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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】切断装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/02 20180101AFI20240419BHJP
【FI】
A01G9/02 610Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020083558
(22)【出願日】2020-05-12
(65)【公開番号】P2021177706
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】593049914
【氏名又は名称】株式会社東海化成
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長沼 有亮
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-285318(JP,A)
【文献】特開2005-075560(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の育苗ポットが連結部を介して連結されて成る育苗ポット連結体から個々の育苗ポットを切り離すための切断装置であって、
前記育苗ポット連結体の各育苗ポットを挿入するための複数の挿入空間を形成する枠体と、
前記枠体を所定の高さに支持する支持部と、
前記枠体に取り付けられ、前記連結部を切断する刃と、
を備え、
前記枠体は切欠きを有し、
前記刃の刃先は、前記切欠きから露出すると共に、前記枠体の上端よりも下方に位置している、
切断装置。
【請求項2】
前記刃は、前記枠体に対して回転移動可能または直線移動可能に取り付けられている、
請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
切り離し後の各育苗ポットを収容する収容空間を備えた育苗トレイを、前記収容空間が前記挿入空間と整合するように位置決めするための位置決め部をさらに備える、
請求項1または2に記載の切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の育苗ポットが連結部を介して連結された育苗ポット連結体から、個々の育苗ポットを切り離すための切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
植物の育苗に用いられる育苗ポットは、複数の育苗ポットが縦横に連結された育苗ポット連結体を、例えば特許文献1に示す分離治具によって分離することにより得られる。特許文献1の分離治具は、区画枠によって育苗ポット間の連結部分を引き裂くことにより、それぞれの育苗ポットを切り離している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3921577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような分離治具において、育苗ポット連結体から個々の育苗ポットを簡単に且つ小さな労力で切り離すために、さらなる改良が必要である。
【0005】
本発明は、育苗ポット連結体から個々の育苗ポットを簡単に且つ小さな労力で切り離すことが可能な切断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は以下に掲げる態様の発明を提供する。
(項目1)
複数の育苗ポットが連結部を介して連結されて成る育苗ポット連結体から個々の育苗ポットを切り離すための切断装置であって、
前記育苗ポット連結体の各育苗ポットを挿入するための複数の挿入空間を形成する枠体と、
前記枠体を所定の高さに支持する支持部と、
前記枠体に取り付けられ、前記連結部を切断する刃と、
を備える切断装置。
【0007】
(項目2)
前記刃は、前記枠体に対して移動可能に取り付けられている、
項目1に記載の切断装置。
【0008】
(項目3)
前記枠体は切欠きを有し、
前記刃の刃先は、前記切欠きから露出すると共に、前記枠体の上端よりも下方に位置している、
項目1又は2に記載の切断装置。
【0009】
(項目4)
切り離し後の各育苗ポットを収容する収容空間を備えた育苗トレイを、前記収容空間が前記挿入空間と整合するように位置決めするための位置決め部をさらに備える、
項目1から3のいずれか1項に記載の切断装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明の切断装置は刃を備えているため、刃によって連結部を簡単に且つ小さな労力で切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】切断装置の斜視図である。
図2】切断装置の正面図である。
図3】(a)図1のIIIa部分拡大図、(b)図1のIIIb部分拡大図である。
図4】(a)育苗ポット連結体の斜視図、(b)育苗トレイの斜視図である。
図5】(a)育苗ポット連結体の平面図、(b)育苗ポット連結体の正面図、(c)(a)のVc部分拡大図である。
図6】切断装置の使用状態を示す図である。
図7】刃の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の切断装置について図面を参照しながら説明する。以下で説明する実施形態は、本発明の好ましい一具体例を示すものである。
