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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】調整装置及び調整方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/00 20110101AFI20240419BHJP
   G06Q 50/163 20240101ALI20240419BHJP
【FI】
G06T19/00 A
G06Q50/163
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020024634
(22)【出願日】2020-02-17
(65)【公開番号】P2021128714
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】513217311
【氏名又は名称】株式会社ジオクリエイツ
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】本田 司
【審査官】益戸 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-318015(JP,A)
【文献】特開2016-181244(JP,A)
【文献】特開2004-140692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 19/00
G06Q 50/163
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定空間を示す画像を解析し、前記画像に示される前記所定空間に含まれる所定の構図を特定し、前記画像における、特定した前記所定の構図の位置を特定する構図位置特定部と、
前記画像に含まれる複数の位置のそれぞれを閲覧者が視認する頻度である視認頻度を特定する頻度特定部と、
前記構図位置特定部が特定した前記所定の構図の位置における前記視認頻度に基づいて、前記画像の内容を調整する調整部と、
を備える調整装置。
【請求項2】
前記所定の構図には、一点透視を示す構図が含まれており、
前記構図位置特定部は、前記所定空間に含まれる前記一点透視を示す構図の、前記画像における位置を特定する、
請求項1に記載の調整装置。
【請求項3】
前記調整部は、前記構図位置特定部が特定した前記一点透視を示す構図の、前記画像における位置における前記視認頻度が第1の閾値未満の場合には、前記一点透視を示す構図が強調されるように前記画像の画質を調整する、
請求項2に記載の調整装置。
【請求項4】
前記調整部は、前記一点透視を示す構図の前記画像における位置における前記視認頻度が前記第1の閾値未満の場合には、前記一点透視を示す構図が強調されるように前記画像の明度又は輝度を調整する、
請求項3に記載の調整装置。
【請求項5】
前記画像は360度画像であり、
前記調整部は、前記構図位置特定部が特定した一以上の前記所定の構図のそれぞれの前記画像における位置に対応する前記視認頻度に基づいて、前記画像の表示開始時に表示される前記所定空間上の位置を調整する、
請求項2から4のいずれか1項に記載の調整装置。
【請求項6】
前記構図位置特定部は、前記所定空間を示す動画を構成する複数の画像を解析し、前記所定空間に含まれる一以上の前記所定の構図のそれぞれの前記複数の画像それぞれにおける位置を特定し、
前記頻度特定部は、前記複数の画像に含まれる複数の位置のそれぞれの前記視認頻度を特定し、
前記調整部は、前記構図位置特定部が特定した一以上の前記所定の構図のそれぞれの前記複数の画像それぞれにおける位置に対応する前記視認頻度に基づいて前記動画の再生開始時に表示される前記所定空間上の位置を調整する、
請求項2から4のいずれか1項に記載の調整装置。
【請求項7】
前記動画はバーチャルリアリティ動画であり、
前記調整部は、前記バーチャルリアリティ動画の再生開始時に表示される前記所定空間上の位置を調整する、
請求項6に記載の調整装置。
【請求項8】
前記調整部は、前記構図位置特定部が特定した一以上の前記所定の構図のそれぞれの前記複数の画像それぞれにおける位置のうち、前記視認頻度が相対的に高い位置を特定し、当該位置を、前記動画の再生開始時に表示される位置とする、
請求項6又は7に記載の調整装置。
【請求項9】
前記所定の構図には、二点透視を示す構図が含まれており、
