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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】照明装置用のLEDレンズカバー
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20240419BHJP
   F21V 3/00 20150101ALI20240419BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20240419BHJP
   F21V 3/06 20180101ALI20240419BHJP
   G09F 13/04 20060101ALI20240419BHJP
   F21Y 103/10 20160101ALN20240419BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240419BHJP
【FI】
F21S2/00 496
F21V3/00 510
F21V3/00 320
F21V5/04 100
F21V3/06 110
F21S2/00 230
F21S2/00 494
G09F13/04 D
F21Y103:10
F21Y115:10
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019046754
(22)【出願日】2019-03-14
(65)【公開番号】P2020149871
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】390025737
【氏名又は名称】株式会社新陽社
(74)【代理人】
【識別番号】100075410
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 則昭
(74)【代理人】
【識別番号】100135541
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 昭太郎
(72)【発明者】
【氏名】諸橋 直史
(72)【発明者】
【氏名】小林 晃央
(72)【発明者】
【氏名】高田 博司
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-145790(JP,A)
【文献】特開2014-229545(JP,A)
【文献】登録実用新案第3205117(JP,U)
【文献】国際公開第2012/017636(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 3/00
F21V 5/00
G09F 13/04
F21Y 103/10
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向二面に開口部が設けられた箱形筐体の両前記開口部に透光表示板を設置し、また、前記箱筐体の天井部内面に沿って、線状光源として、複数のLEDを列状に配置し、両前記透光表示板を前記線状光源で内側から照明し、各前記LEDには、当該LEDから照射される光束を、正面光軸方向に集約させる、略短円筒形状のレンズが設けられている照明装置用のLEDレンズカバーであって、
前記レンズの左方向の外周面及び右方向の外周面には、前記レンズの外周方向に向かって盛り上がった肉厚段部が夫々設けられ、
前記照明装置用のLEDレンズカバーは、各前記レンズの側部外周を覆うように設けられ、各前記LEDの側面から漏れる光の量や漏れ方を調節し、
前記照明装置用のLEDレンズカバーは、シリコーン製で白色であり、
前記照明装置用のLEDレンズカバーには、前方の下端及び後方の下端に、切り欠きが夫々設けられ、
前記切り欠きは、前記レンズの下前方及び下後方から外周方向に向かって伸びており、前記レンズを前記箱形筐体に係止させる爪部を収容し、
前記照明装置用のLEDレンズカバーには、前方方向の内周面及び後方方向の内周面に、前記照明装置用のLEDレンズカバーの中心方向に向かって盛り上がった肉厚段部が設けられていることを特徴とする、照明装置用のLEDレンズカバー。
【請求項2】
