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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20240419BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20240419BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H01L27/146 E
H04N5/369
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018186654
(22)【出願日】2018-10-01
(65)【公開番号】P2019075554
(43)【公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-04-09
【審判番号】
【審判請求日】2023-03-24
(31)【優先権主張番号】P 2017200556
(32)【優先日】2017-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】仲順 秋男
(72)【発明者】
【氏名】山田 翔太
【合議体】
【審判長】瀧内 健夫
【審判官】棚田 一也
【審判官】松永 稔
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-103335(JP,A)
【文献】特開2016-192645(JP,A)
【文献】特開2014-130890(JP,A)
【文献】特開2010-087511(JP,A)
【文献】特開2015-228468(JP,A)
【文献】特開2012-129276(JP,A)
【文献】国際公開第2016/013410(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面を有する半導体基板と、
前記半導体基板の前記第1面の上方に位置するマイクロレンズと、
前記半導体基板の前記第1面と前記マイクロレンズとの間に位置し、それぞれが、第1電極と、前記第1電極よりも前記マイクロレンズに近い第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に位置し、光を電荷に変換する光電変換層と、を有する、少なくとも一つの光電変換部と、
前記半導体基板の前記第1面と、前記少なくとも一つの光電変換部のうち前記半導体基板の前記第1面に最も近い第1の光電変換部の前記光電変換層との間に位置する配線層と、
を備える撮像装置であって、
前記マイクロレンズの焦点は、前記第1の光電変換部の前記光電変換層の最下面よりも下方に位置し、
前記マイクロレンズの前記焦点は、平面視において前記配線層と重なり、
前記撮像装置は、フォトダイオードを備えない、
撮像装置。
【請求項2】
前記マイクロレンズの前記焦点は、前記第1の光電変換部の前記光電変換層の前記最下面と前記半導体基板の前記第1面との間に位置する、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記マイクロレンズと前記光電変換部との間に位置するカラーフィルターをさらに備える、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記少なくとも一つの光電変換部は、前記第1の光電変換部と前記マイクロレンズとの間に位置する第2の光電変換部を含む、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記光電変換層は有機材料を含む、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項6】
さらに、前記第1電極と電気的に接続され、前記電荷に対応する信号を出力する信号検出部を備え、
前記マイクロレンズは、平面視において前記信号検出部と重なる、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記マイクロレンズの焦点は、平面視において前記第1電極と重なる、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第1面は、前記半導体基板の前記第1面とは異なる第2面よりも前記マイクロレンズに近い、
請求項1からのいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項9】
さらに、前記半導体基板内に位置し、前記電荷を蓄積する電荷蓄積領域、を備える、
請求項1からのいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項10】
第1面を有する半導体基板と、
前記半導体基板の前記第1面の上方に位置するマイクロレンズと、
前記半導体基板の前記第1面と前記マイクロレンズとの間に位置し、それぞれが、第1電極と、前記第1電極よりも前記マイクロレンズに近い第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に位置し、光を電荷に変換する光電変換層とを有する、少なくとも一つの光電変換部と、
を備え、
前記マイクロレンズの焦点は、前記少なくとも一つの光電変換部のうち前記半導体基板の前記第1面に最も近い第1の光電変換部の前記光電変換層の最下面よりも下方に位置し、
