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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】シフト装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 20/02 20060101AFI20240419BHJP
   G01B 7/00 20060101ALI20240419BHJP
【FI】
B60K20/02 Z
B60K20/02 A
G01B7/00 101E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020022312
(22)【出願日】2020-02-13
(65)【公開番号】P2021126983
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000213954
【氏名又は名称】朝日電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 通之
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-4408(JP,A)
【文献】特開平9-329407(JP,A)
【文献】特開2002-365006(JP,A)
【文献】米国特許第6374691(US,B1)
【文献】特表2020-528533(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 20/02
G01B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のシフトペダルのシフト操作に応じて変位し得る軸部材と、
前記軸部材を変位可能に収容するとともに、当該軸部材が変位端に達した状態で一体的に移動して車両の変速操作を行わせ得るハウジングと、
前記ハウジングに対する前記軸部材の変位を検出する検出手段と、
を具備したシフト装置であって、
前記検出手段は、
高周波信号を供給することにより電磁界を発生する送信回路と、該送信回路内に形成されて当該送信回路で発生した電磁界を受信して電圧を生じさせ得る受信回路とが基板上に形成され、前記軸部材の変位方向に沿って形成された電磁界検出部と、
前記軸部材の変位に応じた位置で前記電磁界検出部に対して近接し、当該電磁界検出部の前記送信回路で発生した電磁界を遮蔽する遮蔽部と、
前記遮蔽部による電磁界の遮蔽で生じた前記受信回路の電圧変化に基づいて前記軸部材の変位を検出可能な変位検出部と、
前記電磁界検出部を収容する収容ケースと、
を具備し、前記遮蔽部は、平坦な面から成るとともに前記収容ケースに形成された平坦な被摺動面を摺動し得ることを特徴とするシフト装置。
【請求項2】
前記軸部材は、前記送信回路で発生した電磁界を遮蔽し得る金属製部材から成るとともに、前記遮蔽部は、前記軸部材の一部から成ることを特徴とする請求項1記載のシフト装置。
【請求項3】
前記遮蔽部は、前記軸部材から前記電磁界検出部に向かって突出形成された突端面から成ることを特徴とする請求項2記載のシフト装置。
【請求項4】
前記遮蔽部と前記電磁界検出部とは、前記被摺動面が形成された前記収容ケースの壁面を介して対向配設されたことを特徴とする請求項1記載のシフト装置。
【請求項5】
前記軸部材は、前記遮蔽部が形成された反対側に摺動面が形成されるとともに、当該摺動面を摺動させ得る被摺動面が前記ハウジングに形成されたことを特徴とする請求項記載のシフト装置。
【請求項6】
前記電磁界検出部及び変位検出部は、同一の基板に形成されたことを特徴とする請求項1~5の何れか1つに記載のシフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のシフトペダルのシフト操作を変速機に伝達して変速操作を行わせるためのシフト装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
二輪車等の変速機は、運転者によるシフトペダルのシフト操作に応じて変速操作可能とされており、従来、シフトペダルの操作力を変速機に伝達させる伝達経路の途中にシフト装置が取り付けられたものが提案されている。従来のシフト装置として、例えば特許文献1にて開示されているように、シフトペダルのシフト操作に応じて変位し得る軸部材と、軸部材を変位可能に収容したハウジングと、軸部材に取り付けられた磁石と、ハウジングに取り付けられた磁気センサとを有したものが挙げられる。
【0003】