前記照明装置用のレンズカバーの表面に、凹凸を作るブラスト処理が施されていることを特徴とする、請求項に記載の照明装置用のLEDレンズカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、LEDを光源として用いた照明装置用のLEDレンズカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、消費電力が少ない、チラツキが少ない、耐久性があり、長寿命である等の理由から、光源としてLED(=発光ダイオード)等の点光源を用いた照明装置が出現している。しかしながら、LEDは一般的に、正面光軸方向の光度が最大であり、光軸方向に対する角度が大きくなるに従い、光度が減少する指向特性を有している。そのため均一な面状照明光を得ることが必要な掲示器等の照明装置の光源として、LEDを用いる場合には、LEDの光を拡散させ、面状の表示面を均一に照射させる構成が必要となる。
【0003】
なお、掲示器は、鉄道の駅構内や地下通路、或いは建物の外壁面等に、設置され、表面に文字や絵などが付された光透過性のパネルをその背面側から光を当てて、歩行者等へ周辺地理の案内や誘導のための情報や、宣伝広告等の各種情報を掲示するものである。
【0004】
LEDの光を拡散させ、面状の表示面を均一に照射させる構成としては、例えば、照明装置の筐体2の天井部内面に沿って複数のLED42を列状に配置し、各LED42から下向きに放射された線状光源4の光を、光拡散レンズ5であるリニアフレネルレンズで集光し、集光した光束を減衰させることなく筐体2の正背両側に設置された透光表示板3、3に向けてそれぞれ配分し、両透光表示板3、3の表示面の全体を均一な光で照射する、特許文献1の構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-180278号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この特許文献1は、照明装置の筐体の天井部内面に沿って複数のLEDを列状に配置し、各LEDの前方に、光の照射対象である両透光表示板が配置される構成を想定している。各LEDの側面や側面後方に両透光表示板が配置される、つまり各LEDの側面や側面後方に光の照射が要求される構成を想定していない。
【0007】
照明装置7の筐体71の天井部内面に沿って配置された、各LED72の側面や側面後方に両透光表示板73が配置される構成の場合、図5に示すように、各LED72の側面から光が漏れ、その部分だけ、明るい帯ができ、他の部分と照度に差が出てしまう。一方、各LED72の側面から漏れる光を完全に遮断してしまうと、各LED72の側面や側面後方に係る、透光表示板73の表示面に光が照射されなくなってしまう。従って、各LED72の側面や側面後方に対応する両透光表示板73に適切に光が照射されるように、各LED72の側面から漏れる光の量や漏れ方を調節する必要がある。
【0008】
なお、照明装置7の筐体71の天井部内面に沿って配置された、各LED72の側面や側面後方に両透光表示板73が配置される構成の場合、各LED72には、図6及び図7に示す既製品の、プラスティック製のレンズ6が設けられている。このレンズ6は、略短円筒形状であって、LED72から照射される光束を、正面光軸方向に集約させる役割を果たす。しかし、各LED72にレンズ6を設けても、側面から漏れる光の量や漏れ方を調節することはできない。
【0009】
そのため、従来は、このレンズ6の外周に、作業者等のユーザがテープを巻いて(図示省略)、LEDの側面から漏れる光の量や漏れ方を調節していた。しかし、1つの照明装置7にLED72は、例えば36個~60個設けられており、これらのLED72の各レンズの外周にテープを巻くには、膨大な時間と手間が必要である。
【0010】
そこで、この発明は、上述の課題を解決する、LEDの側面から漏れる光や漏れ方を調整することができ、また、LEDのレンズに簡単に被せることができ、作業が簡易な照明装置用のLEDレンズカバーを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、
対向二面に開口部が設けられた箱形筐体の両前記開口部に透光表示板を設置し、また、前記箱筐体の天井部内面に沿って、線状光源として、複数のLEDを列状に配置し、両前記透光表示板を前記線状光源で内側から照明し、各前記LEDには、当該LEDから照射される光束を、正面光軸方向に集約させる、略短円筒形状のレンズが設けられている照明装置用のLEDレンズカバーであって、
前記レンズの左方向の外周面及び右方向の外周面には、前記レンズの外周方向に向かって盛り上がった肉厚段部が夫々設けられ、
