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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】水栓
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/042 20060101AFI20240419BHJP
【FI】
E03C1/042 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020077531
(22)【出願日】2020-04-24
(65)【公開番号】P2021075997
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】P 2019200573
(32)【優先日】2019-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】山口 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】村上 徹
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 雅哉
(72)【発明者】
【氏名】川上 尊生
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-005623(JP,A)
【文献】特開2019-173438(JP,A)
【文献】特開2012-092580(JP,A)
【文献】特開2004-250893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/00 - 1/10
A47K 3/20 - 4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐水口が形成されたスパウト本体部と、
前記スパウト本体部に取り付けられ、前記吐水口からの吐水形態を変更可能とするプッシュボタンと、を備え、
前記プッシュボタンは、前記スパウト本体部から外側に突出して第1の吐水形態に対応する第1のプッシュ位置と、前記第1のプッシュ位置よりも前記スパウト本体部側に押し込まれて第2の吐水形態に対応する第2のプッシュ位置とに移動可能であり、
前記プッシュボタンの表面には、前記プッシュボタンのプッシュ位置に応じて、前記プッシュボタンの突出レベルを表す突出レベル表示部が設けられており、
前記突出レベル表示部において、前記プッシュボタンの押し込み方向に間隔を空けて配置された複数の図形を有し、
前記図形は前記プッシュボタンが前記スパウト本体部側に押し込まれる度に1つずつ減り、
前記複数の図形のうち、前記第1のプッシュ位置のときに前記スパウト本体部から露出する少なくとも1つの図形が、前記第2のプッシュ位置のときに前記スパウト本体部によって覆われる、水栓。
【請求項2】
前記複数の図形は同形状である、請求項に記載の水栓。
【請求項3】
前記プッシュボタンは、前記第2のプッシュ位置よりも前記スパウト本体部側に押し込まれて第3の吐水形態に対応する第3のプッシュ位置にさらに移動可能であって、
前記突出レベル表示部において、前記第2のプッシュ位置のときに前記スパウト本体部から露出する領域の少なくとも一部が、前記第3のプッシュ位置のときに前記スパウト本体部によって覆われる、請求項2に一項に記載の水栓。
【請求項4】
前記スパウト本体部の表面には、
前記第1のプッシュ位置のときの前記突出レベル表示部に対応する第1の表示、及び前記第2のプッシュ位置のときの前記突出レベル表示部に対応する第2の表示を有する対応表示部と、
前記第1の表示に対応して前記第1の吐水形態を表す第1のシンボル、及び前記第2の表示に対応して前記第2の吐水形態を表す第2のシンボルを有するシンボル表示部と、が設けられている、請求項1からのいずれか1つに記載の水栓。
【請求項5】
前記対応表示部で表示される前記第1の表示及び前記第2の表示は、それぞれ、前記シンボル表示部で表示される前記第1のシンボル及び前記第2のシンボルと、前記スパウト本体部が伸びる方向に並んで配置される、請求項に記載の水栓。
【請求項6】
吐水口が形成されたスパウト本体部と、
前記スパウト本体部に取り付けられ、前記吐水口からの吐水形態を変更可能とするプッシュボタンと、を備え、
前記プッシュボタンは、前記スパウト本体部から外側に突出して第1の吐水形態に対応する第1のプッシュ位置と、前記第1のプッシュ位置よりも前記スパウト本体部側に押し込まれて第2の吐水形態に対応する第2のプッシュ位置とに移動可能であり、
前記プッシュボタンの表面には、前記プッシュボタンのプッシュ位置に応じて、前記プッシュボタンの突出レベルを表す突出レベル表示部が設けられており、
前記スパウト本体部の表面には、
前記第1のプッシュ位置のときの前記突出レベル表示部に対応する第1の表示、及び前記第2のプッシュ位置のときの前記突出レベル表示部に対応する第2の表示を有する対応表示部と、
前記第1の表示に対応して前記第1の吐水形態を表す第1のシンボル、及び前記第2の表示に対応して前記第2の吐水形態を表す第2のシンボルを有するシンボル表示部と、が設けられている、水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の水栓には、例えば、特許文献1に記載されているものが知られている。特許文献1には、レバーを操作することによって、水道蛇口からの原水をシャワー水、ストレート水、又は浄水として吐出するかを選択して吐水形態を切り換えることができる構成が記載されている。
【0003】
特許文献1において、吐水形態の切換状態は、表示部に表示される。当該表示部は、表示窓と、表示窓の内側に配置される表示ロールと、表示ロールを軸支するロール軸などから構成される。表示ロールには、切換状態を示す文字及びイラストが印刷されている。レバーを操作することで、ロール軸と共に表示ロールが回動し、表示ロールに印刷された吐水形態が表示窓を通じて表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-162272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、表示部を見ることで吐水形態を確認できるものの、表示ロールやロール軸等の回転機構を設ける必要があり、構成が複雑になっていた。このため、簡易な構成で、ユーザに対して吐水形態を容易に認識させる観点において、未だ改善の余地があると言える。
【0006】
本発明の目的は、上記課題を解決することにあって、簡易な構成で、ユーザに対して吐水形態を容易に認識させることができる水栓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の1態様の水栓は、吐水口が形成されたスパウト本体部と、前記スパウト本体部に取り付けられ、前記吐水口からの吐水形態を変更可能とするプッシュボタンと、を備え、前記プッシュボタンは、前記スパウト本体部から外側に突出して第1の吐水形態に対応する第1のプッシュ位置と、前記第1のプッシュ位置よりも前記スパウト本体部側に押し込まれて第2の吐水形態に対応する第2のプッシュ位置とに移動可能であり、前記プッシュボタンの表面には、前記プッシュボタンのプッシュ位置に応じて、前記プッシュボタンの突出レベルを表す突出レベル表示部が設けられており、前記突出レベル表示部において、前記プッシュボタンの押し込み方向に間隔を空けて配置された複数の図形を有し、前記図形は前記プッシュボタンが前記スパウト本体部側に押し込まれる度に1つずつ減り、前記複数の図形のうち、前記第1のプッシュ位置のときに前記スパウト本体部から露出する少なくとも1つの図形が、前記第2のプッシュ位置のときに前記スパウト本体部によって覆われていることを特徴とする。
