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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】積層バリスタ
(51)【国際特許分類】
   H01C 7/18 20060101AFI20240419BHJP
   H01C 7/112 20060101ALI20240419BHJP
【FI】
H01C7/18
H01C7/112
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021566789
(86)(22)【出願日】2020-07-16
(86)【国際出願番号】 JP2020027610
(87)【国際公開番号】W WO2021131115
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2023-04-28
(31)【優先権主張番号】P 2019235386
(32)【優先日】2019-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 道大
(72)【発明者】
【氏名】武藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】矢内 剣
【審査官】清水 稔
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-121207(JP,A)
【文献】特表2005-516386(JP,A)
【文献】米国特許第05172299(US,A)
【文献】特開2002-313665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01C 7/18
H01C 7/112
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バリスタ層と、
前記バリスタ層の上面に設けられた第1内部電極と、
前記バリスタ層の下面に設けられて、前記バリスタ層を介して前記第1内部電極に上下方向で対向する第2内部電極と、
前記バリスタ層の前記上面と下面とに繋がる第1側面に設けられて前記第1内部電極に電気的に接続された第1外部電極と、
前記バリスタ層の前記上面と下面とに繋がる第2側面に設けられて前記第2内部電極に電気的に接続された第2外部電極と、
を備え、
前記第1内部電極は前記第1外部電極から第1延伸方向に延びており、
前記第1内部電極は、前記第1延伸方向に直角の第1配列方向に互いに離れて配列された複数の第1電極片を、4個以上、16個以下
前記複数の第1電極片は、前記第1配列方向に複数のスペースを介して互いに離れて配列されており、
前記複数のスペースのうちの前記第1配列方向において中央に位置するスペースの前記第1配列方向における幅は、前記複数のスペースのうちの他のいずれのスペースの前記第1配列方向における幅より大きい、
積層バリスタ。
【請求項2】
バリスタ層と、
前記バリスタ層の上面に設けられた第1内部電極と、
前記バリスタ層の下面に設けられて、前記バリスタ層を介して前記第1内部電極に上下方向で対向する第2内部電極と、
前記バリスタ層の前記上面と下面とに繋がる第1側面に設けられて前記第1内部電極に電気的に接続された第1外部電極と、
前記バリスタ層の前記上面と下面とに繋がる第2側面に設けられて前記第2内部電極に電気的に接続された第2外部電極と、
を備え、
前記第1内部電極は前記第1外部電極から第1延伸方向に延びており、
前記第1内部電極は、前記第1延伸方向に直角の第1配列方向に互いに離れて配列された複数の第1電極片を有し、
前記複数の第1電極片のうちの前記第1配列方向において両端に位置する第1電極片の前記第1配列方向における幅は、前記複数の第1電極片のうちの他のいずれの第1電極片の前記第1配列方向における幅より大きい、
積層バリスタ。
【請求項3】
バリスタ層と、
前記バリスタ層の上面に設けられた第1内部電極と、
前記バリスタ層の下面に設けられて、前記バリスタ層を介して前記第1内部電極に上下方向で対向する第2内部電極と、
前記バリスタ層の前記上面と下面とに繋がる第1側面に設けられて前記第1内部電極に電気的に接続された第1外部電極と、
前記バリスタ層の前記上面と下面とに繋がる第2側面に設けられて前記第2内部電極に電気的に接続された第2外部電極と、
を備え、
前記第1内部電極は前記第1外部電極から第1延伸方向に延びており、