前記照明装置用のLEDレンズカバーは、各前記レンズの側部外周を覆うように設けられ、各前記LEDの側面から漏れる光の量や漏れ方を調節し、
前記照明装置用のLEDレンズカバーは、シリコーン製で白色であり、
前記照明装置用のLEDレンズカバーには、前方の下端及び後方の下端に、切り欠きが夫々設けられ、
前記切り欠きは、前記レンズの下前方及び下後方から外周方向に向かって伸びており、前記レンズを前記箱形筐体に係止させる爪部を収容し、
前記照明装置用のLEDレンズカバーには、前方方向の内周面及び後方方向の内周面に、前記照明装置用のLEDレンズカバーの中心方向に向かって盛り上がった肉厚段部が設けられている、照明装置用のLEDレンズカバーとした。
【0013】
請求項の発明は、
前記照明装置用のレンズカバーの表面に、凹凸を作るブラスト処理が施されている、請求項に記載の照明装置用のLEDレンズカバーとした。

【発明の効果】
【0014】
請求項1~3の発明によれば、LEDの側面から漏れる光や漏れ方を調整し、LEDの側面や側面後方に対応する両透光表示板に適切に光を照射することができる。また、作業者等のユーザは、簡易な作業で、LEDのレンズに簡単にカバーを被せることができるため、作業時間や作業の手間を省くことができ、便宜である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(a)は、この発明の実施の形態例1の平面図であり、(b)は、この発明の実施の形態例1の正面図である。
図2】(a)は、この発明の実施の形態例1に係るLEDレンズカバーをレンズに被せた状態を示す正面図であり、(b)は、この発明の実施の形態例1に係るLEDレンズカバーをレンズに被せた状態を示す平面図である。
図3】(a)は、基板上のレンズに、この発明の実施の形態例1に係るLEDレンズカバーを被せた状態を示す正面図であり、(b)は、基板上のレンズに、この発明の実施の形態例1に係るLEDレンズカバーを被せた状態を示す平面図である。
図4】レンズにテープを巻いた場合と、レンズに各種のLEDレンズカバーを被せた場合の照度を示したグラフ図である。
図5】従来の実施の形態例であって、筐体の天井部内面に沿って配置された、各LEDの側面や側面後方に両透光表示板が配置される構成の照明装置の場合、各LEDの側面から光が漏れ、その部分だけ、明るい帯ができ、他の部分と照度に差が出てしまうことを示す説明図である。
図6】この発明の実施の形態例1のLEDレンズカバーを被せる、LEDのレンズの平面図である。
図7】この発明の実施の形態例1のLEDレンズカバーを被せる、LEDのレンズの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施の形態例1)
まず、この発明の実施の形態例1のLEDレンズカバー1について、図1に基づいて説明する。図1(a)は、この発明の実施の形態例1の平面図であって、(b)は、正面図である。LEDレンズカバー1は、アクリル製の型に、シリコーンを流し込んで一体に成型されたシリコーン製で、リング(=環)状である。なお、「シリコーン」は、「シリコン」とも呼ばれ、ケイ素と酸素からなるシロキサン結合(-Si-O-Si-)を骨格とし、そのケイ素(Si)にメチル基(-CH3)を主体とする有機基が結合したポリマーの総称であり、例えば、ポリアミド樹脂、熱可撓性アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂を含む概念である。
【0017】
また、LEDレンズカバー1は、前方の下端及び後方の下端に、切り欠き11が夫々設けられている。この切り欠き11は、レンズ6の下前方及び下後方から外周方向に向かって伸びており、レンズ6を基板8(後述)に係止させる爪部61(図6を参照)を収容し、レンズ6にLEDレンズカバー1が嵌合するように設けられている。なお、LEDレンズカバー1の前方の下端の切り欠き11は、図1(b)に示されている。一方、LEDレンズカバー1の後方の下端の切り欠き11は、図1(b)に示されていないが、LEDレンズカバー1の正面と背面は同様であるため、図示を省略する。
【0018】
また、図1(a)に示すように、LEDレンズカバー1の前方方向の内周面及び後方方向の内周面には、LEDレンズカバー1の中心方向に向かって盛り上がった肉厚段部12が夫々設けられている。
【0019】