前記構図位置特定部は、前記所定空間に含まれる前記二点透視を示す構図の前記画像における位置を特定し、
前記調整部は、前記構図位置特定部が特定した前記二点透視を示す構図の前記画像における位置の周辺における前記視認頻度に基づいて、前記画像の画質を調整する、
請求項1から8のいずれか1項に記載の調整装置。
【請求項10】
前記所定空間は、所定の商品を示す画像であり、
前記調整部は、前記画像を調整する前の前記商品の売上を示す調整前売上又は前記商品の問合せ頻度を示す調整前問合せ頻度と、前記画像を調整した後の前記商品の売上を示す調整後売上又は前記商品の問い合わせ頻度を示す調整後問合せ頻度とを特定し、前記調整前売上又は前記調整前問合せ頻度と、前記調整後売上又は前記調整後問合せ頻度とに基づいて、前記画像の内容を調整する、
請求項1から9のいずれか1項に記載の調整装置。
【請求項11】
前記頻度特定部は、画像の入力に対して当該画像に含まれる複数の位置のそれぞれの前記視認頻度を示す情報を出力するモデルであって、過去に閲覧者が閲覧した画像と、当該画像に含まれる複数の位置のそれぞれの視認頻度とに基づいて学習されたモデルに、前記所定空間を示す画像を入力し、当該モデルから当該画像に含まれる複数の位置のそれぞれの前記視認頻度を示す情報を取得することにより、前記視認頻度を特定する、
請求項1から10のいずれか1項に記載の調整装置。
【請求項12】
コンピュータが実行する、
所定空間を示す画像を解析し、前記画像に示される前記所定空間に含まれる所定の構図を特定し、前記画像における特定した前記所定の構図の位置を特定するステップと、
前記画像に含まれる複数の位置のそれぞれを閲覧者が視認する頻度である視認頻度を特定するステップと、
特定された前記所定の構図の位置における前記視認頻度に基づいて、前記画像の内容を調整するステップと、
を備える調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像の内容を調整する調整装置及び調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、不動産物件の間取りや物件内部を顧客に確認させるために、物件内部に対応する空間を示す画像や動画を顧客に閲覧させることが行われている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許6297739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像や動画を顧客等の閲覧者が確認する場合、画像や動画の映り具合により、閲覧者が空間を正確に把握することができないことがある。これにより、空間の訴求ポイントが閲覧者に伝わらないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、閲覧者が空間を把握しやすくなるように画像を調整することができる調整装置及び調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る調整装置は、所定空間を示す画像を解析し、前記所定空間に含まれる所定の構図を特定し、当該所定の構図の位置を特定する構図位置特定部と、前記画像に含まれる複数の位置のそれぞれを閲覧者が視認する頻度である視認頻度を特定する頻度特定部と、前記構図位置特定部が特定した前記所定の構図の位置における前記視認頻度に基づいて、前記画像の内容を調整する調整部と、を備える。
【0007】
前記所定の構図には、一点透視を示す構図が含まれており、前記構図位置特定部は、前記所定空間に含まれる前記一点透視を示す構図の位置を特定してもよい。
前記調整部は、前記構図位置特定部が特定した前記一点透視を示す構図の位置における前記視認頻度が第1の閾値未満の場合には、前記一点透視を示す構図が強調されるように前記画像の画質を調整してもよい。
【0008】
前記調整部は、前記一点透視を示す構図の位置における前記視認頻度が前記第1の閾値未満の場合には、前記一点透視を示す構図が強調されるように前記画像の明度又は輝度を調整してもよい。
【0009】
前記画像は360度画像であり、前記調整部は、前記構図位置特定部が特定した一以上の前記所定の構図のそれぞれの位置に対応する前記視認頻度に基づいて、前記画像の表示開始時に表示される位置を調整してもよい。
【0010】