かかる従来のシフト装置は、シフトペダルを操作開始して、ハウジングに対して軸部材が変位したことを磁気センサが検出すると、車両のエンジンを制御して駆動トルクを調整するとともに、当該軸部材が変位端に達した状態で軸部材とハウジングとが一体的に移動することにより変速機の変速操作を行わせるよう構成されていた。これにより、クラッチを操作することなく変速操作を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】独国特許第10 2010 015 036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術においては、磁石の移動を磁気センサにて検出することによりシフトペダルの操作開始を検出するものであるため、外部の磁気の影響を受けて誤作動してしまう虞がある。また、外部の磁気の影響を抑制すべく磁気センサの周囲に外部の磁気を遮蔽する遮蔽部材を取り付けることも考えられるが、その場合、少なくとも遮蔽部材の分だけ部品点数が増加してしまい、組み付け性の低下及び製造コストの増大を招来してしまうという不具合がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、磁石を不要として外部の磁気による誤作動を防止することができるとともに、精度よくシフトペダルの操作開始を検出することができるシフト装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、車両のシフトペダルのシフト操作に応じて変位し得る軸部材と、前記軸部材を変位可能に収容するとともに、当該軸部材が変位端に達した状態で一体的に移動して車両の変速操作を行わせ得るハウジングと、前記ハウジングに対する前記軸部材の変位を検出する検出手段とを具備したシフト装置であって、前記検出手段は、高周波信号を供給することにより電磁界を発生する送信回路と、該送信回路内に形成されて当該送信回路で発生した電磁界を受信して電圧を生じさせ得る受信回路とが基板上に形成され、前記軸部材の変位方向に沿って形成された電磁界検出部と、前記軸部材の変位に応じた位置で前記電磁界検出部に対して近接し、当該電磁界検出部の前記送信回路で発生した電磁界を遮蔽する遮蔽部と、前記遮蔽部による電磁界の遮蔽で生じた前記受信回路の電圧変化に基づいて前記軸部材の変位を検出可能な変位検出部と、前記電磁界検出部を収容する収容ケースとを具備し、前記遮蔽部は、平坦な面から成るとともに前記収容ケースに形成された平坦な被摺動面を摺動し得ることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のシフト装置において、前記軸部材は、前記送信回路で発生した電磁界を遮蔽し得る金属製部材から成るとともに、前記遮蔽部は、前記軸部材の一部から成ることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のシフト装置において、前記遮蔽部は、前記軸部材から前記電磁界検出部に向かって突出形成された突端面から成ることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1記載のシフト装置において、前記遮蔽部と前記電磁界検出部とは、前記被摺動面が形成された前記収容ケースの壁面を介して対向配設されたことを特徴とする
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項記載のシフト装置において、前記軸部材は、前記遮蔽部が形成された反対側に摺動面が形成されるとともに、当該摺動面を摺動させ得る被摺動面が前記ハウジングに形成されたことを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項1~5の何れか1つに記載のシフト装置において、前記電磁界検出部及び変位検出部は、同一の基板に形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、検出手段は、高周波信号を供給することにより電磁界を発生する送信回路と、該送信回路内に形成されて当該送信回路で発生した電磁界を受信して電圧を生じさせ得る受信回路とが基板上に形成され、軸部材の変位方向に沿って形成された電磁界検出部と、軸部材の変位に応じた位置で電磁界検出部に対して近接し、当該電磁界検出部の送信回路で発生した電磁界を遮蔽する遮蔽部と、遮蔽部による電磁界の遮蔽で生じた受信回路の電圧変化に基づいて軸部材の変位を検出可能な変位検出部とを具備したので、磁石を不要として外部の磁気による誤作動を防止することができるとともに、精度よくシフトペダルの操作開始を検出することができる。
また、電磁界検出部を収容する収容ケースを具備するとともに、遮蔽部は、収容ケースに形成された被摺動面を摺動し得るので、軸部材の変位に伴って遮蔽部を円滑に案内することができるとともに、電磁界検出部の送信回路で発生した電磁界を精度よく遮蔽することができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、軸部材は、送信回路で発生した電磁界を遮蔽し得る金属製部材から成るとともに、遮蔽部は、軸部材の一部から成るので、軸部材と遮蔽部とを一体形成することができ、別個の部品を不要として部品点数を削減することができる。