前記第1内部電極は、前記第1延伸方向に直角の第1配列方向に互いに離れて配列された複数の第1電極片を有し、
記複数の第1電極片のうちの前記第1配列方向において両端に位置する第1電極片の面積は、前記複数の第1電極片のうちの他のいずれの第1電極片の面積より大きい、
積層バリスタ。
【請求項4】
前記複数の第1電極片の数は4個以上、16個以下である、請求項2または3に記載の積層バリスタ。
【請求項5】
前記複数の第1電極片は、前記第1配列方向に複数のスペースを介して互いに離れて配列されており、
前記複数のスペースのうちの前記第1配列方向において中央に位置するスペースの前記第1配列方向における幅は、前記複数のスペースのうちの他のいずれのスペースの前記第1配列方向における幅より大きい、請求項に記載の積層バリスタ。
【請求項6】
前記複数のスペースの前記第1配列方向における幅は0.2mm以上であり、かつ前記第1配列方向の前記積層バリスタ層の幅の1/4以下である、請求項1または5に記載の積層バリスタ。
【請求項7】
前記第1内部電極は前記第1外部電極に接続された第1結合部をさらに有し、
前記複数の第1電極片は前記第1結合部から前記第1延伸方向に延びており、かつ前記第1結合部を介して前記第1外部電極に接続されており、
前記上下方向に見て前記第1結合部は前記第2内部電極に重なっていない、請求項1から6のいずれか一項に記載の積層バリスタ。
【請求項8】
前記第2内部電極は前記第2外部電極から第2延伸方向に延びており、
前記第2内部電極は、前記第2延伸方向に直角の第2配列方向に互いに離れて配列された複数の第2電極片を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の積層バリスタ。
【請求項9】
前記複数の第2電極片は前記バリスタ層を介して前記複数の第1電極片にそれぞれ前記上下方向で対向している、請求項8に記載の積層バリスタ。
【請求項10】
前記第1内部電極は前記第1外部電極に接続された第1結合部をさらに有し、
前記複数の第1電極片は前記第1結合部から前記第1延伸方向に延びており、かつ前記第1結合部を介して前記第1外部電極に接続されており、
前記上下方向に見て前記第1結合部は前記第2内部電極に重なっていない、請求項8または9に記載の積層バリスタ。
【請求項11】
前記第2内部電極は前記第2外部電極に接続された第2結合部をさらに有し、
前記複数の第2電極片は前記第2結合部から前記第2延伸方向に延びており、かつ前記第2結合部を介して前記第2外部電極に接続されており、
前記上下方向に見て前記第2結合部は前記第1内部電極に重なっていない、請求項8から10のいずれか一項に記載の積層バリスタ。
【請求項12】
前記第2延伸方向は前記第1延伸方向の反対の方向である、請求項8から11のいずれか一項に記載の積層バリスタ。
【請求項13】
前記複数の第2電極片の前記第1配列方向における間隔は0.2mm以上であり、かつ前記第1配列方向の前記積層バリスタの幅の1/4以下である、請求項8から12のいずれか一項に記載の積層バリスタ。
【請求項14】
前記上下方向に見て前記バリスタ層は矩形状を有し、
前記バリスタ層の前記第1側面と前記第2側面は前記矩形状の互いに反対側の辺にそれぞれ位置する、請求項1から13のいずれか一項に記載の積層バリスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雷サージや静電気から電子回路を保護する積層バリスタに関する。
【背景技術】
【0002】
高速通信ネットワークや自動車の電子制御ユニットには半導体回路が搭載されている。この半導体回路が雷や静電気などのサージ電流により損傷すると、ネット通信や自動車の制御に問題をもたらす。サージ電流から半導体回路を保護するためにセラミック材料を主原料とする積層バリスタが電子回路部品として各種電子回路に用いられている。
【0003】
大きなサージ電流が入ってくると発熱によりバリスタ特性が劣化する可能性があるため、より耐サージ性の高い積層バリスタが求められている。
【0004】
特許文献1は、互いに対向する複数の内部電極を有する従来の積層バリスタを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開昭56-153706号公報
【発明の概要】
【0006】