前記半導体基板内に、光を電荷に変換する光電変換部を備えない、
撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層型の撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
固体撮像装置は、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラなどに広く用いられている。CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のMOS型イメージセンサ、およびCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサが知られている。近年、カメラ付き携帯電話やスマートホンなどのモバイル機器に搭載される固体撮像装置としては、消費電力の観点などから、電源電圧が低いCMOSイメージセンサが多く用いられている。特許文献1には、マイクロレンズを有する撮像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-48980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
入射光に対する感度が高く、耐光性に優れた撮像装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の限定的ではない例示的な実施形態によれば、以下が提供される。
【0006】
本開示の一態様に係る撮像装置は、第1面を有する半導体基板と、前記半導体基板の前記第1面の上方に位置するマイクロレンズと、前記半導体基板の前記第1面と前記マイクロレンズとの間に位置し、それぞれが、第1電極と、前記第1電極よりも前記マイクロレンズに近い第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に位置し、光を電荷に変換する光電変換層と、を有する、少なくとも一つの光電変換部と、前記半導体基板の前記第1面と、前記少なくとも一つの光電変換部のうち前記半導体基板の前記第1面に最も近い第1の光電変換部の前記光電変換層との間に位置する配線層と、を備える撮像装置であって、前記マイクロレンズの焦点は、前記第1の光電変換部の前記光電変換層の最下面よりも下方に位置し、前記マイクロレンズの前記焦点は、平面視において前記配線層と重なり、前記撮像装置は、フォトダイオードを備えない。
【0007】
包括的または具体的な態様は、素子、デバイス、モジュール、システム、集積回路または方法で実現されてもよい。また、包括的または具体的な態様は、素子、デバイス、モジュール、システム、集積回路および方法の任意の組み合わせによって実現されてもよい。
開示された実施形態の追加的な効果および利点は、明細書および図面から明らかになる。効果および/または利点は、明細書および図面に開示の様々な実施形態または特徴によって個々に提供され、これらの1つ以上を得るために全てを必要とはしない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、参考例に係る撮像装置の概略断面図である。
図2図2は、実施の形態に係る撮像装置の概略断面図である。
図3A図3Aは、画素の概略断面図である。
図3B図3Bは、4つの画素の平面図である。
図4図4は、光学シミュレーションの結果を説明する図である。
図5図5は、マイクロレンズの高さと、規格化光集中度および規格化量子効率低下率との関係を示すグラフである。
図6図6は、第1範囲における光集中度を説明するための図である。
図7図7は、マイクロレンズの高さと規格化量子効率との関係についての、シミュレーション結果を示すグラフである。
図8図8は、マイクロレンズの高さと規格化入射角特性との関係についての、シミュレーション結果を示すグラフである。
図9図9は、半導体基板の上面から焦点までの距離と、規格化光集中度および規格化量子効率低下率との関係を示すグラフである。
図10図10は、半導体基板の上面から焦点までの距離と規格化量子効率との関係についてのシミュレーション結果を示すグラフである。
図11図11は、半導体基板の上面から焦点までの距離と規格化入射角特性との関係についてのシミュレーション結果を示すグラフである。
図12図12は、実施の形態の変形例に係る撮像装置の概略断面図である。
図13図13は、実施の形態の他の変形例に係る撮像装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示に至った知見)
イメージセンサにおいて、光感度が重視されている。光感度を高めるために、一般的にマイクロレンズが用いられる。図1は、マイクロレンズを搭載した、参考例に係るイメージセンサ101の概略断面図である。イメージセンサ101には、受光素子102以外の領域103に光が入射されることを防止するために、層間絶縁膜105内に光遮蔽層104が形成されている。層間絶縁膜105上には、カラーフィルター106a、106b、106cを含むカラーフィルター層106が形成されている。カラーフィルター層106の上には、平坦化または光透過度の向上を目的として、平坦な上面を有する保護絶縁膜107が形成されている。保護絶縁膜107上には、光を集光するためのマイクロレンズ108が形成されている。
