(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】吊支式スライド扉装置
(51)【国際特許分類】
E05F 15/641 20150101AFI20240419BHJP
E05D 15/06 20060101ALI20240419BHJP
E06B 3/46 20060101ALI20240419BHJP
【FI】
E05F15/641
E05D15/06 119
E05D15/06 125A
E06B3/46
(21)【出願番号】P 2020021834
(22)【出願日】2020-02-12
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000155333
【氏名又は名称】株式会社木村技研
(73)【特許権者】
【識別番号】391007460
【氏名又は名称】中日本ハイウェイ・エンジニアリング名古屋株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 朝映
(72)【発明者】
【氏名】矢崎 賢一
(72)【発明者】
【氏名】大久保 太司
(72)【発明者】
【氏名】田中 義直
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-199567(JP,A)
【文献】特開2011-226191(JP,A)
【文献】実開昭56-153580(JP,U)
【文献】実開昭56-076867(JP,U)
【文献】特開2017-137660(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0345138(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 15/06
E05F 15/00-15/79
E06B 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定空間を区画する壁部材と、
前記壁部材に開口された出入口と、
前記壁部材に設置されると共に前記出入口の上部に架け渡される案内レールと、
前記案内レールに沿ってスライド自在に該案内レールに吊支されると共に前記出入口を開閉する扉体と、
前記扉体を前記案内レールに沿って駆動させる複数の駆動部と、
利用者の操作に応じ、前記複数の駆動部のうち、少なくとも一つを制御して前記扉体を開閉させる駆動制御部と、
を備え
、
前記駆動制御部が、前記複数の駆動部のうち一部を選択して駆動させ、当該選択して駆動させる駆動部を所定の周期で変更する
吊支式スライド扉装置。
【請求項2】
前記駆動部の故障を検出する故障検出部を備え、
前記駆動部の故障が検出された場合、前記駆動制御部が、故障と検出されていない前記駆動部を選択して駆動させる請求項
1に記載の吊支式スライド扉装置。
【請求項3】
所定空間を区画する壁部材と、
前記壁部材に開口された出入口と、
前記壁部材に設置されると共に前記出入口の上部に架け渡される案内レールと、
前記案内レールに沿ってスライド自在に該案内レールに吊支されると共に前記出入口を開閉する扉体と、
前記扉体を前記案内レールに沿って駆動させる複数の駆動部と、
利用者の操作に応じ、前記複数の駆動部のうち、少なくとも一つを制御して前記扉体を開閉させる駆動制御部と、
前記駆動部の故障を検出する故障検出部
と、を備え、
前記駆動部の故障が検出された場合、前記駆動制御部が、故障と検出されていない前記
駆動部を選択して駆動させる吊支式スライド扉装置。
【請求項4】
前記駆動部が、
前記壁部材に取り付けられたモータと、
前記モータに連結され、前記モータの動作によって回転される駆動ローラと、
前記駆動ローラを前記扉体側へ付勢し、前記駆動ローラを前記扉体へ圧接させる付勢部と、
を備える請求項1~3の何れか1項に記載の吊支式スライド扉装置。
【請求項5】
前記駆動部が、
前記壁部材に固定された第一枠体と、
前記モータを保持し、当該モータに連結された前記駆動ローラと反対側の端部が前記第一枠体に対して回動軸を介して軸支され、前記モータを壁部材に対して揺動可能に取り付ける第二枠体と、を備え、
前記付勢部が、
前記第一枠体に設けられた雌ネジ部に螺合される調整ネジと、
一端が前記第二枠体の前記駆動ローラ側端部に突き当てられ、前記第二枠体に保持された前記モータ及び当該モータに連結された駆動ローラを前記扉体側へ付勢するコイルバネと、
前記調整ネジが挿入される中空部を有する筒状の部材であって、当該筒状の部材の先端側に前記中空部を閉塞する閉塞部を有し、後端側にフランジを有するネジ受け部材と、を有し、
前記コイルバネの捲回中心に前記ネジ受け部材が挿通され、前記コイルバネの前記第二枠体に突き当てられた第一端部とは反対側の第二端部に前記ネジ受け部材のフランジが突き当てられ、前記雌ネジ部と螺合した前記調整ネジの先端が、前記ネジ受け部材の中空部に挿入されて前記閉塞部に当接し、前記調整ネジが前記第一枠体の前記雌ネジ部に対して進退動されると、前記調整ネジの先端と当接した前記ネジ受け部材先端の閉塞部が前記扉体に対して進退動され、当該ネジ受け部材の前記フランジと前記第二枠体との間で前記コイルバネを押し縮める距離を変えて、前記駆動ローラ