また上記目的を達成するために、本発明の1様態の水栓は、吐水口が形成されたスパウト本体部と、前記スパウト本体部に取り付けられ、前記吐水口からの吐水形態を変更可能とするプッシュボタンと、を備え、前記プッシュボタンは、前記スパウト本体部から外側に突出して第1の吐水形態に対応する第1のプッシュ位置と、前記第1のプッシュ位置よりも前記スパウト本体部側に押し込まれて第2の吐水形態に対応する第2のプッシュ位置とに移動可能であり、前記プッシュボタンの表面には、前記プッシュボタンのプッシュ位置に応じて、前記プッシュボタンの突出レベルを表す突出レベル表示部が設けられており、前記スパウト本体部の表面には、前記第1のプッシュ位置のときの前記突出レベル表示部に対応する第1の表示、及び前記第2のプッシュ位置のときの前記突出レベル表示部に対応する第2の表示を有する対応表示部と、前記第1の表示に対応して前記第1の吐水形態を表す第1のシンボル、及び前記第2の表示に対応して前記第2の吐水形態を表す第2のシンボルを有するシンボル表示部と、が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る水栓によれば、簡易な構成で、ユーザに対して吐水形態を容易に認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本発明の実施形態に係る水栓の斜視図
図1B】実施形態における吐水部の周辺を拡大して示す正面図
図2A】本発明の実施形態に係る水栓のプッシュボタンの第1のプッシュ位置を示す側面図
図2B】本発明の実施形態に係る水栓のプッシュボタンの第2のプッシュ位置を示す側面図
図2C】本発明の実施形態に係る水栓のプッシュボタンの第3のプッシュ位置を示す側面図
図3】本発明の実施形態に係るスパウト本体部及びプッシュボタンを示す平面図
図4A】本発明の実施形態に係るプッシュボタンが第1のプッシュ位置に位置する状態のスパウト本体部及びプッシュボタンを示す平面図
図4B】本発明の実施形態に係るプッシュボタンが第2のプッシュ位置に位置する状態のスパウト本体部及びプッシュボタンを示す平面図
図4C】本発明の実施形態に係るプッシュボタンが第3のプッシュ位置に位置する状態のスパウト本体部及びプッシュボタンを示す平面図
図5A】変形例の水栓のプッシュボタンが第1のプッシュ位置に位置する状態のスパウト本体部及びプッシュボタンを示す平面図
図5B】変形例のプッシュボタンが第2のプッシュ位置に位置する状態のスパウト本体部及びプッシュボタンを示す平面図
図5C】変形例のプッシュボタンが第3のプッシュ位置に位置する状態のスパウト本体部及びプッシュボタンを示す平面図
図6A】別の変形例の水栓のプッシュボタンが第1のプッシュ位置に位置する状態のスパウト本体部及びプッシュボタンを示す平面図
図6B】別の変形例の水栓のプッシュボタンが第2のプッシュ位置に位置する状態のスパウト本体部及びプッシュボタンを示す平面図
図6C】別の変形例の水栓のプッシュボタンが第3のプッシュ位置に位置する状態のスパウト本体部及びプッシュボタンを示す平面図
図7A図6Aとは別の変形例のスパウト本体部及びプッシュボタンを示す平面図
図7B図6Bとは別の変形例のスパウト本体部及びプッシュボタンを示す平面図
図7C図6Cとは別の変形例のスパウト本体部及びプッシュボタンを示す平面図
図8】実施形態におけるスパウト本体部の筒状部を一部省略した斜視図
図9】実施形態における弁保持部材の斜視図
図10】実施形態におけるカートリッジ部の斜視図
図11】実施形態における複数の弁、弁保持部材、接続部材、吐水部の分解斜視図
図12A】実施形態における第1弁、弁保持部材、接続部材および吐水部の断面を示す斜視図
図12B】実施形態における第2弁、弁保持部材、接続部材および吐水部の断面を示す斜視図
図12C】実施形態における第3弁、弁保持部材、接続部材および吐水部の断面を示す斜視図
図13】実施形態における弁保持部材やスライド部材などの斜視図
図14】実施形態におけるスライド部材の延在部の周辺を拡大して示す斜視図
図15】実施形態におけるスライド部材の延在部の周辺を拡大して示す平面図
図16A】実施形態におけるプッシュボタンとスライド部材が第1停止位置にある状態の平面図
図16B】実施形態におけるプッシュボタンとスライド部材が第2停止位置にある状態の平面図
図16C】実施形態におけるプッシュボタンとスライド部材が第3停止位置にある状態の平面図
図17】実施形態におけるプッシュボタンとスライド部材の内側を示す斜視図
図18A】実施形態におけるピンの引っ掛け部が溝部を移動する順序を示す側面図(第1停止位置)
図18B】実施形態におけるピンの引っ掛け部が溝部を移動する順序を示す側面図
図18C】実施形態におけるピンの引っ掛け部が溝部を移動する順序を示す側面図(第2停止位置)
図18D】実施形態におけるピンの引っ掛け部が溝部を移動する順序を示す側面図
図18E】実施形態におけるピンの引っ掛け部が溝部を移動する順序を示す側面図(第3停止位置)
図18F】実施形態におけるピンの引っ掛け部が溝部を移動する順序を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の第1態様によれば、吐水口が形成されたスパウト本体部と、スパウト本体部に取り付けられ、吐水口からの吐水形態を変更可能とするプッシュボタンと、を備え、プッシュボタンは、スパウト本体部から外側に突出して第1の吐水形態に対応する第1のプッシュ位置と、第1のプッシュ位置よりもスパウト本体部側に押し込まれて第2の吐水形態に対応する第2のプッシュ位置とに移動可能であり、プッシュボタンの表面には、プッシュボタンのプッシュ位置に応じて、プッシュボタンの突出レベルを表す突出レベル表示部が設けられている水栓を提供する。
【0011】
本発明の第2態様によれば、突出レベル表示部において、第1のプッシュ位置のときにスパウト本体部から露出する領域の少なくとも一部が、第2のプッシュ位置のときにスパウト本体部によって覆われる、第1態様に記載の水栓を提供する。
【0012】
本発明の第3態様によれば、突出レベル表示部は、プッシュボタンの押し込み方向に間隔を空けて配置された複数の図形を有し、複数の図形のうち、第1のプッシュ位置のときにスパウト本体部から露出する少なくとも1つの図形が、第2のプッシュ位置のときにスパウト本体部によって覆われる、第2態様に記載の水栓を提供する。
【0013】
本発明の第4態様によれば、複数の図形は同形状である、第3態様に記載の水栓を提供する。
【0014】
本発明の第5態様によれば、プッシュボタンは、第2のプッシュ位置よりもスパウト本体部側に押し込まれて第3の吐水形態に対応する第3のプッシュ位置にさらに移動可能であって、突出レベル表示部において、第2のプッシュ位置のときにスパウト本体部から露出する領域の少なくとも一部が、第3のプッシュ位置のときにスパウト本体部によって覆われる、第2態様から第4態様のいずれか1つに記載の水栓を提供する。
【0015】
本発明の第6態様によれば、スパウト本体部の表面には、第1のプッシュ位置のときの突出レベル表示部に対応する第1の表示、及び第2のプッシュ位置のときの突出レベル表示部に対応する第2の表示を有する対応表示部と、第1の表示に対応して第1の吐水形態を表す第1のシンボル、及び第2の表示に対応して第2の吐水形態を表す第2のシンボルを有するシンボル表示部と、が設けられている、第1態様から第5態様のいずれか1つに記載の水栓を提供する。
【0016】
本発明の第7態様によれば、対応表示部で表示される第1の表示及び第2の表示は、それぞれ、シンボル表示部で表示される第1のシンボル及び第2のシンボルと、スパウト本体部が延びる方向に並んで配置される、第6態様に記載の水栓を提供する。
【0017】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
(実施形態)
図1Aを用いて水栓1の概略構成について説明する。図1Aは、本実施形態に係る水栓1の斜視図である。水栓1は、例えば、キッチン、洗面所、バス等に設けられる水栓装置である。図1Aに示すように、水栓1は、スパウト本体部10と、スパウト本体部10に取り付けられるプッシュボタン30とを有する。
【0019】
スパウト本体部10は、給水管(図示略)に接続されて吐水を行う、水栓1の本体部分である。スパウト本体部10は、例えば、取付部(図示略)に対して引き出し可能に設けられる。本実施形態のスパウト本体部10は、筒状部12と、筒状部12から延びて吐水を行う吐水部14とを有する。
【0020】
筒状部12は、軸方向Aに延びる筒状部材である。吐水部14は、筒状部12の先端部から軸方向Aと交差する吐水方向Bに延びる部材である。吐水部14には、吐水方向Bに開口した吐水口16が形成される。吐水口16は、スパウト本体部10の内部に形成された流路(図示略)と接続する。給水管から給水される水は、当該流路を通って吐水口16から吐水される。