【0010】
受光素子102は、典型的には、例えばフォトゲートまたはフォトダイオードである。光遮蔽層104の材料は、例えば金属である。マイクロレンズ108の材料は、例えばポリマー系の樹脂である。保護絶縁膜107の材料は、例えばシリコン酸化物系薄膜であり、典型的にはマイクロレンズと屈折率が同等である。典型的には、マイクロレンズ108の一方の面は凸形状であり、他方の面は平坦である。参考例のイメージセンサ101では、マイクロレンズ108の上面が凸形状であり、保護絶縁膜107と接する下面が平坦である。すなわち、参考例におけるマイクロレンズ108はその上面のみが凸形状である凸レンズである。また、参考例のイメージセンサ101では、マイクロレンズ108および保護絶縁膜107の屈折率がほぼ同等である。さらに、参考例のイメージセンサ101では、凸レンズの焦点距離が凸レンズから受光素子までの距離と同等となるように設計される。これにより、入射光を効率的に受光素子102に集光することができる。特許文献1には、マイクロレンズの焦点距離が、マイクロレンズとフォトダイオードとの距離またはそれ以下になるように設定された撮像装置が開示されている。
【0011】
しかし、受光素子として有機薄膜を用いた積層型撮像装置の場合、マイクロレンズの焦点距離とマイクロレンズから受光素子までの距離とを同等にすることが、必ずしも最適ではない場合もある。
【0012】
例えば、太陽光などの強い光がマイクロレンズに入射した場合、それが集光されて受光素子へと入射すると、受光素子にダメージを与えてしまう可能性がある。具体的には、光感度の低下、あるいは焼き付きにより、撮像装置の画質の劣化が発生し得る。
【0013】
本開示は、上記のような耐光性の課題に鑑みてなされたものであり、適切なマイクロレンズの形状を設計することにより、光感度を保持しながらも耐光性に優れた撮像装置を提供することを目的とする。
【0014】
本開示の一態様の概要は、以下のとおりである。
【0015】
[項目1]
第1面を有する半導体基板と、
前記半導体基板の前記第1面の上方に位置するマイクロレンズと、
前記半導体基板の前記第1面と前記マイクロレンズとの間に位置し、それぞれが、第1電極と、前記第1電極よりも前記マイクロレンズに近い第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に位置し、光を電荷に変換する光電変換層とを有する、少なくとも一つの光電変換部と、
を備え、
前記マイクロレンズの焦点は、前記少なくとも一つの光電変換部のうち前記半導体基板の前記第1面に最も近い第1の光電変換部の前記光電変換層の最下面よりも下方に位置する、
撮像装置。
【0016】
[項目2]
前記マイクロレンズの前記焦点は、前記第1の光電変換部の前記光電変換層の前記最下面と前記半導体基板の前記第1面との間に位置する、項目1に記載の撮像装置。
【0017】
[項目3]
前記半導体基板の前記第1面と前記第1の光電変換部の前記光電変換層との間に位置する配線層をさらに備え、
前記マイクロレンズの前記焦点は、平面視において前記配線層と重なる、項目1または2に記載の撮像装置。
【0018】
[項目4]
前記マイクロレンズと前記光電変換部との間に位置するカラーフィルターをさらに備える、項目1から3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【0019】
[項目5]
前記少なくとも一つの光電変換部は、前記第1の光電変換部と前記マイクロレンズとの間に位置する第2の光電変換部を含む、項目1から4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【0020】
[項目6]
前記光電変換層は有機材料を含む、項目1から4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【0021】
また、本開示の一態様の概要は、以下のとおりである。
【0022】
本開示の一態様に係る撮像装置は、半導体基板と、前記半導体基板上に位置する複数の画素とを備える撮像装置であって、前記複数の画素のそれぞれは、光を透過する上部電極、前記上部電極の下方に位置する下部電極、および、前記上部電極と前記下部電極との間に位置し、光を電荷に変換する光電変換層を有する光電変換部と、前記光電変換部の上方に位置するマイクロレンズと、前記電荷に対応する信号を出力する信号検出部と、を備え、前記マイクロレンズの頂点から前記光電変換層の最上面までの距離をXとし、前記マイクロレンズの頂点から焦点までの距離をYとしたとき、前記Yは前記Xよりも大きい。
【0023】
このようにマイクロレンズの頂点から焦点までの距離Yとマイクロレンズの頂点から光電変換層の最上面までの距離XとがY>Xの関係であることにより、マイクロレンズにより集光された入射光が最も光強度の強い状態で光電変換層に入射することを抑制することができる。これにより、光電変換層が焼き付き等の光ダメージを受けることを抑制することができるため、撮像装置の耐光性を向上させることができる。また、量子効率の低下を低減することができる。
【0024】
例えば、本開示の一態様に係る撮像装置は、前記マイクロレンズの焦点は、前記光電変換層の最下面より下方に位置してもよく、前記半導体基板の最上面より上方に位置してもよい。
【0025】