への付勢力を調整する請求項4に記載の吊支式スライド扉装置。
【請求項6】
前記駆動部が、前記付勢部による付勢力を制御する付勢制御部を備え、
前記付勢制御部が、所定のタイミングで前記付勢部による付勢力を所定の値に調整する請求項4又は5に記載の吊支式スライド扉装置。
【請求項7】
前記駆動部が、前記付勢部による付勢力を検出する検出部を備え、
前記検出部で検出した付勢力が、所定範囲外であった場合に、前記付勢制御部が、前記付勢部による付勢力を所定の値に調整する請求項6に記載の吊支式スライド扉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊支式スライド扉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
所定空間を区画する壁部材に開口された出入口を開閉する扉(ドア)として、吊支式スライド扉が公知である。吊支式スライド扉は、案内レールにスライド自在に吊支された扉体を案内レールに沿ってスライドさせることにより出入口を開閉する構造となっている。
【0003】
この種の吊支式スライド扉として、トイレブースの外側に向かって凸状に湾曲した円弧状の案内(ガイド)レールをトイレブースの出入口の上部に架設し、この案内レールの曲率とほぼ同一の曲率で湾曲させた円弧状のドアを、案内レール内を走行可能な走行手段を介して案内レールに移動可能に吊支し、ドアの移動により開口部を開閉するようにしたトイレのドア装置が公知である(例えば、特許文献1等を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-20602号公報
【文献】特開2000-282738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の吊支式スライド扉装置は、手動で扉体を開閉する構成であるが、車いすの利用者や大きな荷物を持つ利用者など、種々の利用者の利便性を向上させるため、操作ボタンの操作によって電動で開閉する構成とすることが望まれている。
【0006】
特許文献2では、扉板を保持するリング状の扉板支持手段を駆動手段で駆動することで、扉板を開閉する構成が提案されている。特許文献2では、回動可能に保持された扉板支持手段に駆動ローラを圧接させ、駆動手段としてのモータにより、駆動ローラを回転させ、この駆動ローラの駆動力を扉板支持手段へ伝達して扉板を開閉させる。特許文献2の構成において、駆動手段の駆動力が適切に扉板に伝達されないと、扉板を開閉できなくなってしまう。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、駆動部によって適切に開閉可能な吊支式スライド扉装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明は、以下の手段を採用した。すなわち、本発明に係る吊支式スライド扉装置は、
所定空間を区画する壁部材と、
前記壁部材に開口された出入口と、
前記壁部材に設置されると共に前記出入口の上部に架け渡される案内レールと、
前記案内レールに沿ってスライド自在に該案内レールに吊支されると共に前記出入口を開閉する扉体と、
前記扉体を前記案内レールに沿って駆動させる複数の駆動部と、
利用者の操作に応じ、前記複数の駆動部のうち、少なくとも一つを制御して前記扉体を開閉させる駆動制御部と、を備える。
【0009】
前記駆動制御部は、前記複数の駆動部のうち一部を選択して駆動させ、当該選択して駆動させる駆動部を所定の周期で変更してもよい。
【0010】
前記吊支式スライド扉装置は、
前記駆動部の故障を検出する故障検出部を更に備え、
前記駆動部の故障が検出された場合、前記駆動制御部が、故障と検出されていない前記駆動部を選択して駆動させてもよい。
【0011】
前記駆動部は、
前記壁部材に取り付けられたモータと、
前記モータに連結され、前記モータの動作によって回転される駆動ローラと、
前記駆動ローラを前記扉体側へ付勢し、前記駆動ローラを前記扉体へ圧接させる付勢部と、を備えてもよい。
【0012】
前記吊支式スライド扉装置は、
前記駆動部が、
前記壁部に固定された第一枠体と、
前記モータを保持し、当該モータに連結された前記駆動ローラと反対側の端部が前記第一枠体に対して回動軸を介して軸支され、前記モータを壁部に対して揺動可能に取り付ける第二枠体と、を備え、
前記付勢部が、
前記第一枠体に設けられた雌ネジ部に螺合される調整ネジと、
一端が前記第二枠体の前記駆動ローラ側端部に突き当てられ、前記第二枠体に保持された前記モータ及び当該モータに連結された駆動ローラを前記扉体側へ付勢するコイルバネと、
前記調整ネジが挿入される中空部を有する筒状の部材であって、当該筒状の部材の先端側に前記中空部を閉塞する閉塞部を有し、後端側にフランジを有するネジ受け部材と、を有し、