積層バリスタは、バリスタ層と、バリスタ層の上面に設けられた第1内部電極と、バリスタ層の下面に設けられてバリスタ層を介して第1内部電極に上下方向で対向する第2内部電極と、バリスタ層の側面に設けられて第1内部電極に電気的に接続された第1外部電極と、バリスタ層の側面に設けられて第2内部電極に電気的に接続された第2外部電極とを備える。第1内部電極は第1外部電極から延伸方向に延びている。第1内部電極は、延伸方向に直角の配列方向に互いに離れて配列された複数の電極片を有する。
【0007】
この積層バリスタは耐サージ特性を向上させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は実施形態における積層バリスタの透視斜視図である。
図2図2図1に示す積層バリスタの線II-IIにおける断面図である。
図3図3は実施形態における積層バリスタの内部電極の平面図である。
図4図4は実施形態における別の積層バリスタの内部電極の平面図である。
図5図5は実施形態におけるさらに別の積層バリスタの内部電極の平面図である。
図6図6は実施形態におけるさらに別の積層バリスタの内部電極の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は実施形態における積層バリスタ11の透視斜視図である。図2図1に示す積層バリスタの線II-IIにおける断面図である。積層バリスタ11は、ZnOを主成分とするバリスタ層12A~12Gと、Agを主成分とする内部電極13、14とを備える、複数のバリスタ層12A~12Gは内部電極13、14と交互に上下方向Dudで積層されて積層体27を構成している。バリスタ層12A~12Gは上下方向Dudに積層されている。内部電極13、14は、交互に積層体27の両端面に引き出され、両端面において、外部電極15、16にそれぞれ電気的に接続されている。積層体27は焼成されて焼結体17となる。焼結体は内部電極13、14の間とそれらの外側に位置し、ZnOを主成分とし、副成分としてBiとCoとMnOとSb等を含んでいる。
【0010】
三次元座標においてX方向の長さを幅と定義し、Y方向の長さを奥行と定義し、Z方向の長さを高さと定義する。実施の形態において、焼結体17の幅5.0mmであり、奥行は5.7mmであり、高さは5.0mmである直方体形状を有する。上下方向DudはZ方向に平行である。
【0011】
図3はZ方向に見たときの内部電極13、14の平面図である。図3において内部電極13は4つの電極片13A、13B、13C、13Dに分割されている。
【0012】
内部電極13はバリスタ層12B(12D、12F)の上面に設けられている。内部電極14は、バリスタ層12B(12D、12F)の下面に設けられて、バリスタ層12B(12D、12F)を介して内部電極13に上下方向Dudで対向している。外部電極15は、バリスタ層12B(12D、12F)の上面と下面とに繋がる側面17Aに設けられて内部電極13に電気的に接続されている。外部電極16は、バリスタ層12B(12D、12F)の上面と下面とに繋がる側面17Bに設けられて内部電極14に電気的に接続されている。内部電極13は外部電極15からY方向に平行の延伸方向D11に延びている。内部電極13は、延伸方向D11に直角でX方向に平行の配列方向D12に互いに離れて配列された複数の電極片13A~13Dを有する。
【0013】
複数の電極片13A~13Dは、配列方向D12に複数のスペース18A~18Cを介して互いに離れて配列されている。詳細には、複数の電極片13A、13Bは、配列方向D12にスペース18Aを介して互いに隣り合い離れて配列されている。複数の電極片13B、13Cは、配列方向D12にスペース18Bを介して互いに隣り合い離れて配列されている。複数の電極片13C、13Dは、配列方向D12にスペース18Cを介して互いに隣り合い離れて配列されている。
【0014】
上下方向Dudに見てバリスタ層12A~12Gは矩形状を有する。焼結体17の側面でもあるバリスタ層12B(12A、12C~12G)の側面17A、17Bは上記矩形状の互いに反対側の辺にそれぞれ位置する。
【0015】
以上の様な構造を採用することにより、層単位でバリスタ層を減らすことなく、バリスタ層の発熱を分散させることが出来るため、サージ流入時に素子における局所的な温度上昇を抑制することが出来、積層バリスタの耐サージ特性を向上させることが出来る。
【0016】
特許文献1に開示されている積層バリスタではその中央においてバリスタ機能に寄与しない無効層が設けられている。これにより、積層バリスタ内部の内部電極の数を減らさなくてはならず、バリスタ機能に寄与する有効層の面積を層の数だけ減らすことになる。その結果、有効層の面積に依存するサージ耐量を最大化することが困難である。