これにより、光電変換層の最上面に光強度の強い光が集中することを緩和することができるため、光電変換層が光ダメージを受けることを抑制することができる。そのため、撮像装置の耐光性を向上させることができ、量子効率の低下を低減することができる。また、光電変換層において、入射光を広い面積で受光し、光電変換を行うことができるため、光電変換効率を向上することができる。また、半導体基板まで入射光が到達し難くなるため、半導体基板内で光電変換が起こることを抑制することができる。これにより、半導体基板内で不要な電荷が発生し難くなり、ノイズを低減することができる。
【0026】
例えば、本開示の一態様に係る撮像装置では、前記マイクロレンズの焦点の位置に、配線層が位置してもよい。
【0027】
これにより、配線層によって入射光が散乱され、入射光が半導体基板に到達し難くなる。そのため、半導体基板内で光電変換が起こることを抑制することができる。
【0028】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0029】
以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、工程、工程の順序などは一例であり、本開示を限定する主旨ではない。以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。各図は、必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化することがある。
【0030】
(実施の形態)
図2は、本実施の形態に係る撮像装置200の断面図である。
【0031】
本実施の形態に係る撮像装置200は、半導体基板210と、半導体基板210上に位置する複数の画素211とを備える撮像装置である。複数の画素211のそれぞれは、光電変換部212と、マイクロレンズ208と、信号検出部209と、を備える。光電変換部212は、光を透過する上部電極204、上部電極204の下方に位置する下部電極202、および上部電極204と下部電極202との間に位置し、光を電荷に変換する光電変換層203を有する。マイクロレンズ208は、光電変換部212の上方に位置する。信号検出部209は、光電変換部212で得られた電荷に対応する信号を出力する。
【0032】
さらに、撮像装置200は、光電変換部212の上部電極204上に形成された絶縁膜205と、絶縁膜205上に形成されたカラーフィルター層206と、カラーフィルター層206上に形成された平坦化膜207とを備える。カラーフィルター層206は、緑カラーフィルター206a、青カラーフィルター206b、および赤カラーフィルター206cを備える。各色のカラーフィルターは、画素211に対応して、ベイヤー配列に従って配置されている。
【0033】
また、撮像装置200は、光電変換層203の下に位置する層間絶縁層201と、層間絶縁層201の下に位置する半導体基板210とを備える。半導体基板210には、電荷を蓄積する電荷蓄積領域、および信号検出部209が形成される。信号検出部209は、例えば、CMOSトランジスタ等のトランジスタを複数個組み合わせて形成される。例えば、信号検出部209は、電荷蓄積領域に蓄積された電荷に対応する信号を出力する増幅トランジスタ、および電荷蓄積領域をリセットするリセットトランジスタを備える。増幅トランジスタのゲートは電荷蓄積領域に接続される。リセットトランジスタのソースまたはドレインは電荷蓄積領域に接続される。電荷蓄積領域は下部電極202に接続される。
【0034】
なお、光電変換層203は、無機材料から構成されていてもよく、有機材料から構成されていてもよい。無機材料は、例えば、アモルファスシリコンであってもよい。有機材料から構成される場合は、n型有機半導体とp型有機半導体材料とが接合された構成であってもよい。
【0035】
以下、光電変換層203が有機材料から構成される例について説明する。
【0036】
図2に示すように、マイクロレンズ208の頂点から光電変換層203の最上面までの距離をXとし、マイクロレンズ208の頂点からマイクロレンズの焦点までの距離をYとする。このとき、本実施の形態に係る撮像装置200では、YはXよりも大きい。このようにマイクロレンズの頂点からマイクロレンズの焦点までの距離Yとマイクロレンズの頂点から光電変換層の最上面までの距離Xとを異ならせることにより、マイクロレンズにより集光された入射光が最も光強度の強い状態で光電変換層に入射することを抑制することができる。また、Y>Xを満たす場合には、画素の中央に光が集中して入射することを防ぐことができる。これにより、光電変換層が、焼き付き等の光ダメージを受けることを抑制することができ、撮像装置の耐光性を向上させることができる。また、量子効率の低下を低減することができる。
【0037】
本実施の形態に係る撮像装置200において、マイクロレンズ208の焦点の位置は、光電変換層203の最下面より下方に位置していてもよく、半導体基板210の最上面より上方に位置していてもよい。すなわち、マイクロレンズ208の焦点の位置は、光電変換層203の最下面と半導体基板210の最上面との間に位置していてもよい。これにより、光電変換層203の内部に光強度の強い光が集中することを緩和することができるため、光電変換層203の光ダメージを低減することができる。また、撮像装置200の耐光性を向上させることができ、量子効率の低下を低減することができる。さらに、光電変換層203が広い面積で入射光を受光して光電変換を行うことができるため、光電変換効率を向上することができる。さらに、半導体基板210まで入射光が到達し難くなるため、半導体基板210内で光電変換が起こることを抑制することができる。これにより、半導体基板210内で不要な電荷が発生し難くなり、ノイズを低減することができる。