前記コイルバネの捲回中心に前記ネジ受け部材が挿通され、前記コイルバネの前記第二枠体に突き当てられた第一端部とは反対側の第二端部に前記ネジ受け部のフランジが突き当てられ、前記雌ネジ部と螺合した前記調整ネジの先端が、前記ネジ受け部材の中空部に挿入されて前記閉塞部に当接し、前記調整ネジが前記第一枠体の前記雌ネジ部に対して進退動されると、前記調整ネジの先端と当接した前記ネジ受け部先端の閉塞部が前記扉体に対して進退動され、当該ネジ受け部の前記フランジと前記第二枠体との間で前記コイルバネを押し縮める距離を変えて、前記駆動ローラの付勢力を調整してもよい。
【0013】
前記吊支式スライド扉装置は、
前記駆動部が、前記付勢部による付勢力を制御する付勢制御部を備え、
前記付勢制御部が、所定のタイミングで前記付勢部による付勢力を所定の値に調整してもよい。
【0014】
前記吊支式スライド扉装置は、
前記駆動部が、前記付勢部による付勢力を検出する検出部を備え、
前記検出部で検出した付勢力が、所定範囲外であった場合に、前記付勢制御部が、前記付勢部による付勢力を所定の値に調整してもよい。
【0015】
なお、本発明における課題を解決するための手段は、可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、案内レールに沿ってスライド自在に吊支される扉体を駆動部によって適切に開閉可能な吊支式スライド扉装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第一実施形態におけるトイレおよび吊支式スライド扉装置の上面図である。
【
図2】第一実施形態におけるトイレおよび吊支式スライド扉装置の斜視図である。
【
図3】第一実施形態に係る扉受け部の詳細構造を示す図である。
【
図4】扉体と側壁と案内レールの関係を示す上視図である。
【
図5】扉体が吊支されている状態の案内レールをトイレの内部側から眺めた図である。
【
図10】制御装置が実行する制御方法の説明図である。
【
図12】扉体と側壁と案内レールの関係を示す上視図である。
【
図13】駆動部及び吊支ユニットが位置した部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、発明を実施するための実施形態について例示的に詳しく説明する。但し、本実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、およびその相対配置等は、特に限定的な記載がない限りは、この発明の技術的範囲をそれらに限定する趣旨ではない。
【0019】
〈第一実施形態〉
図1は、本実施形態におけるトイレTおよび吊支式スライド扉装置1の上面図である。
図2は、本実施形態におけるトイレTおよび吊支式スライド扉装置1の斜視図である。
図1および
図2においては、二つのトイレ(トイレブース)Tを図示しているが、その数は特に限定されない。即ち、トイレTは、単独で設けられても良いし、複数が連設されても良い。トイレTは、後壁10と、互いに対向して配置された一対の側壁11,11によって外部空間と区画されており、これによりトイレブースの内部空間(本発明における所定空間に相当)が規定されている。各トイレTの内部には便器9が設置されている。
図1および
図2において図示されている二つのトイレTは同一の構造を有している。後壁10と、一対の側壁11,11は、本発明における壁部材に相当する。なお、
図2では後壁10の図示を省略している。
【0020】
本明細書において、後壁10側に位置する方をトイレTの「後方」として定義し、その反対側をトイレTの「前方」として定義する。トイレTの前方には、開口された出入口12が形成されており、トイレTは出入口12を開閉するための扉体3(スライド扉)が設けられている。一対の側壁11,11は同一部材、即ち互いに同一の形状および大きさを有する部材であり、平面視(横断面)が略J字形をなしている。以下、外部からトイレTの出入口12と正対した状態を基準に左右方向を定義する。そして、一対の側壁11,11のうち、外部からトイレTの出入口12と正対した状態で左側に位置する方を「左側壁」とも呼び、右側に位置する方を「右側壁」とも呼ぶ場合がある。なお、隣接したトイレTは、その仕切りとなる側壁11を共有する構成であってもよい。例えば、あるトイレTの「左側壁」が左側に隣接するトイレTの「右側壁」であってもよい。
【0021】
左右一対の側壁11,11はそれぞれ、トイレTの奥側に位置する平板状の平板部11aと、この平板部11aから手前側に向かって連設される円弧曲面部11bとを有する。
平板部11aの後端が後壁10に連結され、平板部11aの前端から円弧曲面部11bが円弧上に湾曲して延設されている。左右一対の側壁11,11における平板部11a同士は、所定の寸法だけ離れて対向配置されており、平板部11a同士の間隔によってトイレTの横幅寸法が規定されている。
【0022】
図1に示すように、左右一対の側壁11,11は、各々の円弧曲面部11b同士が同じ方向に湾曲している。図示の例では、各々の円弧曲面部11bが、平板部11aから左方向に向かって湾曲しつつ延びている。そして、右側壁11における円弧曲面部11bの先端と、左側壁11における円弧曲面部11bとの間に挟まれた開口として出入口12が形成されている。
【0023】
〈吊支式スライド扉装置〉
