(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】浴室床装置
(51)【国際特許分類】
E03C 1/20 20060101AFI20240419BHJP
E04F 15/00 20060101ALI20240419BHJP
E04F 15/02 20060101ALI20240419BHJP
【FI】
E03C1/20 C
E03C1/20 B
E03C1/20 A
E04F15/00 101J
E04F15/02 A
(21)【出願番号】P 2020094155
(22)【出願日】2020-05-29
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】野中 重信
(72)【発明者】
【氏名】大城 創太
(72)【発明者】
【氏名】佐橋 直紀
(72)【発明者】
【氏名】石井 大我
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-159310(JP,A)
【文献】特開2004-211317(JP,A)
【文献】特開平8-177217(JP,A)
【文献】特開2005-207031(JP,A)
【文献】特開2015-194010(JP,A)
【文献】特開2011-149272(JP,A)
【文献】特開2010-133104(JP,A)
【文献】特開2008-95433(JP,A)
【文献】特開2020-33705(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/20
E04F 15/00-15/22
E04H 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向及び第2方向のそれぞれに並べられて浴室床を構成する方形平板状の複数枚の浴室床パネルと、該浴室床パネルの四角を支持するように配され、かつ上端部に、隣り合う浴室床パネルの突き合わせられる角部同士を連結するように支持する支持部を有した複数の支持脚と、を備えて
おり、
複数枚の前記浴室床パネルのうちの少なくとも一枚には、排水管に連通される排水口が設けられていることを特徴とする浴室床装置。
【請求項2】
請求項
1において、
複数枚の前記浴室床パネルによって構成される前記浴室床の周囲に立設される壁パネルの下端部を受ける浴室床周方向に長尺状の壁受部材を備えていることを特徴とする浴室床装置。
【請求項3】
請求項1
または2において、
複数枚の前記浴室床パネルによって構成される前記浴室床の上面を被覆するように配され、かつロール状に巻取可能なシート状部材を備えていることを特徴とする浴室床装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室の床を構成する浴室床装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、浴室の床としては、浴槽が載置される浴槽床パンと洗い場床パンとを備えた床パンによって構成されるものが知られている。このような床パンは、大型化する傾向があり、運搬や施工の際に取り扱い難いという問題があった。
例えば、下記特許文献1には、平面正方形状に形成された複数枚のパネルを連結して防水面を構成する防水床構造が開示されている。この防水床構造では、各パネルの四隅部の裏面にプレート付ナットを固着し、このプレート付ナットに螺合する支持脚を設けた構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された防水床構造では、複数枚のパネルのそれぞれを四本の支持脚によって支持する構成とされているため、多数の支持脚を設置する必要があり、更なる改善が望まれる。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、運搬や施工の際における取扱性の向上が可能でありながらも、施工性を向上し得る浴室床装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る浴室床装置は、第1方向及び第2方向のそれぞれに並べられて浴室床を構成する方形平板状の複数枚の浴室床パネルと、該浴室床パネルの四角を支持するように配され、かつ上端部に、隣り合う浴室床パネルの突き合わせられる角部同士を連結するように支持する支持部を有した複数の支持脚と、を備えており、複数枚の前記浴室床パネルのうちの少なくとも一枚には、排水管に連通される排水口が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る浴室床装置は、上述のような構成としたことで、運搬や施工の際における取扱性の向上が可能でありながらも、施工性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る浴室床装置の一例を模式的に示す一部省略概略平面図である。
【
図2】同浴室床装置の一部省略概略分解斜視図である。
【
図3】
図1におけるX-X線矢視に対応させた一部破断概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
なお、一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
また、以下の実施形態では、本実施形態に係る浴室床装置を施工した状態を基準として上下方向等の方向を説明する。
図1~
図3は、本実施形態に係る浴室床装置の一例を模式的に示す図である。
【0010】
本実施形態に係る浴室床装置1は、