【0038】
本実施の形態に係る撮像装置200において、マイクロレンズ208の焦点の位置に、配線層が位置していてもよい。層間絶縁層201中に配線層を配置した場合、配線層によって入射光が散乱され、入射光が半導体基板210に到達し難くなる。そのため、半導体基板210内で光電変換が起こることを抑制することができる。マイクロレンズ208の焦点は、平面視において配線層と重なっていてもよい。これによっても、入射光が半導体基板210へ到達し難くなる。
【0039】
一般に、マイクロレンズ208の焦点距離fは、下記の式(1)で表される。
【0040】
f={n1/(n1-n0)}R ・・・ (1)
【0041】
ここで、Rはマイクロレンズ208の曲率半径であり、n1はマイクロレンズ208の材料の屈折率であり、n0はマイクロレンズ208の光入射側に接する媒体の屈折率である。
【0042】
つまり、式(1)は、屈折率n0の媒体(例えば、空気層)から、屈折率n1および曲率半径Rを有するマイクロレンズ208に光が入射した場合のマイクロレンズ208の焦点距離fを表す。
【0043】
ここで、マイクロレンズ208の高さをh、マイクロレンズ208の底面の半径をrとすると、マイクロレンズ208の曲率半径Rは、下記の式(2)で表される。
【0044】
R=(r+h)/2h ・・・ (2)
【0045】
図3A、3Bは、マイクロレンズ208の高さh、および対角方向に隣接するマイクロレンズ208間のギャップLについて説明する図である。図3Aは、画素211の概略断面図である。なお、カラーフィルター層206より下方の構成については図示を省略する。図3Bは、4つの画素211の平面図である。
【0046】
図3Aに示すように、マイクロレンズ208の高さhは、マイクロレンズ208の底面からマイクロレンズ208の頂点までの長さである。また、図3Bに示すように、対角方向に隣接するマイクロレンズ208間のギャップLは、4つの画素211を1つの画素部とした場合、画素部の対角線方向において隣接する2つのマイクロレンズ208の底面間の距離である。マイクロレンズ208の底面の半径rの大きさは、画素211のサイズ、および、ギャップLにより決定される。
【0047】
以下、1つの画素211は1辺が3.0μmの正方形であり、対角線方向に隣接するマイクロレンズ208間のギャップLが800nmであるマイクロレンズ208を備える撮像装置200において、マイクロレンズ208の高さhを変化させて光学シミュレーションを行った。具体的には、バビネの理論に基づく波動光学シミュレーションを用いた。なお、以下で説明する全てのシミュレーションにおいて、マイクロレンズ208の底面は平面視において円形であるとし、マイクロレンズ208の底面の半径rは、画素211のサイズを3.0μm、マイクロレンズ208間のギャップLを800nmとして計算した値とした。
【0048】
まず、上記の式(1)および式(2)を用いて、マイクロレンズ208の高さhに対する焦点距離fを求めた。マイクロレンズ208の頂点から焦点までの距離Yは、焦点距離fに、マイクロレンズの主点から頂点までの距離を足すことにより算出された。このとき、式(1)のn0は、空気の屈折率(n0=1.0)であり、n1は、マイクロレンズ208の屈折率(n1=1.6)である。シミュレーションの結果を表1に示す。
【0049】
表1は、マイクロレンズ208の高さの違いによるマイクロレンズ208の頂点から焦点までの距離Yと、マイクロレンズ208の頂点から光電変換層203の最上面までの距離Xとの関係を示している。このとき、Xの値は、光電変換層203の最上面から平坦化膜207の最上面までの距離が1590nmである場合の値である。
【0050】
【表1】
【0051】
表1から、画素211の一辺の大きさ、対角線方向のマイクロレンズ208間のギャップLおよびマイクロレンズ208の高さh等を上記のような値に設定した場合、マイクロレンズ208の高さhが高くなるほど、マイクロレンズ208の焦点距離fは短くなる。つまり、マイクロレンズ208の高さhが高くなるほど、マイクロレンズ208の頂点から焦点までの距離Yは短くなる、ということがわかる。一方、マイクロレンズ208の高さhが高くなるほど、マイクロレンズ208の頂点から光電変換層の最上面までの距離Xは長くなる、ということがわかる。
【0052】
シミュレーションでは、マイクロレンズ208の焦点の位置も算出した。シミュレーションでは、光電変換層203の厚みを500nmとし、層間絶縁層201の厚み(すなわち、光電変換層203の最下面から半導体基板210の最上面までの距離)を3500nmとし、半導体基板210の厚みを775nmとした。このとき、表1に示すマイクロレンズ208の各高さにおけるマイクロレンズ208の焦点は、以下のようになる。
【0053】