次に、吊支式スライド扉装置1の詳細構造を説明する。吊支式スライド扉装置1は、出入口12を開閉するための扉体3と、この扉体3をスライド自在に吊支する案内レール2と、扉体3を駆動する駆動部4と、駆動部4の駆動を制御する制御装置5とを含んでいる。案内レール2は、トイレTの前方外側に向かって凸状に湾曲した円弧形状を有しており、出入口12の上部に架け渡されている。
【0024】
図1および
図2に示す符号13は、左側壁11の円弧曲面部11bに設けられている扉受け部である。扉受け部13は、トイレTの床面から左側壁11の上端縁まで垂直方向に延びて立設している。扉受け部13は、本発明における壁部材の一部に含まれる。以下、
図3を参照して、扉受け部13の詳細構造を説明する。
【0025】
図3は、実施形態に係る扉受け部13の詳細構造を示す図である。扉受け部13は、左側壁11に固定されるベース部131と、このベース部131に装着される緩衝凹部132とを有する。ベース部131は、トイレTの上下方向に延びる長尺部材である。ベース部131は中空構造となっており、その長手方向に沿って中空部133が形成されている。緩衝凹部132は横断面が略C字形を有しており、扉体3が閉じられた際の進行方向先端側に位置する左側縁部を受け入れ可能に窪んでいる。また、緩衝凹部132は、例えばゴム等の緩衝材によって形成されている。ここで、ベース部131の高さ方向における中央部近傍には、トイレTの利用者が扉体3の開閉を操作する操作部6が設置されている。操作部6は、中空部133内に配設された電気配線を介して後述する制御部と接続されている。操作部6は、扉体3を後方へ移動させて出入口12を開く開ボタン61と、扉体3を後方から前方へ移動させて出入口12を閉じる閉ボタン62とを有している。
【0026】
図2を参照すると、案内レール2の一端には取付けブラケット29が取り付けられており、この取付けブラケット29を介して案内レール2の左端が左側壁11に固定されている。一方、案内レール2の他端側は、不図示のブラケットを介して右側壁11に固定されており、これによって、
図4に示すように案内レール2が水平な姿勢で出入口12の上部に架け渡されている。なお、取付けブラケット29の下方は開口しており、扉受け部13の上端部が取付けブラケット29内に挿入された状態となっている。扉体3は、案内レール2の曲率とほぼ同一の曲率で湾曲された半円弧形状を有し、複数の吊支ユニット30によって吊支されている。
【0027】
次に、案内レール2による扉体3の吊支構造を説明する。
図4は、扉体3と側壁11,11と案内レール2の関係を示す上視図である。
図5は、扉体3が吊支されている状態の案内レール2をトイレTの内部側から眺めた図である。なお、
図5は、駆動部近傍の領域、及びこの領域に吊支ユニット30が位置した状態を示している。
図6は、
図5に示すA-A矢視断面図である。
図7は、
図5に示すB矢視図である。案内レール2は、概ね
図6,
図7に示す断面構造が長手方向に沿って連続している。そして案内レール2は、長手方
向に湾曲して延びているため、
図6,
図7において奥行方向に案内レール2の各部の側面が表れるはずであるが、簡単のため
図6,
図7では案内レール2等の奥行方向の記載を省略している。
【0028】
案内レール2は、トイレTの外部側に面する正面壁2aや、正面壁2aからトイレTの内部側に立設する支持壁2b等を有している。支持壁2bの内側上部には、正面壁2aと同心の円弧状であって、案内レール2の長手に沿った半円状にレール部2cが形成されている。レール部2cは、上部2c1が上側に向けて所定の高さで立設され、
図6および
図7に示す断面において、上部2c1の上面が上側に向けて凸の半円状に形成されている。上部2c1の下面には、下側へ向けて突出する係合片2c2が形成されている。支持壁2bの内側端部付近には、長手方向に沿って係合溝2b1が設けられ、係合溝2b1に係合片2c2が嵌入されることで、レール部2cが支持壁2bに取り付けられている。
【0029】
〈吊支ユニット〉
図6及び
図7に示すように、扉体3の上縁部3a近傍には、吊支ユニット30が取り付けられている。吊支ユニット30は、扉体3の上縁部3a近傍にボルト状の取り付け金具311で固定されたプレート部材31と、プレート部材31に回転自在に取り付けられた吊支ローラ32とを有している。吊支ユニット30の吊支ローラ32は、
図6及び
図7に示すように、周面に回転軸側へ向けて凹の溝32aを有している。吊支ユニット30は、吊支ローラ32の溝32aにレール部2cの上面が嵌るようにレール部2c上に載せられ、レール部2cに沿って走行可能に配置される。
【0030】
なお、
図6及び
図7では、吊支ユニット30を一つのみ示したが、扉体3には複数の吊支ユニット30が設けられている。本実施形態では、同じ構成の吊支ユニット30が扉体3の右側縁部の近傍と左側縁部の近傍とに配置され、この二つの吊支ユニット30によって扉体3が案内レール2に吊支されている。そして、後述の駆動部4による扉体3の駆動に伴って、吊支ユニット30がレール部2cに沿って走行することで、案内レール2の長手方向に沿って扉体がスライドされる。
【0031】
〈駆動部〉
次に駆動部4の詳細について、
図5~
図8を参照して説明する。
図8は、駆動部4の分解斜視図である。