【0013】
<1 育苗ポット連結体及び育苗ポット>
本発明の切断装置1について説明する前に、まず、図4及び図5を参照して、育苗ポット連結体100及び育苗ポット100A、並びに育苗トレイ200について説明する。図4(a)は、育苗ポット連結体100の斜視図である。図5(a)は育苗ポット連結体100の平面図、図5(b)は育苗ポット連結体100の正面図、図5(c)は図5(a)のVc部分拡大図である。説明の便宜上、図4に示す上下方向、縦方向、及び横方向をそれぞれ、育苗ポット連結体100及び育苗トレイ200の上下方向、縦方向、及び横方向として説明する。
【0014】
育苗ポット連結体100は、縦方向及び横方向に配列された複数の育苗ポット100Aが連結部103によって互いに連結されることにより構成されている。本実施形態では、育苗ポット連結体100は、縦4個、横5個の合計20個(4行×5列)の育苗ポット100Aから構成されている。
【0015】
育苗ポット100Aは、底壁101と、側壁102と、を備え、上方が開口している。育苗ポット100Aは、柔軟な材料から成り、例えばポリエチレン製である。本実施形態では、底壁101は平面視で円形である。側壁102は、底壁101の周縁から徐々に外方に広がるように立ち上がっている。側壁102の上部は平面視で角丸四角形である。底壁101及び側壁102によって囲まれる空間には、苗及び培土が収容される。
【0016】
各育苗ポット100Aは、側壁102の上端辺の長さ方向略中央に位置する連結部103によって、隣接する育苗ポット100Aと連結されている。連結部103は薄片から成り、刃によって容易に切断可能である。
【0017】
なお、育苗ポット100Aの数、及び育苗ポット100Aの形状は上記の形状に限定されない。育苗ポット100Aは、底壁101が平面視四角形で、側壁102が上方に向かうにしたがい外方へ広がる、外観視で四角錐台形状であってもよい。また、育苗ポット100Aは、底壁101が平面視円形で、側壁102が上方に向かうにしたがい外方へ広がる、外観視で円錐台形状であってもよい。
【0018】
連結部103の位置は側壁102の上端辺の長さ方向略中央に限定されず、中央からずれた位置であってもよい。また、連結部103は、側壁102の上端辺の1辺当たり、2つ以上存在していてもよい。
【0019】
<2 育苗トレイ>
図4(b)を参照して、育苗トレイ200について説明する。図4(b)は、育苗トレイ200の斜視図である。育苗トレイ200は、育苗ポット連結体100から切り離された個々の育苗ポット100Aを収容する。育苗トレイ200は、底壁201と、側壁202と、を備え、上方が開口している。底壁201及び側壁202によって囲まれる空間は、育苗ポット100Aを収容するための収容空間203である。
【0020】
<3 切断装置>
図1から図3を参照して、切断装置1について説明する。図1は、切断装置1の斜視図である。図2は、切断装置1の正面図である。図3は、刃4の詳細な構造を示す図であり、図3(a)は、図1のIIIa部分拡大図であり、図3(b)は、図1のIIIb部分拡大図である。なお、図3(b)は、図3(a)を反対側から見た図に相当する。説明の便宜上、図1に示す上下方向、縦方向、及び横方向をそれぞれ、切断装置1の上下方向、縦方向、及び横方向として説明する。
【0021】
切断装置1は、育苗ポット連結体100の連結部103を切断することによって、育苗ポット連結体100から、個々の育苗ポット100Aを切り離すための装置である。
【0022】
図1及び図2に示すように、切断装置1は、枠体2と、支持部3と、刃4と、を備える。支持部3は、枠体2を所定の高さに支持している。具体的には、支持部3は、育苗ポット連結体100を切断装置1にセットしたときに、育苗ポット100Aの底壁101が空中に浮くような高さに、枠体2を支持している。刃4は、枠体2に取り付けられ、育苗ポット連結体100の連結部103を切断する。
【0023】
切断装置1は、育苗トレイ200を載置するための台座5を備えていることが好ましい。台座5は、枠体2の下に配置され、支持部3によって枠体2と離隔して連結されている。切断装置1が台座5を備える場合、支持部3は、育苗ポット100Aの底壁101が空中に浮き、且つ、枠体2と台座5との間に育苗トレイ200が配置可能な空間が形成されるような高さに、枠体2を支持する。
【0024】
枠体2は、矩形状の外枠21と、内枠22と、から構成されている。
【0025】
内枠22は格子状であり、外枠21によって囲まれた空間を、各育苗ポット100Aを挿入するための複数の挿入空間23に区画している。本実施形態では、4行×5列の育苗ポット連結体100を挿入するために、枠体2に4行×5列の20個の挿入空間23が形成されるように、内枠22は3行×4列の格子である。各挿入空間23を構成する内枠22の上辺の長さ方向略中央には、切欠き22aが設けられている。
【0026】
刃4は、例えば金属製であり、鋭利な刃先を有する。なお、刃先とは、物体を切断するエッジのことを意味する。本実施形態において、刃4は、中心に貫通穴を有する円形であり、外周に刃先が設けられている。図3に示すように、刃4は、刃先が内枠22の切欠き22aから露出し(すなわち、刃先が切欠き22aの底部よりも上方に位置し)、且つ、刃先が内枠22の上端よりも下方に位置するように、内枠22に取り付けられている。なお、切欠き22a及び刃4の数及び位置は、育苗ポット連結体100の連結部103の数及び位置に合わせて、適宜決定される。