マイクロレンズ208の高さが200nmの場合、マイクロレンズ208の焦点は、半導体基板210よりも下方に位置する。マイクロレンズ208の高さが400nmの場合、マイクロレンズ208の焦点は、半導体基板210中に位置する。マイクロレンズ208の高さが600nm、800nm、および1000nmの場合、マイクロレンズ208の焦点は、層間絶縁層201中に位置する。マイクロレンズ208の高さが1200nmの場合、マイクロレンズ208の焦点は、光電変換層203中に位置する。マイクロレンズ208の高さが1400nmの場合、マイクロレンズ208の焦点は、上部電極204上の絶縁膜205中に位置する。マイクロレンズ208の高さが1600nmの場合、マイクロレンズ208の焦点は、上部電極204より上方に位置する。
【0054】
具体的には、半導体基板210の最上面からマイクロレンズ208の焦点までの距離Z(nm)は、半導体基板210からマイクロレンズ208に向かう方向を正の方向とすると、X+4000-Y(nm)と表される。よって、マイクロレンズ208の高さhと、半導体基板210の上面から焦点までの距離Zとの関係は、表2のようになる。ここで、Z=0(nm)は半導体基板210の最上面に対応する。Z=3500(nm)は光電変換層203の最下面に対応する。Z=4000(nm)は光電変換層203の最上面に対応する。したがって、マイクロレンズ208の高さhが200nmおよび400nmのとき、焦点は半導体基板210の最上面よりも下方に位置する。マイクロレンズ208の高さhが600nm、800nm、および1000nmのとき、焦点は半導体基板210の最上面と光電変換層203の最下面との間に位置する。マイクロレンズ208の高さhが1200nmのとき、焦点は光電変換層203中に位置する。マイクロレンズ208の高さhが1400nmおよび1600nmのとき、焦点は光電変換層203の最上面よりも上方に位置する。
【0055】
【表2】
【0056】
次に、光の集光状態についてシミュレーションを行った。シミュレーションでは、画素の大きさを1辺が3.0μmの正方形とし、対角線方向に隣接するマイクロレンズ間のギャップLを800nmとした。このようなマイクロレンズを備える撮像装置に光を照射し、マイクロレンズの高さhの違いによる光電変換層の最上面における光の集光状態を確認した。シミュレーションに用いた光の波長は530nmとした。以降、「1辺がxμmの正方形のセル」を「xμmセル」と呼ぶ。
【0057】
図4は、3.0μmセルを有する撮像装置の光学シミュレーションの結果を説明する図である。図4の(a)は、光の集光状態を観察した画素領域(以下、観察領域とも呼ぶ)を模式的に示した図である。図4の(b)~(j)は、光電変換層の最上面における光強度を示す図である。これらの図において、黒い部分は光強度が弱く、白い部分は光強度が強いことを示している。
【0058】
図4の(a)に示すように、緑カラーフィルター(G)、青カラーフィルター(B)、および赤カラーフィルター(R)が、各画素に対応してベイヤー配列に従って配列されており、観察領域は、緑の画素と周辺画素の一部とを含む。
【0059】
図4の(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)および(j)は、それぞれ、マイクレンズの高さhを0nm(つまり、マイクロレンズ無し)、200nm、400nm、600nm、800nm、1000nm、1200nm、1400nmおよび1600nmとした場合の集光状態を示す。
【0060】
図4の(b)~(j)に示されるように、マイクロレンズの高さhが大きいほど、マイクロレンズの頂点から焦点までの距離Yが短くなり、マイクロレンズに入射した光は、平面視において、画素の中心に一点集中している。
【0061】
具体的には、マイクロレンズの高さhが小さくなるほど、マイクロレンズの頂点から焦点までの距離Y(以下、単に、「焦点までの距離Y」とする)は大きくなる。焦点までの距離Yが、マイクロレンズの頂点から光電変換層の最上面までの距離X(以下、単に、「光電変換層までの距離X」とする)よりも大きくなると、マイクロレンズの焦点は光電変換層の最上面よりも下方に移動するため、光電変換層の最上面における光の集中度は小さくなる。ここで、光の集中度とは、平面視した場合に、画素の中央部分における単位面積当たりの光強度の積分値をいう。
【0062】
一方、マイクロレンズの高さhが大きくなるほど、焦点までの距離Yは短くなり、光電変換層までの距離Xに近付く。つまり、マイクロレンズの高さhが大きくなるほど、マイクロレンズの焦点が光電変換層の最上面に近付くため、光電変換層の最上面における光の集中度は大きくなる。
【0063】
続いて、マイクロレンズの高さhと光電変換層の最上面における光の集中度との関係についてシミュレーションを行った結果を示す。さらに、マイクロレンズの高さhを変化させたイメージセンサを試作し、マイクロレンズの高さhと量子効率の低下率との関係について評価した結果を示す。
【0064】
以下の説明において、第1範囲とは、図6に示すように、3.0μmセルの中央の1辺が1.0μmである正方形の範囲を意味する。第1範囲における光集中度とは、第1範囲において光強度を積分した値である。規格化光集中度とは、マイクロレンズがない場合、すなわちマイクロレンズの高さhが0nmである場合の第1範囲における光集中度を1として、マイクロレンズの各高さhにおける第1範囲における光集中度を規格化した値である。量子効率とは、入射した光の量に対する、光電変換層が吸収した光の量の割合を意味する。量子効率低下率とは、光を照射する前の量子効率と、10万luxの光を150時間照射した後の量子効率との差を意味する。規格化量子効率低下率とは、マイクロレンズの高さhが1400nmのときの量子効率低下率を1として、マイクロレンズの各高さhにおける量子効率低下率を規格化した値である。