【0032】
駆動部4は、モータ41、駆動ローラ42、枠体43を有している。モータ41は、制御装置5によって駆動が制御される電動機である。モータ41は、枠体43に保持され、枠体43を介して案内レール2の正面壁2aに取り付けられる。モータ41の回転軸には、駆動ローラ42が連結され、駆動ローラ42を回転させることで、扉体3を駆動する。
【0033】
枠体43は、側壁(壁部)11に対して固定された第一枠体431と、モータ41を保持する第二枠体432と、駆動ローラ42を扉体3へ圧接するように付勢する付勢部433とを有する。
【0034】
第一枠体431は、側壁11に固定された案内レール2の支持壁2bにネジ441でネジ止めされることで、側壁11に対して固定される。なお、本実施形態では、第一枠体431が、案内レール2を介して側壁11に固定されたが、これに限らず第一枠体431がネジ等の取り付け部材で側壁11に対して直接固定されてもよい。
【0035】
第二枠体432は、駆動ローラ42が設けられる端部と反対側の端部、第一枠体431に対して回動軸を介して軸支され、モータ41を側壁11に対して揺動可能に取り付けられる。
【0036】
第一枠体431は、
図5に示すように、トイレTの内側から見た面を正面とした場合、上面4311に対して、後端4312(
図8)を下側へ折り曲げ、後端4312を垂設している。また、上面4311の左右の後端4312近傍に、連結部4313が垂設されている。連結部4313の下端付近には、揺動軸となるボルト442を通すための連結孔4314が設けられている。上面4311の正面側端部には、左右に張り出した腕部4315が設けられている。
【0037】
第二枠体432は、
図5に示すように、トイレTの内側から見た面を正面とした場合、正面側の部分が上側へ折り曲げられ、前端面4322が下面4321に対して立設され、左右側の部分が上側へ折り曲げられ、側面4323が下面4321に対して立設されている。側面4323の後側上端付近には、揺動軸となるボルト442(
図7)を通すための連結孔4324が設けられている。側面4323の正面側端部には、左右に張り出した腕部4325が設けられている。
【0038】
モータ41は、第二枠体432の前端面4322に設けられた孔4326に回転軸411を通して、下面4321上に配置され、不図示のネジ等で前端面4322に固定される。
【0039】
第一枠体431と第二枠体432は、連結孔4314,4324を重ねた状態で、連結孔4314,4324にボルト442を通し、ボルト442を揺動軸として第二枠体432を揺動可能に、第一枠体431と第二枠体432とを連結している。
【0040】
第一枠体431の腕部4315と、第二枠体432の腕部4325とには、付勢部433が配置され、第一枠体431の腕部4315に対して、第二枠体432の腕部4325を下側へ付勢する。
【0041】
前記付勢部433は、調整ネジ4331や、コイルバネ4332、ネジ受け部材4333を有している。
【0042】
調整ネジ4331は、第一枠体431の腕部4315に設けられた雌ネジ部4316に螺合され、例えば右回りに回されると、下側(第二枠体側)へ進行し、左回りに回されると、上側(第二枠体側)へ退行する。
【0043】
コイルバネ4332は、第二枠体432の駆動ローラ側端部(腕部4325)に突き当てられ、第二枠体432に保持されたモータ41及び当該モータ41に連結された駆動ローラ42を扉体側へ付勢する。
【0044】
ネジ受け部材4333は、調整ネジ4331が挿入される中空部433aを有する筒状の部材であって、当該筒状の部材の先端側に中空部433aを閉塞する閉塞部(底部)433bを有し、後端側にフランジ433cを有する。
【0045】
ネジ受け部材4333は、コイルバネ4332の捲回中心に挿通されると共に、第二枠体432の腕部4325に設けられた孔4327に遊嵌され、第二枠体432の腕部4325に突き当てられたコイルバネ4332の第一端部とは反対側の第二端部にネジ受け部材4333のフランジ433cが突き当てられる。そして、調整ネジ4331が、雌ネジ部4316と螺合し、その先端がネジ受け部材4333の中空部433aに挿入されて閉塞部433bに当接する。ここで、調整ネジ4331が、第一枠体431の雌ネジ部4316に対して進退動されると、調整ネジ4331の先端と当接したネジ受け部材4333先端の閉塞部433bが扉体3の方向(下側)に対して進退動される。この進退動により
、付勢部433は、当該ネジ受け部材4333のフランジ433cと第二枠体432の腕部4325との間でコイルバネ4332を押し縮める距離を変えて、駆動ローラ42への付勢力を調整する。このように駆動ローラ42は、扉体3に圧接した状態で、ボルト442を揺動軸として揺動可能に保持される。このため、扉体3のスライド時に、扉体3が上下動した場合であっても、駆動ローラ42が扉体3の上下動に追従でき、良好に扉体3を駆動できる。
【0046】
駆動部4は、
図6及び