【0021】
図1Bは、吐水部14の周辺を拡大して示す正面図である。図1Bに示すように、吐水部14の吐水面115には、吐水口16として、ストレート吐水口118とシャワー吐水口120が形成される。ストレート吐水口118は、ストレート状の吐水を行うための開口であり、吐水面115の中心に形成された1つの孔で構成される。シャワー吐水口120は、シャワー状の吐水を行うための開口であり、ストレート吐水口118の周囲に同心状に設けられた多数の孔で構成される。
【0022】
プッシュボタン30は、吐水口16からの吐水形態を変更できるように構成されたボタンである。プッシュボタン30は、スパウト本体部10(筒状部12)の先端から突出して設けられ、スパウト本体部10の内部に押し込み可能に構成される。本実施形態のプッシュボタン30は、プッシュ方向A1に押し込み可能に構成されており、プッシュ方向A1は、筒状部12が延びる軸方向Aと同じ方向である。プッシュボタン30が押される度に、吐水口16からの吐水形態が変更される。
【0023】
水栓1における吐水形態は、複数の形態を有する。本実施形態の吐水形態は、3形態である。吐水形態は、シャワー吐水(原水シャワー吐水)、ストレート吐水(原水ストレート吐水)、浄水吐水(浄水ストレート吐水)である。ここで、シャワー吐水とは、給水管から供給される原水がシャワー吐水口120からシャワー状に吐水される形態を示す。ストレート吐水は、原水がストレート吐水口118からストレート状に吐水される形態を示す。浄水吐水は、濾過フィルタ等の浄水部(図示略)を通じて吐水される形態を示す。本実施形態の浄水吐水は、ストレート吐水口118からストレート状に吐水される。
【0024】
次に、プッシュボタン30の突出位置であるプッシュ位置(停止位置)について、図2A図2Cを用いて説明する。図2A図2Cは、水栓1の側面図である。図2A図2Cに示すように、水栓1のプッシュボタン30は、複数のプッシュ位置に移動可能に構成される。本実施形態のプッシュボタン30は、第1のプッシュ位置P1(第1停止位置P1)(図2A)、第2のプッシュ位置P2(第2停止位置P2)(図2B)、及び第3のプッシュ位置P3(第3停止位置P3)(図2C)に移動可能に構成される。
【0025】
具体的には、プッシュボタン30は、図2Aの第1のプッシュ位置P1のときに一度ボタンが押されると、図2Aに示す第1のプッシュ位置P1から図2Bに示す第2のプッシュ位置P2に移動する。さらにボタンが押されると、プッシュボタン30は、図2Bに示す第2のプッシュ位置P2から図2Cに示す第3のプッシュ位置P3に移動する。さらにボタンが押されると、プッシュボタン30は、図2Cに示す第3のプッシュ位置P3から第1のプッシュ位置P1に戻る。このように、プッシュボタン30は、ユーザのプッシュ操作に応じて、プッシュ位置P1,P2,P3の順に移動し、この移動を繰り返していく。
【0026】
図2Aに示すように、第1のプッシュ位置P1は、スパウト本体部10から最も外側に突出した位置であり、第1の吐水形態に対応する。本実施形態の第1の吐水形態は、シャワー吐水である。プッシュボタン30が図2Aに示す第1のプッシュ位置P1に位置する状態において、吐水口16のシャワー吐水口120からからシャワー吐水される。
【0027】
図2Bに示すように、第2のプッシュ位置P2は、第1のプッシュ位置P1から1段階内側に押し込まれた位置であり、第2の吐水形態に対応する。本実施形態の第2の吐水形態は、ストレート吐水である。プッシュボタン30が図2Bに示す第2のプッシュ位置P2に位置する状態において、吐水口16のストレート吐水口118からからストレート吐水される。
【0028】
図2Cに示すように、第3のプッシュ位置P3は、第2のプッシュ位置P2からさらに1段階内側に押し込まれた位置であり、第3の吐水形態に対応する。本実施形態の第3の吐水形態は、浄水吐水である。プッシュボタン30が図2Cに示す第3のプッシュ位置P3に位置する状態において、吐水口16のストレート吐水口118からから浄水吐水される。
【0029】
次に、図3を用いて、スパウト本体部10及びプッシュボタン30に設けられた表示部の構成について説明する。図3は、スパウト本体部10及びプッシュボタン30の平面図である。なお、図3における一点鎖線は、スパウト本体部10及びプッシュボタン30に実際に設けられた線ではなく、説明の便宜上設けられた線である。
【0030】
図3に示すように、プッシュボタン30の表面には、突出レベル表示部32が設けられる。突出レベル表示部32は、プッシュボタン30のプッシュ位置に応じて、プッシュボタン30の突出レベルを表す部分である。突出レベル表示部32は、例えば、プッシュボタン30に印刷して形成されていてもよく、あるいは、プッシュボタン30に張られたシールであってもよい。
【0031】
本実施形態の突出レベル表示部32は、プッシュボタン30の上部(平面視において視認可能な位置)に設けられる。これにより、ユーザに突出レベル表示部32を容易に視認させることができる。
【0032】
スパウト本体部10の筒状部12の表面には、対応表示部18及びシンボル表示部20が設けられる。対応表示部18は、プッシュボタン30が各プッシュ位置に位置するときの突出レベル表示部32の表示に対応する表示部である。シンボル表示部20は、各吐水形態を表すシンボルを表示する表示部であって、対応表示部18に隣接して設けられる。対応表示部18及びシンボル表示部20は、プッシュボタン30のプッシュ方向A1に並んで設けられる。ここで、シンボルは、吐水形態を模した図形等を含む。
【0033】
対応表示部18及びシンボル表示部20は、突出レベル表示部32と同様に、スパウト本体部10(筒状部12)に印刷して形成されていてもよく、あるいは、スパウト本体部10に張られたシールであってもよい。
【0034】
本実施形態の対応表示部18及びシンボル表示部20は、スパウト本体部10(筒状部12)の上部(平面視において視認可能な位置)に設けられる。これにより、ユーザに突出レベル表示部32を容易に視認させることができる。
【0035】
突出レベル表示部32を設けることによって、プッシュボタン30の突出レベルをユーザに視認させることができる。図3では、第1のプッシュ位置P1に対応する第1の突出レベルを表示している。ユーザは、第1の突出レベルのときにシャワー吐水されることを経験的に学ぶことで、突出レベル表示部32によるプッシュボタン30の突出レベルを確認して現在の吐水形態を間接的に認識することができる。これにより、簡易な構成で、ユーザに対して吐水形態を容易に認識させることができる。
【0036】
さらに、対応表示部18及びシンボル表示部20を設けることによって、プッシュボタン30の突出レベルに対応する吐水形態を、対応表示部18及びシンボル表示部20を通じてより容易に認識することができる。
【0037】
次に、図4A図4Cを用いて、各プッシュ位置P1,P2,P3におけるスパウト本体部10及びプッシュボタン30の構成について詳細に説明する。図4A図4Cは、それぞれ、プッシュボタン30がプッシュ位置P1,P2,P3に位置するときのスパウト本体部10及びプッシュボタン30の平面図である。
【0038】
図4A図4Cに示すように、プッシュボタン30が第1のプッシュ位置P1に位置するときに、突出レベルが最も高く、第2のプッシュ位置P2、第3のプッシュ位置P3の順に突出レベルが低くなる。
【0039】
本実施形態の突出レベル表示部32は、複数の図形34を有する。突出レベル表示部32は、図形34の数によってプッシュボタン30の突出レベルを表示する。複数の図形34は、プッシュボタン30のプッシュ方向A1に間隔を空けて配置される。具体的には、複数の図形34は、プッシュボタン30のプッシュ位置に応じて複数の図形34の一部又は全部がスパウト本体部10に対して覆われるように、互いに間隔を空けて配置される。本実施形態の図形34は、プッシュボタン30において2つ設けられる。
【0040】
複数の図形34は、(丸形状等の)同形状に設けられる。本明細書において、図形は、図柄(模様)、文字、記号、2次元形状、3次元形状等の任意の図形を含む。
【0041】
第1のプッシュ位置P1のときに、複数の図形34のすべて(2つ)が露出する。これにより、プッシュボタン30の突出レベルが最大であることを表示することができる。