【0065】
図5は、マイクロレンズの高さhと第1範囲における規格化光集中度との関係、およびマイクロレンズの高さhと規格化量子効率低下率との関係を示すグラフである。図5において、実線は、マイクロレンズの各高さhにおける規格化光集中度をシミュレーションにより求めた結果を示す。破線は、規格化量子効率低下率を実験により求めた結果を示す。
【0066】
図5の実線で示すグラフより、マイクロレンズの高さhが大きいほど、平面視において、画素の中央に光がより集中する傾向がある。特に、マイクロレンズの高さhが600nm付近から1200nm付近にかけて、規格化光集中度の増加率が大きいことがわかる。また、図5の破線で示すグラフより、マイクロレンズの高さhが大きいほど、光照射後に量子効率が低下しやすい傾向がある。このことから、マイクロレンズの高さhが大きいほど、平面視において、画素の中央に光がより集中しやすいため、画素の中央付近で光電変換層の劣化が進み、結果として量子効率の低下につながったと推測される。
【0067】
言い換えると、マイクロレンズの頂点から焦点までの距離Yがマイクロレンズの頂点から光電変換層の最上面までの距離Xよりも大きくなるにつれて、平面視において、画素の中央への光集中度が低下する。そのため、光照射後に量子効率が低下し難くなる。
【0068】
したがって、Y>Xの関係である場合には、画素の中央に光が集中して入射することを防ぐことができるため、光電変換層が焼き付き等の光ダメージを受けることを防ぐことができる。そのため、撮像装置の耐光性を向上させることができ、量子効率の低下を低減することができる。
【0069】
続いて、マイクロレンズの高さhと量子効率との関係についてシミュレーションを行った。シミュレーションでは、図2に示す構造を有する撮像装置を用いた。図7は、マイクロレンズの高さhと規格化量子効率との関係についてシミュレーションを行った結果を示すグラフである。
【0070】
ここで、規格化量子効率とは、マイクロレンズがない場合、すなわちマイクロレンズの高さhが0nmである場合の量子効率を1として、マイクロレンズの各高さhにおける量子効率を規格化した値である。
【0071】
図7のグラフに示すように、撮像装置が図2に示す構造を有する場合、マイクロレンズの高さhが600nm~800nm付近で、量子効率が最大になる。
【0072】
続いて、マイクロレンズの高さhとマイクロレンズの集光特性との関係についてシミュレーションを行った。本シミュレーションにおいても、規格化量子効率のシミュレーションと同様の構成を有する撮像装置を用いた。図8は、マイクロレンズの高さhと、規格化入射角特性との関係をシミュレーションした結果を示す図である。
【0073】
ここで、入射角特性とは、波長530nmの光を緑カラーフィルターに対応するG(グリーン)画素に照射した際に、G画素に対して0°で(つまり、垂直に)入射した光の量子効率を1として、量子効率が0.8となるときの光の入射角度を意味する。規格化入射角特性とは、マイクロレンズの高さhが0nmである場合の入射角特性を1として、マイクロレンズの各高さhでの入射角特性を規格化した値である。図8のグラフにおいて、規格化入射角特性が大きいほど、マイクロレンズがより広い入射角の光を集光して光電変換に利用できることを示している。
【0074】
図8のグラフから、撮像装置が図2に示す構造を有する場合、マイクロレンズの高さhが800nm~1200nm付近であるとき、入射角特性が優れていることがわかる。特に、マイクロレンズの高さが1000nm付近で入射角特性が最大になることがわかる。
【0075】
以上のシミュレーションの結果から、マイクロレンズの高さhが1400nmである場合、焦点までの距離Yと光電変換層までの距離Xとの関係は、Y≒X(Y<X)であり、マイクロレンズの焦点は、光電変換層の最上面よりやや上方、すなわち、上部電極中に位置する。この時、図4の(i)および図5の実線で示すグラフから、光電変換層の最上面における光強度は大きく、光集中度も大きい。しかしながら、図5の破線で示すように、マイクロレンズの高さhが1400nmである場合に最も光照射後の量子効率が低下している。
【0076】
マイクロレンズの高さhが1000nm、800nm、600nmであるとき、Y>Xである。マイクロレンズの高さが1000nmのとき、マイクロレンズの焦点は、下部電極中に位置し、マイクロレンズの高さが800nmおよび600nmのとき、マイクロレンズの焦点は、層間絶縁層中に位置する。なお、層間絶縁層中には、配線層が存在する。図5の破線で示すように、焦点までの距離Yと光電変換層までの距離Xの関係がY>Xを満たし、マイクロレンズの焦点が光電変換層の最上面より下方に位置し、半導体基板の最上面より上方に位置すると、光照射後の劣化を低減することが可能である。また、図7および図8に示すように、マイクロレンズの高さhが600nm~1200nmにおいて、量子効率および入射角特性が向上している。
【0077】