図7に示すように、案内レール2の正面壁2aに設けられた孔2dや、側壁11に設けられた孔111を介して、トイレTの外側へ張り出して設けられている。トイレTの外側に位置する駆動部4の端部は、カバー450が取り付けられている。カバー450は、駆動部4の壁から外側へ突出した部分を覆う椀状のカバー体451と、カバー体451を固定するネジ452と、表示部453とを有している。
【0047】
カバー体451は、半透明の樹脂材料から形成され、ネジ452によって第一枠体431の後端4312に固定される。カバー体451の内壁面には、表示部453が設けられている。表示部453は、制御装置5に制御され、トイレTの使用状態や異常の発生等を色や文字で表示する。なお、表示部453に代えて、電球やLED等の光源を設けてもよい。また、表示部453と光源の両方を備えてもよい。
【0048】
〈制御装置〉
図9は、制御装置5の構成例を示す図である。制御装置5は、例えば
図9に示すようなノイマン型のコンピュータである。制御装置5は、CPU51やメモリ52、入出力IF(Interface)53を有する。CPU51はプロセッサとも呼ばれる。CPU51は、単
一のプロセッサがマルチスレッド(マルチタスク)によって複数の機能部として機能してもよい。また、CPU51は、単一のプロセッサに限定される訳ではなく、マルチプロセッサ構成であってもよい。また、単一のソケットで接続される単一のCPU51がマルチコアを有する構成であってもよい。
【0049】
メモリ52は、主記憶装置と補助記憶装置とを含む。主記憶装置は、CPU51の作業領域,プログラムやデータの記憶領域,通信データのバッファ領域として使用される。主記憶装置は、例えば、Random Access Memory(RAM),或いはRAMとRead Only Memory(ROM)との組み合わせで形成される。主記憶装置は、CPU51がプログラムやデータをキャッシュしたり、作業領域を展開したりする記憶媒体である。主記憶装置は、例えば、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を含む。補助記憶部は、CPU51により実行されるプログラムや、動作の設定情報などを記憶する記憶媒体である。補助記憶装置は、例えば、HDD(Hard-disk Drive)や
SSD(Solid State Drive)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリ、USBメモリ、メモリカード等である。
【0050】
入出力IF53は、センサ531や操作部6等の入力手段から信号の入力を受けると共に、表示部453等の出力手段へ出力信号を出力するインターフェースである。センサ531は、例えば、扉体3の走行状態を電気信号として検出するエンコーダである。出力手段としては、表示部に限らず、スピーカや、照明、通信ユニット等を有してもよい。なお、上記の構成要素はそれぞれ複数に設けられてもよいし、一部の構成要素を設けないようにしてもよい。
【0051】
制御装置5では、CPU51が、プログラムを実行することにより、駆動部4や表示部453等を制御する機能部として機能する。例えば、本実施形態の制御装置5は、複数の駆動部4のうち、少なくとも一つを駆動して扉体3を開閉させるように制御する駆動制御部として機能する。また、制御装置5は、操作部6の操作状況に基づき、操作部6の閉ボ
タン62が押され、扉体3が閉まってから開ボタン61が押されて扉体3が開くまでの間はトイレTが「使用中」と判定し、使用中であることを表示させるように表示部453を制御する。また、制御装置5は、操作部6の開ボタン61が押され、扉体3が開いてから閉ボタン62が押されるまでの間をトイレTが「空き」であると判定し、空きであることを表示させるように表示部453を制御する。即ち、制御装置5は、表示部453を制御する表示制御部として機能する。また、制御装置5は、センサ531の検出結果等に基づいて故障を検出する故障検出部として機能する。なお、上記各機能部の少なくとも一部の処理がDSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等によって提供されてもよい。また、上記各機能部の少なくとも一部が、
FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の専用LSI(large scale integration)、その他のデジタル回路であってもよい。また、上記各機能部の少なくとも一部にアナログ回路を含む構成としてもよい。
【0052】
〈制御方法〉
制御装置5は、操作部6の開ボタン61,閉ボタン62が押された場合に、
図10の処理を実行する。なお、制御装置5は、開ボタン61,閉ボタン62が押された場合に限らず、人感センサによる検出信号を受信した場合など、所定のタイミングで
図10の処理を実行してもよい。
【0053】
ステップS10にて、制御装置5は、現時点で駆動制御を行う駆動装置(以下、現行の駆動装置とも称す)として設定されている駆動部4を示す情報をメモリから読み出し、現行の駆動部4を特定する。例えば、制御装置5は、吊支式スライド扉装置1が備える複数の駆動部4のそれぞれを識別する識別情報のリストをメモリに保持すると共に、このうち何れが現行の駆動部4であるかを示す情報(ポインタ)を保持し、この情報を読み出すことで原稿の駆動部4を特定する。