図1に示すように、第1方向及び第2方向のそれぞれに並べられて浴室床を構成する方形平板状の複数枚の浴室床パネル10,10Aと、浴室床パネル10,10Aを支持する複数の支持脚20と、を備えている。このような構成とすれば、各浴室床パネル10,10Aの小型化を図ることができ、運搬や施工の際における取扱性を向上させることができる。また、第1方向及び第2方向のそれぞれに並べる枚数を変更することで、種々の大きさの浴室に柔軟に対応することができる。
この浴室床装置1は、戸建住宅や集合住宅等の住宅用に限られず、医療施設や福祉施設等の施設用であってもよい。
【0011】
本実施形態では、複数枚の浴室床パネル10,10Aのうちの少なくとも一枚を、排水管3(
図3参照)に連通される排水口13が設けられた排水口パネル10Aとしている。このような構成とすれば、この排水口13が設けられた排水口パネル10Aを、浴室床の適所に配置することができ、排水口13の配置自由度を向上させることができる。図例では、一枚の排水口パネル10Aを設けた例を示しているが、二枚以上の排水口パネル10Aを設けた構成としてもよい。この排水口パネル10Aの排水口13は、適宜のトラップ部を受け入れる筒状部によって区画されていてもよい。この排水口パネル10Aの排水口13周囲の厚さ寸法は、他の浴室床パネル10の厚さ寸法と同寸法とされている。浴室床パネル10の厚さ寸法は、10mm~50mm程度であってもよい。なお、排水口パネル10Aと他の浴室床パネル10とは、排水口13の有無以外については同様の構成であるので、以下では、区別を要しない場合には、浴室床パネル10として説明する。
【0012】
浴室床パネル10は、厚さ方向に直交する第1方向に沿う寸法と、第1方向及び厚さ方向に直交する第2方向に沿う寸法と、が同寸法とされている。つまり、浴室床パネル10は、平面視して(厚さ方向に見て)略正方形状とされている。この浴室床パネル10の第1方向及び第2方向に沿う寸法は、取扱性や施工性を向上させる観点等から適宜の寸法としてもよく、例えば、300mm~1000mm程度であってもよい。
なお、浴室床パネル10の四角の各角部12に、後記する支持脚20に浴室床パネル10を固定するねじ等の固着具が挿通される挿通孔を設けた構成としてもよい。
また、浴室床パネル10は、適宜の基材の表裏面に面材が設けられた複層構造とされたものでもよく、繊維強化プラスチック等の合成樹脂成形品であってもよい。
【0013】
支持脚20は、浴室床パネル10の四角を支持するように配される。この支持脚20の上端部には、
図1~
図3に示すように、隣り合う浴室床パネル10,10の突き合わせられる角部12,12同士を連結するように支持する支持部24が設けられている。このような構成とすれば、各浴室床パネル10の四角を安定的に支持脚20によって支持可能でありながらも、隣り合う浴室床パネル10,10の突き合わせられる角部12,12を、一本の支持脚20によって支持することができる。これにより、複数枚の浴室床パネル10を効率的に支持することができ、施工性を向上させることができる。
この支持脚20の接地対象2は、上階と下階との間や地盤上に設けられた基礎スラブや床スラブ等のスラブ(コンクリートスラブ)であってもよく、また、スラブ上に敷設された防水シートやクッション材等のシートであってもよい。
【0014】
支持脚20の下端部には、接地対象2上に配される台座21が設けられている。図例では、台座21を、上下方向に厚さ方向を沿わせて配される金属製の板状とした例を示しているが、防振ゴム等から形成されたものであってもよい。また、図例では、支持脚20の台座21を円板状とした例を示しているが、方形板状等としてもよい。
支持脚20は、台座21から上方側に向けて立ち上がるように設けられた支柱22を備えている。この支柱22の上端部に、支持部24が設けられている。支持部24は、上下方向に厚さ方向を沿わせて配される金属製の板状とされている。
図1に示すように、浴室床の角部に配される支持脚20は、角部に配される一枚の浴室床パネル10の角部12を支持する。また、浴室床の外周側辺部の途中部に配される支持脚20は、辺長手方向に隣り合う二枚の浴室床パネル10,10の突き合わせられる角部12,12を支持する。また、浴室床の中央側に配される支持脚20は、四枚の浴室床パネル10,10,10,10の突き合わせられる角部12,12,12,12を支持する。
【0015】
図例では、この支持部24を、略方形板状とした例を示している。この支持部24は、当該支持部24上において突き合わせられる浴室床パネル10の角部12の支持が可能なように第1方向及び第2方向に沿う寸法が適宜の寸法とされている。
なお、支持部24の四角に、浴室床パネル10の角部12を支持部24に固定するねじがねじ合わされる雌ねじ部を設けた構成としてもよい。また、支持部24と浴室床パネル10の角部12とは、ねじによって固定される態様に代えて、支持部24及び浴室床パネル10の角部12のうちの一方に設けられた凹部に嵌め込まれる突部を他方に設けて固定される態様等としてもよい。また、支持部24に支持される隣り合う浴室床パネル10間に適宜のシーリング材を充填するようにしてもよい。
【0016】
また、支持脚20は、支柱22に支持部24を上下動可能に設けた構成とされていてもよい。このような構成とすれば、接地対象2の不陸に応じて支持部24の接地対象2からの高さを微調整することができる。
