反転入力端子は、複数のトランジスタのうち1つのトランジスタのソースと接続されてもよく、電流バッファの非反転入力端子は、複数のトランジスタのうち別のトランジスタのソースと接続されてもよい。複数の第1の抵抗器はアースに接続されうる。電流バッファは、微小電子機械システムジャイロスコープ内の負荷をトランスインピーダンス増幅器から隔離するように構成されうる。
【0008】
電子回路において、電流バッファの反転入力端子と電流バッファの非反転入力端子が、複数の第2の抵抗器と接続されうる。
【0009】
電子回路内で、トランスインピーダンス増幅器の反転入力端子とトランスインピーダンス増幅器の非反転入力端子は、複数の第3の抵抗器と接続されうる。
【0010】
電子回路内で、トランスインピーダンス増幅器の反転入力端子が、複数のトランジスタのうち1つのトランジスタのドレインと接続されてもよく、トランスインピーダンス増幅器の非反転入力端子が、複数のトランジスタのうち別のトランジスタのドレインと接続されてもよい。
【0011】
電子回路内で、複数の第1の抵抗器の抵抗値と複数の第2の抵抗器の抵抗値が異なりうる。
【0012】
電子回路内で、電子回路の入力側のインピーダンスと電子回路の出力側のインピーダンスが異なりうる。
【0013】
例示的実施形態の追加の態様は、一部分が後の記述で説明され、一部が開示の実施によって学習されうる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明のこれら及び/又は他の態様、特徴及び利点は、添付図面と共に解釈される例示的実施形態の以下の記述から明らかになり、より容易に理解されよう。
図1】抵抗器フィードバックアーキテクチャを有する単一オペアンプの例を示す図である。
図2】調整共通ゲート入力を有する開ループトランスインピーダンスアーキテクチャの例を示す図である。
図3】例示的実施形態による微小電子機械システムジャイロスコープのための電子回路の例を示す図である。
図4】例示的実施形態による電子回路内の電流バッファの例を示す図である。
図5】例示的実施形態による電子回路内のトランスインピーダンス増幅器の例を示す図である。
図6】例示的実施形態による微小電子機械システムジャイロスコープのための電子回路内の様々な点(A1、A2、B1、B2、C1及びC3)における信号波形の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書に記載された例示的実施形態の以下の構造又は機能の記述は、単に本明細書に記載された例示的実施形態について記述するためのものであり、様々な形態で実現されうる。ここで、例示的実施形態は、本開示に限定されると解釈されず、本開示の技術的概念の範囲内の全ての変更、等価物及び交換を含むことを理解されたい。
【0016】
以下に、例示的実施形態は、添付図面を参照して詳述される。図面内の要素に割り当てられた参照数字に関して、同一要素は、異なる図面に示された場合でも、可能な限り、同じ参照数字によって示されることに注意されたい。また、例示的実施形態の記述において、周知の関連した構造又は機能の詳しい記述は、そのような記述が本開示の解釈を曖昧にすると思われるときは省略される。
【0017】
図1は、抵抗器フィードバックアーキテクチャを有する単一オペアンプを備えた微小電子機械システム(MEMS)ジャイロスコープのための従来の電子回路の例を示す図である。
【0018】
図2は、調整共通ゲート(RCG)入力を備えた開ループトランスインピーダンス増幅器アーキテクチャを有する微小電子機械システム(MEMS)ジャイロスコープのための別の従来の電子回路の例を示す図である。
【0019】
しかしながら、前述したように、これらの従来の回路には欠点がある。単一オペアンプアーキテクチャにおいて、最大トランスインピーダンス増幅器利得は、MEMS ASIC(特定用途向け集積回路)の信号対ノイズ比(SNR)を小さくするMEMSの容量性負荷によって制限される。更に、単一オペアンプアーキテクチャは、過度の電力を消費しうる。調整共通ゲート入力を有する開ループトランスインピーダンス増幅器アーキテクチャでは、入力容量性負荷効果が最小にされるが、トランスインピーダンス増幅器利得は正確ではない。即ち、利得は、トランジスタ出力インピーダンスにある程度依存する。
【0020】
図3は、例示的実施形態による微小電子機械システムジャイロスコープのための電子回路の例を示す図である。図4は、例示的実施形態による電子回路内の電流バッファの例を示す図である。図5は、例示的実施形態による電子回路内のトランスインピーダンス増幅器の例を示す図である。
【0021】
図3を参照すると、MEMSジャイロスコープ7のための電子回路8は、電流バッファ1、電流バッファ1と結合されたトランスインピーダンス増幅器2、及び複数のトランジスタ5を含む。電流バッファ1の反転入力端子と電流バッファ1の非反転入力端子は、複数の第1の抵抗器3と接続される。複数の第1の抵抗器3の抵抗は1.8MΩでよい。しかしながら、この値は1.8MΩだけに限定さない。抵抗器は、トランジスタの静止バイアス電流を提供する。
【0022】