【0054】
ステップS20にて、制御装置5は、ステップS10で特定した現行の駆動部4が変更のタイミングに達したか否かを判定する。例えば、駆動時間や回転数等が所定値を超えた場合に所定のタイミングに達したと判定する。これにより現行の駆動装置を周期的に変更する。ステップS20で肯定判定であれば、制御装置5は、ステップS30へ移行し、現行の駆動部4を変更する。例えば、複数の駆動部4について駆動する順序を予め定めて前記リストを作成しておき、変更のタイミングになった場合、メモリに記憶している現行の駆動部を示す情報を次の駆動部4のものに変更する。なお、本実施形態では、二つの駆動部4を備えた構成のため、現行の駆動部4を交互に切り替える。
【0055】
一方、ステップS20で否定判定の場合、制御装置5は、ステップS40へ移行し、ステップS10、S30で特定した駆動部4を駆動制御する駆動部4として選択する。
【0056】
ステップS50にて、制御装置5は、ステップS40で選択した駆動部4の駆動制御を開始する。
【0057】
ステップS60にて、制御装置5は、センサ531によって扉体3の走行状態を検出する。ここで、走行状態とは、例えば移動距離や移動速度である。
【0058】
ステップS70にて、制御装置5は、ステップS60で検出した扉体3の走行状態に基づいて故障か否かを判定する。例えば、制御装置5は、ステップ60で単位時間あたりの移動距離を検出し、この値が、所定の閾値より低い場合に故障していると判定する。
【0059】
ステップS70で否定判定の場合、制御装置5は、
図10の処理を終了する。一方、ステップS70で肯定判定の場合、制御装置5は、ステップS80へ移行し、故障した駆動
部4の識別情報を前記リストから除外し、現行の駆動部4を示す情報を次の駆動部4のものに変更する。
【0060】
ステップS90にて、制御装置5は、駆動部4に故障が生じたことを示す情報を出力する。例えば、制御装置5は、表示部453にエラーメッセージを表示させることや、表示部453を特定の色で発光させること、表示部453を特定のパターンで点滅させること等を行う。また、制御装置5は、メンテナンスを担当する者の端末へメッセージを送信してもよい。
【0061】
〈実施形態の効果〉
【0062】
(1)上述のように、本実施形態の吊支式スライド扉装置1は、複数の駆動部4のうち、少なくとも一つを制御して扉体3を開閉させるので、駆動ローラ42の摩耗やモータ41の破損等の故障が生じて扉体3へ駆動力を伝達できない駆動部4が生じた場合でも、他の駆動部4を駆動制御して、適切に扉体3を開閉させることができる。
【0063】
(2)本実施形態の吊支式スライド扉装置1は、駆動制御部(制御装置5)が、複数の駆動部4のうち一部を選択して駆動させ、当該選択して駆動させる駆動部4を所定の周期で変更する。
【0064】
これにより、吊支式スライド扉装置1は、各駆動部4にかかる負荷を分散し、駆動部4が故障せずに稼働する期間を長くすることで、メンテナンスの手間を低減できる。
【0065】
(3)本実施形態の吊支式スライド扉装置1は、駆動部4の故障を検出する故障検出部(制御装置5)を備え、駆動部4の故障が検出された場合、駆動制御部が、故障と検出されていない駆動部4を選択して駆動させる。
【0066】
これにより複数の駆動部4の一部が故障した場合でも、故障していない駆動部4を用いて扉体3を開閉できるので、信頼性を向上できる。
【0067】
(4)本実施形態の吊支式スライド扉装置1は、駆動部4が、壁部材(側壁11)に取り付けられたモータ41と、モータ41に連結され、モータ41の動作によって回転される駆動ローラ42と、駆動ローラ42を扉体3側へ付勢し、駆動ローラ42を扉体3へ圧接させる付勢部433とを備える。
【0068】
これにより駆動ローラ42が扉体3に圧接した状態で保持されるので、扉体3が開閉時に上下に振動したような場合でも、この上下動に駆動ローラ42が追従できるので、適切に扉体3を駆動できる。
【0069】
〈変形例〉
前述の第一実施形態では、付勢部433の調整ネジ4331を手動で回して付勢力を調整する例を示したが、本変形例では、制御装置5が自動で付勢力を調整する例を示す。
【0070】
図11は、本変形例の駆動部40の構成を示す図である。駆動部40は、前述の実施形態における駆動部4と比べて、調整ネジ4331を回動させる回動部4334と、付勢力を検出する付勢力検出部4335を更に備えている。制御装置5は、付勢力検出部4335によって検出した付勢力に基づいて回動部4334を制御する付勢制御部としても機能する。なお、その他の構成は、前述の実施形態と同じである。
【0071】
付勢力検出部4335は、例えば、付勢部433による付勢力で生じた歪みを測定する
歪みセンサや、付勢部433による付勢力を電気信号に変換する圧電センサである。
【0072】
制御装置5は、付勢力検出部4335により所定の周期で付勢部433による付勢力を検出し、検出した付勢力が、所定範囲外であった場合に、この付勢力が、所定の値或いは所定範囲の値になるように制御する。例えば、制御装置5は、回動部4334を制御し、調整ネジ4331を回動させて、調整ネジ4331を進退動させ、付勢力を調整する。