前記構図位置特定部は、前記所定空間を示す動画を構成する複数の画像を解析し、前記所定空間に含まれる一以上の前記所定の構図のそれぞれの位置を特定し、前記頻度特定部は、前記複数の画像に含まれる複数の位置のそれぞれの前記視認頻度を特定し、前記調整部は、前記構図位置特定部が特定した一以上の前記所定の構図のそれぞれの位置に対応する前記視認頻度に基づいて前記動画の再生開始時に表示される位置を調整してもよい。
【0011】
前記動画はバーチャルリアリティ動画であり、前記調整部は、前記バーチャルリアリティ動画の再生開始時に表示される位置を調整してもよい。
前記調整部は、前記構図位置特定部が特定した一以上の前記所定の構図のそれぞれの位置のうち、前記視認頻度が相対的に高い位置を特定し、当該位置を、前記動画の再生開始時に表示される位置としてもよい。
【0012】
前記所定の構図には、二点透視を示す構図が含まれており、前記構図位置特定部は、前記所定空間に含まれる前記二点透視を示す構図の位置を特定し、前記調整部は、前記構図位置特定部が特定した前記二点透視を示す構図の位置の周辺における前記視認頻度に基づいて、前記画像の画質を調整してもよい。
【0013】
前記所定空間は、所定の商品を示す画像であり、前記調整部は、前記画像を調整する前の前記商品の売上を示す調整前売上又は前記商品の問合せ頻度を示す調整前問合せ頻度と、前記画像を調整した後の前記商品の売上を示す調整後売上又は前記商品の問い合わせ頻度を示す調整後問合せ頻度とを特定し、前記調整前売上又は前記調整前問合せ頻度と、前記調整後売上又は前記調整後問合せ頻度とに基づいて、前記画像の内容を調整してもよい。
【0014】
前記頻度特定部は、画像の入力に対して当該画像に含まれる複数の位置のそれぞれの前記視認頻度を示す情報を出力するモデルであって、過去に閲覧者が閲覧した画像と、当該画像に含まれる複数の位置のそれぞれの視認頻度とに基づいて学習されたモデルに、前記所定空間を示す画像を入力し、当該モデルから当該画像に含まれる複数の位置のそれぞれの前記視認頻度を示す情報を取得することにより、前記視認頻度を特定してもよい。
【0015】
本発明の第2の態様に係る調整方法は、コンピュータが実行する、所定空間を示す画像を解析し、前記所定空間に含まれる所定の構図の位置を特定するステップと、前記画像に含まれる複数の位置のそれぞれを閲覧者が視認する頻度である視認頻度を特定するステップと、特定された前記所定の構図の位置における前記視認頻度に基づいて、前記画像の内容を調整するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、閲覧者が空間を把握しやすくなるように画像を調整することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施形態に係る調整装置の概要を示す図である。
図2】第1の実施形態に係る調整装置の構成を示す図である。
図3】第1の実施形態に係る調整装置における画像を調整する処理の流れを示すフローチャートである。
図4】所定の構図の例を示す図である。
図5】第1の実施形態に係る調整部による調整前の画像と、調整後の画像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1の実施形態>
[調整装置1の概要]
図1は、第1の実施形態に係る調整装置1の概要を示す図である。調整装置1は、所定空間を示す画像の内容を調整するコンピュータである。本実施形態において、調整装置1は、1台のコンピュータであるものとするが、これに限らず、複数台のコンピュータにより構成されるものであってもよい。
【0019】
調整装置1は、所定空間を示す画像を取得する(図1の(1))。調整装置1は、取得した画像を解析し、所定空間に含まれる所定の構図の位置を特定する(図1の(2))。また、調整装置1は、取得した画像に含まれる複数の位置のそれぞれを閲覧者が視認する頻度である視認頻度を特定する(図1の(3))。そして、調整装置1は、特定した所定の構図の位置における視認頻度に基づいて、所定の構図が強調されるように画像の内容を調整する(図1の(4))。
【0020】
このようにすることで、調整装置1は、閲覧者が空間を把握しやすくなるように画像を調整することができる。また、閲覧者は、調整後の画像から所定の構図を把握しやすくなり、空間を把握することができる。これにより、設計者が空間に設けた訴求ポイントを閲覧者に伝えやすくすることができる。
続いて、調整装置1の構成について説明する。
【0021】