【0042】
突出レベル表示部32において、第1のプッシュ位置P1(図4A)のときにスパウト本体部10から露出する図形34のうちの1つが、第2のプッシュ位置P2(図4B)のときにスパウト本体部10によって覆われる。すなわち、第1のプッシュ位置P1のときにスパウト本体部10から露出する領域の一部が、第2のプッシュ位置P2のときにスパウト本体部10によって覆われる。これにより、第2のプッシュ位置P2のときに、1つの図形34が露出することで、突出レベルが最大のレベルの次のレベルであることを表示することができる。
【0043】
本実施形態では、さらに、第2のプッシュ位置P2(図4B)のときにスパウト本体部10から露出する1つの図形34が、第3のプッシュ位置P3(図4C)のときにスパウト本体部10によって覆われる。すなわち、第2のプッシュ位置P2のときにスパウト本体部10から露出する領域の一部が、第3のプッシュ位置P3のときにスパウト本体部10によって覆われる。これにより、第3のプッシュ位置P3のときに、図形34が露出していないことで、突出レベルが最小のレベルであることを表示することができる。
【0044】
このように、プッシュボタン30がスパウト本体部10から最も突出した位置(P1)からスパウト本体部10側に最も押し込まれた位置(P3)まで、プッシュボタン30が押される度に図形34が1つずつ減っていく。これにより、突出レベル表示部32は、ユーザに対して、プッシュボタン30の突出レベルを視認させることができる。
【0045】
本実施形態の対応表示部18には、プッシュ位置に応じて露出する複数の図形34に対応する図形が表示される。対応表示部18は、第1の表示18a、第2の表示18b、及び第3の表示18cを有する。本実施形態の第3の表示18cは、空白である。表示18a,18b,18cは、それぞれ、プッシュ位置P1,P2,P3のときの突出レベル表示部32の表示に対応する表示である。
【0046】
本実施形態の第1の表示18aは、第1のプッシュ位置P1のプッシュボタン30の露出した領域に表示される2つの図形34と同様の図形である。本実施形態の第2の表示18bは、第2のプッシュ位置P2のプッシュボタン30の露出した領域に表示される1つの図形34と同様の図形である。本実施形態の第3の表示18cは、プッシュボタン30が第3のプッシュ位置P3に位置するときにスパウト本体部10から露出する領域における表示と同様の空白表示である。
【0047】
本実施形態のシンボル表示部20は、第1のシンボル20a、第2のシンボル20b、及び第3のシンボル20cを有する。
【0048】
本実施形態の第1のシンボル20aは、第1の吐水形態であるシャワー吐水を表すシンボルである。第1のシンボル20aは、第1の表示18aに対応して第1の吐水形態を示す。第1のシンボル20aは、水がシャワー状に吐水されている状態を表す図形である。
【0049】
本実施形態の第2のシンボル20bは、ユーザに吐水形態がストレート吐水であると認識させるシンボルである。第2のシンボル20bは、第2の表示18bに対応して第2の吐水形態を示す。第2のシンボル20bは、水がストレート状に吐水されている状態を表す図形である。
【0050】
本実施形態の第3のシンボル20cは、ユーザに吐水形態が浄水吐水であると認識させるシンボルである。第3のシンボル20cは、第3の表示18cに対応して第3の吐水形態を示す。第3のシンボル20cは、水が入ったコップを模したシンボルである。
【0051】
対応表示部18の表示は、シンボル表示部20の表示と、スパウト本体部10が延びるA方向に並んで配置される。具体的には、第1の表示18a、第2の表示18b、及び第3の表示18cは、それぞれ、第1のシンボル20a、第2のシンボル20b、及び第3のシンボル20cと、スパウト本体部10が延びる方向(プッシュボタン30の押込方向)に並んで配置される。このような配置にすることで、スパウト本体部10をA方向に細長くすることができ、意匠性を向上させることができる。
【0052】
上述したように、本実施形態の水栓1によれば、プッシュボタン30は、第1のプッシュ位置P1と、第1のプッシュ位置P1よりもスパウト本体部10側に押し込まれて第2の吐水形態に対応する第2のプッシュ位置P2とに移動可能である。また、プッシュボタン30の表面には、プッシュボタン30のプッシュ位置に応じて、プッシュボタン30の突出レベルを表す突出レベル表示部32が設けられている。
【0053】
この構成によれば、突出レベル表示部32によってユーザはプッシュボタン30のプッシュ位置を認識することができ、プッシュ位置に対応する吐水形態を認識することができる。これにより、簡易な構成で、ユーザに対して吐水形態を容易に認識させることができる。
【0054】
また、本実施形態の水栓1において、突出レベル表示部32において、第1のプッシュ位置P1のときにスパウト本体部10から露出する領域の少なくとも一部が、第2のプッシュ位置P2のときにスパウト本体部10によって覆われる。
【0055】
この構成によれば、プッシュボタン30のプッシュ位置に応じて、突出レベル表示部32がスパウト本体部10から露出する領域が変化することで、プッシュボタン30の突出レベルを間接的に表示することができる。
【0056】
また、本実施形態の水栓1において、複数の図形34のうち、第1のプッシュ位置P1のときにスパウト本体部10から露出する少なくとも1つの図形34が、第2のプッシュ位置P2のときにスパウト本体部10によって覆われる。
【0057】
この構成によれば、図形34の数によって吐水形態を示すことができ、吐水形態をより容易に認識することができる。
【0058】
また、本実施形態の水栓1において、複数の図形34は同形状である。
【0059】
この構成によれば、複数の図形34を同形状にすることで、吐水形態をより容易に認識することができる。
【0060】
また、本実施形態の水栓1において、プッシュボタン30は、第2のプッシュ位置P2よりもスパウト本体部10側に押し込まれて第3の吐水形態に対応する第3のプッシュ位置P3にさらに移動可能である。突出レベル表示部32において、第2のプッシュ位置P2のときにスパウト本体部10から露出する領域の少なくとも一部が、第3のプッシュ位置P3のときにスパウト本体部10によって覆われる。
【0061】
この構成によれば、第1~第3のプッシュ位置P1,P2,P3に応じて突出レベル表示部32がスパウト本体部10から露出する領域が変化することで、3種類の吐水形態を容易に認識することができる。
【0062】
また、本実施形態の水栓1において、スパウト本体部10の表面には、対応表示部18及びシンボル表示部20が設けられている。対応表示部18は、第1のプッシュ位置P1のときの突出レベル表示部32に対応する第1の表示18a、及び第2のプッシュ位置P2のときの突出レベル表示部32に対応する第2の表示18bを有する。シンボル表示部20は、第1の表示18aに対応して第1の吐水形態を表す第1のシンボル20a、及び第2の表示18bに対応して第2の吐水形態を表す第2のシンボル20bを有する。
【0063】
この構成によれば、シンボル表示部20において、対応表示部18の表示よりも吐水形態の視認性が高い表示を行うことができ、対応表示部18を介して突出レベル表示部32が表示する吐水形態をより容易に認識することができる。
【0064】
また、本実施形態の水栓1において、対応表示部18で表示される第1の表示18a及び第2の表示18bは、それぞれ、シンボル表示部20で表示される第1のシンボル20a及び第2のシンボル20bと、スパウト本体部10が延びる方向に並んで配置される。
【0065】
この構成によれば、スパウト本体部10が延びる方向(縦方向)に並んで配置することで、スパウト本体部10が延びる方向と交差する方向(横方向)に並んで配置するよりも、水栓1をよりコンパクトにすることができる。
【0066】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、上記実施形態では、図形34は、プッシュボタン30及び第1の表示18aにおいて2つ設けられるとしたが、これに限定されない。例えば、図5A図5Cに示す水栓2であってもよい。図5A図5Cは、変形例のスパウト本体部11及びプッシュボタン31を示す平面図である。
【0067】