【0073】
これにより、本変形例の吊支式スライド扉装置1は、付勢部433による付勢力を常に最適な状態に調整でき、駆動ローラ42によって適切に扉体3を駆動可能な状態を維持できる。
【0074】
〈第二実施形態〉
前述の第一実施形態では、扉体3の上縁部3aに圧接した駆動ローラ42を回転駆動することにより扉体3を開閉させたが、駆動部の構成はこれに限定されるものではなく、本実施形態では、吊支ローラを回転駆動することで扉体3を開閉させる構成である。なお、その他の構成は、第一実施形態と同じであるため、同一の要素には同符号を付すなどして再度の説明を省略する。
【0075】
図12は、扉体3と側壁11,11と案内レール20の関係を示す上視図である。
図13は、駆動部40及び吊支ユニット30Aが位置した部分の断面図である。案内レール20は、概ね
図13に示す断面構造が長手方向に沿って連続している。そして案内レール2は、長手方向に湾曲して延びているため、
図13において奥行方向に案内レール2の各部の側面が表れるはずであるが、簡単のため
図6,
図7では案内レール2等の奥行方向の記載を省略している。
【0076】
案内レール20は、トイレTの外部側に面する正面壁2aや、正面壁2aからトイレTの内部側に立設する支持壁2b,2f等を有している。支持壁2bの内側上部には、正面壁2aと同心の円弧状であって、案内レール2の長手に沿った半円状にレール部2eが立設されている。また、上部の支持壁2fの内側下面には、正面壁2aと同心の円弧状であって、案内レール2の長手に沿った半円状にレール部2hが垂下されている。
【0077】
図13に示すように、扉体3の上縁部3a近傍には、吊支ユニット30Aが取り付けられている。吊支ユニット30Aは、扉体3の上縁部3a近傍にボルト状の取り付け金具311で固定されたプレート部材31と、プレート部材31に回転自在に取り付けられた吊支ローラ33と、プレート部材31の上部に取り付けられた上部プレート部材34と、上部プレート部材34に回転自在に取り付けられたガイドローラ35とを有している。吊支ユニット30Aの吊支ローラ33は、
図13に示すように、レール部2e上に載せられ、ガイドローラ35は、レール部2hに接するように配置される。ここで、吊支ローラ33は、周面の外側部分が拡径した拡径部331を有し、ガイドローラ35は、周面の内側部分が拡径した拡径部351を有している。この吊支ローラ33の拡径部331が、レール部2eの側面に当たることで、吊支ユニット30Aがレール部2e、2hの内側に外れることが防止される。また、ガイドローラ35の拡径部351が、レール部2hの側面に当たることで、吊支ユニット30Aがレール部2e、2hの外側に外れることが防止される。これらの構成により、吊支ユニット30Aは、扉体3を吊支し、レール部2e、2hに沿って走行可能となっている。
【0078】
なお、
図13では、吊支ユニット30Aを一つのみ示したが、扉体3には複数の吊支ユニット30Aが設けられている。本実施形態では、
図12に示すように同じ構成の吊支ユニット30Aが扉体3の右側縁部の近傍と左側縁部の近傍とに配置され、この二つの吊支ユニット30Aによって扉体3が案内レール2に吊支されている。そして、駆動部40に
よる吊支ローラ33の回転駆動に伴って、吊支ユニット30Aがレール部2e、2hに沿って走行することで、案内レール2の長手方向に沿って扉体がスライドされる。
【0079】
〈駆動部〉
次に駆動部40の詳細について説明する。駆動部40は、モータ41、ギヤボックス44、枠体45を有している。モータ41及びギヤボックス44は、枠体45に保持され、ギヤボックス44がプレート部材31に取り付けられる。モータ41の回転軸には、ギヤボックス44が連結され、モータ41の駆動力がギヤボックス44に伝達され、ギヤボックス44の回転軸443を回転させる。回転軸443には吊支ローラ33が接続され、モータ41の駆動力が、ギヤボックス44を介して吊支ローラ33に伝達され、吊支ローラ33を回転させる。
【0080】
モータ41は、前述の実施形態と同じく、使用者による開ボタン61,閉ボタン62の操作に応じて正逆回転し、扉体3を開閉させる。
【0081】
なお、
図13では、駆動部40を一つのみ示したが、駆動部40は複数設けられている。本実施形態では、扉体3の右側縁部の近傍と左側縁部の近傍とに配置され、この二つの吊支ユニット30Aにそれぞれ駆動部40が設けられている。
【0082】
このように吊支ローラ33を駆動する構成においても、制御装置5が、複数の駆動部40のうち、少なくとも一つを制御して扉体3を開閉させるので、前述と同様に、故障が生じて扉体3へ駆動力を伝達できない駆動部40が生じた場合でも、他の駆動部40を駆動制御して、適切に扉体3を開閉させることができる。
【0083】
以上述べた実施形態は、本件の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0084】
1 :吊支式スライド扉装置
2 :案内レール
3 :扉体
4 :駆動部
5 :制御装置
6 :操作部
9 :便器
10 :後壁
11 :側壁
12 :出入口