図2は、第1の実施形態に係る調整装置1の構成を示す図である。調整装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを備える。
【0022】
通信部11は、調整装置1が外部装置との間でデータを送受信するネットワークに接続するためのインターフェイスであり、例えばLANコントローラを含んで構成されている。
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを記憶している。例えば、記憶部12は、調整装置1の制御部13を、取得部131、構図位置特定部132、頻度特定部133、調整部134、及び出力部135として機能させる調整プログラムを記憶している。
【0023】
制御部13は、例えば、(Central Processing Unit)である。制御部13は、記憶部12に記憶されている調整プログラムを実行することにより、取得部131、構図位置特定部132、頻度特定部133、調整部134、及び出力部135として機能する。
【0024】
図3は、第1の実施形態に係る調整装置1における画像を調整する処理の流れを示すフローチャートである。以下、図3に示すフローチャートを適宜参照しながら、取得部131、構図位置特定部132、頻度特定部133、調整部134、及び出力部135の機能について説明を行う。
【0025】
取得部131は、所定の空間を示す画像を取得する(図3のS1)。例えば、取得部131は、通信部11を介して、調整装置1を使用するユーザの端末から、所定の空間を示す画像を取得する。ここで、所定の空間を示す画像は、所定の空間を撮像した画像、又は所定空間を示すコンピュータグラフィック画像である。所定空間を示す画像には、全天球カメラにより撮像された360度画像も含まれるものとする。
【0026】
構図位置特定部132は、取得部131が取得した所定空間を示す画像を解析し、所定空間に含まれる所定の構図の位置を特定する(図3のS2)。具体的には、まず、構図位置特定部132は、所定空間を示す画像を解析し、当該画像の画素値を明度で二値化する。そして、構図位置特定部132は、異なる明度の領域の境界を示す境界線を一以上特定し、特定した一以上の境界線の少なくとも一部により形成される所定の構図を特定する。そして、構図位置特定部132は、所定空間を示す画像における、特定した所定の構図の位置を特定する。
【0027】
ここで、所定の構図には、例えば、一点透視を示す構図、及び二点透視を示す構図が含まれている。図4は、所定の構図の例を示す図である。図4(a)に示す黒色の線は、一点透視を示す構図を示している。図4(a)に示すように、一点透視の構図は、中心に線が集まる構図であり、一点透視の構図の中心に閲覧者の視線が集まりやすい傾向にある。図4(b)に示す黒色の線は、二点透視を示す構図を示している。図4(b)に示すように、二点透視の構図は、2つの消失点のそれぞれに対して線が向かう構図であり、閲覧者の視線が分散しやすい傾向にある。なお、構図位置特定部132は、所定空間を示す画像において、一点透視を示す構図、二点透視を示す構図を特定したが、これに限らず、所定の形状を含む構図を所定の構図として特定してもよい。例えば、構図位置特定部132は、例えば、特定の家具、照明、窓(風景)を含む構図を所定の構図として特定してもよい。
【0028】
なお、構図位置特定部132は、画像の画素値を二値化して境界線を特定することにより所定の構図を特定したが、これに限らない。構図位置特定部132は、画像の画素を彩度に基づいて多値化して境界線を特定したり、ハフ変換のアルゴリズムを用いて境界線を特定したりしてもよい。さらに、構図位置特定部132は、予め透視図法の構図に対応する複数の画像を記憶部12に記憶させておき、取得した画像を、記憶部12に記憶されている複数の画像と照合することにより、所定の構図を特定してもよい。
【0029】
頻度特定部133は、取得部131が取得した画像に含まれる複数の位置のそれぞれを閲覧者が視認する頻度である視認頻度を特定する(図3のS3)。例えば、頻度特定部133は、取得部131が取得した画像を閲覧者に閲覧させたときに撮影した閲覧者の顔を示す映像を取得する。そして、頻度特定部133は、取得した映像を解析することにより閲覧者が視認している位置と、当該位置を視認している時間とを分析し、分析結果に基づいて視認頻度を特定する。頻度特定部133は、閲覧者が同じ位置を連続して所定時間以上視認している場合に、閲覧者が当該位置を視認していると判定してもよい。そして、頻度特定部133は、視認していると判定した結果に基づいて視認頻度を特定してもよい。