図5A図5Cに示すように、水栓2のプッシュボタン31に表示される図形35の数は、図4A図4Cのプッシュボタン30に表示される図形34の数よりも多い。
【0068】
具体的には、水栓2において、図形35の数は3つである。第1のプッシュ位置P1のときに図形35が3つ露出し、第2のプッシュ位置P2のときに図形35が2つ露出し、第3のプッシュ位置P3のときに図形35が1つ露出している。
【0069】
各プッシュ位置P1(図5A),P2(図5B),P3(図5C)における突出レベル表示部40の表示に対応して、対応表示部22(第1の表示22a、第2の表示22b、第3の表示22c)に図形が表示されている。プッシュ位置P1,P2,P3のいずれの位置でも、少なくとも1つの図形35が露出している。これにより、図4A図4Cに示す水栓1よりも容易に吐水形態を認識することができる。このような構成によっても、簡易な構成で、ユーザに対して吐水形態を容易に認識させることができる。
【0070】
また、水栓は、例えば、図6A図6Cに示す水栓3であってもよい。図6A図6Cは、別の変形例のスパウト本体部13及びプッシュボタン31を示す平面図である。図6A図6Cは、図5A図5Cの構成において、シンボル表示部20および対応表示部22を省略したものである。このような構成によっても、図形35によってプッシュボタン30の突出レベルを確認することができ、突出レベルに対応する吐水形態をユーザに間接的に認識させることができる。このため、簡易な構成で、ユーザに対して吐水形態を容易に認識させることができる。
【0071】
また、水栓は、例えば、図7A図7Cに示す水栓4であってもよい。図7A図7Cは、図6A図6Cとは別の変形例のスパウト本体部15及びプッシュボタン33を示す平面図である。
【0072】
図7A図7Cに示す水栓4は、図5A図5Cに示す水栓2の構成において、図形35を図形36に変更するとともに対応表示部24の図形を変更し、第1のシンボル20aおよび第3のシンボル20cの位置を変更したものである。
【0073】
図7A図7Cにおいて、図形36は、図形35のような点(黒丸)形状ではなく線状の形状である。図形36は、プッシュ方向A1と交差する方向に延びる線である。図7A図7Cの図形36は、水栓4の幅方向に延びる線である。図形36への変更に伴って、対応表示部24における第1の表示24a、第2の表示24b、及び第3の表示24cの図形も、図形36と同様の図形に変更されている。
【0074】
図形36を細長い線にすることで、図形35のような点よりもユーザに対してより容易に視認させることができる。さらに、図形36を幅方向に延びる線とすることで、プッシュボタン33のプッシュ位置に応じて個々の図形36をより確実に隠すことができる。
【0075】
図5A図5Cでは、プッシュ方向A1に見て右から、第1のシンボル20a、第2のシンボル20b、第3のシンボル20cの順に表示されていたが、図7A図7Cでは、シンボル20a,20b,20cの配置の順番が異なっている。具体的には、図7A図7Cにおいて、プッシュ方向A1に見て、右からではなく左から、第1のシンボル20a、第2のシンボル20b、第3のシンボル20cの順に表示されている。第1のシンボル20a~第3のシンボル20cの順番に対応して、対応表示部24の第1の表示24a~第3の表示b24cも左から順に表示されている。
【0076】
図7A図7Cにおいては、突出レベルが最も高い状態を示す表示(第1のシンボル20a及び第1の表示24a)が最も左側に配置され、突出レベルが小さくなるにつれて、突出レベルを示す表示が右側に配置される。これにより、プッシュボタン33を押す度に、突出レベルを示す表示が左から右に移行していく表示にすることができる。このため、突出レベルを示す表示が右から左に移行していく場合よりも、より直感的に吐水形態を認識することができる。
【0077】
また、吐水形態は、3形態であるとしたが、これに限定されない。吐水形態は、例えば、2形態であってもよく、又は4形態以上であってもよい。この場合、吐水形態の数に応じて、プッシュボタン30の突出位置も同じ数を設ければよい。
【0078】
また、複数の図形34は、同形状であるとしたが、互いに異なる図形であってもよい。
【0079】
また、プッシュボタン30がスパウト本体部10から最も突出した位置(P1)からスパウト本体部10側に最も押し込まれた位置(P3)まで、プッシュボタン30が押される度に図形34が1つずつ減っていくとしたが、これに限定されない。例えば、プッシュボタン30が押される度に、図形34が複数個ずつ減ってもよい。また、例えば、第1のプッシュ位置P1のときにスパウト本体部10から露出する領域の少なくとも一部が、第2のプッシュ位置P2のときにスパウト本体部10によって覆われる構成であってもよい。
【0080】
また、シンボルは、吐水形態を模した図形等を含むとしたが、シンボルは文字を含んでいてもよい。
【0081】
上述した3つの吐水形態を切替可能とする水栓1の流路切替機構が、スパウト本体部10に内蔵されている。以下、スパウト本体部10の内部構成について、図8図16Cを用いて説明する。
【0082】
図8は、スパウト本体部10の筒状部12を省略した斜視図である。図8に示すように、スパウト本体部10の内部には、弁保持部材132と、複数の弁134と、スライド部材136とを備える。
【0083】
弁保持部材132は、複数の弁134を保持する部材である。弁保持部材132は、スパウト本体部10のカートリッジ部138に対してプッシュ方向A1に挿入して取り付けられている。弁保持部材132およびカートリッジ部138は内部に流路を有しており、それらの流路が吐水部14まで連通している。弁保持部材132およびカートリッジ部138の内部流路について、図9図10を用いて説明する。
【0084】
図9は、弁保持部材132の斜視図であり、図10は、カートリッジ部138の斜視図である。図9では、弁保持部材132におけるカートリッジ部138との接続側の端部を示している。
【0085】
図9に示すように、弁保持部材132は筒状の第1取付部140を備える。第1取付部140は、図10に示すカートリッジ部138に取り付けられる部分であり、外周部にネジ山が形成される。第1取付部140のネジ山がカートリッジ部138に形成されたネジ山に螺合することにより、弁保持部材132がカートリッジ部138に取り付けられる。
【0086】
第1取付部140の内側には第2取付部142が設けられる。第2取付部142は、図10に示すカートリッジ部138の浄水カートリッジ144に取り付けられる部分である。第2取付部142の内周部にはネジ山が形成されており、浄水カートリッジ144に設けられたネジ山に螺合して取り付けられる。
【0087】
図10に示すカートリッジ部138は、浄水カートリッジ144を内蔵する筒状の部材である。浄水カートリッジ144は、給水管から送られてくる原水を濾過フィルタ(図示せず)に通過させて浄水を生成する。浄水カートリッジ144は生成した浄水を流す浄水流路146を中心部に形成する。
【0088】
浄水流路146の周囲には原水流路148が形成される。原水流路148は、給水管から送られてくる原水を浄水カートリッジ144に通さずに原水のまま流す流路である。浄水流路146と原水流路148は同心状に形成され、浄水カートリッジ144によって互いに仕切られる。
【0089】
図9に示すように、弁保持部材132の内部には、浄水流路150と原水流路152が形成される。
【0090】
浄水流路150は、第2取付部142の内側に形成された流路であって、図10に示したカートリッジ部138の浄水流路146に連通する。浄水流路146、150は、前述した「浄水ストレート吐水」に対応する流路である。浄水流路150の下流側には、後述する第1弁158(図11)が設けられる。
【0091】
原水流路152は、第1取付部140の内側、且つ第2取付部142の外側に形成される流路である。原水流路152は、図10に示したカートリッジ部138の原水流路148に連通する。
【0092】
図9に示すように、原水流路152は下流側で2つの原水流路154、156に分岐している。原水流路154、152は、前述した「原水ストレート吐水」に対応する流路であり、その下流側には後述する第2弁160(図11)が設けられる。原水流路156、152は、前述した「原水シャワー吐水」に対応する流路であり、その下流側には第3弁162(図11)が設けられる。