【0027】
刃4は、内枠22に対して移動可能であるように、内枠22に取り付けられていることが好ましい。本実施形態では、刃4は、内枠22に対して回転移動可能である(図3において、刃4の回転方向を矢印にて記載している)。刃4は、例えばピンなどの軸部材6によって内枠22に回転可能に取り付けることができる。
【0028】
図1及び図2に示すように、台座5は、外枠21と略同じ寸法を有する矩形状であり、支持部3によって外枠21と接続されている。台座5上には、育苗トレイ200が載置される。台座5は、育苗トレイ200を位置決めするための位置決め部51を備える。位置決め部51は、育苗トレイ200の各収容空間203が、枠体2の各挿入空間23の下に位置するように、育苗トレイ200を枠体2の下に位置決めする。本実施形態において、位置決め部51は、台座5の上面から突出した三つの突起部51a、51b、51cである。突起部51a、51bは、台座5の左右両側にそれぞれ設けられ、育苗トレイ200の左右方向を位置決めする。突起部51cは、縦方向奥側(すなわち、育苗トレイ200の進入方向奥側)に設けられ、育苗トレイ200の進入方向における位置決めを行う。
【0029】
<4 切断装置の使用方法>
図6を参照して、切断装置1の使用方法について説明する。図6は、切断装置1の使用方法を示す斜視図である。
【0030】
まず、台座5上に育苗トレイ200を配置すると共に、枠体2の挿入空間23内に、育苗ポット連結体100の各育苗ポット100Aを挿入する。このとき、育苗ポット連結体100の連結部103は、刃4の刃先に接触している。
【0031】
次に、育苗ポット100Aを押圧するための押込装置300を準備する。押込装置300は、育苗ポット100Aと同数の押圧部301を備えている。押圧部301を育苗ポット100A内に入れ、押圧部301によって育苗ポット100Aの底壁101を押圧する。
【0032】
育苗ポット100Aが下方に押圧されることにより、連結部103が刃4に押し付けられ、刃4よって切断される。そして、分離された各育苗ポット100Aは、育苗トレイ200の収容空間203内に落下し、収容空間203内に収まる。
【0033】
<5 特徴>
本発明の切断装置1は、刃4を備えているため、連結部103を容易に切断することができる。
【0034】
刃4が内枠22に対して移動可能であることにより、刃4の一部の箇所の切れ味が悪くなった場合、刃4を移動させて切断位置を変えることができる。
【0035】
刃4の刃先が内枠22の上端よりも下方に位置していることにより、使用者が刃4の刃先に触れにくくなるため、使用者のけがを防止できる。
【0036】
切断装置1が位置決め部51を備えていることにより、育苗トレイ200の収容空間203がそれぞれ、枠体2の各挿入空間23の下にちょうど配置され、各収容空間203と各挿入空間23とが整合するように、育苗トレイ200を枠体2の下に配置することができる。これにより、切り離された後の各育苗ポット100Aが、育苗トレイ200の各収容空間203に収まるようになる。
【0037】
<6 変形例>
本発明は、上記の実施形態に限定されず、その主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、切断装置1に、以下に示す構成を採用してもよい。なお、以下に示す変形例は、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜組み合わせ可能である。
【0038】
(1)内枠22の上部には、育苗ポット100Aの滑りをよくするための低摩擦部材が取り付けられていてもよい。低摩擦部材としては、例えばテフロン(登録商標)製のテープを使用することができる。
【0039】
(2)刃4は、内枠22から取り外し可能であってもよい。軸部材6として、例えばボルト及びナットの組み合わせを採用することにより、刃4を内枠22から取り外すことができるようになる。刃4が内枠22から取り外し可能であることにより、刃4が損傷した場合に、刃4を交換できる。
【0040】
(3)内枠22は、外枠21から取り外し可能であってもよい。これにより、内枠22や刃4が破損した場合に、内枠22ごと交換することができる。
【0041】
(4)刃4は、図7に示すように、内枠22の長さ方向に延びる長穴4aを有し、且つ、内枠22の長さ方向に延びる長手状であってもよい。図7に示す変形例では、軸部材6が長穴4a内に挿入されており、刃4は内枠22に沿って長穴4aの長手方向に移動可能である(図7において、刃4の移動方向を矢印にて示している)。
【0042】
(5)台座5を設けない場合、位置決め部51を、支持部3と接続するようにしてもよい。すなわち、位置決め部51は、右側の支持部3と接続され、右側の支持部3から縦方向に延びる右側位置決め部と、左側の支持部3と接続され、左側の支持部3から縦方向に延びる左側位置決め部と、右側の支持部3及び/又は左側の支持部3に接続され、横方向に延びる縦方向奥側位置決め部と、から構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 切断装置
2 枠体
22a 切欠き
23 挿入空間
3 支持部
4 刃
51 位置決め部
100 育苗ポット連結体
100A 育苗ポット
103 連結部
200 育苗トレイ
203 収容空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7