【0030】
頻度特定部133は、例えば、閲覧者が画像を視認している全時間に対する、閲覧者が特定の位置を視認している時間の割合を、特定の位置の視認頻度として特定する。頻度特定部133は、閲覧者が画像を視認している時間の長さに対する、特定の位置と異なる位置を視認している状態から、特定の位置を視認している状態に変化した回数の割合を、特定位置の視認頻度として特定してもよい。
【0031】
なお、360度画像を閲覧者が閲覧する場合、閲覧者は、タッチパネルやマウスにより画像の表示位置を変更することにより、360度画像に含まれる一部の画像を視認することとなる。そこで、頻度特定部133は、取得部131が取得した画像が360度画像である場合、閲覧者が360度画像の表示操作を行ったときの360度画像の表示位置と、表示時間と、操作情報とを取得する。そして、頻度特定部133は、当該表示位置と、表示時間と、操作情報とに基づいて360度画像に含まれる複数の位置のそれぞれの視認頻度を特定してもよい。
【0032】
頻度特定部133は、同じ表示位置が連続して第1時間以上表示されている場合に、閲覧者が当該表示位置に対応する空間を視認していると判定してもよい。そして、頻度特定部133は、視認していると判定した結果に基づいて視認頻度を特定してもよい。ここで、頻度特定部133は、同じ表示位置が連続して第1時間よりも長い第2時間以上表示されている場合には、閲覧者が当該表示位置に対応する空間を視認していないと判定してもよい。このようにすることで、閲覧者が離席等により360度画像を視認していない可能性が高い場合に、視認頻度が誤って特定されることを抑制することができる。
【0033】
また、頻度特定部133は、画像の入力に対して、当該画像に含まれる複数の位置のそれぞれの視認頻度を示す情報を出力するモデルとしてのニューラルネットワークのプログラムを用いて視認頻度を特定してもよい。
【0034】
この場合、制御部13は、過去に閲覧者が閲覧した画像と、当該画像に含まれる複数の位置のそれぞれの視認頻度を示す視認頻度情報とを教師データとし、当該教師データに基づいてモデルの学習を行う。頻度特定部133は、学習済のモデルに、取得部131が取得した画像を入力し、当該モデルから、当該画像に含まれる複数の位置のそれぞれの視認頻度を示す情報を取得することにより、視認頻度を特定する。このようにすることで、調整装置1は、視認頻度を容易に特定することができる。
【0035】
また、頻度特定部133は、360度画像を閲覧者が閲覧する場合に、脳波計等の生体デバイスを用いて表示位置を視認していることを特定してもよい。例えば、頻度特定部133は、生体デバイスにより検出した脳波が所定の状態を示している場合に、表示されている位置を視認していると特定してもよい。このようにすることで、調整装置1は、タッチパネルやマウスにより画像の表示位置を変更する場合においても、一点透視や二点透視の所定の構図や、所定の形状に対する視認を精度良く特定することができる。
【0036】
調整部134は、構図位置特定部132が特定した所定の構図の位置における視認頻度に基づいて、画像の内容を調整する(図3のS4)。具体的には、調整部134は、構図位置特定部132が画像から一点透視を示す構図の位置を特定した場合において、当該一点透視を示す構図の位置における視認頻度が第1の閾値未満のときには、当該一点透視を示す構図が強調されるように画像の画質を調整する。
【0037】
また、調整部134は、構図位置特定部132が画像から二点透視を示す構図の位置を特定した場合において、当該二点透視を示す構図の位置の周辺における視認頻度に基づいて画像の画質を調整する。具体的には、調整部134は、構図位置特定部132が画像から二点透視を示す構図の位置を特定した場合において、当該構図における2つの消失点の周囲の視認頻度が第2の閾値未満のときには、当該二点透視を示す構図が強調されるように画像の画質を調整する。
【0038】
例えば、調整部134は、画像の画質に対応する複数の要素のうち、画像の明度及び輝度の少なくともいずれかを調整することにより、一点透視及び二点透視を示す構図が強調されるようにする。例えば、調整部134は、構図位置特定部132が特定した異なる明度の領域の境界付近の明度の平均値が所定の明度範囲に含まれるように画像の明度を調整する。また、調整部134は、構図位置特定部132が特定した異なる明度の領域の境界付近の輝度の最大値と最小値との差が所定の輝度以上となるように画像の輝度を調整する。