図6に示すように、レンズ6の左方向の外周面及び右方向の外周面は、レンズ6の外周方向に向かって盛り上がった肉厚段部62が夫々設けられているため、リング状のLEDレンズカバー1をレンズ6の外周に嵌合させると、レンズ6の左方向の外周面及び右方向の外周面については、LEDレンズカバー1を隙間なく嵌合させることができるが、レンズ6の前方方向と後方方向については、肉厚段部62があることで浮いてしまい、レンズ6の外周面にLEDレンズカバー1を隙間なく嵌合させることはできない。
【0020】
そこで、LEDレンズカバー1の前方方向の内周面及び後方方向の内周面に、肉厚段部12を設けることで、レンズ6の前方方向及び後方方向の外周を支持させて持ち上げ、レンズ6の外周面にLEDレンズカバー1を隙間なく嵌合させる。
【0021】
図2(a)は、LEDレンズカバー1をレンズ6に被せた状態を示す正面図であり、(b)は、LEDレンズカバー1をレンズ6に被せた状態を示す平面図である。また、図3(a)は、基板8上のレンズ6に、この発明の実施の形態例1に係るLEDレンズカバーを被せた状態を示す正面図であり、(b)は、基板8上のレンズに、この発明の実施の形態例1に係るLEDレンズカバーを被せた状態を示す平面図である。なお、照明装置7の筐体71の天井部内面に沿って各LED72を配置する場合には、電源や各LEDを制御する制御回路等が搭載された基板8上に、各LED72を配置するが、当該事項は、一般的な事項であるため、説明を省略する。
【0022】
図2及び図3で示されているように、LEDレンズカバー1の前方の下端及び後方の下端に夫々、切り欠き11が設けられ、LEDレンズカバー1の前方方向の内周面及び後方方向の内周面に夫々、肉厚段部12が設けられているため、LEDレンズカバー1をレンズ6の外周面に沿って隙間なく嵌合させることができる。
【0023】
また、LEDレンズカバー1の色は、例えば、クリア(=透明)や薄い白色や濃い白色等を使用可能であるが、濃い白色が好ましい。
【0024】
更に、LEDレンズカバー1の表面に凹凸を作るため、ブラスト処理を施す構成としても良い。ブラスト処理を施して、LEDレンズカバー1の表面に凹凸を形成することによって、LED72の光が、その凹凸に乱反射して拡散し、各LED72の側面や側面後方に対応する両透光表示板に適切に光が照射される。
【0025】
次に、テープをレンズ6の外周に巻いた場合と、本実施の形態例1に係るLEDレンズカバー1をレンズ6に被せた場合で比較する。図4は、レンズにテープを巻いた場合と、レンズに各種のLEDレンズカバー1を被せた場合の照度を示したグラフ図である。図4の縦軸は、照度(lx)を示し、横軸は、照明装置7の筐体71の天井部に設けられたLED72(=光源)から、照明装置7の下方向の距離であり、図4では、縦の長さ(=高さ)が500(mm)の照明装置7を使用した例を示している。
【0026】
図4を見ると、LEDレンズカバー1の色がクリア(透明)の場合には、LED72付近の50(mm)の地点の照度が高い。レンズ6にテープを巻いた場合には、LED72から離れた450(mm)の地点の照度が高い。LEDレンズカバー1の色が薄い白色や濃い白色の場合、概ね、レンズ6にテープを巻いた場合と同様に、照度を抑えることができている。但し、LEDレンズカバー1の色が濃い白色の場合の方が、より照度を抑えることができている。なお、テープを巻いた場合、各種のLEDレンズカバー1を被せた場合のいずれも、350(mm)離れた地点から、照度が上昇している。これは、LED72の光が、照明装置7の筐体71の底部で反射しているからである。
【0027】
このように、レンズ6にLEDレンズカバー1を被せることによって、レンズ6にテープを巻いた場合と同様に、LED72の側面から漏れる光や漏れ方を調整し、LED72の側面や側面後方に対応する両透光表示板73に適切に光を照射することができる。また、作業者等のユーザは、簡易な作業で、LED72のレンズ6に簡単にLEDレンズカバー1を被せることができるため、作業時間や作業の手間を省くことができ、便宜である。
【0028】
以上、この発明の好ましい実施の形態例について述べたが、この発明に係る照明装置用の制御回路は上述した実施の形態例にのみ限定されるものではなく、この発明の範囲で種々の変更実施が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0029】
1:LEDレンズカバー、11:切り欠き、12:肉厚段部、
6:レンズ、61:爪部、62:肉厚段部、
7:照明装置、71:筐体、72:LED、73:透光表示板、
8:基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7