本開示によれば、積層型の固体撮像装置のマイクロレンズの焦点位置を光電変換層の最上面より下方、さらに、光電変換層の最下面より下方であり半導体基板より上方の長焦点側とすることで、集光効率および耐光性を向上することできる。本開示のマイクロレンズは、従来プロセスおよび材料を用いて、例えば、塗布膜厚およびマイクロレンズ形成時の露光量を変更することによって実現できる。
【0078】
以上説明したように、本開示の撮像装置は、量子効率を低下させることなく光電変換層への光集中度を緩和することができるため、光電変換層の光ダメージを低減することができる。
【0079】
なお、上記したように、マイクロレンズの高さhと、半導体基板の上面からマイクロレンズの焦点までの距離Zとの関係は表2のようになる。よって、図5図7図8に示すグラフは、半導体基板の上面から焦点までの距離Zを横軸としても表現できる。以下に、距離Zを横軸としたグラフに基づいて、再度説明する。
【0080】
図9は、図5に対応し、半導体基板の上面から焦点までの距離Zと規格化光集中度との関係、および半導体基板の上面から焦点までの距離Zと規格化量子効率低下率との関係を示す。図10は、図7に対応し、半導体基板の上面から焦点までの距離Zと規格化量子効率との関係を示す。図11は、図8に対応し、半導体基板の上面から焦点までの距離Zと規格化入射角特性との関係を示す。各図において、Z=0(nm)は半導体基板210の上面に対応する。Z=3500(nm)は光電変換層203の下面に対応する。Z=4000(nm)は光電変換層203の上面に対応する。
【0081】
図9に示すように、焦点が光電変換層の下面よりも下方にあるとき(すなわち、Z<3500のとき)、規格化光集中度が低下し、規格化量子効率低下率も小さくなる。すなわち、焦点を光電変換層の下面よりも下方とすることにより、耐久性を向上することができる。また、図10に示すように、焦点が光電変換層の下面よりも下方にあるとき(すなわち、Z<3500のとき)、規格化量子効率が大きくなる。このように、焦点を光電変換層の下面よりも下方とすることにより、感度を向上しつつ耐久性を向上することができる。さらに、図11に示すように、焦点が光電変換層の下面よりも下方にあるとき(すなわち、Z<3500のとき)、規格化入射角特性は大きくなる。すなわち、焦点を光電変換層の下面よりも下方とすることにより、より広い入射角の光を集光して光電変換に利用できるようになる。
【0082】
以上、本開示に係る撮像装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態に施したものや、実施の形態における一部の構成要素を組み合わせて構築される別の形態も、本開示の範囲に含まれる。以下に本実施の形態の変形例について説明する。
【0083】
図2に示す撮像装置200は、光電変換部212とマイクロレンズ208との間にカラーフィルター206を有している。しかし、カラーフィルター206は必須ではない。図12は、変形例に係る撮像装置の概略断面図である。図12に示す撮像装置300は、絶縁膜205上に直接平坦化膜207が形成されている点で図2に示す撮像装置200と異なる。図12に示す撮像装置300のような構成であっても、マイクロレンズ208の焦点が半導体基板210の上面と光電変換層203の下面との間に位置するように設定すればよい。これにより、図2に示す撮像装置200について説明した効果と同様の効果を得ることができる。
【0084】
また、図2に示す撮像装置200は、半導体基板210とマイクロレンズ208との間に、光電変換部212を一つだけ有している。しかし、半導体基板210とマイクロレンズ208との間に、複数の光電変換部を有していてもよい。図13は、他の変形例に係る撮像装置の概略断面図である。図13に示す撮像装置400は、光電変換部212と絶縁膜205との間に、絶縁膜405および光電変換部412を備える点で、図2に示す撮像装置200と異なる。光電変換部412は、光を透過する上部電極404、上部電極404の下方に位置する下部電極402、および上部電極404と下部電極402との間に位置し、光を電荷に変換する光電変換層403を有する。図13に示す撮像装置400のような場合、マイクロレンズ208の焦点が、半導体基板210の上面と光電変換層203の下面との間であって、かつ、半導体基板210の上面と光電変換層403の下面との間に位置するように設定すればよい。すなわち、マイクロレンズ208の焦点が、半導体基板210の上面と、半導体基板210に最も近い光電変換層203の下面との間に位置するように設定すればよい。これにより、光電変換層203および光電変換層403のそれぞれに対して、図2に示す撮像装置200について説明した効果と同様の効果を得ることができる。なお、光電変換部が3つ以上積層された構成であっても、同様の構成により同様の効果を得ることができる。
【0085】
本開示の撮像装置は、デジタルカメラおよび車載カメラ等のカメラに利用できる。
【符号の説明】
【0086】
200、300、400 撮像装置
201 層間絶縁層
202、402 下部電極
203、403 光電変換層
204、404 上部電極
205、405 絶縁膜
206a 緑カラーフィルター
206b 青カラーフィルター
206c 赤カラーフィルター
206 カラーフィルター層
207 平坦化膜
208 マイクロレンズ
209 信号検出部
210 半導体基板
211 画素
212、412 光電変換部
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13