電流バッファ1の反転入力端子は、複数のトランジスタ5のうち1つのトランジスタのソースと接続され、電流バッファ1の非反転入力端子は、複数のトランジスタ5のうち別のトランジスタのソースと接続される。複数の第1の抵抗器3は、アースに接続される。
【0023】
電流バッファ1は、微小電子機械システムジャイロスコープ7内の負荷(Rm)をトランスインピーダンス増幅器2から隔離する。
【0024】
電流バッファ1の反転入力端子と電流バッファ1の非反転入力端子は、複数の第2の抵抗器4と接続されうる。複数の第2のトランジスタ4の抵抗は0.5MΩでよい。しかしながら、この値は0.5MΩだけに限定されない。
【0025】
トランスインピーダンス増幅器2の反転入力端子とトランスインピーダンス増幅器2の非反転入力端子は、複数の第3の抵抗器6と接続される。複数の第3の抵抗器6の抵抗は500kΩでよい。しかしながら、この値は500kΩだけに限定されない。
【0026】
トランスインピーダンス増幅器2の反転入力端子は、複数のトランジスタ5のうち1つのトランジスタのドレインと接続され、トランスインピーダンス増幅器2の非反転入力端子は、複数のトランジスタ5のうち別のトランジスタのドレインと接続される。
【0027】
複数の第1の抵抗器の抵抗値と複数の第2の抵抗器の抵抗値は異なりうる。
【0028】
電子回路の入力側のインピーダンスと電子回路の出力側のインピーダンスは異なりうる。
【0029】
図6は、例示的実施形態による微小電子機械システムジャイロスコープのための電子回路の様々な点(A1、A2、B1、B2、C1及びC3)における信号波形の例を示す。
【0030】
図6を参照すると、A1及びA2(上)における信号波形は、正と負の差動交流電圧信号である。これは、きわめて小さい値を有する電子回路8に対する入力電圧であり、ほぼゼロである。B1とB2(真ん中)における信号波形は、A1とA2における波形と振幅が類似しているが移相を有する。C1及びC2(下)における信号波形は、A1/A2及びB1/B2両方における信号波形よりはるかに高いピーク電圧レベルを有する。
【0031】
したがって、電子回路8は、図1図2に示された従来の回路で可能でなかった低い入出力インピーダンスと正確な利得を有する極めて低ノイズで高利得の帯域幅トランスインピーダンス増幅器を作成する。
【0032】
前述された例示的実施形態は、ハードウェア構成要素とソフトウェア構成要素を使用して実現されうる。バックエンド処理装置は、例えば、プロセッサ、コントローラ及び演算論理ユニット(ALU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、マイクロコンピュータ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブル論理ユニット(PLU)、マイクロプロセッサ、又は命令に所定の方式で応答し実行できる任意の他の装置など、1つ以上の汎用又は専用コンピュータを使用して実現されうる。処理装置は、オペレーティングシステム(OS)と、OS上で動作する1つ以上のソフトウェアアプリケーションを実行できる。処理装置は、また、ソフトウェアの実行に応じてデータをアクセスし、記憶し、操作し、処理し、作成できる。単純にするため、処理装置の記述は単数として使用されるが、当業者は、処理装置が複数の処理要素と複数タイプの処理要素を含みうることを理解するであろう。
【0033】
ソフトウェアは、ジャイロスコープシステムを必要に応じて作動させるように独立又は集合的に指示又は構成するコンピュータプログラム、コード、命令又はそれらの何らかの組み合わせを含みうる。ソフトウェア及びデータは、任意のタイプの機械、構成要素、物理又は仮想装置、コンピュータ記憶媒体又は装置内、或いは装置に命令又はデータを提供できるか又は装置によって解釈されうる伝搬信号波で永久又は一時的に実施されうる。
【0034】
この開示は特定の例を含むが、クレーム及びその等価物の主旨及び範囲から逸脱せずにこれらの例に様々な変更が行われうることは当業者に明らかである。本明細書に記載された例は、単に説明のために検討され、限定のためではない。各例における特徴又は態様の記述は、他の例でより単純な特徴又は態様に適用できるとみなされるべきである。適切な結果は、記述された技術が異なる順序で実行される場合、及び/又は記述されたシステム内の構成要素、アーキテクチャ、装置又は回路が異なるように組み合わされ、及び/又は他の構成要素又はその等価物によって交換又は補足される場合にも達成されうる。したがって、開示の範囲は、詳細な説明によってではなくクレーム及びその等価物によって定義され、クレームの範囲内の全ての変形及びその等価物が開示に含まれるように解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0035】
1 電流バッファ
2 トランスインピーダンス増幅器(TIA)
3 第1の抵抗器
4 第2の抵抗器
5 トランジスタ
6 第3の抵抗器
7 MEMSジャイロスコープ
8 電子回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6