【0015】
請求項3の発明によれば、遮蔽部は、軸部材から電磁界検出部に向かって突出形成された突端面から成るので、電磁界検出部の送信回路で発生した電磁界を確実に遮蔽することができる。
【0017】
請求項5の発明によれば、軸部材は、遮蔽部が形成された反対側に摺動面が形成されるとともに、当該摺動面を摺動させ得る被摺動面がハウジングに形成されたので、軸部材の変位に伴って当該軸部材及び遮蔽部を円滑に案内することができる。
【0018】
請求項6の発明によれば、電磁界検出部及び変位検出部は、同一の基板に形成されたので、これら電磁界検出部及び変位検出部が別個に形成されたものに比べ、部品点数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係るシフト装置を示す平面図及び側面図
図2】同シフト装置を示す斜視図
図3図1におけるIII-III線断面図
図4図1におけるIV-IV線断面図
図5図1におけるV-V線断面図
図6】同シフト装置の軸部材を示す4面図
図7】同シフト装置の軸部材を示す斜視図
図8】同シフト装置の軸部材にコイルスプリングが取り付けられた状態を示す正面図及び側面図
図9】同シフト装置の軸部材にコイルスプリングが取り付けられた状態を示す斜視図
図10】同シフト装置のハウジングを示す3面図
図11】同シフト装置のハウジングを示す斜視図
図12】同シフト装置の収容ケースを示す3面図
図13】同シフト装置の収容ケースを示す斜視図
図14】同シフト装置の電磁界検出部及び変位検出部が形成された基板を示す平面図及び裏面図
図15】同シフト装置の基板に形成された電磁界検出部と軸部材に形成された遮蔽部との位置関係を示す側面図
図16】同シフト装置における電磁界検出部の作動原理を示すための模式図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るシフト装置1は、車両(特に二輪車)のシフトペダルのシフト操作を変速機に伝達して変速操作を行わせるためのもので、図1~15に示すように、軸部材Lと、ハウジング2と、収容ケース3と、基板4に形成された電磁界検出部5及び変位検出部6と、遮蔽部Leが形成された軸部材Lとを有して構成されている。
【0021】
軸部材Lは、車両のシフトペダルに連結されるとともに、当該シフトペダルのシフト操作に応じて変位し得るもので、図6~9に示すように、第1拡径部La及び第2拡径部Lbが形成された軸状部材から成る。第1拡径部Laと第2拡径部Lbは、他の部位より側方に突出した部位から成り、これら第1拡径部La及び第2拡径部Lbの間には、コイルスプリングSが取り付けられている。
【0022】
具体的には、第1拡径部Laの端面(図8、9中下面)には、ワッシャ状の受け部材W1が取り付けられるとともに、第2拡径部Lbの端面(同図中上面)には、ワッシャ状の受け部材W2が取り付けられており、これら受け部材W1、W2の間にコイルスプリングSが組み付けられている。また、軸部材Lは、図3、4に示すように、先端部Lcがハウジング2に形成された挿通孔2cに挿通されるとともに、基端部Ldがハウジング2の下端部より延設されて組み付けられている。そして、軸部材Lの基端部Ldには、車両のシフトペダルが連結され得るよう構成されており、シフトペダルの操作に応じて上下方向に変位可能とされている。
【0023】
ハウジング2は、軸部材Lを変位可能に収容するとともに、当該軸部材Lが変位端に達した状態で一体的に移動して車両の変速操作を行わせ得るもので、図3、4、10、11に示すように、規制面2aと、連結部2bと、挿通孔2cと、被摺動面2dとを有して構成されている。規制面2aは、軸部材Lがa方向(図3、4参照)に変位する過程で第1拡径部Laに取り付けられた受け部材W1と干渉する面から成り、かかる干渉により軸部材Lがa方向の変位端に達するとともに、当該軸部材Lが更にa方向に変位するのに伴い、軸部材L及びハウジング2が同方向に一体的に移動し得るようになっている。
【0024】
連結部2bは、ハウジング2の上部から突出した部位から成り、車両の変速機の入力機構等に連結されるよう構成されている。また、挿通孔2cは、軸部材Lの先端部Lcを挿通し得る孔から成り、当該軸部材Lの軸方向(a及びb方向)への変位を許容させるものである。また、被摺動面2dは、軸部材Lの変位過程において、当該軸部材Lに形成された摺動面Lfを摺動させ得る平坦な面から成る。
【0025】