【0017】
実施形態における積層バリスタ11では、前述のように耐サージ特性を向上させることが出来る。
【0018】
電極片13A、13Dは1.1mmの幅と、4.7mmの奥行の長方形状を有する。電極片13B、13Cは0.5mmの幅と、4.7mmの奥行きの長方形状を有する。電極片13Aは焼結体17の側面から幅のX方向に0.4mmのスペースを空けて配置され、電極片13A、13Bは、X方向に0.3mmのスペース18Aを空けて配置されている。電極片13C、13Dは、X方向に0.3mmのスペース18Cを空けて配置されている。電極片13B、13CはX方向に0.6mmのスペース18Bを空けて配置されている。
【0019】
内部電極14は4.2mmの幅と、4.7mmとを有する長方形状を有し、内部電極13にZ方向に0.2mmの距離を空けて配置されている。内部電極13を電極片13A~13Dに分割することにより、積層体27の積層工程等の加圧時にバリスタ層12A~12Gに内部電極13、14が食い込み、層間の接着が強くなり、デラミネーションを抑制する効果がある。内部電極13を分割して得られる電極片の数は4以上16以下が望ましい。電極片の数が4より少ないとデラミネーション抑制の効果が小さくなり、16より多いと内部電極13の総面積が小さくなり、耐サージ性能が低下する。
【0020】
また、内部電極13が分割されるスペース18A~18CのX方向の長さを0.2mm以上にすることで、互いに隣り合う電極片に流入する電流を抑制出来る。スペース18A~18CのX方向の幅を積層バリスタ11(バリスタ層12A~12G)の幅のそれの1/4以下にすることが望ましい。スペース18A~18CのX方向の幅が積層バリスタ11(バリスタ層12A~12G)のX方向の幅の1/4より大きいと内部電極13の幅が小さくなり耐サージ性が低下してしまう。また、面積が大きい電極片13A、13Dを面積がより小さい電極片13B、13Cに比べて焼結体17の表面の近くに配置することで、サージ流入時に発生する熱を焼結体17の表面に近い領域で発生させることが出来、外部に熱が放出されやすい。これによりバリスタの不具合の原因となる蓄熱を抑制することが出来る。
【0021】
スペース18A~18Cのうち、中央側に位置するスペース18Bを、側面側に位置するスペース18Cよりも大きくすることが望ましい。これにより焼結体17の内側で熱がこもるのを防ぐことができ、よりサージ耐量を向上させることができる。
【0022】
実施の形態では、複数のスペース18A~18Cのうちの配列方向D12において中央に位置するスペース18Bの配列方向D12における幅は、複数のスペース18A~18Cのうちの他のいずれのスペース18A(18C)の配列方向D12における幅より大きい。
【0023】
実施の形態では、複数の電極片13A~13Dのうちの配列方向D12において両端に位置する電極片13A、13Dの配列方向D12における幅は、複数の電極片13A~13Dのうちの他のいずれの電極片13B(13C)の配列方向D12における幅より大きい。さらに、複数の電極片13A~13Dのうちの配列方向D12において両端に位置する電極片13A、13Dの面積は、複数の電極片13A~13Dのうちの他のいずれの電極片13B(13C)の面積より大きい。
【0024】
内部電極13全体のX方向の幅を内部電極14全体のX方向の幅よりも小さくすることにより、印刷、積層、焼成時に生じる対向する内部電極13、14間の位置ずれが抑制され、内部電極13、14の対向面積で決定する電気的特性、例えば静電容量などのバラツキを抑制することが出来る。
【0025】
図4は実施形態における積層バリスタ11の別の内部電極13、14の平面図である。図4において、図3に示す積層バリスタ11の内部電極13、14と同じ部分には同じ参照番号を付す。内部電極13がX方向で互いに離れた電極片13A~13Dを有し、内部電極14はX方向で互いに離れた電極片14A~14Dを有する。
【0026】
内部電極14は外部電極16からY方向に平行の延伸方向D21に延びている。内部電極14は、延伸方向D21に直角でX方向に平行の配列方向D22に互いに離れて配列された複数の電極片14A~14Dを有する。複数の電極片14A~14Dはバリスタ層12Bを介して複数の電極片13A~13Dにそれぞれ上下方向Dudで対向している。延伸方向D21は延伸方向D11の反対の方向である。
【0027】