【0093】
弁保持部材132および複数の弁134の分解斜視図を図11に示す。図11に示すように、複数の弁134は、第1弁158と、第2弁160と、第3弁162とを有する。
【0094】
第1弁158、第2弁160および第3弁162は、それぞれの吐水形態に対応した内部流路を開閉する弁である。第1弁158、第2弁160および第3弁162はそれぞれ、弁保持部材132に設けられた第1貫通孔164、第2貫通孔166および第3貫通孔168に挿通して配置される。
【0095】
第1貫通孔164、第2貫通孔166および第3貫通孔168はそれぞれ、弁保持部材132の上面に設けられた貫通孔であって、弁保持部材132の内部流路に連通している。第1貫通孔164は、図9に示した浄水流路150に連通し、第2貫通孔166は、原水流路154に連通し、第3貫通孔168は、原水流路156に連通する。
【0096】
図11に示すように、吐水部14には接続部材170が取り付けられている。接続部材170は、吐水部14と弁保持部材132を接続するための部材である。図11では、接続部材170と弁保持部材132が離れた状態を図示しているが、使用時にはネジ止めで互いに固定される。
【0097】
接続部材170は、第1弁受け172と、第2弁受け174と、第3弁受け176とを備える。第1弁受け172は、第1貫通孔164に挿通された第1弁158を受ける部分である。同様に、第2弁受け174は、第2貫通孔166に挿通された第2弁160を受ける部分であり、第3弁受け176は、第3貫通孔168に挿通された第3弁162を受ける部分である。
【0098】
第1弁受け172、第2弁受け174および第3弁受け176のそれぞれは、上下に貫通する貫通孔と当該貫通孔の周囲を囲む台座部分とで構成される。
【0099】
上述した接続部材170、吐水部14および弁保持部材132の内部流路の接続関係について、図12A図12Cを用いて説明する。図12A図12Cは、弁保持部材132、接続部材170および吐水部14の断面を示す斜視図である。
【0100】
図12Aは、第1弁158および第1弁受け172を断面視する斜視図である。図12Aに示すように、第1弁158は、弁保持部材132の第1貫通孔164を介して浄水流路150に配置されるとともに、接続部材170の第1弁受け172に受けられる。接続部材170の内部には、第1弁受け172の貫通孔に連通する第1接続流路178が形成されており、第1接続流路178は、吐水部14のストレート流路180に接続されてストレート吐水口118まで連通する。
【0101】
図12Aに示す接続関係によれば、第1弁158が第1弁受け172に受けられた状態では、浄水流路150と第1接続流路178が連通せず、これらの流路を介した吐水は行われない。第1弁158が第1弁受け172に対して上昇すると、浄水流路150と第1接続流路178とが連通するため、これらの流路とストレート流路180を介してストレート吐水口118から浄水ストレート吐水が行われる。図12Aでは、第1弁158が第1弁受け172に受けられた状態が示される。
【0102】
図12Bは、第2弁160および第2弁受け174を断面視する斜視図である。図12Bに示すように、第2弁160は、弁保持部材132の第2貫通孔166を介して原水流路154に配置されるとともに、第2弁受け174に受けられる。接続部材170の内部には、第2弁受け174の貫通孔に連通する第2接続流路182が形成されており、第2接続流路182は、吐水部14のストレート流路180に接続されてストレート吐水口118まで連通する。第2接続流路182は、図12Aに示した第1接続流路178と下流側で合流しており、一部が重複している。
【0103】
図12Bに示す接続関係によれば、第2弁160が第2弁受け174に受けられた状態では、原水流路154と第2接続流路182が連通せず、これらの流路を介した吐水は行われない。第2弁160が第2弁受け174に対して上昇すると、原水流路154と第2接続流路182とが連通するため、これらの流路とストレート流路180を介してストレート吐水口118から原水ストレート吐水が行われる。図12Bでは、第2弁160が第2弁受け174に受けられた状態が示される。
【0104】
図12Cは、第3弁162および第3弁受け176を断面視する斜視図である。図12Cに示すように、第3弁162は、弁保持部材132の第3貫通孔168を介して原水流路156に配置されるとともに、第3弁受け176に受けられる。接続部材170の内部には、第3弁受け176の貫通孔に連通する第3接続流路184が形成されており、第3接続流路184は、吐水部14のシャワー流路186に接続されてシャワー吐水口120まで連通する。
【0105】
図12Cに示す接続関係によれば、第3弁162が第3弁受け176に受けられた状態では、原水流路156と第3接続流路184が連通せず、これらの流路を介した吐水は行われない。第3弁162が第3弁受け176に対して上昇すると、原水流路156と第3接続流路184とが連通するため、これらの流路とシャワー流路186を介してシャワー吐水口120から原水シャワー吐水が行われる。図12Cでは、第3弁162が第3弁受け176に対して上昇した状態が示される。
【0106】
図12A図12Cに示すように、第1弁158、第2弁160および第3弁162の周囲には、第1付勢部材188、第2付勢部材190および第3付勢部材192がそれぞれ配置されている。第1付勢部材188、第2付勢部材190および第3付勢部材192はそれぞれ、第1弁158、第2弁160および第3弁162を第1弁受け172、第2弁受け174および第3弁受け176へ向けて下側に付勢するためのバネである。第1付勢部材188、第2付勢部材190、第3付勢部材192はそれぞれ、上側の端部が弁保持部材132の内壁面に接触し、下側の端部は第1弁158、第2弁160および第3弁162において幅が一部広がった拡径部に上から接触している。
【0107】
上述した第1弁158、第2弁160および第3弁162の開閉は、図8に示したスライド部材136のスライド移動によって制御される。スライド部材136、プッシュボタン30および弁保持部材132を含む斜視図を図13に示す。
【0108】
図13に示すスライド部材136は、プッシュボタン30のプッシュ操作に応じてプッシュボタン30と一体的にスライド方向A2に移動する部材である。スライド部材136は、プッシュボタン30と一体的に移動するように、プッシュボタン30の内側に嵌め込まれてプッシュボタン30に固定されている。
【0109】
図13に示すように、スライド部材136は、プッシュ方向A1に向かって延びる延在部194を有する。
【0110】
延在部194は、弁保持部材132に対して軸方向Aへスライド可能に係合する部分である。延在部194が弁保持部材132に係合した状態でスライド移動することにより、弁保持部材132の貫通孔164、166、168に挿通された弁158、160、162のいずれかに選択的に係合して弁を持ち上げる。
【0111】
延在部194の具体的な構成について、図14図15を用いて説明する。図14図15はそれぞれ、延在部194の周辺を拡大して示す斜視図、平面図である。
【0112】
図14図15に示すように、延在部194は、第1延在部196と、第2延在部198と、第3延在部200とを有する。
【0113】
第1延在部196、第2延在部198および第3延在部200はいずれも、スライド方向A2に延在する部分である。第1延在部196、第2延在部198および第3延在部200は、スパウト本体部10の幅方向Bに並べて配置されており、第2延在部198と第3延在部200の間に第1延在部196が配置される。
【0114】
第1延在部196、第2延在部198および第3延在部200はそれぞれ、第1突出部196A、第2突出部198A、第3突出部200Aを有する。第1突出部196A、第2突出部198A、第3突出部200Aはそれぞれ、第1延在部196、第2延在部198および第3延在部200において上方向Cへ部分的に突出した部分である。
【0115】
第1突出部196A、第2突出部198A、第3突出部200Aはそれぞれ、延在部194がスライド方向A2の特定の位置にあるときに第1弁158、第2弁160および第3弁162にそれぞれ係合する。
【0116】
突出部196A、198A、200Aと弁158、160、162との位置関係について、図16A図16Cを用いて説明する。