例えば、支柱22の少なくとも上端側部位を雄ねじ部とし、この雄ねじ部の上端部に、支持部24の下方側で支持部24を支持し、雄ねじ部に対して上下動される調整ナット部材23がねじ合わされていてもよい。なお、支柱22は、金属製であってもよい。また、支持部24を支柱22に上下動可能に設ける態様としては、上記のような構成とされたものに限られず、その他、種々の構成とされたものであってもよい。また、浴室床パネル10によって構成される浴室床面に適宜の勾配が形成されるように、支柱22の長さが異なる複数種の支持脚20を備えた構成としてもよい。
【0017】
複数の支持脚20は、互いに等間隔を空けて(等ピッチで)配置される。
図1では、16枚の浴室床パネル10と25本の支持脚20とによって平面視して略正方形状の浴室床を構成した例を示している。これら支持脚20は、浴室床の一辺に相当する箇所からこの一辺に対向する他辺側に向けて順次、レベル調整しながら設置するようにしてもよい。
なお、上記した例では、浴室床パネル10を、平面視して略正方形状とした例を示しているが、このような態様に限られず、平面視して略長方形状としてもよい。また、第1方向及び第2方向に並べられる浴室床パネル10の枚数や、複数枚の浴室床パネル10によって形成される浴室床の形状は、図例のような形状に限られず、種々の変形が可能である。
【0018】
浴室床装置1は、複数枚の浴室床パネル10によって構成される浴室床の周囲に立設される壁パネル4の下端部5を受ける浴室床周方向に長尺状の壁受部材16を備えている。このような構成とすれば、浴室床の周囲に壁受部材16を設けて壁パネル4の下端部5を保持させることができる。また、従来のような床パンの周縁部に一体的に壁受部やドア受部等を設けたものと比べて、壁受部材16の長さや配置箇所を調整することで、壁パネル4を設置する箇所と建具6を設置する箇所とを自由に配置変更することができる。これにより、建具6の配置自由度を向上させることができる。
【0019】
この壁受部材16は、
図1及び
図3に示すように、浴室床の最外周側に設置される支持脚20の支持部24上に支持される。図例では、壁受部材16に、支持部24上に支持され、最外周側の浴室床パネル10の端面に沿うように配される基端側片部17を設けた例を示している。また、壁受部材16に、この基端側片部17の上端部から外周側(浴室外側)に向けて延出し、壁パネル4の下端部5が載置される載置片部18と、この載置片部18の延出方向先端部から上方側に向けて立ち上がる立上片部19と、を設けた例を示している。この壁受部材16は、基端側片部17が適宜の固定具等によって支持脚20の支持部24や浴室床パネル10に固定されるものであってもよい。また、載置片部18上や、立上片部19の内周面(浴室内側に向く面)に、適宜のシール部材を設けた構成としてもよい。また、浴室床パネル10の端面と壁受部材16との間に適宜のシーリング材を充填するようにしてもよい。
【0020】
この壁受部材16は、
図1に示すように、浴室床の外周の全周に亘って設けられておらず、浴室床の外周の一部に建具設置スペースが形成されるように設けられている。図例では、浴室床の一角部から一辺の途中部位に至るまでの部分に、壁受部材16を設けずに、建具6を設けた例を示している。この建具6を受ける建具受部材を、浴室床の最外周側に設置される支持脚20の支持部24に支持させた構成としてもよい。
なお、壁受部材16としては、上記のような構成とされたものに限られず、その他、種々の構成とされたものであってもよい。
【0021】
また、浴室床装置1は、
図2及び
図3に示すように、複数枚の浴室床パネル10によって構成される浴室床の上面11を被覆するように配され、かつロール状に巻取可能なシート状部材14,15を備えている。このような構成とすれば、浴室床パネル10の上面11をシート状部材14,15によって被覆することができ、防水性や意匠性を向上させることができる。また、シート状部材14,15がロール状に巻取可能であるので、巻物状態で運搬し、広げるようにして施工することができ、運搬や施工の際における取扱性を向上させることができる。図例では、シート状部材14,15として、防水シート等の第1シート状部材14と、この第1シート状部材14を覆うように配される仕上シート等の第2シート状部材15と、を設けた例を示している。
【0022】
これらシート状部材14,15は、塩化ビニルシートやゴムシート等の可撓性を有したものであってもよい。また、これらシート状部材14,15の巻取方向及び厚さ方向に直交する幅寸法は、浴室床パネル10の一辺の寸法よりも大とされていてもよく、浴室床パネル10の一辺の寸法を整数倍した寸法等であってもよい。
なお、第2シート状部材15上に、適宜の浴槽7(
図1参照)を設置するようにしてもよい。また、当該浴室床装置1は、上記した壁パネル4や建具6、図示省略の天井パネル、浴槽7等とによって浴室ユニットを構成するものであってもよい。
また、浴室床パネル10の上面11を被覆するシート状部材14,15としては、二枚に限られず、一枚であってもよく、三枚以上であってもよい。また、このようなシート状部材14,15を設けた態様に代えて、浴室床パネル10の上面11に適宜の防水塗装等が施されるものであってもよい。なお、上記した浴室床装置1の各部及び各部材の構成は、上記したような態様に限られず、その他、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0023】
1 浴室床装置
10 浴室床パネル
10A 排水口パネル(浴室床パネル)
11 上面
12 角部
13 排水口
14 第1シート状部材(シート状部材)
15 第2シート状部材(シート状部材)
16 壁受部材
20 支持脚
24 支持部
3 排水管
4 壁パネル
5 下端部