【0039】
図5は、第1の実施形態に係る調整部134による調整前の画像と、調整後の画像の例を示す図である。図5(a)は、調整部134による調整前の画像を示し、図5(b)は、調整部134により明度及び輝度を調整した後の画像を示している。調整前の画像に対して、明度及び輝度が調整されることにより、画像が示す空間が把握しやすくなっていることが確認できる。
【0040】
なお、取得部131が取得した画像には、着目したいオブジェクトが含まれていることがある。例えば、所定の空間としての住居内の画像に、訴求ポイントとしてのインテリアや家具等のオブジェクトが含まれている場合がある。この場合に、一点透視の構図が含まれていると、閲覧者の視線が一点透視の構図に引き込まれ、オブジェクトが閲覧される頻度が低くなってしまう。
【0041】
このため、調整部134は、画像と共に、当該画像に含まれるオブジェクト等が含まれている領域の指定を受け付けるようにしてもよい。そして、調整部134は、領域の指定を受け付けた場合において、構図位置特定部132が画像から一点透視を示す構図を特定したときには、一点透視を示す構図が強調されなくなるように画像の画質を調整するようにしてもよい。
【0042】
この場合、例えば、調整部134は、構図位置特定部132が特定した異なる明度の領域の境界付近の明度の平均値が高くなるように画像の明度を調整したり、当該境界付近の輝度の最大値と最小値との差が所定の輝度未満となるように画像の輝度を調整したりする。このようにすることで、画像に含まれる一点透視を示す構図が強調されなくなるので、閲覧者の視線が指定された領域に向かいやすくなる。
【0043】
出力部135は、調整部134により調整が行われた画像としての調整後の画像を出力する(図3のS5)。出力部135は、例えば、調整後の画像を、通信部11を介して調整装置1を使用するユーザの端末に送信することにより、当該画像を出力する。
【0044】
[第1の実施形態における効果]
以上、第1の実施形態によれば、調整装置1は、所定空間を示す画像を解析し、所定空間に含まれる所定の構図の位置を特定し、画像に含まれる複数の位置のそれぞれを閲覧者が視認する頻度である視認頻度を特定し、特定した所定の構図の位置における視認頻度に基づいて、画像の内容を調整する。このようにすることで、調整装置1は、閲覧者が空間を把握しやすくなるように画像を調整することができる。
【0045】
<第2の実施形態>
[360度画像又は動画の表示開始時に映る位置を調整する]
続いて、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態に係る調整装置1は、360度画像又は動画を取得し、当該360度画像又は動画の表示開始時に映る所定空間の位置を調整する点で第1の実施形態と異なる。以下に、第2の実施形態に係る調整装置1について説明する。なお、第1の実施形態と同じ部分については適宜説明を省略する。
【0046】
第2の実施形態において、取得部131は、360度画像又は動画を取得する。ここで、動画は、例えば所定空間を示すバーチャルリアリティ動画が含まれるものとする。
構図位置特定部132は、所定空間を示す動画を構成する複数の画像、又は360度画像を解析し、所定空間に含まれる一以上の所定の構図のそれぞれの位置を特定する。
頻度特定部133は、所定空間を示す動画を構成する複数の画像、又は360度画像に含まれる複数の位置のそれぞれの視認頻度を特定する。
【0047】
調整部134は、構図位置特定部132が特定した一以上の所定の構図としての一点透視の構図のそれぞれの位置に対応する視認頻度に基づいて、所定空間を示す動画の再生開始時又は360度画像の表示開始時に表示される所定空間上の位置を調整する。
【0048】
例えば、調整部134は、構図位置特定部132が特定した一以上の一点透視の構図の位置のうち、視認頻度が相対的に高い位置を特定する。調整部134は、所定空間を示す動画の再生開始時又は360度画像の表示開始時に表示される所定空間上の位置を、特定した位置に調整する。
【0049】
[第2の実施形態における効果]
以上、第2の実施形態によれば、調整装置1は、構図位置特定部132が特定した一以上の一点透視の構図の位置のうち、視認頻度が相対的に高い位置を、所定空間を示す動画の再生開始時又は360度画像の表示開始時に表示される所定空間上の位置に調整する。