一方、ハウジング2の下端部は、封止部材7が取り付けられており、かかる封止部材7には、規制面7a及び挿通孔7bが形成されている。規制面7aは、軸部材Lがb方向(図3、4参照)に変位する過程で第2拡径部Lbに取り付けられた受け部材W2と干渉する面から成り、かかる干渉により軸部材Lがb方向の変位端に達するとともに、当該軸部材Lが更にb方向に変位するのに伴い、軸部材L及びハウジング2が同方向に一体的に移動し得るようになっている。また、挿通孔7bは、軸部材Lの基端部Ldを挿通し得る孔から成り、当該軸部材Lの軸方向(a及びb方向)への変位を許容させるものである。
【0026】
収容ケース3は、基板4に形成された電磁界検出部5を収容するもので、図1~5、12、13に示すように、基板4を収容しつつシール材を充填可能な取付穴3aと、ハウジング2の連結部2bを挿通可能な挿通孔3bと、軸部材Lの遮蔽部Leを摺動し得る被摺動面3cとを有して構成されている。そして、軸部材Lの遮蔽部Leと基板4の電磁界検出部5とは被摺動面3cが形成された壁面を介して対向配設されており、図15に示すように、軸部材Lが軸方向(a及びb方向)に変位することにより、遮蔽部Leが電磁界検出部5に対して相対移動可能とされている。
【0027】
ここで、本実施形態に係るシフト装置1は、ハウジング2に対する軸部材Lの変位を検出する検出手段を具備している。本実施形態に係る検出手段は、基板4に形成された電磁界検出部5及び変位検出部6と、軸部材Lに形成された遮蔽部Leとを有して構成されている。本実施形態に係る基板4は、図14に示すように、一方の面(表面)に電磁界検出部5が形成されるとともに、他方の面(裏面)に変位検出部6が形成されたプリント基板から成る。
【0028】
電磁界検出部5は、図16に示すように、高周波信号を供給することにより電磁界を発生する送信コイル5a(送信回路)と、該送信コイル5a内に形成されて当該送信コイル5aで発生した電磁界を受信して電圧を生じさせ得る受信回路(5b、5c)とが基板4上に形成され、軸部材Lの変位方向に沿って直線状に形成されたものである。より具体的には、本実施形態に係る電磁界検出部5は、直線状に延びた送信コイル5a内に互いに位相が90度ずれた第1受信回路5b(Cos形状)及び第2受信回路5c(Sin形状)が形成されており、送信コイル5aで発生した電磁界を第1受信回路5b及び第2受信回路5cにて受信することにより、それぞれ電圧(2次電圧)が生じるよう構成されている。
【0029】
遮蔽部Leは、軸部材Lの変位に応じた位置で電磁界検出部5に対して近接し、当該電磁界検出部5の送信コイル5a(送信回路)で発生した電磁界を遮蔽するもので、本実施形態においては、軸部材Lと一体形成された突出部の突端面にて構成されている。すなわち、本実施形態に係る軸部材Lは、送信コイル5a(送信回路)で発生した電磁界を遮蔽し得る金属製部材(具体的には、SUSから成る軸状部材)から成るとともに、遮蔽部Leは、軸部材Lの一部であって、軸部材Lから電磁界検出部5(基板4の裏面)に向かって突出形成された突端面(被摺動面3cを摺動し得る平坦な面)から成る。
【0030】
しかるに、軸部材Lは、例えば棒状のSUS材に対して切削加工することにより、第1拡径部La、第2拡径部Lb、先端部Lc及び基板部Ldに加え、遮蔽部Le及び摺動面Lfが形成されており、検出手段を構成する遮蔽部Leが軸部材Lに一体形成された構成を有している。そして、遮蔽部Leは、軸部材Lの変位に伴って、収容ケース3に形成された被摺動面3cを摺動し得るようになっている。また、軸部材Lは、遮蔽部Leが形成された反対側に摺動面Lfが形成されるとともに、当該摺動面Lfを摺動させ得る被摺動面2dがハウジング2に形成されている。
【0031】
変位検出部6は、遮蔽部Leによる電磁界の遮蔽で生じた受信回路(第1受信回路5b及び第2受信回路5c)の電圧変化に基づいて軸部材Lの変位を検出可能なもので、図14に示すように、本実施形態においては基板4に取り付けられたマイコン等から成る。かかる変位検出6は、図16に示すように、端子(a1、a2)を介して送信コイル4a、端子(b1、b2)を介して第1受信回路5b及び端子(c1、c2)を介して第2受信回路5cとそれぞれ電気的に接続されている。
【0032】
そして、遮蔽部Leが電解検出部5の所定位置に接近することにより遮蔽部Leにて電磁界検出部5が覆われると、その覆われた領域において、第1受信回路5b及び第2受信回路5cで生じる電圧(2次電圧)が低下するとともに、第1受信回路5b及び第2受信回路5cの電気的な位相が互いに90度ずれた形状(Cos形状及びSin形状)とされているので、変位検出部6にて電圧変化を検出することにより、遮蔽部Leの電磁界検出部5に対する相対位置(すなわち、軸部材Lのハウジング2に対する相対位置)を検出することができる。
【0033】