複数の電極片14A~14Dは、配列方向D22に複数のスペース28A~28Cを介して互いに離れて配列されている。詳細には、複数の電極片14A、14Bは、配列方向D22にスペース28Aを介して互いに隣り合い離れて配列されている。複数の電極片14B、14Cは、配列方向D22にスペース28Bを介して互いに隣り合い離れて配列されている。複数の電極片14C、14Dは、配列方向D22にスペース28Cを介して互いに隣り合い離れて配列されている。スペース28A~28Cはスペース18A~18Cとそれぞれ同じ寸法(長さ、幅、面積)を有する。
【0028】
実施の形態では、複数のスペース28A~28Cのうちの配列方向D12において中央に位置するスペース28Bの配列方向D12における幅は、複数のスペース28A~28Cのうちの他のいずれのスペース28A(28C)の配列方向D12における幅より大きい。
【0029】
実施の形態では、複数の電極片14A~14Dのうちの配列方向D22において両端に位置する電極片14A、14Dの配列方向D22における幅は、複数の電極片14A~14Dのうちの他のいずれの電極片14B(14C)の配列方向D22における幅より大きい。さらに、複数の電極片14A~14Dのうちの配列方向D22において両端に位置する電極片14A、14Dの面積は、複数の電極片14A~14Dのうちの他のいずれの電極片14B(14C)の面積より大きい。
【0030】
内部電極14は内部電極13に対して、Y方向に延びて焼結体17の中心を通る軸A1について回転対称の位置関係にある。内部電極13のみならず、内部電極14が互いに離れた電極片14A~14Dを有することで、内部電極13のみ分割する場合よりもサージ流入時の発熱部分を分割することが出来、さらに蓄熱しにくくすることができる。
【0031】
図5は実施形態における積層バリスタ11のさらに別の内部電極13、14の平面図である。図5において、図4に示す積層バリスタ11の内部電極13、14と同じ部分には同じ参照番号を付す。
【0032】
内部電極13は外部電極15に接続された結合部19をさらに有する。複数の電極片13A~13Dは結合部19から延伸方向D11に延びており、かつ結合部19を介して外部電極15に接続されている。上下方向Dudに見て結合部19は内部電極14に重なっていない。
【0033】
内部電極14は外部電極16に接続された結合部29をさらに有する。複数の電極片14A~14Dは結合部29から延伸方向D21に延びており、かつ結合部29を介して外部電極16に接続されている。上下方向Dudに見て結合部29は内部電極13に重なっていない。
【0034】
結合部19の延伸方向D11の長さである奥行は0.5mmである。結合部29の延伸方向D21の長さである奥行は0.5mmである。この構造により、内部電極13が外部電極15に接続される部分の長さと、内部電極14が外部電極16に接続される部分の長さが増え、外部電極15、16の形成時に内部電極13、14と外部電極15、16の接続不良が起きにくい。
【0035】
図6は実施形態における積層バリスタ11のさらに別の内部電極13、14の平面図である。図6において、図3図5に示す積層バリスタ11の内部電極13、14と同じ部分には同じ参照番号を付す。図6に示す積層バリスタでは、図5に示す結合部19を有する内部電極13と、図3に示す内部電極14とを備える。図6に示す結合部19は図5に示す結合部19と同様の効果を有する。
【0036】
実施の形態において、「上面」「下面」「上下方向」等の方向を示す用語はバリスタ層や内部電極13、14等の積層バリスタ11の構成部材の位置関係でのみ決まる相対的な方向を示し、鉛直方向等の絶対的な方向を示すものではない。
【0037】
図1から図6に示す実施形態に係る積層バリスタ11は、対向する内部電極13、14間のバリスタ層の層数を減らすことなく、内部電極13、14間に蓄熱しにくい構造を実現することで、積層バリスタ11のサージ耐量、エネルギー耐量を向上させることが出来る。
【符号の説明】
【0038】
11 積層バリスタ
12A~12G バリスタ層
13 内部電極(第1内部電極)
13A~13D 電極片(第1電極片)
14 内部電極(第2内部電極)
15 外部電極(第1外部電極)
16 外部電極(第2外部電極)
17 焼結体
18A~18C スペース
19 結合部
14A~14D 電極片(第2電極片)
28A~28C スペース
29 結合部
D11 延伸方向(第1延伸方向)
D12 延伸方向(第2延伸方向)
D21 配列方向(第1配列方向)
D22 配列方向(第2配列方向)
Dud 上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6