【0117】
図16A図16Cはそれぞれ、プッシュボタン30およびスライド部材136が停止位置P1、P2、P3にあるときの周辺を拡大した平面図である。停止位置P1、P2、P3は、図3A図3Cに示した停止位置(プッシュ位置)P1、P2、P3に対応する。図16A図16Cでは、弁158、160、162をそれぞれ模式的に表している。
【0118】
図16Aは、プッシュボタン30およびスライド部材136が第1停止位置P1にある状態を示す。図16Aに示すように、第1停止位置P1では、第3突出部200Aが第3弁162に係合して第3弁162が上方に持ち上げられる。持ち上げられた第3弁162は、対応する原水シャワー吐水用の流路を開放するように動作し、吐水部14から原水シャワー吐水が行われる(図2A図12C)。
【0119】
図16Aに示す状態では、第1突出部196Aおよび第2突出部198Aは第1弁158および第2弁160と係合せず、第1弁158および第2弁160は対応する流路を封止している。
【0120】
図16Bは、プッシュボタン30およびスライド部材136が第1停止位置P1から第2停止位置P2まで移動して停止した状態を示す。図16Bに示すように、第2停止位置P2では、第2突出部198Aが第2弁160に係合して第2弁160が上方に持ち上がられる。持ち上げられた第2弁160は、対応する原水ストレート吐水の流路を開放するように動作し、吐水部14から原水ストレート吐水が行われる(図2B図12B)。
【0121】
図16Bに示す状態では、第1突出部196Aおよび第3突出部200Aは第1弁158および第3弁162と係合せず、第1弁158および第3弁162は対応する流路を封止している。
【0122】
図16Cは、プッシュボタン30およびスライド部材136が第2停止位置P2から第3停止位置P3まで移動して停止した状態を示す。図16Cに示すように、第3停止位置P3では、第1突出部196Aが第1弁158に係合して第1弁158が持ち上げられる。持ち上げられた第1弁158は、対応する浄水ストレート吐水用の流路を開放するように動作し、吐水部14から浄水ストレート吐水が行われる(図2C図12A)。
【0123】
図16Cに示す状態では、第2突出部198Aおよび第3突出部200Aは第2弁160および第3弁162と係合せず、第2弁160および第3弁162は対応する流路を封止している。
【0124】
上記構成によれば、プッシュボタン30のプッシュ操作によって、プッシュボタン30とスライド部材136の停止位置が段階的に変更され、各停止位置に応じて3つの弁158、160、162のうちの1つが対応する流路を開放するように動作する。これにより、プッシュボタン30のプッシュ操作によって3つの吐水形態を切替可能な流路切替機構を実現することができる。
【0125】
本実施形態では、プッシュボタン30のプッシュ操作によって3つの吐水形態を切り替えられるように、スライド部材136に延在部194を設けている。延在部194として3つの延在部196、198、200を設けるとともに、延在部196、198、200のそれぞれに突出部196A、198A、200Aを設けて、第1弁158、第2弁160および第3弁162のそれぞれに選択的に係合させている。3つの停止位置P1、P2、P3に応じて、3つの突出部196A、198A、200Aのうちの1つのみが対応する弁に係合するように配置することで、停止位置P1、P2、P3ごとに予め設定した1つの吐水形態を実現することができる。これにより、簡単な構成で3つの弁158、160、162を選択的に動作させることができる。
【0126】
また、3つの延在部196、198、200を設ける際に、図14図15などに示すように延在部196、198、200のそれぞれをスパウト本体部10の幅方向Bに並べて配置している。これにより、スパウト本体部10の軸方向Aの長さを短くすることができる。
【0127】
また、第1弁158に対応する第1延在部196を、第2弁160に対応する第2延在部198と第3弁162に対応する第3延在部200の間に設けている。このような配置によれば、図12A図12Cに示すように、浄水流路150を中心に配置してその周囲に原水流路152を配置する構成において、浄水流路150に第1弁158を配置するとともに、原水流路152に連通する原水流路154、156に弁160、162を配置する際に、スパウト本体部10の内部スペースを有効活用しながら各弁を配置することができる。これにより、スパウト本体部10の小型化を図ることができる。
【0128】
また、図11などに示すように、第1弁158がスパウト本体部10の軸方向Aにおいて第2弁160および第3弁162に対してずれた位置に配置されるように、貫通孔164、166、168の位置を設定している。特に、第1貫通孔164および第1弁158を、第2貫通孔166および第2弁160並びに第3貫通孔168および第3弁162に対してスパウト本体部10の根元側に配置している。このような配置によれば、図12A図12Cに示すように浄水流路150に第1弁158を配置するとともに、原水流路152に連通する原水流路154、156に弁160、162を配置する際に、スパウト本体部10の内部スペースを有効活用ながら各弁を配置することができる。特に、スパウト本体部10の軸方向Aおよび幅方向Bの長さを短くすることができ、スパウト本体部10の小型化を図ることができる。
【0129】
また、図11などに示すように、第2弁160および第3弁162がスパウト本体部10の幅方向Bに重なる位置に配置されるように、第2貫通孔166および第3貫通孔168の位置を設定している。このような配置によれば、図12B図12Cに示すように原水流路152に連通する原水流路154、156に第2弁160および第3弁162を配置する際に、第2弁160および第3弁162を原水流路152から同等の距離に配置することができる。これにより、第2弁160および第3弁162を通過する原水の流量や圧力が同等となりやすく、第2弁160と第3弁162の動作を安定させることができる。
【0130】
次に、プッシュボタン30を3つの停止位置P1、P2、P3で段階的に停止させる構成について、図17図18A図18Fを用いて説明する。
【0131】
図17は、プッシュボタン30およびスライド部材136の内側を示す斜視図である。図17に示すように、プッシュボタン30およびスライド部材136の内側には、付勢部材204およびピン206が取り付けられている。
【0132】
付勢部材204は、プッシュボタン30をプッシュ方向A1とは反対方向である付勢方向A3に付勢するためのバネである。付勢部材204は、プッシュボタン30の内壁面に固定されており、図13に示した弁保持部材132の凹部208に配置される。付勢部材204を設けることによって、プッシュボタン30は弁保持部材132に対して付勢方向A3に常時付勢され、ユーザがプッシュボタン30をプッシュ方向A1に押し込む際に反発力が発生する。
【0133】
ピン206は、プッシュボタン30を各停止位置P1、P2、P3で停止させるための部材である。ピン206は、付勢部材204とともにプッシュボタン30の内壁面に固定されており、プッシュボタン30のスライド移動とともに一体的に移動する。ピン206は棒状に形成されており、先端部には一対の引っ掛け部210A、210Bが設けられる。引っ掛け部210A、210Bは、付勢部材204が配置される内側に向かって屈曲した形状を有する。
【0134】
引っ掛け部210Aは、図12Bに示す弁保持部材132の溝部212Aに係合する。もう一方の引っ掛け部210Bは、図12Cに示す弁保持部材132の溝部212Bに係合する。
【0135】
溝部212Aおよび溝部212Bはそれぞれ、弁保持部材132の側面に設けられた溝部である。溝部212A、溝部212Bに引っ掛け部210A、210Bを配置することで、プッシュボタン30の停止位置が制御される。具体的には、図18A図18Fを用いて説明する。
【0136】
図18図18Fは、溝部212A、溝部212Bに配置された引っ掛け部210A、210Bが移動する順序を説明するための側面図である。図18図18Fでは、溝部212Aおよび引っ掛け部210Aを右側に示し、溝部212Bおよび引っ掛け部210Bを左側に示す。
【0137】