そして、電磁界検出部5及び変位検出部6にて遮蔽部Leの相対移動が検出されると、軸部材L(すなわち、シフトペダル)が変位開始したか、及び何れの方向(a方向又はb方向)に操作されたか判別されるので、その判別信号が例えば車両のECUに送信可能とされている。これにより、運転者がシフトペダルを操作開始して、ハウジング2に対して軸部材Lが変位したことを検出手段が検出すると、車両のエンジンを制御して駆動トルクを調整するとともに、当該軸部材Lが変位端に達した状態で軸部材Lとハウジング2とが一体的に移動することにより変速機の変速操作を行わせることができる。
【0034】
本実施形態によれば、検出手段は、高周波信号を供給することにより電磁界を発生する送信コイル5a(送信回路)と、該送信コイル5a内に形成されて当該送信回路5aで発生した電磁界を受信して電圧を生じさせ得る受信回路(第1受信回路5b及び第2受信回路5c)とが基板4上に形成され、軸部材Lの変位方向に沿って形成された電磁界検出部5と、軸部材Lの変位に応じた位置で電磁界検出部5に対して近接し、当該電磁界検出部5の送信コイル5aで発生した電磁界を遮蔽する遮蔽部Leと、遮蔽部Leによる電磁界の遮蔽で生じた受信回路(第1受信回路5b及び第2受信回路5c)の電圧変化に基づいて軸部材Lの変位を検出可能な変位検出部6とを具備したので、磁石を不要として外部の磁気による誤作動を防止することができるとともに、精度よくシフトペダルの操作開始を検出することができる。
【0035】
また、軸部材Lは、送信コイル5a(送信回路)で発生した電磁界を遮蔽し得る金属製部材(本実施形態においてはSUS材)から成るとともに、遮蔽部Leは、軸部材Lの一部から成るので、軸部材Lと遮蔽部Leとを一体形成することができ、別個の部品を不要として部品点数を削減することができる。特に、本実施形態に係る遮蔽部Leは、軸部材Lから電磁界検出部5に向かって突出形成された突端面から成るので、電磁界検出部5の送信コイル5aで発生した電磁界を確実に遮蔽することができる。
【0036】
さらに、本実施形態によれば、電磁界検出部5(すなわち、電磁界検出部5が形成された基板4)を収容する収容ケース3を具備するとともに、遮蔽部Leは、収容ケース3に形成された被摺動面3cを摺動し得るので、軸部材Lの変位に伴って遮蔽部Leを円滑に案内することができるとともに、電磁界検出部5の送信コイル5aで発生した電磁界を精度よく遮蔽することができる。
【0037】
またさらに、本実施形態に係る軸部材Lは、遮蔽部Leが形成された反対側に摺動面Lfが形成されるとともに、当該摺動面Lfを摺動させ得る被摺動面2dがハウジング2に形成されたので、軸部材Lの変位に伴って当該軸部材L及び遮蔽部Leを円滑に案内することができる。また、本実施形態に係る電磁界検出部5及び変位検出部6は、同一の基板4に形成されたので、これら電磁界検出部5及び変位検出部6が別個に形成されたものに比べ、部品点数を削減することができる。
【0038】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば検出手段を構成する遮蔽部Leが軸部材Lと別体部材から成るものとしてもよく、他の材質から成るものであってもよい。また、本実施形態においては、同一の基板4に電磁界検出部5及び変位検出部6が形成されているが、別個の基板にそれぞれ形成するようにしてもよく、例えば変位検出部6をハウジング2の外部に配設するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
高周波信号を供給することにより電磁界を発生する送信回路と、該送信回路内に形成されて当該送信回路で発生した電磁界を受信して電圧を生じさせ得る受信回路とが基板上に形成され、軸部材の変位方向に沿って形成された電磁界検出部と、軸部材の変位に応じた位置で電磁界検出部に対して近接し、当該電磁界検出部の送信回路で発生した電磁界を遮蔽する遮蔽部と、遮蔽部による電磁界の遮蔽で生じた受信回路の電圧変化に基づいて軸部材の変位を検出可能な変位検出部とを具備した検出手段を有するシフト装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 シフト装置
2 ハウジング
2a 規制面
2b 連結部
2c 挿通孔
2d 被摺動面
3 収容ケース
3a 取付穴
3b 挿通孔
3c 被摺動面
4 基板
5 電磁界検出部
5a 送信コイル(送信回路)
5b 第1受信回路
5c 第2受信回路
6 変位検出部
7 封止部材
7a 規制面
7b 挿通孔
8 封止部材
L 軸部材
La 第1拡径部
Lb 第2拡径部
Lc 先端部
Ld 基端部
Le 遮蔽部
Lf 摺動面
W1 受け部材
W2 受け部材
S コイルスプリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16