【0050】
閲覧者が一点透視の構図を含む画像を閲覧した場合、当該構図に没入する傾向が高い。また、視認頻度が相対的に高い一点透視の構図は、他の一点透視の構図に比べて、閲覧者が没入する傾向が強いといえる。したがって、視認頻度が相対的に高い一点透視の構図に対応する位置を、所定空間を示す動画の再生開始時又は360度画像の表示開始時に表示される所定空間上の位置とすることにより、閲覧者が所定空間を視認することに没入する可能性を高めることができる。これにより、所定空間における訴求ポイントを閲覧者が認識する可能性を高めることができる。
【0051】
<第3の実施形態>
[所定空間に関連する商品の売り上げ傾向に基づいて画像を調整する]
続いて、第3の実施形態について説明する。上述したように、一点透視が強調された画像を閲覧者が閲覧することにより、閲覧者が所定空間を視認することに没入する可能性を高めて、所定空間における訴求ポイントを閲覧者が認識する可能性を高めることができる。例えば、所定空間が、住宅や賃貸物件等の商品に対応する画像を示す画像である場合には、商品の購入検討者が所定空間を視認することに没入し、所定空間における訴求ポイントを閲覧者が認識することと、購入検討者が商品を購入することとは、一定の相関があると考えられる。そこで、第3の実施形態に係る調整装置1は、所定空間に関連する商品の売り上げ傾向や問合せ傾向に基づいて画像を調整する。以下に、第3の実施形態に係る調整装置1について説明する。
【0052】
第3の実施形態において、所定空間は、例えば同一の間取りを有する複数の住宅や賃貸物件等としての所定の商品を示す画像であるものとする。
【0053】
また、第3の実施形態において、調整部134は、自身が画像を調整する前の商品の売上を示す調整前売上又は商品の問合せ頻度を示す調整前問合せ頻度と、自身が画像を調整した後の商品の売り上げを示す調整後売上又は商品の問合せ率を示す調整後問合せ頻度とを特定する。例えば、調整部134は、自身が画像を調整した日時を記憶しておくとともに、通信部11を介して、当該画像に対応する商品の日別の売上を示す売上情報及び問合せ頻度を示す問合せ頻度情報を取得する。ここで、問合せ頻度は、例えば、商品の問合せ数そのもの、又は、画像が表示された回数に対する問合せ数である問合せ率であってもよい。そして、調整部134は、自身が画像を調整する前の単位期間(例えば1か月)あたりの調整前売上又は調整前問合せ頻度と、自身が画像を調整した後の単位期間あたりの調整後売上又は調整後問合せ頻度とを特定する。
【0054】
調整部134は、特定した調整前売上又は調整前問合せ頻度と調整後売上又は調整後問合せ頻度とを比較した結果に基づいて画像の内容を調整する。例えば、調整部134は、調整後売上が調整前売上よりも低い場合、又は、調整後問合せ頻度が調整前問合せ頻度よりも低い場合、画像の明度を、調整前の画像の明度と、調整後の画像の明度との間の明度に再調整する。なお、調整部134は、調整後売上が調整前売上よりも低い場合、又は、調整後問合せ頻度が調整前問合せ頻度よりも低い場合、画像の輝度を、調整前の画像の輝度と、調整後の画像の輝度との間の輝度に再調整してもよい。
【0055】
[第3の実施形態における効果]
以上、第3の実施形態によれば、調整装置1は、自身が画像を調整する前の商品の売上を示す調整前売上又は商品の問合せ頻度を示す調整前問合せ頻度と、自身が画像を調整した後の商品の売り上げを示す調整後売上又は商品の問合せ頻度を示す調整後問合せ頻度とに基づいて画像の内容を調整する。このようにすることで、調整装置1は、画像の内容を、売上や問合せが向上するときの画像の内容に近づけることができる。
【0056】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施形態も、本発明の実施形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施形態の効果は、もとの実施形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0057】
1・・・調整装置、11・・・通信部、12・・・記憶部、13・・・制御部、131・・・取得部、132・・・構図位置特定部、133・・・頻度特定部、134・・・調整部、135・・・出力部
図1
図2
図3
図4
図5