図18Aは、プッシュボタン30が最も外側の第1停止位置P1に位置する状態を示す。引っ掛け部210A、210Bはそれぞれ溝部212A、溝部212Bの入口部分に配置されている。プッシュボタン30が第1停止位置P1にあるとき、付勢部材204の付勢によってプッシュボタン30は第1停止位置P1に留められる。プッシュボタン30が第1停止位置P1にあることに応じて、吐水部14から原水シャワー吐水が行われる(図
2A)。
【0138】
図18Aに示す状態からプッシュボタン30がプッシュ方向A1に押されると、プッシュボタン30とともにピン206の引っ掛け部210A、210Bがプッシュ方向A1に移動する。引っ掛け部210A、210Bは、溝部212A、212Bの形状にしたがって、図18Aに示すようにD1方向に移動する。
【0139】
図18Bに示すように、引っ掛け部210A、210Bは、溝部212A、212Bの奥に配置された後、D2方向に移動する。このとき、付勢部材204の付勢によって、引っ掛け部210A、210Bはプッシュ方向A1とは逆方向の付勢方向A3に進みながら、重力によって下方に移動する。
【0140】
図18Cは、プッシュボタン30が第1停止位置P1から一段階押し込まれた第2停止位置P2にある状態を示す。引っ掛け部210A、210Bはそれぞれ溝部212A、溝部212Bの中で位置決めされて静止している。プッシュボタン30が第2停止位置P2にあることに応じて、吐水部14から原水ストレート吐水が行われる(図2B)。
【0141】
図18Cに示す状態からプッシュボタン30がプッシュ方向A1に押されると、引っ掛け部210A、210Bは、溝部212A、212Bの形状にしたがってD3方向に移動する。
【0142】
図18Dに示すように、引っ掛け部210A、210Bは溝部212A、212Bの奥に配置された後、D4方向に移動する。このとき、付勢部材204の付勢によって、引っ掛け部210A、210Bは付勢方向A3に進みながら、重力によって下方に移動する。
【0143】
図18Eは、プッシュボタン30が第2停止位置P2から一段階押し込まれた第3停止位置P3にある状態を示す。引っ掛け部210A、210Bはそれぞれ溝部212A、溝部212Bの中で位置決めされて静止している。プッシュボタン30が第3停止位置P3にあることに応じて、吐水部14から浄水ストレート吐水が行われる(図2C)。
【0144】
図18Eに示す状態からプッシュボタン30がプッシュ方向A1に押されると、引っ掛け部210A、210Bは溝部212A、212Bの形状にしたがって、D5方向に移動する。
【0145】
図18Fに示すように、引っ掛け部210A、210Bは溝部212A、212Bの奥に配置された後、D6方向に移動する。このとき、付勢部材204の付勢によって、引っ掛け部210A、210Bは付勢方向A3に進み、図18Aに示した位置(第1停止位置P1)まで戻る。
【0146】
上記構成によれば、プッシュボタン30をプッシュ方向A1にプッシュ操作することに応じて、プッシュボタン30を第1停止位置P1、第2停止位置P2、第3停止位置P3、第1停止位置P1・・・の順に繰り返し移動させることができる。これにより、吐水部14の吐水形態を原水シャワー吐水(第1停止位置P1)、原水ストレート吐水(第2停止位置P2)、浄水ストレート吐水(第3停止位置P3)、原水シャワー吐水(第1停止位置P1)・・・の順に切り替えることができる。このようにして、プッシュボタン30のプッシュ操作によって3つの吐水形態を切替可能な流路切替機構を実現することができる。
【0147】
特に本実施形態では、図18Aに示す第1停止位置P1のときに、吐水部14の吐水形態が原水シャワー吐水となるように設定している。仮に、図18Cに示す第2停止位置P2あるいは図18Eに示す第3停止位置P3のときに吐水部14の吐水形態をシャワー吐水に設定すると、図18A図18Fに示す引っ掛け部210A、210Bの一連の移動の過程において、引っ掛け部210A、210Bの軸方向Aの位置が第2停止位置P2又は第3停止位置P3と重なる際に吐水形態が一時的にシャワー吐水となる。このような場合、原水のストレート吐水と浄水のストレート吐水を相互に切り替える途中で一時的にシャワー吐水となってしまい、ユーザの混乱を招く可能性がある。
【0148】
本実施形態では、図18Aに示す第1停止位置P1のときに吐水部14の吐水形態をシャワー吐水に設定することで、2つのストレート吐水を相互に切り替える途中で一時的にシャワー吐水となることがないように設計している。これにより、吐水形態の切替時にユーザの混乱が生じないようにすることができる。
【0149】
なお、上記実施形態では、プッシュボタン30が第2停止位置P2にあるときに原水ストレート吐水を行い、第3停止位置P3にあるときに浄水ストレート吐水を行うように設定する場合について説明したが、このような場合に限らない。第2停止位置P2のときに浄水ストレート吐水を行い、第3停止位置P3のときに原水ストレート吐水を行うように設定してもよい。
【0150】
また上記実施形態では、接続部材170が吐水部14および弁保持部材132とは別部材である場合について説明したが、このような場合に限らず、吐水部14および/又は弁保持部材132と一体的に構成してもよい。
【0151】
また上記実施形態では、弁158、160、162に係合する係合部として、延在部194で部分的に突出した突出部196A、198A、200Aを設ける場合について説明したが、このような場合に限らない。突出部に限らず、弁158、160、162に係合可能な係合部であれば、任意の構成を採用してもよい。
【0152】
なお、上記様々な実施の形態のうちの任意の実施の形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【0153】
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した特許請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。また、実施形態における要素の組み合わせや順序の変化は、本発明の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【産業上の利用可能性】
【0154】
本発明に係る水栓は、プッシュボタンで吐水形態を切り替えることができる水栓に有用である。
【符号の説明】
【0155】
1,2,3,4 水栓
10,11,13,15 スパウト本体部
12 筒状部
14 吐水部
16 吐水口
118 ストレート吐水口
120 シャワー吐水口
18,22,24 対応表示部
18a,22a,24a 第1の表示
18b,22b,24b 第2の表示
18c,22c,24c 第3の表示
20 シンボル表示部
20a 第1のシンボル
20b 第2のシンボル
20c 第3のシンボル
30,31,33 プッシュボタン
32,40,42 突出レベル表示部
34,35,36 図形
132 弁保持部材
134 弁
136 スライド部材
138 カートリッジ部
140 第1取付部
142 第2取付部
144 浄水カートリッジ
146 浄水流路
148 原水流路
150 浄水流路
152 原水流路
154 原水流路
156 原水流路
158 第1弁
160 第2弁
162 第3弁
164 第1貫通孔
166 第2貫通孔
168 第3貫通孔
170 接続部材
172 第1弁受け
174 第2弁受け
176 第3弁受け
178 第1接続流路
180 ストレート流路
182 第2接続流路
184 第3接続流路
186 シャワー流路
188 第1付勢部材
190 第2付勢部材
192 第3付勢部材
194 延在部
196 第1延在部
196A 第1突出部
198 第2延在部
198A 第2突出部
200 第3延在部
200A 第3突出部
204 付勢部材
206 ピン
208 凹部
210A、210B 引っ掛け部
212A、212B 溝部
A 軸方向
A1 プッシュ方向
A2 スライド方向
A3 付勢方向
B 幅方向
C 上方向
P1 第1のプッシュ位置(第1停止位置)
P2 第2のプッシュ位置(第2停止位置)
P3 第3のプッシュ位置(第3停止位置)
W 吐水方
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13
図14
図15
図16A
図16B
図16C
図17
図18A
図18B
図18C
図18D
図18E
図18F